(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】ダイシング装置
(51)【国際特許分類】
B24B 45/00 20060101AFI20240829BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240829BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B24B45/00 A
H01L21/78 F
B24B45/00 C
B24B27/06 J
(21)【出願番号】P 2022098811
(22)【出願日】2022-06-20
【審査請求日】2022-06-20
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】514019132
【氏名又は名称】萬潤科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】チェン ポー ユアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン チョン ハン
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-126742(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111283799(CN,A)
【文献】登録実用新案第3233314(JP,U)
【文献】特開2018-058154(JP,A)
【文献】特開2018-099765(JP,A)
【文献】特開2012-061573(JP,A)
【文献】特開2004-034279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 1/00 - 7/04
B24B 45/00
B24B 27/06
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座を有する台座手段と、
前記台座に配置され、且つ、第1のダイシングブレードが設置されるダイシング機構が設けられるダイシング手段と
、
前記台座に配置されると共に、駆動されて前記ダイシング機構の下方に移動可能、且つ、加工対象を配置できる支持面を有する支持台と、
第1のダイシングブレード設置台と第2のダイシングブレードが配置される第2のダイシングブレード設置台とが設けられるブレード設置手段と、を備え、
前記ダイシング機構は、第1の保持部を有する第1のダイシングブレード保持手段と、前記第1の保持部に対応する第2の保持部を有する第2のダイシングブレード保持手段と、を有し、前記第1の保持部及び前記第2の保持部で前記第1のダイシングブレードを保持することができ、
前記ダイシング手段に挟持機構が設けられ、前記挟持機構に駆動部及び当接ブロックが設けられ、前記駆動部に出力ロッドが設けられ、前記駆動部の前記出力ロッドは、動力を伝動することで前記当接ブロックを前記第2のダイシングブレード保持手段の一側に当てることで、前記第2のダイシングブレード保持手段を前記第1のダイシングブレード保持手段に対して接近もしくは離間させて前記第1の保持部及び前記第2の保持部で前記第1のダイシングブレードに対する挟持またはリリースする作動を実行させ、
前記第1のダイシングブレード設置台は駆動により前記第1のダイシングブレードを前記ダイシング手段から運び出すことが可能であり、且つ、前記第2のダイシングブレード
設置台は駆動により前記第2のダイシングブレードを前記ダイシング手段に装着することが可能であり、そして前記駆動部による駆動で前記ダイシング手段に前記第2のダイシングブレードを保持させる、ことを特徴とするダイシング装置。
【請求項2】
前記挟持機構は、支持枠により前記第1のダイシングブレード保持手段に固定さ
れており、且つ、
前記挟持機構は前記第2のダイシングブレード保持手段に対して当接及び離間できる当接部材を更に有しており、
前記当接部材は、
雄ネジを有するボルト部と、前記ボルト部の一端にある前記当接ブロックとを有し、前記当接部材は、一端が前記支持枠に枢支され、他の一端が前記当接部材に固定される第1の接続部材の円弧状の揺動によって、垂直に延伸する姿勢から水平に延伸する姿勢になることを特徴とする請求項
1に記載のダイシング装置。
【請求項3】
前記第2のダイシングブレード保持手段の一側に対して押圧連動を実行する際、
前記出力ロッドによる外側へ突出する出力方向と、
前記当接部材による前記第2のダイシングブレード保持手段に当接する力の出力方向が同一の直線上にないように構成さ
れることを特徴とする請求項
2に記載のダイシング装置。
【請求項4】
