(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】発達障害者支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20240829BHJP
G16H 10/60 20180101ALI20240829BHJP
G06F 21/60 20130101ALI20240829BHJP
【FI】
G06Q50/22
G16H10/60
G06F21/60 340
(21)【出願番号】P 2020216197
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】509289397
【氏名又は名称】株式会社Kaien
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】弁理士法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 慶太
【審査官】今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-232997(JP,A)
【文献】特開2020-087115(JP,A)
【文献】特開2015-015010(JP,A)
【文献】国際公開第2020/091053(WO,A1)
【文献】特開2003-157252(JP,A)
【文献】特開2019-175482(JP,A)
【文献】小越咲子,発達障害児者の個人特性に応じた教育支援システムの開発研究,オンライン,2019年10月09日,p.1-2,https://www.soumu.go.jp/main_content/000654735.pdf, https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictR-D/event/index.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 50/22
G16H 10/00-80/00
G06F 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発達障害者である被支援者の状態情報を取得する状態情報受信部と、
前記被支援者の被支援者IDと、前記被支援者に関する状態情報を対応づけて格納する被支援者情報格納部と、
支援者に対するアドバイスを生成するアドバイス生成部と、を備え、
前記被支援者情報格納部は、更に、前記被支援者の第1の支援者からの指示に基づいて、前記被支援者の状態情報のうちの第1の状態に対するアドバイスを対応づけて登録し、
前記アドバイス生成部は、前記被支援者が第1の状態にあるとき、前記被支援者の第2の支援者に対して前記アドバイスを通知することを特徴とする発達障害者支援システム。
【請求項2】
前記被支援者に関する検査情報を受信する検査情報受信部と、
前記被支援者IDと、前記被支援者に関する検査情報へのアクセス権限を付与される支援者の支援者IDを対応づける権限情報を格納する権限情報格納部と、
検査情報の取得要求を受信する要求受信部と、
検査情報の要求者が、前記検査情報の対象となる被支援者に関してアクセス権限を付与されていることを条件として、前記検査情報を前記要求者に送信する個人情報提供部と、を更に備え、
前記被支援者情報格納部は、更に、前記被支援者の被支援者IDと、前記被支援者に関する複数種類の検査情報を対応づけて格納することを特徴とする
請求項1に記載の発達障害者支援システム。
【請求項3】
被支援者ごとに、前記被支援者に対応づけられる支援者のみが参加可能な会話グループを設定する会話グループ設定部、を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の発達障害者支援システム。
【請求項4】
複数種類の教材コンテンツのリストである教材リストを提供するリスト提供部と、
前記教材リストから被支援者に選択された教材コンテンツを、前記被支援者に提供する教材提供部と、を更に備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の発達障害者支援システム。
【請求項5】
被支援者に、教材コンテンツを推薦する教材推薦部、を更に備え、
前記教材推薦部は、前記被支援者に関する検査情報に基づいて推薦対象となる教材コンテンツを選択することを特徴とする請求項2に記載の発達障害者支援システム。
【請求項6】
複数種類の教材コンテンツのリストである教材リストを提供する教材提供部と、
被支援者に、教材コンテンツを推薦する教材推薦部、を更に備え、
前記教材推薦部は、
前記被支援者に関する状態情報に基づいて推薦対象となる教材コンテンツを選択することを特徴とする請求項1に記載の発達障害者支援システム。
【請求項7】
被支援者の状態情報の遷移履歴と、新たに取得された状態情報に基づいて前記被支援者の将来の状態を予測する状態予測部と、を更に備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の発達障害者支援システム。
【請求項8】
被支援者の年齢に応じて、前記被支援者に提供する文字情報に含まれる漢字をひらがなに変換する文字変換部、を更に備えることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の発達障害者支援システム。
【請求項9】
