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特許7545695不動産購入診断装置、不動産購入診断システム、不動産購入診断方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】不動産購入診断装置、不動産購入診断システム、不動産購入診断方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/03 20230101AFI20240829BHJP
   G06Q 50/16 20240101ALI20240829BHJP
【FI】
G06Q40/03
G06Q50/16
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023166833
(22)【出願日】2023-09-28
【審査請求日】2024-02-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515042052
【氏名又は名称】株式会社MFS
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】弁理士法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山田 明
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-312459(JP,A)
【文献】特開2022-151846(JP,A)
【文献】特開2021-140212(JP,A)
【文献】再公表特許第2016/009682(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの端末装置と通信自在な不動産購入診断装置であって、
前記端末装置からのユーザ情報を受信する受信部と、
不動産物件を購入できる確率、及び融資承認の確率と紐づけてユーザに提示すべきコメント情報を記憶する記憶部と、
前記ユーザ情報及び過去の購入実績を含む学習データに基づいて、機械学習により購入困難性評価モデルを生成すると共に、個人信用情報、審査金融機関、借入希望額、審査結果を含む学習データに基づいて、機械学習により融資承認評価モデルを生成する機械学習部と、
前記ユーザ情報を入力として、前記購入困難性評価モデルにより、評価対象のユーザが選択した不動産物件を購入できる確率を評価し、前記購入できる確率に対応するコメント情報を前記記憶部より抽出する購入困難性評価部と、
前記ユーザ情報を入力として、前記融資承認評価モデルにより、前記評価対象のユーザが、不動産購入に際して、ローン商品に申請をした場合に、当該ローン商品に係る融資承認の確率、融資額を評価し、前記確率に対応するコメントを前記記憶部より抽出する融資承認評価部と、
前記評価の結果及び前記コメント情報に基づく表示データを生成する生成部と、
前記表示データを前記端末装置に送信する送信部と、を備えた
不動産購入診断装置。
【請求項2】
ユーザの端末装置と、不動産購入診断装置とからなる不動産購入診断システムであって、
前記端末装置は、
前記不動産購入診断装置にユーザ情報を送信する第1送信部と、
前記不動産購入診断装置からの表示データを受信する第1受信部と、
前記表示データに基づく表示を行う表示部と、
を備え、
前記不動産購入診断装置は、
前記端末装置からのユーザ情報を受信する第2受信部と、
不動産物件を購入できる確率、及び融資承認の確率と紐づけてユーザに提示すべきコメント情報を記憶する記憶部と、
前記ユーザ情報及び過去の購入実績を含む学習データに基づいて、機械学習により購入困難性評価モデルを生成すると共に、個人信用情報、審査金融機関、借入希望額、審査結果を含む学習データに基づいて、機械学習により融資承認評価モデルを生成する機械学習部と、
前記ユーザ情報を入力として、前記購入困難性評価モデルにより、評価対象のユーザが選択した不動産物件を購入できる確率を評価し、前記購入できる確率に対応するコメント情報を前記記憶部より抽出する購入困難性評価部と、
前記ユーザ情報を入力として、前記融資承認評価モデルにより、前記評価対象のユーザが、不動産購入に際して、ローン商品に申請をした場合に、当該ローン商品に係る融資承認の確率、融資額を評価し、前記確率に対応するコメントを前記記憶部より抽出する融資承認評価部と、
前記評価の結果及び前記コメント情報に基づく表示データを生成する生成部と、
前記表示データを前記端末装置に送信する第1送信部と、を備えた
不動産購入診断システム。
【請求項3】
ユーザの端末装置と通信自在な不動産購入診断装置による方法であって、
