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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】枕
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/10 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A47G9/10 Z
A47G9/10 U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023188531
(22)【出願日】2023-11-02
【審査請求日】2024-04-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523414803
【氏名又は名称】株式会社サバキュー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】田代 剛大
(72)【発明者】
【氏名】清水 善博
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-299140(JP,A)
【文献】実開昭60-129945(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-2406918(KR,B1)
【文献】中国実用新案第202843108(CN,U)
【文献】中国実用新案第203749067(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時にユーザの首及び肩に接触する首肩用部材と、
前記首肩用部材に設けられ、電力を受けて動作するヒータであって、使用時にユーザの首を温める首用ヒータと、
前記首肩用部材に設けられ、電力を受けて動作するヒータであって、使用時にユーザの肩を温める肩用ヒータと、を備え、
前記首用ヒータと前記肩用ヒータとは相互に独立して動作可能に構成されている、
枕。
【請求項2】
前記首用ヒータは、前記肩用ヒータよりもユーザの頭側に設けられており、
前記肩用ヒータは、前記首用ヒータに比べてユーザの肩幅方向の寸法が長く設定されている、
請求項1に記載の枕。
【請求項3】
使用時にユーザの頭に接触する頭用部材を更に備え、
前記首肩用部材は、前記頭用部材よりも反発弾性率の大きい素材で構成されている、
請求項1に記載の枕。
【請求項4】
前記頭用部材は、低反発ファイバーで構成され、
前記首肩用部材は、高反発ウレタンで構成されている、
請求項3に記載の枕。
【請求項5】
前記首肩用部材は、前記首肩用部材の肩幅方向の中心を跨ぐ位置においてユーザの肩側下方へ窪んだ窪み部を有している、
請求項1に記載の枕。
【請求項6】
前記首肩用部材は、前記首肩用部材の肩幅方向の中心を跨ぐ位置においてユーザの肩側へ膨出した膨出部を有している、
請求項1に記載の枕。
【請求項7】
前記首肩用部材に設けられて、電力を受けて振動する振動部を更に備えている、
請求項1に記載の枕。
【請求項8】
前記首肩用部材の外部に設けられ、外部の電源に接続されるとともに前記首用ヒータと前記肩用ヒータと前記振動部とに接続され、前記首用ヒータと前記肩用ヒータと前記振動部とに対する前記外部の電源からの電力供給を制御するコントローラと、
前記首肩用部材に埋め込まれた基板と、を更に備え、
前記首用ヒータと前記肩用ヒータと前記振動部との基準電位を決めるグラウンド線は、前記コントローラから前記基板までは1本の外部グラウンド線で接続され、前記基板によって前記首用ヒータに接続される首用ヒータ内部グラウンド線と前記肩用ヒータに接続される肩用ヒータ内部グラウンド線と前記振動部に接続される振動部用内部グラウンド線とに分岐されている、
請求項7に記載の枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、枕に関する。
【背景技術】
【0002】
人々の日常生活における睡眠の重要性は言うまでもなく、睡眠の質は、心身の健康や日々の生活の質に深く関わっている。その中でも枕は、ユーザの睡眠の質を左右する重要な要素の一つであり、多くの研究者やメーカーがその最適化に努めてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-51170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザの要望に満足に応えることのできる枕の実現は難しく、更なる改善が要求される。