被支援者との自動対話を行う対話処理部、を更に備え、
前記対話処理部は、被支援者からのメッセージに対して返答のメッセージを生成することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の発達障害者支援システム。
【請求項10】
前記対話処理部は、被支援者の検査情報に基づいて、前記被支援者に対する返答のメッセージを生成することを特徴とする請求項9に記載の発達障害者支援システム。
【請求項11】
発達障害者である被支援者に関する検査情報を受信する検査情報受信部と、
前記被支援者の被支援者IDと、前記被支援者に関する複数種類の検査情報を対応づけて格納する被支援者情報格納部と、
前記被支援者IDと、前記被支援者に関する検査情報へのアクセス権限を付与される支援者の支援者IDを対応づける権限情報を格納する権限情報格納部と、
検査情報の取得要求を受信する要求受信部と、
検査情報の要求者が、前記検査情報の対象となる被支援者に関してアクセス権限を付与されていることを条件として、前記検査情報を前記要求者に送信する個人情報提供部と、
被支援者に、教材コンテンツを推薦する教材推薦部と、を備え、
教材コンテンツには、複数種類の検査情報それぞれに含まれる検査項目ごとにあらかじめ評点が対応づけられており、
前記教材推薦部は、
前記被支援者に関する複数種類の検査情報から、複数の教材コンテンツそれぞれについての総合点として推薦ポイントを算出し、前記算出した推薦ポイントに基づいて前記複数の教材コンテンツから推薦すべき教材コンテンツを選択することを特徴とする発達障害者支援システム。
【請求項12】
発達障害者である被支援者の状態情報を取得する機能と、
前記被支援者の被支援者IDと、前記被支援者に関する状態情報を対応づけて格納する機能と、
前記被支援者の第1の支援者からの指示に基づいて、前記被支援者の状態情報のうちの第1の状態に対するアドバイスを対応づけて登録する機能と、
前記被支援者が第1の状態にあるとき、前記被支援者の第2の支援者に対して前記アドバイスを通知する機能と、をコンピュータに発揮させることを特徴とする発達障害者支援プログラム。
【請求項13】
発達障害者である被支援者に関する検査情報を受信する機能と、
前記被支援者の被支援者IDと、前記被支援者に関する複数種類の検査情報を対応づけて格納する機能と、
前記被支援者IDと、前記被支援者に関する検査情報へのアクセス権限を付与される支援者の支援者IDを対応づける権限情報を格納する機能と、
検査情報の取得要求を受信する機能と、
検査情報の要求者が、前記検査情報の対象となる被支援者に関してアクセス権限を付与されていることを条件として、前記検査情報を前記要求者に送信する機能と、
複数種類の検査情報それぞれに含まれる検査項目ごとにあらかじめ評点を対応づけられている教材コンテンツを対象として、
前記被支援者に関する複数種類の検査情報に基づいて複数の教材コンテンツそれぞれについての総合点として推薦ポイントを算出し、前記算出した推薦ポイントに基づいて
前記被支援者に推薦すべき教材コンテンツを選択する機能と、をコンピュータに発揮させることを特徴とする発達障害者支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発達障害者の生涯支援を促進するための技術、に関する。
【背景技術】
【0002】
自閉症、自閉スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、知的障害などを有する、いわゆる発達障害者は、周りにいる人たちの理解と支援を必要とする。
【0003】
発達障害者には、その成長段階に応じて、さまざまな検査情報が提供される。ここでいう検査情報とは、知能指数検査の報告書、学業成績、健康診断の結果など、医師や検査機関、学校などの関係者から提供される発達障害者本人に関する客観的評価である。
【0004】
多種多様な検査情報は発達障害者本人を理解する上で重要な手がかりとなる。たとえば、教師や医師などの支援者が担当変更になるときでも、検査情報をきちんと共有できれば後任者はスムーズに支援を引き継ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、検査情報は、関係者から発達障害者本人あるいはその保護者に紙書類として渡される。このため、貴重な検査情報が散逸・紛失してしまうことも多く、支援者の間で充分に情報を共有できなくなってしまうことも少なくない。
【0007】
また、検査情報として正式に記録されていない付帯的な情報もある。たとえば、「早起きが苦手」「周りが賑やかだと集中できない」といったちょっとした情報でも、本人理解の上では有用であることが多い。従来、こういった付帯的な情報は、前任者(例:小学校教師)から後任者(例:中学校教師)に直接伝えられることもあったが、保護者から後任者に伝えられることも多かった。