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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】熱転写システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 17/30 20060101AFI20240829BHJP
   B41J 17/38 20060101ALI20240829BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B41J17/30 Z
B41J17/38 A
B41J2/325 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021004292
(22)【出願日】2021-01-14
(65)【公開番号】P2022109007
(43)【公開日】2022-07-27
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】望月 弘毅
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-019558(JP,U)
【文献】特開2018-047619(JP,A)
【文献】特開2004-268513(JP,A)
【文献】特開2018-047669(JP,A)
【文献】特開2018-043445(JP,A)
【文献】特開昭61-010481(JP,A)
【文献】米国特許第04788559(US,A)
【文献】実開平03-031560(JP,U)
【文献】実開平02-121938(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 17/30
B41J 17/38
B41J 2/325
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも支持層とインクを含むインク層とを有するインクリボンを用いて、被転写体に対してインクを転写する熱転写システムにおいて、
前記インクリボンを送り出す送出部と、
前記送出部の下流側に配設され、前記インクリボンの前記支持層側に設けられた第1加熱体を有し、前記インクリボンの前記インク層のインクを前記被転写体に対して転写する転写装置と、
前記転写装置の下流側に配設され、転写済の前記インクリボンを巻取る巻取部と、
前記巻取部の近傍に設けられ、前記インクが転写された前記インクリボンを前記支持層側から加熱して最外周のインクリボンを内側に位置するインクリボンに接着させる第2加熱体を有する加熱装置とを備え、
前記第2加熱体は前記インクリボンの幅方向に延びる加熱体本体と、前記加熱体本体の前記インクリボン側に設けられ、前記加熱体本体からの熱を放熱する金属板とを有し、
前記金属板は前記インクリボンの幅方向に順次配置された、前記インクリボン側へ突出し、前記最外周のインクリボンの所定部位を加熱して前記内側に位置するインクリボンに接着させる突出部と、前記突出部より前記インクリボンから引っ込んだ状態の引込部とを含む、熱転写システム。
【請求項2】
前記突出部は前記引込部より厚肉に形成されている、請求項1記載の熱転写システム。
【請求項3】
前記金属板は、前記加熱体本体のうち、前記インクリボンの幅方向全域に延びる、請求項1または2記載の熱転写システム。
【請求項4】
前記金属板の前記突出部と前記引込部は、互いに当接して配置されている、請求項1乃至3のいずれか記載の熱転写システム。
【請求項5】
前記金属板の前記突出部と前記引込部は、保持体を介して前記加熱体本体に取り付けられている、請求項1乃至4のいずれか記載の熱転写システム。
【請求項6】
前記金属板の前記突出部と前記引込部は、前記インクリボン側の作用面と、前記作用面に直交する保持面とを有する断面L字状をなし、
前記突出部と前記引込部は、前記保持体に設けられた開口に前記保持面を挿着することにより、前記保持体に保持される、請求項5記載の熱転写システム。
【請求項7】
前記金属板の前記突出部と前記引込部は、互いに異なる材料を含む、請求項1乃至6のいずれか記載の熱転写システム。
【請求項8】
前記突出部は前記引込部に対して、比熱が小さく、かつ熱伝導率が大きい材料を含む、請求項7記載の熱転写システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、支持層とインク層とを有するインクリボンを用いて被転写体にインク層のインクを転写する熱転写システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクリボンを用いて、カードなどの被転写体に顔画像、ID情報を印字する転写システムが、広く普及している。インクリボンは、帯状に延びるリボン(支持層)と、リボン上に形成され、染料等を含んだインク層と、を有している。インクリボンを用いた印字においては、印字されるべき所望の顔画像、ID情報に対応したパターンで、インクが被転写体に転写される。
【0003】