【0005】
本発明の実施形態は、上述した事情に鑑みてならされたものであり、その目的は、快適性を向上させた枕を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態による枕は、使用時にユーザの頭に接触する頭用部材と、前記頭用部材よりも前記ユーザの肩幅方向の寸法が長く設定され、使用時にユーザの首及び肩に接触する首肩用部材と、前記首肩用部材に設けられ、電力を受けて動作するヒータであって、使用時にユーザの首を温める首用ヒータと、前記首肩用部材に設けられ、電力を受けて動作するヒータであって、使用時にユーザの肩を温める肩用ヒータと、を備える。前記首用ヒータと前記肩用ヒータとは相互に独立して動作可能に構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態による枕の一例を示す平面図
図2】一実施形態による枕の一例を示す斜視図
図3】一実施形態による枕の一例を図2とは異なる方向から示す斜視図
図4】一実施形態による枕の一例を示す正面図
図5】一実施形態による枕の一例を右側上方から示す斜視図
図6】一実施形態による枕の一例を示す側面図
図7】一実施形態による枕の一例をカバーを除いて示すもので、図4のX7-X7線に沿って示す断面図
図8】一実施形態による枕の一例を頭用部材側の上方から示す斜視図
図9】一実施形態による枕について、頭用部材の一例を示す図
図10】一実施形態による枕について、首肩用部材と調整部材との一例を示す図
図11】一実施形態による枕について、首肩用部材と調整部材との一例を拡大して示す図
図12】一実施形態による枕について、首肩用部材及び振動部の周辺の構成の一例を示す図
図13】一実施形態による枕について、首肩用部材及び覆い部材の周辺の構成の一例を示す図
図14】一実施形態による枕について、コントローラの一例を示す図
図15】一実施形態による枕について、首肩用部材及び基板の周辺の構成の一例を示す図
図16】一実施形態による枕について、コントローラ、基板、首用ヒータ、肩用ヒータ、及び振動部の電気的な接続例を概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態による枕1ついて図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において枕1の方向を示す場合には、枕1の使用時におけるユーザを基準として、肩幅方向及び身長方向として規定する。また、身長方向のうちユーザの頭側を、枕1の頭側と称し、ユーザの肩側つまり足側を、枕1の肩側と称することがある。図1から図8に示すように、実施形態による枕1は、頭用部材10と、首肩用部材20と、を備えて構成されている。頭用部材10と、首肩用部材20とは、それぞれ異なる部材で構成されている。異なる部材で構成されているとは、少なくとも枕1の製造時にそれぞれ物理的に分離された部材を組み合わせて構成されていることを意味する。
【0009】
本実施形態の場合、頭用部材10と、首肩用部材20とは、例えば面ファスナーやボタンなどで相互に分離可能に接続されている。なお、頭用部材10と首肩用部材20とは、縫い合わせや接着により相互に分離不可に構成されていても良い。頭用部材10と首肩用部材20とは、相互に接続されず、使用時に単に並べて配置する構成でも良い。
【0010】
また、頭用部材10及び首肩用部材20は、それぞれ単体でも使用することができる。すなわち、10は、頭用部材10及び首肩用部材20の一方を備えない構成とすることもできる。なお、頭用部材10、首肩用部材20を、それぞれ第1部材10及び第2部材20と称することもできる。
【0011】
頭用部材10は、使用時にユーザ90の頭91に接触する部材である。すなわち、頭用部材10は、図1に示すように、使用時にユーザ90の頭91が載置されて、ユーザ90の頭91を支える部材である。
【0012】
首肩用部材20は、使用時にユーザ90の首92及び肩93に接触する部材である。すなわち、首肩用部材20は、図1に示すように、使用時にユーザ90の首92が載置されて、ユーザ90の首92を支えるとともに、ユーザ90の肩93を包み込むようにして接触する。