受信部が、前記端末装置からのユーザ情報を受信し、
記憶部が、不動産物件を購入できる確率、及び融資承認の確率と紐づけてユーザに提示すべきコメント情報を記憶し、
機械学習部が、前記ユーザ情報及び過去の購入実績を含む学習データに基づいて、機械学習により購入困難性評価モデルを生成すると共に、個人信用情報、審査金融機関、借入希望額、審査結果を含む学習データに基づいて、機械学習により融資承認評価モデルを生成し、
購入困難性評価部が、前記ユーザ情報を入力として、前記購入困難性評価モデルにより、評価対象のユーザが選択した不動産物件を購入できる確率を評価し、前記購入できる確率に対応するコメント情報を前記記憶部より抽出し、
融資承認評価部が、前記ユーザ情報を入力として、前記融資承認評価モデルにより、前記評価対象のユーザが、不動産購入に際して、ローン商品に申請をした場合に、当該ローン商品に係る融資承認の確率、融資額を評価し、前記確率に対応するコメントを前記記憶部より抽出し、
生成部が、前記評価の結果及び前記コメント情報に基づく表示データを生成し、
送信部が、前記表示データを前記端末装置に送信する
不動産購入診断方法。
【請求項4】
ユーザの端末装置と通信自在な不動産購入診断装置を、
前記端末装置からのユーザ情報を受信する受信部、
不動産物件を購入できる確率、及び融資承認の確率と紐づけてユーザに提示すべきコメント情報を記憶する記憶部と、
前記ユーザ情報及び過去の購入実績を含む学習データに基づいて、機械学習により購入困難性評価モデルを生成すると共に、個人信用情報、審査金融機関、借入希望額、審査結果を含む学習データに基づいて、機械学習により融資承認評価モデルを生成する機械学習部、
前記ユーザ情報を入力として、前記購入困難性評価モデルにより、評価対象のユーザが選択した不動産物件を購入できる確率を評価し、前記購入できる確率に対応するコメント情報を前記記憶部より抽出する購入困難性評価部、
前記ユーザ情報を入力として、前記融資承認評価モデルにより、前記評価対象のユーザが、不動産購入に際して、ローン商品に申請をした場合に、当該ローン商品に係る融資承認の確率、融資額を評価し、前記確率に対応するコメントを前記記憶部より抽出する融資承認評価部、
前記評価の結果及び前記コメント情報に基づく表示データを生成する生成部、及び
前記表示データを前記端末装置に送信する送信部、として機能させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産の購入困難性を評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不動産を購入する際には、住宅ローン等の申し込みを行うのが一般的であるが、住宅ローンの承認に併せて、ユーザの各種条件から、そもそも当該不動産を購入できるのかを長期的な視野で評価することが嘱望されている。
【0003】
ここで、特許文献1では、本システムは、データベースに、不動産物件情報と、評価額計算情報と、融資条件とが少なくとも格納されており、不動産物件取引処理サーバは、条件に適合する不動産物件の情報を検索するための不動産物件情報検索手段と、不動産物件の評価額を計算するための評価額計算手段と、融資申請者の融資希望条件が融資条件を満たすか否かを判定するための融資条件判定手段と、融資希望条件が融資条件のいずれかを満たす場合に融資審査証明情報を発行するための融資審査証明情報発行手段と、を含む技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-151579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、融資希望条件が融資条件を満たすかどうかの判定をしているにすぎず、ユーザの各種条件から、そもそも不動産を購入できるのかを長期的な視野で評価する点は何ら開示されていない。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ユーザの各種条件から、機械学習により生成された学習モデルを用いて、購入を検討している不動産を当該ユーザが購入できるのかを長期的な視野で評価することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る不動産購入診断装置は、ユーザの端末装置と通信自在な不動産購入診断装置であって、前記端末装置からのユーザ情報を受信する受信部と、不動産物件を購入できる確率、及び融資承認の確率と紐づけてユーザに提示すべきコメント情報を記憶する記憶部と、前記ユーザ情報及び過去の購入実績を含む学習データに基づいて、機械学習により購入困難性評価モデルを生成すると共に、個人信用情報、審査金融機関、借入希望額、審査結果を含