(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】液状化粧料容器
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A45D34/04 525Z
(21)【出願番号】P 2021003042
(22)【出願日】2021-01-12
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】和氣 貴男
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-192673(JP,A)
【文献】特開2019-136280(JP,A)
【文献】米国特許第06010266(US,A)
【文献】国際公開第2017/026176(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状化粧料を収納する収納室を内部に備えるスリーブと、前記スリーブの先端に設けられ内部に毛筆が収納されるビーズ部材と、前記毛筆と前記収納室とを繋ぎ前記毛筆に進入し前記収納室の前記液状化粧料を前記毛筆へ送る中継芯と、前記スリーブに着脱可能に装着されるキャップと、を備えた液状化粧料容器において、
前記ビーズ部材は、軸線方向に貫通し前記毛筆が収納され後部から前部へ亘って
徐々に縮径される貫通孔を備え、
前記ビーズ部材の前記貫通孔の前記後部の軸線方向視の形状は、凹凸が交互に連続し円環状に繋がる波形状に形成され、前記波形状の前記凸に前記毛筆が接触すると共に、前記波形状の前記凹と前記毛筆との間に隙間が形成され、
前記ビーズ部材の前記貫通孔の前記前部の軸線方向視の形状は、前記波形状の前記凸に対応する部分が、前記波形状の前記凸の曲率より小さい曲率の線とされて前記毛筆が接触すると共に、前記波形状の前記凹に対応する部分が、前記凹の曲率より小さい曲
率に丸められ、前記
凹に対応する部分と前記毛筆との間に前記隙間より小さい微小隙間が形成されていることを特徴とする液状化粧料容器。
【請求項2】
前記波形状の前記凸の曲率より小さい曲率の前記線は、曲率が0である直線であり、
前記ビーズ部材の前記貫通孔の前記前部の軸線方向視の形状は、前記直線を辺とした多角形の角をRに丸めた形状であることを特徴とする請求項1記載の液状化粧料容器。
【請求項3】
前記毛筆の根元部分には、前記毛筆を保持すると共に前記毛筆の前記根元部分より拡径された毛筆保持部が設けられ、
前記毛筆保持部を前記中継芯が貫通すると共に、前記毛筆を収納する前記ビーズ部材の後端面と前記毛筆保持部の先端面とが対面し、
前記毛筆保持部の前記先端面は、軸線方向に凹凸するように波打っていることを特徴とする請求項1又は2記載の液状化粧料容器。
【請求項4】
前記中継芯は、内部に軸線方向へ貫通する空洞を備えるプラスチック素材から形成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の液状化粧料容器。
【請求項5】
前記中継芯の先端の開口は、前記ビーズ部材の前記貫通孔の前記前部における
前記凹に対応する部分より内方へ位置していることを特徴とする請求項4記載の液状化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に収容した液状化粧料を塗布するための液状化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部に収容した液状化粧料を塗布するための塗布具として、毛筆を用いた容器が種々市場で販売されている。これらの容器においては、容器内部の液状化粧料を塗布するための毛筆と、毛筆を束ねるビーズ部材等の部材との間に隙間を設け、容器内の空気を還流させる構成を有するものが知られている。そして、このような空気還流の隙間を設けることにより、容器内の液状化粧料を毛筆へと行き渡らせることができる。
【0003】
以下の特許文献1には、棒状芯材と当該棒状芯材を保持する保持部との間で、保持部の内周面に複数の空気流通溝を設け、容器内外を連通させ空気を還流させることにより、棒状芯材に染み込んだ液状塗布材の流れを円滑にし、ペン先でのかすれや液不足を防止するものが記載されている。
【0004】
