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  • 特許-燃焼装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23C 1/00 20060101AFI20240829BHJP
   F23D 14/58 20060101ALI20240829BHJP
   F23D 14/48 20060101ALI20240829BHJP
   F23D 14/22 20060101ALI20240829BHJP
   F23D 17/00 20060101ALI20240829BHJP
   F23C 9/06 20060101ALN20240829BHJP
   F23D 14/12 20060101ALN20240829BHJP
【FI】
F23C1/00 301
F23D14/58 D
F23D14/48 B
F23D14/22 E
F23D17/00 A
F23C9/06
F23D14/12 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023152075
(22)【出願日】2023-09-20
【審査請求日】2023-10-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592187796
【氏名又は名称】株式会社ナリタテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 文康
(72)【発明者】
【氏名】高田 有則
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第218721478(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第116255619(CN,A)
【文献】特開2019-020076(JP,A)
【文献】実開平03-064325(JP,U)
【文献】特開2003-074804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23C 1/00
F23D 14/58
F23D 14/48
F23D 14/22
F23D 17/00
F23C 9/06
F23D 14/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主燃料を供給するための主燃料供給管と、
前記主燃料供給管に接続され、前記主燃料を噴出させるための管状の主燃料噴出ノズルと、
前記主燃料供給管および前記主燃料噴出ノズルの外周に設けられ、一次燃焼用空気を供給するための空気供給管と、
前記空気供給管に接続され、前記主燃料噴出ノズルから噴出される前記主燃料と前記空気供給管から供給される前記一次燃焼用空気とが混合されて生じた混合ガスを管内にて一次燃焼させるための一次燃焼管と、
前記空気供給管および前記一次燃焼管の外周に、前記一次燃焼管の前方に二次燃焼用空気を供給するための二次燃焼管と、
補助燃料を供給するための補助燃料供給管と、前記補助燃料供給管に接続され、前記補助燃料を噴出させるための管状の補助燃料噴出ノズルとを備える補助バーナ部と、を有しており、
前記補助バーナ部の前記補助燃料供給管は、前記主燃料供給管および前記主燃料噴出ノズルの内部に設けられており、
前記補助バーナ部の前記補助燃料噴出ノズルは、前記主燃料噴出ノズルの前端部から前記主燃料噴出ノズルの前方に突出して設けられており、かつ、管周壁に多数の炎孔が形成されており、前記炎孔から径方向に前記補助燃料を噴出可能に構成されており、
前記一次燃焼管と前記二次燃焼管との間が前記二次燃焼用空気の流路とされており、
前記主燃料は、アンモニアを含み、
前記二次燃焼管は、前記二次燃焼用空気にアンモニアを混合可能に構成される
燃焼装置。
【請求項2】
記補助燃料は、炭化水素系燃料、水素、および、アンモニア分解ガスから選択される少なくとも1種である、
請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記補助バーナ部は、棒状のパイプバーナ、または、棒状の表面燃焼バーナより構成されている、
