(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】電解イオン水生成装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/461 20230101AFI20240829BHJP
【FI】
C02F1/461 A
(21)【出願番号】P 2023182517
(22)【出願日】2023-10-24
【審査請求日】2024-04-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508177910
【氏名又は名称】株式会社Eプラン
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】松澤 民男
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3122342(JP,U)
【文献】国際公開第2016/016954(WO,A1)
【文献】特開2017-056377(JP,A)
【文献】特開2019-119922(JP,A)
【文献】特開2023-092885(JP,A)
【文献】国際公開第2020/003654(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46-1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解液を貯留する電解液タンクと、イオン交換膜で仕切られた陰極室及び陽極室を有する電解槽と、前記陰極室に設けられた陰極板及び前記陽極室に設けられた陽極板の両極板間に電圧を印加する直流電源を備え、前記直流電源で前記両極板間に電圧を印加し、還元反応を起こさせることによって電解イオン水を生成する電解イオン水生成装置において、
前記電解槽で生成された電解イオン水を貯留する生成液タンクと、
前記電解槽の陰極室に原水を供給する原水供給系と、
前記電解槽の陰極室に前記生成液タンク内の電解イオン水を供給する生成液供給系と、
前記原水供給系と生成液供給系を切り替える操作部を備えた、
ことを特徴とする電解イオン水生成装置。
【請求項2】
請求項1記載の電解イオン水生成装置において、
第一のpH値の電解イオン水を貯留する第一液貯留タンクを備え、
電解槽の陰極室と前記第一液貯留タンクの間に、当該陰極室を通過した電解イオン水を当該第一液貯留タンクに送出する生成液第一送出系が設けられた、
ことを特徴とする電解イオン水生成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の電解イオン水生成装置において、
電解槽の陰極室と生成液タンクの間に、当該陰極室を通過した電解イオン水を当該生成液タンクに送出する生成液第二送出系が設けられた、
ことを特徴とする電解イオン水生成装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載の電解イオン水生成装置において、
第二のpH値の電解イオン水を貯留する第二液貯留タンクを備え、
生成液タンクと前記第二液貯留タンクの間に、当該生成液タンク内に貯留された第二のpH値の電解イオン水を当該第二液貯留タンクに送出する第二液送出系が設けられた、
ことを特徴とする電解イオン水生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解イオン水(アルカリイオン水やアルカリ性電解水とも称される)の生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電解イオン水生成装置として、原水が貯留される生成タンクと、電解液が貯留される電解液タンクと、イオン交換が行われる電解槽と、電解槽の電極間に電圧を印加する直流電源を備えたものが知られている(特許文献1及び2)。
【0003】
前記電解槽は、イオン交換膜と当該イオン交換膜で仕切られた陰極室及び陽極室を備えている。陰極室には陰極側ターミナルを備えた陰極板が設けられ、陽極室には陽極側ターミナルを備えた陽極板が設けられている。陰極側ターミナルには直流電源のマイナス側が、陽極側ターミナルには直流電源のプラス側が接続され、両電極間に直流電圧を印加できるように構成されている。