む学習データに基づいて、機械学習により融資承認評価モデルを生成する機械学習部と、前記ユーザ情報を入力として、前記購入困難性評価モデルにより、評価対象のユーザが選択した不動産物件を購入できる確率を評価し、前記購入できる確率に対応するコメント情報を前記記憶部より抽出する購入困難性評価部と、前記ユーザ情報を入力として、前記融資承認評価モデルにより、前記評価対象のユーザが、不動産購入に際して、ローン商品に申請をした場合に、当該ローン商品に係る融資承認の確率、融資額を評価し、前記確率に対応するコメントを前記記憶部より抽出する融資承認評価部と、前記評価結果及び前記コメント情報に基づく表示データを生成する生成部と、前記表示データを前記端末装置に送信する送信部と、を備えた。
【0008】
本発明の他の態様に係る不動産購入診断システムは、ユーザの端末装置と、不動産購入診断装置とからなる不動産購入診断システムであって、前記端末装置は、前記不動産購入診断装置にユーザ情報を送信する第1送信部と、前記不動産購入診断装置からの表示データを受信する第1受信部と、前記表示データに基づく表示を行う表示部と、を備え、前記不動産購入診断装置は、前記端末装置からのユーザ情報を受信する第2受信部と、不動産物件を購入できる確率、及び融資承認の確率と紐づけてユーザに提示すべきコメント情報を記憶する記憶部と、前記ユーザ情報及び過去の購入実績を含む学習データに基づいて、機械学習により購入困難性評価モデルを生成すると共に、個人信用情報、審査金融機関、借入希望額、審査結果を含む学習データに基づいて、機械学習により融資承認評価モデルを生成する機械学習部と、前記ユーザ情報を入力として、前記購入困難性評価モデルにより、評価対象のユーザが選択した不動産物件を購入できる確率を評価し、前記購入できる確率に対応するコメント情報を前記記憶部より抽出する購入困難性評価部と、前記ユーザ情報を入力として、前記融資承認評価モデルにより、前記評価対象のユーザが、不動産購入に際して、ローン商品に申請をした場合に、当該ローン商品に係る融資承認の確率、融資額を評価し、前記確率に対応するコメントを前記記憶部より抽出する融資承認評価部と、前記評価結果及び前記コメント情報に基づく表示データを生成する生成部と、前記表示データを前記端末装置に送信する第1送信部と、を備えた。
【0009】
本発明の他の態様に係る不動産購入診断方法は、ユーザの端末装置と通信自在な不動産購入診断装置による方法であって、受信部が、前記端末装置からのユーザ情報を受信し、記憶部が、不動産物件を購入できる確率、及び融資承認の確率と紐づけてユーザに提示すべきコメント情報を記憶し、機械学習部が、前記ユーザ情報及び過去の購入実績を含む学習データに基づいて、機械学習により購入困難性評価モデルを生成すると共に、個人信用情報、審査金融機関、借入希望額、審査結果を含む学習データに基づいて、機械学習により融資承認評価モデルを生成し、購入困難性評価部が、前記ユーザ情報を入力として、前記購入困難性評価モデルにより、評価対象のユーザが選択した不動産物件を購入できる確率を評価し、前記購入できる確率に対応するコメント情報を前記記憶部より抽出し、融資承認評価部が、前記ユーザ情報を入力として、前記融資承認評価モデルにより、前記評価対象のユーザが、不動産購入に際して、ローン商品に申請をした場合に、当該ローン商品に係る融資承認の確率、融資額を評価し、前記確率に対応するコメントを前記記憶部より抽出し、生成部が、前記評価の結果及び前記コメント情報に基づく表示データを生成し、送信部が、前記表示データを前記端末装置に送信する。
【0010】
本発明の他の態様に係るプログラムは、ユーザの端末装置と通信自在な不動産購入診断装置を、前記端末装置からのユーザ情報を受信する受信部、不動産物件を購入できる確率、及び融資承認の確率と紐づけてユーザに提示すべきコメント情報を記憶する記憶部と、前記ユーザ情報及び過去の購入実績を含む学習データに基づいて、機械学習により購入困難性評価モデルを生成すると共に、個人信用情報、審査金融機関、借入希望額、審査結果を含む学習データに基づいて、機械学習により融資承認評価モデルを生成する機械学習部、前記ユーザ情報を入力として、前記購入困難性評価モデルにより、評価対象のユーザが選択した不動産物件を購入できる確率を評価し、前記購入できる確率に対応するコメント情報を前記記憶部より抽出する購入困難性評価部、前記ユーザ情報を入力として、前記融資承認評価モデルにより、前記評価対象のユーザが、不動産購入に際して、ローン商品に申請をした場合に、当該ローン商品に係る融資承認の確率、融資額を評価し、前記確率に対応するコメントを前記記憶部より抽出する融資承認評価部、前記評価結果及び前記コメント情報に基づく表示データを生成する生成部、及び前記表示データを前記端末装置に送信する送信部、として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザの各種条件から、機械学習により生成された学習モデルを用いて、購入を検討している不動産を当該ユーザが購入できるのかを長期的な視野で評価する技術を提供することにある。