【0013】
首肩用部材20は、頭用部材10よりもユーザの肩幅方向の寸法が長く設定されている。また、首肩用部材20は、頭用部材10よりもユーザの身長方向の寸法が短く設定されている。図6に示すように、枕1を幅方向の側方から見た場合の面積について見ると、首肩用部材20の面積は、頭用部材10の面積よりも大きい。また、図7に示すように、枕1を肩幅方向の中心で切断した場合の断面積について見ると、首肩用部材20の断面積は、頭用部材10の断面積よりも大きい。
【0014】
また、図4等に示すように、首肩用部材20は、窪み部201及び膨出部202を有している。窪み部201は、首肩用部材20の肩幅方向の中心部、すなわち中心を跨ぐ位置に設けられている。また、窪み部201は、図7に示すように、首肩用部材20のうち、頭用部材10とは反対側の領域、すなわちユーザの肩93側が下方へ窪んだ形状に形成されている。窪み部201は、ユーザ90の首92の形状に沿って窪んでいる。これにより、首肩用部材20は、首肩用部材20に載置されたユーザ90の首92を、窪み部201によってしっかりと包み込んで保持することができる。
【0015】
膨出部202は、図1等に示すように、首肩用部材20の肩幅方向の中心を跨ぐ位置において、頭用部材10とは反対側へ、つまり身長方向の肩側へ向かって僅かに膨出した形状に形成されている。膨出部202は、ユーザ90の肩の付け根付近に接触する部位である。すなわち、首肩用部材20を平面方向に見ると、肩側の縁部は肩幅方向の中央部に位置する膨出部202が僅かに膨らみ、その肩幅方向の両側が膨出部202から連続して滑らかに湾曲した形状に形成されている。
【0016】
頭用部材10と首肩用部材20とは、それぞれカバー11、21によって覆われている。頭用部材10を包むカバー11、及び首肩用部材20を包むカバー21は、それぞれ異なる素材で構成されていても良いし、同一の素材で構成されていても良い。
【0017】
頭用部材10と首肩用部材20とは、異なる素材で構成されている。本実施形態の場合、首肩用部材20は、頭用部材10よりも反発弾性率の大きい素材で構成されている。この場合、首肩用部材20の反発弾性率は、15%以上に設定されており、好ましくは50%以上に設定されている。これに対し、頭用部材10の反発弾性率は、首肩用部材20の反発弾性率よりも小さく、かつ、50%未満に設定されており、好ましくは15%未満に設定されている。本実施形態の場合、首肩用部材20の反発弾性率は、例えば50%以上に設定されている。これに対し、頭用部材10の反発弾性率は、15%未満に設定されている。
【0018】
頭用部材10は、図9に示すように、例えば低反発ファイバーで構成することができる。低反発ファイバーは、例えばポリエチレン繊維を編み込んで構成されたものである。低反発ファイバーは、反発力が小さいため、人体のうち比較的重い頭91に沿って変形し、頭91全体を包み込むように保持することができる。これに対し、首肩用部材20は、図10に示すように、例えばいわゆる高反発ウレタンで構成されている。高反発ウレタンは、反発力が大きいため、ユーザ90の首92や肩93をしっかりと保持することができる。
【0019】
また、枕1は、図10及び図11に示すように、調整部材22を備えている。調整部材22は、例えばナイロンやポリエステル、若しくは綿製で、首肩用部材20の底面に沿った形状で、厚みが数mm~数十mm程度のシート状に構成されている。調整部材22は、首肩用部材20の底面側に、一枚又は複数枚重ねて配置する、若しくは調整部材22を取り除くことで、首肩用部材20の高さを調整する機能を有する。調整部材22は、首肩用部材20とともに、カバー21内に収容される。
【0020】
また、枕1は、図1及び図10に示すように、首用ヒータ31及び肩用ヒータ32を備えている。なお、首用ヒータ31及び肩用ヒータ32を、それぞれ第1ヒータ31及び第2ヒータ32と称することもできる。また、枕1は、首用ヒータ31及び肩用ヒータ32以外のヒータを備えることもできる。
【0021】