【0004】
前記電解イオン水生成装置では、直流電源によって両ターミナル間に直流電圧を印加すると電気分解が起こり、その電気分解によって陽極室内に生じる陽イオンがイオン交換膜を透過して陰極室内の原水に還元し、電解イオン水が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-40489号公報
【文献】国際公開第2016/016954号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決課題は、一台でpHの異なる電解イオン水を選択的に生成することのできる電解イオン水生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電解イオン水生成装置は、電解液を貯留する電解液タンクと、イオン交換膜で仕切られた陰極室及び陽極室を有する電解槽と、前記陰極室に設けられた陰極板及び前記陽極室に設けられた陽極板の両極板間に電圧を印加する直流電源を備え、前記直流電源で前記両極板間に電圧を印加し、還元反応を起こさせることによって電解イオン水を生成する電解イオン水生成装置であって、電解槽で生成された電解イオン水を貯留する生成液タンクと、電解槽の陰極室に原水を供給する原水供給系と、電解槽の陰極室に生成液タンク内の電解イオン水を供給する生成液供給系と、原水供給系と生成液供給系を切り替える操作部を備えたものである。
【0008】
本発明の電解イオン水生成装置では、第一のpH値の電解イオン水を貯留する第一液貯留タンクを備え、電解槽の陰極室と第一液貯留タンクの間に、陰極室を通過した電解イオン水を第一液貯留タンクに送出する生成液第一送出系を設けることもできる。
【0009】
本発明の電解イオン水生成装置では、電解槽の陰極室と生成液タンクの間に、陰極室を通過した電解イオン水を生成液タンクに送出する生成液第二送出系を設けることもできる。
【0010】
本発明の電解イオン水生成装置では、第二のpH値の電解イオン水を貯留する第二液貯留タンクを備え、生成液タンクと第二液貯留タンクの間に、生成液タンク内に貯留された第二のpH値の電解イオン水を第二液貯留タンクに送出する第二液送出系を設けることもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電解イオン水生成装置によれば、一台でpHの異なる電解イオン水を選択的に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の電解イオン水生成装置の一例を示す概要図。
【
図3】第一のpH値の電解イオン水を生成する場合の動作説明図。
【
図4】第二のpH値の電解イオン水を生成する場合の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
本発明の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。
図1に電解イオン水生成装置の概要図を示す。
図1に示すように、この実施形態の電解イオン水生成装置は、電解槽10、電解液タンク20、第一液貯留タンク30、生成液タンク40、第二液貯留タンク50、操作部60を備えている。
【0014】
これらの構成は、後述する、原水供給系71、生成液送出系72、生成液供給系73、電解液供給系74、電解液送出系75、第二液送出系76、第一液取出し系77、第二液取出し系78等の複数の流通系で接続され、一台の電解イオン水生成装置として機能するようにしてある。以下、各構成について詳細に説明する。
【0015】
前記電解槽10は、電気分解によってイオン交換が行われる槽、換言すれば、還元反応が起こる槽である。
図2に示すように、この実施形態の電解槽10は、イオン交換膜11によって区画された陰極室12と陽極室13を備えている。イオン交換膜11は原水及び電解液は通さず、陽イオンのみを通す性質を有する交換膜(陽イオン交換膜)である。
【0016】
イオン交換膜11には、例えば、旭硝子株式会社製の「セレミオン」(登録商標)や、デュポン株式会社製の交換膜等の既存のもののほか、同様の機能を有する新規のイオン交換膜を用いることができる。
【0017】
