(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】破砕機用の刃物、この刃物を利用する破砕機
(51)【国際特許分類】
B02C 1/10 20060101AFI20240829BHJP
B02C 1/04 20060101ALN20240829BHJP
【FI】
B02C1/10
B02C1/04
(21)【出願番号】P 2024076845
(22)【出願日】2024-05-09
【審査請求日】2024-05-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592092618
【氏名又は名称】油圧機工業有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137899
【氏名又は名称】大矢 広文
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 保明
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-084481(JP,A)
【文献】特開2006-263526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/02- 1/10
B02C 18/02-18/04
B09B 3/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃板の表面から複数の刃部が突設する破砕機用の刃物であって、
前記刃部を山形刃部又は切欠円錐台形刃部とし、
前記山形刃部又は前記切欠円錐台形刃部を千鳥状に配置し、
前記刃板の左右方向両端側の表面から突設する山形刃部又は切欠円錐台形刃部を縦断面分割された半分の構造とし、
前記刃板の左右方向両端側の表面を内側に傾斜した傾斜部を最下段
のみに設け、前記傾斜部の外端に連なる上下方向の帯状部を備えたことを特徴とした、破砕機用の刃物。
【請求項2】
前記刃板の前記表面には、さらに複数のリブ状刃部及び/又は十字刃部を備え、
前記リブ状刃部及び/又は前記十字刃部は、前記山形刃部及び/又は前記切欠円錐台形刃部を連結したことを特徴とした、請求項1に記載の破砕機用の刃物。
【請求項3】
前記刃物がマンガンを11質量%~14質量%含んだハイマンガン鋳鋼製としたことを特徴とした、請求項1又は請求項2に記載の破砕機用の刃物。
【請求項4】
左右一対の本体フレームと、前記本体フレーム間に配置される固定刃物と、前記固定刃物に対して前後動する移動刃物と、を備え、
被破砕物を投入する上方開放部及び破砕処理物が排出される下方開放部を有する破砕機において、
前記固定刃物及び/又は前記移動刃物を請求項1又は請求項2に記載の刃物とすることを特徴とした破砕機。
【請求項5】
左右一対の本体フレームと、前記本体フレーム間に配置される固定刃物と、前記固定刃物に対して前後動する移動刃物と、を備え、
被破砕物を投入する上方開放部及び破砕処理物が排出される下方開放部を有する破砕機において、
前記固定刃物及び/又は前記移動刃物を請求項3に記載の刃物とすることを特徴とした破砕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被破砕物を破砕するための破砕機用の刃物、この刃物を利用する破砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
不要となった鋳物製品、湯口、湯道、堰等の被破砕物を破砕する破砕機が広く知られている。この破砕機は、固定刃物と移動刃物との間の破砕空間内に投入された被破砕物を、移動刃物が前進することによって、固定刃物と移動刃物で細かく破砕するものであり、効率的な被破砕物の破砕が実現されるためには破砕機において使用される刃物(刃物)が特に重要な存在となる。
【0003】
被破砕物を破砕する際、破砕機の側面と刃物との間に細かく破砕された被破砕物が挟み込まれる場合があり、このような状態において移動刃物を前進させると破砕機の側面が押され破砕機が破損されるおそれがある。ここで、破砕機の側面の間の挟み込みを防止することを特徴とした被破砕物を破砕する破砕機用の刃物に関する文献の一例として、例えば、下記のような文献1が挙げられる。
【0004】
文献1に係る発明は、ニブラを用いて廃エンジンを一次破砕して得られた一次破砕物を、アルミニウム系材料と鉄系材料とに分別するためにさらに細かく二次破砕して二次破砕物を得るときに使用される刃具において、平面状の部位と、前記平面状部位の幅方向で間隔をあけ、前記平面状部位の長手方向の一端部から中間部まで延びて前記平面状部位に設けられている複数の溝と、を有することを特徴とする刃具で、前記平面状部位は矩形状に形成されており、前記平面状部位の幅方向の両端部には、前記平面状部位から突出した突出部位が、前記平面状部位の長手方向のほぼ全長に延びて形成されている。そして、段落番号[0062]に記載のとおり「刃具5、8の幅方向の両端部に突出部位27が形成されているので、これらの各突出部位27に妨げられて、破砕物が刃具5、8の幅方向の外側に逃げること(破砕物が