また、以下の特許文献2には、筒体内に毛筆部を保持すると共に、筒体の内周壁先端部の円周に複数のクサビ状の突起を設け、これらの突起を毛筆部に入り込ませることにより、毛筆部を分割するような深い割溝(空気還流溝)を形成し、この割溝を通りながら液状アイライナーを毛筆部全体に行き渡させるものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6425293号
【文献】実開昭63-5910
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にあっては、保持部に設けられた複数の空気流通溝に毛筆の一部が入り込み、毛筆の先端がばらけてしまい、塗布に支障が生じるという問題がある。
【0007】
また、特許文献2にあっては、毛筆部を動かして描画する際に、毛筆部の毛が突起に引っ掛かって描画し難く、やはり塗布に支障が生じるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、毛筆による描画がしやすいと共に、液状化粧料を効率良く毛筆へ供給できる液状化粧料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による液状化粧料容器は、液状化粧料を収納する収納室を内部に備えるスリーブと、スリーブの先端に設けられ内部に毛筆が収納されるビーズ部材と、毛筆と収納室とを繋ぎ毛筆に進入し収納室の液状化粧料を毛筆へ送る中継芯と、スリーブに着脱可能に装着されるキャップと、を備えた液状化粧料容器において、ビーズ部材は、軸線方向に貫通し毛筆が収納され後部から前部へ亘って徐々に縮径される貫通孔を備え、ビーズ部材の貫通孔の後部の軸線方向視の形状は、凹凸が交互に連続し円環状に繋がる波形状に形成され、波形状の凸に毛筆が接触すると共に、波形状の凹と毛筆との間に隙間が形成され、ビーズ部材の貫通孔の前部の軸線方向視の形状は、波形状の凸に対応する部分が、波形状の凸の曲率より小さい曲率の線とされて毛筆が接触すると共に、波形状の凹に対応する部分が、凹の曲率より小さい曲率に丸められ、凹に対応する部分と毛筆との間に上記隙間より小さい微小隙間が形成されていることを特徴としている。
【0010】
このような液状化粧料容器によれば、毛筆が収納されるビーズ部材には、後部から前部へ亘って孔形状が狭まる貫通孔が設けられている。ビーズ部材の貫通孔の後部の軸線方向視の形状は、凹凸が交互に連続し円環状に繋がる波形状に形成されている。このため、毛筆の形状をその断面が真円で先端に向かうに従い先細となる一般的な形状とすると、波形状の凸に毛筆が接触し程良く締め付けられると共に、毛筆が波形状の凸に押されて凸の両側の凹へ移動し連なるようにして並び、並んでいる毛筆と凹との間に比較的大きな隙間が形成される。この隙間が、毛細管力により液状化粧料を十分に溜めることができる液状化粧料溜まりとされ、前方へ延びている。ビーズ部材の貫通孔の前部の軸線方向視の形状は、波形状の凸に対応する部分が、波形状の凸の曲率より小さい曲率の線とされて毛筆が接触するため、毛筆は適度に押さえられる。波形状の凹に対応する部分は、波形状の凹の曲率より小さい曲率のRに丸められているため、Rと毛筆との間に上記隙間より小さい微小隙間が形成される。この微小隙間は毛筆を移動させ得る許容空間とされ、毛筆が適度に移動し動きやすくされると共にRにより毛筆の毛(繊維)の引っ掛かりが防止される。すなわち、描画の際に、毛筆は、ビーズ部材の貫通孔の前部において波形状の凸の曲率より小さい曲率の線により適度に押さえられながら、微小隙間を動くことができ、毛筆を隙間なく押さえた場合に生じる毛筆先端のばらつきや、隙間が大きすぎると生じる毛筆のぶれ過ぎによる乱れや、突起等による毛筆の引っ掛かりを防止しつつ、良好な描画が可能とされる。また、ビーズ部材と毛筆との間の微小隙間と液状化粧料溜まりとなる隙間とは連通されて空気還流隙間が形成されるため、液状化粧料溜まりの液状化粧料を効率良く毛筆へ供給することができる。
【0011】
ここで、上記作用を効果的に奏する構成としては、具体的には、波形状の凸の曲率より小さい曲率の線は、曲率が0である直線であり、ビーズ部材の貫通孔の前部の軸線方向視の形状は、直線を辺とした多角形の角をRに丸めた形状が挙げられる。このような構成によれば、多角形の辺に毛筆が接触するため、より好適に毛筆を押さえることができる。
【0012】
