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特許7545688イベント検出装置、イベント検出方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】イベント検出装置、イベント検出方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G10L 15/22 20060101AFI20240829BHJP
   G10L 15/10 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
G10L15/22 453
G10L15/10 500Z
G10L15/10 200W
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020169324
(22)【出願日】2020-10-06
(65)【公開番号】P2022061361
(43)【公開日】2022-04-18
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】598121341
【氏名又は名称】慶應義塾
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】若元 友輔
(72)【発明者】
【氏名】小幡 光一
(72)【発明者】
【氏名】岸 啓補
(72)【発明者】
【氏名】南澤 孝太
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 美奈
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-089628(JP,A)
【文献】特開2005-221554(JP,A)
【文献】特開2008-136530(JP,A)
【文献】特開2007-108541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L 15/00-15/34
A63J 1/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された音声データを文字列に変換する音声変換部と、
前記音声変換部により変換された文字列と、シーンキーワードとシーンとが対応付けられたシーン特定情報とに基づいて、シナリオにおけるシーンを特定するシーン特定部と、
前記シーン特定部により特定されたシーンと、前記音声変換部により変換された文字列と、シーンとイベントキーワードとが対応付けられたイベント特定情報とに基づいて、実行するイベントを特定するイベント特定部と、
を備え、
前記イベント特定部によって特定されたイベントを示すイベント情報を出力するイベント情報出力部を更に備え、
前記イベント情報出力部は、前記シーン特定部により特定されたシーンに対応する文字列が前記音声変換部により変換されたタイミングから所定時間が経過した後に、前記イベント情報を出力する、
イベント検出装置。
【請求項2】
前記シーン特定部は、前記音声変換部により変換された文字列と、前記シーン特定情報に記載されたシーンキーワードの文字列とが合致する場合、当該シーンキーワードに対応づけられたシーンを、シナリオにおけるシーンに特定する、
請求項1に記載のイベント検出装置。
【請求項3】
前記イベント特定部は、前記シーン特定部により特定されたシーン及び前記音声変換部により変換された文字列と、前記イベント特定情報に記載されたシーン及びイベントキーワードの文字列とが合致する場合、当該シーン及びイベントキーワードに対応づけられたイベントを特定する、
請求項1又は請求項2に記載のイベント検出装置。
【請求項4】
前記イベント情報を出力するタイミングを指示する指示情報を取得する指示情報取得部を更に備え、
前記イベント情報出力部は、前記シーン特定部によりシーンが特定され、且つ前記指示情報取得部により前記指示情報が取得された場合に、前記イベント情報を出力する、
請求項に記載のイベント検出装置。
【請求項5】
音声変換部が、入力された音声データを文字列に変換し、
シーン特定部が、前記音声変換部により変換された文字列と、シーンキーワードとシーンとが対応付けられたシーン特定情報とに基づいて、シナリオにおけるシーンを特定し、
イベント特定部が、前記シーン特定部により特定されたシーンと、前記音声変換部により変換された文字列と、シーンとイベントキーワードとが対応付けられたイベント特定情報とに基づいて、実行するイベントを特定し、
イベント情報出力部が、前記イベント特定部によって特定されたイベントを示すイベント情報を出力し、
