IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マイクロビジョン,インク.の特許一覧

特許7545770低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法
<>
  • 特許-低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法 図1
  • 特許-低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法 図2
  • 特許-低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法 図3
  • 特許-低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法 図4
  • 特許-低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法 図5
  • 特許-低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法 図6
  • 特許-低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法 図7
  • 特許-低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法 図8
  • 特許-低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法 図9
  • 特許-低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法 図10
  • 特許-低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法 図11
  • 特許-低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法 図12
  • 特許-低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法 図13
  • 特許-低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法 図14
  • 特許-低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法 図15
  • 特許-低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法 図16
  • 特許-低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法 図17
  • 特許-低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】低エネルギー反射を感知するための検出器を有する走査レーザ装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/487 20060101AFI20240829BHJP
   G01S 17/89 20200101ALI20240829BHJP
【FI】
G01S7/487
G01S17/89
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023546050
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 US2022070299
(87)【国際公開番号】W WO2022212964
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】17/165,017
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505472816
【氏名又は名称】マイクロビジョン,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディーン,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】キャノン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ノーザン スリー,アルガ
(72)【発明者】
【氏名】サンドガッセ,ジョエル
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-182382(JP,A)
【文献】特開2015-200566(JP,A)
【文献】特開2005-300233(JP,A)
【文献】特開2005-257405(JP,A)
【文献】特開2018-040748(JP,A)
【文献】特開2003-130953(JP,A)
【文献】米国特許第05917640(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 - 17/95
G01C 3/00 - 3/32
G01B 11/00 - 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光パルスを生成するように構成されたレーザ光源と、
前記レーザ光パルスを走査野内に走査するための光学要素を含む光学アセンブリと、
第1の検出器であって、
前記光学アセンブリを介して前記走査野内の物体からの前記レーザ光パルスの反射を受信し、前記光学アセンブリ内の前記光学要素からの前記レーザ光パルスの後方反射をさらに受信するように構成された第1のセンサと、
前記光学アセンブリ内から前記レーザ光パルスの後方反射を受信する一方で、前記走査野内の物体からの有意な反射を受信しないように構成された第2のセンサと、
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサに結合された感知回路であって、前記後方反射の影響を少なくとも部分的に相殺して、前記走査野内の物体からの反射を示す出力信号を生成するように構成された、感知回路と、を含む第1の検出器と、を備え
第1のセンサは第1のセンサ視野を有し、前記第1のセンサ視野は、前記走査野内に走査された前記レーザ光パルスと光学的に位置合わせされ、前記第2のセンサは第2のセンサ視野を有し、前記第2のセンサ視野は、前記走査野内に走査された前記レーザ光パルスと光学的に位置合わせされない、装置。
【請求項2】
前記第1の検出器は、
第1の光パイプを介して前記第1のセンサに光学的に結合され、前記第1のセンサ視野を決定する第1の開口部と、
第2の光パイプを介して前記第2のセンサに光学的に結合され、前記第2のセンサ視野を決定する第2の開口部と、
前記走査野からの反射光を前記第1の開口部に集束するように構成された集束レンズと、
をさらに備え、
前記第1の開口部および前記第2の開口部は、前記後方反射が前記第1の開口部および前記第2の開口部にわたって広がるように、光学的に位置合わせされている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のセンサの前記第1のセンサ視野および前記第2のセンサの前記第2のセンサ視野は、1~3度の光学的位置合わせの差を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のセンサは、前記装置から2~6メートルの動作距離を有するように光学系で構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記走査野内から前記光学アセンブリを介して前記レーザ光パルスの反射を受信するように構成された短距離センサをさらに備え、光学系で構成された前記短距離センサは、前記装置から.1~2メートルの動作距離を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のセンサは第1のシリコンフォトマルチプライヤーを備え、前記第2のセンサは第2のシリコンフォトマルチプライヤーを備え、前記短距離センサはフォトダイオードを備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の開口部は前記第2の開口部より小さい、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記光学アセンブリ内の前記光学要素は、少なくとも1つの走査ミラーおよび少なくとも1つの拡張レンズを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記感知回路は、前記第2のセンサの出力から前記第1のセンサの出力を減算するための減算装置を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記感知回路は、前記第1のセンサの前記出力からの前記第2のセンサの前記出力の減算を較正するための第1の較正回路を備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記感知回路は、前記走査野内の物体の検出のための閾値を較正するための第2の較正回路をさらに備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の検出器は、第3のセンサをさらに備え、前記第3のセンサは、前記走査野内の物体からの有意な反射を受信せずに、前記光学アセンブリ内から前記レーザ光パルスの後方反射を受信するように構成され、前記感知回路は、前記第3のセンサにさらに結合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
第2の検出器をさらに備え、前記第2の検出器は、前記光学アセンブリの前記光学要素とは別個であり、かつ前記光学アセンブリの前記光学要素を含まない第2の光学アセンブリを介して前記走査野内から前記レーザ光パルスの前記レーザ光パルスの反射を受信するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の検出器に応答して、前記走査野内の深度測定点における物体までの距離を測定する飛行時間(TOF)回路と、
仮想保護ハウジング回路であって、複数の深度測定点について、短距離内の物体を検出するために前記レーザ光源に第1のエネルギーレベルで第1のレーザ光パルスを放出させ、前記短距離内に物体が存在しないと判定したことに応答して、前記レーザ光源に、長距離内の物体を検出するために総計の第2のエネルギーレベルを有する少なくとも1つの第2のレーザ光パルスを放出させ、前記第1のエネルギーレベルは前記総計の第2のエネルギーレベルよりも低い、仮想保護ハウジング回路と、をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
走査レーザ装置は、物体検出を含む多種多様な用途のために開発および実装されてきた。例えば、光検出および測距(LiDAR)システムは、表面の3Dマップを生成するために開発されており、3Dマップは、表面上の深度の変化を記述する。そのような物体検出および深度マッピングは、物体および動きの検出、ナビゲーションおよび制御を含む様々な用途で使用されている。例えば、そのようなLiDAR装置は、輸送および製造に使用される自律型装置を含む自律型車両のナビゲーションおよび制御に使用されている。
【0002】
いくつかのLiDARシステムにおける1つの制限は、検出器の信頼性および感度の欠如である。例えば、いくつかのLiDARシステムでは、ノイズは、低エネルギー反射の信頼性の確実な検出を妨げ、したがってシステムの動作を妨げる可能性がある。したがって、LiDARシステムおよび他の走査レーザ装置における検出のための改良されたシステムおよび方法が依然として必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】本発明の様々な実施形態による走査レーザ装置の概略図を示す。
【0004】
図2】本発明の様々な実施形態による光学アセンブリの概略図を示す。
【0005】
図3】本発明の様々な実施形態による検出器の概略図を示す。
【0006】
図4】本発明の様々な実施形態による検出器の概略図を示す。
【0007】
図5】本発明の様々な実施形態による感知回路の回路図を示す。
【0008】
図6】本発明の様々な実施形態による走査レーザ装置の側面図を示す。
図7】本発明の様々な実施形態による走査レーザ装置の上面図を示す。
【0009】
図8】本発明の様々な実施形態によるLiDARシステムの概略図を示す。
【0010】
図9】本発明の様々な実施形態による短距離パルスおよび長距離パルスを示す。
【0011】
図10】本発明の様々な実施形態による方法のフロー図を示す。
【0012】
図11】本発明の様々な実施形態による、距離の関数として物体を検出しない確率のグラフを示す。
【0013】
図12】本発明の様々な実施形態によるLiDARシステムを有する移動プラットフォームを示す。
【0014】
図13】本発明の様々な実施形態によるLiDARシステムの概略図を示す。
【0015】
図14】本発明の様々な実施形態による送信モジュールの側面図を示す。
【0016】
図15】本発明の様々な実施形態による送信モジュールの上面図を示す。
【0017】