図6に示すハウジング3の壁部材31を押すこと)を防止することができる」効果を奏する。
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、文献1に係る発明は、平面状部位の幅方向の両端部には突出した突出部位が平面状部位の長手方向のほぼ全長に延びて形成されているが、このような構成は大がかりな構成となり、コスト高となるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は、簡素な構造によって破砕機の側面の間に被破砕物の挟み込みを防止することができる破砕機用の刃物、この刃物を備えた破砕機を提供するものである。
【0008】
請求項1の発明は、刃板の表面から複数の刃部が突設する破砕機用の刃物であって、刃部を山形刃部又は切欠円錐台形刃部とし、山形刃部又は切欠円錐台形刃部を千鳥状に配置し、刃板の左右方向両端側の表面から突設する山形刃部又は切欠円錐台形刃部を縦断面分割された半分の構造とし、刃板の左右方向両端側の表面を内側に傾斜した傾斜部を最下段のみに設け、傾斜部の外端に連なる上下方向の帯状部を備えたことを特徴とした、破砕機用の刃物である。
【0009】
請求項2の発明は、刃板の前記表面には、さらに複数のリブ状刃部及び/又は十字刃部を備え、リブ状刃部及び/又は十字刃部は、山形刃部及び/又は切欠円錐台形刃部を連結したことを特徴とした、請求項1に記載の破砕機用の刃物である。
【0010】
請求項3の発明は、刃物がマンガンを11質量%~14質量%含んだハイマンガン鋳鋼製としたことを特徴とした、請求項1又は請求項2に記載の破砕機用の刃物である。
【0011】
請求項4の発明は、左右一対の本体フレームと、本体フレーム間に配置される固定刃物と、固定刃物に対して前後動する移動刃物と、を備え、被破砕物を投入する上方開放部及び破砕処理物が排出される下方開放部を有する破砕機において、固定刃物及び/又は移動刃物を請求項1又は請求項2に記載の刃物とすることを特徴とした破砕機である。
【0012】
請求項5の発明は、左右一対の本体フレームと、本体フレーム間に配置される固定刃物と、固定刃物に対して前後動する移動刃物と、を備え、被破砕物を投入する上方開放部及び破砕処理物が排出される下方開放部を有する破砕機において、固定刃物及び/又は移動刃物を請求項3に記載の刃物とすることを特徴とした破砕機である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、破砕の際、刃物の端側にある被破砕物が傾斜部によって刃物の内側に滑り込ませることができるため、被破砕物を効率的かつ確実に破砕することができ、さらには、刃物を押圧するシリンダーの出力を大幅に減衰させることができる。そして、傾斜部の端に帯状部を備えることにより傾斜部や刃物自体を強固にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】傾斜部及び帯状部を刃板の上下方向における下方に設けた固定刃物の正面図である。
【
図3】傾斜部及び帯状部を刃板の上下方向における下方に設けた移動刃物の正面図である。
【
図5】移動刃物の右下隅部(傾斜部及び帯状部)の部分詳細図で、(a)は正面図、(b)は透視底面図、(c)は斜視図である。
【
図6】山形刃部及びリブ状刃部の第1実施形態の正面図である。
【
図7】山形刃部及びリブ状刃部の第2実施形態の正面図である。
【
図8】切欠円錐台形刃部及びリブ状刃部を突設した固定刃物の正面図である。
【
図9】固定刃板及び移動刃板を設置した破砕機の斜視図である。
【
図10】移動刃板の軌道を図示した破砕機の側面図である。
【
図11】被破砕物を破砕する破砕機の要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、不要となった鋳物製品、湯口、湯道、堰等の被破砕物CMを細かく破砕することができる破砕機100用の刃物1、この刃物1を利用した破砕機100である。まず、刃物1について説明する。
【0016】
刃物1は、破砕機100の前側Fに固定設置される固定用の固定刃物11(
図1、
図2等参照)と、破砕機100の後側Bで、固定刃物11に対峙して設置する移動用の移動刃物12(
図3、
図4等参照)の一対で構成される。これら固定刃物11と移動刃物12は、破砕機100の左右一対の本体フレーム110、110間に配置され、固定刃物11に対して前後動する移動刃物12、より具体的には、固定刃物11の刃部10と、移動刃物12の刃部10とで被破砕物CMを破砕するものである。固定刃物11や移動刃物12は、上側と下側に分割できる構成であってもよいし、一体成型された構成であってもよい。
【0017】
この刃物1は、刃板3、この刃板3の表面5から突設する複数の刃部10で構成されている。刃板3は、直方体の板状体で形成されているが、長さや厚さ等は任意である。また、形状に関しても任意であるため、刃板3の下端側を湾曲させてもよい。