この場合、インク転写済のインクリボンには、被転写体への転写によりインクが抜けた部分が、印字された顔画像、ID情報に対応したパターンで存在している。このため、インク転写済のインクリボンから、印字された顔画像、ID情報を特定することが可能である。従って、インクリボンを用いて、被転写体に顔画像、ID情報などの秘匿すべき情報を印字する場合、インク転写済のインクリボンの取り扱いに注意が必要となる。
【0004】
このような問題に対応するため、例えば、巻取部に巻き取られたインク転写済のインクリボンの内、最外周のインクリボンを、最外周のインクリボンの内側に位置するインクリボンに接着させる熱転写システムが提案されている。この場合、最外周のインクリボンを、巻取部近傍に設けられた加熱体を有する加熱装置を用いて加熱し、内側に位置するインクリボンに接着する技術も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-49663号公報
【文献】特開2018-108665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、インク転写済のインクリボンには、インク転写後の剥離の際、ふくらみが生じ、最外周のインクリボンを加熱装置で加熱する際、インクリボンのふくらみが加熱装置に引っ掛かって、インクリボンを巻取部で巻き取る際にインクリボンにテンション変動が生じることがある。
【0007】
このようにインクリボンにテンション変動が生じると、インクが転写された被転写体の印字情報にスジ状の濃淡が形成される。
【0008】
また最外層のインクリボンを加熱する加熱装置はインクリボンの幅方向に延びる加熱体本体を有するが、加熱体本体の温度をインクリボンの幅方向全域に沿って一定に温度管理する技術は未だ開発されていない。
【0009】
本開示は、このような点を考慮してなされたものであり、被転写体にスジ状の濃淡が形成されることなく、かつ加熱装置を適切に温度管理しながら、インク転写済の外側インクリボンを内側インクリボンに適切に接着することができる熱転写システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、少なくとも支持層とインクを含むインク層とを有するインクリボンを用いて、被転写体に対してインクを転写する熱転写システムにおいて、前記インクリボンを送り出す送出部と、前記送出部の下流側に配設され、前記インクリボンの前記支持層側に設けられた第1加熱体を有し、前記インクリボンの前記インク層のインクを前記被転写体に対して転写する転写装置と、前記転写装置の下流側に配設され、転写済の前記インクリボンを巻取る巻取部と、前記巻取部の近傍に設けられ、前記インクが転写された前記インクリボンを前記支持層側から加熱して最外周のインクリボンを内側に位置するインクリボンに接着させる第2加熱体を有する加熱装置とを備え、前記第2加熱体は前記インクリボンの幅方向に延びる加熱体本体と、前記加熱体本体の前記インクリボン側に設けられた金属板とを有し、前記金属板は前記インクリボンの幅方向に順次配置された、前記インクリボン側へ突出する突出部と、前記突出部より前記インクリボンから引っ込む引込部とを含む、熱転写システムである。
【0011】
本開示は、前記突出部は前記引込部より厚肉に形成されている、熱転写システムである。
【0012】
本開示は、前記金属板は、前記加熱体本体のうち、前記インクリボンの幅方向全域に延びる、熱転写システムである。
【0013】
本開示は、前記金属板の前記突出部と前記引込部は、互いに当接して配置されている、熱転写システムである。
【0014】
本開示は、前記金属板の前記突出部と前記引込部は、保持体を介して前記加熱体本体に取り付けられている、熱転写システムである。
【0015】
本開示は、前記金属板の前記突出部と前記引込部は、前記インクリボン側の作用面と、前記作用面に直交する保持面とを有する断面L字状をなし、前記突出部と前記引込部は、前記保持体に設けられた開口に前記保持面を挿着することにより、前記保持体に保持される、熱転写システムである。
【0016】
本開示は、前記金属板の前記突出部と前記引込部は、互いに異なる材料を含む、熱転写システムである。
【0017】
本開示は、前記突出部は前記引込部に対して、比熱が小さく、かつ熱伝導率が大きい材料を含む、熱転写システムである。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、被転写体にスジ等の汚れが形成されることなく、かつ加熱装置を適切に温度管理しながら、最外周のインクリボンを最外周のインクリボンの内側に位置するインクリボンに確実に溶着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本開示の実施の形態における熱転写システムを示す図。
図2図2は、インクリボンを示す断面図。
図3図3は、熱転写システムの作用を示す概略図。
図4A図4Aは、加熱装置の第2加熱体を示す詳細図。
図4B図4Bは、被転写体と加熱装置の第2加熱体との位置関係を示す図。
図4C図4Cは、加熱装置の第2加熱体の突出部と引込部を示す図。