前記イベント情報出力部が、前記シーン特定部により特定されたシーンに対応する文字列が前記音声変換部により変換されたタイミングから所定時間が経過した後に、前記イベント情報を出力する、
イベント検出方法。
【請求項6】
コンピュータを、
入力された音声データを文字列に変換する音声変換手段、
前記音声変換手段により変換された文字列と、シーンキーワードとシーンとが対応付けられたシーン特定情報とに基づいて、シナリオにおけるシーンを特定するシーン特定手段、
前記シーン特定手段により特定されたシーンと、前記音声変換手段により変換された文字列と、シーンとイベントキーワードとが対応付けられたイベント特定情報とに基づいて、実行するイベントを特定するイベント特定手段、
前記イベント特定手段によって特定されたイベントを示すイベント情報を出力し、前記シーン特定手段により特定されたシーンに対応する文字列が前記音声変換手段により変換されたタイミングから所定時間が経過した後に、前記イベント情報を出力する、イベント情報出力手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イベント検出装置、イベント検出方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば本の朗読や読み聞かせ、歌唱、演劇などの演出を行う際に、話者や演者の特定の台詞をトリガーとしてイベントを検出し、自動再生する技術がある。特許文献1では演者が芝居中に発した台詞を音声認識で解析し、登録されている台詞と一致した場合、登録されている台詞と対応付けられたコマンドを実行して演出制御装置をコントロールする技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-221554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、台詞と演出が1対1対応となっているため、同じ台詞が繰り返される場合に、意図しない演出が自動再生されてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、同一のワードが繰り返される場合であっても、意図した演出を行うことができるイベント検出装置、イベント検出方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るイベント検出装置は、入力された音声データを文字列に変換する音声変換部と、前記音声変換部により変換された文字列と、シーンキーワードとシーンとが対応付けられたシーン特定情報とに基づいて、シナリオにおけるシーンを特定するシーン特定部と、前記シーン特定部により特定されたシーンと、前記音声変換部により変換された文字列と、シーンとイベントキーワードとが対応付けられたイベント特定情報とに基づいて、実行するイベントを特定するイベント特定部とを備え、前記イベント特定部によって特定されたイベントを示すイベント情報を出力するイベント情報出力部を更に備え、前記イベント情報出力部は、前記シーン特定部により特定されたシーンに対応する文字列が前記音声変換部により変換されたタイミングから所定時間が経過した後に、前記イベント情報を出力する
【0007】
本発明の一態様に係るイベント検出方法は、音声変換部が、入力された音声データを文字列に変換し、シーン特定部が、前記音声変換部により変換された文字列と、シーンキーワードとシーンとが対応付けられたシーン特定情報とに基づいて、シナリオにおけるシーンを特定し、イベント特定部が、前記シーン特定部により特定されたシーンと、前記音声変換部により変換された文字列と、シーンとイベントキーワードとが対応付けられたイベント特定情報とに基づいて、実行するイベントを特定し、イベント情報出力部が、前記イベント特定部によって特定されたイベントを示すイベント情報を出力し、前記イベント情報出力部が、前記シーン特定部により特定されたシーンに対応する文字列が前記音声変換部により変換されたタイミングから所定時間が経過した後に、前記イベント情報を出力する、イベント検出方法である。