このため、引き継ぎに際して保護者の負担が大きくなるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記課題認識に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、発達障害者に関する各種情報、特に、検査情報を集約し、プライバシーに配慮しながらこういった情報を支援者が円滑に共有するための技術、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様における発達障害者支援システムは、発達障害者である被支援者に関する検査情報を受信する検査情報受信部と、被支援者の被支援者IDと、被支援者に関する複数種類の検査情報を対応づけて格納する被支援者情報格納部と、被支援者IDと、被支援者に関する検査情報へのアクセス権限を付与される支援者の支援者IDを対応づける権限情報を格納する権限情報格納部と、検査情報の取得要求を受信する要求受信部と、検査情報の要求者が、検査情報の対象となる被支援者に関してアクセス権限を付与されていることを条件として、検査情報を要求者に送信する個人情報提供部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、発達障害者の生涯支援を促進しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】発達障害者支援システムのハードウェア構成図である。
【
図2】被支援者情報の構造を説明するための模式図である。
【
図6】検査情報を要求されたときの処理過程を示すフローチャートである。
【
図9】文字変換機能を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、発達障害者支援システム100のハードウェア構成図である。
発達障害者支援システム100は、支援サーバ200、支援者端末102a・・・支援者端末102m(以下、まとめて「支援者端末102」とよぶ)、被支援者端末104a、104b・・・被支援者端末104n(以下、まとめて「被支援者端末104」とよぶ)、関連機関106a、106b、106c(以下、まとめて「関連機関106」とよぶ)を含む。
【0013】
本実施形態において、支援を受ける発達障害者のことを「被支援者」とよぶ。被支援者またはその保護者は、被支援者端末104を使用して支援サーバ200にアクセスする。支援サーバ200は後述の各種サービスを提供する。
【0014】
関連機関106は、被支援者に関する各種検査情報を提供する「関係者」である。関連機関106は、知能指数検査を行う検査機関、健康診断を行う医療機関、被支援者が在籍する学校や企業などである。被支援者のために各種訓練を行う訓練機関も関連機関106に該当する。本実施形態においては、支援サーバ200の運営主体も後述の教材コンテンツにより被支援者に訓練機会を提供する。したがって、関係者としては、教師、医師、企業担当者、支援サーバ200の運営者などが該当する。関連機関106から支援サーバ200には各種の検査情報が送信される。
【0015】
被支援者の活動を支援する人のことを「支援者」とよぶ。支援者には、関係者の全部または一部が含まれる。支援者としては、たとえば、保護者、教師、医師、カウンセラー、支援サーバ200による支援サービスの提供者、企業担当者などが想定される。通常、1人の被支援者は複数の支援者から支援を受ける。
【0016】
支援者端末102は、支援者またはその保護者により使用される通信端末である。被支援者は被支援者IDにより識別され、支援者は支援者IDにより識別される。被支援者および支援者は、支援サーバ200にユーザ登録するときに、支援サーバ200から被支援者IDおよび支援者IDを設定される。
【0017】
支援サーバ200は、被支援者ごとに「マイページ(個人専用のページ)」を設定する。被支援者は被支援者IDおよびパスワードによりマイページにアクセスする。保護者は、被支援者が幼少のときには、被支援者に変わって被支援者IDを管理する。
【0018】
支援サーバ200は、関連機関106から検査情報を取得し、被支援者ごとに情報を集約する。このほか、支援サーバ200は、被支援者ごとに「会話グループ」を設定し、支援者同士の情報交換を可能としている。会話グループについては
図5に関連して後述する。
【0019】
支援サーバ200は、被支援者を訓練するためのウェブコンテンツとして、さまざまな「教材コンテンツ」を保有する。被支援者は、支援サーバ200から提供される教材コンテンツにより通信教育を受けることができる。教材コンテンツには、あらかじめ録画された動画もあれば、マンツーマンまたはグループでの授業を想定したライブ方式のものもある。
【0020】
図2は、被支援者情報の構造を説明するための模式図である。
支援サーバ200は、被支援者に関するさまざまな情報を一元管理する。被支援者には、プロフィール情報、検査情報(カルテ)および状態情報(バイタル)の3種類の情報が対応づけられる。被支援者に対応づけられるこれらの情報をまとめて「被支援者情報」とよぶ。
【0021】
プロフィール情報は、支援者の氏名、性別、年齢、所属など、支援者の属性を示す基本情報である。検査情報は、上述したように、健康診断書、知能検査報告書、学業成績など関連機関106から提供される情報である。被支援者の年齢に応じてさまざまな検査が行われるため、被支援者ごとに膨大な量の検査情報が蓄積される。状態情報は、被支援者本人または保護者による毎日の自己報告である。具体的には、状態情報は、体温、気分(よい、ふつう、わるい、イライラする、楽しみ)、服薬(薬をきちんと飲んだか)、食事(3食をきちんと食べたか)を含む。
【0022】
図3は、支援サーバ200の機能ブロック図である。
支援サーバ200の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0023】
支援サーバ200は、通信部110、データ処理部112およびデータ格納部114を含む。