図4D図4Dは、加熱装置の第2加熱体を示す側面図。
図5A図5Aは、インクリボン上の加熱装置の第2加熱体の作用を示す図。
図5B図5Bは、インクリボン上の加熱装置の第2加熱体の作用を示す図。
図5C図5Cは、インクリボン上の加熱装置の第2加熱体の作用を示す図。
図6A図6Aは、比較例としての加熱装置の第2加熱体を示す図。
図6B図6Bは、比較例としての加熱装置の第2加熱体内の温度分布を示す図。
図7図7は、本実施の形態の加熱装置の第2加熱体の温度分布を示す図。
図8図8は、熱転写システムより得られたICカードを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<本開示の実施の形態>
以下、図1乃至図8を参照して、本開示の実施の形態について説明する。はじめに図1および図2を参照して、熱転写システム10の全体構造について説明する。
【0021】
<熱転写システム>
図1および図2に示すように、熱転写システム10は、少なくとも支持層11とインク12aを含むインク層12とを有するインクリボン13を用いてICカード等の被転写体14にインク層12のインクを転写するものである。
【0022】
例えば被転写体14が図8に示すように、ICチップ14Aを含む運転免許証のようなICカードの場合、本実施の形態による熱転写システム10によりICカード14の表面14aには、氏名を示す氏名情報2、顔画像3、ID情報4および住所、発行日、運転条件等のその他の情報5が印字される。
【0023】
なお、被転写体14に印字された顔画像3は顔画像3を特徴付ける瞳3aが含まれている。
【0024】
このような熱転写システム10は、矢印R1で示す方向にインクリボン13を送り出す送出部16と、送出部16の下流側に配置された転写装置17と、転写装置17の下流側に配置され、矢印R2で示す方向に転写済のインクリボン13を巻き取る巻取部21と、巻取部21の近傍に設けられ、転写済のインクリボン13を支持層11側から加熱する加熱装置22と、を備えている。図1に示すように、インクリボン13は、複数のガイドローラ15に沿って搬送される。また被転写体14は搬送ローラ15Aによって、転写装置17まで送られる。
【0025】
図1および図2に示すように、転写装置17は、被転写体14を支持するプラテンロール19と、インクリボン13および被転写体14を挟んでプラテンロール19と対向するよう設けられた第1加熱体18、例えばサーマルヘッドと、を有している。図1に示すように、第1加熱体18は、インクリボン13の支持層11側に設けられている。この第1加熱体18により、インクリボン13のインク層12が加熱され、これによって、インクリボン13のインク12aが被転写体14に対して転写される。ここでサーマルヘッドとは、一般的な複数の発熱素子を有する端面ヘッド、平面ヘッドのような加熱手段をいう。また転写装置17と巻取部21との間に、インクリボン13に対して傷を付ける傷付け手段25が設けられている。
【0026】
次にインクリボン13の構成について説明する。インクリボン13は図2に示すように、支持層(基材)11と、インク12aを含むインク層12とを有する。
【0027】
本開示において支持層(基材)11は、熱転写時に熱が加えられるため、加熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有する材料であることが好ましい。このような支持層の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、1,4-ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。また、支持層の厚さは、2μm以上、20μm以下であることが好ましく、4μm以上、10μm以下であることがより好ましい。
【0028】
インク層12としては、熱溶融性のインク層または熱昇華性のインク層を用いることができるが、高濃度で鮮鋭性に優れ、文字、線画などの2値画像の記録に適していることから、熱溶融性のインク層を用いることが好ましい。以降は、熱溶融性のインク層を用いる場合について説明する。
【0029】
インク層は各種着色剤、ワックス類および樹脂類などから形成することが好ましい。着色剤としては、カーボンブラック、オイルブラックなどの黒色顔料または染料、シアン、マゼンタ、イエロー顔料または染料が挙げられ、これらの着色剤からインクリボンの応用分野または使用目的などに応じて、適宜選択することができる。ワックス類としては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エステルワックス、酸化ワックス、およびフィッシャートロプシュワックス(サゾールワックス)が挙げられる。樹脂類としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ロジン誘導体、テルペン誘導体およびスチレン系樹脂などを挙げることができる。インク層の塗布量は一般に0.5g/m2以上10g/m2以下であり、好ましくは2g/m2以上6g/m2以下である。尚、インク層としては以上の様なものに限定されることは無い。
