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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】横形製袋充填機
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/00 20060101AFI20240829BHJP
   B65B 9/207 20120101ALI20240829BHJP
【FI】
B65B57/00 A
B65B57/00 H
B65B9/207
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021170510
(22)【出願日】2021-10-18
(65)【公開番号】P2023060747
(43)【公開日】2023-04-28
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】村井 義生
(72)【発明者】
【氏名】矢野 真理
(72)【発明者】
【氏名】生田 俊八
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-057708(JP,A)
【文献】特開2004-059142(JP,A)
【文献】特開平08-058705(JP,A)
【文献】特公平05-075616(JP,B1)
【文献】特開2001-261011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/00
B65B 9/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に成形されたフィルムをフィルム搬送手段により搬送しつつ筒状フィルム中に、供給手段によって物品を順次供給し、前記筒状フィルムの搬送路を挟んで対向配置されたシール体によって、前記筒状フィルムにおける物品の前後位置を挟持してエンドシールを施す横形製袋充填機において、
前記供給手段から筒状フィルムに向けて供給される物品の長さと物品の搬送間隔を検出する検出手段を備え、
該検出手段は、検出した物品の長さおよび搬送間隔に応じて、各物品の前後位置で筒状フィルムを挟持して順次エンドシールを施すよう前記シール体を動作制御する制御手段を含み、
該制御手段は、前記検出手段により前記物品の搬送間隔が既定値より大であることを検出すると、その間隔を検出した前後物品の内で前側の物品を、前記供給手段により前記筒状フィルム中の受渡し位置まで送り込んで、前記フィルム搬送手段による前記フィルムの搬送を停止すると共に、前記シール体の動作を停止する際に、前記検出手段で検出されて筒状フィルム中に供給されている長さの異なる複数の物品の長さとの関係により算出されシール体の予測停止位置が、該シール体によりフィルムに悪影響を及ぼす停止位置となる場合は、前記シール体の動作を、運転時における前記フィルム搬送手段との同期を外して、該シール体をフィルムへの熱による悪影響を及ぼさないオフセット位置として停止するよう、シール体を動作制御するようにした
ことを特徴とする横形製袋充填機。
【請求項2】
前記制御手段は、算出した前記シール体の予測停止位置が、シール体のシール面が最も離間する位置から前記筒状フィルムを挟持する噛合区間に至る前のシール体の動作期間内で、フィルムに悪影響を及ぼす停止位置となる場合は、前記予測停止位置に対して前記噛合区間まで至るまでのシール体の前方オフセット位置を求めて、該前方オフセット位置で前記シール体を停止し、
算出した前記予測停止位置が、前記噛合区間を過ぎた後のシール体のシール面が最も離間する位置まで至るまでの動作期間内で、フィルムに悪影響を及ぼす停止位置となる場合は、前記予測停止位置に対して前記噛合区間以降のシール体の後方オフセット位置を求めて、該後方オフセット位置で前記シール体を停止し、
算出した前記予測停止位置が、前記噛合区間となる場合は、前記噛合区間を過ぎるまでフィルム搬送を行いつつシール体が噛合区間を過ぎた動作期間内におけるシール体の後方オフセット位置を求めて、該後方オフセット位置で前記シール体を停止するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の横形製袋充填機。
【請求項3】
前記供給手段は、長さの異なる物品を載置して搬送するプールコンベヤと、該プールコンベヤから受け取った物品を、フィルム搬送速度と同速度で筒状フィルムに向けて供給する分離コンベヤと、を備え、
前記分離コンベヤから前記筒状フィルムに向けて供給される物品の長さおよび物品の搬送間隔を前記検出手段で検出し、その検出結果により前記制御手段は、前記分離コンベヤから筒状フィルム中へ供給された物品の前後位置を前記シール体で挟持して筒状フィルムにエンドシールを施すよう、フィルム搬送およびシール体の動作を制御するよう構成したことを特徴とする請求項1または2記載の横形製袋充填機。
【請求項4】
押送部材で押送する物品を前記検出手段で検出して前記筒状フィルム中に供給するよう構成され、
前記押送部材で押送されるべき物品の有無および押送されている物品の長さを前記検出手段で検出し、その検出結果により前記制御手段は、前記筒状フィルム中の各物品間において前記シール体によってエンドシールを施すよう、フィルム搬送およびシール体の動作を制御するよう構成したことを特徴とする請求項1または2記載の横形製袋充填機。
【請求項5】
前記シール体の動作サイクルにおいて、前記シール体で筒状フィルムを挟持する噛合区間および該噛合区間の前後においてフィルムへ悪影響を及ぼす区間を夫々設定する設定手段を備え、
前記制御手段は、前記設定手段による設定値に基づいて前記予測停止位置が、フィルムに悪影響を及ぼす停止位置かを判定するよう構成したことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の横形製袋充填機。
【請求項6】
前記設定手段は、前記オフセット位置を定めるオフセット値を設定し得るよう構成したことを特徴とする請求項5記載の横形製袋充填機。
【請求項7】
前記設定手段は、包装品種毎に、前記オフセット値を設定し得るよう構成したことを特徴とする請求項6記載の横形製袋充填機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長さの異なる物品がランダムな間隔で供給されても、物品の長さに応じた袋長さで包装するようにした横形製袋充填機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
