(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】吐水装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20240829BHJP
E03C 1/084 20060101ALI20240829BHJP
G16Y 10/35 20200101ALI20240829BHJP
G16Y 20/30 20200101ALI20240829BHJP
【FI】
E03C1/042 F
E03C1/084
G16Y10/35
G16Y20/30
(21)【出願番号】P 2021211754
(22)【出願日】2021-12-26
【審査請求日】2024-04-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521566656
【氏名又は名称】株式会社DGTAKANO
(74)【代理人】
【識別番号】100134669
【氏名又は名称】永井 道彰
(72)【発明者】
【氏名】高野 雅彰
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0350104(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0308088(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108331951(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水管から給水するスパウトと、
前記スパウトに連結された可撓性ある湾曲自在なホース体と、
前記ホース体に連結されて前記給水管から導水した水を吐水する吐水ヘッド体と、
前記スパウトから延設されたアーム支持体と、
給水操作部を備えた構成において、
前記アーム支持体が、アーム支持体の
アーム本体と、前記
アーム本体の先端にあって前記吐水ヘッド体との対向面が長軸を備えた円筒形状または曲面立体形状である支持連結体とを備えたものであり、
前記吐水ヘッド体が、前記支持連結体の長軸を受け入れる大きさの内径を備えた円筒穴と、前記円筒穴の底面に設けられた前記支持連結体の対向面側の形状を受け入れる嵌合凹面形状と、前記円筒穴の肩口から前記嵌合凹面形状まで前記支持連結体を回転摺動させて導く傾斜立体形状を含むヘッド連結体を備え、
前記アーム支持体の前記支持連結体と前記吐水ヘッド体の前記ヘッド連結体の前記嵌合凹面形状との連結を介して、前記吐水ヘッド体が前記アーム支持体から脱着可能に支持されたものであることを特徴とする吐水装置。
【請求項2】
前記吐水ヘッド体の前記傾斜立体形状の外表面の形状が、前記支持連結体が前記円筒穴の肩口から前記嵌合凹面形状まで回転しながら前記底面に向けて進入してゆく回転運動軌跡に合致する形状を備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の吐水装置。
【請求項3】
前記吐水ヘッド体の前記ヘッド連結体の前記傾斜立体形状が、その稜線が前記円筒穴の肩口から
前記嵌合凹面形状の溝形状の中心までを結ぶ線上にあり、その裾が前記底面と前記溝形状の境界線に至る斜面を左右に備えた山肌形状であり、前記山肌形状が第1の山肌形状と第2の山肌形状の2つあり、前記
嵌合凹面形状の溝形状を挟んでそれら前記第1の山肌形状と前記第2の山肌形状が対向しているものである請求項2に記載の吐水装置。
【請求項4】
前記アーム支持体の前記支持連結体を、前記吐水ヘッド体の前記ヘッド連結体に対向しつつ押し込んでゆくと、前記支持連結体の外表面が前記傾斜立体形状に当接し、その後、前記支持連結体が前記第1の山肌形状と前記第2の山肌形状に跨りつつ前記第1の山肌形状と前記第2の山肌形状の斜面に沿って摺動回転しつつ、前記ヘッド連結体の前記円筒穴内での進入深さを増してゆき、前記支持連結体の対向面の外表面が前記ヘッド連結体の前記
嵌合凹面形状の溝形状に嵌合するよう導かれて行くことを特徴とする請求項3に記載の吐水装置。
【請求項5】
前記ヘッド連結体が、前記円筒穴の外周を囲むように前記円筒穴に落ち込んでゆくすり鉢状の斜面を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の吐水装置。
【請求項6】
前記アーム支持体の前記支持連結体が前記アーム本体の軸回りに回動可能な構造となっており、前記吐水
ヘッド体の押し込みに伴って前記支持連結体が回転摺動する構造であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の吐水装置。
【請求項7】
前記アーム支持体の前記支持連結体が前記アーム本体の軸回りに回動不能で固定された構造となっており、前記吐水
ヘッド体の押し込みに伴って前記支持連結体は不動で前記吐水
ヘッド体側が相対的に回転摺動する構造であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の吐水装置。
【請求項8】
前記アーム支持体の前記支持連結体が、円筒形状または葉巻型形状であり、
前記吐水ヘッド体の前記ヘッド連結体の前記
嵌合凹面形状が、断面が前記支持連結体に沿う円弧であり、前記支持連結体の一部に合致する直線が対向した溝形状であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の吐水装置。
【請求項9】
前記アーム支持体の前記支持連結体が、楕円回転体形状またはラグビーボール形状であり、
前記吐水ヘッド体の前記ヘッド連結体の前記
嵌合凹面形状が、断面が前記支持連結体に沿う円弧であり、前記支持連結体の一部に合致する曲線が対向した溝形状であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の吐水装置。
【請求項10】
前記アーム支持体の先端の前記支持連結体と、前記吐水ヘッド体の前記ヘッド連結体とが、一方が磁石体で他方が磁石吸着性を備えた素材である、または、双方が磁石体で相互に吸着し得る磁性の配置となったものであり、磁力をもって脱着自在に接続されたものであることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の吐水装置。
【請求項11】
前記アーム支持体と前記スパウトとの接続部において、前記アーム支持体が前記スパウトに対して、少なくとも上下チルトの可動機構を備えた構造であることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の吐水装置。
【請求項12】
前記スパウトの、少なくとも前記アーム支持体との前記接続部より下側の一部において、少なくともスイーベルの可動機構を備えた構造であることを特徴とする請求項
11に記載の吐水装置。
【請求項13】
水使用に関するセンサと、前記センサから得られたデータを蓄積または送信するIoTシステムを備えたことを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の吐水装置。
【請求項14】
前記吐水ヘッド
体内に脈動流体または断続流体を生成する吐水ノズルを備え、
前記吐水ノズルが、液体または気体の流体を噴射する噴射機構と、前記噴射機構の下流に位置する閉鎖空間であり、その下方に流体排出部、その側面に外気を導通する通気路につながる導通孔を備え、その内部が外気で満たされた空間キャビティを備えたものであり、
前記噴射機構の噴射流体の噴射先または前記噴射流体の前記
空間キャビティ壁面での衝突による変化により、前記噴射流体の一部が前記導通孔を一時的に覆いつつ流れて前記導通孔からの外気の通気量を制限するよう前記噴射流体を形成する構成であり、前記空間キャビティ内を前記噴射流体が下方に流れることにより生じる前記空間キャビティ内の一時的な圧力低下と、前記導通孔からの外気の吹き込みによる前記空間キャビティ内の一時的な圧力回復との繰り返しの変動によって、前記外気の吹き込みの強弱リズムを生じせしめ、前記噴射機構から前記流体の脈動流または断続流を生成するものであることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道からの給水を吐水する吐水装置に関する。特に、吐水ノズル具等を基本姿勢から簡単に脱着して3次元的に移動可能にし、また、基本姿勢に簡単に戻すことができることができる位置調節機能付きの吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