首用ヒータ31及び肩用ヒータ32は、電力を受けて動作するヒータである。首用ヒータ31及び肩用ヒータ32は、例えばニクロム線ヒータやPTCヒータ等、電力を受けて発熱する種々のヒータを採用するこができる。首用ヒータ31及び肩用ヒータ32は、柔軟性を有するフィルム状に構成されて、首肩用部材20の表面に貼られており、首肩用部材20とともにカバー21内に収容されている。
【0022】
図1及び図10に示すように、首用ヒータ31は、首肩用部材20においてユーザ90の頭91側に設けられている。肩用ヒータ32は、首肩用部材20においてユーザ90の肩93側に設けられている。すなわち、首用ヒータ31は、肩用ヒータ32よりも頭用部材10側に設けられている。首用ヒータ31及び肩用ヒータ32は、いずれもユーザ90の肩幅方向に長い長方形状に構成されている。そして、肩用ヒータ32は、首用ヒータ31に比べてユーザの肩幅方向の寸法が長く設定されている。すなわち、肩用ヒータ32の肩幅方向の寸法は、首用ヒータ31の肩幅方向の寸法よりも長い。なお、首用ヒータ31及び肩用ヒータ32は、それぞれ複数のヒータを組み合わせて構成されたものでもよい。
【0023】
首用ヒータ31は、使用時にユーザ90の首92を温めることができる位置に設けられている。首用ヒータ31は、電力が供給されてつまりスイッチがオンされて動作すると、発熱してユーザ90の首92を温める。肩用ヒータ32は、使用時にユーザ90の肩93を温めることができる位置に設けられている。肩用ヒータ32は、電力が供給されてつまりスイッチがオンされて動作すると、発熱してユーザ90の肩93を温める。なお、首用ヒータ31及び肩用ヒータ32は、それぞれ首92や肩93だけでなく、首92や肩93以外の部位、例えば後頭部や耳など首92や肩93の近傍の部位も温める構成であっても良い。
【0024】
首用ヒータ31と肩用ヒータ32とは、相互に独立して動作可能に構成されている。すなわち、首用ヒータ31及び肩用ヒータ32は、首用ヒータ31及び肩用ヒータ32の両方がオフの状態、首用ヒータ31及び肩用ヒータ32の両方がオンの状態、首用ヒータ31がオンで肩用ヒータ32がオフの状態、首用ヒータ31がオフで肩用ヒータ32がオンの状態、の4態様を任意に切り替えることができる。なお、本実施形態において、ヒータ31、32がオンの状態とは、ヒータ31、32が通電されて発熱している状態を意味する。また、ヒータ31、32がオフの状態とは、ヒータ31、32が通電されておらず発熱していない状態を意味する。
【0025】
また、枕1は、図1及び図12に示すように、振動部40を更に備えている。振動部40は、電力を受けて振動する。すなわち、振動部40は、電力が供給されてつまりスイッチがオンされて動作すると、自己の振動によって首肩用部材20を振動させる。これにより、振動部40は、首肩用部材20に接触しているユーザ90の首92及び肩93にマッサージ作用を与える。
【0026】
振動部40は、首肩用部材20の長手方向つまり肩幅方向の中心部に設けられており、図12に示すように、首肩用部材20の内部に埋め込まれている。この場合、首肩用部材20には、振動部40を首肩用部材20に埋め込むための埋設穴部203が形成されている。振動部40が埋め込まれた後の埋設穴部203には、図13に示すように、スポンジ等で構成された覆い部材23が埋め込まれる。これにより、埋設穴部203は、覆い部材23によって塞がれる。振動部40は、首用ヒータ31及び肩用ヒータ32から独立して動作可能に構成されている。すなわち、ユーザは、首用ヒータ31及び肩用ヒータ32の動作状況とは無関係に、振動部40を動作させることができる。
【0027】
枕1は、図14から図16示すように、コントローラ50及び基板60を更に備えている。コントローラ50は、頭用部材10及び首肩用部材20の外部に設けられている。コントローラ50の一方は、予め基板60を介して首用ヒータ31と肩用ヒータ32と振動部40とに電気的に接続されている。また、コントローラ50の他方は、ユーザの操作によって例えば家庭用コンセントやモバイルバッテリー等の外部の電源に接続される。
そして、コントローラ50は、首用ヒータ31と肩用ヒータ32と振動部40とに対する外部の電源からの電力供給を制御する機能を有する。
【0028】