横形製袋充填機(包装機)では、筒状に成形された筒状フィルム中に物品を順次供給すると共に、該筒状フィルムにおける長手方向両端縁部を重ね合わせた重合部にセンターシールを施した後に、筒状フィルム中に供給された物品を挟む前後で夫々フィルム搬送方向と交差する方向にエンドシール・切断を施すことで、ピロー包装品が得られる。このような包装機では、供給コンベヤの搬送終端から筒状フィルムへ物品を送り込む位置からエンドシール装置までの距離は機械毎に定まっており、筒状フィルムを加熱してエンドシールするシール体の動作位置との関係で包装機の停止時におけるシール体の停止位置が、フィルムに接触した位置等、シール体の熱によってフィルムに悪影響を及ぼす位置で停止状態になってしまう場合がある。
【0003】
そこで、包装機が運転を停止する時に、シール体の停止位置がシール体の熱によってフィルムに悪影響を及ぼす位置となる場合は、フィルムに悪影響を及ぼさない位置までシール体を移動して停止する提案がなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4497363号公報
【文献】特許第5955542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
長さが異なる物品をランダムに受け入れて、その長さに対応したピロー包装品を得るように包装するに際し、包装機の供給コンベヤを停止することなく、受け入れ間隔が異なる物品の受け入れを継続して行う場合がある。このような場合は、物品の通過をセンサで検出し、検出された物品の長さと、物品の受け入れ間隔とに応じて筒状フィルムに供給される各物品間隔の中間位置においてエンドシールするため、フィルムの搬送とシール体の動作を一時的に停止させる必要がある。また、検出された物品の長さが異なる場合には、供給コンベヤから筒状フィルムへ物品を受け渡す位置からエンドシール装置までの距離との関係で、シール体の停止位置は物品長さによってその都度異なることとなり、フィルムに悪影響を与える位置でシール体が停止するのを避けることができない。特許文献1、2に開示の包装機では、長さが異なる物品をランダムに受け入れて包装する場合において、シール体の一時的な停止位置が、物品長さによってその都度異なる構成においてまでも考慮されたものではなかった。
【0006】
本発明は、長さの異なる物品がランダムに送り込まれ、その物品の搬送間隔が広く、フィルム搬送とシール体の動作を一時的に停止する必要がある場合に、シール体の停止位置を、フィルムに悪影響を及ぼすことがない停止位置にすることができる横形製袋充填機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に係る発明の横形製袋充填機は、
筒状に成形されたフィルム(12a)をフィルム搬送手段(22)により搬送しつつ筒状フィルム(12a)中に、供給手段(18)によって物品(16)を順次供給し、前記筒状フィルム(12a)の搬送路を挟んで対向配置されたシール体(24a,24b)によって、前記筒状フィルム(12a)における物品(16)の前後位置を挟持してエンドシールを施す横形製袋充填機において、
前記供給手段(18)から筒状フィルム(12a)に向けて供給される物品(16)の長さと物品(16)の搬送間隔を検出する検出手段(30,40)を備え、
該検出手段(30,40)は、検出した物品(16)の長さおよび搬送間隔に応じて、各物品(16)の前後位置で筒状フィルム(12a)を挟持して順次エンドシールを施すよう前記シール体(24a,24b)を動作制御する制御手段(40)を含み、
該制御手段(40)は、前記検出手段(30,40)により前記物品(16)の搬送間隔が既定値より大であることを検出すると、その間隔を検出した前後物品の内で前側の物品(16)を、前記供給手段(18)により前記筒状フィルム(12a)中の受渡し位置まで送り込んで、前記フィルム搬送手段(22)による前記フィルム(12a)の搬送を停止すると共に、前記シール体(24a,24b)の動作を停止する際に、前記検出手段(30,40)で検出されて筒状フィルム(12a)中に供給されている長さの異なる複数の物品(16)の長さとの関係により算出されシール体(24a,24b)の予測停止位置が、該シール体(24a,24b)によりフィルム(12a)に悪影響を及ぼす停止位置となる場合は、前記シール体(24a,24b)の動作を、運転時における前記フィルム搬送手段(22)との同期を外して、該シール体(24a,24b)をフィルムへの熱による悪影響を及ぼさないオフセット位置として停止するよう、シール体(24a,24b)を動作制御するようにしたことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、長さが異なる物品がランダムな間隔で供給される場合に、検出手段により物品の搬送間隔が既定値より大であることが検出されて、フィルム搬送とシール体の動作を停止する際には、シール体の停止位置を、フィルムに悪影響を及ぼすことがない停止位置にすることができる。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記制御手段(40)は、算出した前記シール体(24a,24b)の予測停止位置が、シール体(24a,24b)のシール面が最も離間する位置から前記筒状フィルム(12a)を挟持する噛合区間(B-C)に至る前のシール体(24a,24b)の動作期間内で、フィルムに悪影響を及ぼす停止位置となる場合は、前記予測停止位置に対して前記噛合区間(B-C)まで至るまでのシール体(24a,24b)の前方オフセット位置を求めて、該前方オフセット位置で前記シール体(24a,24b)を停止し、
算出した前記予測停止位置が、前記噛合区間(B-C)を過ぎた後のシール体(24a,24b)のシール面が最も離間する位置まで至るまでの動作期間内で、フィルムに悪影響を及ぼす停止位置となる場合は、前記予測停止位置に対して前記噛合区間(B-C)以降のシール体(24a,24b)の後方オフセット位置を求めて、該後方オフセット位置で前記シール体(24a,24b)を停止し、
算出した前記予測停止位置が、前記噛合区間(B-C)となる場合は、前記噛合区間(B-C)を過ぎるまでフィルム搬送を行いつつシール体(24a,24b)が噛合区間(B-C)を過ぎた動作期間内におけるシール体(24a,24b)の後方オフセット位置を求めて、該後方オフセット位置で前記シール体(24a,24b)を停止するよう構成したことを特徴とする。