【0018】
刃部10については、後述するように、山形刃部20、切欠円錐台形刃部50の他、十字刃部40、リブ状刃部60等があるが、これらについては様々な任意の組み合わせで使用することができる。各刃部10の構成や配置等について、以下、刃部10ごとに説明する。なお、刃部10については、固定刃物11、移動刃物12共に共通であるため、各図では同一の符号を付している。
【0019】
図1、
図6等で図示する山形刃部20の第1実施形態について説明する。第1実施形態の山形刃部20は、裾野部22と平坦頂上部30からなり、裾野部22は、平坦頂上部30に向かって傾斜する斜面23と斜面23との間に両斜面23、23に沿って矩形刃26が配置され、平坦頂上部30は、複数の傾斜凹部34によって矩形刃26が十字状に形成されている。
【0020】
山形刃部20を構成する形状としては、その表面上に変形四角形(斜面23)、三角形(傾斜凹部34)、長方形(矩形刃26)、十字形(平坦頂上部30に形成された矩形刃26)等が組み合わさった複合多面体で形成される。山形刃部20は、平坦頂上部30側から刃板3の表面5側にかけて末広形状となっており、平坦頂上部30側にかけて徐々に高さが高くなるように形成されている。
【0021】
裾野部22は、上述のとおり、平坦頂上部30に向かって傾斜する斜面23と斜面23との間に両斜面23、23に沿って矩形刃26が配置されており、これを一組とする。そして、この一組が上下左右に連なって計四組配置されることによって一の山形刃部20を構成する。したがって、一の山形刃部20の斜面23の数としては計八箇所となり、矩形刃26の数としては計四箇所となる。裾野部22全体として、4本の矩形刃26で4本の稜線が形成される。
【0022】
平坦頂上部30は、複数の傾斜凹部34によって矩形刃26が十字状に形成されている。換言すると、各傾斜凹部34の各底辺の組み合わせによって矩形刃26が十字状に形成される。
【0023】
傾斜凹部34は、斜面23の平坦頂上部30側の一部を傾斜させて凹ませて形成されている。具体的には、例えば、斜面23の一部を三角形状等に凹ませ(傾斜)ている。一の山形刃部20の斜面23の数は計八箇所であるため、傾斜凹部34の数も計八箇所となる。
【0024】
この傾斜凹部34は、略三角形状の傾斜面を構成する他、略四角形、半球形状等の傾斜面であってもよい。また、傾斜凹部34を傾斜面とせず、垂直な面としてもよい。要は、傾斜凹部34によって平坦頂上部30の矩形刃26が十字状に形成されることによって、被破砕物CMに応力集中が掛かりやすくなり、より効率的に破砕(切断等)されることになればどのような構成であってもよい。
【0025】
なお、裾野部22の矩形刃26と平坦頂上部30の十字状に形成された矩形刃26の関係については、裾野部22の矩形刃26の一端と平坦頂上部30の矩形刃26の十字の一端が連結した構成であるが、連結していない構成であってもよい。
【0026】
各図では、主に第1実施形態の山形刃部20を図示しているが、
図7で図示する第2実施形態の山形刃部20であっでもよい。山形刃部20の第2実施形態について説明する。
【0027】
第2実施形態の山形刃部20は、裾野部22と尖端頂上部32からなり、裾野部22は、尖端頂上部32に向かって傾斜する斜面23と斜面23との間に両斜面23、23に沿って尖端刃28が配置され、尖端頂上部32は、複数の傾斜凹部34によって尖端刃28が十字状に形成されている。
【0028】
山形刃部20を構成する形状は、その表面上に変形四角形(斜面23)、三角形(傾斜凹部34)、十字形(尖端頂上部32に形成された尖端刃28)等が組み合わさった複合多面体で形成される。第2実施形態の山形刃部20は第1実施形態の山形刃部20と同様に、尖端頂上部32側から刃板3の表面5側にかけて末広形状となっており、尖端頂上部32にかけて徐々に高さが高くなるように形成されている。
【0029】
裾野部22は、上述のとおり、尖端頂上部32に向かって傾斜する斜面23と斜面23との間に両斜面23、23に沿って尖端刃28が配置されており、これを一組とする。そして、この一組が上下左右に連なって計四組配置されることによって一の山形刃部20を構成する。したがって、一の山形刃部20の斜面の数としては計八箇所となり、尖端刃28の数としては計四箇所となる。裾野部22全体として、4本の尖端刃28で4本の稜線が形成される。
【0030】
尖端頂上部32は、複数の傾斜凹部34によって尖端刃28が十字状に形成されている。換言すると、各傾斜凹部34の各底辺の組み合わせによって尖端刃28が十字状に形成される。
【0031】
傾斜凹部34は、斜面23の尖端頂上部32側の一部を傾斜させて凹ませて形成されている。具体的には、例えば、斜面23の一部を三角形状等に凹ませ(傾斜)ている。一の山形刃部20の斜面の数は計八箇所であるため、傾斜凹部34の数も計八箇所となる。
【0032】