本実施形態の場合、コントローラ50は、首用ヒータ31、肩用ヒータ32、及び振動部40に対する電力供給のオン及びオフを独立して行う機能を有する。コントローラ50は、ユーザの操作に基づいて、首用ヒータ31及び肩用ヒータ32の温度を設定し制御することができる。更に、コントローラ50は、ユーザの操作に基づいて、首用ヒータ31、肩用ヒータ32、及び振動部40のオンタイマー及びオフタイマーを設定し制御することができる。オンタイマーとは、設定された時間が経過したことに基づいて首用ヒータ31、肩用ヒータ32、及び振動部40をオンにする機能である。また、オフタイマーとは、設定された時間が経過したことに基づいて首用ヒータ31、肩用ヒータ32、及び振動部40をオフにする機能である。
【0029】
基板60は、首用ヒータ31、肩用ヒータ32、及び振動部40と、コントローラ50とを電気的に接続するものである。基板60は、図15に示すように、例えば一辺が数mm~数十mm程度の大きさのプリント配線基板で構成されており、首肩用部材20に埋め込まれている。例えば図15に示すように、首肩用部材20の肩幅方向の一方の端部側面には、基板収納部204が形成されている。基板60は、この基板収納部204内に挿入されている。これにより、基板60は、首肩用部材20のうち肩幅方向における片方の端部に埋め込まれている。
【0030】
この場合、首用ヒータ31と肩用ヒータ32と振動部40との基準電位を決めるグラウンド線は、コントローラ50から基板60までは1本の外部グラウンド線71で接続されている。そして、基板60によって、首用ヒータ31に電気的に接続される首用ヒータ内部グラウンド線811と、肩用ヒータ32に電気的に接続される肩用ヒータ内部グラウンド線812と、振動部40に電気的に接続される振動部用内部グラウンド線813とに分岐されている。
【0031】
すなわち、コントローラ50と基板60とは、外部グラウンド線71、首用ヒータ外部信号線72、首用ヒータ外部電力線73、肩用ヒータ外部信号線74、肩用ヒータ外部電力線75、及び振動部用外部電力線76によって接続されている。外部グラウンド線71、首用ヒータ外部信号線72、首用ヒータ外部電力線73、肩用ヒータ外部信号線74、肩用ヒータ外部電力線75、及び振動部用外部電力線76は、図16に示すように、束にされて全体として1本の配線として構成されている。
【0032】
外部グラウンド線71は、首用ヒータ31、肩用ヒータ32、及び振動部40の基準電位を規定する。首用ヒータ外部信号線72は、コントローラ50から送信された首用ヒータ31の制御信号を流す。首用ヒータ外部電力線73は、コントローラ50を介して外部の電源から供給された首用ヒータ31の駆動用電力を流す。肩用ヒータ外部信号線74は、コントローラ50から送信された肩用ヒータ32の制御信号を流す。肩用ヒータ外部電力線75は、コントローラ50を介して外部の電源から供給された肩用ヒータ32の駆動用電力を流す。そして、振動部用外部電力線76は、コントローラ50を介して外部の電源から供給された振動部40の駆動用電力を流す。
【0033】
基板60と首用ヒータ31とは、首用ヒータ内部グラウンド線811、首用ヒータ内部信号線82、及び首用ヒータ内部電力線83によって電気的に接続されている。基板60と肩用ヒータ32とは、肩用ヒータ内部グラウンド線812、肩用ヒータ内部信号線84、及び肩用ヒータ内部電力線85によって電気的に接続されている。そして、基板60と振動部40とは、振動部用内部グラウンド線813及び振動部用内部電力線86によって振動部40と電気的に接続されている。そして各線811~813、82~86は、首肩用部材20に溝状に形成された配線収納部205に収納されている。
【0034】
外部グラウンド線71は、基板60に設けられた第1プリント配線61を介して、首用ヒータ内部グラウンド線811、肩用ヒータ内部グラウンド線812、及び振動部用内部グラウンド線813のそれぞれに電気的に接続されている。すなわち、外部グラウンド線71は、基板60上において第1プリント配線61によって分岐されて、首用ヒータ内部グラウンド線811、肩用ヒータ内部グラウンド線812、及び振動部用内部グラウンド線813に電気的に接続されている。
【0035】
また、首用ヒータ外部信号線72は、第2プリント配線62を介して首用ヒータ内部信号線82に電気的に接続されている。首用ヒータ外部電力線73は、第3プリント配線63を介して首用ヒータ内部電力線83に電気的に接続されている。肩用ヒータ外部信号線74は、第4プリント配線64を介して肩用ヒータ内部信号線84に電気的に接続されている。肩用ヒータ外部電力線75は、第5プリント配線65を介して肩用ヒータ内部電力線85に電気的に接続されている。そして、振動部用外部電力線76は、第6プリント配線66を介して振動部用内部電力線86に電気的に接続されている。
