(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】錠剤整列搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/28 20060101AFI20240829BHJP
B65G 47/14 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B65G47/28 B
B65G47/14 101B
(21)【出願番号】P 2020100692
(22)【出願日】2020-06-10
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000228110
【氏名又は名称】クオリカプス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】小西 善久
(72)【発明者】
【氏名】大西 薫
(72)【発明者】
【氏名】真川 顕次
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-104538(JP,A)
【文献】実開平05-026917(JP,U)
【文献】国際公開第2020/067225(WO,A1)
【文献】特開2008-073626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/28
B65G 47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形状の底壁部を有し該底壁部の外縁に沿って搬送路が形成されたボウルを備え、前記底壁部に供給された錠剤を前記搬送路に沿って振動搬送させる振動フィーダと、
前記搬送路を搬送される錠剤の表裏を検出する表裏検出部と、
前記搬送路を搬送される錠剤を、前記表裏検出部の検出に基づいて前記底壁部に選択的に戻す錠剤リターン部とを備え
、
前記錠剤リターン部は、錠剤に気体を噴射する噴射部と、前記噴射部の噴射により移動する錠剤の表裏を反転させる表裏反転部とを備え、
前記表裏反転部は、両端開口からなる入口および出口が、前記出口に対して前記入口が上方となるように上下に配置された反転シュートを備え、
前記搬送路は、外周側から内周側に向けて斜め上方に傾斜する傾斜面であり、
前記噴射部は、前記傾斜面に沿って錠剤の側面に気体を噴射することで、錠剤の空中姿勢を維持しながら錠剤を前記入口まで移動させる錠剤整列搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤整列搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤の外観検査や印刷等を連続的に行うため、錠剤を振動フィーダにより整列搬送させることが従来から行われている。例えば、特許文献1には、ホッパーから供給された錠剤を振動フィーダにより整列状態で振動搬送して外観検査用のドラムに供給する錠剤の外観検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
振動フィーダにより搬送される錠剤としては、表裏面の一方のみに割線等の特徴部を有するものが存在しており、このような錠剤に対して特徴部の有無に応じた外観検査や印刷等を容易に行えるように、錠剤の表裏を揃えて搬送することが望まれている。ところが、振動フィーダにより整列搬送される錠剤の表裏は一般にランダムであるため、このようなニーズに応えることが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、錠剤の表裏を揃えて整列搬送することができる錠剤整列搬送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、円形状の底壁部を有し該底壁部の外縁に沿って搬送路が形成されたボウルを備え、前記底壁部に供給された錠剤を前記搬送路に沿って振動搬送させる振動フィーダと、前記搬送路を搬送される錠剤の表裏を検出する表裏検出部と、前記搬送路を搬送される錠剤を、前記表裏検出部の検出に基づいて前記底壁部に選択的に戻す錠剤リターン部とを備え、前記錠剤リターン部は、錠剤に気体を噴射する噴射部と、前記噴射部の噴射により移動する錠剤の表裏を反転させる表裏反転部とを備え、前記表裏反転部は、両端開口からなる入口および出口が、前記出口に対して前記入口が上方となるように上下に配置された反転シュートを備え、前記搬送路は、外周側から内周側に向けて斜め上方に傾斜する傾斜面であり、前記噴射部は、前記傾斜面に沿って錠剤の側面に気体を噴射することで、錠剤の空中姿勢を維持しながら錠剤を前記入口まで移動させる錠剤整列搬送装置により達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、錠剤の表裏を揃えて整列搬送することができる錠剤整列搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る錠剤整列搬送装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、 本発明の一実施形態に係る錠剤整列搬送装置の平面図である。
図1に示すように、錠剤整列搬送装置1は、振動フィーダ10と、表裏検出部20と、錠剤リターン部30とを主な構成要素として備えており、表裏面の一方のみに割線等の特徴部を有する錠剤を、表裏を揃えて整列搬送する用途に好適に使用することができる。錠剤は、医薬品や健康食品の他、菓子や洗剤等であってもよい。
【0011】