請求項2に係る発明によれば、予測停止位置がシール体の噛合区間になる場合には、筒状フィルムを挟持しているシール体が噛合区間を過ぎるまでフィルム搬送を継続するので、停止したフィルムをシール体で挟んで引き伸ばしたり、引き千切ってしまったりするような不具合を防ぐことができる。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記供給手段(18)は、長さの異なる物品(16)を載置して搬送するプールコンベヤ(26)と、該プールコンベヤ(26)から受け取った物品(16)を、フィルム搬送速度と同速度で筒状フィルム(12a)に向けて供給する分離コンベヤ(28)と、を備え、
前記分離コンベヤ(28)から前記筒状フィルム(12a)に向けて供給される物品(16)の長さおよび物品(16)の搬送間隔を前記検出手段(30,40)で検出し、その検出結果により前記制御手段(40)は、前記分離コンベヤ(28)から筒状フィルム(12a)中へ供給された物品(16)の前後位置を前記シール体(24a,24b)で挟持して筒状フィルム(12a)にエンドシールを施すよう、フィルム搬送およびシール体(24a,24b)の動作を制御するよう構成したことを特徴とする。
請求項3に係る発明によれば、長さが異なる物品がランダムに供給されても、各物品の長さに応じて良好に包装運転を行うことができる。
【0010】
請求項4に係る発明では、押送部材(62)で押送する物品(16)を前記検出手段(30,40)で検出して前記筒状フィルム(12a)中に供給するよう構成され、
前記押送部材(62)で押送されるべき物品(16)の有無および押送されている物品(16)の長さを前記検出手段(30,40)で検出し、その検出結果により前記制御手段(40)は、前記筒状フィルム(12a)中の各物品(16)間において前記シール体(24a,24b)によってエンドシールを施すよう、フィルム搬送およびシール体(24a,24b)の動作を制御するよう構成したことを特徴とする。
請求項4に係る発明によれば、長さが異なる物品であっても所定間隔毎に押送して供給するので、各物品の長さおよび押送物品の欠落を良好に検出でき、その検出結果により安定的な包装運転を行うことができる。
【0011】
請求項5に係る発明では、前記シール体(24a,24b)の動作サイクルにおいて、前記シール体(24a,24b)で筒状フィルム(12a)を挟持する噛合区間(B-C)および該噛合区間(B-C)の前後においてフィルムへ悪影響を及ぼす区間(D-B,C-E)を夫々設定する設定手段(42)を備え、
前記制御手段(40)は、前記設定手段(42)による設定値に基づいて前記予測停止位置が、フィルムに悪影響を及ぼす停止位置かを判定するよう構成したことを特徴とする。
請求項5に係る発明によれば、シール体の噛合区間や、該噛合区間の前後においてフィルムへ悪影響を及ぼす区間を、包装条件に応じてタッチパネルなどの入力手段により任意に設定することができる。
【0012】
請求項6に係る発明では、前記設定手段(42)は、前記オフセット位置を定めるオフセット値を設定し得るよう構成したことを特徴とする。
請求項6に係る発明によれば、任意にオフセット値を変更、設定することができる。
【0013】
請求項7に係る発明では、前記設定手段(42)は、包装品種毎に、前記オフセット値を設定し得るよう構成したことを特徴とする。
請求項7に係る発明によれば、シール体の噛合区間や、該噛合区間の前後においてフィルムへ悪影響を及ぼす区間およびオフセット位置を包装品種毎に、適正値として設定することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、長さが異なる物品がランダムに供給される横形製袋充填機の包装運転中に、供給される物品の搬送間隔が既定値より大きく、フィルム搬送およびシール体の動作を一時停止させる場合において、シール体を、常にフィルムに悪影響を及ぼすことがない位置にして停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】回転式のエンドシール装置を備えた横形製袋充填機の概略構成図である。
図2】シール体のフィルムに悪影響を及ぼす範囲を示す説明図である。
図3】タッチパネルに表示されるエンドオフセット設定画面の表示例を示す説明図である。
図4】押送部材で物品を押送する供給コンベヤを備えた別の実施例の横形製袋充填機を示す概略構成図である。
図5】ボックスモーション式のエンドシール装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る横形製袋充填機の好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例
【0017】
図1に示す如く、実施例に係る横形製袋充填機(包装機)は、原反ロール(供給源)10から引き出した帯状フィルム12を、その長手方向両端縁部を合掌状に重ね合わせて筒状フィルム12aとして成形する製袋手段14と、筒状フィルム12aに向けて物品16を順次供給する供給手段18と、前記合掌状に重ね合わせた筒状フィルム12aの重合部に縦シールを施すセンターシール手段20と、フィルム12,12aを搬送するフィルム搬送手段22と、前記筒状フィルム12a中に供給された物品16の前後位置で筒状フィルム12aを挟持して、フィルム搬送方向と交差する方向(幅方向)にエンドシール・切断を施すエンドシール装置24と、の夫々を備える。
【0018】
図1に示す如く、前記供給手段18は、搬送方向に沿う長さが異なる物品16を、載置した状態で搬送するベルトコンベヤからなるプールコンベヤ26と、該プールコンベヤ26の下流側に配設され、プールコンベヤ26から受け取った物品16を載置して搬送するベルトコンベヤからなる分離コンベヤ28と、を備える。プールコンベヤ26および分離コンベヤ28は、夫々が独立したモータM1,M2により駆動される。分離コンベヤ28の搬送速度は、プールコンベヤ26の搬送速度より速く設定されて、プールコンベヤ26から分離コンベヤ28へ順次受け取った物品16を、プールコンベヤ26に位置している後続の物品16から切り離すよう構成される。また、分離コンベヤ28の搬送速度は、前記フィルム搬送手段22によるフィルム搬送速度と同じ速度で、物品16を筒状フィルム12aに向けて搬送するようモータM2で連続走行される。
【0019】