この傾斜凹部34は、略三角形状の傾斜面を構成する他、略四角形、半球形状等の傾斜面であってもよい。また、傾斜凹部34を傾斜面とせず、垂直な面としてもよい。要は、傾斜凹部34によって尖端頂上部32の尖端刃28が十字状に形成されることによって、被破砕物CMに応力集中が掛かりやすくなり、より効率的に切断(破砕等)されることになればどのような構成であってもよい。
【0033】
なお、裾野部22の尖端刃28と尖端頂上部32の十字状に形成された尖端刃28の関係については、裾野部22の尖端刃28の一端と尖端頂上部32の尖端刃28の十字の一端が連結した構成であるが、連結していない構成であってもよい。
【0034】
山形刃部20の構成については、裾野部22に関し、平坦頂上部30や尖端頂上部32に向かって傾斜する斜面23と斜面23との間に両斜面23、23に沿って矩形刃26や尖端刃28が配置されたものを一組と、この一組が正面視上下左右に連なって計四組配置されることによって一の山形刃部とする例を説明した。しかしながら、計五組以上配置されて一の山形刃部20を構成してもよい。この場合、一の山形刃部20の斜面の数としては計十箇所以上となり、矩形刃26又は尖端刃28の数としては計五箇所以上となる。
【0035】
山形刃部20の平坦頂上部30又は尖端頂上部32については、矩形刃26や尖端刃28が十字状に形成される例を説明した。しかしながら、上記の一組が計五組以上配置した場合、山形刃部20の平坦頂上部30又は尖端頂上部32は、複数の傾斜凹部34の各底辺の組み合わせによって矩形刃26又は尖端刃28が略大の字状(計五組配置する場合)、放射状(計六組配置する場合)等に形成される。
【0036】
また、平坦頂上部30や尖端頂上部32に向かって傾斜する斜面23と斜面23との間に両斜面23、23に沿って矩形刃26や尖端刃28が配置された一組を3個組み合わせ(正面視上右左)、他(正面視下)を他の形状としてもよい。すなわち、上記一組で正面視上下左右の全てが形成されていなくてもよく、一部において異なる形状としてもよい。
【0037】
山形刃部20としてはその他の推台形状であってもよい。錐台は、円錐台、多角錐台等が考えられる。多角錐台としては、三角錐台や四角錐台等が挙げられる。また、錐台の頂点は水平面、傾斜面の他、曲面等としてもよく、また、一部を決截してもよい。
【0038】
次に切欠円錐台形刃部50について説明する。切欠円錐台形刃部50は、円錐台を切り欠いたものであり、具体的には、円錐台の先端面56側から反対側(表面5側)にかけて一部切り欠いた形状となる(
図8参照)。
【0039】
切欠円錐台形刃部50は、主に斜面53、先端面56、切欠面57で構成されている。先端面56側から刃板3の表面5側にかけて末広形状となっており、先端面56にかけて徐々に高さが高くなるように形成されている。斜面53は、先端面56へ向かってなだらかなに傾斜する。切欠円錐台形刃部50の頂点が先端面56となる。この先端面56については、どのような形状であってもよい。例えば、水平面の他、曲面等としてもよく、また、一部を決截してもよい。また、下方に向かう嘴状を形成していてもよい。切欠面57についてもどのような形状であってもよい。例えば、切欠円錐台形刃部50の底面が刃板3の表面5に対して垂直であっても傾斜した角度を形成していてもよい。また、平面の他、多面形状であってもよい。
【0040】
刃板3の表面5から突設する刃部10(山形刃部20、切欠円錐台形刃部50)は、例えば、上から順に、最上段、第二段、第三段、一番下の最下段に分けることができるが、本発明の効果を奏することができれば、それ以上でも、それ以下でもよい。すなわち、刃部10の数や列の多少は問わない。
【0041】
各刃部10の高さは、最上段、第二段、第三段、最下段等の全て同じであってもよく、また、最上段や最下段よりも第二段や第三段等のほうが高い配置構成でもよい。最上段の刃部10が他の段の刃部10よりも高いような場合は、被破砕物CMを上から抑え込みながら破砕することができる。
【0042】
また、刃部10の配置に関しては、並列状に配置することができるが、
図1等で図示する千鳥配置が望ましい。山形刃部20や切欠円錐台形刃部50を千鳥配置した場合は、リブ状刃部60で山形刃部20や切欠円錐台形刃部50を連結するのが望ましい。次に、刃物1の表面5から複数突設するリブ状刃部60(第1実施形態、第2実施形態)について説明する。
【0043】
第1実施形態のリブ状刃部60は、頂上の矩形刃66と、この矩形刃66の両側に連なる傾面63、63と、からなる略四角推台形状とする。長さに関しては、山形刃部20、切欠円錐台形刃部50同士を連結することができればどのような長さであってもよい。
【0044】
図示しない第2実施形態のリブ状刃部60は、頂上の尖端刃と、この尖端刃の両側に連なる傾面と、からなる略三角推台形状とする。すなわち、第2実施形態のリブ状刃部60は、第1実施形態のリブ状刃部60矩形刃66に相当する刃が尖端刃となる。長さに関しては、山形刃部20、切欠円錐台形刃部50同士を連結することができればどのような長さであってもよい。