振動フィーダ10は、加振源(図示せず)によりねじり振動が付与されるボウル11を備える公知の構成である。ボウル11は、平面視円形状の底壁部12を有しており、底壁部12の外縁に沿って搬送路13が形成されている。搬送路13の外周側は側壁14で覆われている。底壁部12に供給された錠剤は、2点鎖線に沿って矢示方向に一列に整列した状態で搬送路13を振動搬送されて、後段の搬送装置(図示せず)等に供給される。搬送路13の形状は特に限定されるものではなく、螺旋状の他に円弧状や直線状等であってもよい。
【0012】
図2は、
図1のA-A断面図である。
図1および
図2に示すように、表裏検出部20は、搬送路13を振動搬送される錠剤Tを上方から撮像する撮像部21と、錠剤Tを上方から照明する照明部22とを備えており、不図示のブラケットにより搬送路13の上方に支持されている。撮像部21は、CCDカメラ等からなり、錠剤Tの上面側全体を撮像する。照明部22は、多数の光源22aがリング状に配置されており、錠剤Tの特徴部(例えば割線)Sが明瞭になるように、錠剤Tを周囲全体から照明する。
【0013】
錠剤リターン部30は、噴射部31と表裏反転部32とを備えており、表裏検出部20の直下に配置されている。噴射部31は、配管33を介してコンプレッサ等の気体供給源(図示せず)に接続された噴射ノズルからなり、ブラケット31aを介してボウル11の外周面に固定されている。噴射部31のノズル先端は、ボウル11の側壁14に形成された噴射孔14aに挿入されており、電磁弁34の開閉により、搬送路13を搬送される錠剤Tの側面に気体を噴射することができる。電磁弁34の作動は、撮像部21の撮像データに基づき、制御部40によって制御される。
【0014】
表裏反転部32は、噴射部31の噴射により空中を移動する錠剤Tの通路35を有する反転シュートからなり、照明部22に支持されている。通路35は、両端開口36,37が噴射部31に対向する面の上下に配置されており、鉛直面に沿ってU字状に湾曲するように形成されている。本実施形態においては、上側の開口36を錠剤Tの入口として、下側の開口37を錠剤Tの出口としているが、下側の開口37を入口とし、上側の開口36を出口としてもよい。
【0015】
次に、上記の構成を備える錠剤整列搬送装置1の作動を説明する。ホッパー(図示せず)からボウル11の底壁部12に連続的に供給される錠剤Tは、表裏がランダムな状態で搬送路13に沿って整列搬送され、撮像部21の下方を通過する。撮像部21は、搬送される錠剤Tを撮像した撮像データを制御部40にリアルタイムに送信する。制御部40は、表裏面の一方のみに割線等の特徴部Sを有する各錠剤Tの撮像データから特徴部Sの有無を個別に判別し、特徴部Sが検出された錠剤Tのみを底壁部12に選択的に戻すように、電磁弁34の開閉を制御する。すなわち、上面側に特徴部Sが存在する錠剤Tに対しては、電磁弁34を開いて噴射部31から気体を噴射し、底壁部12に移動させる一方、上面側に特徴部Sが存在しない錠剤Tに対しては、電磁弁34を閉じて噴射部31からの気体の噴射を停止し、錠剤Tの搬送を継続する。これにより、搬送路13に沿って噴射部11を通過した錠剤Tは、特徴部Sが下面側に存在する錠剤Tのみとなるため、錠剤Tの表裏を揃えた状態で搬送することができる。なお、制御部40は、特徴部Sが検出されない錠剤Tのみを底壁部12に選択的に戻すように噴射部31からの気体の噴射を制御することも可能であり、特徴部Sが上面側に存在する錠剤Tのみを搬送路13に残してもよい。
【0016】
噴射部31から気体が噴射された錠剤Tは、
図2に破線で示すように、表裏反転部32の通路35に入口36から導入されて出口37から排出される過程で表裏が反転され、特徴部Sが下面側となって底壁部12に落下し、搬送路13を再び搬送される。このように、錠剤リターン部30が錠剤Tの表裏を反転させて底壁部12に戻すことにより、搬送路13を搬送される錠剤Tを繰り返し底壁部12に戻す必要がなくなるため、表裏を揃えた状態での錠剤の整列搬送を効率良く行うことができる。
【0017】
搬送路13は、外周側から内周側に向けて斜め上方に傾斜する傾斜面であることが好ましく、この傾斜面に沿って噴射部31が錠剤Tの側面に気体を噴射することで、錠剤Tの空中姿勢を維持しながら入口36まで移動させることができるので、錠剤Tの表裏の反転を容易に行うことができる。通路35の内面は、軟質材料で形成したりクッション材を設ける等して衝撃緩和性を有することが好ましく、通路35に導入された錠剤Tを、損傷を防止しつつ減速させることにより、表裏を確実に反転させて底壁部12に供給することができる。
【0018】
錠剤リターン部30の構成は、必ずしも本実施形態の構成に限定されるものではなく、他の構成であってもよい。例えば、噴射部31からの気体の噴射に代えて、プッシャ等の進退により錠剤Tを押圧して底壁部12に戻すように構成してもよい。錠剤Tを底壁部12に戻す際には、錠剤Tの表裏を反転させることが好ましいが、ある程度の確度で反転可能であれば搬送効率を向上させることができるため、必ずしも全ての錠剤Tの表裏を反転させる機構に限定されるものではない。例えば、錠剤Tに対して回転モーメントが作用するように気体の噴射や押圧を行うことで、錠剤Tの空中姿勢を変化させて表裏を反転するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0019】
1 錠剤整列搬送装置
10 振動フィーダ
11 ボウル
12 底壁部
13 搬送路
20 表裏検出部
21 撮像部
22 照明部
30 錠剤リターン部
31 噴射部
32 表裏反転部(反転シュート)