【0030】
上述のように、第1加熱体18は、インクリボン13の支持層11側に設けられている。この第1加熱体18により、インクリボン13が顔画像、ID情報などの情報に対応する所定のパターンで加熱され、これによって、インクリボン13のインク層12のインク12aが被転写体14に対して所定のパターンで転写される。
【0031】
ここで図2は、インク転写済のインクリボン13の断面を示している。図2に示すように、インク転写済のインクリボン13において、インク層12は、被転写体14に転写されずに残留しているインク12aと、被転写体14に印刷された所定のパターン、例えばID情報に対応するインク抜け部分12bとからなる。この場合、図2に示すように、インク転写済のインクリボン13におけるインク抜け部分12bのパターンは、上述の第1加熱体18における所定のパターンに対応している。このため、インク抜け部分12bのパターンに基づいて、被転写体14に印刷された所定のパターン、例えばID情報を特定することが可能となっている。
【0032】
次に、熱転写システム10の巻取装置20について詳細に説明する。巻取装置20は、転写済のインクリボン13を巻き取るロール状の巻取部21と、巻取部21の上方近傍に設けられ、転写済のインクリボン13を支持層11側から加熱する加熱装置22と、を有
している。このうち加熱装置22は、ブロック状の発熱体からなる第2加熱体30を含んでいる。加熱装置22は上下に駆動し必要に応じて加熱する機構であればよい。たとえば、巻取り時は上方にあるが、加熱時は巻取部21のインクリボン13に密着させ効率的に加熱し、加熱不要の時は上方で待機できる機構でもよい。
【0033】
本実施の形態の巻取部21においては、インクリボン13の支持層11がインク層12よりも外側に位置するようインクリボン13が巻き取られる。本実施の形態において、巻取部21に巻き取られているインクリボン13のうち最外周に位置するインクリボン13が外側インクリボンと称され、外側インクリボンよりも内側で巻取部21に巻き取られ、外側インクリボンに隣接しているインクリボン13が内側インクリボンと称される。
【0034】
次に第2加熱体30を含む加熱装置22について図4A乃至図4Dにより詳述する。第2加熱体30はブロック状の発熱体からなっており、加熱体本体31と、この加熱体本体31のインクリボン13側に設けられた金属板35とを有している。また加熱体本体31内には熱特性調整部が組込まれており、加熱体本体31のインクリボン13側には発熱体一体型の温度センサが取付けられている。
【0035】
また第2加熱体30の加熱体本体31は、インクリボン13の幅方向(図3の矢印W方向)全域に延びており、この加熱体本体31に対応して金属板35もインクリボン13の幅方向W全域に延びている。
【0036】
第2加熱体30の加熱体本体31は、最外周のインクリボン13を支持層11側から加熱して、この最外周のインクリボン13を内側に位置するインクリボン13に接着させるものである。
【0037】
また金属板35は加熱体本体31のインクリボン13側に設けられている。この金属板35は加熱体本体31が直接インクリボン13に当接する場合に比べて、インクリボン13との接触面積を減らし、このことにより後述のように被転写体14上に形成される恐れのあるスジ等の汚れを抑えるものである。
【0038】
金属板35はインクリボン13の幅方向Wに順次配置された厚肉の突出部36と、薄肉の引込部37とを有する。
【0039】
本実施の形態において、金属板35の突出部36は厚肉に形成されるとともにインクリボン13側へ突出してインクリボン13と接触する部分である。また引込部37は薄肉に形成されるとともに、インクリボン13から引っ込む部分であり、通常はインクリボン13とは接触しない。
【0040】
また金属板35のうち、突出部36はインクリボン13の幅方向Wに沿って、例えば3個所に互いに離間して設けられている。そして両側の突出部36の外側に引込部37が1個ずつ設けられ、3個の突出部36間には2個の引込部37が配置されている。
【0041】
3個の突出部36のうち、中央の突出部36は、被転写体14に印字された顔画像3の瞳3aに対応し、両側の突出部36は被転写体に印字された氏名情報2およびID情報4に対応している。
【0042】
そして中央の突出部36は顔画像3の瞳3aの部分で最外周のインクリボン13を加熱して内側に位置するインクリボン13に接着させ、両側の突出部36は氏名情報2およびID情報4の部分で最外周のインクリボン13を内側に位置するインクリボン13に接着させる。
【0043】
また、金属板35の引込部37は上述のように、インクリボン13に接触することはなく、第2加熱体30全体としてインクリボン13に対する接触面積を低減することができる。
【0044】
また金属板35の突出部36と引込部37は、互いに当接してインクリボン13の幅方向Wに沿って配置されているが、必ずしも互いに当接する必要はない。
【0045】
また突出部36はインクリボン13側の作用面36aと、この作用面36aに直交する保持面36bとを有し、断面L字形状を有する(図4D参照)。
