(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】玉掛け用吊り天秤
(51)【国際特許分類】
B66C 1/10 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
B66C1/10 C
(21)【出願番号】P 2020006456
(22)【出願日】2020-01-19
【審査請求日】2023-02-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年10月10日-12日に、アスティ徳島において開催された徳島ビジネスチャレンジメッセで公開
(73)【特許権者】
【識別番号】593188659
【氏名又は名称】杉河 満好
(74)【代理人】
【識別番号】100199451
【氏名又は名称】和田 隆滋
(72)【発明者】
【氏名】杉河 満好
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-257890(JP,A)
【文献】登録実用新案第3179795(JP,U)
【文献】実開平03-089779(JP,U)
【文献】実開昭58-020284(JP,U)
【文献】米国特許第05603544(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/00-3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の本体部を備え、
前記本体部に第一のロープ引掛部と第二のロープ引掛部が設けられ、
前記第一のロープ引掛部は、前記本体部の両端部分に設けられ、
前記第二のロープ引掛部は、前記第一のロープ引掛部よりも内側に設けられ、
前記第二のロープ引掛部は、前記本体部とは別体であ
り、
前記第二のロープ引掛部は、棒部材とロープ移動防止壁と取付部を備え、
前記棒部材は、前記本体部の長手方向と同じ方向に前記取付部で該本体部に取り付けられ、
前記ロープ移動防止壁は、前記棒部材の両端に夫々設けられ、
前記取付部は、前記棒部材の中央に設けられ、前記取付部の両サイドにある該棒部材にロープを夫々引っ掛けることができる、玉掛け用吊り天秤。
【請求項2】
前記第一のロープ引掛部にワイヤーガイド部が設けられ、
前記ワイヤーガイド部は、前記本体部の外周部に取り付けられ、ワイヤーを通すガイド機構とワイヤーが該ガイド機構から外れないようにするストッパー部を有する、請求項1に記載の玉掛け用吊り天秤。
掛け用吊り天秤。
【請求項3】
前記第一のロープ引掛部は、前記本体部における一部分であり、引掛けたロープの移動
を制限する鍔状のロープ移動防止壁を有してお
り、
前記第一のロープ引掛部のロープ移動防止壁は、略U字状のガイドが設けられる、請求項
1に記載の玉掛け用吊り天秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玉掛け用吊り天秤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレーン等を用いた荷物の運搬における玉掛け作業において、様々な形状の吊り天秤(例えば、特許文献1)が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示す吊り天秤には、作業性、汎用性及び安全性の観点において改良の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、このようなことに鑑みてなされたものであり、作業性、汎用性及び安全性を向上させた玉掛け用吊り天秤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、
棒状の本体部(1)を備え、
前記本体部に第一のロープ引掛部(3a、3b)と第二のロープ引掛部(5a、5b)が設けられ、
前記第一のロープ引掛部(3a、3b)は、前記本体部の両端部分に設けられ、
前記第二のロープ引掛部(5a、5b)は、前記第一のロープ引掛部(3a、3b)よりも内側に設けられ、
前記第二のロープ引掛部(5a、5b)は、前記本体部(1)とは別体である、玉掛け用吊り天秤(10)、
によって達成される。
【0007】
また、上記目的は、
前記第二のロープ引掛部(5a、5b)は、前記本体部に沿って移動可能である、請求項1に記載の玉掛け用吊り天秤(10)、
によって達成される。
【0008】
また、上記目的は、
記第一のロープ引掛部(3a、3b)は、前記本体部における一部分であり、引掛けたロープの移動を制限する鍔状のロープ移動防止壁(31a、31b)を有している、請求項1または請求項2に記載の玉掛け用吊り天秤(10)、によって達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば作業性、汎用性及び安全性を向上させた玉掛け用吊り天秤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第一の実施形態による玉掛け用吊り天秤10を説明する図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態による玉掛け用吊り天秤10を説明する図である。