台所のシンク等で水道からの給水を吐水する吐水装置を用いて家事が行われることが多い。従来の吐水装置はスパウトが固定されたものや、スパウトが水平面内のみで回転するものなどは古くからあり、これらの吐水装置では吐水ノズル具を3次元的に移動することができなかった。
しかし従来技術においても、スパウト先端の吐水ノズル具等を移動可能にし、その位置を調節することができる位置調節機能付きの吐水装置があった。
【0003】
例えば、従来技術において、スパウトから先端の吐水ノズル具までの導水路として可撓性あるホース材や可撓性あるパイプ材を採用したものがある。例えば、
図20に示すもの(特許文献1:特開平11-152774号公報)が知られている。
図20に示すように、スパウト100の先端部にガイドスリーブ101が嵌着されており、そのガイドスリーブ101内には、吐水ノズル具104を先端部に備えたパイプ部103が脱着自在に組み込まれており、スパウト100の先端から吐水ノズル具104を取り出せば、パイプ部103がフレキシブルな可撓性のあるホースであれば、ガイドスリーブ101から摺動自在に出し入れでき、さらにフレキシブルホースであるパイプ部103を自由に可撓させることができる構造となっている。
【0004】
その他には、例えば、従来技術において、吐水ノズル具等の位置調節機能付きの吐水装置としていわゆるコルゲート状のフレキシブル管を採用したものがある。例えば、
図21に示すもの(特許文献2:特開2008-51178号公報)が知られている。
図21に示す吐水ノズル具等の位置調節機能付きの吐水装置で採用されているフレキシブル管は、内径の異なる大径部11aと小径部11bとが軸方向Dに沿って交互配置された可撓性を有する合成樹脂製のコルゲート管11と、両端の開口部12aに形成された鍔状部12bをコルゲート管11の両端の開口部11cから突出させてコルゲート管12内に挿通されたステンレス製の蛇腹管12と、蛇腹管12と同軸上で連通した状態で鍔状部12bの外周に回動自在かつ離脱不能に取り付けられた袋ナット13と、コルゲート管11と蛇腹管12との間に装入されるスリーブ部14aと、コルゲート管11の開口部11cと袋ナット13との間に挟持されるフランジ部14bと、スリーブ部14aの外周に形成された突起部14cとを有する気密部材14とを備えた構成となっている。
フレキシブル管10のメリットは、ある程度の可撓性は確保されており、かつ、任意の位置で自重に逆らって姿勢を維持して静止することができる。
そのためフレキシブル管10は、可撓性を有するステンレス製の螺旋管あるいは合成樹脂製の螺旋管などが構成されている。また、ステンレス製の螺旋管の外周を樹脂製の蛇腹管で被覆したものなどがある。
【0005】
このように、スパウト先端の吐水ノズル具等が移動可能であれば、スパウト先端から吐水ノズル具等がフレキシブルかつ摺動自在に出し入れすることができ、スパウト先端の吐水ノズル具等がいわゆる3次元空間内で自在に位置が調整できることとなり至便である。また、シンクの清掃時などもスパウト先端の吐水ノズル具等の位置が自在に調整できるとシンク隅角などに吐水できて至便である。
【0006】
【文献】特開平11-152774号公報
【文献】特開2008-51178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、
図20に示したスパウトから先端の吐水ノズル具までの導水路として可撓性あるホース材や可撓性あるパイプ材を採用したものは、パイプ部103と吐水ノズル具104を基本姿勢に静止させたり取り外したりする脱着作業に問題あった。
ガイドスリーブ101から引き出して伸長させたり、押し込んで縮めて所定の位置に固定したりする場合は、吐水ノズル具104をガイドスリーブ101から取り出して、パイプ部103ごとガイドスリーブ101から引き出して伸長させる必要があった。さらに、元に戻す際には、パイプ部103を固定棒状のガイドスリーブ101内に挿入して収め、さらに、吐水ノズル具104をガイドスリーブ101の所定形状内に装着して嵌合させる必要があり、その手間が煩雑かつ時間のかかる作業となっていた。
【0008】
次に、
図21に示したスパウトから先端の吐水ノズル具までの導水路として可撓性あるフレキシブル管10を採用したものは、ある程度の可撓性が確保されていて3次元空間の任意の位置に静止できるが、フレキシブル管10の可撓性が小さくなってしまい可動域が制限されて大きく屈曲したりするほどの自由度が確保できず、その結果、吐水ノズル具を3次元的に自由に空間移動させることまではできないという問題があった。
また、ステンレス製の螺旋管は洗剤が付着すると腐食することがあり、特に塩素系洗剤が付着すると腐食しやすい。
【0009】
つまり、従来技術の吐水ノズル具等の位置調節機能付きの吐水装置は、吐水ノズル具を自由に3次元空間移動させる点を重視すると、
図20に示したものとなり、スパウトから先端の吐水ノズル具までの導水路はホースのような十分に可撓性あるものを採用することにより自由な3次元空間移動が確保できるものの、その反面、吐水ノズル具104を基本姿勢から簡単に脱着させる技術がなく、脱着作業に問題あった。
一方、吐水ノズル具の脱着を不要として3次元空間の任意の位置に静止できる点を重視すると、
図21に示したものとなり、3次元空間の任意の位置に静止できるが、フレキシブル管10の可撓性が小さくなってしまい可動域が制限されて大きく屈曲したりするほどの自由度が確保できなくなる。
【0010】
本発明は、スパウトから先端の吐水ノズル具までの導水路として可撓性の大きなホース材を採用して可撓性を確保して吐水ノズル具を自由に3次元空間移動させ、かつ、吐水ノズル具を基本姿勢から簡単に脱着させて安定した作業性を確保する吐水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記本発明の目的を達成するため、本発明にかかる吐水装置は、給水管から給水するスパウトと、前記スパウトに連結された可撓性ある湾曲自在なホース体と、前記ホース体に連結されて前記給水管から導水した水を吐水する吐水ヘッド体と、前記スパウトから延設されたアーム支持体と、給水操作部を備えた構成において、前記アーム支持体が、アーム支持体のアーム本体と前記アーム本体の先端にあって前記吐水ヘッド体との対向面が長軸を備えた円筒形状または曲面立体形状である支持連結体とを備えたものであり、前記吐水ヘッド体が、前記支持連結体の長軸を受け入れる大きさの内径を備えた円筒穴と、前記円筒穴の底面に設けられた前記支持連結体の対向面側の形状を受け入れる嵌合凹面形状と、前記円筒穴の肩口から前記嵌合凹面形状まで前記支持連結体を回転摺動させて導く傾斜立体形状を含むヘッド連結体を備え、前記アーム支持体の前記支持連結体と前記吐水ヘッド体の前記ヘッド連結体の前記嵌合凹面形状との連結を介して、前記吐水ヘッド体が前記アーム支持体から脱着可能に支持されたものであることを特徴とする吐水装置である。
【0012】
ここで吐水ヘッド体の傾斜立体形状の外表面の形状は、支持連結体が円筒穴の肩口から嵌合凹面形状まで回転しながら底面に向けて進入してゆく回転運動軌跡に合致する形状を備えたものとすることが好ましい。
【0013】
また、吐水ヘッド体のヘッド連結体の傾斜立体形状は、その稜線が円筒穴の肩口から嵌合凹面形状の溝形状の中心までを結ぶ線上にあり、その裾が底面と溝形状の境界線に至る斜面を左右に備えた山肌形状であり、当該山肌形状が第1の山肌形状と第2の山肌形状の2つあり、溝形状を挟んでそれら第1の山肌形状と第2の山肌形状が対向している形状がある。
上記構成であれば、アーム支持体の支持連結体を、吐水ヘッド体のヘッド連結体に対向しつつ押し込んでゆくと、支持連結体の外表面が傾斜立体形状に当接し、その後、支持連結体が第1の山肌形状と第2の山肌形状に跨りつつ第1の山肌形状と第2の山肌形状の斜面に沿って摺動回転しつつ降下してゆき、ヘッド連結体の円筒穴内での進入深さを増してゆき、支持連結体の対向面の外表面がヘッド連結体の溝形状に嵌合するよう導かれて行く。
【0014】
ここで、ヘッド連結体が、円筒穴の外周を囲むように円筒穴に落ち込んでゆくすり鉢状の斜面を備えている構造であることが好ましい。
アーム支持体の支持連結体がヘッド連結体に接近した際に、両者の位置関係が正確ではなく、アーム支持体の支持連結体が吐水ヘッド体のヘッド連結体の円筒穴に直接入り込まなくともその外周に拡がるすり鉢状の斜面に当接すれば、アーム支持体の支持連結体がヘッド連結体に接近してゆけば自然と円筒穴に導かれる。そのため、使用者は使用時に吐水ヘッド体を把持し、適当にアーム支持体の支持連結体に押し付けて行けば、自然と円筒穴に導かれ、さらに傾斜立体形状に沿って回転摺動してアーム支持体の支持連結体が吐水ヘッド体の嵌合凹面形状の溝形状に収まって支持される。つまり、両者の位置関係を正確には制御せずに適当に操作するだけでスムーズな脱着が可能となる。
