(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】督促管理システム、督促管理方法及び督促管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/03 20230101AFI20240829BHJP
【FI】
G06Q40/03
(21)【出願番号】P 2024057795
(22)【出願日】2024-03-29
【審査請求日】2024-04-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524124352
【氏名又は名称】クレジットエンジン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 誓一郎
(72)【発明者】
【氏名】三好 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】坂本 伊左雄
(72)【発明者】
【氏名】向井 将平
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-077390(JP,A)
【文献】特開2022-050301(JP,A)
【文献】特開2008-009628(JP,A)
【文献】特開2013-101443(JP,A)
【文献】特開2015-106190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
債務の督促を管理する督促管理システムであって、
前記督促管理システムは、記憶部と、取得部と、決定部と、を備え、
前記記憶部は、債務者への督促内容に関する条件情報、前記債務者に関する債務者情報、を格納し、
前記条件情報は、複数種類の督促手段を含み、更に、当該督促手段ごとにその督促の実施に発生するコストを含み、
前記取得部は、債権者における督促の実施に利用可能なリソースに関するリソース情報を取得し、
前記リソース情報は、所定期間において督促の実施のために利用可能な予算を含み、
前記決定部は、前記
督促手段ごとのコスト、前記債務者情報、前記
予算、に基づいて、前記債務者
ごとに督促手段及び回数を決定する、
督促管理システム。
【請求項2】
前記債務者情報は、前記債務者から得られる行動に関する債務者行動情報を含む、
請求項1に記載の督促管理システム。
【請求項3】
前記督促管理システムは、予算管理部を備え、
前記予算管理部は、前記所定期間中における督促状況に応じた予算の残額を管理し、
前記決定部は、前記条件情報、前記債務者情報、前記残額、に基づいて、前記債務者ごとに督促内容を決定する、
請求項1に記載の督促管理システム。
【請求項4】
前記督促管理システムは、返済額判定部を備え、
前記取得部は、債権者が回収を目標とする目標回収額、当該目標回収額を債務者に返済させる目標回収額返済期限を取得し、
前記返済額判定部は、前記目標回収額、前記目標回収額返済期限、前記債務者からの返済額、に基づいて、当該債務者の返済状況を判定し、
前記決定部は、前記判定の結果に基づいて、前記債務者ごとに督促内容を決定する、
請求項1に記載の督促管理システム。
【請求項5】
前記取得部は、債務者端末を介して、前記債務者が前記債権者に対して連絡を行う予定の連絡予定日、又は、前記債務者が前記債権者に対して返済を行う予定の返済予定日、を取得し、
前記決定部は、前記債務者情報、前記連絡予定日及び/又は前記返済予定日、に基づいて、前記債務者に対して督促を実施しない不実施期間を決定する、
請求項1に記載の督促管理システム。
【請求項6】
前記督促管理システムは、予算分配部を備え、
前記予算分配部は、前記債務者情報に基づいて、当該債務者ごとに予算を分配する、
請求項1に記載の督促管理システム。
【請求項7】
前記督促手段は、メール、ショートメッセージ、オートコールを含み、
前記決定部は、前記督促手段ごとのコスト、前記債務者情報、前記予算、に基づいて、前記債務者ごとに督促手段を決定する、
請求項1に記載の督促管理システム。
【請求項8】
前記記憶部は、前記債務者に対して実施した督促の履歴情報を格納し、
前記決定部は、前記債務者情報、前記履歴情報、に基づいて、前記督促手段における督促表現を決定する、
請求項7に記載の督促管理システム。
【請求項9】
債務の督促を管理する督促管理システムが実行する督促管理方法であって、
前記督促管理システムは、記憶部と、取得部と、決定部と、を備え、
前記記憶部が、債務者への督促内容に関する条件情報、前記債務者に関する債務者情報、を格納するステップと、
前記条件情報は、複数種類の督促手段を含み、更に、当該督促手段ごとにその督促の実施に発生するコストを含み、
前記取得部が、債権者における督促の実施に利用可能なリソースに関するリソース情報を取得するステップと、
前記リソース情報は、所定期間において督促の実施のために利用可能な予算を含み、
前記決定部が、前記
督促手段ごとのコスト、前記債務者情報、前記
予算、に基づいて、前記債務者
ごとに督促手段及び回数を決定するステップと、を含む、
督促管理方法。
【請求項10】
債務の督促を管理する督促管理プログラムであって、
コンピュータを、記憶部と、取得部と、決定部と、として機能させ、
前記記憶部は、債務者への督促内容に関する条件情報、前記債務者に関する債務者情報、を格納し、
前記条件情報は、複数種類の督促手段を含み、更に、当該督促手段ごとにその督促の実施に発生するコストを含み、