また、毛筆の根元部分には、毛筆を保持すると共に毛筆の根元部分より拡径された毛筆保持部が設けられ、毛筆保持部を中継芯が貫通すると共に、毛筆を収納するビーズ部材の後端面と毛筆保持部の先端面とが対面し、毛筆保持部の先端面は、軸線方向に凹凸するように波打っていると、対面するビーズ部材の後端面と毛筆保持部の波打つ先端面との間に周方向に連続する隙間が形成され、この隙間により外部と液状化粧料溜まりとの連通の度合いがより高められ、一層効率良く毛筆へ液状化粧料を供給できる。
【0013】
また、中継芯は、内部に軸線方向へ貫通する空洞を備えるプラスチック素材から形成されていると、パール剤のように粒径が大きいものが用いられている液状化粧料や、粘度が高い液状化粧料を、毛細管力により好適に空洞を通し毛筆へ供給できる。
【0014】
また、中継芯の先端の開口は、ビーズ部材の貫通孔の前部における凹に対応する部分より内方へ位置しているのが好ましい。このような構成を採用した場合、描画の際に、毛筆が、微小隙間で移動し(ばたつき)、プラスチック素材から形成された中継芯の先端の開口に当たることにより、毛筆の中継芯の先端の開口に対する接触範囲が拡大し、液状化粧料の中継芯の先端の開口からの流出が促され、毛筆に液状化粧料が伝達しやすくなり、綺麗な描画が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
このように本発明によれば、毛筆による描画がしやすいと共に、液状化粧料を効率良く毛筆へ供給できる液状化粧料容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る液状化粧料容器を示す縦断面図である。
【
図2】
図1中の毛筆、毛筆保持部、ビーズ部材及び中継芯を示す縦断面図である。
【
図3】
図2を周方向に22.5°回転した位置での断面図である。
【
図4】
図1中の毛筆、毛筆保持部、ビーズ部材及び中継芯を示す側面図である。
【
図7】
図5中のVII-VII線に沿う断面図である。
【
図9】
図1中の毛筆及び毛筆保持部を示す側面図である。
【
図10】
図9に示す毛筆及び毛筆保持部の斜視図である。
【
図11】
図2中のXI-XI線に沿う断面図である。
【
図12】
図2中のXII-XII線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による液状化粧料容器の好適な実施形態について
図1~
図12を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る液状化粧料容器を示す縦断面図、
図2~
図4は、毛筆、毛筆保持部、ビーズ部材及び中継芯を示す各図、
図5~
図8は、ビーズ部材を示す各図、
図9及び
図10は、毛筆及び毛筆保持部を示す各図、
図11は、
図2中のXI-XI線に沿う断面図、
図12は、
図2中のXII-XII線に沿う断面図であり、本実施形態の液状化粧料容器は、液状化粧料を被塗布部である皮膚等に塗布する際に用いられるものであって、特に、アイライナーのように瞼に細い線を描いたり、アイブロウのように眉毛の細い線を描くのに好適なものである。なお、液状化粧料は、アイライナーやアイブロウに限定されるものではなく、他の液状化粧料であっても良い。
【0018】
図1に示すように、液状化粧料容器100は、全体形状が筆記具の如き細長い丸棒状を呈するものであり、円筒状をなし、液状化粧料Lを収納する収納室1aを内部に備えるスリーブ1と、スリーブ1の先端側に配置され、液状化粧料Lを被塗布部に塗布するための毛筆2と、スリーブ1の先端に設けられ、毛筆2が内部に収納される円筒状のビーズ部材(毛筆ホルダ)3と、スリーブ1内に配置され、収納室1aと毛筆2を結ぶ軸状の中継芯4と、中継芯4を囲繞するように配置された略円筒状のジャバラ部材5と、を概略備えている。なお、ここでは、使用者がスリーブ1を持って塗布しやすいように、スリーブ1に対して、長尺な有底円筒状の把持筒6が着脱可能に装着されている。
【0019】
スリーブ1は、例えばPP等からなり、鍔付きで先細の円筒状に構成される。スリーブ1の外周面に設けられた鍔部1bの後端面には、把持筒6の先端面が突き当てられ、鍔部1bの先端面には、スリーブ1に装着されたキャップ7の開放端面が突き当てられる。また、スリーブ1の後端の開口は、有底円筒状の尾栓8を差し込み装着することにより閉じられている。
【0020】