前記出力ロッドと前記当接ブロックとの間の動力の伝動は前記出力ロッドと前記当接ブロックとを連結する接続部材アセンブリにより行われ、前記接続部材アセンブリは、第1の接続部材と第2の接続部材と第3の接続部材とを有し、前記第1の接続部材は一端が前記支持枠にある枢支部に枢支され、他端が前記当接部材に直交して固定されており、前記第2の接続部材は一端が前記枢支部に枢支され、他端が前記出力ロッドに枢支されており、前記第3の接続部材は、一端が前記出力ロッドに枢支され、他端が前記第1の接続部材に枢支されていることを特徴とする請求項2に記載のダイシング装置。
【請求項5】
前記
出力ロッドは、前記当接ブロックを前記第2のダイシングブレード保持手段から離れさせて
前記第2のダイシングブレード保持手段に対する当接を解除させることを特徴とする請求項
1に記載のダイシング装置。
【請求項6】
前記ダイシング機構は、付勢力で前記第2のダイシングブレード保持手段を支持しながら押圧し、前記第1の保持部と前記第2の保持部を離間させて隙間を形成して前記第1のダイシングブレードをリリースする付勢手段を有することを特徴とする請求項
1に記載のダイシング装置。
【請求項7】
前記第1のダイシングブレード保持手段には前記第2のダイシングブレード保持手段へ延伸する軸棒が設けられ、前記付勢手段は、該軸棒に配置されていることを特徴とする請求項
6に記載のダイシング装置。
【請求項8】
前記第1の保持部には、負圧を提供できる吸着手段を有する第1の吸着部が配置されており、
前記第1の保持部と前記第2の保持部とが互いに離間して前記第1のダイシングブレードをリリースする際、前記吸着手段からの負圧によって前記第1のダイシングブレードを吸着保持することを特徴とする請求項
1に記載のダイシング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイシング装置に関し、特に、電子部品の生産プロセスにおいて加工対象に対してダイシング加工を行うダイシング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の生産プロセスにおいて、加工対象に対してダイシング加工を実行するためにダイシング装置が使用される場合は多くある。例えば特許文献1には、セラミック基板の板状チップである加工対象を長尺状に切削するチップ用ダイシング装置が開示されており、水平に移動可能な加工台に乗せられた加工対象を、上下に移動可能なダイシング手段の下方に搬送し、ダイシング手段に装着されるダイシングブレードを用いて加工対象に対して加工作業を実行する構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、該従来のダイシング装置では、ダイシングブレードを交換しようとする際、まずダイシング手段(B)に固定されているダイシングブレード保持ユニットをダイシング手段(B)から手動で取り外してから、ダイシングブレードを手動でダイシングブレード保持ユニットから取り外して、新しいダイシングブレードを手動で装着し、それからダイシングブレード保持ユニットを手動でダイシング手段(B)に固定するという手順が必要となるので、この作業は時間と労力が掛かる上、手作業のために作業員が怪我をする恐れがある。
【0005】
上記問題点に鑑みて、本発明は上記従来技術の欠点を解決するダイシング装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的に達成すべく、本発明は、台座を有する台座手段と、前記台座に配置され、且つ、第1のダイシングブレードが設置されるダイシング機構が設けられるダイシング手段と、前記ダイシング機構を駆動して前記第1のダイシングブレードを保持、もしくはリリースする駆動部と、前記台座に配置されると共に、駆動されて前記ダイシング機構の下方に移動可能、且つ、加工対象を配置できる支持面を有する支持台と、を備え、前記第1のダイシングブレードは前記ダイシング手段から運び出されることが可能であり、且つ、第2のダイシングブレードが前記ダイシング手段に装着されることが可能であり、そして前記駆動部による駆動で前記ダイシング手段に前記第2のダイシングブレードを保持させる、ことを特徴とするダイシング装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、本発明のダイシング装置は、駆動部がダイシング機構を駆動して第1のダイシングブレードを保持、もしくはリリースするので、第1のダイシングブレードをリリースしてから該第1のダイシングブレードを運び出すと共に、第2のダイシングブレードをダイシング機構に設置してから駆動部で第2のダイシングブレードを保持することにより、時間と労力を節約できる上、作業員が怪我をする恐れもなくなって安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係るダイシング装置の構成が示される斜視図である。