前記取得部は、債権者における督促の実施に利用可能なリソースに関するリソース情報を取得し、
前記リソース情報は、所定期間において督促の実施のために利用可能な予算を含み、
前記決定部は、前記
督促手段ごとのコスト、前記債務者情報、前記
予算、に基づいて、前記債務者
ごとに督促手段及び回数を決定する、
督促管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、督促管理システム、督促管理方法及び督促管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、債務者に対して様々な内容で督促を行う技術が存在する。
【0003】
例えば、特許文献1には、メール、電話等で督促を行う技術が開示されている。また、特許文献2には、顧客が希望するメッセージに対応した合成音声で債務を通知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-077390号公報
【文献】特開2008-305039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メールによる督促と電話による督促では、その実施で得られる効果や発生するコストが異なる。また、債権者ごとに督促の実施に利用可能なリソースも異なる。しかしながら特許文献1及び2の技術では、債務者に対して様々な内容で督促を行うことができる一方、債権者のリソースを考慮した債務者に対する適切な督促の内容を決定することはできない。
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、債務者に対して実施する適切な督促の内容を決定する新たな技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、債務の督促を管理する督促管理システムであって、
前記督促管理システムは、記憶部と、取得部と、決定部と、を備え、
前記記憶部は、債務者への督促内容に関する条件情報、前記債務者に関する債務者情報、を格納し、
前記取得部は、債権者における督促の実施に利用可能なリソースに関するリソース情報を取得し、
前記決定部は、前記条件情報、前記債務者情報、前記リソース情報、に基づいて、前記債務者に対する督促内容を決定する。
【0008】
また、本発明は、債務の督促を管理する督促管理システムが実行する督促管理方法であって、
前記督促管理システムは、記憶部と、取得部と、決定部と、を備え、
前記記憶部が、債務者への督促内容に関する条件情報、前記債務者に関する債務者情報、を格納するステップと、
前記取得部が、債権者における督促の実施に利用可能なリソースに関するリソース情報を取得するステップと、
前記決定部が、前記条件情報、前記債務者情報、前記リソース情報、に基づいて、前記債務者に対する督促内容を決定するステップと、を含む。
【0009】
また、本発明は、債務の督促を管理する督促管理プログラムであって、
コンピュータを、記憶部と、取得部と、決定部と、として機能させ、
前記記憶部は、債務者への督促内容に関する条件情報、前記債務者に関する債務者情報、を格納し、
前記取得部は、債権者における督促の実施に利用可能なリソースに関するリソース情報を取得し、
前記決定部は、前記条件情報、前記債務者情報、前記リソース情報、に基づいて、前記債務者に対する督促内容を決定する。
【0010】
このような構成にすることで、債権者及び債務者に関する情報を利用した、適切な督促の内容を決定することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記債務者情報は、前記債務者から得られる行動に関する債務者行動情報を含む。
【0012】
このような構成にすることで、債務者から得られる行動を含む、債務者に関するより詳細な情報を利用することが可能となり、より適切な督促の内容を決定することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記条件情報は、督促の実施に発生するコストを含み、
前記リソース情報は、所定期間において督促の実施のために利用可能な予算を含み、
前記決定部は、前記コスト、前記債務者情報、前記予算、に基づいて、前記債務者ごとに督促内容を決定する。
【0014】
このような構成にすることで、債権者が利用可能な予算を含む、債権者に関するより詳細な情報を利用することが可能となり、より適切な督促の内容を決定することができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記督促管理システムは、予算管理部を備え、
前記予算管理部は、前記所定期間中における督促状況に応じた予算の残額を管理し、
前記決定部は、前記条件情報、前記債務者情報、前記残額、に基づいて、前記債務者ごとに督促内容を決定する。
【0016】
このような構成にすることで、債権者の予算と債務者の返済状況に応じて、より適切な督促の内容を決定することができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記督促管理システムは、返済額判定部を備え、
前記取得部は、債権者が回収を目標とする目標回収額、当該目標回収額を債務者に返済させる目標回収額返済期限を取得し、
前記返済額判定部は、前記目標回収額、前記目標回収額返済期限、前記債務者からの返済額、に基づいて、当該債務者の返済状況を判定し、