【0046】
また引込部37もインクリボン13側の作用面37aと、この作用面37aに直交する保持面37bとを有し、略断面L字形状を有する(図4D参照)。
【0047】
本実施の形態において、加熱体本体31の側面に、上下方向に貫通する開口32aを有する保持体32が固定され、突出部36と引込部37は、各々の保持面36b,37bを開口32a内に圧入して挿着することにより加熱体本体31に保持されている。
【0048】
上述のように突出部36は厚肉に形成され、例えば1mm厚をもつ。また引込部37は薄肉に形成され、例えば0.5mm厚をもつ。
【0049】
そして、突出部36を保持体32に取り付ける場合、突出部36の保持面36bをそのまま保持体32の開口32a内に圧入して挿着する。
【0050】
他方、引込部37は、薄肉に形成されているため、引込部37の保持面37bは2つ折れ構造をもつ。このように引込部37の保持面37bは、2つ折れ構造をもつため突出部36の保持面36bと略同一の厚みをもつことになる。このため、引込部37を保持体32に取り付ける場合、引込部37の保持面37bを開口32a内に圧入して挿入することにより、突出部36と同様にして保持体32に取り付けることができる(図4C参照および図4D参照)。
【0051】
ここで図4Cは突出部36と引込部37を示す斜視図であり、図4Dは金属板35の突出部36部分を示す側面図である。
【0052】
金属板35の突出部36と引込部37は同一材料からなっていてもよいが、突出部36は厚肉となり、引込部37は薄肉となっているため、両者を異なる材料から形成して、突出部36と引込部37との間の放熱のバランスを図ってもよい。
【0053】
本実施の形態において、例えば厚肉の突出部36は、薄肉の引込部37に対して、比熱が小さく、かつ熱伝導率が大きな材料を選ぶことにより突出部36からの放熱を大きくとり、引込部37からの放熱を比較的小さく抑えて、突出部36と引込部37との間の放熱のバランスを図ることができる。そして、突出部36と引込部37との間の放熱のバランスを図り、結果として、加熱体本体31についてインクリボン13の幅方向Wに沿って均一な温度を保つことができる。
【0054】
本実施の形態において、例えば、引込部37として炭素鋼(比熱461J/kg°C、熱伝導率45W/mK)を用いた場合、炭素鋼に対して比熱が小さくかつ熱伝導率が高い銅(比熱418J/kg°C、熱伝導率372W/mK)を突出部36に用いて、突出部36と引込部37の放熱のバランスを図ってもよい。
【0055】
また本実施の形態において、金属板35として、3つの突出部36を設け、各々の突出部36を被転写体14のうち顔画像3の瞳3aに対応する位置、氏名情報2に対応する位置、およびID情報4に対応する位置に配置する。また、それ以外の位置に引込部37を配置し、これら突出部36と引込部37を保持体32に挿着するだけで、容易かつ簡単に加熱体本体31に突出部36と引込部37とを有する金属板35を加熱体本体31に取り付けることができる。
【0056】
このため、被転写体14に印字される情報に対応して、その都度、突起部と引込部をもつとともに一体に成形された新たな金属板を製造して加熱体本体31に取り付ける場合に比べて、本実施の形態によれば、容易かつ簡単に加熱体本体31に突出部36と引込部37とからなる金属板35を取り付けることができる。
【0057】
なお、上記実施の形態において、加熱体本体31に保持体32を介して、突出部36と引込部37を取り付けた例を示したが、これに限らず、加熱体本体31に直接突出部36と引込部37をビス止めにより取り付けてもよく、加熱体本体31に突出部36と引込部37を溶接により取り付けてもよい。
【0058】
次に熱転写システム10の他の構成要素について述べる。図1に示す、傷付け手段25は例えば一対のギア歯車25a,25aからなり、この一対のギア歯車25a,25aによってインクリボン13に対して傷を付けることができる。一対のギア歯車25a,25aはインクリボン13の幅方向全域に渡って延びているが、ギア歯車25a,25aはインクリボン13の幅の一部のみに延びていてもよい。
【0059】
さらにまた傷付け手段25としては、一対のギア歯車25a,25aに限る必要はなく、例えばインクリボン13の一部を傷付けるローラカッタを用いてもよい。
【0060】
なお、上記熱転写システム10の各構成部分、例えば送出部16、巻取部21等は、熱転写システム10に組込まれた制御部50により駆動制御される。
【0061】
<本実施の形態の作用>
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について図1乃至図5Cを用いて説明する。ここでは、図3に示すように、熱転写システム10の転写装置17により被転写体14に氏名情報2、瞳3aを含む顔画像3およびID情報4が印字され、その後、インク転写済の外側インクリボン13が、加熱装置22の第2加熱体30により内側インクリボン13の支持層11に対して加熱押圧されて、外側インクリボン13が内側インクリボン13に接着される作用について説明する。本実施の形態において、第2加熱体30により外側インクリボン13の支持層11が加熱されて、外側インクリボン13の支持層11と内側のインクリボン13の支持層11とが直接、あるいはインク12aを介して接着される。