イオン交換膜11の両外側には、絶縁性材料からなるメッシュ状のスペーサ14が配置され、その外側に陰極板15と陽極板16が設けられている。スペーサ14には、例えば、ナイロン製の5mm角のネット等を用いることができる。
【0018】
前記陰極板15には陰極ターミナル15aが、陽極板16には陽極ターミナル16aが設けられている。陰極ターミナル15aには直流電源DCのマイナス側が、陽極ターミナル16aには直流電源DCのプラス側が接続され、直流電源DCから直流電圧を印加できるようにしてある。
【0019】
前記電解液タンク20は、電解イオン水の生成に用いられる電解液を貯留するための容器である。電解液タンク20の内部には、電解液中の固形物を取り除くためのストレーナ(第一ストレーナ)21が設けられている。電解液タンク20内には、貯留量の上限を検知するフロートスイッチFS1が設けられている。
【0020】
電解液タンク20には、電解液タンク20内の電解液を撹拌させる二つの撹拌装置22、23が設けられている。各撹拌装置22、23は循環路22a、23aとポンプ(第一ポンプP1及び第二ポンプP2)を備えている。電解液には種々のものを用いることができるが、この実施形態では、電解液として、原水に炭酸カリウムを溶解させた水溶液を用いている。
【0021】
このほか、電解液タンク20には、電解液タンク内の電解液を排出するドレイン(第一ドレイン)24が設けられている。
【0022】
前記第一液貯留タンク30は、生成された第一のpH値の電解イオン水を貯留するための容器である。この実施形態では、第一液貯留タンク30にpH12.5の電解イオン水が貯留されるようにしてある。
【0023】
第一液貯留タンク30内には、貯留量の上限を検知するフロートスイッチFS2と、下限を検知するフロートスイッチFS3が設けられている。電解イオン水の貯留量が上限に達したこと又は電解イオン水の貯留量が基準値を下回ったことが検知されると、そのことがランプや音声によって外部に報知される。
【0024】
第一液貯留タンク30には、貯留された電解イオン水を取出すための第一液取出し系77が接続されている。第一液取出し系77は第一取出し路77aを備え、その第一取出し路77aの途中に第八バルブSV8と第六ポンプP6が設けられている。
【0025】
第八バルブSV8には第一スイッチSW1が接続され、その第一スイッチSW1を操作することで所定量の電解イオン水を取り出せるように構成されている。第一スイッチSW1には、照光式の押しボタンスイッチなどを用いることができる。
【0026】
このほか、第一液貯留タンク30には、第一液貯留タンク30内の電解イオン水を排出するドレイン(第二ドレイン)31が設けられている。
【0027】
前記生成液タンク40は、電解槽10で生成された電解イオン水を貯留するための容器である。生成液タンク40の内部には、生成液中の固形物を取り除くためのストレーナ(第二ストレーナ)41が設けられている。生成液タンク40内には、貯留量の上限を検知するフロートスイッチFS4が設けられている。
【0028】
このほか、生成液タンク40には、生成液タンク内の生成液を排出するドレイン(第三ドレイン)42が設けられている。
【0029】
前記第二液貯留タンク50は、生成された第二のpH値の電解イオン水を貯留するための容器である。この実施形態では、第二液貯留タンク50にpH13.1の電解イオン水が貯留されるようにしてある。
【0030】
第二液貯留タンク50内には、貯留量の上限を検知するフロートスイッチFS5と、下限を検知するフロートスイッチFS6が設けられている。電解イオン水の貯留量が上限に達したこと又は電解イオン水の貯留量が基準値を下回ったことが検知されると、そのことがランプや音声によって外部に報知される。
【0031】
第二液貯留タンク50には、貯留された電解イオン水を取出すための第二液取出し系78が接続されている。第二液取出し系78は第二取出し路78aを備え、その第二取出し路78aの途中に第七バルブSV7が設けられている。
【0032】
第七バルブSV7には第二スイッチSW2が接続され、その第二スイッチSW2を操作することで所定量の電解イオン水を取り出せるように構成されている。第二スイッチSW2には、照光式の押しボタンスイッチなどを用いることができる。
【0033】
このほか、第二液貯留タンク50には、第二液貯留タンク50内の電解イオン水を排出するドレイン(第四ドレイン)51が設けられている。