前記決定部は、前記判定の結果に基づいて、前記債務者ごとに督促内容を決定する。
【0018】
このような構成にすることで、債権者は、なるべく早く債務を返済して欲しい等の自身の事情に応じた督促の内容を決定することができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記条件情報は、複数種類の督促手段を含み、更に、当該督促手段ごとにその督促の実施に発生するコストを含み、
前記決定部は、前記督促手段ごとのコスト、前記債務者情報、前記予算、に基づいて、前記債務者ごとに督促手段及び回数を決定する。
【0020】
このような構成にすることで、複数種類の督促手段で督促を実施するような複雑な督促においても適切な督促の手段及び回数を決定することができる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記取得部は、債務者端末を介して、前記債務者が前記債権者に対して連絡を行う予定の連絡予定日、又は、前記債務者が前記債権者に対して返済を行う予定の返済予定日、を取得し、
前記決定部は、前記債務者情報、前記連絡予定日及び/又は前記返済予定日、に基づいて、前記債務者に対して督促を実施しない不実施期間を決定する。
【0022】
このような構成にすることで、不必要な督促の実施を防ぐために、督促の不実施期間を決定することができる。
【0023】
本発明の好ましい形態では、前記督促管理システムは、予算分配部を備え、
前記予算分配部は、前記債務者情報に基づいて、当該債務者ごとに予算を分配する。
【0024】
このような構成にすることで、債務者に応じた適切な予算を分配することが可能となり、より適切な督促の内容を決定することができる。
【0025】
本発明の好ましい形態では、前記督促手段は、メール、ショートメッセージ、オートコールを含み、
前記決定部は、前記督促手段ごとのコスト、前記債務者情報、前記予算、に基づいて、前記債務者ごとに督促手段を決定する。
【0026】
このような構成にすることで、督促手段ごとのコストを加味した、より適切な督促の内容を決定することができる。
【0027】
本発明の好ましい形態では、前記記憶部は、前記債務者に対して実施した督促の履歴情報を格納し、
前記決定部は、前記債務者情報、前記履歴情報、に基づいて、前記督促手段における督促表現を決定する。
【0028】
このような構成にすることで、債務者ごとにより適切な表現で督促を実施することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、債務者に対して実施する適切な督促の内容を決定する新たな技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本実施形態における督促管理システムの構成を示すブロック図。
【
図3】本実施形態における機能構成要素を示すブロック図。
【
図4】本実施形態における記憶部に格納されたデータ構成の一例。
【
図5】本実施形態における督促管理システムの概略イメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を用いて、本発明の督促管理システムについて説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、本発明は多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0032】
例えば、本実施形態では督促管理システムの構成、動作等について説明するが、実行される方法(ステップ)、装置、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態におけるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されても良いし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されても良いし、クライアント端末でその機能を実施するために外部のコンピュータにおいて当該プログラムを起動させても良い(いわゆるクラウドコンピューティング)。
【0033】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらハードウェア資源によって具体的に実現され得るソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含み得る。本実施形態において「情報」とは、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行され得る。
【0034】
広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)及びメモリ(Memory)等を適宜組み合わせることによって実現される回路である。即ち、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含むものである。
【0035】
<システム概要>
図1は、本実施形態における督促管理システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、督促管理システム0は、督促管理装置1、債権者装置2、債務者端末3、を備える。督促管理装置1は、通信ネットワークNWを介して債権者装置2、債務者端末3と通信可能に構成される。