図1に示す如く、前記分離コンベヤ28の搬送終端側に、前記製袋手段14で成形される筒状フィルム12aに向けて供給される物品16を検知する物品検知センサ30が配設される。なお、物品検知センサ30は、例えばフォトセル等の光電式センサからなり、該物品検知センサ30から出力された検知信号は、後述する制御手段40に入力されて物品16の長さと物品間の搬送間隔が検出される。実施例では、物品検知センサ30と制御手段40とにより、供給手段18から筒状フィルム12aに向けて供給される物品16の長さと物品16の搬送間隔を検出する検出手段が構成される。
【0020】
前記フィルム搬送手段22は、前記帯状フィルム12を挟持して原反ロール10から引き出す一対の繰出しローラ32と、前記重合部を挟持して筒状フィルム12aに送りを与える一対の送りローラ34とから構成され、フィルム搬送手段22は、サーボモータSM1により駆動される。実施例の繰出しローラ32と送りローラ34とは共通のサーボモータSM1によって駆動されるか、あるいは繰出しローラ32を駆動するモータと、送りローラ34を駆動するモータとを別個に設ける構成を採用することができる。また、サーボモータSM1に付設されたエンコーダRE1から出力されるパルス信号は制御手段40に入力される。なお、前記センターシール手段20は、送りローラ34の下流側において、前記重合部を挟持する一対のシールローラ20を備え、該シールローラ20は前記サーボモータSM1によって送りローラ34と同期して駆動される。
【0021】
図1に示す如く、前記エンドシール装置24は、筒状フィルム12aの搬送路を挟む上下位置に回転自在に対向配置された一対のシール体24a,24bを備え、該シール体24a,24bは、サーボモータSM2により相互に反対方向に回転されて、シール体24a,24bの先端部に形成されたシール面で、筒状フィルム12a中に供給された各物品16間において筒状フィルム12aを挟持することで、シール面でフィルムを挟んでいる噛合区間において、前記筒状フィルム12aにエンドシールが施される。また、シール体24a,24bを駆動制御するサーボモータSM2に付設されたエンコーダRE2から出力されるパルス信号が制御手段40に入力される。また、一方のシール体24aに、シール面から突出するカッタ(図示せず)が設けられ、エンドシール装置24は、シール体24a,24b相互のシール面で筒状フィルム12aを挟持した際にカッタにより筒状フィルム12aを切断する。そして、エンドシール装置24でエンドシール・切断されて筒状フィルム12aから切り離された包装品36が、搬出コンベヤ38で搬出されるようになっている。
【0022】
包装機は、制御手段40によって、前記供給手段18、フィルム搬送手段22およびエンドシール装置24などの各作動機構を制御する。図1に示す如く、制御手段40には、各作動機構を所定の動作パラメータで作動制御するための、物品検知センサ30からエンドシール装置24のシール体24a,24bまでの距離に関するデータおよび前記物品検知センサ30で検知された物品16が筒状フィルム12aへ受け渡されるまでの距離に関するデータや、フィルムを連続搬送した時の基準となる所定時間当たりの包装能力と1包装分のフィルム長さ(カットピッチ)に関するデータ等の各種制御用データを入力し、その設定されたデータ値や包装機の運転に係る様々な設定情報などを表示する表示手段とからなる設定手段としてのタッチパネル42が接続される。タッチパネル42は、制御手段40にデータ設定された、各種設定値や運転状況などの情報や、物品16の品種毎の包装条件や設定データを入力設定できる画面表示に切り替えることができる。
【0023】
前記制御手段40は、各種データ値を記憶する記憶部44と、算出部46を有し、前記タッチパネル42で入力された各種のデータ値は、物品16の品目その他の各包装品種など、作業者が定めた任意の品種名毎に記憶部44に記憶可能となっており、品種設定を行うのみで、予め設定されたデータ値が記憶部44から読み出されて品種毎の運転パラメータとして自動設定される。なお、品種設定操作は、タッチパネル42により実際の品種名を入力したり、生産工場などで定めた品種番号等を入力したりする等による品種設定操作がなされるようにすればよい。また、前記物品検知センサ30からの検知信号に基づいて、順次検出された物品16の長さおよび搬送方向前後に続く先行物品16の後端と後続する物品16の先端までの距離となる物品16の搬送間隔についてのデータが記憶部44に一時記憶され、該記憶データは、対応する物品16がエンドシール装置24を通過するまで保持される。なお、分離コンベヤ28で搬送される物品16が物品検知センサ30を通過することで、分離コンベヤ28の搬送速度と、物品検知センサ30による物品16の検知期間との関係で、物品16の長さおよび物品16の搬送間隔が検出される。また、物品16の高さを検出手段で検出し、検出した物品高さに基づいて1包装分のフィルム長さを算出するようにすることができる。
【0024】
前記制御手段40の算出部46では、検出されて記憶部44に一時記憶した物品16の長さおよび搬送間隔に基づいて、物品16の個別の長さに適した1包装分のフィルム長に対応するフィルム搬送量と、物品16の位置および前記物品16の搬送間隔の中間位置にエンドシール・切断を施すための、シール体24a,24bの回転位置やシール体24a,24bの動作速度とが算出される。そして、制御手段40は、算出部46で算出した結果に基づいてサーボモータSM1,SM2を制御して、筒状フィルム12aの搬送と、エンドシール装置24におけるシール体24a,24bの動作を制御することで、分離コンベヤ28から順次筒状フィルム12a中へ送り込まれた各物品16の搬送間隔を一定にすると共に、物品検知センサ30で検知された物品16が筒状フィルム12aへ送り込まれるのに合わせて検出した物品16の長さに応じた1包装分のフィルムを搬送し、筒状フィルム12a中に一定間隔毎に供給された物品16を挟む前後位置において、一対のシール体24a,24bにより筒状フィルム12aにエンドシ-ル・切断が施されるよう、各作動機構を制御する。
【0025】