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る不動産購入診断システムの構成図である。
図2】同システムにおける不動産購入診断装置の構成図である。
図3】同システムにおける端末装置の構成図である。
図4】同システムによる不動産購入診断の処理手順を示すフローチャートである。
図5】同システムの端末装置側の表示画面例である。
図6】同システムの端末装置側の表示画面例である。
図7】同システムの端末装置側の表示画面例である。
図8】同システムの端末装置側の表示画面例である。
図9】同システムの端末装置側の表示画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1には、本発明の実施形態に係る不動産購入診断システムの構成を示し説明する。
【0015】
同図に示されるように、不動産購入診断システムは、サーバ装置等からなる不動産購入診断装置1と、ユーザの端末装置2とが、インターネット等の通信網3を介して無線又は有線で接続され、構成されている。ユーザの端末装置2としては、スマートフォンやタブレット端末、ノート型パーソナルコンピュータ、デスクトップ型パーソナルコンピュータ等、各種のものを採用することができる。
【0016】
このような構成において、ユーザは、端末装置2により、不動産購入診断装置1の提供するWebサイトにアクセスし、購入を検討する不動産を絞り込む。そして、不動産購入診断のリクエストを不動産購入診断装置1に送信する。不動産購入診断装置1は、この診断のリクエストを受け付けると、ユーザの属性情報等を含むユーザ情報に基づいて、そもそも選択した不動産を購入できるのかを、機械学習により得られた評価モデルを用いて評価する。そして、購入可能性が高いと評価された場合には、各社のローン商品に関わるローン商品情報を参照し、ユーザ情報に基づいて、機械学習により得られた評価モデルを用いて、ローン商品の融資承認の確率、融資額等を算出する。
【0017】
これら評価結果は、不動産購入診断装置1から、ユーザの端末装置2に送信され、端末装置2にて表示される。したがって、ユーザは、端末装置2により、自己が選択した不動産をそもそも購入することに無理がないのか(購入可能性)、ローン商品により融資を受けられる確率はどの程度あるのかなどを購入の検討過程で知ることが可能となる。
【0018】
図2(a)乃至図2(d)には、本発明の実施形態に係る不動産購入診断システムにおける不動産購入診断装置の構成を示し説明する。
【0019】
図2(a)に示されるように、不動産購入診断装置1は、制御部11と、通信部I/F12と、記憶部13とを有する。制御部11と、通信I/F12と、記憶部13とは、システムバスを介して通信可能に接続されている。これら構成のほか、キーボードやマウス等の入力部や、各種表示を行う液晶ディスプレイ等の表示部を有してもよい。
【0020】
通信I/F12は、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC;Network Interface Card)等により実現されるもので、インターネット等の通信網3と有線又は無線で接続され、端末装置2等との間で通信を行う通信インタフェースである。記憶部13は、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスクドライブ(HDD;Hard Disc Drive)、または光ディスク装置等で実現されるもので、制御部11で実行されるプログラムを予め記憶している。この記憶部13は、ユーザ情報記憶部14、ローン商品情報記憶部15、購入困難性評価用記憶部16、融資承認評価用記憶部17、及び学習用記憶部18を有する。
【0021】
ユーザ情報記憶部14は、ユーザIDと紐づけて、ユーザの属性情報を含むユーザ情報を記憶している。ここで、「ユーザ情報」とは、診断のリクエストの際等に、端末装置2で入力される各種情報であり、より具体的には、以下の情報を含む。
・ユーザの基本情報(氏名、性別、生年月日、電話番号、住所、家族構成、居住予定者)
・購入予定情報(現在の状況、物件種類、建物の引き渡し予定日、物件所有予定者、住宅ローンを借り入れする者、及び本人の居住予定等)
・物件詳細情報(物件の住所、部屋番号、物件情報のWebページのURL等)