【0015】
ここで、アーム支持体の支持連結体と吐水ヘッド体とは相対的に回転摺動して、最終的に支持連結体の対向面が溝形状に嵌合すれば良いが、この両者の相対的な回転摺動はどちらが回転してもよい。
第1のパターンは、アーム支持体の支持連結体側が回転する構造である。つまり、アーム支持体の支持連結体がアーム本体の軸回りに回動可能な構造となっており、吐水ヘッド体の押し込みに伴って支持連結体が回転摺動する構造である。
この第1のパターンのメリットは、使用者は把持している吐水ヘッド体を単にその姿勢で押し込むだけで手に把持した吐水ヘッド体は動かす必要がないという点である。
なお、吐水装置の使用が終了して吐水ヘッド体をアーム支持体に長時間支持させておく場合は、吐水ヘッド体の姿勢が基本姿勢(吐水口が下向き)となるように吐水ヘッド体を回せば良い。吐水ノズルの溝形状が略水平であり、アーム支持体の支持連結体が略水平であれば、支持が安定しやすい。
【0016】
第2のパターンは、使用者が手で把持している吐水ノズル側を回転させる構造である。つまり、アーム支持体の支持連結体がアーム本体の軸回りに回動不能で固定された構造となっており、吐水ノズルの押し込みに伴って支持連結体は不動で使用者が手で把持している吐水ノズル側が自然と相対的に回転摺動する構造である。
この第2のパターンのメリットは、支持連結体が溝形状に嵌合した最終的な状態において略水平であり、アーム支持体による吐水ノズルの支持が安定しやすい点である。吐水ノズルの溝形状が略水平であり、アーム支持体の支持連結体が略水平であれば、支持が安定しやすい。
この第2のパターンでは、アーム支持体の支持連結体は略水平のまま動かないので、使用者が把持している吐水ノズル側を回転させてゆく必要があるが、使用者は吐水ノズルを支持させる際の最終的な姿勢(例えば、吐水口が下方向)が分かっているので斜めに吐水ヘッド体を把持していても、回転摺動には違和感や驚きはなく使用者の手首を軽く従動させれば良く、大きなデメリットはない。
【0017】
アーム支持体の支持連結体および吐水ヘッド体のヘッド連結体の形状の例としては以下の例があり得る。
アーム支持体の支持連結体が円筒形状または葉巻型形状であり、吐水ヘッド体のヘッド連結体の嵌合凹面形状が、その断面が支持連結体に沿う円弧であり、支持連結体の一部に合致する直線が対向した溝形状である。
また、他の例としては、アーム支持体の支持連結体が楕円回転体形状またはラグビーボール形状であり、吐水ヘッド体のヘッド連結体の嵌合凹面形状が、その断面が支持連結体に沿う円弧であり、支持連結体の一部に合致する曲線が対向した溝形状である。
上記形状例であれば、アーム支持体の支持連結体と吐水ヘッド体のヘッド連結体の嵌合凹面形状とが合致して嵌合できる。吐水ヘッド体のヘッド連結体の傾斜立体形状をアーム支持体の支持連結体の回転摺動軌跡に沿う山肌形状とすれば、嵌合するまでの押し込み運動もスムーズに行うことができる。
【0018】
ここで連結力を確実に得るために、アーム支持体の先端の支持連結体と、吐水ヘッド体のヘッド連結体の状体とが、一方が磁石体で他方が磁石吸着性を備えた素材であることが好ましい。
上記構成であれば、磁力をもってアーム支持体と吐水ヘッド体との連結力として利用できる。
または上記構成に代え、アーム支持体の先端の支持連結体と、吐水ヘッド体のヘッド連結体の状体との双方を磁石体とし、それぞれを相互に吸着し得る磁性の配置としたものであることが好ましい。
上記構成でも、磁力をもってアーム支持体と吐水ヘッド体との連結力として利用できる。
【0019】
本発明の吐水装置は、吐水ヘッドはアーム支持体から取り外した後は、ホース体が可撓性あり湾曲の自由度が高いものであり3次元空間的な移動自由度が確保されているが、さらに、吐水ヘッドの基本姿勢(静止姿勢)における3次元空間的な移動自由度を確保しやすくするため、下記の構造を採用することができる。
【0020】
第1の構造は、アーム支持体の上下チルトである。つまり、アーム支持体とスパウトとの接続部において、アーム支持体がスパウトに対して、少なくとも上下チルトの可動機構を備えた構造とし、アーム支持体の上下チルトを通じて、吐水ヘッドの基本姿勢(静止姿勢)の上下方向の制御を可能とする。
【0021】
第2の構造は、スパウトの左右スイーベルである。つまり、スパウトの、少なくともアーム支持体との接続部より下側の一部において、少なくともスイーベルの可動機構を備えた構造とし、スパウトの左右スイーベルを通じて、吐水ヘッドの基本姿勢(静止姿勢)の左右方向の制御を可能とする。
【0022】
第3の構造は吐水ヘッドのねじり回転である。つまり、吐水ヘッドはホース体に連結されており、当該ホース体は、スパウトに連結された可撓性ある湾曲自在なホース体である。そのため多少のねじりマージンがある。また、吐水ヘッドとホース体との連結部分においてスイーベルによる回転を可能とする構造もあり得る。この構造であれば、吐水ヘッドの姿勢の自由度が大きくなり、吐水ヘッド体のヘッド連結体とアーム支持体の先端の支持連結体との連結姿勢の自由度が大きくなる。
【0023】
次に、本発明の吐水装置の工夫として、さらに以下の工夫があり得る。
第1の工夫は、前記吐水ヘッドにおいて、発明者高野雅彰が発明した節水型の脈動流体または断続流体の生成装置を取り込むことである。脈動流体または断続流体の生成装置としては、液体または気体の流体を噴射する噴射機構と、前記噴射機構の下流に位置する閉鎖空間であり、その下方に流体排出部、その側面に外気を導通する通気路につながる導通孔を備え、その内部が外気で満たされた空間キャビティを備え、前記噴射機構の噴射流体の噴射先または前記噴射流体の前記空気キャビティ壁面での衝突による変化により、前記噴射流体の一部が前記導通孔を一時的に覆いつつ流れて前記導通孔からの外気の通気量を制限するよう前記噴射流体を形成する構成であり、前記空間キャビティ内を前記噴射流体が下方に流れることにより生じる前記空間キャビティ内の一時的な圧力低下と、前記導通孔からの外気の吹き込みによる前記空間キャビティ内の一時的な圧力回復との繰り返しの変動によって、前記外気の吹き込みの強弱リズムを生じせしめ、前記噴射機構から前記流体の脈動流または断続流を生成することを特徴とする脈動流体または断続流体の生成装置を取り付けたものとすることである。
【0024】
第2の工夫は、前記吐水ヘッド体の一部にLED発光体が組み込まれ、前記吐水ヘッド体から投光可能な構造とすることである。
第3の工夫は、水使用に関するセンサと、前記センサから得られたデータを蓄積または送信するIoTシステムを備えた構造とすることである。
【0025】
これら工夫により下記の工夫が達成される。
つまり、上記第1の工夫により、吐水ヘッドに優れた節水型の脈動流体または断続流体の生成装置を取り付けることにより、本発明の吐水装置として、優れた節水効果とともに優れた洗浄効果が得られ、環境に優しい吐水装置となりSDGsを目指す上で大いに有益なものとなる。
なお、上記の「脈動流体または断続流体の生成装置」は、特許第5961733号(発明者高野雅彰)に詳述されているが、生成された脈動流体または断続流体は、例えば、略玉状の液塊となっており、その液塊が断続状態または一部エッジ同士がつながっている連続状態で吐出される状態となり、高い節水効果とともに各々の液塊が断続的にまたは連続的に洗浄対象物に衝突して高い洗浄効果が得られるものであり、この「脈動流体または断続流体の生成装置」を吐水ノズルとして吐水ヘッド体の先端に取り付けることにより高い節水効果と高い洗浄効果が得られる。
【0026】
また、上記第2の工夫により、例えば、上記第1の工夫の「脈動流体または断続流体の生成装置」が作動している間にLED発光体が特定色で投光するように制御すれば、吐水中に節水効果と洗浄効果が得られていることが簡単に認識できる。また、夜間には手元灯となるという効果も得られる。
【0027】
上記第3の工夫により、例えば、本発明の吐水装置の使用による水使用量を動的に把握することができ、さらに、各家庭単位のみならず、町内単位、地域単位、時間帯での水の使用量が把握でき、ビッグデータとして得られればSDGsを目指す上で貴重な水資源のデータとして活用でき、大いに有益なものとなる。
【発明の効果】
【0028】