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータを、入力された音声データを文字列に変換する音声変換手段、前記音声変換手段により変換された文字列と、シーンキーワードとシーンとが対応付けられたシーン特定情報とに基づいて、シナリオにおけるシーンを特定するシーン特定手段、前記シーン特定手段により特定されたシーンと、前記音声変換手段により変換された文字列と、シーンとイベントキーワードとが対応付けられたイベント特定情報とに基づいて、実行するイベントを特定するイベント特定手段、前記イベント特定手段によって特定されたイベントを示すイベント情報を出力し、前記シーン特定手段により特定されたシーンに対応する文字列が前記音声変換手段により変換されたタイミングから所定時間が経過した後に、前記イベント情報を出力する、イベント情報出力手段、として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、同一のワードが繰り返される場合であっても、意図した演出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明が適用されるイベント管理システムの概略を示すブロック図である。
図2】本発明が適用されるイベント管理システムにおける処理装置の機能に基づくブロック図である。
図3】シーン特定情報記憶部に記憶されるシーン特定情報の説明図である。
図4】イベント特定情報記憶部に記憶されるイベント特定情報の説明図である。
図5】本発明が適用されるイベント管理システムにおける処理装置での処理を示すフローチャートである。
図6A】本発明が適用されるイベント管理システムでのイベント処理の説明図である。
図6B】本発明が適用されるイベント管理システムでのイベント処理の説明図である。
図6C】本発明が適用されるイベント管理システムでのイベント処理の説明図である。
図6D】本発明が適用されるイベント管理システムでのイベント処理の説明図である。
図6E】本発明が適用されるイベント管理システムでのイベント処理の説明図である。
図6F】本発明が適用されるイベント管理システムでのイベント処理の説明図である。
図7】朗読される本の内容の一例の説明図である。
図8】シナリオに関連してシーン特定情報記憶部に記憶されるシーン特定情報の説明図である。
図9】シナリオに関連してイベント特定情報記憶部に記憶されるイベント特定情報の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。図1は本発明が適用されるイベント管理システム1の概略を示すブロック図である。図1に示すように、本発明が適用されるイベント管理システム1は、入力装置10と、出力装置20と、処理装置30とで構成される。処理装置30は、「イベント検出装置」の一例である。
【0012】
入力装置10は、マイクロホン11、タッチセンサ12等からなる。マイクロホン11としては、インカムのようなウェアラブルデバイスでも、AI(Artificial Intelligence)スピーカーのような置き型デバイスでも良い。タッチセンサ12としては、話者の衣服に取り付けるようなスイッチのようなデバイスでも良いし、絵本などの特定場所を指し示すペン型デバイスでも良い。マイクロホン11及びタッチセンサ12は処理装置30に接続される。マイクロホン11及びタッチセンサ12と処理装置30との接続は、LAN(Local Area Network)等の有線接続でも良いし、無線LANやBluetooth等の無線接続でも良い。
【0013】
出力装置20は、スピーカー21や照明等の舞台装置22からなる。スピーカー21や舞台装置22は、入力装置10と同様に、処理装置30と接続される。スピーカー21及び舞台装置22と処理装置30との接続は、LAN等の有線接続でも良いし、無線LANやBluetooth等の無線接続でも良い。
【0014】
処理装置30は、入力装置10から入力された情報を処理して、出力装置20にイベント情報を出力する。ここでのイベント情報は、出力装置20に実行させるイベントを示す情報である。処理装置30としては、PC(Personal Computer)等が用いられる。
【0015】
図2は、本発明が適用されるイベント管理システムにおける処理装置30の機能に基づくブロック図である。図2に示すように、処理装置30は、音声変換部31と、シーン特定情報記憶部32と、シーン特定部33と、シーン記憶部34と、イベント特定情報記憶部35と、イベント特定部36と、イベント記憶部37とからなる。
【0016】
音声変換部31は、マイクロホン11を通じて入力された音声データを音声認識で解析し、逐次文字列に変換する。
【0017】
シーン特定情報記憶部32には、シーン特定情報として、シナリオにおけるシーンを特定するための情報が記憶される。図3は、シーン特定情報記憶部32に記憶されるシーン特定情報の説明図である。図3に示すように、シーン特定情報記憶部32には、シーン特定情報として、シーンキーワードと、シナリオにおけるシーンとが対応付けられて記憶される。
【0018】