スリーブ1の前側には、毛筆2等を保護するための有底円筒状のキャップ7が嵌合により着脱自在に装着されている。キャップ7内には、コイルバネ9によりスリーブ1側に付勢される内キャップ7aが設けられる。キャップ7及び内キャップ7aは、例えばPP等からなり、キャップ7の装着時にあっては、内キャップ7aがコイルバネ9の付勢力によりスリーブ1の先端側の先細の外周面に密着して気密を確保し液状化粧料成分の揮発を抑制する。
【0021】
ジャバラ部材5は、液状化粧料Lの液量を調節するためのもので、例えばPP等からなる。ジャバラ部材5は、液状化粧料Lを含む溝(ジャバラ)を有し、その円筒状の後端部5aが、スリーブ1の内周面の凹部1cに嵌合することにより、スリーブ1に装着される。そして、スリーブ1内のジャバラ部材5の後端部5aと尾栓8との間に上記収納室1aが形成されており、この収納室1aに液状化粧料Lが充填されている。なお、収納室1aには、液状化粧料Lを撹拌するための撹拌球10が収容されている。
【0022】
中継芯4は、ここでは、プラスチック素材から形成されている。中継芯4は、長尺の円柱体に形成されると共に、先端部にあっては、先端側へ向かって徐々に先細となる尖鋭な円錐形状に構成されている。中継芯4の長尺な円柱体の部分は、ジャバラ部材5の筒孔を通過するように軸線方向に延在し、中継芯4の軸線方向中程部分が、ジャバラ部材5の溝より前側の部分と嵌合することにより、ジャバラ部材5に装着されている。
【0023】
中継芯4には、
図2、
図3、
図11及び
図12に示すように、内部に軸線方向へ貫通する空洞4aが複数個形成され、ここでは、2個が対向するように形成されている。中継芯4は、
図1に示すように、その後端部が、収納室1aに進入し液状化粧料Lに浸漬すると共に、その先端部が毛筆2内に進入して当該毛筆2と接触し、収納室1aと毛筆2とを繋いでいる。
【0024】
空洞4aは、収納室1aの液状化粧料Lに対して毛細管現象を発現し、液状化粧料Lを中継芯4の先端へ送り出す。中継芯4の毛筆2に進入している先端部は、
図2及び
図3に示すように、尖鋭な円錐形状とされている。このため、空洞4aの先端の開口4bは、傾斜する略楕円(略長円)形状として軸線方向に細長くされ、毛筆2と接触した状態となっている。
【0025】
毛筆2は、例えばPBT等からなり、多数の毛(繊維)を束ねたものであり、その断面は略真円で、
図9及び
図10に示すように、先端に向かうに従い徐々に先細となり尖鋭な先端を有する一般的な略円錐形状とされている。毛筆2の根元部分(後端部)には、毛筆2を溶着により保持し毛筆2の根元部分より拡径された毛筆保持部11が設けられている。毛筆保持部11は、略円板状に形成され、その中央には、中継芯4を通すための貫通孔(
図2及び
図3参照)が形成されている。毛筆保持部11の先端面11aは、軸線方向に凹凸するように周方向に沿って波打っている。
【0026】
ビーズ部材3は、例えばPP等からなり、
図5~
図8に示すように、略円筒状に構成される。ビーズ部材3は、先端部が多少先細とされると共に、後端部に拡径する段部3aを有する。ビーズ部材3の外周面の対向する位置には、後方へ開放されて前方へ延び先細の先端から前方へ開放される溝3yが設けられる。
【0027】
また、ビーズ部材3は、軸線方向に貫通し、後端から先端に亘って孔形状が連続して狭まる貫通孔(筒孔)3bを、毛筆2を収納するものとして備えている。
【0028】
図8に示すように、ビーズ部材3の貫通孔3bの後部(後端縁)の軸線方向視の形状は、凹凸が交互に連続し円環状に繋がる波形状3cに形成されている。ここでは、凸3dより凹3eの方が多少曲率が大きくされている。この貫通孔3bの後部の波形状3cは、
図7及び
図8に示すように、先端に行くに従って徐々に縮径され凹凸がなだらかにされていき、先端から所定距離後方位置3fまでは同形状とされている。
【0029】
ビーズ部材3の貫通孔3bの先端から所定距離後方位置3fまで、すなわちビーズ部材3の貫通孔3bの前部3xの軸線方向視の形状は、
図5及び
図8に示すように、後端の波形状3cの凸3dに対応する部分が、波形状3cの凸3dの曲率より小さい曲率の線とされ、ここでは、特に、曲率が0である直線3gとされている。また、ビーズ部材3の貫通孔3bの前部3xにおいて波形状3cの凹3eに対応する部分は、凹3eの曲率より小さい曲率のRに丸められている。すなわち、ここでは、直線の辺3gを有する8角形の角をRに丸めた形状とされている。
【0030】