【0045】
刃部10(山形刃部20、切欠円錐台形刃部50)を千鳥配置した場合のリブ状刃部60の配置については、刃部10を連結して斜設する。すなわち、千鳥配置した4つの山形刃部20と、これらを連結するリブ状刃部60で菱形を形成することができる。換言すると、リブ状刃部60とリブ状刃部60の頂点に山形刃部20等が位置することとなる。各刃部10(山形刃部20、切欠円錐台形刃部50)と各リブ状刃部60で囲繞された領域を嵌合領域MAとし、この嵌合領域MAに相手側の刃部10(山形刃部20、切欠円錐台形刃部50)が嵌合される。具体的には、移動刃物12が前進動した際、固定刃物11の嵌合領域MAには移動刃物12の山形刃部20又は切欠円錐台形刃部50が嵌合し、移動刃物12の嵌合領域MAには固定刃物11の山形刃部20又は切欠円錐台形刃部50が嵌合する。
【0046】
また、リブ状刃部60と山形刃部20又は切欠円錐台形刃部50の高さ関係は、リブ状刃部60よりも山形刃部20又は切欠円錐台形刃部50のほうが高く設定されている。具体的には、側面視してリブ状刃部60の頂が山形刃部20又は切欠円錐台形刃部50の裾野部22の中腹になる位が望ましい。刃板3上のリブ状刃部60を設けた箇所と設けていない箇所の組み合わせは任意である。
【0047】
その他、刃板3の上方には、縦刃71及び横刃72により格子状等に形成してもよい。刃板3の上方に縦刃71及び横刃72を備えた場合、これらの縦刃71及び横刃72の下方に山形刃部20や切欠円錐台形刃部50等を備えることとなる。縦刃71及び横刃72により破砕の際に上方へ移動しようとする被破砕物CMを抑え込む効果が期待できる。
【0048】
また、刃板3の表面5から十字刃部40等を突設してもよく、山形刃部20同士又は切欠円錐台形刃部50同士を十字刃部40で連結してもよい。
図1等では、最下段の山形刃部20と第三段目の山形刃部20とを連結している。その他、下端側に石形状の刃部10を突設してもよい。
【0049】
図1、
図3等では、山形刃部20と各リブ状刃部60で囲繞された嵌合領域MA内に十字刃部40を設けている。最下段の山形刃部20と第三段目の山形刃部20とを連結しており、また、最下段の山形刃部20と第三段目の山形刃部20と第二段目の山形刃部20を連結している。
【0050】
本願発明の破砕機100用の刃物1は、刃板3の左右方向LR両端側の表面5を内側(中央側)CSに傾斜し、この部分を傾斜部7とする。すなわち、刃板3の正面視左方向の端側の表面5が内側CSに傾斜しており、また、刃板3の正面視右方向端側の表面5も内側に傾斜している。この両傾斜部7、7が共に刃板の内側CS側に向くように傾斜が設けられている。
【0051】
刃物1の端側から内側CS側にかけて表面5に傾斜を付けることで、破砕の際に外側に逃げようとしている被破砕物CMを内側CSへと誘導することができる。すなわち、被破砕物CMは刃物1の内側CS側にかけて押し込まれるため、外側に逃げることができなくなる。
【0052】
図1で図示する固定刃物11、
図3で図示する移動刃物12においては、刃板3の表面5の左右下隅部に傾斜部7を配設している。
図1、
図3等では、刃板3の表面5の下方には左右方向LRにかけて底受傾斜面80を備えているが、この底受傾斜面80の上端は左右端にかけて下り傾斜しており、下り傾斜した底受傾斜面80に傾斜部7が連なる。すなわち、刃板3の左右方向両端側の表面5を内側に傾斜した傾斜部7を最下段に設けている。固定刃物11においては最下段の刃部10と第三段目の刃部10との間に設けている。また、移動刃物12においても最下段の刃部10と第三段目の刃部10との間に設けている。
【0053】
傾斜部7の傾斜の角度については、特に限定せず、本願発明の効果を奏する角度であればどのような角度であってもよい。移動刃物12が固定刃物11に対して前動することにより移動刃物12と固定刃物11が嵌合するが、傾斜部7に嵌合する相手側の刃部10は、縦断面分割された半分の構造(半割刃物)である。したがって、傾斜部7の角度が大きく(深く)なれば、そこに嵌合する縦断面分割された半分の構造の刃部が長くなることがある。
【0054】
そして、この傾斜部7の外端に連なる上下方向UDの帯状部7aを備えている。すなわち、傾斜部7の外側縁沿いに帯状部7aを備えることによって、刃物1自体の強度が増すこととなる。この帯状部7aの高さ、幅、上下左右の角度、傾斜部7と帯状部7aの連なる角度等は問わない。例えば、帯状部7aの高さは、傾斜部7から立ち上がり隆起した上下方向UDの立ち上がり壁としてもよい。帯状部7aの幅は、山形刃部20の矩形刃26と略同じ幅であってもよく、略同じ幅でなくてもよい。帯状部7aの角度は、傾斜部7以外の刃板3の表面5と平行であってもよく、平行でなくてもよい。
【0055】