【
図3】本発明の第一の実施形態による玉掛け用吊り天秤10を説明する図である。
【
図4】本発明の第一の実施形態による玉掛け用吊り天秤10を説明する図である。
【
図5】本発明の第一の実施形態による玉掛け用吊り天秤10を説明する図である。
【
図6】本発明の第一の実施形態による玉掛け用吊り天秤10を説明する図である。
【
図7】本発明の第一の実施形態による玉掛け用吊り天秤10を説明する図である。
【
図8】本発明の第一の実施形態による玉掛け用吊り天秤10を説明する図である。
【
図9】本発明の第一の実施形態による玉掛け用吊り天秤10を説明する図である。
【
図10】本発明の第一の実施形態による玉掛け用吊り天秤10を説明する図である。
【
図11】本発明の第一の実施形態による玉掛け用吊り天秤10を説明する図である。
【
図12】本発明の第一の実施形態による玉掛け用吊り天秤10を説明する図である。
【
図13】本発明の第一の実施形態による玉掛け用吊り天秤10を説明する図である。
【
図14】本発明の第一の実施形態による玉掛け用吊り天秤10を説明する図である。
【
図15】本発明の第一の実施形態による玉掛け用吊り天秤10を説明する図である。
【
図16】本発明の第二の実施形態による玉掛け用吊り天秤20を説明する図である。
【
図17】本発明の第三の実施形態による玉掛け用吊り天秤40a、40bを用いた使用例を説明する図である。
【
図18】本発明の第四の実施形態による玉掛け用吊り天秤40aを用いた使用例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1~
図16を用いて、本発明の第一の実施形態による玉掛け用吊り天秤10を説明する。なお、以下の全ての図面においては、理解を容易にするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせて図示する場合がある。
【0012】
図1は、本実施形態による玉掛け用吊り天秤10の斜視図であり、
図2は、玉掛け用吊り天秤10の正面図である。
図3は、玉掛け用吊り天秤10の背面図であり、
図4は、玉掛け用吊り天秤10の平面図であり、
図5は、玉掛け用吊り天秤10の底面図である。
図6は、玉掛け用吊り天秤10の右側面図であり、
図7は、玉掛け用吊り天秤10の左側面図である。
図8は、玉掛け用吊り天秤10の使用状態を示す図であり、
図9は、使用状態を示す図である。
【0013】
図1~
図7に示すように、本実施形態による玉掛け用吊り天秤10は、棒状部材で構成される本体部1、本体部1の両端に設けられるロープ引掛部3a、3b、及び本体部1とは別体のロープ引掛部5a、5bを有している。玉掛け用吊り天秤10は、鋼鉄製で形成される。ロープ引掛部3a、3bは、本体部1に溶接で一体形成される。ロープ引掛部5a、5bは、ボルトとナットを用いて本体部に本体部とは別体として取り付ける構成である。
【0014】
図1、
図6、及び
図7に示すように、本体部1は、円筒状であり、内部が中空になっている。また、円筒の中空部には鉛直方向の抗折力を高くするための補強板が配設される。本体部1の形状とすることで、軽量化と抗折力の強度向上の両方が実現可能である。
【0015】
図1~
図7に示すように、ロープ引掛部3a、3bは、本体部1の両端部分で設けられる。ロープ引掛部3a、3bは、本体部1の最も外側に配設される鍔状のロープ移動防止壁31aとロープ移動防止壁31aの内側に配設される鍔状のロープ移動防止壁31bとロープ移動防止壁31aとロープ移動防止壁31bの間の本体部1とワイヤーガイド部33とで構成される。
図8、
図9に示すように、ワイヤーガイド部33は、クレーンのフックに連結するワイヤーロープを引掛けるガイドであり、本体部1に溶接される。また、
図8に示すように、玉掛けする荷物や建材を連結するロープを、ワイヤーガイド部33とロープ移動防止壁31aの間、及びワイヤーガイド部33とロープ移動防止壁31bの間にそれぞれ引掛けることが可能である。また、ロープ移動防止壁31は、直立した壁面と外側に向けて傾斜する傾斜面を有し、クレーンのフックに連結するワイヤーロープを通すための略U字状の貫通孔(ガイド)が設けられる。
【0016】
図1~
図7に示すように、ロープ引掛部5a、5bは、本体部1におけるロープ引掛部3a、3bよりも内側に設けられる。ロープ引掛部5a、5bは、円筒状の棒部材50と、棒部材50の両端に設けられるロープ移動防止壁51a、51bと、取付部53a、53bとで構成される。また、
図9に示すように、玉掛けする荷物や建材を連結するロープを、取付部53bとロープ移動防止壁51aの間、及び取付部53bとロープ移動防止壁51bの間にそれぞれ引掛けることが可能である。
