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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】血圧計を用いた血行動態可視化システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20240829BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20240829BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20240829BHJP
   A61B 5/026 20060101ALI20240829BHJP
   A61B 5/029 20060101ALI20240829BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20240829BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A61B5/022 400Z
A61B5/02 A
A61B5/0245 200
A61B5/026 110
A61B5/029
A61B5/16 110
A61B5/00 M
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024012303
(22)【出願日】2024-01-30
【審査請求日】2024-01-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)証明書1 (展示会名) 未来のウェルネス実装ネットワーキング (開催場所) コクヨ梅田ショールーム (開催日) 令和5年7月12日 (2)証明書2 (ウェブサイトのアドレス) https://www.pref.kanagawa.jp/docs/sr4/prs/r2395455.html (ウェブサイトの掲載日) 令和5年7月24日 (3)証明書3 (展示会名) 健康・未病産業展2023 (開催場所) 東京ビッグサイト 東展示棟1~3ホール E3-27-14展示ブース (開催日) 令和5年8月2日 (4)証明書4 (ウェブサイトのアドレス) https://www.facebook.com/LiquidDesignSystems.Inc/videos/2628356807321594?locale=ja_JP (ウェブサイトの掲載日) 令和5年10月17日 (5)証明書5 (ウェブサイトのアドレス) https://www.linkedin.com/feed/update/urn:li:activity:7120983536395845632/ (ウェブサイトの掲載日) 令和5年11月2日 (6)証明書6 (展示会名) ものづくり補助事業展示商談会「中小企業 新ものづくり・新サービス展」 (開催場所) 東京ビッグサイト 西1・2ホール ブースF16 (開催日) 令和5年12月6日 (7)証明書7 (ウェブサイトのアドレス) https://liquiddesign.co.jp/ketuatu-plus/ (ウェブサイトの掲載日) 令和5年12月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508189599
【氏名又は名称】株式会社リキッド・デザイン・システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】高島 充
(72)【発明者】
【氏名】遠山 直也
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-016268(JP,A)
【文献】特開2022-089675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/03
A61B 5/00
A61B 5/16
G16H 50/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血圧計を使用して、被験者の最高血圧、最低血圧、心拍数を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した最高血圧、最低血圧、心拍数から前記被験者の血行動態パラメータを計算する第1の計算手段と、
前記第1の計算手段により計算した前記血行動態パラメータから、少なくとも心臓から駆出される動脈の血流量を含む血行動態パラメータの数値を推定する推定手段と、
前記取得した心拍数から駆出される動脈の血流量を推定し、大動脈弁開放時間を計算する第2の計算手段と、
中医学の相生と相剋の関係を示す五行理論に適用し、計算した大動脈弁開放時間と推定した血流量の数値から前記五行理論の木(肝)、火(心)、土(脾)、金(肺)、水(腎)の各エレメントの相関関係に変換して数値化し、前記被験者の体調バランスを可視化する可視化手段と、
を有することを特徴とする血圧計を用いた血行動態可視化システム。
【請求項2】
前記血行動態パラメータは、大動脈弁開放時間(ET)、平均血圧(BPM)、脈圧(BPW)、平均心拍周期(RR)、単位時間に心臓が駆出する血液量(CO)、動脈系の時定数(CR)、総末梢抵抗(TRE)、全動脈の柔らかさ(COMP)、心臓が全身に供給する仕事量(META)、心臓の1回拍出量(STVO)を、
含むことを特徴とする請求項1記載の血圧計を用いた血行動態可視化システム
【請求項3】
前記可視化手段による可視化は、数値化した前記五行理論の木(肝)、火(心)、土(脾)、金(肺)、水(腎)の各エレメントの相関関係の値を対応させた五角形のレーダーチャート表示を有する、
ことを特徴とする請求項2記載の血圧計を用いた血行動態可視化システム
【請求項4】
前記五角形のレーダーチャート表示は、体調バランスが正常範囲のレーダーチャートと、前記被験者の体調バランスのレーダーチャートとの比較表示を含むことを特徴とする請求項3記載の血圧計を用いた血行動態可視化システム
【請求項5】
前記五角形のレーダーチャート表示は、最も被験者の体調バランスが良い状態を正五角形表示とし、前記各エレメントに関連する五臓六腑の被験者の体調バランスが悪化している状態を異なる色の五角形表示、又は変形した五角形表示とすることを特徴とする請求項3又は4記載の血圧計を用いた血行動態可視化システム
【請求項6】
更に、基準となる前記動脈系の時定数(CR)から被者のストレス度合いを判定する判定手段を有し、前記判定手段で判定されたストレス度合いを前記可視化手段により表示することを特徴とする請求項1記載の血圧計を用いた血行動態可視化システム
【請求項7】