図1に示すように、ビーズ部材3は、その先端部が、スリーブ1から前方へ突出すると共に、先端部より後側の部分が、スリーブ1の先端部内に進入し、その段部3aが、スリーブ1の先端部において内方へ突出し周方向に沿って複数(ここでは4個)設けられた突出部1dの後側に位置し対面している。
【0031】
ビーズ部材3は、ジャバラ部材5がスリーブ1に対して装着されることにより、毛筆保持部11を介して、その段部3aが軸線方向先端側に押圧され、スリーブ1の突出部1dに当接することにより、軸線方向に移動不能に装着される。従って、毛筆保持部11は、ジャバラ部材5の先端面とビーズ部材3の後端面との間に挟持され軸線方向に移動不能とされる。
【0032】
この状態で、ビーズ部材3の貫通孔3bに毛筆2が収納されており、後部(後端)においては、
図2及び
図11に示すように、波形状3cの凸3dに毛筆2が接触し程良く締め付けられると共に、
図11に示すように、毛筆2が波形状3cの凸3dに押されて凸3dの両側の凹3eへ移動し連なるようにして並び、並んでいる毛筆2と凹3eとの間に比較的大きな隙間S1が形成される(
図3も参照)。この隙間S1が、毛細管力により液状化粧料Lを十分に溜めることができる液状化粧料溜まりとされる。この隙間S1は、ビーズ部材3の前部へと延びている。
【0033】
図7に示すように、ビーズ部材3の貫通孔3bの先端から離れた所定距離後方位置3fにおいては、
図2及び
図12に示すように、8角形の辺3gに毛筆2が接触し、毛筆2は適度に押さえられる。
図12に示すように、8角形の角はRに丸められているため、Rと毛筆2との間には、上記隙間S1に連通し上記隙間S1より小さい微小隙間S2が形成される(
図3も参照)。この微小隙間S2は毛筆2を移動させ得る許容空間とされている。
図2及び
図3に示すように、毛筆2は、先端に行くに従い先細とされているため、毛筆2は、辺3gに接触してから前方へ向かいに従い辺3gとの接触がなくなっていき、ビーズ部材3の貫通孔3bと毛筆2との隙間は徐々に大きくなっていく。
【0034】
この状態で、
図1に示すように、ビーズ部材3の外周面の溝3yは、スリーブ1の内外を連通する空気流通溝とされている(
図2、
図5及び
図6参照)。
【0035】
また、この状態で、
図4に示すように、ビーズ部材3の後端面と、これに対面する毛筆保持部11の波打つ先端面11aとの間には、周方向に連続する隙間S3が形成され、この隙間S3により、空気流通溝3y(
図1及び
図2参照)を介して外部と隙間S1(
図3及び
図11参照)との連通の度合いがより高められている。
【0036】
また、この状態で、
図3に示すように、中継芯4の先端の開口4bは、ビーズ部材3の貫通孔3bにおける8角形の角を丸めたRより内方へ位置している(
図7に示す位置3fより内方へ位置している)。
【0037】
このような液状化粧料容器100によれば、ビーズ部材3の貫通孔3bの後部において、
図11に示すように、波形状3cの凸3dに毛筆2が接触し程良く締め付けられると共に、毛筆2が波形状3cの凸3dに押されて凸3dの両側の凹3eへ移動し連なるようにして並び、並んでいる毛筆2と凹3eとの間に、液状化粧料溜まりとなる隙間S1が形成される。
【0038】
ビーズ部材3の貫通孔3bの先端から離れた所定距離後方位置3fにおいては、
図12に示すように、波形状3cの凸3dに対応する部分が、波形状3cの凸3dの曲率より小さい曲率0である線(8角形の辺)3gとされて毛筆2が接触し、毛筆2は適度に押さえられると共に、波形状3cの凹3eに対応する部分が、波形状3cの凹3eの曲率より小さい曲率のRに丸められ、Rと毛筆2との間に隙間S1より小さい微小隙間S2が形成され、毛筆2を移動させ得る許容空間とされるため、毛筆2が適度に移動し動きやすくされると共にRにより毛筆2の毛の引っ掛かりが防止されている。すなわち、描画の際に、毛筆2は、8角形の辺3gにより適度に押さえられながら、微小隙間S2を動くことができ、毛筆2を隙間なく押さえた場合に生じる毛筆先端のばらつきや、隙間が大きすぎると生じる毛筆のぶれ過ぎによる乱れや、突起等による毛筆2の引っ掛かりを防止しつつ、良好な描画が可能とされている。
【0039】
また、
図3に示すように、ビーズ部材3と毛筆2との間の微小隙間S2と隙間S1とは連通されて空気還流隙間が形成されているため、液状化粧料溜まりの液状化粧料Lを効率良く毛筆2へ供給することができる。
【0040】
また、
図9及び