本発明にかかる吐水装置によれば、吐水ヘッドはアーム支持体から取り外した状態では、ホース体が可撓性あり湾曲の自由度が高いものであり3次元空間的な移動自由度が確保されている。吐水ヘッドをアーム支持体の支持連結体に取り付ける場合は、吐水ヘッドのヘッド連結体をアーム支持体の支持連結体に向けて押し込んで行くだけで、両者のいずれかが相対的に回転摺動し、アーム支持体の支持連結体の外表面形状と吐水ヘッド体のヘッド連結体の溝形状との連結を介して相互に沿い合って連結し合う形状となり、優れた連結能力が獲得できる。
吐水ヘッドはアーム支持体から取り付けた状態では、アーム支持体のチルト動、スイーベル動も可能であり、吐水ヘッドの姿勢が3次元空間的に高い移動自由度が確保できる。特に、アーム支持体の支持連結体がアーム本体の軸回りに回転可能な状態であれば、吐水ヘッド体をアーム支持体に取り付けた状態でアーム本体の軸回りに回転させることができ、吐水ヘッドの姿勢が3次元空間的に高い移動自由度が確保できる。
アーム支持体の支持連結体と吐水ヘッド体のヘッド連結体の連結として例えば、一方が磁石体で他方が磁石吸着性を備えた素材としたり、双方が磁石体で相互に吸着し得る磁性の配置となったりしたものであれば、磁力をもって両者が脱着自在に連結できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施例1にかかる吐水装置100の一構成例を示す図である。
【
図2】吐水ヘッド体140のヘッド連結体142と、アーム支持体150の支持連結体152を拡大して示した図である。
【
図3】吐水ヘッド体140とアーム支持体150との連結・離脱の脱着操作を簡単に示したものである。
【
図4】傾斜立体形状1423の山肌形状と支持連結体152との連結・離脱の脱着操作を簡単に説明した図である。
【
図5】アーム支持体150のチルト姿勢に応じて、どの高さでも自在に吐水ヘッド140と脱着できる様子を示す図である。
【
図6】吐水ヘッド体140がアーム支持体150と連結している状態における吐水ヘッド体140の姿勢のスイーベルの自由度を説明する図である。
【
図7】吐水ヘッド体140がアーム支持体150と連結している状態における吐水ヘッド体140の姿勢のチルトの自由度を説明する図である。
【
図8】吐水ヘッド体140がアーム支持体150から離脱している状態における吐水ヘッド体140の姿勢の自由度について説明する図である。
【
図9】実施例2の節水型の脈動流体または断続流体の生成装置である吐水ノズル200の一部のみを取り出して示した図である。
【
図10】
図9に示した脈動流体または断続流体の吐水ノズル200に対して、給水管110から水を供給して連続流体を流した状態を簡単に示す図である。
【
図11】排出部250付近を取り出して、排出部250内を流れる液塊と気体塊を分かりやすいように図示したものである。
【
図12】実施例2にかかる脈動流体または断続流体の生成装置である吐水ノズル200により生成された脈動流体または断続流体の洗浄効果を簡単に説明する図である。
【
図13】従来の単なる連続水流による洗浄の様子を示す図である。
【
図14】節水型の脈動流体または断続流体の生成装置である吐水ノズル200の他の構成例の一部のみを取り出して示した図である。
【
図15】
図14に示した脈動流体または断続流体の生成装置である吐水ノズル200に対して給水管110から水を流した状態を簡単に示す図である。
【
図16】節水型の脈動流体または断続流体の生成装置である吐水ノズル200のさらに他の構成例の一部のみを取り出して示した図である。
【
図17】
図16に示した脈動流体または断続流体の生成装置である吐水ノズル200に対して給水管110から水を流した状態を簡単に示す図である。
【
図18】節水型の脈動流体又は断続流体の生成装置である吐水ノズル200のさらにその他の構成例とした場合の一部のみを取り出して示した図である。
【
図19】
図18に示した脈動流体または断続流体の生成装置である吐水ノズル200に対して給水管110から水を流した状態を簡単に示す図である。
【
図20】特許文献1の特開平11-152774号公報の従来技術を説明する図である。
【
図21】特許文献2の特開2008-51178号公報の従来技術を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の吐水装置の実施例を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途、形状、個数などには限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0031】
図1は、本発明の実施例1にかかる吐水装置100の一構成例を示す図である。
図1は、本発明の実施例1にかかる吐水装置100の一部のみを取り出して示した図となっている。
図1では、給水管110、スパウト120、ホース体130、吐水ヘッド体140、吐水ヘッド本体141、ヘッド連結体142、円筒穴1421、嵌合凹面形状1422、傾斜立体形状1423、すり鉢状の斜面1424、アーム支持体150、アーム本体151、支持連結体152、給水操作部160、吐水ノズル200が図示されている。水道設備としてその他に必要な部材は省略している場合がある。
図1の下側の左側には吐水ヘッド体140の縦断面図を示している。嵌合している支持連結体152とアーム本体151の一部も併せて示されている。断面にはハッチングを付けている。
図1の下側の右側には吐水ヘッド体140のヘッド連結体142の正面視の図面を示している。嵌合している支持連結体152も併せて示されている。アーム本体151は図示していない。
図2は、吐水ヘッド体140のヘッド連結体142と、アーム支持体150の支持連結体152を拡大して示した図である。
図2(a)は、両者が嵌合している状態を拡大して示している。左上側には両者が嵌合している状態の正面図、右上側には両者が嵌合している状態の斜視図(斜視角度は他の図とは異なっており、寝かせた角度で示している。)、左下側はA-A線断面図、右下側はB-B線断面図である。断面にはハッチングを付けている。
図2(b)は、吐水ヘッド体140のヘッド連結体142を拡大して示している。左上側にはヘッド連結体142の正面図、右上側にはヘッド連結体142の斜視図、左下側はC-C断面図、右下側はD-D線断面図である。断面にはハッチングを付けている。
【0032】
以下、各構成要素について簡単に説明する。
給水管110は、水を給水する管であり、上流から水が適宜供給される水道設備につながっている。
水道設備としてその他に必要な部材は省略しているが、通常の給水管110が備えている部材は装備されているものとする。
【0033】
スパウト120は、給水管110に連結されており、給水管110からの給水を受けてホース体130へ供給する。
スパウト120の形状は限定されない。内部の通水路は円筒形のものが多いが水平断面が円形に限らず、楕円形や矩形のものなど多様なものがあり得る。
スパウト120自体はかならずしも可動機構を装備したものではないが、この例では、スイーベル動が可能なものとなっている。この例では、
図4に示すように、スパウト120が上部スパウト体121と下部スパウト体122を備えたものであり、下部スパウト体122は給水管110に対して固定されているが、上部スパウト体121が下部スパウト体122に対してスイーベル機構を備え、上部スパウト体121が水平方向に回動可能となっている。その結果、後述するように、吐水ヘッド体140の吐水ノズル200の3次元空間内での移動自由度が向上するものとなっている。
【0034】
ホース体130は、水圧に耐え得る耐圧性を持ち、可撓性ある湾曲自在なホース体となっている。もちろん給水時に印加される水圧変化や繰り返しの湾曲動作によっても漏水しない耐久性を持った素材および構造を備えたものとする。
可撓性に優れたホース体130を採用することにより、後述する
図6に示すように、スパウト120のスイーベル運動に追随でき、後述する
図7に示すように、アーム支持体150のチルト運動にも追随でき、さらに、後述する
図8に示すように、吐水ヘッド体140がアーム支持体150から離脱している状態では吐水ヘッド体140が3次元空間内で自由に移動できるようになり、吐水ヘッド体140の吐水ノズル200の3次元空間内での移動自由度が向上するものとなっている。
【0035】
吐水ヘッド体140は、ホース体130に連結され、ホース体130を介して給水管110から導水した水を吐水するものである。
吐水ノズル200は、吐水ヘッド体140の先端にある吐水口を提供する構造物である。吐水ノズル200は単純に吐水口であって吐水ヘッド体140に組み込まれているものでも良く、実施例2で後述するように、節水ノズルであっても良い。
【0036】