図16】本発明の様々な実施形態による受信モジュールの側面図を示す。
【0018】
図17】本発明の様々な実施形態による受信モジュールの上面図である。
【0019】
図18】本発明の様々な実施形態による統合フォトニクスモジュールの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に記載の実施形態は、走査レーザ装置における検出器の感度および信頼性の向上を容易にすることができるシステムおよび方法を提供する。具体的には、システムおよび方法は、走査野内の物体からレーザ光パルスの反射を受信するように構成された複数のセンサを有する検出器を利用する。これらの複数のセンサは、レーザ光パルスを走査野に走査するために使用されるのと同じ光学アセンブリを介してこれらの反射を受信するように構成される。具体的には、複数のセンサは、同じ走査ミラー、ビーム整形光学系、およびレーザ光パルスを走査野に走査するために使用される他の光学要素の少なくともいくつかを介して反射を受信するように構成される。同じ光学アセンブリがレーザ光反射を受信するために複数のセンサによって使用されるため、複数のセンサが反射を受信するのを妨げる損傷または妨害はまた、走査野へのレーザ光パルスの走査を妨害してきた可能性がある。したがって、検出器は、走査野内の物体に衝突し、検出器に向かって反射して戻ってきた任意のレーザ光をより確実に検出することができ、したがって、レーザ安全性を高めるために使用することができる。
【0021】
さらに、複数のセンサは、検出器におけるノイズの影響を低減するように構成される。具体的には、複数のセンサは、光学アセンブリ自体の内部からの後方反射の影響を少なくとも部分的に相殺するように構成される。一般に、後方反射は、システム内の要素からのレーザ光の望ましくない反射であり、検出器で再び受信されるので、走査野内の物体からの反射の検出を妨げる可能性がある。光学アセンブリ内からの後方反射の影響を相殺することにより、特に走査野内からのレーザパルスの低エネルギー反射の検出のための検出器の感度を向上させることができる。この感度の向上は、低エネルギー光パルスの使用を容易にすることができ、したがって信頼性の高い短距離検出モードを容易にすることができる。
【0022】
複数のセンサは、レーザ光パルスを走査するためにも使用される同じ光学アセンブリを介して反射を受信し、複数のセンサは、後方反射の影響を少なくとも部分的に相殺するために使用されるので、複数のセンサを使用する検出器の組み合わせは、走査レーザ装置におけるレーザ光検出の感度および信頼性の両方を改善することができる。さらに、この特徴の組み合わせを使用して、低エネルギー光パルスおよび様々な走査レーザ装置用途においてレーザの安全性を高めることができる短距離検出モードの使用を提供することができる。
【0023】
ここで図1を参照すると、走査レーザ装置100の概略図が示されている。一実施形態では、走査レーザ装置100は、物体検出および/または3Dマップ生成に使用される光検出および測距(LiDAR)システムである。走査レーザ装置100は、レーザ光源102、光学アセンブリ104、および検出器106を含む。光学アセンブリ104は、ビーム整形光学系108および走査光学系110を含む、レーザ走査用の様々な光学要素を含む。動作中、レーザ光源102は、走査野114内の走査線のパターン112で光学アセンブリ104によって走査されるレーザ光のパルスを生成する。
【0024】
検出器106は、走査野114内の物体からレーザ光パルスの反射を受信するように構成される。次いで、レーザ光パルスの受信した反射を使用して、走査野114内のこれらの物体を検出することができる。例えば、受信した反射の飛行時間(TOF)測定値を使用して、各点における表面の深度を記述する3次元点群を生成することができ、したがって、物体表面の深度マップを生成するために使用することができる。
【0025】
図1の例では、走査野114内の走査線のパターン112はラスタパターンを含む。しかしながら、これは一例に過ぎず、他の実施形態では、使用される走査線の他のパターンを生成することができる。例えば、螺旋パターンおよびリサージュパターン(Lissajous patterns)を代わりに使用することができる。パターン112の生成を容易にするために、走査光学系110の動きを制御するための駆動回路を実装することができる。この例を以下により詳細に説明する。
【0026】
本明細書に記載の実施形態によれば、検出器106は、検出器の感度および信頼性の向上を容易にするように実装される。具体的には、検出器106は、走査野114内の物体からレーザ光パルスの反射を受信するように構成された複数のセンサで実装される。これらの複数のセンサは、特にレーザ光パルスが走査野114に走査されるのと同じ光学アセンブリ104である光学アセンブリ104を介してこれらの反射を受信するように構成される。したがって、検出器106内の複数のセンサは、レーザ光パルスを走査野114に走査するために使用される同じ走査光学系110およびビーム整形光学系108を介して反射を受信するように構成される。
【0027】
同じ光学アセンブリ104がレーザ光反射を受信するために複数のセンサによって使用されるため、複数のセンサが反射を受信するのを妨げる損傷または妨害はまた、走査野114へのレーザ光パルスの走査を妨害する可能性がある。例えば、検出器106が走査野114内の物体からのレーザ光パルスの反射を検出するのを妨げる障害物(例えば、出口光学レンズの汚れ)がある場合、レーザ光パルスが走査野114に走査されるのを妨げる可能性もある。したがって、近傍の物体がレーザ光パルスで走査され、検出器106によって検出されない可能性は比較的低い。
【0028】
さらに、本明細書に記載の実施形態によれば、検出器106内の複数のセンサは、光学アセンブリ104内からの後方反射の影響を少なくとも部分的に相殺するように構成される。一般に、後方反射は、光学アセンブリ104内の要素からのレーザ光の望ましくない反射であり、検出器106で再び受信されるので、走査野114内の物体からの反射の検出を妨げる可能性がある。例えば、後方反射は、光学アセンブリ104内の様々な光学要素(例えば、ビーム整形光学系108および走査光学系110)の鏡面反射および散乱後方反射の両方を含むことができる。これらの後方反射の制御されない性質により、後方反射の少なくともいくつかの重要な部分が後方に反射し、検出器106の検出面に影響を及ぼす可能性がある。
【0029】
一部のコーティングおよび他の要素を使用して、検出器106で受信される鏡面反射および散乱後方反射の量を低減することができるが、それらを完全に排除することはできない。検出器106で受信されると、これらの鏡面反射および散乱後方反射は、走査野114内の物体からの低エネルギー反射の検出を妨げる可能性がある。したがって、光学アセンブリ104内からの後方反射の影響を相殺することにより、特に走査野114内からのレーザ光パルスの低エネルギー反射の検出のための検出器の感度を向上させることができる。この感度の向上は、低エネルギー光パルスの使用を容易にすることができ、したがって、信頼性の高い目に安全な短距離検出モードを容易にすることができる。
【0030】
複数のセンサは、レーザ光パルスを走査するためにも使用される同じ光学アセンブリ104を介して反射を受信し、複数のセンサは、光学アセンブリ104内からの後方反射の影響を少なくとも部分的に相殺するために使用されるので、複数のセンサを使用する検出器106の組み合わせは、走査レーザ装置におけるレーザ光検出の感度および信頼性の両方を改善することができる。さらに、この特徴の組み合わせを使用して、低エネルギー光パルスおよび様々な走査レーザ装置用途においてレーザの安全性を高めることができる短距離検出モードの使用を提供することができる。
【0031】
また、以下でより詳細に説明するように、この特徴の組み合わせは、レーザの安全性を向上させるために実施することができる。例えば、この組み合わせは、目の安全性を向上させるために仮想保護ハウジングを使用する走査レーザ装置で実施することができる。
【0032】
一実施形態では、検出器106内の複数のセンサは第1のセンサおよび第2のセンサを含み、検出器106は感知回路をさらに含む。そのような実施形態では、第1のセンサは、光学アセンブリ104を介して走査野114内の物体からレーザ光パルスの反射を受信し、光学アセンブリ104内の要素からレーザ光パルスの後方反射をさらに受信するように構成される。第2のセンサは、光学アセンブリ104内からレーザ光パルスの後方反射を受信する一方で、走査野114内の物体からの有意な反射を受信しないように構成される。例えば、一実施形態では、第2のセンサは、第1のセンサによって受信された走査野内の物体からの反射エネルギーと比較して、走査野内の物体からの反射エネルギーの10%未満を受信するように構成される。他の実施形態では、第2のセンサは、第1のセンサと比較して、走査野内の物体からの反射エネルギーの5%未満を受信するように構成される。したがって、第1のセンサおよび第2のセンサの両方は、光学アセンブリ104内からの後方反射を受信するように構成され、一方、第1のセンサのみが走査野114内の物体からの有意な反射を受信する。
【0033】
一実施形態では、第1のセンサと第2のセンサとは光学的に位置合わせされておらず、この位置ずれは、第1のセンサと第2のセンサの両方が後方反射を受信することを可能にし、一方、第1のセンサのみが走査野114内の物体からの有意な反射を受信する。例えば、一実施形態では、第1のセンサは、走査野内に走査されるレーザ光パルスと光学的に位置合わせされる第1のセンサ視野を有する。したがって、第1のセンサは、光学アセンブリ104を介して走査野114内の物体からレーザ光パルスの反射を受信し、光学アセンブリ104内の要素からレーザ光パルスの後方反射をさらに受信する。
【0034】
逆に、第2のセンサは、走査野内に走査されるレーザ光パルスと光学的に位置合わせされない第2の視野を有する。したがって、第2のセンサは、光学アセンブリ104内からレーザ光パルスの後方反射を受信する一方で、走査野114内の物体からの有意な反射を受信しない。1つの特定の実施態様では、第1のセンサおよび第2のセンサは、1~3度の光学的位置合わせの差を有する。
【0035】
一実施形態では、第1のセンサおよび第2のセンサは、装置から2~6メートルの焦点に集束される光学系で実装される。そのような実施形態では、追加の短距離センサを検出器106に実装することができる。そのような実施態様では、短距離センサは、装置から2メートル未満の焦点に集束される光学系で構成することができる。
【0036】
第1のセンサおよび第2のセンサとして、様々な異なる種類の装置を実装することができる。例えば、第1のセンサおよび第2のセンサは各々、シリコンフォトマルチプライヤー(SiPM)で実装することができる。他の実施形態では、第1のセンサおよび第2のセンサは、アバランシェフォトダイオードおよびPINフォトダイオードを含むフォトダイオードを注入することができる。
【0037】
感知回路は、第1のセンサおよび第2のセンサに結合されており、センサで受信された後方反射の影響を少なくとも部分的に相殺して、走査野内の物体を示す出力信号を生成するように構成される。例えば、一実施形態では、第1のセンサおよび第2のセンサは各々出力を生成し、感知回路は、第1のセンサの出力から第2のセンサの出力を減算する減算装置を備える。感知回路はまた、較正回路を備えることができる。例えば、感知回路は、第1のセンサの出力からの第2のセンサの出力の減算を較正するための第1の較正回路を備えることができる。別の実施形態では、感知回路は、走査野内の物体の検出のための閾値を較正するための第2の較正回路を備えることができる。感知回路の詳細な例は、図5を参照して以下により詳細に説明される。
【0038】
一実施形態では、検出器106は第3のセンサをさらに含む。そのような実施形態では、第3のセンサは、第2のセンサと同様に、光学ミラーアセンブリ内からレーザ光パルスの後方反射を受信する一方で、走査野内の物体からの有意な反射を受信しないように構成することができる。この場合も、これは、走査野に走査されるレーザ光パルス間の光学的不整合を提供することによって実施することができる。そのような実施形態では、第3のセンサは、感知回路にも結合される出力を生成する。
【0039】
いくつかの実施形態では、検出器106に加えて、走査レーザ装置100は、1つまたは複数の追加の検出器を含むように実装される。例えば、第2の検出器は、検出器106のビーム整形光学系およびビーム走査光学系とは別個であり、かつビーム整形光学系およびビーム走査光学系を含まない第2の光学アセンブリを介して走査野内からレーザ光パルスのIRレーザ光パルスの反射を受信するように実装することができる。
【0040】
走査レーザ装置100はまた、他の要素を含むことができる。例えば、走査レーザ装置100はまた、走査野内の深度測定点における物体までの距離を測定するために、検出器106に応答する飛行時間(TOF)回路を含むことができる。
【0041】
また、他の実施形態では、走査レーザ装置100はまた、複数の深度測定点について、短距離内の物体を検出するためにレーザ光源に第1のパルスエネルギーで第1のIRレーザ光パルスを放出させ、短距離内に物体が存在しないと判定したことに応答して、レーザ光源に、長距離内の物体を検出するために総計の(合計した、トータルの)第2のエネルギーレベルを有する少なくとも1つの第2のIRレーザ光パルスを放出させ、第1のエネルギーレベルは総計の第2のエネルギーレベルよりも低い、仮想保護ハウジング回路を含むことができる。以下、このような仮想保護ハウジング回路の詳細例について説明する。