請求項1または請求項2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記主燃料噴出ノズルは、多炎孔ノズル、メタルニットノズル、または、前記主燃料を旋回させる旋回機能を備えたノズルである、
請求項1または請求項2に記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記二次燃焼管の外周に、前記混合ガスの燃焼により生じた燃焼排ガスを後方に流すための外管を有しており、
前記二次燃焼管と前記外管との間が前記燃焼排ガスの流路とされる、
請求項1または請求項2に記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼装置における燃料として、アンモニア、バイオマス由来のオフガスや副生ガスなどの発熱量や燃焼速度が小さく、炭化水素系燃料に比べて燃焼性の悪い燃料(以下、「低品位燃料」と称することがある。)が知られている。とりわけ、アンモニアは、二酸化炭素の排出を伴わない燃料として注目されている。
【0003】
先行する特許文献1には、アンモニアを燃焼用空気と混合させてバーナにより炉内で燃焼させる燃焼装置が開示されている。
【0004】
具体的には、特許文献1に開示される燃焼装置は、アンモニア供給管を通して供給されるアンモニアガスと空気供給管を通して供給される燃焼用空気とを燃焼バーナにより混合させて炉内で燃焼させるものである。当該燃焼装置では、炭化水素系燃料が補助燃料供給管を通して供給される噴射装置を上記燃焼バーナの近傍に設け、当該噴射装置により、炭化水素系燃料を上記燃焼バーナによる火炎に向けて炉内に噴射させて燃焼させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2023-39683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術は、アンモニアのような低品位燃料の他に炭化水素系燃料を炉内に供給し、低品位燃料を炭化水素系燃料により炉内で十分に燃焼できるようにする。しかしながら、特許文献1の技術は、低品位燃料の燃焼性を高めることができるとしても、炭化水素系燃料を炉内に供給するにあたり、燃焼バーナの外側の炉壁に噴射装置を取り付ける必要がある。そのため、特許文献1の技術は、炉壁への燃焼装置の取り付けが複雑になるおそれがある。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、低品位燃料の燃焼性を高めることができ、炉壁への取り付けを比較的簡単にすることが可能な燃焼装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、
主燃料を供給するための主燃料供給管と、
前記主燃料供給管に接続され、前記主燃料を噴出させるための管状の主燃料噴出ノズルと、
前記主燃料供給管および前記主燃料噴出ノズルの外周に設けられ、一次燃焼用空気を供給するための空気供給管と、
前記空気供給管に接続され、前記主燃料噴出ノズルから噴出される前記主燃料と前記空気供給管から供給される前記一次燃焼用空気とが混合されて生じた混合ガスを管内にて一次燃焼させるための一次燃焼管と、
前記空気供給管および前記一次燃焼管の外周に、前記一次燃焼管の前方に二次燃焼用空気を供給するための二次燃焼管と、
補助燃料を供給するための補助燃料供給管と、前記補助燃料供給管に接続され、前記補助燃料を噴出させるための管状の補助燃料噴出ノズルとを備える補助バーナ部と、を有しており、
前記補助バーナ部の前記補助燃料供給管は、前記主燃料供給管および前記主燃料噴出ノズルの内部に設けられており、
前記補助バーナ部の前記補助燃料噴出ノズルは、前記主燃料噴出ノズルの前端部から前記主燃料噴出ノズルの前方に突出して設けられており、かつ、管周壁に多数の炎孔が形成されており、前記炎孔から径方向に前記補助燃料を噴出可能に構成されており、
前記一次燃焼管と前記二次燃焼管との間が前記二次燃焼用空気の流路とされており、
前記主燃料は、アンモニアを含み、
前記二次燃焼管は、前記二次燃焼用空気にアンモニアを混合可能に構成される
燃焼装置にある。
【発明の効果】
【0009】