吐水ヘッド本体141は吐水ヘッド体140の筐体であり、内部に吐水ノズル200を収納した下面が開放されたものである。この例では下面が開放された円筒体となっている。外周壁面にはヘッド連結体142が設けられている。
【0037】
ヘッド連結体142は、吐水ヘッド体140の吐水ヘッド本体141の一部に設けられた構造物である。
ヘッド連結体142は、アーム支持体150の支持連結体152に対して脱着可能に連結する連結部位であり、ここでは、ヘッド連結体142と支持連結体152の両者の連結が凹面形状と凸面形状であり、両者が当接し合える形状となっている。
この例では、
図1および
図2(b)に示すように、ヘッド連結体142は、円筒穴1421、嵌合凹面形状1422、傾斜立体形状1423、すり鉢状の斜面1424を備えた構造となっている。ヘッド連結体142は吐水ヘッド本体141の外壁面に立設する形で盛り上げて設けられている。
【0038】
円筒穴1421は、吐水ヘッド本体141の外壁面に穿たれた穴であり、その内径は支持連結体152の長軸を受け入れられる大きさとなっている。支持連結体152が傾斜立体形状1423の壁面上に当接して回転摺動しつつ円筒穴1421内に押し込まれて行くので、支持連結体152の長軸を内径とする円筒形や、当該長軸よりも多少大きくマージンがある内径であっても良い。円筒穴1421の深さとしては、特に限定されないが、この例では吐水ヘッド本体141の内壁面には到達しない深さとする。つまり、 ヘッド連結体142が吐水ヘッド体140内に搭載されたノズル200には影響しないものとする。
【0039】
嵌合凹面形状1422は、円筒穴1421の底面に設けられた窪み形状であり、支持連結体152の対向面側の形状を受け入れる凹面形状となっている。つまり、支持連結体152の一部が嵌合して入り込む形状の窪みである。
嵌合凹面形状1422の形状は、アーム支持体150の支持連結体152の形状との組み合わせによる。
例えば、アーム支持体150の支持連結体152が、円筒形状または葉巻型形状であれば、ヘッド連結体142の嵌合凹面形状1422は、
図2(b)に示すような、いわゆる境界線が直線状の溝形状となる。その断面は
図2(b)のC-C線断面図に示すように、支持連結体152の外表面に沿う円弧となっている。
また、例えば、アーム支持体150の支持連結体152が、楕円回転体形状またはラグビーボール形状であれば、ヘッド連結体142の嵌合凹面形状1422は、図示しないが、その断面が支持連結体に沿う円弧であり、2つの楕円曲線が対向した溝形状、または、2つのラグビーボール状の曲線が対向した溝形状となっている。
いずれのパターンでも、両者が嵌合し合うことができれば優れた連結支持能力が獲得できる。
以下、アーム支持体150の支持連結体152が葉巻型形状で、ヘッド連結体142の嵌合凹面形状1422は直線状の溝形状である場合を例として説明する。上記した他の形状の組み合わせもこの例と同様に適用すれば良い。
【0040】
傾斜立体形状1423は、円筒穴1421の肩口から嵌合凹面形状1422まで支持連結体152を当接しつつ回転摺動させて導く立体形状である。
傾斜立体形状1423の外表面の形状は、支持連結体152が円筒穴1421の肩口から嵌合凹面形状1422まで回転しながら底面に向けて進入してゆく回転運動軌跡に合致する形状を備えたものとなっている。
この例では、
図2(b)に示すように、傾斜立体形状1423は、溝形状である嵌合凹面形状1422を挟んで両側に2つの山肌形状を備えたものとなっている。ここではそれぞれの山肌形状を第1の山肌形状と第2の山肌形状とする。これらを併せて傾斜立体形状1423となっている。
【0041】
傾斜立体形状1423のこれら山肌形状は、その稜線が円筒穴1421の肩口から溝形状の傾斜立体形状1423の中心までを結ぶ線上にあり、その裾が底面と溝形状の傾斜立体形状1423の境界線に至る斜面を左右に備えた山肌形状となっている。C-C線断面図より分かるように、山肌形状の稜線は直線状に溝形状の傾斜立体形状1423の境界線に向けて下降しているが、山肌形状の斜面はE-E線断面図より分かるように若干凹曲面となっている。つまり、山肌形状の稜線の最下位点を中心として稜線の頂上までの一翼と、溝形状の傾斜立体形状1423の円筒穴1421との交点までの一翼を持つ扇状であるが平面な扇状ではなく凹曲面状に拡がっている傾斜扇状凹曲面となっている。傾斜立体形状1423はその傾斜扇状凹曲面が稜線を中心に左右に拡がっているような形状となっている。これで1つの山肌形状が形成され、それが溝形状を挟んで両側に設けられている。
【0042】
ヘッド連結体142のすり鉢状の斜面1424は、円筒穴1421の外周を囲むように円筒穴1421に落ち込んでゆくすり鉢状の斜面となっている。
このヘッド連結体142のすり鉢状の斜面1424を設けておくことにより、アーム支持体150の支持連結体152のヘッド連結体142に対するアプローチが円筒穴1421の正確な位置から多少ずれていても、すり鉢状の斜面1424の内側に触れる位置であれば、自然と支持連結体152が円筒穴1421に導かれてゆくという効果が得られる。
【0043】
アーム支持体150は、スパウト120から延設された部材であり、吐水ヘッド体140を支持する部材である。
例えば、スパウト120が上部スパウト体121と下部スパウト体122を備えたものであれば、スイーベルで回動する側、つまり、この例ではアーム支持体150は上部スパウト体121から延設されているものとする。
【0044】
なお、アーム本体151はチルト機構154を介してスパウト120に取り付けられている例とする。この例では、アーム本体151はチルト機構154を介して上部スパウト体121に取り付けられている。
【0045】
アーム支持体150は、少なくともアーム本体151とその先端に取り付けられている支持連結体152を備えた構成となっている。両者が連結可能な構造であるので、支持連結体152を介して吐水ヘッド体140を安定した取付姿勢で支持できる。
【0046】
アーム本体151は棒状の形状を備えたものである。吐水ヘッド体140を支持できる剛性を備えたものであれば良い。アーム本体151はいわゆるテレスコープ構造を持って伸縮できるものであっても良い。
【0047】
支持連結体152は、アーム支持体150のアーム本体151の先端に連結された部材であって、この例では葉巻形状となっている。つまり、吐水ヘッド体140が提供するヘッド連結体142に対向する凸面形状を支持連結体152が提供することとなる。この例では、支持連結体152の形状は、葉巻型の凸面形状となっている。
このアーム本体151、支持連結体152の可動について幾つかのパターンがあり得る。
第1のパターンは、支持連結体152がアーム本体151の軸回りに回転可能な構造であるパターンである。後述する
図3の例では、
図3の(b)に示すように、アーム本体151の先端にある支持連結体152がアーム本体151の軸回りに回転することができる構造である。
第2のパターンは、支持連結体152はアーム本体151には相対的には固定されているが、アーム本体151ごとアーム本体の軸回りに回転するものである。アーム本体151は上記したように、スイーベル運動、チルト運動があるが、その他に長軸回りに回転(自転)する運動である。運動としては、支持連結体152はアーム本体151には相対的には固定されているが、アーム本体151ごと一緒に支持連結体152が回転し、第1のパターンの場合と同様、後述する
図3(b)に示すように、アーム本体151と支持連結体152が一緒にアーム本体151の軸回りに回転することができる構造である。
第3のパターンは、アーム本体151と支持連結体152ともに相対的には固定されており、かつ、アーム本体151が軸回りにも固定されて回転しないパターンである。この場合は後述する
図3(c)に示すように、アーム本体151は上記したように、スイーベル運動、チルト運動があるが、軸回りには不動で自転しない構造となる。
上記した第1パターン、第2パターン、第3パターンの違いによって、後述する吐水ヘッド体140とアーム支持体150との連結・離脱の脱着操作に影響するが、どのパターンでも後述する吐水ヘッド体140とアーム支持体150との連結・離脱の脱着操作は可能である。
【0048】
給水操作部160は、水道水の給水量を制御する操作部分である。公知技術として様々なタイプのものがあり、本発明では特に限定されないが、例えばレバーコック式のものがある。また、単純にオンオフであればセンサ式のものもあり得る。
以上が各構成部材の簡単な説明である。
【0049】
次に、吐水ヘッド体140とアーム支持体150との連結・離脱の脱着操作について簡単に説明する。