通信部110は、通信処理を担当する。データ格納部114は各種データを格納する。データ処理部112は、通信部110により取得されたデータおよびデータ格納部114に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部112は、通信部110およびデータ格納部114のインタフェースとしても機能する。
【0024】
通信部110は、受信部116と送信部118を含む。
受信部116は、被支援者端末104等から各種データを受信する。送信部118は、被支援者端末104等に各種データを送信する。
【0025】
送信部118は、会話データ送信部120、リスト提供部122、教材提供部124、アドバイス送信部126および個人情報提供部128を含む。
会話データ送信部120は、支援者同士での会話に際して、支援者の発言内容を含む会話データを同じ会話グループにいる他の支援者(メンバー)に送信する。リスト提供部122は、教材コンテンツのリストである「教材リスト」を被支援者端末104に送信する(
図8に関連して後述)。
【0026】
教材提供部124は、教材リストから被支援者により選ばれた教材コンテンツを被支援者端末104に提供する。本実施形態においては、教材提供部124は教材コンテンツの画像データを被支援者端末104に送信する。アドバイス送信部126は、支援者に対して、被支援者の状態情報に基づくアドバイス情報を送信する。個人情報提供部128は、支援者に対して、各種の被支援者情報を提供する。
【0027】
受信部116は、検査情報受信部130、要求受信部132、状態情報受信部134および会話データ受信部136を含む。
検査情報受信部130は、関連機関106から検査情報を受信する。要求受信部132は、検査情報等の被支援者情報の取得要求を外部端末から受信する。状態情報受信部134は、被支援者から状態情報を受信する。会話データ受信部136は、会話グループにおいて支援者から会話データを受信する。
【0028】
データ格納部114は、教材コンテンツ格納部152、被支援者情報格納部154および権限情報格納部156を含む。
教材コンテンツ格納部152は、教材コンテンツを格納する。被支援者情報格納部154は、被支援者情報を格納する。権限情報格納部156は、被支援者ごとに、被支援者情報へのアクセス権限を有する支援者を特定する権限情報を格納する。
【0029】
データ処理部112は、会話グループ設定部138、権限判定部140、状態予測部142、文字変換部144、被支援者情報更新部146、教材推薦部148およびアドバイス生成部150を含む。
会話グループ設定部138は、支援者ごとに会話グループを設定する。権限判定部140は、外部端末から被支援者情報の取得要求がなされたとき、要求者に被支援者情報へのアクセス権限があるか否かを権限情報に基づいて判定する。状態予測部142は、被支援者の過去の状態情報に基づいて、現在または未来における被支援者の状態を予測する(後述)。文字変換部144は、被支援者に提供する各種情報の文字または表現を被支援者の年齢に合わせて変換する。文字変換については、
図9に関連して後述する。
【0030】
被支援者情報更新部146は、検査情報と状態情報の取得を契機として、被支援者情報格納部154における被支援者情報を更新する。教材推薦部148は、検査情報等に基づいて被支援者に推薦する教材コンテンツを選択する(後述)。アドバイス生成部150は、アドバイス情報を生成する。
【0031】
図4は、権限情報210のデータ構造図である。
権限情報210は、権限情報格納部156に格納される。権限情報210は、被支援者と支援者を対応づける。
図4において、被支援者ID=P01の被支援者(以下、「被支援者(P01)」のように表記する)には、支援者(Q01)、支援者(Q02)等の複数の支援者が対応づけられている。被支援者は支援サーバ200にユーザ登録し、支援者も支援サーバ200にユーザ登録する。被支援者またはその保護者は、自分の支援者の支援者IDを権限情報210に設定する。
【0032】
たとえば、被支援者(P01)には支援者(Q01)が対応づけられている。この場合、支援者(Q01)は被支援者(P01)の被支援者情報(検査情報等)を閲覧できる。支援者(Q03)は被支援者(P02)に対応づけられているが、被支援者(P01)には対応づけられていない。このため、支援者(Q03)は被支援者(P02)の被支援者情報を閲覧できるが、被支援者(P01)の被支援者情報を閲覧することはできない。被支援者と支援者を権限情報210において対応づけることにより、被支援者情報の閲覧対象者を制限する。支援者へ必要な情報を提供しつつも、被支援者情報の開示対象者を権限情報210によって制限することで、被支援者のプライバシーを守ることができる。
【0033】
図5は、共有画面220の画面図である。
共有画面220は、支援サーバ200から支援者端末102に提供される。共有画面220は、検査情報領域222と会話領域224を含む。検査情報領域222においては、被支援者の検査情報、たとえば、知能指数検査の報告書が表示される。ここでは、被支援者(P03)の支援者である医師(Q04)と医師(Q14)が、被支援者(P03)に関して情報共有を行っている場面を想定している。医師(Q04)は、被支援者(P03)を以前から担当していた医師であり、医師(Q14)は被支援者(P03)を新たに担当する医師である。