【0062】
まずIDカード等の被転写体14を準備する。次に、制御部50は搬送ローラ15Aを駆動させて、被転写体14を転写装置17に向けて搬送する。一方、制御部50は巻取部21を駆動させてインクリボン13を、送出部16から転写装置17に向けて送り出す。このとき、インクリボン13に対して送出部16に内蔵されたブレーキ機構により張力が加わる。
【0063】
被転写体14が転写装置17の第1加熱体18とプラテンロール19との間に到達すると、図3に示すように、制御部50により転写装置17が駆動され、第1加熱体18がインクリボン13を、氏名情報2、顔画像3およびID情報4に対応する所定のパターンで加熱しながら被転写体14に対して押し付ける。これによって、インクリボン13のインク層12のインク12aが所定のパターンで被転写体14上に転写される。このことにより、被転写体14上に氏名情報2、顔画像3およびID情報4が印刷されるとともに、インクリボン13のインク層12に、ID情報に対応したインク抜け部分12bが形成される。なお、被転写体14には、後工程で印字されるその他の情報5が印字される領域5Aが形成されている。
【0064】
転写装置17を経た後のインク転写済のインクリボン13は、一対のギア歯車25a,25aを含む傷付け手段25によりその幅方向全域が傷付けられる。その後、インクリボン13は巻取装置20の巻取部21により巻き取られる。そして、巻取部21によってインク転写済のインクリボン13が巻き取られている状態において、制御部50により加熱装置22が駆動され、加熱装置22の第2加熱体30により、外側インクリボン13の支持層11が溶融し、この外側インクリボン13の支持層11が内側インクリボン13の支持層11に直接またはインク12aを介して接着される。
【0065】
なお、図3においては、便宜上一対のギア歯車25a,25aを含む傷付け手段25は示されていない。
【0066】
次に加熱装置22の第2加熱体30により外側インクリボン13の支持層11が内側インクリボン13の支持層11に接着される作用について以下述べる。
【0067】
上述のように転写装置17を経た後のインク転写済のインクリボン13は、剥離ローラ40を経て傷付け手段25を通った後、搬送方法(図3の矢印L方向)に沿って巻取部21側へ送られる。
【0068】
この際、インクリボン13にはインク転写済領域41,41を含む使用済部分41Aが形成されるが、このインク転写済の使用済部分41Aが次の転写工程の使用済部分41Aと重ならないよう、通常はインクリボン13は空送りされる。このため使用済のインクリボン13には使用済部分41Aと、未使用部分42とがはしご状に形成される。
【0069】
ところで使用済のインクリボン13の使用済部分41Aには、転写時の熱によるダメージが加わり、支持層11の背面に設けられた潤滑効果が低下している。また転写後のインクリボン13には、剥離ローラ40により被転写体14から剥離される時に加わる応力により伸びが生じる。このため、インクリボン13の使用済部分41Aにたるみが形成される。
【0070】
次に図5A乃至図5Cにより、インクリボン13の使用済部分41Aが第2加熱体30を通過する際の挙動について述べる。たるみが形成された使用済部分41Aを有するインクリボン13が第2加熱体30に達すると、インクリボン13のうち使用済部分41Aが第2加熱体30を通過する(図5A参照)。
【0071】
このようにインクリボン13の使用済部分41Aが第2加熱体30を通過する間、使用済部分41Aがもつたるみが使用済部分41Aの下流側に移動してインクリボン13に突起(こぶともいう)43を形成する(図5B参照)。
【0072】
その後、インクリボン13の突起43が第2加熱体30を通過するとき、搬送中のインクリボン13に負荷変動が生じ、第2加熱体30から被転写体14までのインクリボン13に張力低下が生じる(図5C参照)。
【0073】
インクリボン13に張力低下が生じると、インクリボン13の搬送速度が変動して、被転写体14の印字情報上にスジ状の濃淡が生じてしまう。
【0074】
本実施の形態によれば、第2加熱体30は加熱体本体31と、金属板35とを有し、このうち金属板35は、被転写体14上に印字された顔画像3の瞳3a、氏名情報2およびID情報4に対応する位置に配置された3つの突出部36を有する。このためインクリボン13に接触する部材を、この3つの突出部36に限定することができ、インクリボン13に接触する接触面積を最小限に抑えて、インクリボン13に加わる張力変動を少なくすることができる。このため、インクリボン13に加わる張力変動を小さくして、被転写体14の印字情報上にスジ状の濃淡が付くことを防止または減少させることができる。
【0075】