上記燃焼装置は、上記構成を有している。そのため、上記燃焼装置によれば、低品位燃料の燃焼性を高めることができ、炉壁への取り付けを比較的簡単にすることが可能な燃焼装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態の燃焼装置の要部について模式的な断面の一部を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る燃焼装置の実施形態は、以下の通りである。
【0012】
[1]
主燃料を供給するための主燃料供給管と、
前記主燃料供給管に接続され、前記主燃料を噴出させるための管状の主燃料噴出ノズルと、
前記主燃料供給管および前記主燃料噴出ノズルの外周に設けられ、一次燃焼用空気を供給するための空気供給管と、
前記空気供給管に接続され、前記主燃料噴出ノズルから噴出される前記主燃料と前記空気供給管から供給される前記一次燃焼用空気とが混合されて生じた混合ガスを管内にて一次燃焼させるための一次燃焼管と、
前記空気供給管および前記一次燃焼管の外周に、前記一次燃焼管の前方に二次燃焼用空気を供給するための二次燃焼管と、
補助燃料を供給するための補助燃料供給管と、前記補助燃料供給管に接続され、前記補助燃料を噴出させるための管状の補助燃料噴出ノズルとを備える補助バーナ部と、を有しており、
前記補助バーナ部の前記補助燃料供給管は、前記主燃料供給管および前記主燃料噴出ノズルの内部に設けられており、
前記補助バーナ部の前記補助燃料噴出ノズルは、前記主燃料噴出ノズルの前端部から前記主燃料噴出ノズルの前方に突出して設けられており、かつ、管周壁に多数の炎孔が形成されており、前記炎孔から径方向に前記補助燃料を噴出可能に構成されており、
前記一次燃焼管と前記二次燃焼管との間が前記二次燃焼用空気の流路とされており、
前記主燃料は、アンモニアを含み、
前記二次燃焼管は、前記二次燃焼用空気にアンモニアを混合可能に構成される
燃焼装置。
[2]
記補助燃料は、炭化水素系燃料、水素、および、アンモニア分解ガスから選択される少なくとも1種である、
[1]に記載の燃焼装置。
[3]
前記補助バーナ部は、棒状のパイプバーナ、または、棒状の表面燃焼バーナである、
[1]または[2]に記載の燃焼装置。
[4]
前記主燃料噴出ノズルは、多炎孔ノズル、メタルニットノズル、または、前記主燃料を旋回させる旋回機能を備えたノズルである、
[1]から[3]のいずれか1つに記載の燃焼装置
[5
前記二次燃焼管の外周に、前記混合ガスの燃焼により生じた燃焼排ガスを後方に流すための外管を有しており、
前記二次燃焼管と前記外管との間が前記燃焼排ガスの流路とされる、
から[4]のいずれか1つに記載の燃焼装置。
【0013】
上記[1]に記載の燃焼装置は、上記構成を有している。そのため、上記[1]に記載の燃焼装置は、次のようにして主燃料を燃焼させることができる。
【0014】
主燃料供給管に供給された主燃料は、主燃料供給管内を流れ、主燃料噴出ノズルから空気供給管内へ噴出する。一方、空気供給管に供給された一次燃焼用空気は、空気供給管内を流れ、主燃料噴出ノズルから噴出された主燃料と混じり合う。主燃料と一次燃焼用空気とが混合されることにより混合ガスが生じる。また、主燃料供給管および主燃料噴出ノズルの内部に設けられた補助バーナ部の補助燃料供給管に供給された補助燃料は、補助燃料供給管内を流れ、主燃料噴出ノズルの前端部から主燃料噴出ノズルの前方に突出して設けられた補助バーナ部の補助燃料噴出ノズルから一次燃焼管内へ噴出する。一次燃焼管内を流れる混合ガスは、補助燃料噴出ノズルから噴出した補助燃料の燃焼による種火をもらいながら徐々に燃え始め、一次燃焼管内にて一次燃焼による火炎が形成される。形成された火炎は、一次燃焼管の前端部から噴出する。
【0015】
したがって、上記[1]に記載の燃焼装置によれば、アンモニアなどのような発熱量や燃焼速度が小さく、炭化水素系燃料に比べて燃焼性の悪い低品位燃料を主燃料に用いた場合でも、低品位燃料の燃焼性を高めることができる。なお、上記[1]に記載の燃焼装置は、低品位燃料以外にも、通常使用されるような炭化水素系燃料を主燃料として用いることも可能なものである。
【0016】
また、上記[1]に記載の燃焼装置では、主燃料と一次燃焼用空気との混合ガスの一次燃焼に必要な空気供給管および一次燃焼管の内側に、混合ガスに対して補助燃料を供給する補助バーナ部が配置されている。そのため、上記[1]に記載の燃焼装置によれば、当該燃焼装置の周囲の炉壁に補助バーナを別途取り付ける必要がなく、当該燃焼装置を炉壁に取り付けるだけで済む。それ故、上記[1]に記載の燃焼装置によれば、炉壁への取り付けを比較的簡単にすることが可能になる。