図3は、吐水ヘッド体140とアーム支持体150との連結・離脱の脱着操作を簡単に示したものである。吐水ヘッド体140の外表面にはヘッド連結体142が設けられており、支持連結体152に対向する面にヘッド連結体142が設けられていることが分かる。
図3に示すように、マクロ的な連結・離脱の脱着操作の運動としては、利用者が吐水ヘッド140を把持してアーム支持体150から引き抜いて離脱させたり、アーム支持体150に対して押し込んで連結したりすることが簡単にできる。
【0050】
図4は、吐水ヘッド体140のヘッド連結体142、特に、傾斜立体形状1423の山肌形状と、アーム支持体150の支持連結体152との連結・離脱の脱着操作について拡大して簡単に説明した図である。
図4にはアーム支持体150の支持連結体152付近の正面図(
図3上側と90度回転した方向から吐水ノズル140のヘッド連結体142を正面から見た図)が示されている。
図4には回転運動を示す矢印が図示されており、支持連結体152が回転するように図示されているが、これは、上記したアーム本体151、支持連結体152の可動のパターンのうち、第1のパターンと第2のパターンの場合の動きと考えれば良い。第3のパターンについては、アーム本体151および支持連結体152ともに不動であるので、相対的に吐水ノズル140の方が相対的に回転している矢印と考えれば良い。
【0051】
ヘッド連結体142の傾斜立体形状1423の山肌形状と、アーム支持体150の支持連結体152との連結・離脱の脱着操作を詳しくみる。
図4(a)から
図4(b)さらに
図4(c)まで順を追って示すように、アーム支持体150の支持連結体152を、吐水ヘッド体140のヘッド連結体142に対向しつつ押し込んでゆくと、支持連結体152の外表面がこの傾斜立体形状1423の傾斜扇状凹曲面に当接し(
図4(a))、支持連結体152が傾斜立体形状1423の第1の山肌形状と第2の山肌形状に跨りつつ、これら第1の山肌形状と第2の山肌形状の傾斜扇状凹曲面に沿って摺動回転しつつ、支持連結体152の円筒穴1421内での進入深さを増してゆき(
図4(b))、支持連結体152の対向面の外表面が溝形状1422に嵌合するよう導かれて行く(
図4(c))。
【0052】
ここで、吐水ヘッド体140とアーム支持体150との連結は、ヘッド連結体142の嵌合凹面形状1422と、支持連結体152の凹面形状が沿い合うことによる連結・離脱の仕組みとなっている。この例では、両者の嵌合連結・離脱を確実かつ簡単に行うため磁力を用いた例として説明する。
ヘッド連結体142の嵌合凹面形状1422と、支持連結体152のいずれか一方に磁石が内蔵されており、他方がステンレス等の磁性体であるか、または、ヘッド連結体142の嵌合凹面形状1422と支持連結体152の両方に磁石が内蔵されており相互に異極同士である場合は、両者が磁力で連結し合うこととなり、
図3(a)に示すように、離脱、連結が自在に切り換えられる。つまり、磁力が適切な強さで働けば、アーム支持体150の先端において吐水ヘッド体140が十分に支持できる上、両者が磁力で連結し合う場合、使用者が手で吐水ヘッド体140を把持してアーム支持体150の先端から引き抜けば磁力に逆らって両者を離脱させることができる。
【0053】
このように、使用者が手で吐水ヘッド体140をアーム支持体150に対して簡単に着脱することができる。
図5は、アーム支持体150のチルト姿勢に応じて、どの高さでも自在に吐水ヘッド140と脱着できる様子を示す図である。
図5(a)はアーム支持体150のチルト姿勢が上向きの場合、
図5(b)はアーム支持体150のチルト姿勢が略水平な場合、
図5(c)はアーム支持体150のチルト姿勢が下向きの場合における吐水ヘッド140のヘッド連結体142との脱着が可能であることを示している。
この吐水ヘッド体140とアーム支持体150との脱着機構により、本発明の吐水装置では、吐水ヘッド体140がアーム支持体150と連結している状態でも吐水ヘッド体140の姿勢が自在なものとなり、さらに、吐水ヘッド体140がアーム支持体150から離脱している状態であれば、より広範囲に吐水ヘッド体140の姿勢が自在なものとなる。
【0054】
上記したように、吐水ヘッド体140のマクロな存在位置が3次元的に可変となる。
図6は、ヘッド連結体142を固定したまま支持連結体152を左右に当接角度を変えて事実上スイーベルさせた様子を簡単に示している。
図7は、アーム支持体150の支持連結体152と、吐水ヘッド体140のヘッド連結体142との垂直方向の連結を示したものである。側面から見た図となっている。
図7(a)から
図7(c)の図は、吐水ヘッド体140とアーム支持体150を側面から描いており、支持連結体152を上下にチルトさせた様子を簡単に示している。なお、アーム支持体150の支持連結体152と、吐水ヘッド体140のヘッド連結体142との垂直方向の連結の様子が分かりやすいように、吐水ヘッド体140はその縦断面図を示している。また、図が重なると見づらいため、吐水ヘッド体140の位置もずらして描いている。実際には吐水ヘッド体140がいわゆる“縦に首振り”可動ができるとも言える。
図7に示すように、ヘッド連結体142に対して、アーム支持体150の支持連結体152は、可動範囲のどの角度であっても沿い合って当接し合うことができ、垂直方向での連結自在性能を示している。
【0055】
図6および
図7を併せてみれば、ヘッド連結体142と支持連結体152との角度が3次元的に自在に調整できるので、吐水ヘッド体140の取付姿勢を調整でき、吐水ヘッド体140の吐水ノズル200の吐水角度を調整することができる。
【0056】
次に、
図8は、吐水ヘッド体140がアーム支持体150から離脱している状態における吐水ヘッド体140の姿勢の自由度について説明する図面である。
図8に示すように、吐水ヘッド体140がアーム支持体150から離脱すれば、吐水ヘッド体140は可撓性に優れたホース体130に接続されたまま手で3次元空間内を自在に移動できるものとなるため、ホース体130の長さの制限はあるものの吐水ノズル200をあらゆる任意の位置と任意の角度にすることができる。
手で3次元空間内を自在に移動させて吐水ヘッド体140から水を吐水させて使用した後は、再び吐水ヘッド体140をアーム支持体150に戻して支持させれば簡単に吐水ヘッド体140を支持固定できる。
【実施例2】
【0057】
実施例2として、吐水ヘッド体140に取り付ける吐水ノズル200として、節水型の脈動流体または断続流体の生成装置である吐水ノズル200を採用した例を説明する。
図9は、実施例2の節水型の脈動流体または断続流体の生成装置である吐水ノズル200の一部のみを取り出して示した図となっている。
図9では、噴射機構210、空間キャビティ220、液体導入管230、通気路240と導通孔241、脈動流体または断続流体の排出部250が図示されている。
【0058】
液体導入管230は、連続流体の液体の供給装置に接続され、連続流体を受け取って下方へ引き込む管である。
図9では、噴射機構210の上方にある空間として描かれているが、給水管110と噴射機構210の間をつなぐ管路となっている。
図9では給水管110およびそのアタッチメント部材は図示を省略している。
【0059】
噴射機構210は、連続水流が通過する面積を狭く絞ることにより噴射液流として勢いよく噴射する機構である。この構成例では、液体導入管230の下面に設けられ、液体導入管230から連続流体を受け取って径を絞り込んで下方へ噴射する部材となっている。
噴射機構210の噴射角度が、その噴射先または噴射飛沫先が導通孔241またはその近傍に当接し、跳ね返りながらその一部が導通孔241を含む側壁面を覆いつつ下方に流れる水流となる角度となっている。
【0060】
空間キャビティ220は、上面に噴射機構210が配置され、下面に脈動流体または断続流体の排出部250が配置され、内部に導通孔241から流入した気体で満たされた密閉空間を形成しているものである。空間キャビティ220に対する流入および流出は、噴射機構210からの噴射流体の流入と、導通孔241からの外気の流入と、排出部250からの脈動流体または断続流体の流出以外はなく、その他は閉鎖されて気密が維持されているものとする。
【0061】
図10は、
図9に示した脈動流体または断続流体の吐水ノズル200に対して、給水管110から水を供給して連続流体を流した状態を簡単に示す図である。
液体供給装置から液体を供給して連続流体を流した状態を簡単に示す図である。