・購入資金情報(物件価格、リフォーム/リノベ費用、諸費用、自己資金等)
・仕事情報(業種、雇用形態、職種、従業員数、入社年月、前年の年収等)
・預貯金情報(預貯金の金額等)
・現在のローン情報(ある/なし、返済の状況等)
【0022】
ローン商品情報記憶部15は、ローン商品IDと紐づけて、各社のローン商品の情報を記憶している。具体的には、ローン商品提供会社の属性情報、ローン商品の詳細情報(金利、融資条件等)を記憶している。
【0023】
購入困難性評価用記憶部16は、購入困難性評価IDと紐づけて、評価対象のユーザのIDと、評価結果(確率)等を記憶している。また、確率に対応する、ユーザの提示すべきコメント情報を記憶している。融資承認評価用記憶部17は、融資承認評価IDと紐づけて、評価対象のユーザのIDと、ローン商品ID、及び評価結果(融資承認確率及び融資額等)等を記憶している。また、確率に対応する、ユーザに提示すべきコメント情報を記憶している。そして、学習用記憶部18は、評価モデルの機械学習に用いる学習データを記憶すると共に、機械学習により得られた購入困難性評価モデル、融資承認評価モデル等を記憶している。
【0024】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等で実現される。制御部11は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Array)等の集積回路で構成される。制御部11は、記憶部13に記憶されているプログラムを読み出し実行することで、送受信制御部11a、個人信用情報判定部11b、購入困難性評価部11c、融資承認評価部11d、機械学習部11e、生成部11f、及び主制御部11gとして機能する。
【0025】
送受信制御部11aは、端末装置2から送信されたユーザ情報を受信する受信部、及び端末装置2に対して評価結果等を送信する送信部として機能する。個人信用情報判定部11bは、送受信制御部11aを介して取得されたユーザの個人信用情報が、所定の個人信用情報条件を満たすかどうかを判定する。ここで、個人信用情報条件とは、異常値をはじくための条件(例えば、ネガ情報等)であり、ユーザのローン申請を当該条件でフィルタイングして、当該条件を満たさないローン申請を除外する処理を行う。ここで、「個人信用情報」には、無担保返済額、消費者ローン件数、30日未満延滞回数、30日以上延滞回数、グレー債権数、ネガ債権数、無担保返済残額、有担保返済残額等を含む。
【0026】
購入困難性評価部11cは、評価対象のユーザが、そもそも選択した不動産を購入可能であるのかどうか(どの程度困難性があるのか)を評価する。より具体的には、購入困難性評価部11cは、図2(b)に示されるように、確率算出部11c-1と、コメント生成部11c-2からなる。そして、確率算出部11c-1は、学習用記憶部19に記憶されている購入困難性評価モデルを用いて、ユーザ情報に基づいて、購入困難性(購入できる確率)を算出し、コメント生成部11c-2は、当該確率に対応するコメント情報を購入困難性評価用記憶部17より抽出して、コメントを生成する。
【0027】
融資承認評価部11dは、評価対象のユーザが、不動産購入に際して、ローン商品に申請をした場合に、当該ローン商品に係る融資の承認を受けることができるか否か等を評価する。より具体的には、融資承認評価部11dは、図2(c)に示されるように、融資承認確率算出部11d-1、融資額算出部11d-2、及びコメント生成部11d-3からなる。融資承認確率算出部11d-1は、学習用記憶部19に記憶されている融資承認評価モデル生成部11e-2を用いて、ユーザ情報に基づいて、融資承認確率を算出し、融資額算出部11d-2は、ユーザ情報に基づいて、融資額を算出し、コメント生成部11d-3は、融資確率に対応するコメント情報を融資承認評価用記憶部18から抽出してコメントを生成する。
【0028】
機械学習部11eは、図2(d)に示されるように、購入困難性評価モデル生成部11e-1と、融資承認評価モデル生成部11e-2からなる。購入困難性評価モデル生成部11e-1は、ユーザ情報、及び当該ユーザ情報での過去の購入実績等の学習データに基づいて、機械学習により、購入困難性評価モデルを生成する。融資承認評価モデル生成部11e-2は、ユーザ情報、個人信用情報、審査金融機関、借入希望額、審査結果等の学習データに基づいて、機械学習により融資承認評価モデルを生成する。このモデル生成にあたっては、自社の保有する1万件程度の過去の実績データを用いているため、最適な評価モデルを生成することが可能である。ユーザが、本システムを利用する度に、実績データは蓄積されるので、機械学習部11eは、定期的に、評価モデルを再生成して、学習用記憶部19に記憶されている評価モデルを更新するようにしてもよい。