また金属板35の3つの突出部36により、被転写体14に印字された情報のうち、重要と考えられる氏名情報2の部分、顔画像3の瞳3aの部分、およびID情報4の部分で外側インクリボン13を加熱して、外側インクリボン13と内側インクリボン13を確実に接着させることができる。このことにより外側インクリボン13を内側インクリボン13に一体化させることができる。その後使用済のインクリボン13を巻き戻す際、外側インクリボン13と内側インクリボン13とが接着されているため、外側インクリボン13と内側インクリボン13の一部が局所的に破損する。このことによって、使用済のインクリボン13から印字済の情報を入手することが困難となる。
【0076】
とりわけ氏名情報2の部分、顔画像3の瞳3aの部分およびID情報4の部分に対応する部分において、外側インクリボン13が内側インクリボン13に接着されるので、氏名情報2、顔画像3およびID情報をインクリボン13から読み取ることはできず、これらの情報を復元することもできない。
【0077】
次に本実施の形態における加熱体本体31の温度制御について、比較例と対比しながら述べる。
【0078】
図6Aおよび図6Bに示す比較例に示すように、第2加熱体30が加熱体本体31と、加熱体本体31に設けられ、互いに分離された3枚の金属板45とを有する場合、3枚の金属板45により顔画像3の瞳3aの部分、氏名情報2およびID情報4に対応する外側インクリボン13を加熱して内側インクリボン13に接着させることができる。
【0079】
しかしながら、比較例において、加熱体本体31のうち金属板45に接する部分は、金属板45から効果的に放熱することができるものの、加熱体本体31のうち金属板45間の部分は空気に接するため放熱が不十分となる。
【0080】
加熱体本体31には、温度センサが設けられ、一般にこの温度センサは加熱体本体31内の平均的な温度を検出する。
【0081】
比較例において、温度センサにより検出される温度は、加熱体本体31の平均的な温度であるA度となる。また、加熱体本体31のうち金属板45に接する部分の温度は、金属板45からの放熱によりA度よりB度だけ低いA度-B度となる。また加熱体本体31のうち、金属板45間の部分の温度は、空気に接する部分であり、放熱は期待できないので、A度よりC度だけ高い(A+C)度となる。
【0082】
比較例において、金属板45は外側インクリボン13に当接して加熱する部材であるから、加熱体本体31のうち金属板45に対応する部分は、(A-B)度より高い温度、例えばA度に設定する必要がある。このように加熱体本体31のうち金属板45に対応する部分をA度に設定すると、加熱体本体31のうち金属板45間の温度も上昇し、金属板45間の温度が、加熱体本体31の上限値D度を超えることも考えられる。この場合は、金属板45間の温度が上昇して、加熱体本体31が上限値Dを超えると、加熱体本体の破損を招くことがある。
【0083】
これに対して本実施の形態によれば、第2加熱体30は加熱体本体31と、加熱体本体31に設けられた金属板35とを有し、このうち金属板35はインクリボン13の幅方向Wに沿って順次配置された厚肉の3つの突出部36と、引込部37とを有する。
【0084】
そしてこれら突出部36と引込部37は互いに当接して配置されるとともに、加熱体本体31に固着された金属製の保持体32を介して加熱体本体31に取り付けられている。このため、突出部36と引込部37とからなる金属板35により加熱体本体31の温度をインクリボン13の幅方向Wに沿って概ね均一に、より正確には温度差分布を最小限度に抑えることができ、加熱体本体31の温度制御を容易かつ確実に行うことができる。
【0085】
具体的には、図7に示すように、第2加熱体30は加熱体本体31と、加熱体本体31に設けられた金属板35とを有し、このうち金属板35はインクリボン13の幅方向Wに沿って順次配置された厚肉の3つの突出部36と、引込部37とを有する。そして、3つの突出部36により顔画像3の瞳3aの部分、氏名情報2およびID情報4に対応する外側インクリボン13を加熱して内側インクリボン13に接着させることができる。
【0086】
この場合、第2加熱体30の加熱体本体31は、突出部36と引込部37とからなる金属板35により覆われるため、加熱体本体31には、比較例のように空気により放熱される部分はなくなることになる。このため、加熱体本体31の放熱を金属板35により効果的に行うことができる。
【0087】
加熱体本体31には、温度センサが設けられ、一般にこの温度センサは加熱体本体31内の平均的な温度を検出する。
【0088】
本実施の形態において、温度センサにより検出される温度は、加熱体本体31の平均的な温度であるA1度となる。また、本実施の形態において、加熱体本体31を金属板35により確実に放熱することができるため、平均的な温度A1度は比較例における平均的な温度A度より低くなる。また、加熱体本体31のうち突出部36に接する部分の温度は、厚肉の突出部36からの放熱によりA1度よりわずかにB1度だけ低いA1度-B1度となる。また加熱体本体31のうち、引込部37に接する部分の温度は、薄肉の引込部37からの放熱によりA1度よりわずかにC1度だけ高いA1度+C1度となる。
【0089】