図10に示すように、基本的な動きとして、気密が維持されている空間キャビティ220内に、噴射機構210から勢いよく噴射流体が流入し、空間キャビティ220内部の気体を巻き込みつつ排出部250から水が流出して行くものとなっている。
噴射機構210から流入した噴射流体が空間キャビティ220内部の空気を巻き込んで押し流しつつ排出部250から排出されるので、空間キャビティ220内の気圧が低下する。そのため、気圧低下に伴って導通孔241を介して通気路240から外気が高速に吹き込まれることとなる。
【0062】
ここで、噴射機構210は、噴射流体の噴射先または噴射飛沫先が導通孔241またはその近傍に当接し、跳ね返りながらその一部が導通孔241を含む側壁面を覆いつつ下方に流れる水流となる角度となっている。
図10の構成例では、噴射流体の噴射先または噴射飛沫先が導通孔241のやや上方となっている。噴射流体が空間キャビティ220の側壁面に当たると反射して拡がるが、その一部は空間キャビティ220の側壁面に沿って流れる。空間キャビティ220の側壁面には導通孔241が含まれているため、
図10に示すように、導通孔241の開口が下方に流れる噴射流体で封止される状態が現れる。
【0063】
ここで、空間キャビティ220内の気圧の変化に注目する。
図10に示すように、空間キャビティ220内を噴射流体が内部の空気を巻き込んで押し出しつつ下方に流れることにより、空間キャビティ220内の気圧低下が生じる。空間キャビティ220内から噴射流体とともに気体が下方に押し出されてゆき、狭く密閉している空間キャビティ220内の気圧が低下すること理解されよう。
【0064】
一方、通気路240を通じて導通孔241から空間キャビティ220内に向けて外気の吹き込みがある。この外気の吹き込みは空間キャビティ220内の気圧低下により引き起こされる。空間キャビティ220内に外気が吹き込まれると、低下した空間キャビティ220内の気圧が回復する。
ここで、この気圧低下と気圧回復は整然と平衡状態を保つものではなく、導通孔241の開口を塞いでいる噴射流体の液流膜があることから、
図10(b)の左右に示す状態が交互に繰り返されることとなる。
【0065】
図10(b)の左側の状態は、導通孔241の開口を噴射流体により形成される液流膜で封止される状態である。この状態では瞬間的に導通孔241から外気の吹き込みが停止しており、空間キャビティ220内から空気が下方に押し出され、狭く密閉している空間キャビティ220内の気圧が低下してゆく。
【0066】
図10(b)の右側の状態は、空間キャビティ220内の気圧低下が大きくなり、空間キャビティ220内への外気の引き込む力が大きくなった結果、導通孔241の開口を封止している液流膜に打ち勝ち、液流膜を切り裂いて空間キャビティ220内に外気が吹き込んでいる状態である。この状態では瞬間的に噴射流体の液流膜が途切れ、導通孔241から吹き込まれた外気が挟み込まれる状態となっており、外気の吹き込みにより空間キャビティ220内の気圧が回復してゆく。
空間キャビティ220内の気圧が回復してゆくと、空間キャビティ220内への外気の引き込む力が小さくなり、やがて導通孔241の開口を沿って流れる液流膜の勢いが勝り、導通孔241の開口を液流膜が封止する
図10(b)左側の状態に戻る。
このように、
図10(b)左側の外気の吹き込みがない気圧低下進行状態と、
図10(b)右側の外気の吹き込みがある気圧回復進行状態との繰り返しの変動によって、外気の吹き込みの強弱リズムを生じ、噴射流体から脈動流または断続流の泡沫水が生成される。
【0067】
なお、導通孔241と噴射流体との関係については、
図9および
図10の構成例では、
図10(b)左側の状態では噴射流体による液流膜が導通孔241前面を沿うように流れて完全に塞いで通気量がなくなる例であるが、液流膜が導通孔前面を沿うように流れて完全に塞ぐものではなく、液流膜が導通孔前面を掠めるように流れて少し隙間があり、その小さな隙間を介した通気はあるもののその通気量が制限されるという構成であっても良い。このケースについては実施例2で説明する。
【0068】
なお、噴射流体に対して空間キャビティ220内の気体や、噴射流体に対して側方の導通孔241から外気が打ち込まれるため、空間キャビティ220内を通過する液体は外気と混合され、泡沫状の外気混合液に変化し得る。導通孔241からの外気の吹き込みが特に強くなった瞬間、噴射流体が外気により破断されたり薄くなったりする。その結果、通過する噴射流体が脈動流または断続的に途切れたパルス状の泡沫液塊となり得る。特に、噴射流体の形状そのものが元々薄い液膜状のものとして噴射されたものであれば、噴射流体に吹き込まれる外気の流れの強弱が繰り返されることによって切れ目が生じて液塊が形成されやすい。
【0069】
また、生成された液塊は空間キャビティ220内の気体を巻き込んで押し流しながら下流に向かって排水路150の入り口に到達するが、その間、空間キャビティ220内の気圧は強弱を繰り返しているため、空間キャビティ220内の気圧が比較的強いときには、泡沫液塊が排水路150近くの気体を排水路150に押し込みやすくなり、液塊によって押し込まれた気体が気体塊として排水路150に押し込まれることもあり得る。
【0070】
図11は、排出部250付近を取り出して、排出部250内を流れる液塊と気体塊を分かりやすいように図示したものである。
図11に示すように、排水路150の中においては液塊の先に気体塊が押し込まれた状態となる。このように液塊の間に気体塊が存在すると、あたかも先行する液塊と後続の液塊が独立し、その間に気体塊が入り込んだ状態となり、脈動流またはパルス状の断続流として排出部250から系外へ放出されることとなる。
【0071】
図11では分かりやすいように泡沫水が排出部250内で1つ1つ完全に独立した液塊となっているように図示したが、このような独立した液塊となったり、完全には切れ目が生じずにまたは後方の液塊とエッジ同士がつながった連続液塊となったりする場合もあるが、いずれにせよ均一な連続流体ではなく脈動流または断続流となり得る。
【0072】
図12は、実施例2にかかる脈動流体または断続流体の生成装置である吐水ノズル200により生成された脈動流体または断続流体が水であり、洗浄用途に用いた場合の洗浄効果を簡単に説明する図である。
図12では、脈動流体または断続流体の洗浄効果を説明するために、瞬間を切り取って図示するとともに、泡沫状の液塊として連続して当たり続けることを強調して図示している。
【0073】
図12(a)は、実施例2にかかる脈動流体または断続流体の生成装置である吐水ノズル200により生成された脈動流体または断続流体の泡沫水流が物体表面の汚れに向かって当たり始める様子を示している。ここでは、高速に流れ落ちる脈動流体または断続流体のうち独立した液塊が当たり始めている。
【0074】
図12(b)は、先頭の泡沫液塊が汚れに当たり、そのまま泡沫液塊が潰れて泡沫液塊のエネルギーが汚れに吸収された様子である。独立した泡沫液塊の1つが汚れに当たり、跳ね返らずに潰れるように汚れに当たり横方向に押し広げる。
【0075】
図12(c)は、次に到来した先頭の泡沫液塊が当たり始める様子を示す図である。
【0076】
図12(d)は、後続の泡沫液塊が汚れに当たり、そのまま泡沫液塊が潰れて泡沫液塊のエネルギーが汚れに吸収された様子である。先行する泡沫液塊が汚れに当接した状態で存在するが、泡沫水であるので盛り上がるような水膜は形成されておらず、汚れの上面が剥き出しに近い状態となっている。この汚れに対して後続の泡沫液塊が汚れに当たり、跳ね返らずに潰れるように汚れに当たり、汚れをさらに横方向に押し広げる。
【0077】
図12(e)は次に到来した先頭の泡沫液塊が当たり始める様子を示す図、
図12(f)は後続の泡沫液塊が汚れに当たり、そのまま泡沫液塊が潰れて泡沫液塊のエネルギーが汚れに吸収された様子である。
図12(d)の状態よりさらに汚れが横方向に押し広げられている。このように独立した泡沫液塊が断続的に汚れに当たり続けることにより汚れが効率的に横方向に押し流されていく。
泡沫水であるので、先行する泡沫液塊によって盛り上がるような水膜は形成されておらず、常に汚れの上面が剥き出しに近い状態となっており、次々と到来する泡沫液塊が汚れに直接打撃を加え続け、泡沫液塊のエネルギーが汚れに印加され続ける。このように、脈動流体または断続流体生成装置200により生成された泡沫水流が高い洗浄効果を示す。
【0078】
一方、
図13は、従来の単なる連続水流による洗浄の様子を示す図である。
図13(a)は、連続水流が物体表面の汚れに当たり始める様子を示す図である。
【0079】
図13(b)は、連続水流が物体表面の汚れに当たった直後の様子の瞬間を示す図である。