【0036】
以上説明した実施形態によれば、枕1は、頭用部材10と、首肩用部材20と、首用ヒータ31と、肩用ヒータ32と、を備えている。頭用部材10は、使用時にユーザ90の頭91に接触する部材である。首肩用部材20は、頭用部材10よりもユーザの肩幅方向の寸法が長く設定され、使用時にユーザ90の首92及び肩93に接触する部材である。首用ヒータ31は、首肩用部材20に設けられ、電力を受けて動作するヒータであって、使用時にユーザ90の首92を温める機能を有する。肩用ヒータ32は、首肩用部材20に設けられ、電力を受けて動作するヒータであって、使用時にユーザ90の肩93を温める機能を有する。そして、首用ヒータ31と肩用ヒータ32とは相互に独立して動作可能に構成されている。
【0037】
これによれば、枕1は、頭用部材10によってユーザ90の頭91を支持するとともに、首肩用部材20によってユーザ90の首92を支持する。このため、頭91と首92とを1つの部材で支持する一般的な枕に比べて、より適切にユーザ90の身体を支持することができる。また、枕1は、首用ヒータ31と肩用ヒータ32とを備えている。これによれば、ユーザ90の首92及び肩93を温めることで、筋肉の緊張を緩和し、リラックス効果をもたらすことができる。また、首の後ろには動脈が通っているため、動脈周辺を温めることによって、温まった血液が体全体に巡り、特に寒い冬などに身体を温める効果が期待できる。
【0038】
更に、首用ヒータ31と肩用ヒータ32とは、相互に独立して動作可能に構成されている。これによれば、ユーザ90は、首92又は肩93のいずれか一方のみを温める、または両方を温める、といったことが可能になる。これにより、ユーザ90は、自分の体調や好みに応じて首92及び肩93を温めることができるため、より高いリラックス効果がもたらされ、その結果、睡眠に関する快適性の向上が図られる。
【0039】
首用ヒータ31は、肩用ヒータ32よりも頭用部材10側に設けられている。そして、肩用ヒータ32は、首用ヒータ31に比べてユーザ90の肩幅方向の寸法が長く設定されている。これによれば、首用ヒータ31が肩用ヒータ32よりも頭用部材10側に設けられているため、ユーザ90の首92に対して効果的に熱を供給することができる。これは、首92周辺が特に冷えやすいユーザや、首にコリや緊張が集中しているユーザにとってより有益となる。
【0040】
また、肩用ヒータ32が、首用ヒータ31に比べてユーザ90の肩幅方向の寸法が長く構成されているため、ユーザ90の肩93の全体に亘って均等に熱を供給することができる。これにより、特に肩の広い範囲に亘ってコリや筋肉の緊張を有しているユーザに対して、より効果的にコリの解消は緊張の緩和を図ることができる。更に効果的に睡眠の質を向上させることができる。
【0041】
ここで、首92や肩93には重要な筋肉や神経が通っているため、首92や肩93に長時間圧力が加わると、寝違いや筋肉痛を引き起こし易い。そこで、首肩用部材20は、頭用部材10よりも反発弾性率の大きい素材で構成されている。具体的には、頭用部材10は、低反発ファイバーで構成されている。また、首肩用部材20は、高反発ウレタンで構成されている。
【0042】
これによれば、まず、頭用部材10は、首肩用部材20よりもユーザ90の身体に沿って、この場合、頭91に沿って柔軟に変形し易い。このため、ユーザ90ごとに異なる頭91の形状に柔軟にフィットし易くなる。これにより、頭91のホールド感を向上させることができ、快適性が保たれ易くなる。そして、頭用部材10は、頭91の形状に柔軟にフィットし易いことから、睡眠時の緊張の緩和を助ける効果が期待できる。その結果、ユーザ90は、よりリラックスした睡眠を得ることができる。
【0043】
また、換言すれば、首肩用部材20は、頭用部材10よりも反発弾性率の大きい素材で構成されている。これによれば、首肩用部材20は、頭91や首92の重量によって首肩用部材20が沈み込むことを抑制でき、ユーザ90の首92や肩93をしっかりと支持することができる。これにより、ユーザ90の首92や肩93の位置が適切に維持され、首92や肩93に対する過度な圧力が回避される。これらにより、本実施形態の枕1は、ユーザ90の頭91の良好なフィット感と、首92や肩93に対するしっかりとした支持とを、同時に実現することができ、その結果、睡眠の快適性を更に向上させることができる。