このように本実施の形態によれば、比較例に比べて、平均的な温度A1度を比較例における平均的な温度A度より低くすることができる。また、加熱体本体31のうち突出部36に接する部分の温度を、厚肉の突出部36からの放熱によりA1度よりわずかにB1度だけ低いA1度-B1度とすることができ、かつ加熱体本体31のうち、引込部37に接する部分の温度を、A1度よりわずかにC1度だけ高いA1度+C1度とすることができる。この場合、本実施の形態におけるB1度は比較例のB度より小さくなっており、本実施の形態におけるC1度は比較例のC度より小さい。このため、加熱体本体31の温度差分布をインクリボン13の幅方向に沿ってより小さく抑えることができる。
【0090】
以上のように本実施の形態によれば、第2加熱体30は加熱体本体31と金属板35とを有し、金属板35のうち中央の突出部36は顔画像3の瞳3aの部分で最外周のインクリボン13を加熱して内側に位置するインクリボン13に接着させ、両側の突出部36は氏名情報2およびID情報4の部分で最外周のインクリボン13を加熱して内側に位置するインクリボン13に接着させる。
【0091】
また、金属板35の引込部37は上述のように、インクリボン13に接触することはなく、第2加熱体30全体としてインクリボン13に対する接触面積を低減することができる。そして、インクリボン13に接触する接触面積を最小限に抑えることにより、インクリボン13に加わる張力変動を少なくすることができる。このため、インクリボン13に加わる張力変動を小さくして、被転写体14の印字情報にスジ等の汚れが付くことを防止できる。
【0092】
この場合、金属板35とインクリボン13との間に熱伝導グリスを配置することにより、第2加熱体30とインクリボン13との間の熱伝達効率を高めて、第2加熱体30によりインクリボン13を効果的に加熱することができる。同時に金属板35とインクリボン13との間に設けられた熱伝導グリスにより、金属板35とインクリボン13との間の摩擦抵抗を低減させることができる。
【0093】
このようにして第2加熱体30により外側インクリボン13を加熱して、内側に位置する内側インクリボン13に接着させることにより、外側インクリボン13と内側インクリボン13を一体化させることができる。その後使用済のインクリボン13を巻き戻す際、外側インクリボン13と内側インクリボン13とが接着されているため、外側インクリボン13と内側インクリボン13の一部が局所的に破損する。このことにより使用済のインクリボン13から印字済の情報を入手することは困難となる。
【0094】
また本実施の形態によれば、加熱体本体31の側面に、上下方向に貫通する開口32aを有する保持体32が固定され、突出部36と引込部37は、各々の保持面36b,37bを開口32a内に圧入して挿着することにより容易に加熱体本体31に取り付けることができる。
【0095】
さらにまた本実施の形態によれば、例えば厚肉の突出部36として、薄肉の引込部37に対して、比熱が小さく、かつ熱伝導率が大きな材料を選ぶことにより突出部36からの放熱を大きくとり、引込部37からの放熱を比較的小さく抑えて、突出部36と引込部37との間の放熱のバランスを図ることができる。このことにより、突出部36と引込部37との間の放熱のバランスを図り、結果として、加熱体本体31についてインクリボン13の幅方向Wに沿って概ね均一に、より正確には温度差分布を最小限度に抑えることができ、加熱体本体31の温度制御を容易かつ確実に行うことができる。
【0096】
さらにまた本実施の形態によれば、金属板35として、3つの突出部36を設け、各々の突出部36を被転写体14のうち顔画像3の瞳3aに対応する位置、氏名情報2に対応する位置、およびID情報4に対応する位置に配置する。また、それ以外の位置に引込部37を配置し、これら突出部36と引込部37を保持体32に挿着するだけで、容易かつ簡単に加熱体本体31に突出部36と引込部37とを有する金属板35を取り付けることができる。
【0097】
このため、被転写体14に印字される情報に対応して、その都度、突起部と引込部をもつとともに一体に成形された新たな金属板を製造して加熱体本体31に取り付ける場合に比べて、本実施の形態によれば、容易かつ簡単に加熱体本体31に突出部36と引込部37とからなる金属板35を取り付けることができる。
【符号の説明】
【0098】
2 氏名情報
3 顔画像
3a 瞳
4 ID情報
10 熱転写システム
13 インクリボン
14 被転写体
15 ガイドローラ
15A 搬送ローラ
16 送出部
17 転写装置
18 第1加熱体
19 プラテンロール
20 巻取装置
21 巻取部
22 加熱装置
25 傷付け手段
30 第2加熱体
31 加熱体本体
32 保持体
32a 開口
35 金属板
36 突出部
36a 作用面
36b 保持面
37 引込部
37a 作用面
37b 保持面
40 剥離ローラ
41 インク転写済領域
41A 使用済部分
42 未使用部分
43 突起
50 制御部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8