図5においては、医師(Q04)から医師(Q14)への情報の引き継ぎが行われている。
【0034】
医師(Q14)は、支援サーバ200に被支援者ID=P03を指定して検査情報を要求することで、被支援者(P03)の検査情報を閲覧できる。医師(Q04)も同様である。医師(Q04)と医師(Q14)はいずれも被支援者(P03)の支援者なので(
図4の権限情報210参照)、被支援者(P03)の知能指数検査報告書を共に閲覧できる。
【0035】
前任の医師(Q04)は、後任の医師(Q14)と会話領域224において会話できる。医師(Q04)は、テキストにて入力領域226にコメント(会話データ)を入力する。支援者端末102からはコメントが会話データとして支援サーバ200に送信される。支援サーバ200の会話データ受信部136は医師(Q04)会話データを受信し、会話データ送信部120はこれを他方の医師(Q14)の支援者端末102に転送する。
【0036】
会話グループ設定部138は、被支援者ごとに会話グループを設定する。たとえば、被支援者(P03)の場合、会話グループ設定部138は、被支援者(P03)、支援者(Q04)、支援者(Q14)および支援者(Q15)を対象とした会話グループを設定する(
図4参照)。
図5においては、このうち、支援者(Q04)および支援者(Q14)のみを対象とした会話グループが設定されている。
【0037】
医師(Q04)と医師(Q14)は、被支援者(P03)の知能指数検査報告書を同時に閲覧しながら、会話領域224にて情報交換できる。このため、支援者間において、検査情報等には記載されていない付帯的な情報についても、円滑に共有あるいは議論をすることができる。
【0038】
図6は、検査情報を要求されたときの処理過程を示すフローチャートである。
支援サーバ200の要求受信部132は、外部端末から、検査情報の取得要求を受信する。検査要求の取得要求には、要求者のID(支援者ID)と、検査情報の対象となる被支援者の被支援者IDが含まれる。権限判定部140は、権限情報210を参照し、要求者に検査情報へのアクセス権限があるか否かを判定する(S10)。たとえば、権限情報210によれば、被支援者(P01)の検査情報については、支援者(Q01)にはアクセス権限があるが、支援者(Q03)にはアクセス権限はない。
【0039】
アクセス権限があれば(S10のY)、個人情報提供部128は要求者(支援者)に被支援者の検査情報を送信する(S12)。アクセス権限がないときには(S10のN)、個人情報提供部128は検査情報の送信を拒否する(S14)。検査情報に限らず、状態情報など他の被支援者情報についても同様にしてアクセス制限を行う。被支援者情報は、要求者の通信端末に保存可能としてもよいし、ウェブページとしての閲覧のみを許可するとしてもよい。
【0040】
図7は、状態情報230のデータ構造図である。
状態情報230は、被支援者情報格納部154に格納される。状態情報230は、被支援者ごとに用意される。
図7は被支援者(P01)の状態情報230を示す。状態情報230は、被支援者またはその保護者により毎日入力される被支援者の心身および生活の状態を示す主観的な情報である。本実施形態における状態情報230は、「体温」「気分」「服薬」「睡眠時間」「食事」の5項目を含む。
【0041】
図8は、リスト画面160の画面図である。
リスト画面160は、被支援者端末104に表示される。リスト画面160は、被支援者に提供可能な教材コンテンツの教材リストを示す。リスト提供部122は、リスト画面160(ウェブページ)を生成し、被支援者端末104に送信する。被支援者は、リスト画面160から利用したい教材コンテンツを選択する。教材提供部124は、選択された教材コンテンツを被支援者端末104に送信する。
【0042】
教材コンテンツの一部は、あらかじめ録画された動画コンテンツとしてライブストリーミング方式により配信される。また、他の被支援者あるいは支援者とのライブ通信による授業や議論を行う教材コンテンツも用意されている。教材コンテンツとしては、たとえば、ビジネスマナー、就職面接における座り方、社会保険申請の方法、IT知識、PC操作練習、フリーディスカッション、エクササイズなどさまざまなものが用意されている。教材コンテンツの一部では課題を提示し、被支援者の課題達成度を検出するとしてもよい。
【0043】
教材推薦部148は、被支援者ごとにおすすめの教材コンテンツ(以下、「推薦コンテンツ」とよぶ)を選択する。
図8においては教材コンテンツ「グループディスカッション」が推薦コンテンツであるため、推薦マーク162が追記されている。
【0044】
教材コンテンツには検査情報に応じたポイントが設定されている。たとえば、教材コンテンツC1には「学業成績で国語の偏差値が所定閾値以上:1ポイント」「ウェイクスラー式知能検査における知覚推理指標が所定閾値以下:3ポイント」「被支援者が20歳以上25歳以下:1ポイント」のようにいくつかの採点基準が設定されている。教材推薦部148は、ある被支援者P1の検査情報について、教材コンテンツC1についてのポイントを合計し、その合計ポイントを「推薦ポイント」として算出する。教材推薦部148は、推薦ポイントが所定値以上となる教材コンテンツを推薦コンテンツとして選択する。教材推薦部148は、複数の教材コンテンツそれぞれの推薦ポイントを計算し、上位(たとえば、3位以内)の教材コンテンツを推薦コンテンツとして選択してもよい。
【0045】