シーン特定部33は、シーン特定情報記憶部32に記憶されているシーン特定情報と、音声変換部31により変換された文字列とに基づいて、シナリオにおけるシーンを特定する。
【0019】
シーン記憶部34は、シーン特定部33で特定されたシーンを記憶する。シーン記憶部34に記憶されるシーンは、シーン特定部33でシーンが検出される毎に更新されていく。シーン記憶部34に記憶されているシーンが、シナリオにおける現在進行中のシーンとなる。
【0020】
イベント特定情報記憶部35には、イベントを特定するためのイベント特定情報が記憶される。図4は、イベント特定情報記憶部35に記憶されるイベント特定情報の説明図である。図4に示すように、イベント特定情報記憶部35には、イベント特定情報として、シーンとイベントキーワードとが対応付けられて記憶されている。また、イベント特定情報記憶部35には、シーン及びイベントキーワードに対応付けて、実行するイベントが記憶されている。
【0021】
イベント特定部36は、イベント特定情報記憶部35に記憶されているイベント特定情報と、シーン記憶部34に記憶されているシーンの情報と、音声変換部31により変換された文字列とに基づいてイベントを特定し、イベント記憶部37に出力する。
【0022】
イベント記憶部37は、イベント特定部36により特定されたイベントを記憶している。イベントは、上演される内容の効果を増幅させるような演出であり、効果音や振動、照明等により行われる。イベント記憶部37に記憶されているイベントは、効果音や振動などの演出を再現するためのデータファイルでも、舞台装置などを動作させるためのイベントトリガーでもよい。
【0023】
図5は、本発明が適用されるイベント管理システムにおける処理装置30での処理を示すフローチャートである。
【0024】
(ステップS1)処理装置30は、マイクロホン11から入力される音声データから文字列を抽出して、ステップS2に処理を進める。
【0025】
(ステップS2)処理装置30は、入力された音声データの文字列と、シーン特定情報記憶部32に記憶されている文字列とを照合し、入力された音声データの文字列がシーンキーワードと合致するか否かを判定する。処理装置30は、入力された音声の文字列がシーンキーワードと合致すれば(ステップS2:Yes)、処理をステップS3に進め、シーンキーワードと合致しなければ(ステップS2:No)、処理をステップS4に進める。
【0026】
(ステップS3)処理装置30は、ステップS2での判定結果に基づいて、シーン記憶部34のシーンを更新する。
【0027】
(ステップS4)処理装置30は、入力された音声データの文字列と、イベント特定情報記憶部35に記憶されている文字列とを照合し、入力された音声データの文字列がイベントキーワードと合致するか否かを判定する。処理装置30は、入力された音声データの文字列がイベントキーワードと合致すれば(ステップS4:Yes)、処理をステップS5に進め、イベントキーワードと合致しなければ(ステップS4:No)、処理をステップS1にリターンする。
【0028】
(ステップS5)処理装置30は、シーン記憶部34からシーンを読み出して、処理をステップS6に進める。
【0029】
(ステップS6)処理装置30は、シーン記憶部34から読み出されたシーン及び音声変換部31から入力された音声データの文字列と、イベント特定情報記憶部35に記憶されているシーン及びイベントキーワードとを照合し、シーン及びキーワードが合致していれば、イベント記憶部37からイベントを取得する。
【0030】
(ステップS7)処理装置30は、取得したイベントを示すイベント情報を出力装置20に出力する。例えば、処理装置30は、図示しないイベント情報出力部によりイベント情報を出力する。
【0031】
次に、本発明が適用されるイベント管理システム1でのイベント処理について説明する。ここでは、本の朗読会を開催した場合について、図6Aから図6F図7図8、及び図9を用いて説明する。
【0032】
図6Aから図6Fは、本発明が適用されるイベント管理システム1でのイベント処理の説明図である。図6Aから図6Fにおいて、話者50は、マイクロホン11に音声を入力して、本51の朗読を行っている。マイクロホン11に入力された音声は、スピーカー21から出力される。本51の朗読会を聞いている聴衆は、スピーカー21から出力される音を聴いて、朗読を鑑賞している。
【0033】
朗読会では、特別な事象を読み上げたときに、照明を変化させたり、効果音を発生させたり等のイベントを実行することで、演出効果が期待できる。ところが、この場合、キーワードとなる文字列とイベントとが1対1対応となっていると、同じワードが繰り返される場合や、同じワードが使いまわされた場合に、意図しないイベントが実行されてしまう。