【0036】
督促管理装置1は、債権者装置2が格納するリソース情報、債務者基本情報等を取得する。さらに、督促管理装置1は、記憶部に格納する情報、取得した情報、受け付けた情報等を利用して、債務者に対する督促の内容を決定する。督促管理装置1としては、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ等を利用することが可能である。また、複数のコンピュータを用いて督促管理装置1を構成することも可能である。
【0037】
本実施形態で督促とは、約束の履行や物事の実行を促すための通知等である。例えば、債務の返済期日前(延滞前)及び/又は返済期日後に債務者に対して実施するリマインド(返済期日等の債務に関するリマインド)、債務の返済期日後に債務者に対して実施する督促等の債務者に対して債務を促す行為等が含まれる。
【0038】
債権者装置2は、債権者からリソース情報等の入力を受け付けて督促管理装置1に送信する。例えば、リソース情報は、債権者における督促の実施に利用可能な予算や電話の回線数等が考えられる。また、債権者装置2は、債務者端末3を介して、債務者基本情報等を受け付ける。さらに、債権者は、債権者装置2を介して、返済期日等の自身の債権に関する情報を設定する。債権者装置2としては、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ等を利用することが可能である。また、債権者装置2としては、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等の端末装置を利用しても良い。
【0039】
債務者端末3は、債務者から債務者情報等の入力を受け付けて督促管理装置1に送信する。債務者情報は、債務者の性別、年齢、職業、連絡先等が考えられる。また、債務者は、債務者端末3を介して、月々の返済額の設定等、自身の債務に関する情報を設定しても良い。債務者端末3としては、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等の端末装置を利用することができる。
【0040】
通信ネットワークNWは、本実施形態では、IP(Internet Protocol)ネットワークであるが、通信プロトコルの種類に制限はなく、更に、ネットワークの種類、規模にも制限はない。
【0041】
<ハードウェア構成>
図2は、ハードウェア構成図である。
図2(a)に示すように、情報処理装置10(督促管理装置1及び債権者装置2)は、制御部101、記憶部102、及び通信部103を有し、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。
【0042】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)等の1又は2以上のプロセッサを含み、本発明に係る督促管理プログラム、OS(Operating System)やブラウザソフト、その他のアプリケーションを実行することで、督促管理装置1の動作処理全体を制御する。
【0043】
記憶部102は、HDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等であって、本発明に係る督促管理プログラム及び、制御部101がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。制御部101が記憶部102に記憶されている督促管理プログラムに基づき、処理を実行することによって、後述する機能構成が実現される。
【0044】
通信部103は、通信ネットワークNWとの通信制御を実行して、督促管理装置1を動作させるために必要な入力や、動作結果に係る出力を行う。
【0045】
図2(b)のように、端末装置9(債務者端末3)は、制御部91、記憶部92、通信部93、入力部94、及び出力部95を有し、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。
【0046】
端末装置9の制御部91は、CPU等の1以上のプロセッサを含み、端末装置9の動作処理全体を制御する。端末装置9の記憶部92は、HDD、ROM、RAM等であって、上述のアプリケーション及び、制御部91がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。端末装置9の通信部93は、ネットワークとの通信を制御する。端末装置9の入力部94は、マウス及びキーボード等であって、利用者/提供者による操作要求を制御部91に入力する。端末装置9の出力部95は、ディスプレイ等であって、制御部91の処理の結果等を表示する。
【0047】
<機能構成要素>
図3に示すように、督促管理装置1は、取得部11、決定部12、督促実施部13、予算管理部14、返済額判定部15、予算分配部16、債務者分類部17を備える。
【0048】
これら機能構成要素の配置は一例であり、督促管理装置1の備えた機能構成の一部が、債権者装置2や債務者端末3と通信可能に構成された1又は複数の装置に配置されても良い。
【0049】
<データ構成>
図4は、本実施形態における記憶部に格納されたデータ構成の一例である。督促管理装置1は、債務者への督促内容に関する条件情報、債務者に関する債務者情報(例えば、後述する、債務者基本情報、債務者行動情報、債務情報等)、リソース情報を記憶部に格納する。債権者装置2は、債務者の氏名、債務額、性別、年齢、職業、住所、電話番号、メールアドレス等の債務者基本情報を格納する。