【0042】
ここで図2を参照すると、光学アセンブリ204のより詳細な実施形態が示されている。光学アセンブリ204は、走査野にわたってレーザビームパルスを走査するために使用される光学要素を含む。光学アセンブリ204は、本明細書に記載の実施形態によるLiDARまたは他の走査レーザ装置(例えば、走査レーザ装置100)で使用することができるタイプの光学アセンブリの一例である。図2に示す光学要素は、ビーム整形光学系208、第1の走査ミラー210、拡張光学系212、および第2の走査ミラー214を含むが、これは非限定的な一例に過ぎない。ここでも、走査レーザ装置の動作中に、レーザ光源がレーザ光パルスを生成し、レーザ光パルスは、光学アセンブリ204によって走査野(例えば、走査野114)上の走査軌跡(例えば、パターン112)に走査される。
【0043】
例えば、レーザ光源は、IRレーザ光パルスを生成するように実装された1つまたは複数の赤外線(IR)レーザを備えることができる。一具体例では、複数のIRレーザ光源からのパルスは、ビーム整形光学系208によって結合され、整形される。ビーム整形光学系208は、レーザ光パルスのビーム形状を変更するための任意の光学系を含むことができる。例えば、ビーム整形光学系208は、ビーム形状を変更し、ビームコリメーションを変更し、複数のビームを結合し、ビームを絞るための光学要素を含むことができる。
【0044】
ビーム整形光学系208の出力は、第1の走査ミラー210に送られる。一般に、第1の走査ミラー210は一方の運動軸(例えば、水平)を提供し、第2の走査ミラー214は別の、典型的には直交する運動軸(例えば、垂直)を提供する。したがって、第1の走査ミラー210は一方向(例えば、水平)にわたってレーザビームパルスを走査し、第2の走査ミラー214は他方向(例えば、垂直)にわたって走査する。さらに、そのような実施形態の典型的な実施態様では、第1の走査ミラー210は、ある速度(例えば、比較的遅い走査速度)で走査運動を提供するように動作し、第2の走査ミラー214は、異なる速度(例えば、比較的速い走査速度)で運動を提供するように動作する。合わせて、これにより、レーザ光パルスが走査軌跡パターン(例えば、パターン112)に走査される。さらに、走査レーザ装置の90度の回転が水平軸および垂直軸を効果的に切り替えるので、本明細書で使用される「垂直」および「水平」というラベルは幾分任意であることに留意されたい。
【0045】
第1の走査ミラー210の出力は、拡張光学系212に送られる。一般に、拡張光学系212は、走査野を1つまたは複数の方向に拡張するように実装される。例えば、拡張光学系212は、第1の走査ミラー210の運動軸に沿って角度拡張を提供するように実装され得る。したがって、第1の走査ミラー210が水平軸に沿って比較的遅い速度の走査を提供する一例では、拡張光学系212は、水平方向に沿って走査角を増加させるように実装され得る。一具体例として、第1の走査ミラー210は、水平方向に40度の走査角を提供するように実装されてもよく、拡張光学系212は、走査角を110度に拡張するように実装されてもよく、したがって、結果として生じる走査軌跡および走査野のサイズが拡張される。
【0046】
この拡張を提供するために、拡張光学系212は、所望の角度拡張を共に提供するように構成された1つまたは複数のレンズで実装することができる。一具体例では、拡張光学系212は、3つの別個のレンズで実装することができる。そのような実施形態の説明を以下により詳細に説明する。
【0047】
拡張光学系212の出力は、第2の走査ミラー214に送られる。ここでも、第1の走査ミラー210は一方の運動軸(例えば、水平)を提供し、第2の走査ミラー214は別の、典型的には直交する運動軸(例えば、垂直)を提供する。また、第1の走査ミラー210と第2の走査ミラー214とは、互いに異なる走査速度で動作する。特定の一実施形態では、第2の走査ミラー214は垂直高レート走査を提供し、第1の走査ミラー210は水平低レート走査を提供する。
【0048】
したがって、動作中、光学アセンブリ204は、レーザ光パルスを受信し、それらのレーザ光パルスを走査野内の走査軌跡パターンに走査するように動作する。
【0049】
上述したように、走査レーザ装置の動作中の1つの問題は、光学アセンブリ204内の様々な要素が望ましくない後方反射を生成する可能性があることである。例えば、レーザビームパルスがビーム整形光学系208、第1の走査ミラー210、拡張光学系212、および第2の走査ミラー214に衝突すると、鏡面反射および散乱後方反射の両方の形態の後方反射が生成され得る。いずれの場合も、望ましくない後方反射の一部が検出器に反射され、走査野内の物体からの低エネルギー反射の検出を妨げる可能性がある。
【0050】
ここで図3を参照すると、検出器306のより詳細な実施形態が示されている。検出器306は、本明細書に記載の実施形態によるLiDARまたは他の走査レーザ装置(例えば、走査レーザ装置100の検出器106)で使用することができるタイプの検出器のより詳細な例である。図3に示す検出器306は、第1のセンサ308と、第2のセンサ310、短距離センサ312、キャンセル回路、および検出回路を含む。
【0051】
一般に、検出器306は、検出器の感度および信頼性の向上を容易にするように実装される。具体的には、検出器306は、走査野内の物体からレーザ光パルスの反射を受信するように構成された第1のセンサ308、第2のセンサ310、および短距離センサ312で実装される。第1のセンサ308、第2のセンサ310、および短距離センサ312は、走査レーザ装置内の光学アセンブリを介してこれらの反射を受信するように構成され、この光学アセンブリは、特に、レーザ光パルスが走査野に走査されるのと同じ光学アセンブリである。
【0052】
第1のセンサ308および第2のセンサ310は、光学アセンブリ内からの後方反射の影響の少なくとも部分的な相殺を促進するように構成される。具体的には、第1のセンサ308は、走査野内の物体からレーザ光パルスの反射を受信し、光学アセンブリ内の要素からレーザ光パルスの後方反射をさらに受信するように構成される。第2のセンサ310は、光学アセンブリ内からレーザ光パルスの後方反射を受信する一方で、走査野内の物体からの有意な反射を受信しないように構成される。したがって、第1のセンサ308および第2のセンサ310の両方は、光学アセンブリ内からの後方反射を受信するように構成され、一方、第1のセンサ308のみが走査野内の物体からの有意な反射を受信する。
【0053】
第1のセンサ308および第2のセンサ310は、異なる光学的位置合わせで実装されることにより、異なる反射に対してこの異なる応答を提供するように実装され得る。具体的には、第1のセンサ308と第2のセンサ310は光学的に位置合わせされないように実装され、この位置ずれは、第1のセンサ308と第2のセンサ310の両方が後方反射を受信することを可能にし、一方、第1のセンサ308のみが走査野内の物体からの有意な反射を受信する。
【0054】
一具体的実施態様では、第1のセンサ308は、走査野内に走査されるレーザ光パルスと光学的に位置合わせされる第1のセンサ視野を有する。したがって、第1のセンサ308は、光学アセンブリを介して走査野内の物体からレーザ光パルスの反射を受信し、光学アセンブリ内の要素からレーザ光パルスの後方反射をさらに受信する。
【0055】
逆に、この特定の実施態様では、第2のセンサ310は、走査野内に走査されるレーザ光パルスと光学的に位置合わせされない第2の視野を有する。したがって、第2のセンサ310は、光学アセンブリ104内からレーザ光パルスの後方反射を受信する一方で、走査野内の物体からの有意な反射を受信しない。例えば、一実施形態では、第2のセンサ310は、第1のセンサ308によって受信された走査野内の物体からの反射エネルギーと比較して、走査野内の物体からの反射エネルギーの10%未満を受信するように特に光学的に位置合わせされる。他の実施形態では、第2のセンサ310は、第1のセンサ308と比較して、走査野内の物体からの反射エネルギーの5%未満を受信するように特に光学的に位置合わせされる。
【0056】
1つの特定の実施態様では、第1のセンサ308は、レーザパルス軸と光学的に位置合わせされ、第2のセンサ310は、レーザパルス軸から1~3度の間の光学的位置合わせの差を有する。
【0057】
典型的な実施態様では、検出器306は、比較的短距離の検出器として動作するように構成される。また、以下により詳細に説明するように、長距離検出を提供するために他の検出器を実装することができる。これを容易にするために、第1のセンサ308は、比較的短距離に集束される光学系で実装される。例えば、第1のセンサ308は、走査レーザ装置の出力レンズから2~6メートルの焦点に集束され、4メートルの被写界深度を有するように実装することができる。一具体例として、センサ308は、2~6メートルの焦点動作距離を提供するために、4メートルの焦点面および4メートルの被写界深度を有することができる。
【0058】
検出器306は第1のセンサ308および第2のセンサ310を含むが、いくつかの実施形態では、検出器は追加のセンサを含むことができることに留意されたい。また、第1のセンサ308および第2のセンサ310として、様々な異なる種類の装置を実装できることに留意すべきである。例えば、第1のセンサ308および第2のセンサ310は各々、シリコンフォトマルチプライヤ(SiPM)で実装することができる。他の実施形態では、第1のセンサ308および第2のセンサ310は、アバランシェフォトダイオードおよびPINフォトダイオードを含むフォトダイオードを注入することができる。
【0059】
第1のセンサ308および第2のセンサ310は、キャンセル回路314および検出回路316に接続されている。この実施形態では、キャンセル回路314および検出回路316は共に、走査野内の物体を感知するための感知回路を提供する。
【0060】
具体的には、キャンセル回路314は、第1のセンサ308および第2のセンサ310の両方に結合されており、センサで受信された後方反射の影響を少なくとも部分的に相殺して、走査野内の物体を示す出力信号を生成するように構成される。具体的には、第1のセンサ308および第2のセンサ310は各々出力を生成し、キャンセル回路は、第1のセンサ308の出力から第2のセンサ310の出力を減算する減算装置を備える。これにより、後方反射の影響が低減された信号が得られる。これをさらに容易にするために、キャンセル回路314はまた、第1のセンサ308の出力からの第2のセンサ310の出力の減算を較正するための第1の較正回路を含むことができる。
【0061】
減算装置の出力は、検出回路316に結合されている。一般に、検出回路316は、キャンセル回路314の出力が、走査野内の物体からのレーザ光パルス反射の検出を示す閾値レベルを上回ったときを判定する。一実施形態では、検出回路316は、利得段増幅器および比較器を含む。一実施形態では、検出回路316はまた、走査野内の物体の検出のための閾値を較正するための第2の較正回路を含む。キャンセル回路および検出回路の詳細な例は、図5を参照して以下により詳細に説明される。
【0062】
短距離センサ312は、追加の短距離検出を提供するために実装される。具体的には、短距離センサ312は、第1のセンサ308および第2のセンサ310よりも短い範囲で物体検出を提供する。例えば、短距離センサ312は、装置から2メートル未満の焦点に集束され、2メートルの被写界深度を有する光学系で構成することができる。一具体例として、短距離センサ312は、0.1~2メートルの焦点動作距離を提供するために、1.1メートルの焦点面および2メートルの被写界深度を有することができる。
【0063】
さらに、いくつかの実施形態では、短距離センサ312は、非常に短距離の感知においてより効果的な異なるタイプのセンサで実装することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1のセンサ308および第2のセンサ310は飽和し、非常に近い物体の存在によって生成される強い反射によって一時的に見えなくなる可能性がある。これは、第1のセンサ308および第2のセンサ310が比較的高感度のSiPMセンサで実装される場合に特に当てはまる。この問題に対処するために、短距離センサ312は、フォトダイオードまたは走査野内の非常に近い物体の存在によって飽和する可能性が低い他のタイプのセンサで実装することができる。したがって、短距離センサ312は、非常に近い物体(例えば、1メートル未満)の物体検出の信頼性を高めることができ、一方、第1のセンサ308および第2のセンサ310は、より近い範囲(例えば、1~6メートル)の物体の検出を提供する。
【0064】
ここで図4を参照すると、走査レーザ装置400の一部のより詳細な例が示されている。図4に示す走査レーザ装置400の部分は、検出器406を含む。図4には、レーザ光源および光学アセンブリ(任意のビーム整形光学系、走査ミラー、拡張光学系、または出力光学系を含む)は示されていない。前の例と同様に、レーザ光源は、走査ミラーおよび他の光学アセンブリ要素によって走査野に走査されるレーザ光のパルスを生成する。検出器406は、走査野内の物体からレーザ光パルスの反射を受信するように構成される。これらの受信された反射は、走査野内の物体を検出するために使用され、いくつかの実施形態では、TOF測定値を使用して、各点における表面の深度を記述する3次元点群を生成することができ、したがって、物体表面の深度マップを生成するために使用することができる。