【0034】
そこで、本実施形態では、シナリオにおけるシーンキーワードを導入し、シーンキーワードが検出されると、シーン記憶部34のシーンを更新している。また、イベント特定情報記憶部35には、シーンとイベントキーワードとを対応付けて記憶するようにしている。これにより、同一のキーワードが複数のシーンで繰り返して使われている場合にも、異なるイベントを実行できる。このことについて、以下に具体例をあげて説明する。
【0035】
図7は、本発明が適用されるイベント管理システム1において読まれる本51のシナリオの一例である。図7に示すように、この本51のシナリオでは、「少年時代」に大きな人生の転換を迎えた事象としてイタズラでの「失敗」があり、「失敗」というワードを発するタイミングで、そのことを演出するようなイベントを実行したいとする。また、「学生時代」に大きな人生の転換を迎えた事象として友人との「出会」があり、「出会」というワードを発するタイミングで、そのことを演出するようなイベントを実行したいとする。また、「社会人時代」に大きな人生の転換を迎えた事象としてパートナーとの出会いがあり、「出会」というワードを発するタイミングで、そのことを演出するようなイベントを実行したいとする。
【0036】
図8は、上述のようなシナリオに関連してシーン特定情報記憶部32に記憶されるシーン特定情報の説明図である。また、図9は、上述のようなシナリオに関連してイベント特定情報記憶部35に記憶されるイベント特定情報の説明図である。
【0037】
図7に示すような内容のシナリオの本51の場合、「小さい頃」、「学生」、「就職」が、それぞれ、「少年時代」、「学生時代」、「社会人時代」のシーンキーワードとなる。この場合、シーン特定情報記憶部32には、図8に示すように、「小さい頃」、「学生」、「就職」のシーンキーワードと、「少年時代」、「学生時代」、「社会人時代」のシーンとが対応付けて記憶される。
【0038】
また、「失敗」が「少年時代」のシーンでのイベントキーワードとなり、「出会」が「学生時代」と「社会人時代」のシーンでのイベントキーワードとなり、「出会」というイベントキーワードは、「学生時代」のシーンと「社会人時代」のシーンとで共通となる。この場合、イベント特定情報記憶部35には、図9に示すように、シーンと、イベントキーワードとが対応付けて記憶される。また、図9に示すように、シーンとイベントキーワードとの組み合わせに対応して、実行するイベントA、イベントB、イベントCが記憶される。「出会」というイベントキーワードは、「学生時代」のシーンと「社会人時代」のシーンとで共通であるが、シーンとイベントキーワードとを組み合わせることで識別できる。
【0039】
図7に示すようなシナリオの本51において、話者50がワード61の部分を読み上げると、入力されたワードの文字列から、シーンキーワード「小さい頃」が検出される。図8に示すように、シーンキーワード「小さい頃」は、「少年時代」のシーンに対応する。このため、図6Aに示すように、シーン記憶部34には、シーンとして「少年時代」が記憶される。
【0040】
話者50が本51のシナリオを読み進め、ワード62の部分を読み上げると、ワードの文字列から、イベントキーワードとして「失敗」が検出される。また、シーン記憶部34からそのときのシーン「少年時代」が読み出される。図9に示すように、シーンが「少年時代」で、イベントキーワードが「失敗」であるときに対応するイベントは、イベントAである。このため、図6Bに示すように、処理装置30からイベントAが読み出され、出力装置20でイベントAが実行される。
【0041】
次に、話者50がワード63の部分を読み上げると、入力されたワードの文字列から、シーンキーワード「学生」が検出される。図8に示すように、シーンキーワード「学生」は、「学生時代」のシーンに対応する。このため、図6Cに示すように、シーン記憶部34のシーンは、「学生時代」に更新される。
【0042】
話者50が本51のシナリオを読み進め、ワード64の部分を読み上げると、入力されたワードの文字列から、イベントキーワードとして「出会」が検出される。また、シーン記憶部34からそのときのシーン「学生時代」が読み出される。図9に示すように、シーンが「学生時代」で、イベントキーワードが「出会」であるときに対応するイベントは、イベントBである。このため、図6Dに示すように、処理装置30からイベントBが読み出され、出力装置20でイベントBが実行される。
【0043】