【0050】
各データの配置も一例であり、督促管理装置1の記憶部に格納されたデータの一部又は全部が、債権者装置2や債務者端末3と通信可能に構成された1又は複数の装置に格納されても良い。同様に、債権者装置2の記憶部に格納されたデータの一部又は全部が、督促管理装置1や債務者端末3と通信可能に構成された1又は複数の装置に格納されても良い。また、債務者端末3の記憶部に格納されたデータの一部又は全部が、督促管理装置1や債権者装置2と通信可能に構成された1又は複数の装置に格納されても良い。
【0051】
条件情報は、債務者への督促内容に関する情報であって、督促の手段である督促手段、その督促の実施に発生するコスト等が考えられる。条件情報は、
図4(a)のように、督促手段、コスト、を含み、督促手段IDで管理される。督促手段は、1種類であっても複数種類であっても良い。督促手段が複数種類の場合、督促手段ごとにその督促の実施に発生するコストを含むことが考えられる。
【0052】
督促手段としては、メール、SMS(ショートメッセージ)、電話(例えば、オートコール、人間による電話等)、郵便物(例えば、督促状、リマインドのための債務に関する葉書等)の送付、プッシュ通知、人間による債務者の自宅への訪問、訴訟等が考えられる。コストは、その督促手段による督促を1度実施するのに発生する費用である。オートコールや人間による電話の場合のコストは、通話時間によって変動するため、通話時間を用いた計算式が格納されていても良いし、過去に発生した平均値であっても良い。また、SMSの場合のコストは、文字数によって変動するため、文字数を用いた計算式が格納されていても良いし、過去に発生した平均値であっても良い。督促手段によっては、人件費、郵便料金、交通費等がコストに考慮されていても良い。
【0053】
債務者情報は、債務者に関する情報である。債務者情報は、債務者固有の情報である債務者基本情報を含むことが考えられる。債務者基本情報は、
図4(b)のように、例えば、債務者の氏名、性別、年齢、職業、住所、電話番号、メールアドレス等を含み、債務者IDで管理される。
【0054】
また、債務者情報は、債務者から得られる行動に関する債務者行動情報を含んでいても良い。債務者行動情報は、
図4(c)のような情報を含み、債務者IDで管理される。債務者行動情報は、督促の開始後に得られる情報を含み、例えば、返済期日を記載したメールを送信したが返済がない、オートコールを掛けたが電話に出ない等の督促に対する債務者の行動(アクション等)に関する情報が考えられる。また、債務者行動情報は、複数回督促を実施して反応がない場合、督促を実施した回数を含んでいても良く、例えば、オートコールを10回実施したが1度も出ない等が考えられる。債務者行動情報は、更に、債務者が債務を返済した返済日等の、債務者が行動(返済)した日時に関する情報を含んでも良い。
【0055】
さらに、債務者情報は、債務者の債務に関する債務情報を含んでいても良い。債務情報は、
図4(d)のような情報を含み、債務者IDで管理される。例えば、債務情報は、債務者の債務額、債務の返済期日、月々の返済額等を含むことが考えられる。
【0056】
リソース情報は、債権者における督促の実施に利用可能なリソースに関する情報であり、
図4(e)のような情報を含み、債権者IDで管理される。リソース情報としては、債権者が所定期間(例えば、1日、1週間、1か月、1年)において督促の実施に利用可能な予算、オートコール等に利用可能な電話回線の数等が考えられる。
【0057】
<督促管理システムの概略>
図5は、本実施形態における督促管理システムの概略イメージ図である。本実施形態に係る督促管理システム0は、条件情報、債務者情報、リソース情報、に基づいて、債務者に対する督促内容を決定するシステムである。
【0058】
債務者は、債務者端末3を介して、債務者基本情報を債権者装置2へ送信する。債権者装置2は、受信した債務者基本情報を記憶部に格納する((A)を参照)。
【0059】
督促管理装置1は、債権者装置2が格納する債務者基本情報に基づいて、債務者情報を取得する。さらに、督促管理装置1は、債権者のリソース情報を取得する((B)を参照)。
【0060】
督促管理装置1は、条件情報、債務者情報、リソース情報、に基づいて、債務者に対する督促内容を決定する。督促管理装置1は、具体的には、督促手段、督促を実施する回数である督促回数、督促を実施する時間帯である督促時間帯、督促を実施する時期である督促時期、督促を案内するための案内文言等の少なくとも1つを決定する((C)を参照)。
【0061】
督促管理装置1は、決定した督促内容を債務者に対して実施する。督促管理装置1は、具体的には、債務者に対してメールの送信、オートコール等を実施する((D)を参照)。督促管理装置1は、督促の実施後に債務者に対して督促を実施して得られた行動に関する債務者行動情報を、債務者情報として記憶部に格納しても良い。
【0062】
<債務者情報の格納>
図6は、本実施形態における処理のフローチャートである。まず、ステップS601において、取得部11は、債務者基本情報を取得し、債務者情報として記憶部に格納する。取得部11は、債権者装置2を介して債務者基本情報を取得しても良いし、債務者端末3を介して取得しても良い。
【0063】
<リソース情報の取得>