【0065】
図4に示す走査レーザ装置400の部分は、第1のビームスプリッタ410、ミラー412、バンドパスフィルタ414、集束レンズ416、第2のビームスプリッタ418、開口部420A~420C、光パイプ422A~422C、第1のセンサ424A、第2のセンサ424B、第3のセンサ424C、および短距離センサ426を含む。
【0066】
一般に、第1のビームスプリッタ410は、走査野から戻ってくるレーザ光パルスの反射を導き、それらの反射を検出器406に向けるように機能する。一実施形態では、第1のビームスプリッタは、レーザ光パルスを検出器406に反射するようにコーティングされた上部および底部と、レーザ光源からのレーザ光が光学アセンブリを通過することを可能にする中央部とを有するピックオフミラーを備える。他の実施形態では、第1のビームスプリッタ410は、入射光の一部を透過し、残りを反射する部分反射器である。さらに別の実施形態では、第1のビームスプリッタ410は、パルスレーザビームを(第1の偏光で)透過し、異なる偏光の受信光を取り出す偏光ビームスプリッタを組み込んでもよい。
【0067】
第1のビームスプリッタ410によって取り出される走査野からの反射はミラー412に向けられ、そこでバンドパスフィルタ414および集束レンズ416に反射される。一般に、バンドパスフィルタ414は、非レーザ光をフィルタリング除去し、それがセンサに到達するのを防止するように構成される。例えば、バンドパスフィルタ414は、IR帯域の光のみをセンサ424A~424Cに通過させるように実装することができる。
【0068】
集束レンズ416は、所望の範囲の走査野を第1のセンサ424A上に撮像するように機能する。具体的には、走査野内のその範囲内の物体からの反射は、第2のビームスプリッタ418から反射し、開口部420Aに集束される。特に、光学アセンブリの内側からの後方反射は、開口部420Aに集束されず、したがって、3つの開口部420A~420Cすべてにわたって広がる。
【0069】
一般に、開口部420A~420Cは、レンズ416の焦点となるように設けられる。次いで、開口部420A~420Cは、センサ424A~424Cの視野を決定する。この実装は、センサ424A~424Cの各々の視野を垂直方向および水平方向に別々に画定することを可能にする。
【0070】
一実施態様では、第1の開口部420Aは、センサ424B~424C上の散乱のより良好な平均化を得るために、他の2つの開口部420B~420Cよりも小さい。具体的には、より大きな開口部420B~420Cは、より大きな視野を提供し、したがって、後方反射の小さな変化に対する感度がより低い。
【0071】
光パイプ422A~422Cは、受信した光をセンサ424A~424Cの感知領域に拡張して充満させながら、受信した光をそれぞれのセンサに導くように実装される。これにより、センサ424A~424Cの有効ダイナミックレンジを増加させることができる。一例として、光パイプ422A~422Cは、任意の適切な光学プラスチックで実装することができる。
【0072】
一具体的実施態様では、集束レンズ416は、装置から2~6メートルの動作距離を有するように実装される。したがって、その動作距離内の物体からの反射は、第2のビームスプリッタ418から反射し、開口部420Aに集束される。開口部420Aで受信されたこれらの集束反射は拡張し、光パイプ422Aを通って第1のセンサ424Aの感知領域に導かれる。したがって、第1のセンサ424Aは、集束レンズ416、第2のビームスプリッタ418、開口部420Aおよび光パイプ422Aの配置を通って2~6メートルの選択された範囲で表面から反射するレーザ光パルスと光学的に位置合わせされる。
【0073】
特に、開口部420B~420C、光パイプ422B~422C、ならびに第2のセンサ424Bおよび第3のセンサ424Cは、これらの範囲においてレーザ光パルスと光学的に位置合わせされず、したがって、走査野からの有意な反射を受信しない。例えば、第2のセンサ424Bおよび第3のセンサ424Cは、第2のセンサ424Bおよび第3のセンサ424Cが各々、第1のセンサ424Aと比較して走査野内の物体からの反射エネルギーの10%未満を受信するように、第1のセンサ424Aと比較して光学的位置合わせの差を有することができる。別の実施形態では、第2のセンサ424Bおよび第3のセンサ424Cは、第2のセンサ424Bおよび第3のセンサ424Cが各々、第1のセンサ424Aによって受信された走査野内の物体からの反射エネルギーの5%未満を受信するように、第1のセンサ424Aと比較して光学的位置合わせの差を有することができる。一例では、開口部420B~420Cおよびセンサ424B~424Cは各々、この結果を容易にするために、開口部420Aおよびセンサ424Aと比較して1~3度の光学的位置合わせの差を有することができる。そのような実施形態では、この光学的位置合わせの差は、レンズ416のレンズ軸に対する開口部420B~420Cの異なる位置によって引き起こされる。同様に、センサ424B~424Cの視野サイズは、開口部420B~420Cのサイズによって決定される。
【0074】
しかしながら、光学アセンブリ(任意のビーム整形光学系、走査ミラー、拡張光学系、または出力光学系からの反射を含む)の内側からの後方反射は、開口部420A~420Cに集束されず、したがって、後方反射は、3つすべての開口部420A~420Cにわたって広がる。したがって、3つのセンサ422A~422Cはすべて、必ずしも等しい量ではないが、後方反射を受信する。別の言い方をすれば、後方反射は動作距離外の物体から来るので、開口部420A~420Cで焦点が合っておらず、代わりに開口部420A~420Cのすべてにわたってぼやけている。
【0075】
短距離センサ426は、センサ424A~424Cよりも短い範囲で感知を提供するように実装される。一例として、短距離センサ426は、0.1~2メートルの動作距離を有するように実装される。
【0076】
第2のビームスプリッタ418は、非常に近い物体(例えば、2メートルより近い物体)から反射する光が第2のビームスプリッタ418を通過して短距離センサ426に至る一方で、より遠い物体(例えば、2~6メートルの物体)から反射する光が開口部420A~420Cに向かって反射されるように、近遠ビームスプリッタとして実装される。例えば、第2のビームスプリッタ418は、入射光の90%を反射し、入射光の10%を透過する誘電体コーティングで実装することができる。
【0077】
一実施形態では、第1のセンサ424A、第2のセンサ424B、および第3のセンサ424Cは、高感度を容易にするためにSiPMで実装され、一方、短距離センサ426は、非常に近い物体によって引き起こされる過飽和を回避するためにフォトダイオードで実装される。
【0078】
そのように構成されると、第1のセンサ424A、第2のセンサ424B、および第3のセンサ424Cは、光学アセンブリ内からの後方反射の影響の少なくとも部分的な相殺を促進するように構成される。具体的には、第1のセンサ424Aは、走査野内の物体からレーザ光パルスの反射を受信し、光学アセンブリ内の要素からレーザ光パルスの後方反射をさらに受信するように構成される。第2のセンサ424Bおよび第3のセンサ424Cは、光学アセンブリ内からレーザ光パルスの後方反射を受信する一方で、走査野内の物体からの有意な反射を受信しないように構成される。したがって、3つのセンサ424A~424Cはすべて、光学アセンブリ内からの後方反射を受信するように構成され、一方、第1のセンサ424Aのみが走査野内の物体からの有意な反射を受信する。
【0079】
様々なセンサ424A~424Cおよび426は、走査野内の物体を感知するための感知回路に結合されている。感知回路は、センサで受信された後方反射の影響を少なくとも部分的に相殺して、走査野内の物体を示す出力信号を生成するためのキャンセル回路を含む。一例では、キャンセル回路は、第1のセンサ424Aの出力から第2のセンサ424Bおよび第3のセンサ424Cの出力を減算するように構成された減算装置を備える。これにより、後方反射の影響が低減された信号が得られる。キャンセル回路の出力は、検出回路に送ることができる。同様に、短距離センサ426の出力は検出回路に送られる。次いで、検出回路は、キャンセル回路の出力または短距離センサ426の出力が、走査野内の物体からのレーザ光パルス反射の検出を示すときを判定することができる。
【0080】
ここで図5を参照すると、例示的な感知回路500の詳細な回路図が示されている。一般に、感知回路500は、例示的な走査レーザ装置(例えば、走査レーザ装置100)で使用されるキャンセル回路、検出回路、および較正回路を提供する。図5に示す感知回路500は、トランスインピーダンス増幅器(TIA)510および512、減算装置514、利得段増幅器516、比較器518、可変インピーダンス520、閾値調整器522、および増幅器524を含む。トランスインピーダンス増幅器510および512の入力は、それぞれ第1のセンサおよび第2のセンサの出力に結合されている。コントローラ526は、制御信号を可変インピーダンス520および閾値調整器522に提供する。比較器518の出力は、感知回路500の出力を提供し、飛行時間(TOF)回路、短距離検出回路、仮想保護ハウジング回路などを含む、検出された反射を利用する任意の装置に結合することができる。
【0081】
感知回路500は、第1のセンサおよび第2のセンサに接続されている。上述したように、第1のセンサおよび第2のセンサは、シリコンフォトマルチプライヤー(SiPM)、フォトダイオード、または任意の他の適切な検出装置で実装することができる。そのようなセンサは、典型的には、特定の波長の受信光の光子エネルギーに比例する電流を有する出力信号を生成するように構成される。例えば、これらのセンサは、IR光の光エネルギーに比例する電流を有する出力信号を生成するように実装することができる。これらのセンサは、センサの動作を制御するための適切なバイアス電圧回路で実装することができる。
【0082】
上述したように、一実施形態では、第1のセンサは、走査野内に走査されるレーザ光パルスと光学的に位置合わせされる第1のセンサ視野を有する。したがって、第1のセンサは、光学アセンブリを介して走査野内の物体からレーザ光パルスの反射を受信し、光学アセンブリ内の要素からレーザ光パルスの後方反射をさらに受信する。これに応答して、第1のセンサは、走査野内からの受信した反射における反射エネルギーに、受信した後方反射における反射エネルギーを加えたものに比例する第1のセンサ出力信号を生成する。逆に、第2のセンサは、走査野内に走査されるレーザ光パルスと光学的に位置合わせされない第2の視野を有する。したがって、第2のセンサは、光学アセンブリ内からレーザ光パルスの後方反射を受信する一方で、走査野内の物体からの有意な反射を受信しない。これに応答して、第2のセンサは、受信した後方反射における反射エネルギーに比例する第2のセンサ出力信号を生成する。
【0083】
感知回路500の動作中、第1のセンサ出力信号は第1のトランスインピーダンス増幅器510に結合され、第1のトランスインピーダンス増幅器は、出力信号を電流信号から電圧信号に変換する。同様に、第2のセンサからの第2のセンサ出力信号は第2のトランスインピーダンス増幅器512に結合され、第2のトランスインピーダンス増幅器は、出力信号を電流信号から電圧信号に再び変換する。いずれの場合も、変換の利得は、トランスインピーダンス増幅器の関連するインピーダンスによって部分的に決定される。したがって、第2のトランスインピーダンス増幅器512のための変換の利得は、可変インピーダンス520の状態によって部分的に決定される。
【0084】
トランスインピーダンス増幅器510および512の電圧信号出力は、減算装置514に送られる。減算装置514は、増幅器510の出力信号から増幅器512の出力信号を減算することによって、2つの電圧信号を結合する。上述したように、第1のセンサおよび第2のセンサの構成のために、この減算は、結果として生じる信号からの影響を少なくとも部分的に相殺することによって後方反射の影響が低減された結果として生じる信号を生成する。
【0085】
得られた信号は、増幅のために利得段増幅器516に送られる。増幅信号は比較器518に送られ、比較器は増幅信号を閾値と比較して、増幅信号が閾値を超えているときにアサートされ、そうでなければアサートされないデジタルパルス信号を生成する。以下でより詳細に説明するように、この変換で使用される閾値は、較正中に決定することができる。
【0086】
上述したように、可変インピーダンス520は、第2のセンサ出力信号の変換利得を制御し、したがって、第1のセンサの感知出力からの後方反射の影響の相殺を較正するために使用することができる。いくつかの実施形態では、この較正は、工場でまたは初期設定中に1回実行することができる。例えば、この較正は、物体が感知領域内にないことが分かっているときに初期較正設定中に実行することができ、両方のセンサで受信されるすべての光は、光学アセンブリ内からの後方反射の結果である。他の実施形態では、較正を必要に応じて繰り返すことができる。