刃板3の表面5から突設する刃部10は、山形刃部20や切欠円錐台形刃部50であるが、この山形刃部20や切欠円錐台形刃部50が縦断面分割された状態で刃板3の表面5から突設することもある。具体的には、刃板3の左右方向LR両端側に突設する山形刃部20や切欠円錐台形刃部50が縦断面分割された状態で表面5から突設する。
【0056】
なお、この縦断面分割された山形刃部20や切欠円錐台形刃部50は、刃板3の表面5の左右方向LRの端にあり略半分であるため、強固に作られることが望ましい。よって、山形刃部20や切欠円錐台形刃部50を構成する各部位が縦断面分割されていない山形刃部20や切欠円錐台形刃部50に比べて、構造上大きく、広く、太くされている。
【0057】
以上のとおり、刃板3の表面5の左右方向LRの端にある山形刃部20や切欠円錐台形刃部50は、縦断面分割された半分の構造である。刃板3の左右方向LR両端側に傾斜部7を設けている。したがって、傾斜部7は、縦断面分割された半分の構造の山形刃部20や切欠円錐台形刃部50に隣接することとなる。
【0058】
図1、
図3のように、刃板3の表面5からさらにリブ状刃部60を突設する構成の場合は、縦断面分割された山形刃部20とリブ状刃部60等とで囲われた両端側の部分が傾斜部7となっている。
【0059】
刃板3及び刃部10で構成される刃物1の材質は、被破砕物CMを破砕することができればどのような材質のものであってもよい。例えば、機械構造用炭素鋼(SC)、機械構造用合金鋼(SCM等)等の特殊鋼や、普通鋳鋼FCDを基本とした合金鋳造品等が挙げられる。また、摩耗性能が高い硬質材、耐摩耗鋳鋼製、ハイマンガン鋳鋼製等が挙げられる。
【0060】
刃物1をハイマンガン鋳鋼とする場合、マンガンを11質量%~14質量%含んだハイマンガン鋳鋼SCMnH11鋳鋼(JIS G5131)である。すなわち、11質量%~14質量%マンガン含有量を有する。但し、マンガンを15質量%より多い、例えば、20質量%より多くてもよい。
【0061】
ハイマンガン鋳鋼の成分としてはJISで定められているが、Feを主成分とし、質量%で、C:0.70~1.35%、Si:0.3~0.9%、Mn:6.00~19.00%、P:0.050以下、S:0.040以下、Cr:1.5~3.00%とする。このうち、C:1.12~1.14%、Si:0.43~0.46%、Mn:12.25~12.79%、P:0.050%、S:0.01%、Cr:2.17~2.30%が望ましい。
【0062】
上記の成分中、クロム(Cr)を含有することによって刃物自体強固になる。しかしながら、加工し易さを考慮するとクロムを出来る限り含有しないハイマンガン鋳鋼が望ましい。クロムを全く含まない他、1%前後含むことを許容するものである。
【0063】
本発明の固定刃物11及び移動刃物12が配置される破砕機100の構成の一例を説明する。
【0064】
破砕機100は、側面に並設される左右一対の本体フレーム110、110と、前記本体フレーム110、110間に垂直方向に配置される固定刃物11と、この固定刃物11に対して前後動する移動刃物12と、を備え、被破砕物CMを投入する上方開放部UO及び破砕済みの廃材が排出される下方開放部LOを有する上下開放で構成される。
【0065】
両本体フレーム110、110は、一方側同士が固定刃物11を介して固定される。具体的には、ボルト等の締結具を介して、ネジ溝を螺刻したネジ穴を有する固定刃物11を両本体フレーム110、110の前側Fに固設する。また、両本体フレーム110、110は、他方側同士がリアフレーム111を介して固定される。具体的には、ボルト等の締結具を介して、ネジ溝を螺刻したネジ穴を有するリアフレーム111を両本体フレーム110、110の後側Bに固設する。このようにして、本体フレーム110、110に固定刃物11及びリアフレーム111が固設される。
【0066】
なお、固定刃物11は固定刃物ホルダー120を介して固定してもよい(
図10等参照)。具体的には、ボルト等の締結具を介して、ネジ溝を螺刻したネジ穴を有する固定刃物ホルダー120を両本体フレーム110、110の前側Fに固設し、ボルト等の締結具を介して、ネジ溝を螺刻したネジ穴を有する固定刃物ホルダー120に固定刃物11を固設する。
【0067】
固定刃物ホルダー120は、垂直面又は傾斜面を備えており、垂直面又は傾斜面に固定刃物11を固定する。したがって、垂直面を備えた固定刃物ホルダー120に固定刃物11を固定した場合、固定刃物11は垂直に固定されることとなる(
図10参照)。一方、傾斜面を備えた固定刃物ホルダー120に固定刃物11を固定した場合、固定刃物11は傾斜して固定されることとなる(不図示)。なお、固定刃物ホルダー120は、一体式の固定刃物ホルダー120の他、上部固定刃物ホルダーと下部固定刃物ホルダーで構成される分割式であってもよい。
【0068】
固定刃物11が両本体フレーム110、110に対して傾斜して設けられた場合は、固定刃物11と移動刃物12との間に形成されるV字形の破砕空間Sを広く採ることができるため、比較的大きな被破砕物CMを投入することができる。
【0069】