前記分離コンベヤ28に載置されて搬送される物品16の間隔が広い搬送間隔となって送り込まれ、前記物品検知センサ30で先行の物品16の後端部の通過を検知した後に、後続する物品16の先端の検知が所定期間内になされず、先行物品16と後続物品16との搬送間隔が、既定値を上回る搬送間隔(既定値より大であることを検出する)となった場合に、先行する物品16(の後端まで)が、製袋手段14で成形される筒状フィルム12a中へ送り込まれた位置(受渡し位置)まで、前記分離コンベヤ28により供給されるとフィルムの搬送を停止すると共に、シール体24a,24bの動作を停止するように制御手段40で動作制御される。その際に、制御手段40は、シール体24a,24bの停止位置に関して、筒状フィルム12a中に供給されている複数の物品16の長さとの関係により算出部46で算出されたシール体24a,24bの予測停止位置が、フィルムに悪影響(熱影響)を及ぼす停止位置となる場合は、フィルムに悪影響(熱影響)を及ぼさない停止位置になるよう補正されたオフセット位置を求めて、シール体24a,24bを、そのオフセット位置にて停止するよう動作制御する。
【0026】
前記シール体24a,24bでフィルムの挟持を開始する「噛合い開始位置」と、フィルムの挟持を終える「噛合い終了位置」および後述するオフセット停止制御を実行するオフセット区間を特定するための設定は、包装される物品16の品種毎にデータ設定可能であって、1包装サイクルにおいてシール体24a,24bが1回転(1動作サイクル)する移動量を360度で角度換算した場合の数値設定データが、後述するように前記タッチパネル42によって入力設定されて、該設定値が前記記憶部44に記憶される。オフセット停止制御を実行するためのデータ設定は、図2に示す如く、シール体24a,24bのシール面(先端)が最も離間した位置を夫々A地点とし、また両シール体24a,24bの噛合い開始位置をB地点、噛合い終了位置をC地点とする。また、シール面が最も離間した位置A地点から噛合い開始位置B地点に向けてシール体24a,24bが回転移動するまでの前方熱影響区間の始まりとなる位置をD地点、噛合い終了位置C地点からシール面が最も離間した位置A地点に向けてシール体24a,24bが回転移動して戻る後方熱影響区間の終わりとなる位置をE地点とする。
【0027】
前記各位置をA~Eの各地点とした場合に、両シール体24a,24bでフィルムを挟持する区間(噛合区間)はB-Cとして表わされ、シール面が最も離間した位置A地点からシール体24a,24bが回転移動して、前記両シール体24a,24bがフィルムの挟持を開始する噛合い開始位置B地点に向けての回転移動側でフィルムに熱影響を及ぼす前記前方熱影響区間はD-Bとして表わされ、シール体24a,24bの噛合い終了位置C地点を過ぎてから前記シール面が最も離間した位置A地点に向けて戻る回転移動側でフィルムに熱影響を及ぼす前記後方熱影響区間はC-Eとして表わされる。このようにして、シール体24a,24bが停止した場合にフィルムに悪影響を及ぼす範囲を、噛合区間B-Cを含む地点D-Eの区間(領域)として設定されると共に、噛合区間B-Cの前後においてフィルムに悪影響を及ぼす区間D-B,C-Eが個別に設定される。すなわち、シール体24a,24bのシール面が最も離間する位置A地点から噛合区間B-Cに至る前のシール体24a,24bの動作期間内で、フィルムに悪影響を及ぼす区間が前方熱影響区間D-Bであり、噛合区間B-Cを過ぎた後のシール体24a,24bのシール面が最も離間する位置A地点まで至るまでの動作期間内で、フィルムに悪影響を及ぼす区間が後方熱影響区間C-Eとなる。
【0028】
前記A地点は、シール体24a,24bを回転移動する起点位置として駆動制御されるようになっており、該起点位置が図示しない原点センサで検出されて、フィルム搬送手段22や供給手段18などとの同期運転がなされる。実施例では、シール体24a,24bの位置に対応して設定したデータと、前記シール体24a,24bを駆動するサーボモータSM2に付設されたエンコーダRE2のパルス信号との関係で、シール体24a,24bの噛合区間B-C、前方熱影響区間D-Bおよび後方熱影響区間C-Eが記憶部44に記憶される。
【0029】
前記制御手段40は、算出部46で算出されたシール体24a,24bの予測停止位置が、前記噛合区間B-Cと前方熱影響区間D-Bと後方熱影響区間C-Eとの何れに該当するか判断すると共に、それら各区間B-C,D-B,C-Eに対応してフィルムに熱影響を及ぼさない停止位置でシール体24a,24bを停止させるよう、夫々異なるオフセット停止制御を実行する。すなわち、予測停止位置が前方熱影響区間D-B内の位置として算出された場合は、予測停止位置に対して、予め設定されたオフセット値(オフセット量)だけシール体24a,24bの回転移動方向と逆方向(噛合区間D-Bから前記シール面が最も離間した位置A地点に向けて戻る側で前方熱影響区間D-Bを外れた位置)となる前方オフセット位置(オフセット位置)を求めて、該前方オフセット位置でシール体24a,24bを停止するよう、予測停止位置より手前でシール体24a,24bを減速して停止する。また、予測停止位置が後方熱影響区間C-E内の位置として算出された場合は、予測停止位置に対して、予め設定されたオフセット値(オフセット量)だけシール体24a,24bの回転移動方向で順方向(噛合区間B-Cから前記シール面が最も離間した位置A地点に向けて進ませた側)となる後方熱影響区間C-E以降の後方オフセット位置(オフセット位置)を求めて、該後方オフセット位置で停止するよう、予測停止位置より進んだ回転移動位置でシール体24a,24bを減速して停止する。また、予測停止位置が噛合区間B-Cとなる場合は、シール体24a,24bの噛合い終了位置C地点を越えた直後の位置までフィルムの搬送およびシール体24a,24bの回転移動を行った後に、筒状フィルム12aの搬送およびシール体24a,24bの動作を減速して停止する。それから、シール体24a,24bだけをオフセット位置まで低速で移動した後停止する。そして、予測停止位置が噛合区間B-Cとなる場合のシール体24a,24bのオフセット位置は、予測停止位置が後方熱影響区間C-E内の位置として算出された場合と同様に、停止した位置からオフセット値だけシール体24a,24bの回転移動方向で順方向となる後方熱影響区間C-E以降の後方オフセット位置となる。このような、オフセット停止制御では、算出された予測停止位置に対してシール体24a,24bを熱影響がないオフセット位置にて停止させる際のシール体24a,24bの動作は、上記3パターンのいずれの場合においても、通常運転時のフィルム搬送手段22との同期が外れた状態として動作してシール体24a,24bが動作制御される。
【0030】