また、ステップS602において、取得部11は、リソース情報を取得する。例えば、取得部11は、債権者装置2が格納するリソース情報を取得することが考えられる。また、債権者装置2はリソース情報を格納していなくても良く、例えば、債権者に委託された委託先等が債務者に対して電話を掛けることが考えられる。この場合、取得部11は、債権者の電話回線数ではなく、債権者が委託先との契約等によって利用可能な電話回線数を取得する必要があり、その情報を直接取得しても良い。
【0064】
<督促内容の決定>
ステップS603において、決定部12は、条件情報、債務者情報、リソース情報、に基づいて、債務者に対する督促内容(督促手段、督促回数、督促時間帯、督促時期、督促手段における表現(例えば、案内文言、督促を案内するための案内音声等)の少なくとも1つ)を決定する。
【0065】
条件情報として督促手段がオートコールのみであって1度のオートコールの実施に発生するコストが10円、更に、債務者情報として債務者の職業が格納され、リソース情報として債権者が1か月に利用可能な予算が10万円の場合を一例として挙げる。1か月の予算が10万円であって、1度のオートコールの実施に発生するコストが10円のため、1か月に1万回のオートコールが可能となる。また、債務者情報として債務者の職業が格納されているため、昼間に勤務している可能性が高い職業の者に対しては夜間にオートコールを掛ける方が好ましい。決定部12は、条件情報(コスト等)、債務者情報、リソース情報(予算等)、に基づいて、督促回数、督促時間帯を決定する。
【0066】
また、条件情報として督促手段がメール、オートコール、SMSであって1度のメール、オートコール、SMSの実施に発生するコストがそれぞれ0円、10円、20円、更に、債務者情報として債務者の職業、電話番号が格納され、リソース情報として債権者が1か月に利用可能な予算が10万円の場合を一例として挙げる。1か月の予算が10万円であって、1度のメール、オートコール、SMSの実施に発生するコストがそれぞれ0円、10円、20円のため、1か月に実施可能なオートコール、SMSの回数の合計には上限がある。また、債務者情報として債務者の職業が格納されているため、昼間に勤務している可能性が高い職業の者に対しては夜間にオートコールを掛ける方が好ましい。さらに、夜勤がある可能性がある職業の者に対してはメールやSMSの送信を中心にすることが好ましい。この他にも、債務者の電話番号として固定電話が格納されている場合、SMSを送信することができない。決定部12は、条件情報(督促手段ごとのコスト等)、債務者情報、リソース情報(予算等)、に基づいて、債務者ごとに督促手段、督促回数、督促時間帯、を決定する。
【0067】
さらに、債務者行動情報として、ある債務者に対して、ある督促手段(メール、電話等)、督促回数(例えば、10回)で督促を実施した場合の債務者からの返済に関する行動(債務の返済、返済予定日の連絡、ウェブページへのログイン等)の有無を一例として挙げる。
【0068】
例えば、ある債務者に対してメールで10回の督促を実施し、返済に関する行動(アクション)が何も得られなかった場合、その督促手段によるその回数の実施では債務者からのアクションなし、という債務者行動情報が得られる。決定部12は、債務者行動情報に基づいて、その督促手段が有効でないと判定し、その債務者に対してその督促手段以外の督促手段を決定しても良い。例えば、記憶部が督促手段に閾値を紐づけて格納(例えば、メールに10回を紐づけて格納等)し、その閾値の回数の督促手段を実施しても債務者からアクションがない場合、決定部12は、その督促手段が有効でないと判定する。
【0069】
また、債務者行動情報として、債務者が債務を返済した返済日を一例として挙げる。決定部12は、返済日に基づいて、債務者が返済しやすい日を判定し、債務者に対して督促を実施する時期である督促時期を決定しても良い。例えば、複数回の返済日が26日以降の月末に集中している場合、決定部12は、その債務者が月末に返済しやすいと判定できる。決定部12は、過去の債務者行動情報(返済日)に基づいて、債務者が返済しやすい日を判定し、今後は判定した日に近い日(判定した日の数日前等)に督促の実施を行うこと(督促時期)を決定しても良い。
【0070】
この他にも、決定部12は、過去の督促時期、債務者からのアクションの有無、に基づいて、債務者がアクションしやすい時間や日を判定し、債務者に対して督促を実施する督促時期を決定しても良い。例えば、夜間のオートコールへの反応がなく、昼間のオートコールへの反応があった債務者に対しては、決定部12は、昼間にオートコールを行うことを決定する。また、月の初め、月の半ば、月の終わり、にメールで督促を実施し、月の初めの直後に債務者からの返済があった場合、決定部12は、その債務者に対して今後は月の初めに近い日に督促の実施を行うことを決定しても良い。
【0071】
さらに、決定部12は、特定の月に督促を実施すること(督促時期)を決定しても良い。例えば、6、7月に夏季、12月に冬季のボーナスが支給されることが一般的に多い。決定部12は、債務者の職業に基づいて、債務者にボーナスが支給され得るか否かを判定し、督促時期を決定する。例えば、債務者が働いている場合、ボーナスを得る可能性があるため、決定部12は、働いている債務者に対しては、ボーナスが支給される月や、債務者に自身の債務を思い出させるためにその前の月に督促を実施することを決定することが考えられる。
【0072】