教材コンテンツには「15歳以下限定」「女性限定」のようにプロフィール情報に基づく利用制限が設定されてもよい。
【0046】
教材推薦部148は状態情報に基づいて推薦コンテンツを選択してもよい。たとえば、生活習慣改善に関する教材コンテンツC2は「睡眠時間が5時間以下のとき:1ポイント」「服薬を忘れたとき:1ポイント」「睡眠時間5時間以下の日が1週間あたり3回以上:3ポイント」のように推薦ポイントを設定してもよい。教材推薦部148は、検査情報および状態情報の双方に基づいて推薦コンテンツを選択してもよい。
【0047】
状態予測部142は、状態情報の遷移履歴に基づいて現在または将来の被支援者の状態を予測することもできる。たとえば、被支援者(P03)は「睡眠不足(睡眠時間が5時間以下)」が3日以上連続したときには、イライラした気分になることが多い、という状態情報が得られていたとする。状態予測部142は、被支援者(P03)の状態情報を参照し、「睡眠不足が3日以上連続」という条件が成立しているときには、アドバイス生成部150に「本日はイライラしている可能性がある」という警告情報を通知する。アドバイス生成部150は、状態予測部142の予測に基づいて「被支援者は、本日イライラしている可能性があります」というアドバイス情報を生成する。アドバイス送信部126は、支援者にこのアドバイス情報を送信する。このような制御方法によれば、支援者は被支援者と向き合うときにあらかじめ「本日はイライラしている可能性がある」と事前に認識できるので、適切に対応しやすくなる。
【0048】
別例として、被支援者(P04)は、過去の状態情報によれば、特に気分がいい日の夜は睡眠時間が短くなる傾向があるとする。状態予測部142は、被支援者(P04)の状態情報において「気分」が「特によい」とされているときには、アドバイス生成部150に「今夜睡眠不足になる可能性」を通知する。この場合、アドバイス生成部150は「今日は早く寝るようにしましょう」といった睡眠不足予想にあらかじめ対応づけられるアドバイス情報を選択する。
【0049】
状態情報に限らず、支援者(Q01)が被支援者(P04)の様子を観察し、「本日の被支援者(P04)が躁状態にある」と支援サーバ200に入力したとき、状態予測部142はこの入力情報に基づいて睡眠不足になる可能性を予想するとしてもよい。状態予測部142の予測に基づいて、支援者(Q01)は、被支援者(P04)に今夜は早めに寝るようにアドバイスすることができる。
【0050】
図9は、文字変換機能を説明するための模式図である。
教材コンテンツに限らず、支援サーバ200から被支援者端末104にはさまざまな文字情報がウェブページとして提供される。被支援者が幼少の場合には、ウェブページの文字、特に、漢字の一部を読むことできない可能性がある。文字変換部144は、被支援者にウェブページを提供するとき、被支援者の年齢に応じてウェブページに含まれる漢字の一部をひらがなに変換する。
【0051】
たとえば、ウェブページに「知識と実践で学ぶ」という文言が含まれているとする。被支援者が15歳以上のときには文字変換部144は文字変換を実行しない。被支援者が9歳以上14歳以下のときには文字変換部144は同文を「知識と実せんで学ぶ」という文言に変換する。これは、この年代の被支援者は「践」という漢字を読めない可能性を考慮したものである。被支援者が8歳以下のときには文字変換部144は同文を「ちしきとやってみることで学ぶ」という文言に変換する。この年代の被支援者は「実践」という言葉の意味を理解できない可能性があるためである。「知識」も「ちしき」に変換される。このように、適切な文字変換を行うことにより、同一内容の情報であっても、幅広い年齢層の被支援者にわかりやすく伝えることができる。
【0052】
このほか、文字変換部144は被支援者の年齢に応じて、外来語の一部を日本語に文字変換してもよい。たとえば、文字変換部144は、被支援者が低年齢のときには「コンテンツホルダー」という用語を「コンテンツの所有者」に変換してもよい。同様にして、文字変換部144は、適宜、一部の難しい用語については脚注説明を追加してもよい。
【0053】
[総括]
以上、実施形態に基づいて発達障害者支援システム100を説明した。
少子高齢化が進行するなか、50万人ともそれ以上ともいわれる発達障害者が社会で活躍できる道をつくることは今後ますます重要になってくると考えられる。そのためには、発達障害者一人ひとりの成長過程や状況を支援者が速やかかつ確実に理解できる仕組みが必要である。
【0054】
被支援者の成長に合わせて支援者も移り変わる。長く関わる支援者もいれば、被支援者の人生の一時期にだけ関わる支援者もいる。本実施形態によれば、支援サーバ200において関連機関106から得られる検査情報、あるいは、被支援者自身の状態情報を集約することができる。このため、被支援者情報の散逸・紛失を抑制しやすくなる。
【0055】
支援サーバ200に、さまざまな被支援者情報を集約することは、発達障害者の就業支援についても有用であると考えられる。たとえば、就職の支援者は、被支援者情報に基づいて、被支援者がどんな仕事に向いているのか、どんな能力をもっているのかを理解できるので、就職のミスマッチを減らしやすくなる。
【0056】
支援サーバ200は、被支援者情報の開示範囲を権限情報210により制限できる。