【0034】
前記原水供給系71は、電解槽10の陰極室12及び電解液タンク20に、水道水等の水源から原水を供給するための流路である。この実施形態の原水供給系71は原水主流路71aを備え、その原水主流路71aの下流側には原水第一供給路71bと原水第二供給路71cが設けられている。
【0035】
原水主流路71aは、水道に接続され、その水を下流に向けて送るための流路である。原水主流路71aには、減圧弁71d、第一バルブSV1、フィルタ群71eが設けられている。フィルタ群71eは、一又は二以上のフィルタで構成することができる。
【0036】
この実施形態では、活性炭フィルタ、逆浸透膜フィルタ、1μmのメッシュフィルタでフィルタ群が構成されているが、フィルタ群を構成するフィルタの数や順番、種類等はこれ以外であっても良い。
【0037】
前記原水第一供給路71bは、電解槽10の陰極室12に原水を供給するための流路である。原水第一供給路71bには、第二バルブSV2、流量センサ71f、流量調整器71g及び逆止弁71hが設けられている。第二バルブSV2には、電磁バルブ(ソレノイドバルブ)等を用いることができる。原水第一供給路71bの下流側は電解槽10の陰極室12に接続されている。
【0038】
前記原水第二供給路71cは、電解液タンク20に原水を供給するための流路である。原水第二供給路71cには、第三バルブSV3が設けられている。第三バルブSV3には電磁バルブ等を用いることができる。原水第二供給路71cの下流側は電解液タンク20に接続されている。
【0039】
前記生成液送出系72は、電解槽10で生成された電解イオン水を下流側へ送るための流路である。生成液送出系72は生成液主流路72aを備え、その生成液主流路72aの下流側には、生成液第一送出路72bと生成液第二送出路72cが設けられている。
【0040】
生成液第一送出路72bは、生成された第一のpH値の電解イオン水を第一液貯留タンク30に送出するための流路である。生成液第一送出路72bには、第四バルブSV4が設けられている。第四バルブSV4には電磁バルブ等を用いることができる。生成液第一送出路72bの下流側は第一液貯留タンク30に接続されている。電解槽10の陰極室12から第一液貯留タンク30の間の系(具体的には、生成液主流路72aと生成液第一送出路72bを含む系)は、生成液第一送出系として機能する。
【0041】
生成液第二送出路72cは、生成された第一のpH値の電解イオン水を生成液タンク40に送出するための流路である。生成液第二送出路72cには、第五バルブSV5が設けられている。第五バルブSV5には電磁バルブ等を用いることができる。生成液第二送出路72cの下流側は生成液タンク40に接続されている。電解槽10の陰極室12から生成液タンク40の間の系(具体的には、生成液主流路72aと生成液第二送出路72cを含む系)は、生成液第二送出系として機能する。
【0042】
前記生成液供給系73は、生成液タンク40内の電解イオン水を電解槽10の陰極室12に供給するための流路である。この実施形態の生成液供給系73は生成液供給主流路73aを備え、その生成液供給主流路73aの途中には第四ポンプP4及び第六バルブSV6が設けられている。第六バルブSV6には電磁バルブ等を用いることができる。生成液供給主流路73aの下流側は原水第一供給路71bの最下流(逆止弁71hよりも下流)に接続されている。
【0043】
前記電解液供給系74は、電解槽10の陽極室13に電解液を供給するための流路である。電解液供給系74は電解液供給主流路74aを備え、その電解液供給主流路74aの途中には第三ポンプP3が設けられている。電解液供給主流路74aの下流側は電解槽10の陽極室13に接続されている。
【0044】
前記電解液送出系75は、電解槽10の陽極室13を通過した電解液を電解液タンク20に送出するための流路である。電解液送出系75は電解液主送出路75aを備えている。電解液主送出路75aの下流側は電解液タンク20に接続されている。
【0045】
前記第二液送出系76は、生成液タンク40に貯留された第二のpH値の電解イオン水を第二液貯留タンク50に送出するための流路である。第二液送出系76は第二液送出路76aを備え、その途中には、第五ポンプP5が設けられている。第二液送出路76aの下流側は第二液貯留タンク50に接続されている。