【0087】
同様に、閾値調整器522および増幅器524は、デジタルパルス信号を生成するために比較器518によって使用される閾値を較正するために使用される。ここでも、いくつかの実施形態では、この較正は、初期設定中に1回実行することができる。他の実施形態では、この較正を必要に応じて繰り返すことができる。例えば、この較正を繰り返して、センサ上の周囲光または汚れの異なるレベルの閾値を調整することができる。
【0088】
一具体例では、初期較正中、第2のセンサ出力信号の変換の利得は、利得段516および比較器518に入る信号を最小にして、第1のセンサの出力からの後方反射の結果を相殺するように設定される。これにより、比較器518の閾値を比較的低く設定することができるため、高い感度を得ることができる。次いで、使用中に、周囲光および他の条件の変化に対して閾値を調整することができる。したがって、2つの較正を併用することにより、高感度および変化する条件に対応することができる。
【0089】
感知回路500は2つのセンサのみに結合されている増幅器を示しているが、回路500は追加のセンサを伴う実装のために拡張され得ることに留意されたい。例えば、第3のセンサを実装して、後方反射を検出することもできる(例えば、図4の第3のセンサ424C)。その用途では、可変インピーダンスを有する第3のトランスインピーダンス増幅器を使用して第3のセンサの出力を変換することができ、第3のセンサの変換された出力はまた、減算装置514または他の減算装置において第1のセンサの出力から減算される。
【0090】
さらに、感知回路500は、別個のチャネルで短距離センサ(例えば、図4の短距離センサ426)からの出力信号を受信するように拡張することができる。この別個のチャネルは、典型的には、第1のセンサの出力から減算される信号を生成しない。代わりに、この別個のチャネルは、典型的には、独立した検出を提供するためにそれ自体の増幅器、利得段および比較器を含む。
【0091】
ここで図6および図7を参照すると、走査レーザ装置600の側面図および上面図が示されている。一実施形態では、走査レーザ装置600は、物体検出および/または3Dマップ生成に使用される光LiDARシステムである。走査レーザ装置600は、レーザ光源602および光学アセンブリ604を含む。光学アセンブリ604は、本明細書に記載の実施形態によるLiDARまたは他の走査レーザ装置(例えば、走査レーザ装置100)で使用することができるタイプの光学アセンブリの一例である。したがって、光学アセンブリ604は、走査を容易にするために使用される様々な光学要素を含む。図6および図7は簡略化された例であり、したがって、完全に実装された走査レーザ装置または光学アセンブリの要素または特徴のすべてを示しているわけではないことに留意されたい。
【0092】
図2に示す光学アセンブリ604は、ビーム整形光学系614、第1のプリズム616、第1の走査ミラーアセンブリ617、第1の走査ミラー618、3つの拡張レンズ620、622、624を含む拡張光学系、第2のプリズム626、第2の走査ミラーアセンブリ627、および第2の走査ミラー628を含む。
【0093】
走査レーザ装置600の動作中に、レーザ光源602はレーザ光パルスを生成し、レーザ光パルスは、光学アセンブリ604によって走査野(例えば、走査野114)上の走査軌跡(例えば、パターン112)に走査される。例えば、レーザ光源602は、電界効果トランジスタ(FET)によって駆動されてIRレーザ光パルスを生成する1つまたは複数の赤外線(IR)レーザを備えることができる。
【0094】
一般に、複数のIRレーザ光源からのパルスは、ビーム整形光学系614および関連する光学要素によって最初に結合および整形される。したがって、ビーム整形光学系614は、レーザ光パルスのビーム形状を変更するための任意の光学系を含むことができる。例えば、ビーム整形光学系614は、コリメートレンズ、偏光結合器、発散を改善するためのアナモルフィックプリズム対、および他のそのような要素を含むことができる。一実施形態では、短距離パルス検出用に構成された検出器(図5および図6には図示せず)に反射を向けるために、ピックオフビームスプリッタまたはプリズム603がビーム整形光学系614内に実装される。検出器は、上述の実施形態(例えば、検出器106、306、406)のいずれかとして実装することができる。特定の一実施形態では、ピックオフビームスプリッタまたはプリズム603は図4に示す第1のビームスプリッタ410に対応し、検出器は検出器406に対応する。
【0095】
ビーム整形光学系614の出力は、第1の走査ミラー618までビームを蹴り上げる第1のプリズム616に送られる。この図示の実施形態では、第1の走査ミラー618は水平走査運動を提供し、第2の走査ミラー628は垂直走査運動を提供する。さらに、この例では、第1の走査ミラー618は、比較的遅い走査速度で走査運動を提供するように駆動され、第2の走査ミラー628は、比較的遅い走査速度で運動を提供するように駆動される。しかしながら、これらは単なる例であり、他の実装も可能である。合わせて、この走査ミラー運動により、レーザ光パルスが走査軌跡パターン(例えば、パターン112)に走査される。ここでも、走査レーザ装置の90度の回転が水平軸および垂直軸を効果的に切り替えるので、本明細書で使用される「垂直」および「水平」というラベルは幾分任意であることに留意されたい。
【0096】
第1の走査ミラー618の出力は、拡張光学系を共に提供する3つの拡張レンズ620、622、624に送られる。一般に、拡張光学系は、走査野を水平方向に拡張するように実装される。
【0097】
具体的には、この図示の例では、3つの拡張レンズ620、622、624は、水平方向に不均一な拡張を提供しながら、第1の走査ミラー618の出力を第2の走査ミラー628に結像するように実装される。一具体的として、第1の走査ミラー618は、水平方向に40度の走査角を提供するように実装されてもよく、拡張レンズ620、622、624は、走査角を110度に拡張する不均一な拡張を提供するように実装されてもよい。
【0098】
上述したように、拡張レンズ620、622、624は、不均一な水平拡張を提供するように実装することができる。一般に、不均一な拡張は、拡張光学系が走査野内のIRレーザ光パルスの第1の軸に沿った位置に対して光学的拡張の不均一な変動を提供するものである。例えば、拡張量は、横軸に沿って不均一に増加または減少し得る。
【0099】
一具体例では、3つの拡張レンズ620、622、624は、第1の走査ミラー618の出力を第2の走査ミラー628に結像する4F光学系を実装する。具体的には、3つの拡張レンズ620、622、624は、第1の走査ミラー618から来る角度に応じて変化する倍率を有する4F光学系を提供する。これらの3つの拡張レンズ620、622、624の結果として、第1の走査ミラー618によって提供される放出走査角の光学的拡張の不均一な変化がもたらされる。第2のプリズム626は、第3の拡張レンズ624の出力を受信し、第2の走査ミラー628にビームを向ける。
【0100】
上述したように、走査レーザ装置の動作中の1つの問題は、光学アセンブリ604内の様々な要素が望ましくない後方反射を生成する可能性があることである。例えば、レーザビームパルスがビーム整形光学系614、第1のプリズム616、第1の走査ミラー618、3つの拡張レンズ620、622、624、第2のプリズム626および第2の走査ミラー628に衝突すると、鏡面反射および散乱後方反射の両方の形態の後方反射が生成され得る。いずれの場合も、望ましくない後方反射の一部が検出器に反射され、走査野内の物体からの低エネルギー反射の検出を妨げる可能性がある。
【0101】
本明細書に記載の実施形態は、複数のセンサを使用してこれらの後方反射の影響を少なくとも部分的に相殺する検出器(例えば、検出器106、306、406)を提供する。複数のセンサは、レーザ光パルスを走査するためにも使用される同じ光学アセンブリ604を介して反射を受信し、複数のセンサは、後方反射の影響を少なくとも部分的に相殺するために使用されるので、複数のセンサを使用する検出器の使用は、走査レーザ装置におけるレーザ光検出の感度および信頼性の両方を改善することができる。さらに、この特徴の組み合わせを使用して、低エネルギー光パルスおよび様々な走査レーザ装置用途においてレーザの安全性を高めることができる短距離検出モードの使用を提供することができる。
【0102】
ここで図8を参照すると、様々な実施形態による走査光検出および測距(LiDAR)システム800が示されている。LiDARシステム800は、本明細書に記載の実施形態によって実装することができるタイプの走査レーザ装置の別の例である。システム800は、パルス生成回路890、赤外線(IR)レーザ光源830、走査ミラー816を有する走査ミラーアセンブリ814、ならびにミラー駆動制御回路854を含む。システム800はまた、第1の赤外線(IR)検出器842、第1の飛行時間(TOF)測定回路844、3次元点群記憶回路886、第1の比較器848、および仮想保護ハウジング回路880を含む。システム800はまた、第2のIR検出器1842、第2のTOF測定回路1844、および第2の比較器1848を含む。以下により詳細に説明するように、第2のIR検出器1842は、冗長な短距離検出を提供するために実装することができる。また、本明細書に記載の実施形態によれば、この第2のIR検出器1842は、走査ミラー816を含む光学アセンブリによる後方反射の影響を少なくとも部分的に相殺するように複数のセンサで実装することができる。
【0103】
レーザ光源830は、レーザビームパルス862を放出することができるレーザダイオードなどのレーザ光源であってもよい。ビームパルス862は、いくつかの実施形態では微小電気機械システム(MEMS)ベースのスキャナなどの一部である走査ミラーアセンブリ814に衝突し、走査ミラー816から反射して制御された出力ビームパルス134を生成する。いくつかの実施形態では、光学要素は、レーザ光源830とミラー816との間の光路に含まれる。例えば、システム800は、コリメートレンズ、ダイクロイックミラー、拡張光学系、または任意の他の適切な光学要素を含むことができる。また、上述したように、走査ミラー、拡張光学系、および他の要素は、システム800の動作中にレーザ光パルスの第2のIR検出器1842への後方反射を引き起こすことができる。
【0104】
走査ミラー駆動制御回路854は、出力ビームパルス134が走査野828内の走査軌跡840を横切るように走査ミラー816の角運動を制御するための1つまたは複数の駆動信号855を提供する。動作中、レーザ光源830は、非可視スペクトルの変調光パルスを生成し、走査ミラー816は、ビーム834が走査軌跡840を横切る際に光パルスを反射する。
【0105】
いくつかの実施形態では、走査軌跡840は、水平軸上の鋸歯状成分と垂直軸上の正弦波成分とを組み合わせることによって形成される。またさらなる実施形態では、水平掃引も正弦波である。本発明の様々な実施形態は、垂直および水平掃引または結果として生じる走査軌跡パターンを制御するために使用される波形によって限定されない。一方の軸(例えば、水平)は低速走査軸であり、他方の軸は高速走査軸である。
【0106】
走査ミラー816は、2軸で走査する単一のミラーとして示されているが、これは本発明の限定事項ではない。例えば、いくつかの実施形態では、ミラー816は、一方の軸における一方の走査と、第2の軸における第2の走査との、2つの別個の走査ミラーで実装される。
【0107】
いくつかの実施形態では、走査ミラー816は、ミラー偏向の角度位置または角度範囲(一方または両方の次元)を検出するための1つまたは複数のセンサを含む。例えば、いくつかの実施形態では、走査ミラーアセンブリ814は、高速走査軸上のミラーの偏向に比例する電圧を供給するピエゾ抵抗センサを含む。さらに、いくつかの実施形態では、走査ミラーアセンブリ814は、低速走査軸上のミラーの偏向に比例する電圧を供給する追加のピエゾ抵抗センサを含む。ミラー位置情報は、ミラー駆動制御回路854に、1つまたは複数のSYNC信号815として戻される。これらの実施形態では、ミラー駆動制御回路854は、ミラーの測定された角度偏向に応答して駆動信号を修正するための1つまたは複数のフィードバックループを含む。さらに、いくつかの実施形態では、ミラー駆動制御回路854は、SYNC信号に基づいて走査ミラーの瞬時角度位置を推定する1つまたは複数の位相ロックループ回路を含む。
【0108】
ミラー駆動制御回路854は、位相ロックループ(PLL)、フィルタ、加算器、乗算器、レジスタ、プロセッサ、メモリ等の機能回路を使用して実装されてもよい。したがって、ミラー駆動制御回路854は、ハードウェア、ソフトウェア、または任意の組み合わせで実装されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、制御回路854は、特定用途向け集積回路(ASIC)に実装される。さらに、いくつかの実施形態では、より高速なデータ経路制御の一部がASICで実行され、全体的な制御はソフトウェアでプログラム可能である。
【0109】