図13(b)に示すように、汚れに当たった連続水流は一部が上方へ跳ね返り、後続の連続水流に衝突し、勢いが相殺し合う。また、周囲に飛沫が飛び散りやすい。
【0080】
図13(c)は、
図13(b)の次の段階を示す図である。汚れに当たった水流の跳ね返りは続き、水流の勢い同士の相殺が続く。また、周囲への飛沫の飛び散りが多く、汚れの上に水膜を形成され始める。
【0081】
図13(d)は、
図13(c)の次の段階を示す図である。汚れに当たった水流の跳ね返りは続き、水流の勢い同士の相殺が続く。また、汚れの上に水膜が形成され、連続水流の一部は水膜の上を滑るように横方向に流れやすくなる。
【0082】
図13(e)は、
図13(d)の次の段階を示す図である。汚れに当たった水流の跳ね返りは続き、水流の勢い同士の相殺が続く。また、汚れの上に水膜が形成され、連続水流の一部は水膜の上を滑り、汚れが水膜の下に隠れるようになる。
【0083】
図13(e)に至るとその後は
図13(e)の状態が持続されてゆく。
この
図13に示した従来の単純な連続水流の洗浄効果に比べて、
図12に示した実施例2にかかる脈動流体または断続流体の生成装置である吐水ノズル200により生成された泡沫水流の持つ高い洗浄効果が理解されよう。
以上に説明したように、脈動流体または断続流体の生成装置の原理を適用することにより連続流体から脈動流体または断続流体が生成される。
【0084】
なお、節水型の脈動流体または断続流体の生成装置である吐水ノズル200としては、
図10および
図11に示した構成のほか、
図14に示す構成例もある。
図14に示した構成例は、
図10に比べて噴射機構210の噴射角度が、導通孔241が設けられている側壁面に対して略平行または若干の角度をもって打ち出される角度となっている。
この
図14の構成例では、噴射機構210の噴射先と略平行に位置する側壁面に導通孔241が設けられている構成例となっている。
【0085】
図15は、
図14に示した脈動流体または断続流体の生成装置である吐水ノズル200に対して給水管110から水を流した状態を簡単に示す図である。
図15に示すように、基本的な動きとして、気密が維持されている空間キャビティ220内に、噴射機構210から勢いよく水流が流入し、噴射機構210から打ち出された噴射流体は導通孔241が設けられている側壁面に対して略平行または若干の角度をもって空間キャビティ220の側壁面に沿って流れ、導通孔241の開口が下方に流れる噴射流体で封止される状態が現れる。内部の気圧の影響から
図15(a)に示すように通気路240を通じて導通孔241から空間キャビティ220内に向けて外気の吹き込みと、噴射流体の液流膜による導通孔241の開口の閉鎖が交互に出現し、
図15(b)の左右に示す状態が交互に繰り返されることとなる。
【0086】
また、節水型の脈動流体または断続流体の生成装置である吐水ノズル200としては、
図16に示す構成例もある。
図16に示した噴射機構210の噴射角度は、噴射流体の噴射先または噴射飛沫先が導通孔241またはその近傍となり、導通孔241から吹き込む外気と衝突する角度となっている。
【0087】
図17は、
図16に示した脈動流体または断続流体の生成装置200に対して、水道蛇口など水道供給装置から水を供給して水流を流した状態を簡単に示す図である。
図17に示すように、基本的な動きとして、気密が維持されている空間キャビティ220内に、噴射機構210から勢いよく水流が流入し、
図17に示すように、噴射流体の噴射先または噴射飛沫が導通孔241またはその近傍となるように噴射角度が付けられているため、導通孔241またはその近傍において、勢い良く噴射されている噴射流体の一部または噴射飛沫と、勢いよく吹き込まれる外気とが衝突することとなる。なお、この衝突は、偶然に内部の飛沫が導通孔付近に飛散するというものではなく、噴射機構210の角度付けにより意図的に連続して衝突を起こすよう制御されたものである。
【0088】
図17に示すように、空間キャビティ220内を噴射流体が内部の空気を巻き込んで押し出しつつ下方に流れることにより、空間キャビティ220内の気圧低下が生じる。一方、
図17に示すように、通気路240を通じて導通孔241から空間キャビティ220内に向けて外気の吹き込みがあり、噴射流体と吹き込まれる外気との衝突がある。この衝突と、空間キャビティ内の気圧低下と気圧回復は整然と平衡状態を保つものではなく、衝突は微細な粉末飛沫の量や方向などが完全な一定ではなく、瞬間ごとに微妙な違いが生じている。この衝突は勢いがあるので、噴射流体の流れの中にある揺らぎや凹凸、外気の流れの中にある揺らぎや疎密などの影響により、内部の空気を動的に振動または脈動させるものとなる。そのため、
図17(b)の左右に示す状態が交互に繰り返されることとなる。
【0089】
また、節水型の脈動流体または断続流体の生成装置である吐水ノズル200としては、
図18に示す構成例もある。
図18に示した構成要素のうち噴射機構210の噴射角度は、噴射流体の噴射先または噴射飛沫先が導通孔241のやや下方となっている。
【0090】
図19は、
図18に示した脈動流体または断続流体の生成装置200に対して、水道蛇口など水道供給装置から水を供給して水流を流した状態を簡単に示す図である。
図19に示すように、基本的な動きとして、気密が維持されている空間キャビティ220内に、噴射機構210から勢いよく水流が流入し、噴射流体の噴射先または噴射飛沫が導通孔241のやや下方となるように噴射角度が付けられて壁面に衝突するが、内部の空気キャビティ220の大きさが過剰に大きくなく壁面の形状や角度の条件によっては噴射流体が勢いよく反射し、散乱することがあり得る。そしてその跳ねた噴射飛沫が導通孔241を覆う。ここでは、空気キャビティ220の形状や角度がその散乱条件が満たしているものとする。
なお、この噴射水流の散乱は、偶然に内部の飛沫が導通孔付近に飛散するというものではなく、噴射機構210の角度付けと空気キャビティ220の形状や角度の関係により意図的に連続して導通孔241の封止が起きるように制御されたものである。
【0091】
図19(b)の左側の状態は、導通孔241の開口が散乱噴射液流により形成される液流膜により封止されている状態である。この状態では瞬間的に導通孔241から外気の吹き込みが停止または低下しており、その一方、空間キャビティ220内から空気が下方に押し出されてゆくため、狭く密閉している空間キャビティ220内の気圧が低下してゆく。
図19(b)の左図に示すように、空間キャビティ220内を噴射流体が内部の空気を巻き込んで押し出しつつ下方に流れることにより、空間キャビティ220内の気圧低下が生じる。
【0092】
一方、
図19(b)右側に示すように、気圧低下が大きくなると導通孔241を封止している散乱水流を打ち破って導通孔241から空間キャビティ220内に向けて外気が吹き込むこととなる。つまり、
図19(b)の右側の状態は、空間キャビティ220内の気圧低下が大きくなり、空間キャビティ220内への外気の引き込む力が大きくなった結果、導通孔241を封止していた散乱噴射流体の勢いに打ち勝ち、導通孔241から空間キャビティ220内に外気が吹き込んでいる状態である。この状態では瞬間的に散乱噴射流体が吹き飛ばされ、外気の吹き込みにより空間キャビティ220内の気圧が回復してゆく。
【0093】
空間キャビティ220内の気圧が回復してゆくと、空間キャビティ220内への外気の引き込む力が小さくなり、やがて導通孔241の開口に到達する散乱噴射流体の勢いが勝り、導通孔241の開口付近まで噴射流体または噴射飛沫が到達し、
図19(b)左側の状態に戻る。
【0094】
このように、
図19(b)左側の外気吹込みが少ない気圧低下進行状態と、
図19(b)右側の外気吹込みが多い気圧回復進行状態との繰り返しの変動によって、外気の吹き込みの強弱リズムを生じ、噴射流体から脈動流または断続流の泡沫水が生成される。その結果、通過する噴射流体も脈動流となったり、断続的に切れたパルス状の断続流となったりする。
【0095】
本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。従って本発明の技術的範囲は添付された特許請求の範囲の記載によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0096】
100 吐水装置
110 給水管
120 スパウト
130 ホース体
140 吐水ヘッド体
141 吐水ヘッド本体
142 ヘッド連結体
150 アーム支持体
151 アーム本体
152 支持連結体
160 給水操作部
200 吐水ノズル