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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20240829BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240829BHJP
   H05H 1/46 20060101ALN20240829BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 F
H05H1/46 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020178301
(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公開番号】P2022069228
(43)【公開日】2022-05-11
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】505402581
【氏名又は名称】株式会社イー・エム・ディー
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西坂 和晃
(72)【発明者】
【氏名】枝本 信雄
(72)【発明者】
【氏名】江部 明憲
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-214503(JP,A)
【文献】特開2004-095891(JP,A)
【文献】特開昭63-192254(JP,A)
【文献】特開2020-150170(JP,A)
【文献】特開2011-210846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34-23/473
H05K 7/20
H01L 33/00
H01L 33/48-33/64
H01S 5/02- 5/028
F28D 15/00-15/06
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1材料から成り、被冷却物が接触する被冷却物接触面を有する第1部材と、
一表面に溝が形成された主部材と、第2材料から成る板状の部材であって一方の面が前記第1部材に接触し他方の面が前記一表面を覆う副部材とを備え前記溝の内壁面及び前記他方の面により画定され液体又は気体である所定の冷媒が通過する冷媒流路を内部に有する第2部材と
を備え、
前記第1材料が前記第2材料よりも熱伝導率が高く、
前記第2材料が前記第1材料よりも前記冷媒に対する耐食性が高い
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記第2部材の全体が前記第2材料から成ることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記第1材料がアルミニウム、銅及び真鍮から選択される材料であって、
前記第2材料がステンレス鋼及びニッケルから選択される材料である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記副部材の厚さが前記第1部材の厚さの1/5~1/20の範囲内であって、前記第1部材と前記副部材を合わせた厚さが2mm以上であることを特徴とする請求項3に記載の冷却装置。
【請求項5】
さらに、
前記冷媒の温度を測定する温度測定部と、
前記温度測定部で測定された温度に基づいて該冷媒流路に供給する冷媒の温度を制御する冷媒温度制御部と
を備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
さらに、
前記冷媒を貯留する貯留槽と、
前記冷媒を前記貯留槽から前記冷媒流路を通して該貯留槽に戻す循環流路と
を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項7】
さらに、前記循環流路内にフィルタを備えることを特徴とする請求項6に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置で用いられる基板やスパッタターゲット等を冷却する装置や、半導体素子を有する装置において該半導体素子を冷却する装置等として用いられる冷却装置に関する。特に、被冷却物に接触させるブロックと該ブロック内に設けられた冷媒を流す流路とを備える冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、伝熱性の良好なブロック(通常は金属製)内に流路を設け、該ブロックに被冷却物を接触させた状態で冷媒を該流路に流すことにより被冷却物を冷却することが行われている。この方法では、被冷却物が有する熱はブロックを通して流路内の冷媒に伝導し、冷媒がブロックの外に排出されるのにともなって熱も排出される。特許文献1には、半導体ウエハ等のワークに対して紫外線を照射することによりワークの改質を行う装置で用いる、紫外線を放出するLED(発光ダイオード)チップを多数備える光源に、それら多数のLEDチップに接触する金属製の冷却ブロック内に冷却水の流路を有する冷却装置を設けた構成が記載されている。