システム800は、2つのセパレータIR検出器、TOF測定回路、およびIRレーザパルスを検出するための比較器を含む。具体的には、システム800は、第1のIR検出器842および第2のIR検出器1842を含む。一般に、第1のIR検出器842は、短距離パルスおよび長距離パルスの両方からの反射を検出するように実装され、一方、第2のIR検出器は、目の安全性を高めるために低電力短距離パルスからの反射の冗長な検出を提供する。
【0110】
第1のIR検出器842は、IRレーザ光パルスの反射を検出することができる1つまたは複数の感光装置を含む。例えば、第1のIR検出器842は、1つまたは複数のPINフォトダイオード、シリコンフォトマルチプライヤー(SiPM)、アバランシェフォトダイオード(APD)等を含んでもよい。IRレーザ光パルスで照射される視野内の各点(本明細書では「測定点」と呼ばれる)は、入射光のいくらかの量を第1のIR検出器842に反射して戻してもそうしなくてもよい。第1のIR検出器842が反射を検出した場合、IR検出器842は信号843を第1のTOF測定回路844に提供する。
【0111】
第1のTOF測定回路844は、IRレーザ光パルスの飛行時間(TOF)を測定して、視野内の物体までの距離を決定する。いくつかの実施形態では、仮想保護ハウジング回路880は、特定のIRレーザ光パルスの放出時間に対応するタイミング信号(図示せず)を第1のTOF測定回路844に提供し、第1のTOF測定回路844は、パルスの放出と同パルスの反射の受信との間の経過時間を決定することによってIRレーザ光パルスのTOFを測定する。
【0112】
第1のTOF測定回路844は、任意の適切な回路を使用して実装されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1のTOF測定回路844は、IRパルスが発射されるとリセットされ、反射パルスが受信されると停止されるアナログインテグレータを含む。第1のTOF測定回路844はまた、アナログインテグレータ出力を、IRレーザパルスの飛行時間(TOF)に対応するデジタル値に変換するためのアナログ-デジタル変換器を含んでもよく、これは、システム800と、光パルスが反射された視野内の物体との間の距離に対応する。
【0113】
3次元点群記憶装置846は、ミラー駆動制御回路854からX、Yデータを受信し、第1のTOF測定回路844からノード845上の距離(Z)データを受信する。検出された反射ごとに3タプル(X、Y、Z)が3D点群記憶装置に書き込まれ、その結果、本明細書では「点群」と呼ばれる一連の3D点が得られる。視野内のすべてのX、Y測定点が対応するZ測定値を有するとは限らない。したがって、結果として得られる点群は疎であっても密であってもよい。3D点群に含まれるデータの量は、本発明の限定事項ではない。
【0114】
3次元点群記憶装置846は、任意の適切な回路構造を使用して実装することができる。例えば、いくつかの実施形態では、3D点群記憶装置846は、一方のポートに書き込み、第2のポートで読み取ることができるデュアルポートメモリ装置に実装される。他の実施形態では、3D点群記憶装置846は、汎用メモリ装置内のデータ構造として実装される。さらなる実施形態では、3D点群記憶装置846は、特定用途向け集積回路(ASIC)に実装される。
【0115】
第1の比較器848はノード845上の距離データ(Z)を閾値と比較し、距離が閾値未満である場合、第1の比較器848は、ORゲート882への入力において短距離物体検出信号をアサートする。短距離物体検出信号は、ORゲート882を通ってVPH回路880に進み、「短距離」内の物体の検出を示し、「短距離」はノード847上の閾値の値によって決定される。例えば、閾値が5メートルの距離に対応する値に設定され、検出された距離がその閾値よりも小さい場合、5メートルよりも近い物体が検出され、VPH回路880は、ノード884上の短距離物体検出信号によって通知される。
【0116】
ノード847における閾値および対応する短距離距離は、任意の基準に基づいてVPH回路880によって修正されてもよい。例えば、閾値は、IRレーザパルス出力、パルス持続時間、パルス密度、波長、スキャナ速度、所望のレーザ安全分類などの関数であってもよい。閾値を決定する方法は、本発明の限定事項ではない。
【0117】
第2のIR検出器1842、第2のTOF測定回路1844、および第2の比較器1848は、冗長な短距離物体検出能力を提供するように動作する。冗長な短距離物体検出は、安全性の追加の尺度を提供する。例えば、1つまたは複数のIR検出器、TOF測定回路、または比較器が故障した場合、冗長性は、安全な動作の継続を保証する。
【0118】
なお、第1のIR検出器842と第2のIR検出器1842は、異なる光路を介して反射光パルスを受信する。具体的には、第1のIR検出器842は、835で示される別個の経路に沿って反射光を受信し、第2のIR検出器1842は、光路の少なくとも一部を放出光パルスと共有する。具体的には、走査野からの反射光は、ミラー816、拡張光学系、および光学アセンブリ内の他の要素の少なくともいくつかを通って反射して戻り、経路1835に沿って第2のIR検出器1842に到達する。
【0119】
第2のTOF測定回路1844は、IRレーザ光パルスの飛行時間(TOF)を測定して、第1のTOF測定回路844と同様の方法で視野内の物体までの距離を決定する。したがって、第2のTOF測定回路1844は、第1のTOF測定回路844と同様に、任意の適切な回路を使用して実装されてもよい。
【0120】
同様に、第2の比較器1848は、ノード845上の距離データ(Z)を閾値と比較し、距離が閾値未満である場合、第2の比較器1848は、ORゲート882への入力において短距離物体検出信号をアサートする。やはり、この短距離物体検出信号は、ORゲート882を通ってVPH回路880に進み、「短距離」内の物体の検出を示し、「短距離」はノード1847上の閾値の値によって決定される。例えば、閾値が5メートルの距離に対応する値に設定され、検出された距離がその閾値よりも小さい場合、5メートルよりも近い物体が検出され、VPH回路880は、ノード884上の短距離物体検出信号によって通知される。
【0121】
ここでも、ノード1847における閾値および対応する短距離距離は、任意の基準に基づいてVPH回路880によって修正されてもよい。例えば、閾値は、IRレーザパルス出力、パルス持続時間、パルス密度、波長、スキャナ速度、所望のレーザ安全分類などの関数であってもよい。
【0122】
いくつかの実施形態では、検出およびTOF測定回路の両方は、短距離物体を検出するように動作し、検出およびTOF測定回路の一方のみが、長距離距離を測定する、および/または3Dクラウド記憶装置に書き込むように動作する。例えば、図8によって表される実施形態では、TOF測定回路1844またはTOF測定回路1844のいずれかによって測定された飛行時間は、短距離物体を検出するために使用され得るが、TOF測定回路844によって測定された飛行時間のみが、3D点群をポピュレートするために使用される。
【0123】
VPH回路880は、全体的な動作が目に安全なままであることを可能にするように被ばく放出限界レベルを管理するように動作する。例えば、いくつかの実施形態では、VPH回路880は、ノード885上にパルスエネルギー値を設定することによって、「短距離パルス」または「長距離パルス」が生成されるかどうかを制御する。放出されるパルスエネルギーは、パルス出力、パルス持続時間、またはパルスカウントのうちの1つまたは複数によって制御することができる。
【0124】
VPH回路880はまた、ノード上のタイミング信号857を介して放出されるパルスのタイミングを制御することができる。いくつかの実施形態では、視野内のすべての測定点について、VPH回路880は、パルス生成回路890に信号を送り、仮想保護ハウジングを提供するのに十分な距離まで非常に高い信頼度で物体を検出することができる短距離パルスを生成する。本明細書で使用される場合、「短距離パルス」という用語は、非常に短距離で目に安全であると考えられるパルスを指す。例えば、いくつかの実施形態では、短距離IRレーザ光パルスのエネルギーレベルは、IEC 60825.1のクラス1被ばく放出限界未満に維持されてもよく、それにより、短距離IRレーザ光パルスは、人間の目に損傷を与える危険性なしにすべての測定点で出射され得る。
【0125】
物体が短距離距離内で検出された場合、対応する3タプル(X、Y、Z)を3次元点群記憶装置846に書き込むことができ、システム800は、その測定点でいかなるより高いエネルギーパルスも放出しないことによって仮想保護ハウジングを提供する。しかしながら、短距離物体が検出されない場合、システム800は、短距離距離を超える物体を検出するために、より高い総エネルギーの1つまたは複数の「長距離パルス」を放出することができる。例えば、いくつかの実施形態では、システム800は、100ミリメートル(mm)の距離で目に安全であると考えられる短距離IRレーザ光パルスを放出することができ、これは明るい太陽光の中で36メートル(m)で5%の反射ターゲットを検出する50%の確率を有する。この短距離パルスは、12mの距離で10%の反射ターゲットを検出しない確率が100億分の1であり得る。また、例えば、システム800は、4メートルの距離を超えて目に安全なままでありながら、200mまでの距離の物体を検出することができる長距離パルスを放出することができる。この例では、システム800は、4メートル以内の物体を検出する確率が極めて高い短距離パルスを放出し、次いで、200mで物体を検出することができる長距離パルスを放出することができる。
【0126】
本明細書で使用される場合、「長距離パルス」という用語は、短距離パルスよりも高い総エネルギーを有する1つまたは複数のパルスを指す。例えば、いくつかの実施形態では、単一の長距離パルスが放出されてもよく、単一の長距離パルスは単一の短距離パルスよりも高いエネルギーを有してもよく、他の実施形態では、複数の長距離パルスが放出されてもよく、複数の長距離パルスの総エネルギーは単一の短距離パルスよりも高くてもよい。
【0127】
仮想保護ハウジング回路880は、任意の適切な回路構造を使用して実装することができる。例えば、いくつかの実施形態では、VPH回路880は、短距離物体検出に応答するためにデジタル論理を、そして長距離パルスを放出するために条件付き信号パルス生成回路890を使用して実装された1つまたは複数の有限状態機械を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、VPH回路880は、短距離パルスエネルギー、長距離パルスエネルギー、閾値などのソフトウェアプログラム可能性を提供するためのプロセッサおよびメモリを含むことができる。VPH回路880が実装される方法は、本発明の限定事項ではない。
【0128】
ここで図9を参照すると、本発明の様々な実施形態による短距離パルスおよび長距離パルスが示されている。短距離パルス910および長距離パルス930は、各測定点においてLiDAR(システム800)または他の走査レーザ装置(例えば、走査レーザ装置100)によって放出され得るIRレーザ光パルスの例である。例えば、システムは、短距離パルス910を放出し、次いで、短距離物体が検出されたかどうかに基づいて、条件付きで長距離パルス930のうちの1つまたは複数を放出することができる。図9のプロットの縦軸にはパルス振幅が示され、横軸には時間が示されている。短距離パルス910は、第1の時間に放出されるように示されており、閾値は、第2の時間を表すように示されている。第1の時間と第2の時間との差は、短距離距離を表す。例えば、いくつかの実施形態では、閾値は、実質的に5メートルの短距離距離に対応する約33ナノ秒(ns)に設定される。いくつかの実施形態では、短距離パルス910は、非常に短い距離で目に安全であると考えられるエネルギーレベルを有する。例えば、短距離パルス910は、それが放出されるシステム800から100mmで目に安全であり得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、短距離物体が検出された場合、システムはその測定点に対して長距離パルスを放出せず、検出された距離は3D点群に書き込まれる。一方、短距離物体が検出されない場合、1つまたは複数の長距離パルス930は、被ばく放出限界を目に安全なレベルに維持するように放出される。例えば、短距離パルス910は、短距離距離内で物体を検出する非常に高い確率を提供するエネルギーレベルを有することができ、長距離パルス920は、短距離距離およびそれを超えて目に安全な総エネルギーレベルを有することができる。短距離物体が検出されない場合、長距離パルスが閾値時間の直後に続くことができる。例えば、長距離パルス920は、閾値時間の100ns以内、または133nsで放出されてもよい。閾値および長距離パルスの放出に対応する時間は、所望の短距離距離および処理時間に基づいて様々な実施形態において異なってもよく、本発明の限定事項ではない。
【0130】
いくつかの実施形態では、単一の長距離パルス920が放出され、他の実施形態では、各測定点に対して一連の長距離パルス930が放出される。単一の測定点で放出される長距離パルスの数は、本発明の限定事項ではない。例えば、いくつかの実施形態では、単一の長距離パルスが放出されてもよく、単一の長距離パルスは、短距離パルスよりも高いエネルギーを有する。また、例えば、いくつかの実施形態では、複数の長距離パルスが放出されてもよく、各長距離パルスは、短距離パルスと同じエネルギーレベルを有してもよいが、複数の長距離パルスの総エネルギーは、短距離パルスのエネルギーよりも大きい。