【
図2】本発明に係るダイシング装置におけるダイシング機構B1の構成が示される斜視図である。
【
図3】本発明に係るダイシング装置におけるダイシング機構B1の第1のダイシングブレード保持手段B11及び第2のダイシングブレード保持手段B12がリリースされる際、第1のダイシングブレード保持手段B11における第1の軸棒B117に取り付けられる付勢手段B118と第2のダイシングブレード保持手段B12との当接関係が示される断面説明図である。
【
図4】本発明に係るダイシング装置におけるダイシング機構B1の第1のダイシングブレード保持手段B11及び第2のダイシングブレード保持手段B12がリリースされる際、第1のダイシングブレード保持手段B11における第1の軸棒B117に取り付けられる付勢手段B118と第2のダイシングブレード保持手段B12における第2の軸棒B125に取り付けられる付勢手段B126との当接関係が示される断面説明図である。
【
図5】本発明に係るダイシング装置におけるダイシング機構B1における挟持機構B3が作動する様子が示される説明図である。
【
図6】本発明に係るダイシング装置におけるブレード設置手段Dの構成が示される分解斜視図である。
【
図7】本発明に係るダイシング装置におけるダイシング機構B1とブレード設置手段Dとが作動する様子が示される説明図その1である。
【
図8】本発明に係るダイシング装置におけるダイシング機構B1とブレード設置手段Dとが作動する様子が示される説明図その2である。
【
図9】本発明に係るダイシング装置におけるダイシング機構B1とブレード設置手段Dとが作動する様子が示される説明図その3である。
【
図10】本発明に係るダイシング装置におけるダイシング機構B1とブレード設置手段Dとが作動する様子が示される説明図その4である。
【
図11】本発明に係るダイシング装置におけるダイシング機構B1とブレード設置手段Dとが作動する様子が示される説明図その5である。
【
図12】本発明に係るダイシング装置におけるダイシング機構B1とブレード設置手段Dとが作動する様子が示される説明図その6である。
【
図13】本発明に係るダイシング装置におけるダイシング機構B1とブレード設置手段Dとが作動する様子が示される説明図その7である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下は図面を参照して本発明のダイシング装置の実施形態について詳しく説明する。
【0010】
図1に本発明のダイシング装置の一例が示されており、図示のように、該ダイシング装置は、台座手段Aと、ダイシング手段Bと、支持台Cと、ブレード設置手段Dとを備える。
【0011】
台座手段Aにはガントリー形態に構成された台座A1と、台座A1により画成される搬送区間A2と、台座手段Aに配置されて搬送区間A2内においてX軸方向に沿った搬送経路を提供するレールA3と、を有する。
【0012】
ダイシング手段Bは搬送区間A2の上方にある台座A1に配置されていると共に、ダイシング機構B1と、ダイシング機構B1を上下に駆動する駆動機構B2とを有する。驅動機構B2は、Z軸方向に沿って延伸するように台座A1に配置されるレールB21と、レールB21に沿って移動可能に取り付けられる可動台B22と、可動台B22を駆動する駆動部B23と、を有する。
【0013】
支持台Cは、台座手段AのレールA3に可動的に取り付けられる台座本体C1と、例えば板状のウェハなどの加工対象を支持できる支持面C2と、を有する。台座本体C1は駆動によりX軸方向に沿って移動し、搬送区間A2を経由してダイシング機構B1の下方に移動することができる。
【0014】
ブレード設置手段Dは、支持台Cと連動するように構成されるよう、台座本体C1の作業員に臨む側に取り付けられる保持枠D1を有する。
【0015】
図1~
図4に示されるように、ダイシング機構B1は可動台B22に固定される第1のダイシングブレード保持手段B11を有する。第1のダイシングブレード保持手段B11の一側に当接ユニットB111が設けられ、そして当接ユニットB111の下方に第1の保持部B112が形成されている。第1の保持部B112及び当接ユニットB111と同じ側にある第1の保持面B113には、負圧による吸着機能を発揮する吸着手段としての吸着孔もしくは吸着ノズルを有する第1の吸着部B114(
図3参照)が設けられている。
【0016】
第1のダイシングブレード保持手段B11の内側に、いずれもZ軸方向に沿って延伸する2本の第1の軸棒B117が回転可能に配置されている(