このようなシール体24a,24bの動作をオフセット位置で停止するオフセット停止制御後に、後続する物品16が前記物品検知センサ30で検知されて次の包装サイクルを開始する際には、シール体24a,24bのタイミングをオフセット値との関係で前または後ろにずらして始動し、以降シール体24a,24bの回転タイミングとフィルム搬送手段22によるフィルム搬送とを同期させ、筒状フィルム12a中に供給された異なる長さの物品16,16の中間位置でエンドシール・切断が施されるように動作制御する。
【0031】
次に、前記シール体24a,24bのオフセット停止制御を実行するためのデータを入力設定するには、包装品種毎に入力設定可能な設定画面として、オフセット停止制御用のデータを入力設定可能な画面が表示され、図3に示す如く該設定画面には、画面左側の選択エリアに表示された複数の表示項目の内で、包装機の動作データのための基本的な設定値を与える項目指定ボタンとしての「基本設定」48をタッチ操作することで、図3に示す基本データ設定画面50の画面内に、オフセット停止制御用にデータを入力設定するための3つの設定値を入力するための項目名「エンドオフセット停止動作量」、「エンドオフセット停止有効範囲」、「エンドオフセット停止無効範囲」が上下に並ぶ表示として、オフセット停止制御データ入力設定部52,54,56が設けられる。第1の設定部52としての、項目名「エンドオフセット停止動作量」には、シール体24a,24bの算出された予測停止位置が、シール体24a,24bの噛合区間B-Cより前後の前方熱影響区間D-B内の位置または、後方熱影響区間C-E内の位置として算出された場合のオフセット位置までの、シール体24a,24bの回転移動量に関する値としてのオフセット値(オフセット位置を定める値)を、数値データとして入力設定され、第2の設定部54としての、項目名「エンドオフセット停止有効範囲」には、前記フィルムへ悪影響を及ぼす範囲(区間)D-Eが数値データとして入力設定され、第3の設定部56としての、項目名「エンドオフセット停止無効範囲」には、シール体24a,24bの噛合区間B-Cが数値データとして入力設定される。なお、これらの入力設定される数値データとしては、シール体24a,24bの1包装サイクル分の移動量を360度で角度換算した場合のシール体24a,24bの移動量に関するデータとして数値入力される。このようにして品種毎に異なる包装材や物品の性状、サイズなどの各種変化条件に応じて上記各データ設定値は、包装品種毎に設定することができる。
【0032】
前記基本データ設定画面50におけるデータ入力設定は、前記第1から第3の各設定部52,54,56の数値表示部を夫々タッチ操作すると、数値入力キーがポップアップウィンドウとして表示され、数値入力キーにより、前記「エンドオフセット停止動作量」、「エンドオフセット停止有効範囲」、「エンドオフセット停止無効範囲」の各項目について、前記各設定データとして入力することができる。図示例では、第1の設定部52としての「エンドオフセット停止動作量」として設定値が±60°として設定されており、シール体24a,24bの予測停止位置に対して設定された数値範囲でオフセット停止するようにデータ設定され、第2の設定部54としての「エンドオフセット停止有効範囲」として、シール体24a,24bの動作起点位置A地点からシール体24a,24bが噛合する方向に180°回転移動した位置に対して±60°の範囲となる値に設定され、第3の設定部56としての「エンドオフセット停止無効範囲」として、起点位置A地点から180°回転移動した位置を基準として±30°の範囲となる設定値が噛合範囲として設定されている場合を示す。すなわち、図示例では、前記噛合区間B-Cは、シール体24a,24bの動作タイミング角度が150°~210の範囲に設定され、前記前方熱影響区間D-Bは、シール体24a,24bの動作タイミング角度が120°~150°の範囲に設定され、前記後方熱影響区間C-Eは、シール体24a,24bの動作タイミング角度が210°~240°の範囲に設定されている。そして、基本データ設定画面50における下部に表示された決定ボタン58をタッチ操作することで、それらの、数値入力された値が各設定値として記憶部44に記憶される。前記制御手段40は、データ入力されて記憶部44に記憶された各種設定値に基づいて、前記予測停止位置がフィルムに悪影響を及ぼす停止位置かを判定する。
【0033】
実施例では、品種毎の包装運転の終了時における品種切り替え前の操作時などで、図示しない運転停止ボタンが操作されて包装機をサイクル停止する場合は、前記制御手段40は、物品16が前記受渡し位置まで供給されたときに分離コンベヤ28およびフィルム搬送手段22およびエンドシール装置24の動作を停止するよう制御する。また、サイクル停止する場合においても、制御手段40は、物品16が受渡し位置まで供給されたときのシール体24a,24bの予測停止位置を算出し、該予測停止位置と前記区間D-B,B-C,C-Eとの関係に応じて、前記3つのパターンでオフセット停止制御を行い、シール体24a,24bをフィルムに熱影響を及ぼさない位置で停止するよう、フィルム搬送手段22およびシール体24a,24bを動作制御するよう構成される。
【0034】
次に、実施例に係る包装機の作用について説明する。
包装機を起動すると、前記モータM1,M2,SM1,SM2が一斉に回転を開始し、前記プールコンベヤ26によって、長さが異なっていたり同じ物品16がランダムな搬送間隔で順次搬送されて、前記分離コンベヤ28に受け渡される。プールコンベヤ26より高速で駆動される分離コンベヤ28に受け取られた物品16は、プールコンベヤ26に位置している後続の物品16から切り離され、該物品16は、前記物品検知センサ30で検知されて、その検知信号が前記制御手段40に入力される。制御手段40では、前記算出部46で物品検知センサ30の検知信号に基づいて物品16の長さおよび搬送間隔が検出され、該検出結果が前記記憶部44に一時記憶される。また、算出部46では、記憶部44に記憶した物品16の長さおよび搬送間隔に基づいて、フィルム搬送量およびシール体24a,24bの動作速度が算出され、該算出結果に基づいて制御手段40がサーボモータSM1,SM2を制御することで、分離コンベヤ28から筒状フィルム12a中に順次供給される各物品16の搬送間隔が一定になると共に、物品検知センサ30で検知された物品16がエンドシール装置24まで至るのに合わせて1包装分のフィルムが搬送され、筒状フィルム12a中に供給された物品16を挟む前後位置において、一対のシール体24a,24bにより筒状フィルム12aにエンドシ-ル・切断が施される。