【0131】
任意のエネルギーレベルの任意の数のパルスを使用して、複数の範囲を画定することができる。例えば、短距離は、単一の短距離パルスのエネルギーによって定義されてもよい。また、例えば、中距離は、各々が短距離パルスと同じエネルギーを有する複数のパルスによって画定されてもよく、長距離は、短距離パルスと同じまたはより大きいエネルギーを有する1つまたは複数の長距離パルスによって画定されてもよい。
【0132】
いくつかの実施形態では、短距離パルスはすべての測定点で放出され、他の実施形態では、短距離パルスはすべての測定点で放出されない。例えば、短距離パルスは第1の測定点で放出されてもよく、短距離物体が検出されない場合、1つまたは複数の後続の測定点で、最初に短距離パルスを放出することなく長距離パルスが放出されてもよい。これは、一部には、短距離物体が測定点を占有していない場合、短距離物体はいくつかの後続測定点を占有していないという有効な仮定を可能にするために、測定点が互いに十分に近接して画定され得るため、いくつかの実施形態で可能である。
【0133】
一般に、測定点は、走査レーザ装置が距離を測定する走査軌跡上の点である。例えば、いくつかの実施形態では、LiDARシステムは、物体が短距離距離内にあるかどうかを検出するために各測定点で短距離パルスを放出し、次いで上述のように条件付きで1つまたは複数の長距離パルスを放出する。したがって、本明細書で使用される「測定点」という用語は、空間内の無限に小さい点を指すことを意味するのではなく、むしろ走査軌跡の小さく有限の連続部分を指すことを意味する。具体的には、IRレーザ光ビームは、各測定点における短距離パルスおよび長距離パルスのラウンドトリップ通過時間中に走査軌跡の有限部分を横断する。測定点面積はまた、それが物体に遭遇する距離におけるレーザスポットサイズ(初期サイズおよび発散度)の関数である。したがって、「測定点」は、非常に小さいが領域を包含し、領域のサイズおよび位置は、多くの要因の関数であり得る。
【0134】
本明細書に記載の実施形態は、これらの短距離パルスの信頼できる検出を容易にする。ここでも、上述したように、いくつかの実施形態では、システムは、短距離パルス910を放出し、次いで、短距離物体が検出されたかどうかに基づいて、条件付きで長距離パルス930のうちの1つまたは複数を放出することができる。このようなシステムでは、長距離パルスを一貫して放出して長距離物体検出を提供できるように、短距離パルスの信頼できる検出を容易にすることが望ましい。ここで図8に戻ると、第2のIR検出器1842は、これらの低エネルギー短距離パルスの信頼できる検出を容易にするために、上述の実施形態のいずれか(例えば、検出器106、306、406)に従って実装することができる。
【0135】
したがって、第2のIR検出器1842は、同じ走査ミラーアセンブリ814、ビーム整形光学系、およびレーザ光パルスを走査野内に走査するために使用される他の光学要素の少なくともいくつかを介して反射を受信するように構成された複数のセンサで実装することができる。同じ光学アセンブリがレーザ光反射を受信するために複数のセンサによって使用されるため、複数のセンサが短距離パルスからの反射を受信するのを妨げる損傷または妨害はまた、走査野へのレーザ光パルスの走査を妨害する可能性がある。したがって、第2のIR検出器1842は、走査野内の物体に衝突し、検出器に向かって反射して戻ってきた短距離パルスをより確実に検出することができ、したがって、長距離パルスが安全に放出され得ることを決定するために使用することができる。さらに、第2のIR検出器1842内の複数のセンサは、光学アセンブリ内からの後方反射の影響を少なくとも部分的に相殺するように構成される。光学アセンブリ内からの後方反射の影響を相殺することにより、特に走査野828内からのレーザパルスの低エネルギー短距離反射の検出のための検出器の感度を向上させることができる。
【0136】
ここで図10を参照すると、様々な実施形態による方法のフロー図が示されている。いくつかの実施形態では、方法1000またはその一部は、走査レーザ装置(例えば、図8のLiDARシステム800)によって実行される。他の実施形態では、方法1000は、一連の回路または電子システムによって実行される。方法1000は、方法を実行する特定の種類の装置によって限定されない。方法1000における様々な動作は、提示された順序で実行されてもよく、または異なる順序で実行されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、図4に列挙された、いくつかの動作は方法1000から省略される。
【0137】
方法1000は、短距離パルスエネルギーレベルが設定され、短距離パルスが放出されるブロック1010から開始して示されている。いくつかの実施形態では、これは、パルスエネルギーレベルを、LiDARシステムから特定の距離で目に安全な動作をもたらす値に設定することに対応する。例えば、いくつかの実施形態では、被ばく放出限界が100mmで目に安全な動作をもたらすように、仮想保護ハウジング回路(例えば、図8の仮想保護ハウジング回路880)によって短距離パルスエネルギーレベルを設定することができ、他の実施形態では、被ばく放出限界が100mmを超える最小距離で目に安全な動作をもたらすように、パルスエネルギーレベルを設定することができる。
【0138】
短距離オブジェクトが1020で検出された場合、3次元点(X、Y、Z)は、3次元記憶装置846(図8)などの3次元点群記憶装置に書き込まれ得る。短距離物体が検出されない場合、1040において、1つまたは複数の長距離パルスが送信され得る。上述したように、短距離物体検出は、短距離パルスの反射を検出し、検出された反射の飛行時間を測定し、その飛行時間を閾値と比較することによって達成され得る。短距離距離に対応する閾値の値は、任意の適切な値に設定することができる。
【0139】
1030において、1つまたは複数の長距離パルスが放出される。物体が440で検出された場合、3次元点(X、Y、Z)を3次元点群記憶装置(例えば、図8の3D記憶装置846)に書き込むことができ、処理は、460において次の測定点で継続する。物体が検出されない場合、処理は、点群記憶装置に3次元点を書き込むことなく、1060において次の測定点で継続する。
【0140】
ここで図11を参照すると、グラフは、様々な実施形態による、距離の関数として物体を検出しない確率を示す。確率曲線1110は、パルスエネルギーレベル、物体の反射率、周囲光などを含む多くのパラメータに基づいて左または右にシフトすることができる典型的な曲線である。例えば、非常に明るい太陽光では、100mmで目に安全な短距離パルスは、20mで20%の反射率を有する物体を検出しない確率が10-10であり得る。これにより、より近い距離で物体を検出しない確率がさらに低くなるため、この同じシナリオでは、5mで目に安全な長距離パルスは、非常に堅牢な仮想保護ハウジングを提供する。
【0141】
いくつかの実施形態では、短距離距離に対応する閾値および長距離パルスのエネルギーレベルは、短距離距離および長距離パルスの最小目安全距離が等しくなる値に設定される。他の実施形態では、短距離距離に対応する閾値および長距離パルスのエネルギーレベルは、短距離距離が長距離パルスの最小目安全距離よりも大きくなる値に設定される。
【0142】
ここで図12を参照すると、走査レーザ装置(例えば、走査レーザ装置100)の一用途が示されている。具体的には、図12は、様々な実施形態による、目に安全な走査LiDARシステムを有する移動プラットフォームを示す。自動車1210は、目に安全なLiDARシステム1220が取り付けられている移動プラットフォームである。いくつかの実施形態では、目に安全なLiDARシステム1220は、本明細書で説明する様々な実施形態(例えば、図8のLiDARシステム800または図13のLiDARシステム1300)または本明細書で説明する走査レーザ装置のいずれかを使用して実装される。
【0143】
いくつかの実施形態では、短距離パルスのエネルギーは、LiDARシステムが搭載されているプラットフォームが動いているときに増加する。例えば、自動車1210が閾値を超える速度を有する場合、短距離パルスのエネルギーは、100mmを超える最小距離で被ばく放出限界目安全レベルをもたらすレベルを有することができる。いくつかの実施形態では、被ばく放出限界が目に安全なレベルをもたらす最小距離は、1メートル以上であり得る。また、例えば、短距離パルスのエネルギーは、プラットフォーム速度の増加に伴って増加し得る。いくつかの実施形態では、短距離パルスのエネルギーは、プラットフォームが2.5メートル/秒(m/s)~25m/sの間で加速するにつれて徐々に増加してもよい。
【0144】
短距離パルスのエネルギーレベルを増加させると、短距離内の物体を検出する確率が増加し、および/または物体を検出することができる短距離が増加し得る。図12は、短距離パルスエネルギーの増加の結果としての短距離の増加を示す。
【0145】
いくつかの実施形態では、短距離パルスエネルギーレベルは、被ばく放出限界が短距離(例えば、100mm以下)で目に安全であるように設定され、時間閾値は、物体を検出しない確率が非常に低い値に設定される。次に、移動プラットフォーム(例えば、自動車)の速度が閾値よりも速くない場合、短距離パルスが放出される。代わりに、移動プラットフォームの速度が閾値よりも速い場合、短距離パルスエネルギーレベルと短距離距離に対応する時間閾値とを増加させることができる。いくつかの実施形態では、短距離パルスエネルギーは、1メートルの最小距離で目に安全なレベルをもたらす被ばく放出限界をもたらすレベルまで増加する。他の実施形態では、短距離パルスエネルギーは、1メートル以上または1メートル未満の最小距離で目に安全なレベルをもたらす被ばく放出限界をもたらすレベルまで増加される。
【0146】
いくつかの実施形態では、移動プラットフォームの速度は、LiDARシステム上の速度センサを使用して決定することができる。他の実施形態では、速度情報は、移動プラットフォーム上のセンサ(例えば、自動車上のセンサ)から取得することができる。
【0147】
ここで図13を参照すると、様々な実施形態による走査光検出および測距(LiDAR)システム1300が示されている。LiDARシステム1300は、本明細書に記載の実施形態によって実装することができるタイプの走査レーザ装置の別の例である。LiDARシステム1300は、VPH回路1384、パルス生成回路1390、3次元点群記憶装置1346、ORゲート1380、および制御回路1354を備える。LiDARシステム1300はまた、送信モジュール1310、受信モジュール1330、TOFおよび短距離検出回路1340、ならびにTOFおよび短距離検出回路1350を含む。
【0148】
特に、LiDARシステム1300は、IRレーザパルスの反射を検出するための2つの別個のIR検出器ならびにTOFおよび短距離検出回路を含む。具体的には、受信モジュール1330は、短距離パルスおよび長距離パルスの両方からの反射を検出するように実装された第1のIR検出器を含み、送信モジュール1310は、目の安全性を高めるために低電力短距離パルスからの反射の冗長な検出を提供する第2のIR検出器を含む。また、以下でより詳細に説明するように、第2の検出器は、送信モジュール1310内からの後方反射の影響を少なくとも部分的に相殺するために複数のセンサで実装することができる。
【0149】
送信モジュール1310は、パルスレーザビームを生成するためのIRレーザ光源と、コリメート光学系および集束光学系と、視野内でパルスレーザビームを2次元で走査するために光学アセンブリ内にともに実装された1つまたは複数の走査ミラーアセンブリとを含む。送信モジュール1310はまた、放出されたIRレーザ光パルスと光路を共有するIRレーザ光検出器を含む。送信モジュールの例示的な実施形態は、後の図を参照して以下でより完全に説明される。
【0150】
受信モジュール1330は、光学装置と、視野からの反射光を含まれるIR光検出器に向けるために2次元で走査するための1つまたは複数の走査ミラーアセンブリとを含む。受信モジュールの例示的な実施形態は、後の図を参照して以下でより完全に説明される。
【0151】
TOFおよび短距離検出回路1340、1350は、TOF測定回路および比較器を含む。例えば、TOFおよび短距離検出回路1340は、TOF回路1844および第2の比較器1848を含んでもよく、TOFおよび短距離検出回路1350は、TOF測定回路844および比較器848(図8)を含んでもよい。
【0152】
制御回路1354は、図8を参照して上述したように、送信モジュール1310内の走査ミラーの動きを制御する。制御回路1354はまた、受信モジュール1330内の走査ミラーの動きを制御する。動作中、制御回路1354は、送信モジュール1310からミラー位置フィードバック情報(図示せず)を受信し、受信モジュール1330からもミラー位置フィードバック情報(図示せず)を受信する。ミラー位置フィードバック情報は、ミラーの動作を位相ロックするために使用される。
【0153】