図4参照)。第1のダイシングブレード保持手段B11の上方に、該2本の第1の軸棒B117に接続されている連動手段B115が設けられており、第1のダイシングブレード保持手段B11の下方に、該2本の第1の軸棒B117に接続されている第1の押圧台B116が設けられている。この構成により、連動手段B115と、2本の第1の軸棒B117と、第1の押圧台B116とは連動して共にZ軸方向に沿って移動可能になっている。また、各第1の軸棒B117にはそれぞれ付勢手段B118としてのバネが取り付けられており、各付勢手段B118は両端がそれぞれ第1のダイシングブレード保持手段B11と第1の押圧台B116とに当接し、第1の押圧台B116に対して第1のダイシングブレード保持手段B11の下方に押し付ける力を与える構成になっている。連動手段B115はその上方に取り付けられ、且つ、Z軸方向において互いに離間するように配置された一対の駆動シリンダB119により駆動されて第1の軸棒B117及び第1の押圧台B116を上下に駆動することができる。第1の押圧台B116の両端には、係合部B1161がそれぞれ突起するように形成されている。
【0017】
ダイシング機構B1の第1のダイシングブレード保持手段B11に面する側の反対側には、第2のダイシングブレード保持手段B12が配置されている。第2のダイシングブレード保持手段B12は第1の保持部B112に面する第2の保持部B121が設けられている。第2の保持部B121は第1の保持面B113によりかかる第2の保持面B122を有する。
【0018】
第2のダイシングブレード保持手段B12の内側には、いずれもZ軸方向に沿って延伸する2本の第2の軸棒B125が回転可能に配置されている(
図4参照)。また、第2のダイシングブレード保持手段B12の上方には、該2本の第2の軸棒B125に接続されている連動手段B123が設けられており、第2のダイシングブレード保持手段B12の下方には、該2本の第2の軸棒B125に接続されている第2の押圧台B124が設けられている。この構成により、連動手段B123と、2本の第2の軸棒B125と、第2の押圧台B124とは連動して共にZ軸方向に沿って移動可能になっている。また、各第2の軸棒B125にはそれぞれ付勢手段B126としてのバネが取り付けられており、各付勢手段B126は両端がそれぞれ第2のダイシングブレード保持手段B12と第2の押圧台B124とに当接し、第2の押圧台B124に対して第2のダイシングブレード保持手段B12の下方に押し付ける力を与える構成になっている。また、第2の押圧台B124の両端には、第1の押圧台B116に形成される係合部B1161と係合する係合部B1241がそれぞれ突起するように形成されており、連動手段B115が駆動されて第1の押圧台B116が連動して上下に移動すると、第1の軸棒B117及び第1の押圧台B116の連動により第1の軸棒B117及び第1の押圧台B116の連動により第1の押圧台B116に形成される係合部B1161と係合する係合部B1241を有する第2の押圧台B124は連動して共に上下に移動するようになる。
【0019】
図2、
図3に示されるように、第1のダイシングブレード保持手段B11の側面には、X軸に沿って第2のダイシングブレード保持手段B12側に向かって延伸し、且つ当接ユニットB111を通過する2つの軸棒B13が設けられている。当接ユニットB111と第2のダイシングブレード保持手段B12との間に位置する各軸棒B13には、付勢手段B131としてのバネが取り付けられている。第2のダイシングブレード保持手段B12は回転可能に軸棒B13に取り付けられると共に、外部から作動されて第1のダイシングブレード保持手段B11側へ移動可能であり、且つ、付勢手段B131により第1のダイシングブレード保持手段B11から離れる方向に付勢されている。当接ユニットB111の下方には摩耗に強い材料により作成された当接部B1111が取り付けられている。
【0020】
加工対象に対してダイシング加工を直接に実行する第1のダイシングブレードEは、第1の保持面B113と第2の保持面B122との間に挟まれている。第1のダイシングブレードEの刃先E1は、第1の保持部B112と第2の保持部B121との下方に露出するが、第1の押圧台B116と第2の押圧台B124の上方にあるように維持されている。第1のダイシングブレードEの峰部E2は第1の保持部B112と第2の保持部B121との上方から露出し、且つ、当接ユニットB111の当接部B1111の下端に当接する。刃先E1と峰部E2との間には細長い腹部E3があるので、第1の吸着部B114は腹部E3に吸着することで第1のダイシングブレードEを保持することができる。
【0021】
図2に示されるように、第2のダイシングブレード保持手段B12の第1のダイシングブレード保持手段B11へ接近もしくは第1のダイシングブレード保持手段B11から離れる動きは、Y軸方向において互いに離れるように配置されている2つの挟持機構B3により駆動、制御される構成になっている。挟持機構B3は支持枠B31と支持枠B31に接続されている接続部材B4とにより、連動手段B115と第2のダイシングブレード保持手段B12との上方にある刳り貫き空間B1151を経由して第1のダイシングブレード保持手段B11側に固定されている。