【0029】
生成部11fは、購入困難性評価部11cによる評価結果や、融資承認評価部11dによる評価結果等に関わる表示データを生成する。このほか、主制御部11gは、例えばユーザの認証等、不動産購入診断装置1の総括的な制御を司る。
【0030】
図3には、本発明の実施形態に係る不動産購入診断システムにおける端末装置の構成を示し説明する。
【0031】
同図に示されるように、端末装置2は、制御部21、通信部22、操作部23、表示部24、及び記憶部25を有する。各部21~25は、バスラインを介して通信自在に接続されている。通信部22は、例えば、NIC等により実現されるもので、インターネット等の通信網4と有線又は無線で接続され、不動産購入診断装置1等との間で通信を行う通信インタフェースである。操作部23は、マウスやキーボード等で実現され、ユーザによる各種操作入力を受け付ける。表示部24は、液晶ディスプレイ等により実現され、各種表示を行う。操作部23と表示部24とをタッチパネルとして一体に構成してもよい。記憶部25は、例えば、RAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、HDD、または光ディスク装置等で実現されるもので、制御部21で実行されるプログラムを記憶している。制御部21は、CPUやMPU等で実現され、記憶部25に記憶されているプログラムを実行することで、主制御部21a、表示制御部21b、送受信制御部21cとして機能する。
【0032】
このような構成において、主制御部21aは、端末装置全体の制御を司る。表示制御部21bは、送受信制御部21cが受信した評価結果等に関わる表示データに基づく表示部24での表示を制御する。送受信制御部21cは、ユーザ情報を不動産購入診断装置1に送信する送信部、及び不動産購入診断装置1からの表示データ等を受信する受信部として機能するものである。
【0033】
以下、図4のフローチャートを参照して、本発明の実施形態に係る不動産購入診断装置による診断の処理手順を詳細に説明する。
【0034】
本処理に入る前、前提として、機械学習部11eでは、購入困難性評価モデル生成部11e-1が、ユーザ情報、及び当該ユーザ情報での過去の購入実績等の学習データに基づいて、機械学習により、購入困難性評価モデルを生成し購入困難性評価用記憶部16に記憶し、融資承認評価モデル生成部11e-2が、ユーザ情報、個人信用情報、審査金融機関、借入希望額、審査結果等の学習データに基づいて、機械学習により融資承認評価モデルを生成し融資承認評価用記憶部17に記憶している。
【0035】
本処理に入ると、送受信制御部11aは、端末装置2から送信されたユーザ情報を取得し(S1)、個人信用情報を取得する(S2)。そして、個人信用情報判定部11bは、送受信制御部11aを介して取得されたユーザの個人信用情報が、所定の個人信用情報条件を満たすかどうかを判定する(S3)。ここで、「個人信用情報条件」とは、異常値をはじくための条件(例えば、ネガ情報等)であり、ユーザのローン申請を当該条件でフィルタイングして、当該条件を満たさないローン申請を除外する処理を行う。ここで、「個人信用情報」には、無担保返済額、消費者ローン件数、30日未満延滞回数、30日以上延滞回数、グレー債権数、ネガ債権数、無担保返済残額、有担保返済残額等を含む。
【0036】
続いて、購入困難性評価部11cは、評価対象のユーザが、そもそも選択した不動産を購入可能であるのかどうか(どの程度困難性があるのか)を評価する(S4)。より具体的には、購入困難性評価部11cでは、確率算出部11c-1が、学習用記憶部19に記憶されている購入困難性評価モデルを用いて、ユーザ情報に基づいて、購入困難性(購入できる確率)を算出し、コメント生成部11c-2が、当該確率に対応するコメント情報を購入困難性評価用記憶部17より抽出して、コメントを生成する。
【0037】
次いで、融資承認評価部11dは、評価対象のユーザが、不動産購入に際して、ローン商品に申請をした場合に、当該ローン商品に係る融資の承認を受けることができるか否か等を評価する(S5)。より具体的には、融資承認評価部11dでは、融資承認確率算出部11d-1が、学習用記憶部19に記憶されている融資承認評価モデル生成部11e-2を用いて、ユーザ情報に基づいて、融資承認確率を算出し、融資額算出部11d-2が、ユーザ情報に基づいて、融資額を算出し、コメント生成部11d-3が、融資確率に対応するコメント情報を融資承認評価用記憶部18から抽出してコメントを生成する。
【0038】