【0044】
また、首肩用部材20は、窪み部201を更に有している。窪み部201は、首肩用部材20の肩幅方向の中心を跨ぐ位置において頭用部材10とは反対側が窪んだ形状に形成されている。これによれば、枕1の使用時にユーザ90の首92周辺が窪み部201に嵌り込むため、より良好なフィット感を提供することができる。
【0045】
また、首肩用部材20は、膨出部202を有している。膨出部202は、首肩用部材20の肩幅方向の中心を跨ぐ位置において頭用部材10とは反対側へ膨出した形状に形成されている。これにより、首肩用部材20は、平面方向に見た場合に、肩側の縁部は肩幅方向の中央部に位置する膨出部202が僅かに膨らみ、その肩幅方向の両側が膨出部202から連続して滑らかに湾曲した形状に形成されている。このため、首肩用部材20がユーザ90の首92及び肩93に更に良好にフィットし、その結果、更に快適な睡眠を提供することができる。
【0046】
また、枕1は、振動部40を更に備えている。振動部40は、首肩用部材20に設けられており、電力を受けて振動する。これによれば、ユーザ90に対して振動部40の振動によるマッサージ効果を提供することができる。そして、首用ヒータ31及び肩用ヒータ32による温熱効果と、振動部40によるマッサージ効果とを組み合わせることで、より効果的にユーザ90の首92や肩93の緊張の緩和を助け、その結果、ユーザ90はよりリラックスした状態で眠ることができる。
【0047】
また、枕1は、コントローラ50と、基板60と、を更に備える。コントローラ50は、頭用部材10及び首肩用部材20の外部に設けられている。コントローラ50は、外部の電源に接続されるとともに、首用ヒータ31と肩用ヒータ32と振動部40とに電気的に接続されている。そして、コントローラ50は、首用ヒータ31と肩用ヒータ32と振動部40とに対する外部の電源からの電力供給を制御する。
【0048】
基板60は、首肩用部材20に埋め込まれている。そして、首用ヒータ31と肩用ヒータ32と振動部40との基準電位を決めるグラウンド線は、コントローラ50から基板60までは1本の外部グラウンド線71で接続され、基板60によって、首用ヒータ31に接続される首用ヒータ内部グラウンド線811と、肩用ヒータ32に接続される肩用ヒータ内部グラウンド線812と、振動部40に接続される振動部用内部グラウンド線813とに分岐されている。
【0049】
これによれば、コントローラ50から、首用ヒータ31、肩用ヒータ32、及び振動部40のそれぞれにグラウンド線を接続した場合に比べて、首肩用部材20の外部に引き出された配線の本数を少なくする、すなわち、首肩用部材20の外部に引き出された配線の束の太さを細くすることができる。その結果、首肩用部材20から引き出されてコントローラ50まで延びる配線を柔軟にすることができ、コントローラ50の取り扱い性を向上させることができる。
【0050】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0051】
1…枕、10…頭用部材、20…首肩用部材、201…窪み部、31…首用ヒータ、32…肩用ヒータ、40…振動部、50…コントローラ、60…基板、71…外部グラウンド線、811…首用ヒータ内部グラウンド線、812…肩用ヒータ内部グラウンド線、813…振動部用内部グラウンド線、90…ユーザ、91…頭、92…首、93…肩
【要約】
【課題】枕の快適性を向上させる。
【解決手段】枕は、使用時にユーザの頭に接触する頭用部材と、頭用部材よりもユーザの肩幅方向の寸法が長く設定され、使用時にユーザの首及び肩に接触する首肩用部材と、首肩用部材に設けられ、電力を受けて動作するヒータであって、使用時にユーザの首を温める首用ヒータと、首肩用部材に設けられ、電力を受けて動作するヒータであって、使用時にユーザの肩を温める肩用ヒータと、を備え、首用ヒータと肩用ヒータとは相互に独立して動作可能に構成されている。
【選択図】図1
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