前記可視化手段は、前記五行理論の火(心)、水のエレメントから被験者の肌のバランス状態を推定し、被験者の肌年代を表示することを特徴とする請求項1記載の血圧計を用いた血行動態可視化システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧計を用いた血行動態可視化方法及び血圧計を用いた血行動態可視化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサを含む手首装着型デバイスを使用して、患者の血行動態パラメータを計算する方法が提案されている(特許文献1)。この血行動態パラメータの計算方法では、手首装着型デバイス内のセンサからの信号を取得するステップと、取得した信号から特徴のセットを計算し、患者の血行動態パラメータを計算するためのアルゴリズムを実行するステップとが開示されている。
【0003】
本発明者らは、脈波から求めた駆出時間による心拍出量の一推定法を提案している(非特許文献1)。この心拍出量の一推定法では、脈波を計測し、生体インピーダンス理論を適用して、脈波から求めた動脈の駆出時間から血行動態パラメータを数値化し、心拍出量の推定を行えることを提案した。
【0004】
更に、本発明者らは、脈波センサを開発し、脈波センサで取得したデータを基に、中医学の「五行」に相当する指標を分析するシステムを開発した(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2020-528307号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】「脈波から求めた駆出時間による心拍出量の一推定法」、雑誌「臨床ミニター」Vol.10 No.1 別冊 1999年、高島充他
【文献】日経エレクトロニクス「ソニーの医療への取り組みの“源流”、井深大氏の遺志を継ぐ」2012年10月29日号、pp.12-13
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の開示技術によれば、手首装着型デバイス内のセンサからの信号を取得し、血行動態パラメータを計算する方法のみが開示されているだけで、中医学の相生と相剋の関係を示す五行理論に適用して被験者の体調バランスを可視化する方法については、開示も示唆もされていなかった。
【0008】
非特許文献1の開示技術によれば、脈波から求めた駆出時間による心拍出量の推定技術について記載されているが、中医学の相生と相剋の関係を示す五行理論に適用して被験者の体調バランスを可視化する方法については、開示も示唆もされていなかった。
【0009】
非特許文献2の開示技術によれば、脈波センサで取得したデータを基に、中医学の「五行」に相当する指標を分析するシステムについて記載されているが、脈波などのデータを五行理論の指標に変換するソフトウェア技術を開示しただけのものである。
【0010】
そこで本発明は、上述した背景を鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、血圧計を用いて測定するだけで、西洋医学的なアプローチで算出した血行動態に中医学の五行理論を適用し、体調バランス(健康・未病・病気)の可視化と肌年齢の推定を行える、血圧計を用いた血行動態可視化方法及び血圧計を用いた血行動態可視化システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明に係る血圧計を用いた血行動態可視化システムは、血圧計を使用して、被験者の最高血圧、最低血圧、心拍数を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した最高血圧、最低血圧、心拍数から前記被験者の血行動態パラメータを計算する第1の計算手段と、前記第1の計算手段により計算した前記血行動態パラメータから、少なくとも心臓から駆出される動脈の血流量を含む血行動態パラメータの数値を推定する推定手段と、前記取得した心拍数から駆出される動脈の血流量を推定し、大動脈弁開放時間を計算する第2の計算手段と、中医学の相生と相剋の関係を示す五行理論に適用し、計算した大動脈弁開放時間と推定した血流量の数値から前記五行理論の木(肝)、火(心)、土(脾)、金(肺)、水(腎)の各エレメントの相関関係に変換して数値化し、前記被験者の体調バランスを可視化する可視化手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
第2発明に係る血圧計を用いた血行動態可視化システムは、第1発明において、前記血行動態パラメータは、大動脈弁開放時間(ET)、平均血圧(BPM)、脈圧(BPW)、平均心拍周期(RR)、単位時間に心臓が駆出する血液量(CO)、動脈系の時定数(CR)、総末梢抵抗(TRE)、全動脈の柔らかさ(COMP)、心臓が全身に供給する仕事量(META)、心臓の1回拍出量(STVO)を、含むことを特徴とする。
【0013】
第3発明に係る血圧計を用いた血行動態可視化システムは、第2発明において、前記可視化手段による可視化は、数値化した前記五行理論の木(肝)、火(心)、土(脾)、金(肺)、水(腎)の各エレメントの相関関係の値を対応させた五角形のレーダーチャート表示を有する、ことを特徴とする。
【0014】
第4発明に係る血圧計を用いた血行動態可視化システムは、第3発明において、前記五角形のレーダーチャート表示は、体調バランスが正常範囲のレーダーチャートと、前記被験者の体調バランスのレーダーチャートとの比較表示を含むことを特徴とする。
【0015】
第5発明に係る血圧計を用いた血行動態可視化システムは、第3発明又は第4発明において、前記五角形のレーダーチャート表示は、最も被験者の体調バランスが良い状態を正五角形表示とし、前記各エレメントに関連する五臓六腑の被験者の体調バランスが悪化している状態を異なる色の五角形表示、又は変形した五角形表示とすることを特徴とする。
【0016】
第6発明に係る血圧計を用いた血行動態可視化システムは、第1発明において、更に、基準となる前記動脈系の時定数(CR)から被者のストレス度合いを判定する判定手段を有し、前記判定手段で判定されたストレス度合いを前記可視化手段により表示することを特徴とする。
【0017】
第7発明に係る血圧計を用いた血行動態可視化システムは、第1発明において、前記可視化手段は、前記五行理論の火(心)、水(腎)のエレメントから被験者の肌のバランス状態を推定し、被験者の肌年代を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
上述した構成からなる本発明によれば、血圧計を用いて測定するだけで、西洋医学的なアプローチで算出した血行動態に中医学の五行理論を適用し、体調バランス(健康・未病・病気)の可視化を行える血圧計を用いた血行動態可視化方法及び血圧計を用いた血行動態可視化システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明を適用した血行動態可視化システムの模式図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る血行動態可視化方法の処理フローチャートである。