【0022】
各挟持機構B3は駆動部(駆動シリンダ)B32及び第2のダイシングブレード保持手段B12側に対して押し当たりもしくは離間する当接部材B33を有し、駆動部(駆動シリンダ)B32の出力ロッドB321と当接部材B33とは接続部材アセンブリB34により接続されて駆動力を伝動する構成になっている。各接続部材アセンブリB34は第1の接続部材B341と第2の接続部材B342と第3の接続部材B343とを有し、第1の接続部材B341は一端が支持枠B31にある枢支部B311に枢支され、他端が当接部材B33に直交して固定されており、第2の接続部材B342は一端が枢支部B311に枢支され、他端が出力ロッドB321に枢支されており、第3の接続部材B343は、一端が出力ロッドB321に枢支され、他端が第1の接続部材B341に枢支されている。
【0023】
各当接部材B33は、雄ネジを有するボルト部B331と、ボルト部B331の一端にあって且つ可撓性を有する当接ブロックB332とを有し、ボルト部B331の他端は第1の接続部材B341に螺合し、且つ、そこで回転することにより微調整することができ、そしてナットとして構成された固定部材B333により位置決めされている。
【0024】
図2、
図3、
図5に示されているように、挟持機構B3が第2のダイシングブレード保持手段B12側に対して押し当て連動する際、挟持機構B3における出力ロッドB321の外側へ突出する力の方向と、当接部材B33による第2のダイシングブレード保持手段B12に当接する力の出力方向とは、同一の直線上に存在しないように維持されているので、当接部材B33は、
図5に示されている垂直なZ軸方向に延伸する姿勢から、第1の接続部材B341の円弧状の揺動により、
図2に示される水平なX軸方向に延伸する姿勢になると共に、当接ブロックB332で第2のダイシングブレード保持手段B12側へ押し当てることにより、第2のダイシングブレード保持手段B12を第1のダイシングブレード保持手段B11側へ移動して
図3における付勢手段B131を圧縮し、第1の保持部B112と第2の保持部B121とで第1のダイシングブレードEを挟んで保持することができる。
【0025】
挟持機構B3が第2のダイシングブレード保持手段B12側へリリースされる際、出力ロッドB321は内側に引きこむので、第1の接続部材B341は連動して略水平なX軸向きとなり、そして当接部材B33は連動して略垂直なZ軸向きとなり、この際、
図3における付勢手段B131の弾性力で第2のダイシングブレード保持手段B12を押し動かして第1の保持部B112と第2の保持部B121とを離間させて隙間B14を造り出すので、第1のダイシングブレードEはリリースされる。
【0026】
図1、
図6に示されるように、ブレード設置手段Dは、保持枠D1において比較的に支持台C側寄りにあり且つ第1の駆動シリンダD21の駆動によって上下に移動可能な第1のダイシングブレード設置台D2と、保持枠D1において比較的に支持台Cから離れていて且つ第2の駆動シリンダD31の駆動によって上下に移動可能な第2のダイシングブレード設置台D3と、を有する
ここで、第1のダイシングブレード設置台D2は、直立な第1のブレードサポート部D22と、第1のブレードサポート部D22の支持台Cに臨む面に形成された第1のブレードサポート面D23と、を有する。第1のブレードサポート面D23には、Y軸に沿って間を開けて並んでいると共に、負圧による吸着機能を発揮する吸着手段としての吸着孔もしくは吸着ノズルで固定保持をする複数の第2の吸着部D24が設けられ、第2の吸着部D24の表面は第1のブレードサポート面D23から略突出している。また、第1のブレードサポート面D23の下側には下保持台D25が設けられ、下保持台D25はその上表面に可撓性材料からなるフィルム層D26を設置することができ、フィルム層D26は第1のブレードサポート面D23の下端縁の角部にあって第1のブレードサポート部D22により凹設される区間D27の中に深く入り込むことができる。
【0027】
第2のダイシングブレード設置台D3は、直立な第2のブレードサポート部D32と、第2のブレードサポート部D32の支持台Cに臨む面に形成された第2のブレードサポート面D33と、を有する。第2のブレードサポート面D33には、Y軸に沿って間を開けて並んでいると共に、負圧による吸着機能を発揮する吸着手段としての吸着孔もしくは吸着ノズルで固定保持をする複数の第3の吸着部D34が設けられ、第3の吸着部D34の表面は第2のブレードサポート面D33から略突出している。また、第2のブレードサポート面D33の下側には下保持台D35が設けられ、下保持台D35はその上表面に可撓性材料からなるフィルム層D36を設置することができ、フィルム層D36は第2のブレードサポート面D333の下端縁の角部にあって第2のブレードサポート部D32により凹設される区間D37の中に深く入り込むことができる。