【0035】
次に、前記制御手段40が、前記記憶部44に記憶した物品16の搬送間隔が既定値より大であることを検出した場合に、前記算出部46で算出した予測停止位置が、前記各区間B-C,D-B,C-Eであると判定した場合に実行されるオフセット停止制御について、個々に説明する。
【0036】
[予測停止位置が前方熱影響区間D-Bとなる場合]
前記制御手段40は、物品16が前記分離コンベヤ28から前記製袋手段14の受渡し位置まで供給されたときに、フィルム搬送手段22を停止する。また、予測停止位置に対してエンドオフセット停止動作量(オフセット量)で設定された値により、シール体24a,24bの回転動作位置が手前側となる前方オフセット位置でシール体24a,24bを停止するように、予測停止位置に至る前のシール体24a,24bの動作を制御する。これによりシール体24a,24bは、噛合区間B-Cより手前において、筒状フィルム12aに熱影響を及ぼさない位置(前方熱影響区間D-Bより手前の位置)に減速して停止する。そして、前記物品検知センサ30の物品検知によって次の物品16が分離コンベヤ28から筒状フィルム12aへ送り込まれるタイミングに合わせて、制御手段40は、予測停止位置より手前側の前方オフセット位置で停止されているシール体24a,24bを早く始動し、フィルム搬送手段22が遅れて始動するよう動作制御される。そして、シール体24a,24bの動作とフィルム搬送手段22とが通常運転時の同期状態に戻ってから、シール体24a,24bとフィルム搬送手段22とが同期を維持してシール体24a,24bが噛合区間B-Cへ向けて回転し、筒状フィルム12a中における物品16,16の中間位置でエンドシール・切断がなされる。このように、噛合区間B-Cへ向かうまでの期間でシール体24a,24bをフィルム搬送手段22との同期を復帰させる際には、シール体24a,24bの動作を一時停止してからフィルム搬送手段22の動作に同期させるようにすることが、同期位置合わせを素早くできて、同期精度が高まった状態で良い動作を行うことができるので最も好ましい。
【0037】
[予測停止位置が後方熱影響区間C-Eとなる場合]
前記制御手段40は、前記分離コンベヤ28から前記製袋手段14の受渡し位置に物品16が供給されたときに、フィルム搬送手段22を停止する。また、フィルム搬送手段22の動作を停止したもとで、シール体24a,24bの回転動作を継続し、前記エンドオフセット停止動作量(オフセット量)で設定された値について、シール体24a,24bをフィルム搬送手段22との同期作動を解除して正方向に回転した後方オフセット位置までシール体24a,24bを回転して停止する。これによりシール体24a,24bは、噛合区間B-Cを過ぎた側まで回転動作した後に、筒状フィルム12aに熱影響を及ぼさない位置(後方熱影響区間C-E以降の位置)に減速して停止する。そして、前記物品検知センサ30の物品検知によって次の物品16が分離コンベヤ28から筒状フィルム12aへ送り込まれるタイミングに合わせて、制御手段40は、予測停止位置より正方向に余分に回転した後方オフセット位置で停止しているシール体24a,24bの始動タイミングを、フィルム搬送手段22の始動タイミングよりシール体24a,24bの回転を遅らせて始動する。そして、シール体24a,24bの動作とフィルム搬送手段22とが通常運転時の同期状態に戻った上で、シール体24a,24bとフィルム搬送手段22とが同期状態となって動作制御される。このように、噛合区間B-Cを過ぎた期間でシール体24a,24bとフィルム搬送手段22との同期を復帰させる場合では、シール体24a,24bの動作をフィルム搬送手段22の動作に対して停止することなく、両者の動作中に同期位置合わせするように制御されればよい。そうした場合でも、次の噛合区間B-Cへ至るまでの動作期間の余裕があり、同期精度に影響を与えることはない。
【0038】
[予測停止位置が噛合区間B-Cとなる場合]
前記制御手段40は、物品16が前記分離コンベヤ28から筒状フィルム12aへの受渡し位置まで供給されても、フィルム搬送手段22を停止することなく、フィルム搬送手段22の動作を継続する。そして、シール体24a,24bで筒状フィルム12aを挟持している噛合区間B-CにおけるC地点を越えた直後の位置までシール体24a,24bの回転動作とフィルム搬送手段22との同期を保ったまま動作した後に、該シール体24a,24bとフィルム搬送手段22との動作を停止する。その後、シール体24a,24bのみを正方向にエンドオフセット停止動作量(オフセット量)として設定された値に対応した後方オフセット位置まで低速で移動して停止するようシール体24a,24bを動作制御する。これによりシール体24a,24bは、噛合区間B-Cを過ぎた側において、筒状フィルム12aに熱影響を及ぼさない位置に停止する。
【0039】
予測停止位置が噛合区間B-Cとなる場合のオフセット停止制御では、前記シール体24a,24bで筒状フィルム12aを挟持している期間を過ぎた、C地点を越えた位置から、シール体24a,24をフィルム搬送手段22との同期を外してシール体24a,24bのみを先の動作位置まで余分に動作させてから停止するので、次の物品16が物品検知センサ30で検知されて、シール体24a,24とフィルム搬送手段22との動作再開時においてシール体24a,24bの始動タイミングを、フィルム搬送の始動タイミングに対して遅らせる。その後フィルム搬送手段22に対して、シール体24a,24bの動作が同期する動作位置となった時にシール体24a,24bの動作を再開するよう動作制御する。このようにして、筒状フィルム12a中における物品16,16の中間にエンドシール・切断を施すように、フィルム搬送手段22およびシール体24a,24bを動作制御する。なお、予測停止位置が噛合区間B-Cとなる場合に、筒状フィルム12aを挟持しなくなるC地点を越える位置でシール体24a,24bを一旦停止するようにしたが、シール体24a,24bを停止することなく後方オフセット位置まで移動して停止するようにしてもよい。
【0040】