図3図3(a)は、本発明の実施形態に係る血行動態可視化方法における血行動態パラメータの一例を示す図であり、図3(b)は、図1のデータベースの一例を示す図である。
図4図4は、被験者の血圧測定システムのイメージ図である。
図5図5は、タブレット端末の一例を示す図である。
図6図6は、被験者の血圧測定から血行動態可視化までの操作フローチャートである。
図7図7は、タブレット端末入力画面の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る血行動態可視化方法における測定結果の可視化マップ例を示す図である。
図9図9は、137名の成人男女のCR値の測定結果を示す図である。
図10図10は、健康・美容アドバイスの一例を示す図である。
図11図11は、健康・美容アドバイスにおける健康アドバイスの一例を示す図である。
図12図12は、健康・美容アドバイスにおける美肌アドバイスの一例を示す図である。
図13図13は、携帯通信端末に表示した健康・美容・その他のアドバイスの一例を示す図である。
図14図14は、本発明の実施形態に係る血行動態可視化システムの機能ブロック図である。
図15図15(a)は、五行理論の相生-相剋関係の説明図である。図15(b)は本発明の実施形態における五行理論の相生-相剋関係を表す図である。
図16図16は、本発明の実施形態に係る血行動態可視化方法における測定結果の可視化マップ例(高血圧傾向)を示す図である。
図17図17は、本発明の実施形態に係る血行動態可視化方法における測定結果の可視化マップ例(血圧傾向高め)を示す図である。
図18図18は、本発明の実施形態に係る血行動態可視化方法における測定結果の可視化マップ例(血圧傾向普通)を示す図である。
図19図19は、本発明の実施形態に係る血行動態可視化方法における測定結果の可視化マップ例(血圧傾向低め)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を適用して例示した実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
先ず、図1図2図3図4を用いて、本発明の実施形態に係る血行動態可視化方法について説明する。
【0023】
図1は、本発明を適用した血行動態可視化システムの模式図であり、図2は、図1の血行動態可視化アプリ21による血行動態可視化方法を説明するための処理フローチャートである。また、図3(a)は、本発明の実施形態に係る血行動態可視化方法における血行動態パラメータの一例を示す図であり、図3(b)は、図1のデータベースの一例を示す図である。
【0024】
図4は、被験者の血圧測定システムのイメージ図である。
本発明を適用した血行動態可視化システムは、図1に示すように、血圧計1と、タブレット端末2と、通信ネットワーク3と、クラウド4とから構成されている。
【0025】
血圧計1は、スタンドアロンタイプ(他の機器と接続しない装置)、有線接続タイプ、無線接続タイプの汎用のデジタル血圧計等である。無線接続タイプは、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)の無線通信によりタブレット端末2に血圧結果を測定可能である。血圧計1としては、例えば、上腕式デジタル血圧計、手首式デジタル血圧計、上腕式ホースレス血圧計など、被験者自身が測定可能であれば、何でも適用可能である。血圧計1の測定は、被験者の最高血圧(mmHg)、最低血圧(mmHg)、脈拍(bpm)が同時測定可能なものが好ましい。この3つの値を血行動態パラメータの計算に使用するからである。スタンドアロンタイプの血圧計では、被験者が血圧測定結果を読取り、タブレット端末2のタッチ入力画面から測定結果を入力する。また、スマートウォッチなどのデバイスを用いて自動入力を行ってもよい。
【0026】
タブレット端末2は、予めクラウド4からインストールされた血行動態可視化アプリ21を備えている。
【0027】
血行動態可視化アプリ21は、図2に示すように、取得ステップ101と、第1の計算ステップ102と、推定ステップ103と、可視化ステップ105と、アドバイスステップ106と、を有し、クラウドサービスから提供される構成をしているが、これに限らない。
【0028】
通信ネットワーク3は、インターネットやブロードネットーワーク等であり、タブレット端末2とクラウド4とをネットワーク接続している。
【0029】
クラウド4は、クラウドサーバ5と、データベース7と、を有する。クラウドサーバ5は、血行動態可視化アプリ21の提供やタブレット端末2との通信、データベース7を利用して血行動態可視化処理の実行などを行う。データベース7は、図3(b)に示すように、五行理論データベース71と、計算結果データ72と、血行動態パラメータデータ73と、相生-相剋関係データ74と、体調バランス標準モデルデータベース75と、食材データベース76と、香り/アロマデータベース77と、追加データベース78等を備えている。追加データベース78には、五行理論をベースにした、マッサージのツボデータ、サプリメントデータ、相性の良いペットデータ、相性の良い植物データ、漢方薬データ、性格と気分データ、ラッキーカラーデータ、四柱推命データ、適した職業データ、適した化粧品データを備え、エンタメ性を上げて、被験者の血圧測定意欲を高めている。
【0030】
五行理論データベース71は、五角形の形に対応したデータベースであり、五行理論に対応したデータを格納している。血行動態可視化アプリ21は、演算式により得られた計算結果データ72のそれぞれの数値に応じて推奨する各種データをデータベース71から取り出す。例えば、未病-病気予測、自覚症状、性格予測、五行色体表による食事療法、適する漢方薬等の情報を取り出すことが可能となる。以下それぞれの項目ごとに計算結果の数値とそれに基づく解釈の内容について説明する。
【0031】
<未病-病気予測>
○木(肝)が1.3以上で土(脾)が0.7以下の場合は心臓、小腸の未病-病気に要注意、致命的な病は脾臓、膵臓、胃の病気となる。
○火(心)が1.3以上で金(肺)が0.7以下の場合は、脾臓、膵臓、胃の未病-病気に要注意、致命的な病は肺、大腸の病気となる。
○土(脾)が1.3以上で水(腎)が0.7以下の場合は、肺、大腸の未病-病気に要注意、致命的な病は腎臓、膀胱の病気となる。
○金(肺)が1.3以上で木(肝)が0.7以下の場合は、腎臓、膀胱の未病-病気に要注意、致命的な病は肝臓、胆嚢の病気となる。
○水(腎)が1.3以上で火(心)が0.7以下の場合は、肝臓、胆嚢の未病-病気に要注意、致命的な病は心臓、小腸の病気となる。
【0032】
<自覚症状>
○長期にわたり木(肝)が1.3以上で土(脾)が0.7以下の場合は、爪が変形しやすく、視覚、筋力が共に衰える。
○長期にわたり火(心)が1.3以上で金(肺)が0.7以下の場合は、聴覚、顔の血色が共に衰える。