【0017】
よって、上記[1]に記載の燃焼装置によれば、低品位燃料の燃焼性を高めることができ、炉壁への取り付けを比較的簡単にすることが可能な燃焼装置を提供することができる。
【0018】
上記[2]に記載の燃焼装置は、上記構成を有している。そのため、上記[2]に記載の燃焼装置によれば、上記[1]に記載の燃焼装置の効果を確実なものとすることができる。
【0019】
上記[3]に記載の燃焼装置は、上記構成を有している。そのため、上記[3]に記載の燃焼装置において、補助バーナ部が棒状のパイプバーナより構成されている場合には、上記[1]または上記[2]に記載の効果に加えて、さらに、吐出噴流による吸引効果で巻き込み再循環流ができ保炎性が向上するという効果がある。また、上記[3]に記載の燃焼装置において、補助バーナ部が棒状の表面燃焼バーナより構成されている場合には、上記[1]または上記[2]に記載の効果に加えて、さらに、種火の保炎性を確保しやすいという効果がある。
【0020】
上記[4]に記載の燃焼装置は、上記構成を有している。そのため、上記[4]に記載の燃焼装置において、主燃料噴出ノズルが多炎孔ノズルである場合には、上記[1]から上記[3]のいずれか1つに記載の効果に加えて、さらに、ノズルの閉塞、縮小などの噴射位置調整による燃焼性向上を図ることが可能になるという効果がある。また、上記[4]に記載の燃焼装置において、主燃料噴出ノズルがメタルニットノズルである場合には、上記[1]から上記[3]のいずれか1つに記載の効果に加えて、さらに、面燃焼による高負荷燃焼が可能になるという効果がある。また、上記[4]に記載の燃焼装置において、主燃料噴出ノズルが主燃料を旋回させる旋回機能に備えたノズルである場合には、上記[1]から上記[3]のいずれか1つに記載の効果に加えて、さらに、主燃焼と一次空気とが旋回して混ざりながら前方に出ていくため、混合ガスの混合性が向上するとともに混合ガスの滞留時間を確保しやすくなり、主燃料の燃焼性をより向上させることができるという効果がある。
【0021】
上記[]に記載の燃焼装置は、上記構成を有している。そのため、上記[]に記載の燃焼装置によれば、二次燃焼管に供給された二次燃焼用空気は、一次燃焼管と二次燃焼管との間に形成された流路を流れ、一次燃焼管の前方に供給される。そのため、上記[]に記載の燃焼装置によれば、一次燃焼管内で形成され、一次燃焼管の前方に噴出する火炎は、一次燃焼管の前方において二次燃焼用空気を受け取ってさらに二次燃焼することができる。つまり、上記[]に記載の燃焼装置によれば、一次燃焼管内において主燃料を一次燃焼させた後、一次燃焼管の前方において足りない空気を補って主燃料を二次燃焼させることができる。それ故、上記[]に記載の燃焼装置によれば、上記[1]に記載の効果に加えて、さらに、燃焼排ガス中のNOx濃度を低減させることが可能になる。
【0022】
上記[]に記載の燃焼装置は、上記構成を有している。そのため、上記[]に記載の燃焼装置によれば、上記[]に記載の効果に加えて、さらに、二次燃焼用空気に混合したアンモニアの脱硝作用により、燃焼排ガス中のNOx濃度をより低減させやすくなる。
【0023】
上記[]に記載の燃焼装置は、上記構成を有している。そのため、上記[]に記載の燃焼装置によれば、混合ガスの燃焼により生じた燃焼排ガスを、二次燃焼管と外管との間に形成された流路を介して燃焼装置の後方に戻すことが可能になる。そのため、上記[]に記載の燃焼装置によれば、上記[1]から[4]のいずれか1つに記載の効果に加えて、さらに、燃焼排ガスとの熱交換により、混合ガス、二次燃焼ガスを予熱することができる。それ故、上記[]に記載の燃焼装置によれば、主燃料の燃焼性をより向上させることができる。
【0024】
なお、上記[]に記載の燃焼装置を、例えば、シングルエンド型ラジアントチューブバーナに適用する場合には、燃焼装置における二次燃焼管の前端部は開放され、外管の前端部は閉塞された構成とされる。この場合には、二次燃焼管の前端部から排気された燃焼排ガスを、外管の前端部において二次燃焼管と外管との間の流路に流入させ、燃焼装置の後方に戻すことができる。また、上記燃焼装置を、例えば、直接加熱バーナに適用する場合には、上述の外管を外して使用することができる。この場合には、二次燃焼管の前端部から排気された燃焼排ガスは、炉内圧を利用して炉外へ排気することができる。