図5の共有画面220に示したように、支援者は被支援者ごとに設定される会話グループにおいて自由に意見を交換できる。共有画面220に示したように検査情報等の被支援者情報を共有しながら会話をすることもできる。あるいは、会話領域224のみを表示する画面において支援者同士で意見交換することも可能である。この会話グループには、被支援者の保護者あるいは被支援者本人も参加可能である。
【0057】
会話グループ設定部138は、一人の被支援者に対して複数の会話グループを設定してもよい。会話グループ設定部138は、支援者からの要求に応じて、会話グループごとに参加可能な支援者を限定してもよい。たとえば、ある検査情報に関する会話グループについては支援者A、B、Cをメンバーとし、別の検査情報に関する会話グループについては支援者A、D、Fをメンバーとして設定してもよい。
【0058】
支援サーバ200は、ウェブコンテンツとして、さまざまな教材コンテンツを被支援者に提供できる。教材推薦部148は、被支援者の検査情報等に基づいて推薦コンテンツを特定する。たくさんの教材コンテンツを用意したときでも、教材推薦部148は検査情報等に基づいて被支援者にとって必要性の高い教材コンテンツを合理的に選ぶことができる。
【0059】
状態予測部142は、被支援者の過去または現在の情報に基づいて、被支援者の現在または将来の状態を予測できる。アドバイス生成部150はこの予測結果に基づいて支援者に適切なアドバイスをすることができる。状態の予測方法は、支援者自身が設定してもよい。たとえば、支援者Aは、被支援者Xについて「睡眠不足になると気分が安定しないことが多い」という経験則をもっているとする。支援者Aは被支援者Xについて「睡眠不足」と「気分の不安定」に因果関係があることを支援サーバ200に入力する。状態予測部142は、この入力結果を学習する。以後、状態予測部142は、被支援者Xの状態情報において睡眠不足が続いているときには、被支援者Xの気持ちが不安定になるかもしれないと予測できる。アドバイス送信部126から過去の経験に基づくアドバイスを受けることにより、被支援者Xについて十分な知識をもっていない新任の支援者Bであっても、前任の支援者Aの経験を活かすことができる。
【0060】
支援サーバ200の文字変換部144は、被支援者の年齢に応じて、文字情報の一部を変換する。文字情報の変換をすることにより、幅広い年齢層に対して同一の情報をわかりやすく伝えることができる。
【0061】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0062】
本実施形態においては、支援サーバ200は、通信ネットワークを介して、支援者端末102、被支援者端末104および関連機関106と接続されるとして説明した。支援サーバ200は、他の外部装置の機能を内蔵してもよい。たとえば、関連機関106は支援サーバ200を直接操作して、検査情報を支援サーバ200に入力してもよい。
【0063】
[変形例]
権限判定部140は、検査情報等の被験者情報を支援者に開示するとき、開示期間を設定してもよい。たとえば、権限判定部140は、被支援者(P01)の検査情報を支援者(Q01)には常時開示し、支援者(Q02)は1日に1回だけ開示し、支援者(Q05)には検査情報の要求後1時間だけ開示するとしてもよい。
【0064】
権限判定部140は、被支援者情報の種別に応じて開示範囲を設定してもよい。たとえば、権限判定部140は、被支援者(P01)の知能指数検査報告書は支援者(Q01)と支援者(Q02)のみに開示し、学業成績書は支援者(Q01)と支援者(Q12)のみに開示するとしてもよい。権限情報210においては、被支援者情報の開示範囲および開示対象となる支援者を対応づけて登録してもよい。
【0065】
このような制御方法によれば、たとえば、健康診断書については医師A(支援者)と医師B(支援者)のみに開示し、別の支援者である教師Cには非開示とすることで、被支援者のプライバシーをいっそう保護しやすくなる。権限判定部140は、開示範囲を更に詳細に制御してもよい。たとえば、権限判定部140は健康診断書のすべてを医師には開示し、健康診断書の一部のみを教師にも開示するとしてもよい。
【0066】
本実施形態においては、会話グループ設定部138は被支援者ごとに会話グループを設定し、会話グループに参加できるのは権限情報210において設定された支援者のみであるとして説明した。変形例として、支援者以外にも一時的に他のユーザに会話グループへの参加を許可してもよい。たとえば、支援者(Q04)は被支援者(P03)を支援する医師であるが、別の医師Yとも被支援者(P03)の検査情報に基づいて議論をしたい場合がある。このとき、支援者(Q04)は被支援者(P03)またはその保護者に医師Yとの一時的な検査情報共有に関する承認を求める。被支援者(P03)またはその保護者が被支援者端末104から支援サーバ200に承認情報を送信したとき、支援サーバ200の権限判定部140は医師Yを一時的に支援者として設定する。このような制御方法によれば、被支援者(P03)の検査情報に関して支援者以外の専門家とも情報共有をしながら情報交換をすることが可能となる。
【0067】
会話グループにより、被支援者が支援者と相談する機会を提供できる。たとえば、被支援者は学業のことで悩んでいるとき、教師、カウンセラーなどの支援者と共有画面220において相談することもできる。このため、支援者は被支援者と対面していないときでも被支援者と向き合うことができる。
【0068】