○長期にわたり土(脾)が1.3以上で水(腎)が0.7以下の場合は、唇が荒れやすく、嗅覚、全身の肉付きが共に衰える。
○長期にわたり金(肺)が1.3以上で木(肝)が0.7以下の場合は、体毛が少なく、味覚、皮膚感覚が共に衰える。
○長期にわたり水(腎)が1.3以上で火(心)が0.7以下の場合は、髪が抜けやすく、触覚、歯が共に衰える。
【0033】
<性格予測>
○木(肝)が1.3以上で土(脾)が0.7以下の場合は、金銭感覚が乏しく、発想が豊かである。食欲はあるが食材には無頓着でストレスが多く基本的には短気である。
○火(心)が1.3以上で金(肺)が0.7以下の場合は、おしゃべりでスポーツは苦手である。音楽を好み愉快な性格であり、人から好かれるタイプであり、社交的である。
○土(脾)が1.3以上で水(腎)が0.7以下の場合は、考えがまとまらず買い物では時間がかかるタイプである。間食が多く、太り気味である。反面、金銭欲が強い。
○金(肺)が1.3以上で木(肝)が0.7以下の場合は、人との競い合いが好きで、スポーツが得意である。トロフィーなどを多く集め自慢したがる。
○水(腎)が1.3以上で火(心)が0.7以下の場合は、読書好きで雑多な知識が多い。反面、雑多な知識が多いゆえに決断ができず、臆病である。睡眠欲が強く、どのような環境下でもよく眠れる。
【0034】
<五行色体表による食事療法>
○木(肝)が1.3以上で土(脾)が0.7以下の場合、相剋関係の金(肺)を補い金剋木でバランスを取る。金(肺)を増強する食べ物は、とうがらし、さんしょう、こしょう、大根、にんにく、しょうが、たまねぎ、ねぎ、しそ、ぱせり、さといも、にんじん。
○火(心)が1.3以上で金(肺)が0.7以下の場合、相剋関係の水(腎)を補い水剋木でバランスを取る。水(腎)を増強する食べ物は、ごぼう、あさり、しじみ、はまぐり、こんぶ、ひじき、のり、あしたば、おおむぎ、くり、くらげ、あわび。
○土(脾)が1.3以上で水(腎)が0.7以下の場合、相剋関係の木(肝)を補い木剋木でバランスを取る。木(肝)を増強する食べ物は、酢、とまと、みかん、レモン、りんご、うめ、すもも、びわ、もも、きんかん。
○金(肺)が1.3以上で木(肝)が0.7以下の場合、相剋関係の火(心)を補い火剋木でバランスを取る。火(心)を増強する食べ物は、緑茶、レタス、くわい、みょうが、しゅんぎく、ぎんなん、うど、ふき。
○水(腎)が1.3以上で火(心)が0.7以下の場合、相剋関係の土(脾)を補い土剋木でバランスを取る。土(脾)を増強する食べ物は、砂糖、はくさい、とうもろこし、さつまいも、とうふ、牛乳、大豆、ごま、米、れんこん、かぼちゃ、たけのこ、セロリ、バナナ、さくらんぼ。
【0035】
<適した漢方薬>
○木(肝臓、胆嚢)が長期にわたり0.7以下の場合は、釣藤散、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、加味逍遥散、柴胡桂枝湯、大柴胡湯、小柴胡湯。
○火(心臓、小腸)が長期にわたり0.7以下の場合は、三黄瀉心湯、黄連解毒湯、半夏瀉心湯、炙甘草湯、酸棗仁湯、柴胡加竜骨牡蠣、真武湯、大柴胡湯、当帰芍薬散。
○土(膵臓、胃)が長期にわたり0.7以下の場合は、人参湯、四君子湯、六君子湯、半夏白朮天麻湯、帰脾湯、加味帰脾湯、補中益気湯、清暑益気湯、十全大補湯、人参養栄湯。
○金(肺、大腸)が長期にわたり0.7以下の場合は、小青竜湯、麻黄附子細辛湯、神秘湯、麦門冬湯、清肺湯、桔梗湯、小柴胡湯、麻黄湯。
○水(腎臓、膀胱)が長期にわたり0.7以下の場合は、六味丸、八味地黄丸、牛車腎気丸、五苓散、猪苓湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、防己黄耆湯。
【0036】
五行理論データベース71は、上述した未病-病気予測、自覚症状、性格予測、五行色体表による食事療法(食材データ)、適する漢方薬等の考え方によって計算結果の数値と関係データとの関係データベース化を行って構成されている。同様な考え方によって、免疫や相性等のデータを格納しておけば、免疫や相性のアドバイスを表示させることができる。
【0037】
計算結果データ72は、計算式による計算結果の数値データが格納されている。
【0038】
以下、図2を用いて、血行動態可視化方法について説明する。
【0039】
<取得ステップ101>
取得ステップ101は、血圧計1を使用して、被験者の最高血圧、最低血圧、心拍数を取得するステップである。被験者41は、図4に示すように、被験者41は、机43に設置された上腕式の血圧計1の腕帯部に片腕を通し、他の腕の手で測定開始ボタンを押下すると、測定が開始され、全自動で最高血圧(mmHg)、最低血圧(mmHg)、脈拍(bpm)(心拍数)を同時測定することができる。
【0040】
<第1の計算ステップ102>
第1の計算ステップ102は、取得ステップ101により取得した最高血圧、最低血圧、心拍数から被験者41の血行動態パラメータを計算するステップである。血行動態パラメータは、所定の計算式に図15(b)に示す五行相関表の各エレメントの数値を代入して算出する。ここで、図15(b)に示す五行相関表の各エレメントの数値は、概算値を示している。
五行要素(エレメント)は西洋医学的にそれぞれ、火(KA)は心臓の全仕事量、土(DO)は動脈系の時定数が受け取る心臓の全仕事量、木(MOKU)は、動脈系の時定数に対する拡張期血圧、金(KON)は動脈系の柔軟度が受け取る心臓の全仕事量、水(SUI)は心臓の全仕事量に対する基礎代謝量を意味する。
各エレメントの標準偏差値を約0.25に揃える。相関行列より、相生関係は約+0.29~+0.32、相剋関係は約-0.74~-0.78と求まる。これを「火」の五行エレメントの計算式に当てはめると例えば下記となる。
例えば火(KA)の血行動態パラメータの演算式(1)は、
火=KA=(META/24.405)^2.1/1.016 ・・・(1)である。
【0041】
ここで、「^」はプログラム計算におけるべき乗を表す。N=137(人)、平均値=1.000、標準偏差=0.243とする。
同様にして、土(DO)、木(MOKU)、金(KON)、水(SUI)の血行動態パラメータ(指標)も計算が可能である。
以上の演算式により計算を実行する。ここで、血行動態パラメータの項目は、図3(a)に示すように、大動脈弁開放時間(ET)、平均血圧(BPM)、脈圧(BPW)、平均心拍周期(RR)、単位時間に心臓が駆出する血液量(CO)、動脈系の時定数(CR)、総末梢抵抗(TRE)、全動脈の柔らかさ(COMP)、心臓が全身に供給する仕事量(META)、心臓の1回拍出量(STVO)を含む。大動脈弁開放時間(ET)は、心臓の大動脈から駆出される弁を解放し血液を駆出する駆出時間を示す。総末梢抵抗(TRE)は、TRE=BPM/COで計算される値である。全動脈の柔らかさ(COMP)は、CR/TREで計算される値である。
【0042】
<推定ステップ103>
推定ステップ103は、第1の計算ステップ102により計算した上述の血行動態パラメータから、少なくとも心臓から駆出される動脈の血流量を含む血行動態パラメータの数値を推定するステップである。