【0046】
前記操作部60は、生成する電解イオン水の種類や生成量等を設定するための機能部である。操作部60はタッチパネルや物理スイッチ等の各種入力装置で構成することができる。なお、操作部60の操作による操作信号は制御部へ送信され、制御部による制御によって電解イオン水の生成等が実行される。
【0047】
ここで説明した実施形態は一例であり、本発明の電解イオン水生成装置の構成は前記実施形態の構成に限定されるものではない。本発明の電解イオン水生成装置は、所期の目的を達成できる範囲で、構成の追加、省略、入れ替え等の変更を適宜加えることができる。
【0048】
次に、前記実施形態の電解イオン水生成装置の動作について説明する。この実施形態の電解イオン水生成装置では、pH値の異なる電解イオン水を選択的に生成することができる。一例としては、pH12.5の電解イオン水とpH13.1の電解イオン水を生成することができる。以下では、前者の電解イオン水を生成する場合の動作と、後者の電解イオン水を生成する場合の動作に分けて説明する。
【0049】
[pH12.5の電解イオン水(第一のpH値の電解イオン水)を生成する場合]
はじめに、pH12.5の電解イオン水(第一のpH値の電解イオン水)を生成する場合の一例を、
図3を参照して説明する。
(1)pH12.5の電解イオン水を生成する場合、初めに電解液タンク20に原水を供給する(
図3に一点鎖線で表示)。このとき、第一バルブSV1及び第三バルブSV3は「開」、第二バルブSV2は「閉」となる。
(2)電解液タンク20が満水になると、電解槽10の陰極室12に原水が供給されると共に陽極室13に電解液が供給され(
図3に二点鎖線で表示)、その後、直流電源DCによって両ターミナル(陰極ターミナル15a及び陽極ターミナル16a)間に直流電圧が印加されることで、pH12.5の電解イオン水の生成が開始される。このとき、第一バルブSV1、第二バルブSV2及び第四バルブSV4が「開」、第三バルブSV3、第五バルブSV5及び第八バルブSV8が「閉」となり、第一ポンプP1、第二ポンプP2及び第三ポンプP3が「ON」となる。
(3)前記工程を経て生成されたpH12.5の電解イオン水は、第一液貯留タンク30に貯留される。第一液貯留タンク30に貯留されたpH12.5の電解イオン水は、第一スイッチSW1をONにすることで取り出すことができる。このとき、第八バルブSV8が「開」となり、第六ポンプP6が「ON」となる。
【0050】
[pH13.1の電解イオン水(第二のpH値の電解イオン水)を生成する場合]
次に、pH13.1の電解イオン水(第二のpH値の電解イオン水)を生成する場合の一例を、
図4を参照して説明する。
(1)pH13.1の電解イオン水を生成する場合、初めに電解液タンク20に原水を供給する(
図4に一点鎖線で表示)。このとき、第一バルブSV1及び第三バルブSV3は「開」、第二バルブSV2は「閉」となる。
(2)電解液タンク20が満水になると、電解槽10の陰極室12に原水が供給されると共に陽極室13に電解液が供給され(
図4に二点鎖線で表示)、その後、直流電源DCによって両ターミナル(陰極ターミナル15a及び陽極ターミナル16a)間に直流電圧が印加されることで、pH12.5の電解イオン水の生成が開始される。このとき、第一バルブSV1、第二バルブSV2及び第五バルブSV5が「開」、第三バルブSV3、第四バルブSV4及び第七バルブSV7が「閉」となり、第一ポンプP1、第二ポンプP2及び第三ポンプP3が「ON」となる。
(3)前記工程を経て生成されたpH12.5の電解イオン水は、生成液タンク40に貯留され、生成液タンク40が満水になると、その生成液タンク40内のpH12.5の電解イオン水を用いてpH13.1の電解イオン水の生成が開始される。具体的には、電解槽10の陰極室12にpH12.5の電解イオン水が供給されると共に陽極室13に電解液が供給され、その後、直流電源DCによって両ターミナル(陰極ターミナル15a及び陽極ターミナル16a)間に直流電圧が印加されることで、pH13.1の電解イオン水の生成が開始される。このとき、第五バルブSV5及び第六バルブSV6が「開」、第二バルブSV2、第三バルブSV3、第四バルブSV4及び第七バルブSV7が「閉」となり、第一ポンプP1、第二ポンプP2、第三ポンプP3及び第四ポンプが「ON」、第五ポンプP5が「OFF」となる。