次に、話者50がワード65の部分を読み上げると、入力されたワードの文字列から、シーンキーワード「就職」が検出される。図8に示すように、シーンキーワード「就職」は、「社会人時代」のシーンに対応する。このため、図6Eに示すように、シーン記憶部34のシーンは、「社会人時代」に更新される。
【0044】
話者50が本51のシナリオを読み進め、ワード66の部分を読み上げると、入力されたワードの文字列から、イベントキーワードとして「出会」が検出される。また、シーン記憶部34からそのときのシーン「社会人時代」が読み出される。図9に示すように、シーンが「社会人時代」で、イベントキーワードが「出会」であるときに対応するイベントは、イベントCである。このため、図6Fに示すように、処理装置30からイベントCが読み出され、出力装置20でイベントCが実行される。
【0045】
このように、本実施形態では、同一のキーワードが複数のシーンで繰り返して使われている場合にも、異なるイベントを実行できる。すなわち、この例では、イベントキーワードである「出会」は、「学生時代」と「社会人時代」とで同様であるが、シーンが異なることから、「学生時代」のときのイベントと「社会人時代」のときのイベントとで、異なるイベントを実行できる。
【0046】
上述した実施形態において、ワードが発せられたタイミングと、そのワードに対応づけられたイベントが実行されるタイミングとにタイムラグ(遅延時間)が設定されていてもよい。この場合、イベント特定情報記憶部35は、「タイムラグ」の項目を備える。「タイムラグ」の項目には、イベントキーワードが発せられてから、イベントが実行されるまでの時間が示される。処理装置30は、シーン及びキーワードに合致するイベントを取得すると、イベント特定情報記憶部35における「タイムラグ」の項目に示された時間(所定時間)が経過した後に、取得したイベントを示すイベント情報を出力装置20に出力する。
【0047】
例えば、あるワード(実行ワードと称する)が発せられたタイミングで実行させたいイベントがあるとする。イベント特定情報記憶部35には、実行ワード前に発せられるワード(事前ワードと称する)に対応づけてイベントが設定される。また、タイムラグは、以下の(1)式のように設定される。(1)式において、TRGはタイムラグ、THKは事前ワードが発せられてから実行ワードが発せられるまでの時間(発話間時間)、TJは処理装置30から出力装置20にイベントが出力されてから実際のイベントが実行されるまでに要する時間(イベント準備時間)である。
【0048】
TRG=THK-TJ …(1)
【0049】
また、上述した実施形態において、イベントを実行させるタイミングを、話者50などの演出側のユーザ(以下、ユーザと称する)が微調整するようにしてもよい。この場合、ユーザは、タッチセンサ12を操作し、イベントを実行させるタイミングを指示する指示情報を処理装置30に送信する。処理装置30は、図示しない指示情報取得部を備える。指示情報取得部は、指示情報を取得する。イベント特定情報記憶部35は、「実行タイミング指示」の項目を備える。「実行タイミング指示」の項目には、イベントを実行するタイミングがユーザから指示されるか否かが示される。イベント特定情報記憶部35における「実行タイミング指示」の項目にユーザからの指示有りが示されている場合、処理装置30は、シーン及びキーワードに合致するイベントを取得すると、ユーザからの指示を示す信号が受信された後に、取得したイベントを示すイベント情報を出力装置20に出力する。これにより、イベントを実行させるタイミングを、ユーザが微調整することができ、例えば、観客の反応に応じてイベントを実行させるタイミングを調整することができ、より効果的な演出を行うことが可能となる。
【0050】
また、上述した実施形態におけるワードには、ワード(単語)の一部が含まれていてよい。この場合、処理装置30は、ワードの一部が発せられたタイミングで、対応するイベントを取得し、取得したイベントを示すイベント情報を出力装置20に出力する。
【0051】
上述した実施形態におけるイベント管理システム1の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0052】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0053】
10…入力装置、20…出力装置、30…処理装置、31…音声変換部、32…シーン特定情報記憶部、33…シーン特定部、34…シーン記憶部、35…イベント特定情報記憶部、36…イベント特定部、37…イベント記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8
図9