【0043】
<第2の計算ステップ104>
取得ステップ101より取得した心拍数から駆出される動脈の血流量を推定し、大動脈弁開放時間(ET)を計算するステップである。
【0044】
以上のステップ101~104で得られた指標を利用して中医学演算に利用し、心拍数からETを推定する。
【0045】
<可視化ステップ105>
可視化ステップ105は、中医学の相生と相剋の関係を示す五行理論に適用し、計算した大動脈弁開放時間(ET)と推定した血流量の数値から五行理論の木(肝)、火(心)、土(脾)、金(肺)、水(腎)の各エレメントの相関関係に変換して数値化し、被験者の体調バランスを可視化するステップである。
○金(肺)が1.3以上で木(肝)が0.7以下の場合は、脾臓、膵臓、胃の病気に要注意、致命的な病は肝臓、胆嚢の病気となる。
○水(腎)が1.3以上で火(心)が0.7以下の場合は、肺、大腸の病気に要注意、致命的な病は心臓、小腸の病気となる。
<自覚症状>
○木(肝臓、胆嚢)が長期にわたり1.0以下の場合は、爪が変形しやすく、視覚、筋力が共に衰える。
【0046】
中医学の相生と相剋の関係を図15(a)に示し、相生-相剋関係の各エレメントの五行相関表を示す。相生-相剋関係において、図15(a)に示すように、外側の矢印は相生関係を示し、五行理論の木(肝)、火(心)、土(脾)、金(肺)、水(腎)が隣接するものを増強する働きをなす。また、内側の矢印は相剋関係を示し、五行と対向する他の五行とがバランスを取るように作用して引っ張り合いを行っている様子を示す。図15(a)の例では、心肝火旺の例を示している。ストレスによって木(肝)のエネルギーが滞っている状態を肝鬱(かんうつ)という。この肝鬱状態が長引くと、肝の気が熱を帯び、火(心)を生じて、憂鬱、イライラ、顔が赤い、便秘、人を怒鳴りつけたくなるなど肝鬱化火(かんうつかか)の症状がみられるようになる。心肝火旺とは、この肝の熱が火(心臓)に及んでしまった状態(相生異常)のことをいう。肝の症状に加えて、不眠などの心の症状もあらわれてしまう。この症状を改善するために、「くちなし、ミント、カモミール、イカ、あさり、蓮の実」などがよいと中医学では言われる。これが本アルゴリズムの基本的な流れとなる。この相生-相剋関係を図15(b)に示すような各エレメント相関表を作成し、各エレメント相関表の重み付けを行って、変換して五角形のレーダーチャート表示を行い、健康、未病、病気の推定を行い、被験者に行動変容のきっかけを与えるものである。
【0047】
可視化ステップ105による可視化は、図8に示すように、数値化した五行理論の木(肝)、火(心)、土(脾)、金(肺)、水(腎)の各エレメントの相関関係の値を対応させた五角形のレーダーチャート表示を有する。また、五角形のレーダーチャート表示は、体調バランスが正常範囲(0.7以上~1.3未満)のレーダーチャートと、被験者の体調バランスのレーダーチャートとの比較表示を含む。さらに、五角形のレーダーチャート表示は、最も被験者の体調バランスが良い状態を正五角形表示とし、各エレメントに関連する五臓六腑の被験者の体調バランスが悪化している状態を異なる色の五角形表示、又は変形した五角形表示としている。
【0048】
このように、五行の木(肝)、火(心)、土(脾)、金(肺)、水(腎)の各要素の可視化に関しては、五行表示の五角形のレーダーチャートを利用し、正五角形が最も体調のバランスが良い状態(健康)、五角形が変形した場合は、各要素に関連する五臓六腑の状態が悪化していることを表している。加えて、五角形のレーダーチャートは色でも健康状態を識別しており、緑は健康(0.7以上~1.3未満)、オレンジは未病(0.3以上~0.7未満または1.3以上~1.7未満)、赤は病気(0.3未満、1.7以上)という意味を持たせている。本レーダーチャートは異なる色や変形した五角形で表現し、その変化がバランスの乱れを示すようなデザインとなっており、従来の五行表示ではなかったものであり、本発明の有利な効果を奏する。
【0049】
<ストレス判定ステップ>
更に、本発明の血行動態推定方法は、基準となる動脈系の時定数(CR)から被験者41のストレス度合いを判定する判定ステップを有し、判定ステップで判定されたストレス度合いを可視化ステップにより表示することを特徴とする。以下、ストレス判定ステップについて説明する。血行動態の可視化においては、CR値(動脈系の時定数)を測定することで、ストレス度合いを判定している。図9に示すように、すでに取得した137名の成人男女(男性=66名、女性=71名 19~82歳まで)のCR値の平均を取り、その平均値から上下することで、ストレス度合いをパーセンテージ化している。なお、CR値(動脈系の時定数)は以下のようなストレスとの相関関係からストレス判定に利用している。CR値(動脈系の時定数):動脈系の時定数(Compliance-Resistance=CR)は、動脈血管の柔軟性(Compliance)と血管抵抗(Resistance)のバランスを示す指標である。これは、動脈がどれくらい柔軟で、血液がどれくらい容易に流れるかを表している。ストレスが増加すると、交感神経活動が亢進し、血管抵抗が上がる。そのため、CR値を計算することで、動脈血管の柔軟性(収縮度)がわかり、その柔軟性(収縮度)から計算して緊張度を推定している。
【0050】
<可視化ステップの肌年代の可視化>
本実施形態の可視化ステップ105は、図12に示すように、五行理論の火(心)、水(腎)のエレメントから被験者41の肌のバランス状態を推定し、被験者41の肌年代を表示することを特徴とする。以下、可視化ステップ105による肌年代の可視化について説明する。従来の肌年齢/美肌判定の測定は、複数のユーザへの質問と、電極間の表皮と真皮の皮膚インピーダンスを測定し、肌年齢を推測している。身体の状態の変化を捉えて、身体の状態を数値で表す生体インピーダンス測定法では同じ考えであるが、本測定方法による美肌判定は、血行動態の可視化において、五角形による体調バランス(健康・未病・病気)を可視化することで、生体インピーダンス測定による体調バランスを確認し、その上で五行理論の演算式を使って水(腎)や火(心)の血行動態数値を加味することで、肌のバランス状態を推測している。ではなぜ、五行理論における水(腎)や火(心)の要素が肌の状態に関連づけられるかと言うと、下記の中医学の考えに基づいた理論に従っている。中医学では5つの要素がさまざまな体の機能や臓器と関連付けられている。例えば、"水"は五行説の要素の一つであり、"水"の要素は肌の潤いを表している。五行理論の「水」は潤いや冷却を象徴しているので、肌の潤いや水分バランスに関連する状態は「水」のエネルギーと結びつくと考えられる。肌の関連性において、「水」は通常、体液や血液などの体内の水分と関連しているため、保湿、血液の循環、腎臓の健康など肌にもっとも影響する要素となっている。また、「火」の要素と肌の炎症を表している。五行理論の「火」は炎症や熱を表現している。肌の状態が赤みや炎症を示す場合、五行理論の「火」のエネルギーが過剰である可能性が考えられる。