また、固定刃物11が両本体フレーム110、110に対して垂直に配置されている場合は、固定刃物11と移動刃物12との間に形成されるV字形の破砕空間Sは、固定刃物11が傾斜している場合に比べて狭くなることがあるが、移動刃物12が前進限界位置にきたときは、移動刃物12と固定刃物11が前後に略水平に対峙し、固定刃物11と移動刃物12との間に形成される破砕空間Sが狭くなるため、被破砕物CMをより細かく破砕することができる。
【0070】
移動刃物12は、両本体フレーム110、110間に架設した支点軸140に軸支されている。具体的には、移動刃物12の下側に形成した半円形の軸支部によって支点軸140に軸支されている。そして、支点軸140に支点軸キャップ142を被せてボルト等の固定具で固定する(
図11参照)。
【0071】
また、支点軸140は、両本体フレーム110、110に大きく開設した枠穴145に嵌合した軸受けで支持されている。枠穴145内の軸受けの前後には支持ブロック146(軸受け位置調整ブロック)を嵌合する。すなわち、枠穴145に嵌合する支持ブロック146の抜差しを利用して、枠穴145内において左右の支持ブロック146の数を調整することで、支点軸140の位置を変更できる。よって、固定刃物11と移動刃物12との間に形成される破砕空間S、下方開放部LOの大きさを調整することができる。
【0072】
また、支点軸140の位置を変更するその他の構成としては、図示しないが、軸受けと、軸受けに内設したメタルと、偏心ブッシュと、偏心ブッシュを軸受けに固止するための止め具を使用する構成も挙げられる。この構成によると、ボルト等の止め具を取り外し、偏心ブッシュを回転移動し、支点軸の位置を変更し、この偏心ブッシュの変更後に偏心ブッシュをボルト等の止め具で固定し、偏心ブッシュを固止する。このようにして支点軸の位置を変更し固定することができる。
【0073】
移動刃物12を前後動させるシリンダー150は、トラニオン構造によって破砕機100に取り付けられるのが望ましいが、その他の方法で取り付けてもよい。トラニオン構造の一例について説明する。
【0074】
破砕機100(リアフレーム111)へのシリンダー150の固設について説明する。リアフレーム111には、シリンダー150の外径よりも大きな上下に楕円状の貫通穴を穿設し、この貫通穴にシリンダー150を挿通し、左右両側から突設したトラニオン本体153の軸を介して回動(上下動)自在に枢着する。具体的には、シリンダー150の先端側にはトラニオン本体153が挿通固設され、リアフレーム111(貫通穴の両側)にはトラニオン軸受155が固設されており、トラニオン軸受155にはトラニオン本体153の軸を介してシリンダー150が上下動自在に枢着される。以上のような構造により、リアフレーム111に対してシリンダー150が枢動可能となり、シリンダー150が貫通穴内を上下動可能(上下に首振り)となる。なお、シリンダー150を破砕機100に取り付ける際には、貫通穴を穿設したトラニオンベース等の他の部材を介在させてもよい。
【0075】
移動刃物12へのピストンロッド151の固設について説明する。移動刃物12の背面には二山クレビス162が固設され、ピストンロッド151の先端には一山クレビス161が固設され、二山クレビス162には軸を介して一山クレビス161が回動(上下動)自在に枢着されている。以上のような構造により、ピストンロッド151に対して移動刃物12が軸を支点として枢動(上下に首振り)可能となる。
【0076】
この破砕機100に対して垂直又は傾斜して固定支持される固定刃物11と、両本体フレーム110、110間に架設した支点軸140に軸支され、後退限界位置で両本体フレーム110、110に対して傾斜し、前進限界位置で両本体フレーム110、110に対して略垂直となり、リアフレーム111に設けたシリンダー150のピストンロッド151の前後動に伴って支点軸140を支点として前後動する移動刃物12とを主構成要素とし、固定刃物11と移動刃物12との間に形成されるV字形の破砕空間Sに被破砕物CMが供給され、移動刃物12が固定刃物11に対して前動することで被破砕物CMが破砕される。
【0077】
両本体フレーム110、110の内側には一枚又は複数枚のライナー115をボルト等の止め具で着脱自在に設けることも可能である。また、このボルト等の止め具を研磨手段で略面一に加工する構成を採用することも可能である。
【0078】
このライナー115は、例えば、超硬合金等の耐摩耗性を有する高硬度材を採用しており、このライナー115を両本体フレーム110、110に設けることによって、この両本体フレーム110、110への被破砕物CMによる衝撃回避を図ることができるため、両本体フレーム110、110の耐久性の向上及び長寿命化を図ることができる。また、両本体フレーム110、110と刃物1との摩擦を回避することができる。なお、このライナー115の硬度は、例えば、HRC50~HRC60程度である。
【0079】