【0003】
特許文献1には、冷却ブロックの材料の例として、アルミニウム、銅、及びステンレス鋼が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-040605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に例示された冷却ブロックの材料のうち、アルミニウム及び銅はいずれも、水や、水に含まれるイオン(特に、冷却水として水道水を使用した場合には塩素イオン)と接触することにより腐食(錆)が生じてしまう。そのため、アルミニウムや銅を冷却ブロックの材料に用いると、冷却装置を長期間使用している間に冷却ブロックのうち流路の表面付近が腐食してしまう。そうすると、腐食した箇所において熱伝導率が低下し、被冷却物の熱が冷却水に伝導し難くなり、冷却効率が低下してしまう。また、錆が冷却水中に混入してしまう。
【0006】
一方、ステンレス鋼は、アルミニウムや銅よりも、水や水に含まれる塩素イオン等による腐食が生じ難い材料である。しかしながら、ステンレス鋼の熱伝導率はアルミニウムや銅の熱伝導率の1/10以下しかなく、冷却効率が低い。
【0007】
ここでは特許文献1に記載のLEDチップを冷却する冷却装置を例に説明したが、それ以外の、半導体製造装置において使用される基板やスパッタターゲット等を冷却する装置等においても同様の問題が生じる。また、冷媒として水を用いる場合を例に説明したが、水以外の液体又は気体の冷媒においても、冷却ブロックの材料によっては同様の問題が生じる。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、冷媒に対する耐食性が高く、且つ、冷却効率が高い冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために成された本発明に係る冷却装置は、
第1材料から成り、被冷却物が接触する被冷却物接触面を有する第1部材と、
一表面に溝が形成された主部材と、第2材料から成る板状の部材であって一方の面が前記第1部材に接触し他方の面が前記一表面を覆う副部材とを備え前記溝の内壁面及び前記他方の面により画定され液体又は気体である所定の冷媒が通過する冷媒流路を内部に有する第2部材と
を備え、
前記第1材料が前記第2材料よりも熱伝導率が高く、
前記第2材料が前記第1材料よりも前記冷媒に対する耐食性が高い
ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る冷却装置では、冷媒流路の内壁面の少なくとも一部が、第1部材の材料である第1材料よりも冷媒に対する耐食性が高い第2材料から成る。これにより、冷媒流路の内壁面の全体が第1材料から成る場合よりも、冷媒流路の内壁面で腐食が生じ難くなり、冷却効率が高くなる。
【0011】
また、本発明では、被冷却物(被冷却物接触面)側の部材である第1部材が、第2材料よりも熱伝導率が高い第1材料から成るため、被冷却物接触面と冷媒流路の間の部材の全体が第2材料から成る場合よりも、被冷却物接触面から冷媒流路に熱が伝導し易くなり、冷却効率が高くなる。
【0012】
本発明に係る冷却装置において、冷媒が水である場合には、第2材料にはステンレス鋼やニッケルを好適に用いることができ、第1材料にはそれら第2材料よりも高い熱伝導率を有するアルミニウム、銅、真鍮を好適に用いることができる。これらステンレス鋼やニッケルは、アルミニウム、銅、真鍮よりも水に対する耐食性が高い。
【0013】
第2部材のうち、第2材料から成る部分以外を構成する材料は、特に限定されない。但し、内壁面の全体のみならず、第2部材の全体が第2材料から成るという構成を取ることにより、第2部材を複数種の材料から構成する場合よりも構造を単純化することができる。
【0014】
本発明に係る冷却装置において、前記内壁面の全体が前記第2材料から成ることが好ましい。これにより、冷媒流路の壁の全体に亘って腐食が生じ難くすることができる。前述のように第2部材の全体を第2材料から構成すれば、内壁面の全体を第2材料製とすることができる。
【0015】
本発明に係る冷却装置において、前記第2部材は、一表面に溝が形成された主部材と、前記第2材料から成り該一表面を覆う板状の副部材とを組み合わせたものである。これにより、主部材の表面を削ることで溝を形成したうえで該溝を副部材で覆うことで冷媒流路を作製することができるため、1つの部材内に貫通穴を形成することで冷媒流路を作製する場合よりも容易に第2部材を作製することができるなお、この例の場合には、主部材の材料は限定はされないものの、冷媒流路の内壁面のうち副部材の表面以外の部分の耐食性を高くするために、主部材の材料は前記第2材料であることが好ましい。