【0051】
このように、血行動態の数値化した結果を、五行理論に当てはめると、五臓六腑の状態のみならず、肌の健康状態も推測することができる。
【0052】
図5に被験者41が操作するタブレット端末2の一例を示す。このタブレット端末2は、汎用のタブレット端末であり、血行動態可視化アプリ21をインストールしておくことにより、被験者の五行理論を適用した血行動態可視化を行うことができる。図5の例では、タブレット端末2のタッチ式入力画面52に血行動態可視化アプリ21のアイコンが表示されており、ホーム操作ボタン53やカメラ54を備えている。タブレット端末2は、無線通信可能なLTE通信モジュールを内蔵しており、直接通信ネットワーク3経由でクラウド4に接続構成とすることができる。また、タブレット端末2は、Wi-Fi(登録商標)通信モジュール(図示省略)を内蔵し、Wi-Fi(登録商標)ルータ等を介して通信ネットワーク3経由でクラウド4に接続構成としてもよい。本実施形態において、被験者の操作のし易さを考え、タッチ式入力画面52に指で画面をタッチすることにより、各種操作を行うことを基本とするが、これに限らない。例えば、キーボードを接続して入力を行うように構成してもよい。図2では、タブレット端末の例について説明したが、例えば、PC、携帯通信端末、血圧計を備えたスマートウォッチ等も適用可能である。
【0053】
図6に上述した本実施形態の血圧動態可視化方法を用いた、被験者41による血圧測定から血行動態可視化までの操作フローチャートを示す。図7に五行体調バランス可視化のタブレット端末入力画面例を示す。以下、図6の操作フローに従って、被験者41の血圧動態可視化である五行体調バランス可視化表示について説明する。
【0054】
まず、被験者41による血圧測定を行う(ステップ601)。すなわち、図4に示すように、被験者41は机43上に設置された血圧計1の腕帯部に被験者41の上腕を通し、測定開始ボタンを押すと、自動的に血圧測定が開始される。血圧計1の表示画面に、その測定結果である最高血圧(mmHg)、最低血圧(mmHg)、脈拍(bpm)が表示される。
【0055】
次に、被験者41はタブレット端末入力画面に血圧測定結果入力を行う(ステップ602)。被験者41が机42上のスタンド42に設置されたタブレット端末2に表示された入力画面に血圧測定結果と年齢、性別を入力する。入力画面例を図7に示す。図7の入力画面では五行の体調バランス表示のための情報を入力する項目の表示例が示されている。3つのステップ、すなわち血圧測定ステップ、測定値入力ステップ、および「結果を見る」ボタン押下ステップによって、五行の体調バランスの可視化を行うことができる。入力項目は、年齢、性別、最高血圧(mmHg)、最低血圧(mmHg)、脈拍(bpm)である。年齢項目は、10歳未満、10代、20代、30代、40代、50代、60代、70代、80歳以上である。性別項目は、男性、女性、その他である。その他は性別を入力したくない場合の選択項目である。図7の例では、年齢が30代、性別が女性、最高血圧が130mmHg、最低血圧が70mmHg、脈拍が85bpmを入力した入力結果を示す。数値等の入力の際は、テンキー入力ソフトウェアキーボードを表示させて、被験者の入力操作を行うように構成している。
【0056】
被験者による血圧測定結果等の入力後に、被験者が「結果を見る」ボタンを押下すると(ステップ603)、被験者の五行体調バランス(健康、未病、病気)が可視化表示される(ステップ604)。この五行体調バランス(健康、未病、病気)の可視化表示の一例を図8に示す。図8の例では、被験者の個人情報保護のため、最長結果表示時間を制限している。ここでは、結果表示の残り時間:最長120秒中116秒であることを示す。表示画面の上段には、総合得点 76点、血圧傾向 高め 血圧130/70mmHg、ストレス度 高め70%が表示されている。総合得点は、所定の計算式に基づいて計算した結果である。五行の各エレメントは1.0を最適値としており、五行解析結果から計算された各エレメントの数値、例えば火(心)が1.8、木(肝)が1.61、木(肝)が1.48、土(脾)が0.72、金(肺)が0.42、水(腎)が0.7が算出された場合に、最適値の差分を計算して総合得点を出している。60点から100点の範囲で健常者(入院などしていない)の範囲に収まっている。血圧傾向は、高め、普通、低め、高血圧傾向などが表示される。上述した血行動態パラメータの指標を用いて、所定の計算式に基づいて計算を行った結果を示している。
【0057】
五行の体調バランスは、スコアに応じて緑色、オレンジ色、赤色でカラー表示させる。緑色は健康(0.7以上~1.3未満)、オレンジ色は未病(0.3以上~0.7未満または1.3以上~1.7未満)、赤色は病気(0.3未満、1.7以上)を表している。五行の五角形をレーダーチャート表示している。木(肝)は影響するとされる部位や症状である肝臓/胆石/生理/肌あれが表示されている。スコア1.76である。火(心)は影響するとされる部位や症状である心臓/小腸/不眠/不安と表示されている。スコア1.12である。土(脾)は影響するとされる部位や症状である膵臓/胃腸/消化/免疫が表示されている。スコア0.55である。金(肺)は影響とされる部位や症状である肺/大腸/呼吸/鼻炎が表示されている。スコア0.49である。水(腎)影響するとされる部位や症状 腎臓/膀胱/精力/皮膚が表示されている。ここで、各スコアは3つのレベルに分け、体調が良い、悪い、の状態を星3つで表し、直感で被験者がイメージしやすいように可視化している。そして、レーダーチャート表示は、正五角形の状態のとき、体調バランスが良い状態を示している。五角形を変形させて、体調バランスが崩れていることを表示させるようにした。図8の例では、五角形が変形し、木(肝)、火(心)、土(脾)、金(肺)、水(腎)の点数が0.7以上1.3未満は健康状態を示す。画面の下段に「健康・美容アドバイスはこちらからQRコード(登録商標)で共有!」ボタンを示す。このボタンを押下すると、健康・美容アドバイスを二次元コード、例えばQRコード(登録商標)で表示させて結果を共有することができるように構成している。
【0058】
図10に可視化表示例の続きを示す。図10では、レーダーチャートの見方を表示させる。例えば、「五角形が変形し、木(肝)、火(心)、土(脾)、金(肺)、水(腎)の点数が0.7以上1.3未満は健康(ヘルシー)、それ未満/以上で色が赤系に変化するほど注意が必要となります。」が表示される。ここで、注意事項として、例えば、「現代医学的な根拠に基づく診断ではありません。本判定は参考程度とし、詳しくは専門医にご相談ください。」が表示される。ここでは、スクロールして画面を表示しているが、表示形態は、適宜変更可能であり、表示エリアをコンパクトにして階層的に表示してもよい。
【0059】