破砕機100にはデコンプレッション回路を備えるのが望ましい。デコンプレッション回路を備えることにより、移動刃物12での過剰な押圧が抑制される。特にアルミ等の非鉄金属を破砕する場合は、デコンプレッション回路によりシリンダー150の圧力を抜くことによって移動刃物の反動の低減や破砕時の振動を軽減することとなる。
【0080】
移動刃物12については、二山クレビス162及び一山クレビス161を介して移動刃物12の背面にピストンロッド151の先端を固設(枢着)する構成について説明したが、移動刃物ホルダー(不図示)を介して固設してもよい。
【0081】
移動刃物ホルダーの下側に半円形の軸支部を形成し、この軸支部を介して支点軸140に軸支し、支点軸140に支点軸キャップ142を被せてボルト等の固定具で固定する。そして、移動刃物ホルダーの背面に二山クレビスが固設され、ピストンロッド151の先端に一山クレビスが固設され、二山クレビスには軸を介して一山クレビスが回動(上下動)自在に連結する。そして、ボルト等の締結具を介して、ネジ溝を螺刻したネジ穴を有する移動刃物ホルダーに移動刃物12を固設する。以上のような構造により、移動刃物ホルダー及び移動刃物12が軸を支点として枢動(上下に首振り)可能となる。
【0082】
第1実施形態の山形刃部20については、移動刃物12が前進し前進限界位置に達したときには、固定刃物11の刃部10と移動刃物12の刃部10間に隙間(20ミリ以上5ミリ位)が生じるように形成している。したがって、固定刃物11の刃部10と移動刃物12の刃部10は完全には噛み合わない。例えば、被破砕物CMが鉄系の場合、「折断」が可能であるため、両刃部10、10間に隙間が形成される第1実施形態の山形刃部20とするのが望ましい。なお、移動刃物12が前進し前進限界位置に達したときに、固定刃物11の刃部10と移動刃物12の刃部10間に隙間が生じない構成でもよい。
【0083】
第2実施形態の山形刃部20については、移動刃物12が前進限界位置に達したときには、両刃部10、10が噛み合う場合と、噛み合わない場合がある。固定刃物11の刃部10と移動刃物12の刃部10が同じ大きさピッチで形成している場合は、移動刃物12が前進限界位置に達したときには固定刃物11の刃部10と移動刃物12の刃部10は噛み合う。したがって、固定刃物11の刃部10と移動刃物12の刃部10がぶつかりあって(刃板3の表面5には刃部10の先端が押し付けられる等)「切断」される。例えば、「折断」が難しい被破砕物CM(純アルミニウム、マグネシウム合金)や、プラスチック化合物、亜鉛合金等の場合は、噛み合う刃部10とするのが望ましい。
【0084】
矩形刃26、裾野部22や平坦頂上部30の矩形刃26の端のエッジ部分、裾野部22や尖端頂上部32の尖端刃28によって、被破砕物CMを折断や切断することができる。
【0085】
以上、各実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施例に記載の技術、又は、その他の公知や周知の技術を組み合わせるようにしてもよい。なお、図面においては、発明内容をわかりやすくするため、一部省略した箇所がある。
【符号の説明】
【0086】
1:刃物
3:刃板
5:表面
7:傾斜部
7a:帯状部
10:刃部
11:固定刃物
12:移動刃物
20:山形刃部
22:裾野部
23:斜面
26:矩形刃
28:尖端刃
30:平坦頂上部
32:尖端頂上部
34:傾斜凹部
40:十字刃部
50:切欠円錐台形刃部
53:斜面
56:先端面
57:切欠面
60:リブ状刃部
63:傾面
66:矩形刃
67:尖端刃
71:縦刃
72:横刃
80:底受傾斜面
100:破砕機
110:本体フレーム
111:リアフレーム
115:ライナー
120:固定刃物ホルダー
140:支点軸
142:支点軸キャップ
145:枠穴
146:支持ブロック
150:シリンダー
151:ピストンロッド
153:トラニオン本体
155:トラニオン軸受
161:一山クレビス
162:二山クレビス
B:後側
F:前側
S:破砕空間
CM:被破砕物
CS:内側
UD:上下方向
LR:左右方向
MA:嵌合領域
UO:上方開放部
LO:下方開放部
【要約】
【課題】従来より、不要となった被破砕物を破砕する破砕機用の刃物、及び、この刃物を利用する破砕機が知られている。しかし、被破砕物を破砕する際、破砕機の側面と刃物との間に細かく破砕された被破砕物が挟み込まれる場合があり、このような状態において移動刃物を前進させると破砕機の側面が押され破砕機が破損されるおそれがあった。
【解決手段】本発明は、刃板の表面から複数の刃部が突設する破砕機用の刃物であって、刃部を山形刃部又は切欠円錐台形刃部とし、山形刃部又は切欠円錐台形刃部を千鳥状に配置し、刃板の左右方向両端側の表面から突設する山形刃部又は切欠円錐台形刃部を縦断面分割された半分の構造とし、刃板の左右方向両端側の表面を内側に傾斜した傾斜部を最下段に設け、傾斜部の外端に連なる上下方向の帯状部を備えたことを特徴とした、破砕機用の刃物、及び、この刃物を利用した破砕機を提供する。
【選択図】
図1