【0016】
本発明に係る冷却装置はさらに、前記冷媒の温度を測定する温度測定部と、該温度測定部で測定された温度に基づいて該冷媒流路に供給する冷媒の温度を制御する冷媒温度制御部とを備えることが好ましい。これにより、被加熱物から吸収する熱量の増減に応じて冷媒の温度を適切に制御することができる。
【0017】
本発明に係る冷却装置はさらに、前記冷媒を貯留する貯留槽と、前記冷媒を前記貯留槽から前記冷媒流路を通して該貯留槽に戻す循環流路とを備えることができる。このような貯留槽及び循環流路を用いることにより、冷媒の使用量を抑えることができる。
【0018】
前記貯留槽及び循環流路を備える冷却装置はさらに、循環流路内にフィルタを備えることができる。これにより、万一、冷媒流路の内壁面に錆(腐食)が生じ、錆に由来する異物が循環流路内に流出しても、該異物をフィルタで回収することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、冷媒に対する耐食性が高く、且つ、冷却効率が高い冷却装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る冷却装置の第1実施形態を示す断面図。
図2】銅、アルミニウム、ステンレス鋼から成り厚さが異なる複数の板材について、厚さ方向の熱抵抗を測定した結果を示すグラフ。
図3】第1実施形態及び2つの比較例につき、被加熱物を冷却する能力を確認する実験の結果を示すグラフ。
図4】全体がステンレス鋼製である比較例1の冷却装置を示す断面図(a)、及び全体が銅製である比較例2の冷却装置を示す断面図(b)。
図5】第1実施形態の冷却装置の一変形例を示すA-A断面図(a)及びB-B断面図(b)。
図6】本発明に係る冷却装置の第2実施形態を示す概略構成図。
図7】変形例の冷却装置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1図7を用いて、本発明に係る冷却装置の実施形態を説明する。
【0022】
(1) 第1実施形態
第1実施形態の冷却装置10は、図1に示すように、第1部材11及び第2部材12を有する。
【0023】
第1部材11は、銅(第1材料)から成る平板状の部材である。第1材料には、銅の代わりにアルミニウムや真鍮等を用いてもよい。第1部材11の平板の一方の面は、被冷却物Sを接触させる被冷却物接触面111となる。
【0024】
第2部材12は、ステンレス鋼(第2材料)から成る直方体状の主部材121と、同じくステンレス鋼(第2材料)から成る平板状の副部材122とを備える。副部材122の一方の面は、主部材121の直方体が有する面のうちの1つと接触し、他方の面は第1部材11の他方の面(被冷却物接触面111とは反対側の面)に接触している。主部材121の、副部材122と接触する表面には溝が2本設けられており、この溝が副部材122で覆われることにより冷媒流路13が形成されている。このような構成により、冷媒流路13は内壁面の全体がステンレス鋼(第2材料)製となっている。なお、第2材料には、ステンレス鋼の代わりにニッケル等を用いてもよい。また、下記の第2材料の条件を満たすならば、主部材121と副部材122には互いに異なる材料を用いてもよい。
【0025】
第1材料である銅(又はアルミニウムや真鍮等)は、第2材料であるステンレス鋼(又はニッケル等)よりも熱伝導率が高い材料である。図2に、それぞれ銅、アルミニウム及びステンレス鋼から成り厚さが異なる複数の板材について、厚さ方向の熱抵抗を測定した結果を示す。熱抵抗はその値が大きいほど熱が伝わり難いことを示す。従って、板材の厚さ方向の熱抵抗は、その値が大きいほど、その板材の一方の面から他方の面に熱が伝わり難いことを示す。図2に示した測定結果より、銅やアルミニウムの板材は同じ厚さのステンレス鋼と比較して熱抵抗が1/10~1/20であり、銅やアルミニウムはステンレス鋼よりも熱伝導率が10~20倍高いことがわかる。
【0026】
一方、第2材料であるステンレス鋼(又はニッケル等)は、第1材料である銅(又はアルミニウムや真鍮等)よりも水、特に水道水に対する耐食性が高い材料である。銅、アルミニウムや真鍮を水道水に長期間晒すと、水による腐食や水道水に含まれる塩素イオンによる腐食が生じてしまうが、ステンレス鋼ではそのような腐食が生じ難い。
【0027】