【0028】
図3に示される第1のダイシングブレードEを交換する必要がある際、第1のダイシングブレード設置台D2は未設置状態が維持されていて、そして第2のダイシングブレード設置台D3は直立な第2のブレードサポート部D32が設けられ、そして第2のブレードサポート部D32の第2のブレードサポート面D33は第3の吸着部D34で第2のダイシングブレードFを吸着して位置決めする。
【0029】
第2のダイシングブレードFは下方に刃先F1が設けられ、上方に峰部F2が設けられているものであり、刃先F1と峰部F2との間は細長い腹部E3であり、第2のダイシングブレードFは腹部F3で第3の吸着部D34により吸着され、刃先F1は下方に向けられて下保持台D35に接近するフィルム層D36の上方に対応する形で、第2のブレードサポート部D32の支持台Cに臨む側に直立に設置されるよう位置決めされており、第3の吸着部D34の表面が第2のブレードサポート面D33から略突出しているので、直立に設置される第2のダイシングブレードFの腹部F3と第2のブレードサポート面D33との間に隙間が維持される。
【0030】
図1、
図7に示されるダイシング装置のダイシング機構B1において、挟持機構B3は当接ブロックB332で第2のダイシングブレード保持手段B12側に対して押し当てることにより、第2のダイシングブレード保持手段B12は第1のダイシングブレード保持手段B11に対して移動し、第1の保持部B112と第2の保持部B121とで第1のダイシングブレードEをきつく挟んで保持する。
【0031】
本発明の実施例においては、なまくらになった第1のダイシングブレードEを交換する際、作業員は第2のダイシングブレード設置台D3に第2のダイシングブレードFを設置することができる。
【0032】
図1、
図3、
図8に示されるように、それからブレード設置手段Dを支持台Cと共にレールA3においてX軸方向に直線状に移動し、第1のダイシングブレード設置台D2の第1のブレードサポート部D22をダイシング機構B1の第1のダイシングブレードEの下方に移動し、且つ、挟持機構B3の出力ロッドB321を内側に引っ込ませることで、第1の接続部材B341を連動によって略水平のZ軸向きにさせ、当接部材B33は連動により略垂直のZ軸向きとなって当接ブロックB332を第2のダイシングブレード保持手段B12側に対する当接から離脱させて、付勢手段B131の弾性力により第2のダイシングブレード保持手段B12が押し動かされることで、第1の保持部B112と第2の保持部B121とが離間することで隙間B14が形成され、これにより第1のダイシングブレードEがリリースされる。この際、第1のダイシングブレードEは、
図3における第1の保持部B112にある第1の保持面B113の表面にある第1の吸着部B114の負圧により吸着保持された状態が維持されている。
【0033】
図1、
図3、
図9に示されるように、第1のダイシングブレード設置台D2を駆動により、第2の吸着部D24が第1のダイシングブレードEの腹部E3に対応するようになるまで、第1のブレードサポート部D22を上昇させてダイシング機構B1の第1の保持部B112と第2の保持部B121との離間により形成された隙間B14の中に進入させる。この際、第2の吸着部D24は負圧による吸着保持を起動し、
図3における第1の保持部B112の第1の吸着部B114によって吸着保持されていた第1のダイシングブレードEを吸着保持すると共に、第1の吸着部B114による負圧を解除するので、第1のダイシングブレードEは第2の吸着部D24により吸着保持されるようになる。
【0034】
図1、
図3、
図10に示されるように、第1のダイシングブレードEが第2の吸着部D24によって吸着保持されるようになってから、第1のダイシングブレード設置台D2は駆動されて第1のブレードサポート部D22を下方に移動して第1のダイシングブレードEをダイシング機構B1の隙間B14から運び出す。
【0035】
図1、
図3、
図11に示されるように、その後ブレード設置手段Dを支持台Cと共にレールA3においてX軸方向に直線状に移動し、第2のダイシングブレード設置台D3をダイシング機構B1の隙間B14の下方に移動し、第2のダイシングブレード設置台D3は駆動され、第3の吸着部D34が第1の保持面B113のデフォルト位置に対応するまで第2のブレードサポート部D32が第2のダイシングブレードFを保持しながら上昇して隙間B14の中に進入し、この際、第2のダイシングブレードFの峰部F2は