また、債務者がお金を得る日(給料日、ボーナス支給日、年金受給日等)を債務者基本情報として受け付けている場合、決定部12は、その日の付近に督促を実施することを決定しても良い。具体的には、決定部12は、債務者がお金を得る日の当日、数日前、数日後、に督促を実施することを決定する。
【0073】
さらに、決定部12は、他の月よりも多くの督促を実施する月(督促時期及び督促回数)を決定しても良い。ボーナスが支給された債務者は、債務の返済をする可能性が高いと考えられる。よって、決定部12は、ボーナスが支給される債務者に対して、その月に督促回数を増加することを決定する。また、決定部12は、ボーナスが支給される債務者に対して自身の債務を思い出させるために、ボーナスが支給される前の月に督促回数を増加することを決定しても良い。
【0074】
さらに、債務者ごとに督促内容を決定するために、予算管理部14は、所定期間中における督促状況に応じた予算の残額を管理する。例えば、1か月の予算が10万円にもかかわらず、コストが0円のメールによる督促によってほとんどの債務者が債務を返済した場合、1か月の予算が余ることになる。この場合、残りの債務者に対して、よりコストが発生する督促手段を実施することや、より多くの督促回数による督促を実施することを決定する。
【0075】
決定部12は、条件情報、債務者情報、残額、に基づいて、債務者ごとに督促内容を決定する。具体的には、所定期間中(例えば、1か月)において債権者等によって設定された期間(例えば、3週間)が経っても予算の残額がある閾値以上(例えば、1か月の予算の半分以上)の場合、決定部12は予算の残額を使い切るように督促内容を決定しても良い。
【0076】
さらに、決定部12は、債務者に対して実施した督促の履歴に関する履歴情報に基づいて、督促手段における表現を決定しても良い。履歴情報は、債務者に対して実施した督促の回数等が考えられる。督促手段における表現とは、債務者に対して送信するメール(件名及び本文)、SMS(メッセージ)、郵便物(葉書等)の記載内容、及び、債務者に対して掛けるオートコールの発話内容、が考えられる。複数回の督促を実施しても返済に関するアクションが何もない債務者に対しては、督促手段における表現を変更することが考えられる。
【0077】
例えば、返済期日が過ぎても返済がない場合、債務者が単純に返済を失念しているだけの可能性もあるため、決定部12は、返済期日後の所定回数まで(例えば、3回まで)は債務の返済を優しく促すような記載内容のメール又は発話内容のオートコール、で督促を実施することを決定する。債務の返済を優しく促すような内容とは、例えば、債務の返済期日が到達する前と同様の内容であって、例えば、債務のリマインド等、が考えられる。この他にも、返済期日が過ぎたことを示す内容等が考えられる。
【0078】
一方、返済期日後に所定回数の督促を実施したにもかかわらず債務の返済がない場合、決定部12は、債務の返済を強く促すような記載内容のメール又は発話内容のオートコール、で督促を実施することを決定する。債務の返済を強く促すような内容とは、債務の返済がない場合に債権者が今後取る可能性がある内容を含むことが考えられ、例えば、法的手段を取ることの示唆等を含むことが考えられる。
【0079】
記憶部が、複数種類の記載内容(メール、SMS、郵便物等)及び発話内容(オートコール)を格納し、更に、それぞれの記載内容及び発話内容に所定回数を格納することによって、決定部12は、債務者ごとに督促手段における表現を決定することができる。
【0080】
<督促の実施>
ステップS604において、督促実施部13は、ステップS603において決定部12が決定した督促内容を実施する。督促実施部13は、決定部12がメールでの督促を決定した場合は債務者に対してメールを送信しても良いし、決定部12がオートコールでの督促を決定した場合は債務者に対してオートコールを掛ける指示等を端末等に送信することが考えられる。
【0081】
<債権者の目標回収額を用いた督促内容の決定>
取得部11は、債権者が回収を目標とする目標回収額、その目標回収額を債務者に返済させる目標回収額返済期限を取得しても良い。債権者は、自身が有する債権全体に対して回収を目標とする目標回収額を設定しても良いし、ある債務者に対して回収を目標とする目標回収額を設定しても良い。目標回収額返済期限は、特定の日付(例えば、2024年6月30日)や期間(1か月後)までの期限が考えられる。
【0082】
返済額判定部15は、目標回収額、目標回収額返済期限、債務者からの返済額、に基づいて、債務者の返済状況を判定する。具体的には、返済額判定部15は、目標回収額返済期限に到達した時点での債務者からの返済額と目標回収額を比較し、返済額が目標回収額に達しているか否かを判定する。また、返済額判定部15は、目標回収額に対する債務者からの返済額の割合を算出しても良い。
【0083】
決定部12は、判定の結果に基づいて、債務者ごとに督促内容(例えば、督促手段の変更、督促回数の増加等)を決定する。具体的には、決定部12は、目標回収額返済期限に到達した時点で債務者からの債務が目標回収額に到達していない場合、督促内容を決定すること(よりコストが発生する督促手段への変更や督促回数の増加)等が考えられる。この他にも、決定部12は、目標回収額返済期限に到達した時点での目標回収額に対する債務者からの返済額の割合に基づいて、督促内容を決定すること等が考えられる。
【0084】