【0025】
以下、実施形態の燃焼装置について、図面を用いてより具体的に説明する。なお、本実施形態では、燃焼装置1による火炎噴出方向を前方とし、その反対方向を後方とする。
【0026】
図1に例示されるように、本実施形態の燃焼装置1は、主燃料供給管2と、主燃料噴出ノズル3と、空気供給管4と、一次燃焼管5と、補助バーナ部6とを少なくとも有している。本実施形態の燃焼装置1は、さらに、二次燃焼管7と、外管8とを有している。本実施形態において、これら各部材は、燃焼装置1の中心軸90に対して同軸に設けられている。なお、図1では、本実施形態の燃焼装置1が、炉の炉壁91に、断熱材920を備える装置取り付け部材92を介して設置されている例が示されている。
【0027】
主燃料供給管2は、主燃料MFを供給するため管である。主燃料供給管2は、その後端部の管周壁に設けられた主燃料取り込み口21から主燃料MFを管内に取り込み可能に構成されている。本実施形態において、主燃料MFは、例えば、アンモニアを含むことができる。ここでは、主燃料MFとして、例えば、アンモニアを用いるものとする。なお、アンモニアは、発熱量や燃焼速度が小さく、炭化水素系燃料に比べて燃焼性の悪い燃料である低品位燃料のうちの一つである。主燃料MFとしては、アンモニア以外にも、バイオマス由来のオフガスや副生ガスなどが挙げられる。
【0028】
主燃料噴出ノズル3は、主燃料MFを噴出させるための管状のノズルである。主燃料噴出ノズル3は、主燃料供給管2に接続されている。具体的には、主燃料噴出ノズル3は、その後端部が主燃料供給管2の前端部に接続されている。また、主燃料噴出ノズル3の外径は、主燃料噴出ノズル3の取り付け部分を除いた主燃料供給管2の外径よりも大きく形成されている。
【0029】
主燃料噴出ノズル3は、管周壁に多数の炎孔31を有しており、径方向に主燃料MFを噴出可能に構成されている。なお、主燃料噴出ノズル3の前端面は閉塞されている。本実施形態において、主燃料噴出ノズル3は、メタルニットノズルである。メタルニットノズルは、多数の炎孔31を有する管周壁の表面がメタルニット32により覆われている。なお、図示はしないが、主燃料噴出ノズル3は、管周壁に多数の炎孔を有する多炎孔ノズルや、主燃料MFを旋回させる旋回機能を備えたノズルなどであってもよい。主燃料MFを旋回させる旋回機能を備えたノズルとしては、例えば、多数の炎孔が形成された管周壁の表面に主燃料MFを旋回させるためのらせん状の突起や溝などが形成されたものなどを例示することができる。
【0030】
空気供給管4は、一次燃焼用空気A1を供給するための管である。空気供給管4は、主燃料供給管2および主燃料噴出ノズル3の外周に設けられている。主燃料供給管2および主燃料噴出ノズル3と空気供給管4との間は、一次燃焼用空気A1の流路とされる。本実施形態において、主燃料供給管2の後端部は、空気供給管4の後端面を閉塞する後端面壁41から後方に突出するように設けられている。
【0031】
一次燃焼管5は、主燃料噴出ノズル3から噴出される主燃料MFと空気供給管4から供給される一次燃焼用空気A1とが混合されて生じた混合ガスMGを管内にて一次燃焼させるための管である。一次燃焼管5は、空気供給管4に接続されている。具体的には、一次燃焼管5は、その後端部が空気供給管4の前端部に接続されている。また、一次燃焼管5の外径は、空気供給管4の外径と同等の大きさに形成されている。図1では、構造の簡易化などのため、空気供給管4の前端部が前方へ延設されることによって一次燃焼管5が構成されている例が示されている。一次燃焼管5の前端開口51は、補助バーナ部6の前端部よりも前方に配置されている。本実施形態では、補助バーナ部6の前端部から一次燃焼管5の前端開口51までの間の空間、すなわち、図1において丸印で囲った領域S1が、主な一次燃焼空間とされる。
【0032】
なお、燃焼装置1において、混合ガスMGの燃焼により生じた火炎は、一次燃焼管5の前端開口51から噴出する。したがって、主燃料供給管2、主燃料噴出ノズル3、空気供給管4、および、一次燃焼管5は、一次燃焼バーナ部を構成しているということができる。