図3における当接ユニットB111の当接部B1111の下端縁に当接するようになり、そしてダイシング機構B1の第1の保持面B113の表面の第1の吸着部B114は負圧を起動して第2のブレードサポート部D32の第3の吸着部D34により吸着保持されていた第2のダイシングブレードFを吸着保持すると共に、第3の吸着部D34による負圧を解除することで第2のダイシングブレードFを第1の吸着部B114に吸着保持されるようになり、これによって第2のダイシングブレードFはダイシング機構B1に設置されるようになる。
【0036】
図1、
図3、
図12に示されるように、第2のダイシングブレードFが
図3における第1の吸着部B114によって吸着保持された後、第2のダイシングブレード設置台D3は駆動されて下降し、第2のブレードサポート部D32が隙間B14から運び出される。
【0037】
図1、
図3、
図13に示されるように、第2のダイシングブレードFが
図3における第1の吸着部B114によって吸着保持されるようになった後、挟持機構B3の出力ロッドB321は外側へ延伸して第1の接続部材B341を連動で略垂直なZ軸向きにし、当接部材B33は第1の接続部材B341の円弧状の揺動に連動して、水平なX軸方向に延伸する姿勢になると共に、当接ブロックB332で第2のダイシングブレード保持手段B12側へ押し当てることにより、第1の保持部B112と第2の保持部B121は互いに接近して
図3にある隙間B14を閉じるようになる。ブレード設置手段Dは支持台Cと共にレールA3にX軸方向に沿って元の定位置に戻り、第1のダイシングブレードEが第2のダイシングブレードFに取り換えられる自動交換作業は終了する。
【0038】
上記のように、本発明のダイシング装置は、駆動部(駆動シリンダ)B32がダイシング機構B1を駆動して第1のダイシングブレードEを保持、もしくはリリースするので、第1のダイシングブレードEをリリースしてから該第1のダイシングブレードEを運び出すと共に、第2のダイシングブレードFをダイシング機構B1に設置してから駆動部(駆動シリンダ)B32で第2のダイシングブレードFを保持することにより、時間と労力を節約できる上、作業員が怪我をする恐れもなくなって安全性を高めることができる。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のダイシング装置は、ブレード設置手段(D)により第1のダイシングブレード設置台(D2)をダイシング機構(B1)に移動させてダイシング機構(B1)から第1のダイシングブレード(E)を運び出してから、第2のダイシングブレード設置台(D3)に設置される第2のダイシングブレード(F)をダイシング機構(B1)に取り付けるので、ダイシングブレードの交換に作業員による手作業が不要となり、時間と労力を節約できる上、作業員が怪我をする恐れもなくなって安全性を高めることができる。
【符号の説明】
【0041】
A 台座手段
A1 台座
A2 搬送区間
A3 レール
B ダイシング手段
B1 ダイシング機構
B11 第1のダイシングブレード保持手段
B111 当接ユニット
B1111 当接部
B112 第1の保持部
B113 第1の保持面
B114 第1の吸着部
B115 連動手段
B1151 刳り貫き空間
B116 第1の押圧台
B1161 係合部
B117 第1の軸棒
B118 付勢手段
B119 駆動シリンダ
B12 第2のダイシングブレード保持手段
B121 第2の保持部
B122 第2の保持面
B123 連動手段
B124 第2の押圧台
B1241 係合部
B125 第2の軸棒
B126 付勢手段
B13 軸棒
B131 付勢手段
B14 隙間
B2 驅動機構
B21 レール
B22 可動台
B23 駆動部
B3 挟持機構
B31 支持枠
B311 枢支部
B32 駆動部(駆動シリンダ)
B321 出力ロッド
B33 当接部材
B331 ボルト部
B332 当接ブロック
B333 固定部材
B34 接続部材アセンブリ
B341 第1の接続部材
B342 第2の接続部材
B343 第3の接続部材
B4 接続部材
C 支持台
C1 台座本体
C2 支持面
D ブレード設置手段
D1 支持枠
D2 第1のダイシングブレード設置台
D21 第1の駆動シリンダ
D22 第1のブレードサポート部
D23 第1のブレードサポート面
D24 第2の吸着部
D25 下保持台
D26 フィルム層
D27 区間
D3 第1のダイシングブレード設置台
D31 第1の駆動シリンダ
D32 第2のブレードサポート部
D33 第2のブレードサポート面
D34 第3の吸着部
D35 下保持台
D36 フィルム層
D37 区間
E 第1のダイシングブレード
E1 刃先
E2 峰部
E3 腹部
F 第2のダイシングブレード
F1 刃先
F2 峰部
F3 腹部