被支援者との初期対応はチャットボットによる自動対応であってもよい。支援サーバ200のデータ処理部112は、対話処理部(図示せず)を備えてもよい。被支援者またはその保護者は、支援サーバ200に対して質問や相談を自由に行うことができる。対話処理部は、被支援者またはその保護者からのメッセージに対して、返答のメッセージを自動的に返してもよい。
【0069】
対話処理部は、チャットボットとして被支援者から相談内容を聞き出し、複数の支援者のうち相談内容に応じて適切な支援者を選択してもよい。たとえば、服薬に関する質問がなされたときには、対話処理部は支援者の一人である医師に相談の引き継ぎを依頼してもよい。相談や質問などの初期対応はチャットボットで対応できることも多いので、このような制御方法によれば支援者の対応負担を減らす上でも有効であると考えられる。
【0070】
被支援者またはその保護者から、進路や進学についての相談がなされたとする。たとえば、被支援者から「どこの高校を受験するかを考えている」というメッセージが入力されたとする。対話処理部は、自然言語処理によりメッセージを分析し、被支援者が高校の進路に関してアドバイスを求めていることを認識する。あるいは、対話処理部は、中学生の被支援者のマイページに対して「高校受験に関する質問」というリンクを設定してもよい。被支援者がこのリンクをクリックしたとき、対話処理部は「高校受験の進路相談」と認識し、これに対応する返答メッセージを生成してもよい。
【0071】
具体的には、対話処理部は、被支援者の居住地域(プロフィール情報)および学業成績(検査情報)に基づいて、進学先候補となる高校をリストアップし、被支援者に提示してもよい。被支援者から「ブラスバンド部がある高校がいい」「共学がいい」などのリクエストを受け付けたとき、対話処理部は、更に、被支援者の提示する条件に合った高校を提示してもよい。進学・進路に限らず、対話処理部は、地域の支援機関、医療機関、求人を出している会社などの情報を被支援者に提示してもよい。
【0072】
対話処理部は、被支援者との対話履歴、プロフィール情報、状態情報、検査情報、あるいは、教材コンテンツの履修履歴に基づいて、メッセージを自動生成してもよい。たとえば、被支援者が、1ヶ月前に進路相談をしてきたとする。この場合、対話処理部は「進路は決まりましたか」というメッセージを自動生成してもよい。被支援者がテニスを始めたときには(プロフィール情報)、対話処理部は「テニスは続いていますか」「テニスは楽しいですか」というメッセージを自動生成してもよい。被支援者の睡眠時間が短いときには(状態情報)、対話処理部は「今日は疲れていませんか」など、状態情報に対応してあらかじめ用意されているメッセージを被支援者の被支援者端末104に送信してもよい。被支援者の視力が悪くなっているときには(検査情報)、対話処理部は「視力回復のために目を動かすようにしましょう」「スマートフォンを長時間見続けていませんか」といったメッセージを自動生成してもよい。このように、対話処理部は、被支援者の状況にあらかじめ対応づけられるさまざまなメッセージを選択することで、被支援者との対話を行ってもよい。対話処理部では対応しづらい相談がなされたときには、対話処理部は支援者の一人に対話履歴を送信した上で、以後の被支援者との対話を支援者に引き継いてもらってもよい。
【0073】
リスト提供部122は、被支援者に応じて教材リストをカスタマイズしてもよい。たとえば、教材コンテンツには対象年齢が設定されてもよい。リスト提供部122は、被支援者の年齢に応じて、対象年齢が該当する教材コンテンツを選びリスト画面160を生成してもよい。
【0074】
リスト提供部122は、推薦ポイントが所定値以上となる教材コンテンツのみを教材リストに載せるとしてもよい。データ処理部112は、被支援者ごとに教材コンテンツの利用歴を管理する履修管理部(不図示)を備えてもよい。履修管理部は被支援者ごとの教材コンテンツの履修歴を管理し、リスト提供部122は未履修の教材コンテンツを教材リストに載せるとしてもよい。また、履修管理部は、支援者に限って、被支援者の履修歴を開示してもよい。
【0075】
被支援者による教材コンテンツの履修歴あるいは教材コンテンツを履修したあとの成績は、検査情報の一部として被支援者情報格納部154に登録されてもよい。教材推薦部124は、教材コンテンツの履修歴あるいは成績に基づいて推薦コンテンツを選択してもよい。
【0076】
本実施形態においては、支援者は文字情報によるチャットにより意見交換するとして説明した。これに限らず、音声またはライブ動画により、支援者同士の意見交換を実現してもよい。
【符号の説明】
【0077】
100 発達障害者支援システム、102 支援者端末、104 被支援者端末、106 関連機関、110 通信部、112 データ処理部、114 データ格納部、116 受信部、118 送信部、120 会話データ送信部、122 リスト提供部、124 教材提供部、126 アドバイス送信部、128 個人情報提供部、130 検査情報受信部、132 要求受信部、134 状態情報受信部、136 会話データ受信部、138 会話グループ設定部、140 権限判定部、142 状態予測部、144 文字変換部、146 被支援者情報更新部、148 教材推薦部、150 アドバイス生成部、152 教材コンテンツ格納部、154 被支援者情報格納部、156 権限情報格納部、160 リスト画面、162 推薦マーク、200 支援サーバ、210 権限情報、220 共有画面、222 検査情報領域、224 会話領域、226 入力領域、230 状態情報