副部材122の厚さは第1部材11よりも薄い。本実施形態では、第1部材11の厚さは2.5mm、副部材122の厚さは0.3mmとした。本実施形態のように第2材料がステンレス鋼、ニッケル等であって第1材料が銅、アルミニウム、真鍮等(熱抵抗が第2材料の1/10~1/20)である場合、副部材122の厚さは第1部材11の厚さの1/5~1/20の範囲内とすることが好ましい。また、第1部材11と副部材122を合わせた厚さは、それらの機械的強度を十分に確保するために2mm以上であることが好ましい。
【0028】
本実施形態の冷却装置10を使用する際には、被冷却物Sを被冷却物接触面111に接触させたうえで、冷媒流路13に冷媒として水を流す。これにより、被冷却物Sが有する熱は、被冷却物接触面111から第1部材11及び第2部材12のうちの副部材122を(熱の一部はさらに副部材122から主部材121を)通って、冷媒流路13内の冷媒に流入する。冷媒に流入した熱は、冷媒流路13を通って冷却装置10の外に排出される。
【0029】
このように熱が排出される経路中に、第2材料よりも高い熱伝導率を有する第1材料から成る第1部材11が設けられていることにより、経路中が第2部材12のみから成る場合よりも、被冷却物接触面111から冷媒流路13に熱が伝導し易くなり、冷却効率が高くなる。
【0030】
また、本実施形態では冷媒流路13は内壁面の全体が第1材料よりも水に対する耐食性が高い第2材料製であるため、内壁面の全体又は一部が第1材料から成る場合よりも、水による冷媒流路13の内壁面の腐食が生じ難い。
【0031】
図3に、本実施形態及び2つの比較例につき、被加熱物を冷却する能力を確認する実験の結果を示す。図3中の比較例1は、図4(a)に示すように、全体がステンレス鋼(SUS)製のブロックから成る部材91A内に冷媒流路93Aを設け、部材91Aの表面を被冷却物接触面911Aとしたものである。比較例2は、図4(b)に示すように、全体が銅製のブロックから成る部材91B内に冷媒流路93Bを設け、部材91Bの表面を被冷却物接触面911Bとしたものである。
【0032】
この実験では、電流を流すことによって発熱する発熱体を被冷却物Sとして用いた。発熱体を被冷却物接触面111、911A、911Bの表面に接触させ、冷媒流路13、93A、93B内に水温22度の水を毎分5リットルの流量で流し、発熱体に所定の大きさの電力を5分間投入した時点の被冷却物接触面111、911A、911Bの表面の温度を測定した。この実験を、大きさが異なる複数の電力についてそれぞれ行った。
【0033】
この実験の結果、図3に示すように、本実施形態の冷却装置10は、比較例1の冷却装置90Aと比較して、被冷却物接触面111の温度の上昇を十分に抑えることができ、高い冷却能力を有することがわかる。一方、本実施形態の冷却装置10は、比較例2の冷却装置90Bと比較すると冷却能力がわずかに劣るものの、比較例1よりも比較例2に近い冷却能力が得られている。比較例2の冷却装置90Bでは冷媒流路93Bの内壁面がステンレス鋼よりも水に対する耐食性が劣る銅製であることから、本実施形態の冷却装置10は、比較例2よりも水に対する耐食性に優れ、且つ比較例2に匹敵する高い冷却能力を有する、と評価することができる。
【0034】
本実施形態の冷却装置10は、例えば半導体製造装置で用いられる基板やスパッタターゲット(被冷却物S)等を冷却する装置として用いられる。あるいは、冷却装置10は、図5に示すようにLEDチップTを用いた照明装置においてそれらLEDチップ(被冷却物)Tを冷却する装置としても用いることができる。図5に示した例では、冷媒流路13の長手方向にLEDチップTを複数並べて配置することにより、複数のLEDチップTを効率的に冷却する。また、LED照明装置以外にも、冷却装置10は半導体素子を有する装置において該半導体素子を冷却する装置として用いることができる。
【0035】
(2) 第2実施形態
図6に、第2実施形態の冷却装置20を示す。この冷却装置20は、第1実施形態の冷却装置10と同様の構成を有する第1部材11、第2部材(主部材121、副部材122)12及び冷媒流路13を備える。それらと共に、冷却装置20は、冷媒(水)を貯留する貯留槽21、貯留槽21から冷媒流路13の一端に冷媒を供給する第1冷媒循環管221、冷媒流路13の他端から貯留槽21に冷媒を返送する第2冷媒循環管222、及び第1冷媒循環管221又は第2冷媒循環管222(図6では前者)に設けられたポンプ23とを有する。ポンプ23により、貯留槽21内に貯留された冷媒は第1冷媒循環管221から冷媒流路13及び第2冷媒循環管222を通って貯留槽21に戻るという、冷媒を循環させる動作がなされる。第1冷媒循環管221と第2冷媒循環管222を合わせて「冷媒循環管22」と呼ぶ。
【0036】
冷却装置20はさらに、冷媒の温度を測定する温度測定部25と、温度測定部25で測定された温度に基づいて冷媒流路13に供給する冷媒の温度を制御する冷媒温度制御部26を備える。
【0037】