図10に示すように、毛筆2の根元部分には、毛筆2を保持すると共に毛筆2の根元部分より拡径された毛筆保持部11が設けられ、
図4に示すように、毛筆保持部11を中継芯4が貫通すると共に、毛筆2を収納するビーズ部材3の後端面と毛筆保持部11の先端面11aとが対面し、毛筆保持部11の先端面11aは、軸線方向に凹凸するように波打っており、対面するビーズ部材3の後端面と毛筆保持部11の波打つ先端面11aとの間に周方向に連続する隙間S3が形成され、この隙間S3により外部と隙間S1との連通の度合いがより高められているため、一層効率良く毛筆2へ液状化粧料を供給できる。
【0041】
また、中継芯4は、
図2、
図3、
図11及び
図12に示すように、内部に軸線方向へ貫通する空洞4aを備えるプラスチック素材から形成されているため、パール剤のように粒径が大きいものが用いられている液状化粧料Lや、粘度が高い液状化粧料Lを、毛細管力により好適に空洞4aを通し毛筆2へ供給できる。
【0042】
また、
図3に示すように、中継芯4の先端の開口4bは、ビーズ部材3の貫通孔3bにおいて波形状3cの凹3eの曲率より小さい曲率のRより内方へ位置しているため、描画の際に、毛筆2が、微小隙間S2で移動し(ばたつき)、プラスチック素材から形成された中継芯4の先端の開口4bに当たることにより、毛筆2の中継芯4の先端の開口4bに対する接触範囲が拡大し、液状化粧料Lの中継芯4の先端の開口4bからの流出が促され、毛筆2に液状化粧料Lが伝達しやすくなり、綺麗な描画が可能とされている。
【0043】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好ましいとして、中継芯4の空洞4aを2個としているが、複数個であれば好ましく1個でも良い。
【0044】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、ビーズ部材3の貫通孔3bの8角形の角をRに丸めた形状は、ビーズ部材3の貫通孔3bの先端から所定距離後方位置3fまでの形状としているが、ビーズ部材3の後端からの貫通孔3bが先端まで縮径していき、ビーズ部材3の貫通孔3bの先端のみの形状とし、この先端面の8角形の辺3gに毛筆2を接触させるようにしても良い。
【0045】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、ビーズ部材3の貫通孔3bの前部3xの軸線方向視の形状を、8角形の角がRに丸められた形状としているが、8角形以外の多角形形状であれば良い。また、ビーズ部材3の貫通孔3bの前部3xの軸線方向視の多角形の辺3gを、波形状3cの凸3dの曲率より小さい曲率の線としても良い。
【0046】
また、上記実施形態においては、液状化粧料Lを直接収納室1aに収納し、ジャバラ部材5により液状化粧料Lの液量を調節しながら中継芯4を介して毛筆2へ供給する所謂直液式を採用しているが、ジャバラ部材5がなく、液状化粧料Lを含浸した中綿(含浸体)を収納室に収納し、中綿の液状化粧料Lを中継芯4を介して毛筆2へ供給する所謂中綿式に対しても適用可能である。
【0047】
また、上記実施形態においては、中継芯4を、軸線方向へ貫通する空洞4aを備えるプラスチック素材から形成しているが、例えば、従来良く用いられているように、PTE等の樹脂を接着用樹脂により固め、固められた繊維束の外周面、後端面、先端面を、上記実施形態と同様な形状に研磨し、繊維間を通して毛細管現象を発現する中継芯としても良い。この場合には、液状化粧料Lは、中継芯4の外周面からも毛筆2へと浸透して出ていく。
【0048】
また、上記実施形態においては、プラスチック素材より形成される中継芯4の内部に、軸線方向へ貫通する空洞4aを備えているが、外周に、軸線方向に延び先端及び後端が外部へ開放された溝を有する中継芯であっても良い。
【0049】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、スリーブ等の外形形状を円形としているが、角形、扁平形、楕円等種々の中から適宜採用できる。
【符号の説明】
【0050】
1…スリーブ、1a…収納室、2…毛筆、3…ビーズ部材、3b…貫通孔、3c…波形状、3d…凸、3e…凹、3g…辺(線)4…中継芯、4a…空洞、4b…開口、7…キャップ、11…毛筆保持部、11a…先端面、100…液状化粧料容器、L…液状化粧料、S1…隙間、S2…微小隙間。