こうして、生成部11fは、購入困難性評価部11cによる評価結果や、融資承認評価部11dによる評価結果等に関わる表示データを生成し(S6)、送受信制御部11aは送信部として機能し、表示データを端末装置2に送信する(S7)。こうして、診断に関わる一連の処理を終了する。
【0039】
ここで、図5乃至図9を参照して、ユーザの端末装置2側での画面遷移について詳細に説明する。
【0040】
ユーザの端末装置2では、図5に示されるような画面が表示部24に表示される。この画面では、不動産サイトにアクセスすることで、物件を検索できるようになっている。そして、所望とする不動産サイトが選択されると、図6に示されるような画面へと切り替わり、物件の検索が可能となる。この検索結果画面において最下段の、「支払い額をシミュレーションする」のボタンが選択されると、不動産購入診断装置1に対して診断のリクエストがなされる。この段階で、ユーザ情報の一部の入力が端末装置2側でなされ、リクエストの際に不動産購入診断装置1側に送信される。不動産購入診断装置1は、選択された物件に対する支払いの目安、支払い総額等を算定し、端末装置2に送信する。端末装置2では、図7の画面で支払いの目安や支払い総額等が端末装置2に表示される。
【0041】
図7の画面で、「もっと詳しく」のボタンが選択されると、購入困難性評価、融資承認評価に関わる本サービスのリクエストがなされる。この際に、入力画面が提示され、更に詳細なユーザ情報の入力を促す。端末装置2からは、ユーザ情報が不動産購入診断装置1へと送信される。
【0042】
不動産購入診断装置1では、前述したような処理により、購入困難性評価、融資承認評価等が実施され、その結果に関わる表示データが端末装置2へと送信される。端末装置2では、この表示データに基づき、図8,9に示されるような画面が表示される。即ち、図8に示されるように、購入困難性(購入可能性)に関わる確率(この例では、70%)がユーザ向けのコメントと合わせて最上段に表示され、その下方では、各種ローン商品の紹介(金利、毎月返済額及び総返済額等)と融資承認確率(この例では40%)とユーザ向けのコメントとが提示される。
【0043】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、ユーザの定量、定性的な情報であるユーザ情報と過去の購入実績データとに基づいて、機械学習により購入困難性評価モデルを生成し、当該購入困難性評価モデルに基づいて、ユーザが、選択した不動産物件をそもそも購入可能かどうか、即ち購入困難性に関わる確率を算出し、ユーザに提示することが可能となるので、詳細な検討をする前段階で、ユーザは自己の支払い能力、経済的負担等を探ることが可能となる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【0045】
例えば、ユーザ情報は、前述したものには限定されず、定量、定性的な各種情報を採用することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
1…不動産購入診断装置、2…端末装置、3…ネットワーク、11…制御部、11a…送受信制御部、11b…個人信用情報判定部、11c…購入困難性評価部、11c-1…確率算出部、11c-2…コメント生成部、11d…融資承認評価部、11d-1…融資承認確率算出部、11d-2…融資額算出部、11d-3…コメント生成部、11e…機械学習部、11e-1…購入困難性評価モデル生成部、11e-2…融資承認評価モデル生成部、11f…生成部、11g…主制御部、12…通信I/F、13…記憶部、14…ユーザ情報記憶部、15…ローン商品情報記憶部、16…購入困難性評価用記憶部、17…融資承認評価用記憶部、18…学習用記憶部、21…制御部、21a…主制御部、21b…表示制御部、21c‥送受信制御部、22…通信I/F、23…操作部、24…表示部、25…記憶部。
【要約】
【課題】ユーザの各種条件から、機械学習により生成された学習モデルを用いて、購入を検討している不動産を当該ユーザが購入できるのかを長期的な視野で評価する。
【解決手段】本発明は、ユーザの端末装置と通信自在な不動産購入診断装置1であって、端末装置からのユーザ情報を受信する受信部と、ユーザ情報及び過去の購入実績を含む学習データに基づいて、機械学習により購入困難性評価モデルを生成する機械学習部11eと、購入困難性評価モデルにより、評価対象のユーザが選択した不動産物件を購入可能であるのかどうかを評価する購入困難性評価部11cと、評価結果に基づく表示データを生成する生成部11fと、表示データを端末装置に送信する送信部とを備えた不動産購入診断装置である。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9