温度測定部25は、本実施形態では第2冷媒循環管222内に設けたが、貯留槽21、第1冷媒循環管221、又は冷媒流路13内に設けてもよい。冷媒流路13における冷媒の温度が高いほど冷却装置20の冷却能力が低下することから、温度測定部25は冷媒流路13内、その中でも特に冷媒流路13の出口付近に設けることが理想的である。但し、冷媒流路13が金属のブロック状である第1部材11内にあることから、温度測定部25を冷媒流路13内に設置し難いため、本実施形態では、温度測定部25は第2冷媒循環管222内のうち、冷媒流路13の出口にできるだけ近い位置に配置した。
【0038】
冷媒温度制御部26には例えば、貯留槽21内の冷媒とは異なる第2冷媒(例えば代替フロンガス等)を該貯留槽21内に循環させる循環流路と、温度測定部25で測定された温度に基づいて貯留槽21内の冷媒の温度を所定の範囲内に制御するように該循環流路に流す第2冷媒の流量を定める流量演算装置と、該流量演算装置で定めた流量で第2冷媒を循環流路に流すように調整する流量調整部とを備えるものを用いることができる。
【0039】
また、冷却装置20はさらに、冷媒循環管22中にフィルタ27を備える。本実施形態では、フィルタ27は第2冷媒循環管222中に設けたが、第1冷媒循環管221中に設けてもよい。後者の場合には、異物がポンプ23に吸引されることを防ぐために、フィルタ27は第1冷媒循環管221のうち、ポンプ23よりも上流側に設けることが好ましい。このように冷媒循環管22中にフィルタ27を設けることにより、万一、冷媒流路13の内壁面に錆(腐食)が生じ、錆に由来する異物が循環流路内に流出しても、異物をフィルタ27で回収することができる。
【0040】
第2実施形態の冷却装置20では、ポンプ23を稼働させることで貯留槽21内の冷媒を、第1冷媒循環管221、冷媒流路13、第2冷媒循環管222を通って貯留槽21に戻るように循環させる。その状態で、被冷却物Sを被冷却物接触面111に接触させることにより、被冷却物Sが有する熱は、被冷却物接触面111から第1部材11及び第2部材12のうちの副部材122を通って冷媒内に流入する。熱が流入した冷媒はさらに第2冷媒循環管222を通って貯留槽21に戻った後にも、第1冷媒循環管221、冷媒流路13、第2冷媒循環管222を通って貯留槽21に戻るように循環する。
【0041】
このように冷媒を循環させている間に、冷媒の温度は被冷却物Sから流入した熱によって徐々に上昇する。第2実施形態の冷却装置20では、温度測定部25によって冷媒の温度を測定し、測定された温度が上昇している場合には冷媒を冷却するよう、冷媒温度制御部26により冷媒の温度を制御する。これにより、冷媒の温度が上昇し続けて冷却効率が低下することを防ぐことができる。
【0042】
また、第2実施形態の冷却装置20は冷媒循環管22中にフィルタ27を備えるため、万一冷媒流路13の内壁面で錆(腐食)が発生しても、錆が冷媒流路13の内壁面から離脱して生じる異物をフィルタ27によって除去することができる。
【0043】
(3) その他の変形例
本発明は上記実施形態には限定されない。例えば、第2実施形態の冷却装置20から温度測定部25及び冷媒温度制御部26を省略した(言い換えれば、第1実施形態の冷却装置10に貯留槽21、冷媒循環管22、及びポンプ23を付加した)構成を取ってもよい。あるいは、第2実施形態の冷却装置20においてフィルタ27を省略してもよい。
【0044】
上記実施形態では、第2部材12には主部材121と副部材122から成るものを用いたが、図7に示す変形例のように単一の部材から成る第2部材12Aを用いてもよい。この変形例の冷却装置10Aでは、直方体状の単一の部材から成る第2部材12A内に貫通孔を設け、該貫通孔を冷媒流路13Aとして用いる。第1部材11の構成は第1及び第2実施形態の冷却装置10、20と同様である。
【0045】
上記実施形態では冷媒として水を用いたが、水以外の液体又は気体の冷媒を用いてもよい。その場合には、使用する冷媒に応じて、第2材料には第1材料よりも該冷媒に対する耐食性が高い材料を用いる。
【0046】
さらに、上記実施形態及び変形例の各構成を適宜組み合わることも可能である。また、本発明の主旨の範囲内で上記以外の変形をすることも可能である。
【符号の説明】
【0047】
10、10A、20、90A、90B…冷却装置
11…第1部材
111、911A、911B…被冷却物接触面
12、12A…第2部材
121…主部材
122…副部材
12A…第2部材
13、13A、93A、93B…冷媒流路
20…冷却装置
21…貯留槽
22…冷媒循環管
221…第1冷媒循環管
222…第2冷媒循環管
23…ポンプ
25…温度測定部
26…冷媒温度制御部
27…フィルタ
91A、91B…部材
S…被冷却物
T…LEDチップ(被冷却物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7