実施例の包装機では、前記分離コンベヤ28から筒状フィルム12aに向けて供給される物品16を検知する物品検知センサ30の検知に基づいて、各物品16の長さおよび搬送間隔を検出し、該物品16の長さおよび搬送間隔に基づいて筒状フィルム12a中の各物品16,16間においてシール体24a,24bで筒状フィルム12aにエンドシール・切断を施すようにしたので、長さの異なる物品16がランダムな間隔で供給される場合においても、各物品16の長さに応じて良好な包装運転を行って、各物品16を、その長さに応じて包装した包装品36とすることができる。また、長さの異なる物品16がランダムな間隔で筒状フィルム12aに供給される状況において、物品検知センサ30による物品16の搬送間隔が所定範囲内として検出されなかった(既定値より大であることを検出した)場合に、筒状フィルム12aの搬送を停止し、シール体24a,24bの動作を停止する際には、エンドシール装置24に至るまでの筒状フィルム12a中に供給されている、各物品16の検出された長さを元に、シール体24a,24bの予測停止位置を算出し、その算出位置がフィルムに熱影響が及ぶシール体24a,24bの回転動作位置の範囲(区間D-E)内となる場合には、算出した予測停止位置に対するオフセット位置を求めてシール体24a,24bを停止するオフセット停止制御を行うことで、シール体24a,24bによりフィルムへ熱影響を及ぼすことなく、ランダムな長さの物品16を連続包装している際に、不良包装品が生じるのを回避することができる。また、予測停止位置がシール体24a,24bの噛合区間B-Cとなる場合に、該噛合区間B-Cの終点のC地点を越えた位置までシール体24a,24bの回転動作とフィルム搬送手段22の動作を継続してからフィルム搬送手段22の動作を停止し、その後にシール体24a,24bが、フィルムに熱影響が及ぶシール体24a,24bの回転動作位置の範囲外のオフセット位置まで移動する。そのことにより、搬送が停止されたフィルムをシール体24a,24bで挟持して引っ張り、フィルムを引き伸ばしたり、フィルムを引き千切ったりしてしまうのを防ぐことができる。
【0041】
実施例の包装機では、フィルムへ悪影響を及ぼす範囲(区間D-E)、シール体24a,24bの噛合区間B-Cおよびオフセット値を、包装条件に応じて前記タッチパネル42によって任意に設定することができる。また、各区間D-E、B-Cを特定する各設定値は、包装品種毎に適正値として入力設定されて記憶部44に記憶されるので、品種切り替え時には、品種設定を行うのみで、先に設定された設定値が記憶部44から読み出されて自動設定でき、手間がない。
【0042】
(別の実施例について)
図4および図5は、別の実施例を示すものであって、実施例と異なる部分についてのみ説明し、実施例と同一または同じ機能を有する部材には同じ符号を付すものとする。
【0043】
図4に示す別の実施例は、供給手段18として、モータM2により循環走行する無端チェーン等の索状体60に所定間隔毎に配設した押送部材62により、物品16を押送する供給コンベヤ64を用いた横形製袋充填機を示している。別の実施例では、実施例と同様に、供給コンベヤ64の搬送終端側に配置した前記物品検知センサ30によって押送部材62で押送される物品16を検知し、その検知信号に基づいて物品16の長さが検出され、該検出結果に基づいて制御手段40がフィルム搬送手段22およびシール体24a,24bを動作制御することで、筒状フィルム12a中に供給された物品16を挟む前後位置にエンドシ-ル・切断を施すよう構成される。また、制御手段40は、物品16の搬送間隔が既定値より大であることを検出した場合に、実施例と同様にフィルム搬送およびシール体24a,24bの動作を制御する。別の実施例では、制御手段40は、物品検知センサ30が押送部材62と押送部材62との間で押送されているべき物品16を検知しない場合に、搬送間隔が既定値より大であることを検出するよう設定され、該大であることを検出した直前の物品16が製袋手段14の受渡し位置に供給されたときにフィルム搬送を停止するよう構成される。なお、物品検知センサ30は、物品16を製袋手段14の受渡し位置まで押送した押送部材62から上流側に離間して配置されて、押送部材62によって物品16が受渡し位置に供給される前に、押送部材62,62間の物品16の有無を検出し得るよう構成される。そして、物品16が受渡し位置に供給されたときのシール体24a,24bの予測停止位置を算出し、その算出結果に基づいて前記3つのパターンでシール体24a,24bをオフセット停止制御する構成は、実施例と同様である。すなわち、押送部材62によって物品16を押送して筒状フィルム12a中に物品16を供給するよう構成された横形製袋充填機においても、実施例と同じ作用効果が得られる。また、別の実施例では、長さが異なる物品16であっても押送部材62で所定間隔毎に押送して筒状フィルム12aに供給するので、各物品16の長さおよび押送物品の欠落を良好に検出でき、その検出結果により安定的な包装運転を行うことができる。
【0044】
図5は、エンドシール装置の別例を示すものであって、当該別例のエンドシール装置24は、サーボモータSM2の駆動によって一対のシール体24a,24bを、筒状フィルム12aの搬送路を挟んで相互に離間する原点位置から相互に接近して筒状フィルム12aを挟持し、その挟持状態で筒状フィルム12aの搬送向きに移動した後に、相互に離間して原点位置に復帰するボックスモーションを行わせるよう構成される。エンドシール装置24としてボックスモーション式を採用した場合においても、シール体24a,24bがボックスモーションする際の1旋回動作を360°に角度換算した値で前記各区間D-B,B-C,C-Eが夫々設定され、物品16の搬送間隔が既定値より大であることを検出した際に予測停止位置を算出し、その算出結果に基づいて前記3つのパターンでシール体24a,24bをオフセット停止制御する構成は、実施例と同様である。すなわち、実施例や別の実施例に採用されている回転時のエンドシール装置24に代えて、ボックスモーション式のエンドシール装置24を採用した横形製袋充填機においても、実施例や別の実施例と同じ作用効果が得られる。
【0045】
本発明は、実施例や別の実施例等の構成に限定されるものではなく、実施例や別の実施例等に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
【符号の説明】
【0046】
12a 筒状フィルム,16 物品,18 供給手段,24a,24b シール体
26 プールコンベヤ,28 分離コンベヤ,30 物品検知センサ(検出手段)
40 制御手段(検出手段),42 タッチパネル(設定手段),62 押送部材
64 供給コンベヤ,B-C 噛合区間
D-B 前方熱影響区間(フィルムに悪影響を及ぼす区間)
C-E 後方熱影響区間(フィルムに悪影響を及ぼす区間)
図1
図2
図3
図4
図5