【0033】
補助バーナ部6は、補助燃料供給管61と補助燃料噴出ノズル62とを備えている。補助燃料供給管61は、補助燃料SFを供給するための管である。補助燃料供給管61は、その後端開口から補助燃料SFを管内に取り込み可能に構成されている。本実施形態におおいて、補助燃料SFは、炭化水素系燃料、水素、および、アンモニア分解ガスから選択される少なくとも1種を用いることできる。炭化水素系燃料としては、例えば、都市ガスや液化石油ガス(LPG)などが挙げられる。アンモニア分解ガスとしては、例えば、アンモニアを触媒で分解したときに発生するガスなどが挙げられる。ここでは、補助燃料SFとして、例えば、炭化水素系燃料である都市ガスを用いるものとする。
【0034】
また、補助燃料噴出ノズル62は、補助燃料SFを噴出させるための管状のノズルである。補助燃料噴出ノズル62は、補助燃料供給管61に接続されている。具体的には、補助燃料噴出ノズル62は、その後端部が補助燃料供給管61の前端部に接続されている。補助燃料噴出ノズル62の外径は、補助燃料供給管61の外径と同等の大きさに形成されている。つまり、図1では、構造の簡易化などのため、補助燃料供給管61の前端部が前方へ延設されることによって補助燃料噴出ノズル62が形成されている。補助燃料噴出ノズル62は、管周壁に多数の炎孔621が形成されており、この多数の炎孔621を有する管周壁の表面がメタルニット622により覆われている。なお、補助燃料噴出ノズル62の前端面は閉塞されており、補助燃料噴出ノズル62は、管周壁の多数の炎孔621から径方向に補助燃料SFを噴出することができる。
【0035】
本実施形態においては、上述した補助バーナ部6は、棒状の表面燃焼バーナより構成されているということができる。補助バーナ部6は、棒状の表面燃焼バーナ以外にも、棒状のパイプバーナより構成することも可能である。棒状のパイプバーナは、例えば、上記において、多数の炎孔621を覆うメタルニット622を無くしたものなどから構成することができる。換言すれば、棒状の表面燃焼バーナは、棒状のパイプバーナの多数の炎孔621をメタルニット622にて覆うことにより構成することが可能である。
【0036】
補助バーナ部6において、補助燃料供給管61は、主燃料供給管2および主燃料噴出ノズル3の内部に設けられている。また、補助燃料噴出ノズル62は、主燃料噴出ノズル3の前端部から主燃料噴出ノズル3の前方に突出して設けられている。図1では、補助バーナ部6は主燃料噴出ノズル3の前端面を貫通しており、主燃料噴出ノズル3の前端面よりも前方に補助燃料噴出ノズル62が配置され、主燃料噴出ノズル3の前端面よりも後方に補助燃料供給管61が配置されている。なお、補助バーナ部6において、補助燃料噴出ノズル62の主燃料噴出ノズル3の前端部からの突出長さは、火炎の面を長く広くし、混合ガスMGとの接触時間を長く取ることができるように、適切な長さに設定することができる。
【0037】
二次燃焼管7は、一次燃焼管5の前方に二次燃焼用空気A2を供給するための管である。二次燃焼管7は、空気供給管4および一次燃焼管5の外周に設けられている。一次燃焼管5と二次燃焼管7との間は、二次燃焼用空気A2の流路とされる。二次燃焼管7の前端部は、一次燃焼管5の前端開口51よりも前方に配置されている。本実施形態では、一次燃焼管5の前端開口51よりの前方の空間、すなわち、図1において丸印で囲った領域S2が、主な二次燃焼空間とされる。なお、二次燃焼管7は、前端部に前端開口(不図示)を有している。つまり、二次燃焼管7の前端部は開放されている。
【0038】
本実施形態において、二次燃焼管7は、二次燃焼用空気A2にアンモニア(不図示)を混合可能に構成されることができる。本実施形態においては、主燃料MFがアンモニアであるため、例えば、主燃料供給管2に供給される主燃料MFのアンモニアの一部を二次燃焼管7に供給することにより、アンモニアを二次燃焼用空気A2に混合するように構成することができる。他にも、主燃料供給管2に供給される主燃料MFのアンモニアとは別のアンモニア源からのアンモニアを二次燃焼用空気A2に混合するように構成することもできる。
【0039】