債権者が目標回収額及び目標回収額返済期限を設定することによって、債権者の事情に応じた督促を行うことが可能となる。例えば、債権者の都合で返済期日前に債務者からの返済を希望する場合が考えられる。返済期日に到達していないので債務者に対して返済を強要することはできないが、リマインドを実施することによって債務者が自身の債務を認識するため債務の返済を行うことを期待できる。また、債務者の債務額が多額であって月々の返済額等が設定されていないような場合、債務者が一括でその金額を返済することは現実的ではないと考えられる。債権者は、このような者に対して目標回収額及び目標回収額返済期限を設定し、定期的な債務の返済を促すことが考えられる。
【0085】
<債務者の連絡予定日及び返済予定日を用いた督促内容の決定>
取得部11は、債務者端末3を介して、債務者が債権者に対して連絡を行う予定の連絡予定日、又は、債務者が債権者に対して返済を行う予定の返済予定日、を取得しても良い。債務者が忙しい場合、債権者に対して直ぐに連絡を行えないことが考えられる。また、数日後にお金が入って債務の返済を行える債務者が存在することが考えられる。例えば、債務者に送信されるメールに、連絡予定日又は返済予定日を入力できるようなページに遷移するURL(Uniform Resource Locator)を記載することによって、債務者は、連絡を行える日や返済を行う予定の日を簡易に入力することが可能となる。そして、債権者は、債務者の状況を把握することができる。
【0086】
決定部12は、債務者情報、連絡予定日及び/又は返済予定日、に基づいて、債務者に対して督促を実施しない不実施期間を決定する。債務者が債権者に対して連絡又は返済を行う予定日が決まっているにもかかわらず督促を実施すると不必要なコストが発生する。よって、例えば、決定部12は、連絡予定日及び/又は返済予定日が過ぎるまでは債務者に対して督促を実施しないことを決定しても良い。また、決定部12は、予定日の数日前又は数日後までは督促を実施しないことを決定しても良い。
【0087】
<債務者ごとに予算を分配する督促内容の決定>
予算分配部16は、債務者情報に基づいて、当該債務者ごとに予算を分配する。債務者によって債務額や債務の返済期日が異なるため、債務者によっては、よりコストが発生する督促手段を実施したり、より多くの督促回数を実施したりすることが返済を促すのに好ましいことが考えられる。債務者ごとに異なる予算を分配することによって、特定の債務者に対して債務の返済を促すことが可能となる。
【0088】
例えば、予算分配部16は、債務情報に基づいて、より多額の債務を抱える債務者に対して、より多くの予算を分配することが考えられる。また、予算分配部16は、債務者行動情報に基づいて、なかなかアクションを行わない債務者に対して、より多くの予算を分配することが考えられる。この他にも、予算分配部16は、債務者基本情報に基づいて、より高齢な債務者に対して、より多くの予算を分配することが考えられる。
【0089】
さらに、予算分配部16は、債権者の入力した優先度に基づいて、債務者ごとに予算を分配しても良い。債権者によって督促を実施したい債務者が異なることが考えられる。予算分配部16は、債権者の入力した優先度がより高い者に対して、より多くの予算を分配しても良い。
【0090】
<債務者のグルーピングによる督促内容の決定>
債務者分類部17は、債務者情報に基づいて、債務者をグルーピングする。決定部12は、債務者分類部17がしたグルーピングに基づいて、督促内容を決定しても良い。
【0091】
例えば、債務者分類部17は、債務者行動情報に基づいて、過去に返済したことがあるグループ、過去に返済したことがないグループ、に債務者をグルーピングする。決定部12は、過去に返済したことがあるグループの債務者に対しては、過去に返済したことがある日やその数日前に督促を集中させること(督促時期)を決定することが考えられる。また、決定部12は、過去に返済したことがないグループの債務者に対しては、なるべく早く連絡を取るための督促内容を決定する。債務者となるべく早く連絡を取るために決定部12は、よりコストが発生する督促手段の実施やより多くの督促回数の実施を決定することが考えられる。また、債務者となるべく早く連絡を取るために予算分配部16がその債務者の優先度を高くし、より多くの予算を分配しても良い。
【0092】
さらに、債務者分類部17は、債務情報に基づいて、債務額が少額の債務者をグルーピングする。例えば、債務額が10万円以下の債務者は返済する確率が高いため、決定部12は、債務額が少額のグループの債務者に対しては、なるべく早く督促を実施すること(督促時期)を決定する。
【0093】
以上のように、本発明の構成によれば、債務者に対して実施する適切な督促の内容を決定する新たな技術を提供することができる。
【符号の説明】
【0094】
0 督促管理システム
1 督促管理装置
11 取得部
12 決定部
13 督促実施部
14 予算管理部
15 返済額判定部
16 予算分配部
17 債務者分類部
2 債権者装置
3 債務者端末
NW 通信ネットワーク
【要約】
【課題】
債務者に対して実施する適切な督促の内容を決定する新たな技術を提供すること。
【解決手段】
督促管理システム0は、記憶部と、取得部と、決定部と、を備える。記憶部は、債務者への督促内容に関する条件情報、債務者に関する債務者情報、を格納する。取得部は、債権者における督促の実施に利用可能なリソースに関するリソース情報を取得する。決定部は、条件情報、債務者情報、リソース情報、に基づいて、債務者に対する督促内容を決定する。
【選択図】
図1