【0017】
また、ロープ引掛部5a、5bは、取付部53a、53bをボルトとナットを用いて締めることで、本体部1に、着脱自在に取り付けられる構成である。このため、ロープ引掛部5a、5bは、本体部1に沿って移動することが可能である。
【0018】
次いで、
図10~
図15を用いて、上述のワイヤーガイド部33を説明する。
図10~
図15は、ワイヤーガイド部33の3D図面である。ワイヤーガイド部33は、本体部1に溶接して取り付ける構成である。ワイヤーガイド部33は、ワイヤーを通すガイド機構とワイヤーをガイドから外れないようにするストッパー部を有する構成である。ストッパー部は、軸33bに不図示の回転式抑棒を取付ける。回転式抑棒は、軸33bを回転軸として回転させることで、本体部33aに設けられた案内孔33cに通すように構成される。これによって、ワイヤーロープをガイトから外れないようにロックする。このように、ワイヤーガイド部を構成することで、以下の効果を奏することになる。
(あ)ワイヤーガイド部33は、ワイヤーロープを通すガイド機構を本体部1の外周部に設けるため、ワイヤーロープを大きい円周で回すことが可能となり、ワイヤーロープの摩耗や消耗を抑えることができる。
(い)ワイヤーガイド部33は、ワイヤーロープをガイトから外れないようにロックすることが可能であるため、安定した玉掛け作業を行うことができる。
【0019】
本発明の実施形態による玉掛け用吊り天秤を用いることで、以下の効果を奏する。
(あ)ロープ引掛部3a、3bの内側にロープ引掛部5a、5bを有する構成であるため、玉掛けする荷物の大きさに併せて、ロープを引掛ける場所を変更することが可能であるため、作業性、及び汎用性が向上する。
(い)ロープ引掛部5a、5bは、本体部1に沿って移動可能であるため、玉掛けする荷物の大きさに併せて、ロープを引掛ける場所を更に変更することが可能であるため、汎用性が向上する。
(う)ワイヤーガイド部33を有する構成であるため、クレーンのフックに連結するワイヤーロープの移動を防止することが可能となるため、玉掛けする荷物の落下が防止され、安全性が向上する。
(え)ロープ移動防止壁31bには、ワイヤーを通るU字状のガイドが設けられているため、クレーンのフックに連結するワイヤーロープの角度が安定するため、玉掛けする荷物の位置が安定し、作業性及び安全性が向上する。
【0020】
次いで、
図16を用いて、本発明の第二の実施形態による玉掛け用吊り天秤20を説明する。なお、上述の実施形態による玉掛け用吊り天秤10と同じ構成については、その説明を省略する。
【0021】
本発明の第二の実施形態による玉掛け用吊り天秤20は、上述の玉掛け用吊り天秤10に強度補強部材21を溶接することで構成される。強度補強部材21は、本体部1の上面に溶接される。強度補強部材21を後付けにすることで、全体の重量を低く抑えつつも、強度が必要な個所の強度を高めることが可能である。なお、ロープ引掛部5a、5bの移動範囲を制限する強度補強部材21に設けられた空間の幅は、
図16に示した場合よりも、短くてもよいし、長くてもよい。
【0022】
次いで、
図17を用いて、本発明の本発明の第三の実施形態による玉掛け用吊り天秤40a、40bを用いた使用例を説明する。本実施形態では、一つの天秤40aと二つの天秤40bを用いて、玉掛けを行う。天秤40bの長手方向の長さは、天秤40aの長手方向の長さの約1/3程度であり、天秤40aの両端に天秤40bを吊し、二つの天秤40bで荷物や建材を玉掛けする。このように、三つの天秤を用いることで、一つの天秤だけでは安定しない長尺の荷物や建材を安定して玉掛けすることが可能となる。
【0023】
次いで、
図18を用いて、本発明の本発明の第四の実施形態による玉掛け用吊り天秤40aを用いた使用例を説明する。本実施形態では、二つの天秤40aと二つの間隔維持具41を用いる。二つの間隔維持具41で二つの天秤40aを連結させることで玉掛けを行う。このため、奥行きがある荷物や建材を安定して玉掛けすることが可能となる。
【0024】
上述の実施形態は、本発明の好適な一例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上述の説明によって不当に限定されるものではない。また、上述の実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。また、上述の実施形態で説明される構成は相互に付け足したり組み合わせたりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、クレーンを用いた玉掛け作業における玉掛け用吊り天秤において利用可能である。
【符号の説明】
【0026】
10、20、40a、40b 玉掛け用吊り天秤
1 本体部
3a、3b、5a、5b ロープ引掛部
31a、31b、51a、51b ロープ移動防止壁
33 ワイヤーガイド部
50 棒部材
53a、53b 取付部
21 補強部材21
41 間隔維持具