(4)前記工程を経て生成されたpH13.1の電解イオン水は、第二液貯留タンク50に貯留される。このとき、第七バルブSV7が「開」、第五バルブSV5、第六バルブSV6及び第八バルブSV8が「閉」となり、第五ポンプP5が「ON」、第一ポンプP1、第二ポンプP2、第三ポンプP3及び第四ポンプP4が「OFF」となる。第二液貯留タンク50に貯留されたpH13.1の電解イオン水は、第二スイッチSW2をONにすることで取り出すことができる。このとき、第七バルブSV7が「開」、第八バルブSV8が「閉」となる。
【0051】
なお、pH13.1の電解イオン水を生成する方法には、前述の例のように、第一のpH値の電解イオン水の生成と第二のpH値の電解イオン水の生成を連続して行う方法のほか、事前に第一のpH値の電解イオン水を生成して生成液タンク40に貯留しておき、その後別のタイミングで、生成液タンク40に貯留された第一のpH値の電解イオン水を用いて、第二のpH値の電解イオン水を生成することもできる。
【0052】
このようにする場合、第一のpH値の電解イオン水の生成時間を省略できることや、原水としてpH値の高い第一のpH値の電解イオン水を用いること等から、短時間で効率よく第二のpH値の電解イオン水を生成することができるメリットがある。
【0053】
ここでは、第一のpH値の電解イオン水としてpH12.5の電解イオン水、第二のpH値の電解イオン水としてpH13.1の電解イオン水を生成する場合を一例としているが、生成する電解イオン水のpH値はこれらに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の電解イオン水生成装置は、pH値の異なる二種類の電解イオン水の生成、特に、pH12.5以上の強アルカリイオン水の生成に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 電解槽
11 イオン交換膜
12 陰極室
13 陽極室
14 スペーサ
15 陰極板
15a 陰極ターミナル
16 陽極板
16a 陽極ターミナル
20 電解液タンク
21 ストレーナ(第一ストレーナ)
22、23 撹拌装置
22a、23a 循環路
24 ドレイン(第一ドレイン)
30 第一液貯留タンク
31 ドレイン(第二ドレイン)
40 生成液タンク
41 ストレーナ(第二ストレーナ)
42 ドレイン(第三ドレイン)
50 第二液貯留タンク
51 ドレイン(第四ドレイン)
60 操作部
71 原水供給系
71a 原水主流路
71b 原水第一供給路
71c 原水第二供給路
71d 減圧弁
71e フィルタ群
71f 流量センサ
71g 流量調整器
71h 逆止弁
72 生成液送出系
72a 生成液主流路
72b 生成液第一送出路
72c 生成液第二送出路
73 生成液供給系
73a 生成液供給主流路
74 電解液供給系
74a 電解液供給主流路
75 電解液送出系
75a 電解液主送出路
76 第二液送出系
76a 第二液送出路
77 第一液取出し系
77a 第一取出し路
78 第二液取出し系
78a 第二取出し路
DC 直流電源
FS1~FS6 フロートスイッチ
P1~P6 第一ポンプ~第六ポンプ
SV1~SV8 第一バルブ~第八バルブ
SW1~SW2 第一スイッチ~第二スイッチ
【要約】
【課題】 一台でpHの異なる電解イオン水を選択的に生成することのできる電解イオン水生成装置を提供する。
【解決手段】 本発明の電解イオン水生成装置は、電解液を貯留する電解液タンクと、イオン交換膜で仕切られた陰極室及び陽極室を有する電解槽と、前記陰極室に設けられた陰極板及び前記陽極室に設けられた陽極板の両極板間に電圧を印加する直流電源を備え、前記直流電源で前記両極板間に電圧を印加し、還元反応を起こさせることによって電解イオン水を生成する電解イオン水生成装置であって、電解槽で生成された電解イオン水を貯留する生成液タンクと、電解槽の陰極室に原水を供給する原水供給系と、電解槽の陰極室に生成液タンク内の電解イオン水を供給する生成液供給系と、原水供給系と生成液供給系を切り替える操作部を備えたものである。
【選択図】
図1