制御回路1354は、駆動信号1345で送信モジュール1310内の走査ミラーを有する微小電気機械(MEMS)アセンブリを駆動し、また、駆動信号1347で、受信モジュール1330内の走査ミラーを有するMEMSアセンブリを駆動して、走査軌跡1342ならびに走査野1328のサイズおよび位置を定義するミラー偏向の角度範囲を通してミラーを移動させる。送信走査と受信走査との同期は、受信開口部が、送信されたエネルギーが送信された視野の部分からの光子のみを受け入れることを可能にする。これにより、周囲光ノイズに対する耐性が顕著になる。
【0154】
図13に示すように、2次元走査は、第1の次元(垂直、高速走査方向)および第2の次元(水平、低速走査方向)で実行される。装置を90度回転させると水平軸と垂直軸が切り替わるので、「垂直」および「水平」というラベルは幾分任意である。
【0155】
また、特に図13の例では、走査軌跡1342は、光学的拡張の不均一な変化を伴って水平軸に沿って拡張する。そのような拡張は、上述のように拡張光学系を使用することによって実施することができる。例えば、図6および図7の3つの拡張レンズ620、622、624は、システム1300に実装することができる。そのような実施態様では、拡張光学系は送信モジュール1310内に実装され、レーザ光がパルスして走査野1328内に走査されるときに水平方向の不均一な拡張を提供する。図6および図7に示すように、これらの3つの拡張レンズは、第1の走査ミラー618と第2の走査ミラー628との間に実装することができる。同様に、そのような実施形態では、対応する光学系(すなわち、走査ミラーおよび拡張光学系)が受信モジュール1330に実装されて、走査野1328からのレーザ光パルスの受信反射のための光学拡張の対応する不均一な低減を提供する。
【0156】
また、上述したように、送信モジュール1310は、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる第2のIR検出器(例えば、検出器106、306、406)で実装することができる。したがって、第2のIR検出器は、光路の少なくとも一部をレーザビームパルスと共有するように実装することができる。具体的には、第2のIR検出器は、同じ走査ミラー、ビーム整形光学系、およびレーザ光パルスを走査野内に走査するために使用される送信モジュール1310内の他の光学要素の少なくともいくつかを介して反射を受信するように構成された複数のセンサで実装することができる。したがって、第2のIR検出器は、走査野内の物体に衝突し、検出器に向かって反射して戻ってきた任意のレーザ光をより確実に検出することができ、したがって、レーザ安全性を高めるために使用することができる。さらに、第2のIR検出器内の複数のセンサは、光学アセンブリ内からの後方反射の影響を少なくとも部分的に相殺するように構成することができる。光学アセンブリ内からの後方反射の影響を相殺することにより、特に走査野1328内からの短距離レーザ光パルスの低エネルギー反射の検出のための検出器の感度を向上させることができる。
【0157】
ここで図14および図15を参照すると、図14は送信モジュール1400の側面図を示し、図15は上面図を示す。送信モジュール1400は、LiDARシステムにおいて使用され得る送信モジュールの例である(例えば、図10の送信モジュール1310)。送信モジュール1400は、レーザ光源1410、ビーム整形光学装置1420、受信エネルギーピックオフ装置1460、ミラー1462、ビーム整形装置1464、IR検出器1466、スキャナ1428、および出射光学装置1450を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、レーザ光源1410の光源は、赤外(IR)光などの非可視光を生成する。これらの実施形態では、IR検出器1466は、受信モジュール1600内のIR検出器(以下に説明する図16)と同様に、非可視光と同じ波長を検出する。例えば、いくつかの実施形態では、レーザ光源1410は、実質的に905ナノメートル(nm)の波長を有する赤外光を生成するレーザダイオードを含むことができ、IR検出器1466は、実質的に905nmの波長を有する反射光パルスを検出する。また、例えば、いくつかの実施形態では、レーザ光源1410は、実質的に940ナノメートル(nm)の波長を有する赤外光を生成するレーザダイオードを含むことができ、IR検出器1466は、実質的に940nmの波長を有する反射光パルスを検出する。光の波長は本発明の限定事項ではない。本発明の範囲から逸脱することなく、可視または不可視の任意の波長を使用することができる。
【0159】
レーザ光源1410は、パルスレーザビームを生成するのに適した任意の数またはタイプのエミッタを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、レーザ光源1410は、図15に1512、1514、1516、および1518で示す複数のレーザダイオードを含む。レーザ光源1410によって生成されたパルスレーザ光は、ビーム整形光学装置1420によって結合され、コリメートされ、集束されて、パルスレーザビームを生成する。例えば、光学装置1522、1524、1526、1528は、レーザビームを高速軸上でコリメートすることができ、偏光回転子1523およびビーム結合器1520は、レーザビームを結合することができ、光学装置1522は、パルスレーザビームを低速軸上でファンに形成することができる。ビームサイズおよび発散値は、本発明の様々な実施形態にわたって必ずしも均一ではない。いくつかの実施形態はより高い値を有し、いくつかの実施形態はより低い値を有する。
【0160】
スキャナ1428は、光学装置1420からパルスレーザビームを受信し、パルスビームを2次元で走査する。図14および図15によって表される実施形態では、スキャナ1428は、各々が走査ミラー1432、1442を含む2つの別個の走査ミラーアセンブリ1430、1440を含み、各走査ミラーは、ビームを1次元で走査する。例えば、走査ミラー1432は、パルスビームを高速走査方向に走査し、走査ミラー1442は、パルスビームを低速走査方向に走査する。
【0161】
スキャナ1428は、各々が別個の次元で走査する2つの走査ミラーアセンブリを含むように示されているが、これは本発明の限定事項ではない。例えば、いくつかの実施形態では、スキャナ1428は、2次元で走査する単一の2軸走査ミラーアセンブリを使用して実装される。いくつかの実施形態では、走査装置は、MEMSダイおよび永久磁石の小さなサブアセンブリならびに電気的インターフェースを含む小型アセンブリを使用して達成される電磁作動を使用するが、様々な実施形態はこの点に関して限定されない。
【0162】
出射光学装置1450は、走査パルスレーザビームが送信モジュールを出るときに走査パルスレーザビーム上で動作する。いくつかの実施形態では、出射光学装置1450は、場の拡張を実行する。例えば、スキャナ1428は、高速走査軸上で20度の最大角度範囲にわたって走査することができ、低速走査軸上で40度の最大角度範囲にわたって走査することができ、出射光学装置1450は、視野を高速走査軸上で30度および低速走査軸上で120度に拡張することができる。走査ミラーの走査角と出射光学装置1450によって提供される視野拡張の量との間の関係は、本発明の限定事項ではない。
【0163】
受信エネルギーピックオフ装置1460は、送信光路の少なくとも一部を放出光パルス(実線で示す)と共有する受信光(点線で示す)を偏向させる。そして、偏向された受信光は、ミラー1462によって反射され、光学装置1064によって集束され、IR検出器1466によって検出される。いくつかの実施形態では、ピックオフ装置1460は、IRレーザ光源によって生成されたパルスビームを透過する「窓」と、窓の外側で受信エネルギーを偏向させる反射外側部分とを含む。他の実施形態では、ピックオフ装置1460は、入射光の一部を透過し、残りを反射する部分反射器である。例えば、入射光の90%を透過し、入射光の10%を反射する反射器は、視野内の物体から反射された光の10%をIR検出器1466に提供する。さらなる実施形態では、ピックオフ装置1460はパルスレーザビームを(第1の偏光で)透過し、異なる偏光の受信光を取り出す偏光ビームスプリッタを組み込んでもよい。これは、一部には、ランバート反射により反射がランダムに偏向しているため、効果的である。さらなる実施形態では、放出レーザビームおよび受信エネルギーは、走査ミラーの異なる部分に向けられてもよく、ピックオフ装置1460は、一方を反射するが他方を反射しないように配置されたオフセットミラーであってもよい。
【0164】
ここでも、本明細書に記載の実施形態は、低エネルギー短距離パルスの信頼できる検出を容易にする。これを容易にするために、IR検出器1466は、これらの低エネルギー短距離パルスの信頼できる検出を容易にするために、上述の実施形態のいずれか(例えば、検出器106、306、406)に従って実装することができる。
【0165】
具体的には、IR検出器1466は、レーザ光パルスを走査野に送信するために使用される同じ光学アセンブリの少なくともいくつかを介して反射を受信するように構成された複数のセンサで実装することができる。具体的には、IR検出器1466は、同じ走査ミラー1432、1142、出射光学装置1450、およびレーザ光パルスを走査野に送信するために使用される他の光学要素を介してレーザ光パルスを受信するように構成することができる。同じ光学アセンブリがレーザ光反射を受信するために複数のセンサによって使用されるため、複数のセンサが短距離パルスからの反射を受信するのを妨げる損傷または妨害はまた、走査野へのレーザ光パルスの走査を妨害する可能性がある。したがって、IR検出器1466は、走査野内の物体に衝突し、検出器に向かって反射して戻ってきた短距離パルスをより確実に検出することができ、したがって、長距離パルスがいつ安全に放出され得るかを確実に決定するために使用することができる。さらに、IR検出器1466内の複数のセンサは、光学アセンブリ内からの後方反射の影響を少なくとも部分的に相殺するように構成される。光学アセンブリ内からの後方反射の影響を相殺することにより、特に走査野内からのレーザパルスの低エネルギー短距離反射の検出のための検出器の感度を向上させることができる。
【0166】
ここで図16および図17を参照すると、図16は受信モジュール1600の側面図を示し、図17は上面図を示す。受信モジュール1600は、LiDARシステムにおいて使用され得る受信モジュールの一例である(例えば、図13の受信モジュール1330)。受信モジュール1600は、IR検出器1610、折り返しミラー1612、結像光学装置1620、バンドパスフィルタ1622、スキャナ1628、および出射光学装置1650を含む。
【0167】
走査ミラーアセンブリ1630および1640は、走査ミラーアセンブリ1430および1440と同様または同一であり、出射光学装置1650は、出射光学装置1450と同様または同一である。バンドパスフィルタ1422は、レーザ光源1410によって生成された光の波長を通過させ、他の波長の環境光を遮断する。例えば、いくつかの実施形態では、レーザ光源は905nmの光を生成し、バンドパスフィルタ1622は905nmの光を通過させる。
【0168】
結像光学装置1620は、折り返しミラー1612による反射後に、視野の一部をIR検出器1610上に結像する。スキャナ1628はスキャナ1428と同期して走査されるので、検出器1610は常に、走査されたパルスビームによって照射された測定点から光を収集する。
【0169】
図18は、本発明の様々な実施形態による統合フォトニクスモジュールの斜視図を示す。統合フォトニクスモジュール1800は、送信モジュール1400(図14および図15)と受信モジュール16(図16および図17)の両方を含む。送信モジュール1400および受信モジュール1600が並んで配置された長方形のハウジングを有する統合フォトニクスモジュール1800が示されている。いくつかの実施形態では、送信モジュール1400および受信モジュール1600は、一方が他方の上に配置される。
【0170】
前述の詳細な説明では、本発明を実施することができる特定の実施形態を例示として示す添付の図面を参照した。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分詳細に記載された。本発明の様々な実施形態は、異なるが、必ずしも相互に排他的ではないことを理解されたい。例えば、一実施形態に関連して本明細書で説明される特定の特徴、構造、または特性は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態内で実施することができる。さらに、各開示された実施形態内の個々の要素の位置または配置は、本発明の範囲から逸脱することなく変更され得ることを理解されたい。したがって、前述の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲と共に、適切に解釈される添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。図面において、同様の符号は、いくつかの図を通して同じまたは同様の機能を指す。
【0171】
本発明を特定の実施形態に関連して説明してきたが、当業者が容易に理解するように、本発明の範囲から逸脱することなく修正および変形を用いることができることを理解されたい。そのような修正および変形は、本発明および添付の特許請求の範囲内にあると考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18