<アドバイスステップ106>
アドバイスステップ106は、本発明により計算された血行動態データ(指標)を五行理論データと紐付けて、健康・美容・その他のアドバイスを行うステップである。健康・美容・その他のアドバイスに利用される情報としては、各種情報が表示される。これは、血圧測定結果を表示するだけでは、被験者の興味を示さないので、健康・美容の行動変容を起こさせる動機付けを与えるきっかけを与えるために、表示される。例えば、今日の食材情報、今日の香り/アロマ情報、運気UPの行動と色情報、今日の気分と性格情報などである。今日の食材情報は、ハーブ、ブロッコリー、カボチャ、ケール、魚、ミネラルウォーター、ほうれん草などが表示される。食材アレルギーの方がいるので、注意事項としては、「食材アレルギーに注意してください。」などを表示させる。今日の香り/アロマ情報は、感情を安定させ気分を落ち着かせる香りなどのサブタイトルを付けて、レモングラス(ストレス軽減)、シダーウッド(リラックス効果)、ペパーミント(集中と覚醒効果)などの香りの材料とその効果を表示させる。運気UPの行動と色情報は、幸運色:緑色などが表示され、行動:エステ、マッサージ、鍼灸を受ける、の行動変容内容を表示させる。今日の気分と性格情報は、怒りっぽい、チャレンジ精神旺盛、積極的などが表示される。「健康・アドバイスは、QRコード(登録商標)で確認!」などのメッセージが表示され、同時にクラウド4にアクセスするクラウド情報を表示させるURLリンクが二次元コード、例えばQRコード(登録商標)で表示される。最下行に表示終了時間を表示させる。図10では、表示の残り時間が118秒であることを示す。
【0060】
上述した実施形態においては、QRコード(登録商標)を表示する例について説明したが、QRコード(登録商標)を必ずしも表示しなくても良い。例えば、血圧計を用いた血圧測定を自宅で行い、タブレット端末2にインストールされた血行動態可視化アプリ21を起動させるようなケースでは、時間的な制約がないからである。図1の血行動態可視化システムを温泉スパやスポーツジムのような場所に設置する場合は、多数の利用者が使用する可能性があり、一人あたりの表示時間に制限を加え、二次元コードで結果を見られるURLリンクを表示させることにより、1人あたりのシステム利用時間を短縮させる効果を奏する。
【0061】
図11図12に健康・美容アドバイス例を示す。図11に示す健康アドバイスは、五行の木(肝)などが表示され、例えば、「中医学でいる木(肝臓、胆のう等)の数値が非常に高く要注意です。アルコールや脂っこい食物を控えるのがおすすめです。以下のような病気や自覚症状があれば医者に相談してください。過度なストレス、怒り、焦燥感、イライラ、不安障害、高血圧、頭痛、不眠症、胃潰瘍、胃腸、過食症、運動過多による怪我や疲労」が表示される。図12の美肌アドバイスは、「あなたの肌世代」などのタイトルとともに、例えば、「肌世代は30代、肌に赤みや腫れが生じ、吹き出物やニキビが多く見られる傾向です。ストレスで肌荒れや湿疹の発生を増加させ、かゆみや赤み、肝斑、シミを伴うことがあります。お勧めの肌ケア製品は、植物エキス、アロエベラ等含むナチュラル化粧品、ペプチド含有アンチエイジング製品、肌トーン均一のスキンケア製品、敏感肌向け製品、日焼け止め、※肌世代は、五行理論による体調バランス結果から独自の演算式で推定しています。」などが表示される。
【0062】
ステップ604において、五行の体調バランスの可視化表示が行われると、可視化表示結果として、2次元コード、例えばQRコード(登録商標)(図10参照)が表示される(ステップ605)。
【0063】
次に被験者41は、自身所有の携帯通信端末で2次元コード(例えば、QRコード(登録商標))の読取りを行うと(ステップ606)、被験者の可視化結果や健康・美容アドバイスをクラウド4から瞬時に携帯通信端末に表示される(ステップ607)。携帯通信端末の表示例を図13に示す。図13では、今日の食材情報として、例えば、「エンダイブ、ナッツ類、大豆製品、ビタミンC系果物、ゴーヤ、白米、大根、食材アレルギーに注意してください。」が表示されている。また、今日の香り/アロマ情報として、例えば、「心を落ち着かせ感情の安定させる香り、ユーカリプタス(リフレッシュ効果)、ローズ(気分の安定)、ゼラニウム(リラックス効果)」などが表示されている。運気UPの行動と色情報として、例えば、「幸運色:赤色、行動:エネルギーを発散(ダンス・水泳・マラソン)」が表示されている。今日の気分と性格情報として、例えば「競争心が高まる、決断力がある、感受性が高い」などが表示されている。
【0064】
図14は、本発明の実施形態に係る血行動態可視化システムの機能ブロック図である。
図14の例は、図1の血圧動態可視化アプリ21をハードウェアで実現した機能ブロック図を示し、携帯通信端末8との連携構成を示している。その他の構成は、図1のシステムと同様である。
【0065】
血行動態可視化システム6は、図14に示すように、取得部61と、第1の計算部62と、推定部63と、第2の計算部64と、可視化部65と、アドバイス部66と、を有する。ここで、取得部61、第1の計算部62、推定部63、第2の計算部64、可視化部65、アドバイス部66については、それぞれ図2の取得ステップ101、第1の計算ステップ102、推定ステップ103、第2の計算ステップ104、可視化ステップ105、アドバイスステップ106の処理をハードウェアで実現したものであり、処理内容については、上述した図2のステップ101~106の処理内容と同様であるので、説明を省略する。
【0066】
図14に示す本実施形態の血圧計を用いた血行動態可視化システムにおいて、更に、健康・美容アドバイスを行うアドバイス部66を有することを特徴とする。アドバイス部66は、本発明により計算された血行動態データ(指標)を五行理論データと紐付けて、健康・美容・その他のアドバイスを行う。アドバイス部66の詳細処理については、上述したアドバイスステップ106の処理内容と同様であるので、説明を省略する。健康・美容・その他のアドバイスに利用される情報としては、各種情報が表示されるが、詳細情報はアドバイスステップ106の説明において、詳述したので説明を省略する。図10に示すように、本血行動態可視化システム6は、1台(親機)の実装されたアプリによる診断で、未病診断結果や美肌結果を表示しているクラウド情報(URL)を生成して、携帯通信端末(子機)8のカメラで読み取り、その携帯通信端末(子機)8において、1台目(親機)の端末に表示される内容と同じ情報を別の端末(子機)に瞬時に表示する機能である。メリットとしては、未病診断結果や美肌結果そのもののデータをすべて表示するのではなく、単にURLのみを生成して、未病診断結果や美肌結果はクラウド4上で表示処理されるため、瞬時(1秒未満)に同時表示ができる。クラウド4に接続する必要があるため、親機と子機の通信環境は必要であるが、個人情報保護のために結果を表示する期間を限定したり(数分から数カ月まで)、複数の端末に同時表示したりできる。また、URLをメール等で転送して、遠隔で情報共有も簡単である。いわゆる結果情報を仲間や家族同士で共有できるため、アプリの楽しさが加味される。