外管8は、混合ガスMGの燃焼により生じた燃焼排ガスEGを後方に流すための管である。外管8は、二次燃焼管7の外周に設けられている。二次燃焼管7と外管8との間は、燃焼排ガスEGの流路とされる。なお、外管8は、前端部が閉塞されていてもよいし、前端部に前端開口(不図示)を有してもよい。本実施形態は、燃焼装置1を、シングルエンド型ラジアントチューブバーナに適用する例を示したものであるため、外管8の前端部は閉塞されている。また、外管8の後端部は、炉の炉壁91に設けられた上述の装置取り付け部材92に連通しており、燃焼排ガスEGは、装置取り付け部材92に形成された排ガス口921より排気される。
【0040】
本実施形態の燃焼装置1は、次のようにして主燃料MFを燃焼させることができる。なお、混合ガスMGや補助燃料SFへの着火は、不図示の点火ロッドなどにより行うことができる。
【0041】
主燃料供給管2に供給された主燃料MFは、主燃料供給管2内を流れ、主燃料噴出ノズル3から空気供給管4内へ噴出する。一方、空気供給管4に供給された一次燃焼用空気A1は、空気供給管4内を流れ、主燃料噴出ノズル3から噴出された主燃料MFと混じり合う。主燃料MFと一次燃焼用空気A1とが混合されることにより混合ガスMGが生じる。また、主燃料供給管2および主燃料噴出ノズル3の内部に設けられた補助バーナ部6の補助燃料供給管61に供給された補助燃料SFは、補助燃料供給管61内を流れ、主燃料噴出ノズル3の前端部から主燃料噴出ノズル3の前方に突出して設けられた補助バーナ部6の補助燃料噴出ノズル62から一次燃焼管5内へ噴出する。一次燃焼管5内を流れる混合ガスMGは、補助燃料噴出ノズル62から噴出した補助燃料SFの燃焼による種火をもらいながら徐々に燃え始め、一次燃焼管5内にて一次燃焼による火炎が形成される。形成された火炎は、一次燃焼管5の前端部から噴出する。
【0042】
したがって、本実施形態の燃焼装置1によれば、アンモニアなどのような発熱量や燃焼速度が小さく、炭化水素系燃料に比べて燃焼性の悪い低品位燃料を主燃料MFに用いた場合でも、低品位燃料の燃焼性を高めることができる。
【0043】
また、本実施形態の燃焼装置1では、主燃料MFと一次燃焼用空気A1との混合ガスMGの一次燃焼に必要な空気供給管4および一次燃焼管5の内側に、混合ガスMGに対して補助燃料SFを供給する補助バーナ部6が配置されている。そのため、本実施形態の燃焼装置1によれば、当該燃焼装置1の周囲の炉壁91に補助バーナを別途取り付ける必要がなく、当該燃焼装置1を炉壁91に取り付けるだけで済む。それ故、本実施形態の燃焼装置1によれば、炉壁91への取り付けを比較的簡単にすることが可能になる。
【0044】
よって、本実施形態の燃焼装置1によれば、低品位燃料の燃焼性を高めることができ、炉壁91への取り付けを比較的簡単にすることができる。
【0045】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、上記実施形態に示される各構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。また、出願当初の特許請求の範囲に記載の各請求項同士は、それぞれ任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 燃焼装置
2 主燃料供給管
3 主燃料噴出ノズル
4 空気供給管
5 一次燃焼管
6 補助バーナ部
61 補助燃料供給管
62 補助燃料噴出ノズル
MF 主燃料
SF 補助燃料
A1 一次燃焼用空気
MG 混合ガス
【要約】
【課題】低品位燃料の燃焼性を高めることができ、炉壁への取り付けを比較的簡単にすることが可能な燃焼装置を提供する。
【解決手段】燃焼装置1は、主燃料MFを供給するための主燃料供給管2と、主燃料MFを噴出させるための主燃料噴出ノズル3と、一次燃焼用空気A1を供給するための空気供給管4と、主燃料MFと一次燃焼用空気A1との混合ガスMGを一次燃焼させるための一次燃焼管5と、補助バーナ部6と、を有している。補助バーナ部6は、補助燃料SFを供給するための補助燃料供給管61と、補助燃料SFを噴出させるための補助燃料噴出ノズル62とを備えている。燃焼装置1において、補助バーナ部6の補助燃料供給管61は、主燃料供給管2および主燃料噴出ノズル3の内部に設けられており、補助バーナ部6の補助燃料噴出ノズル62は、主燃料噴出ノズル3の前端部から主燃料噴出ノズル3の前方に突出して設けられている。
【選択図】図1
図1