【0067】
図16は、図8の測定結果の可視化マップを五角形のレーダーチャートカラー階調表示した例を示す図である。図8で説明したように、五行の体調バランスは、スコアに応じて緑色、オレンジ色、赤色でカラー表示する。緑色は健康(0.7以上~1.3未満)、オレンジ色は未病(0.3以上~0.7未満または1.3以上~1.7未満)、赤色は病気(0.3未満、1.7以上)を表している。健康を示す範囲は、いずれも0.7以上1.30未満であり、表示された五角形のうち黄緑で着色されている。これにより被験者の体調バランスが視覚的に理解しやすくなっている。図16の例では、血圧傾向が高血圧傾向の場合を示している。五角形のレーダーチャート表示は、体調バランスが正常範囲のレーダーチャートと、被験者の体調バランスのレーダーチャートとの比較表示を含む。体調バランスが正常範囲のレーダーチャートは、0.7以上~1.3未満の範囲で正五角形の表示をしている。実際のカラー表示は薄緑色で表示している。
【0068】
被験者の最高血圧が157mmHg、最低血圧が95mmHg、脈拍が72bpmのとき、計算結果は木(肝)が1.27(健康)、火(心)が1.76(未病)、土(脾)が1.02(健康)、金(肺)が0.41(未病)、水(腎)が0.54(未病)となる。これらの数値で五角形を作成した場合、五角形が変形し、被験者の体調バランスが悪化していることを表している。総合得点は74点、ストレス度は高め70%を表示している。
【0069】
また、五角形のレーダーチャート表示は、五行理論の木(肝)、火(心)、土(脾)、金(肺)、水(腎)の各エレメントに関連する五臓六腑の被験者の体調バランスが悪化している状態を異なる色の五角形表示としている。例えば、異なる色は、健康を緑色、未病をオレンジ色、病気を赤色として例示しているが、視覚的に区別できる色であればよく、これらの色に限らない。
【0070】
同様に、図17に測定結果の可視化マップの五角形のレーダーチャート階調表示例を示す。図17の例では、血圧傾向が高めの場合を表示している。被験者の最高血圧が133mmHg、最低血圧が82mmHg、脈拍が93bpmのとき、計算結果は木(肝)が1.64(未病)、火(心)が1.28(健康)、土(脾)が0.67(未病)、金(肺)が0.47(未病)、水(腎)が0.95(健康)となる。これらの数値で五角形を作成した場合、五角形が変形し、被験者の体調バランスが悪化していることを表している。総合得点は77点、ストレス度は高め70%を表示している。
【0071】
図18に測定結果の可視化マップの五角形のレーダーチャート階調表示例を示す。図18の例では、血圧傾向が普通の場合を表示している。被験者の最高血圧が114mmHg、最低血圧が73mmHg、脈拍が55bpmのとき、計算結果は木(肝)が0.76(健康)、火(心)が1.03(健康)、土(脾)が1.32(未病)、金(肺)が1.1(健康)、水(腎)が0.79(健康)となる。これらの数値で五角形を作成した場合、五角形が少し変形し、被験者の体調バランスが良いことを表している。総合得点は77点、ストレス度は高め70%を表示している。
【0072】
図19に測定結果の可視化マップの五角形のレーダーチャート階調表示例を示す。図19の例では、血圧傾向が低めの場合を表示している。被験者の最高血圧が111mmHg、最低血圧が55mmHg、脈拍が80bpmのとき、計算結果は木(肝)が1.65(未病)、火(心)が0.78(健康)、土(脾)が0.44(未病)、金(肺)が0.66(未病)、水(腎)が1.48(未病)となる。これらの数値で五角形を作成した場合、五角形が変形し、被験者の体調バランスが悪い状態を表し、未病状態であることを表している。総合得点は72点、ストレス度は高め70%を表示している。
【0073】
このように、図16図19に示すような五角形のレーダーチャート可視化表示を行うことにより、被験者の五行の体調バランスの健康、未病、病気を視覚的に表示させることができる。ゆえに、視覚的な可視化表示は、被験者に対する行動変容のきっかけを与えることができる。
【0074】
このように、本実施形態によれば、血圧計を用いて測定するだけで、西洋医学的なアプローチで算出した血行動態に中医学の五行理論を適用し、体調バランス(健康、未病、病気)の可視化を行える血圧計を用いた血行動態可視化方法及び血圧計を用いた血行動態可視化システムを実現することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 血圧計
2 タブレット端末
3 通信ネットワーク
4 クラウド
5 クラウドサーバ
6 血行動態可視化システム
7 データベース
8 携帯通信端末
21 血行動態可視化アプリ
41 被験者
42 スタンド
43 机
52 タッチパネル画面
53 操作ボタン
54 カメラ
61 取得部
62 第1の計算部
63 推定部
64 第2の計算部
65 可視化部
66 アドバイス部
71 五行理論データベース
72 計算結果データ
73 血行動態パラメータデータ
74 相生-相剋関係データ
75 体調バランス標準モデルデータベース
76 食材データベース
77 香り/アロマデータベース
78 追加データベース
101 取得ステップ
102 第1の計算ステップ
103 推定ステップ
104 第2の計算ステップ
105 可視化ステップ
106 アドバイスステップ
601 血圧測定
602 タブレット端末画面に血圧測定結果入力
603 「結果を見る」ボタン押下
604 被験者の体調バランス(健康・未病・病気)可視化
605 2次元コード表示
606 携帯通信端末で2次元コード読取り
607 被験者の可視化結果を被験者の携帯通信端末に表示
【要約】      (修正有)
【課題】血圧計で測定するだけで、西洋医学的に算出した血行動態に中医学の五行理論を適用し、体調バランス(健康・未病・病気)の可視化を行える血行動態可視化方法。
【解決手段】血圧計を使用し、最高血圧、最低血圧、心拍数を取得する取得ステップと、取得した最高血圧、最低血圧、心拍数から血行動態パラメータを計算する第1の計算ステップと、計算した血行動態パラメータから、少なくとも心臓から駆出される動脈の血流量を含む血行動態パラメータの数値を推定する推定ステップと、取得した心拍数から駆出される動脈の血流量を推定し、大動脈弁開放時間を計算する第2の計算ステップと、中医学の相生と相剋の関係を示す五行理論に適用し、大動脈弁開放時間と血流量の数値から五行理論の木(肝)、火(心)、土(脾)、金(肺)、水(腎)の各エレメントの相関関係に変換して数値化し、体調バランスを可視化する可視化ステップとを有する。
【選択図】図2
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