(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】超音波診断装置、医用画像処理装置、及び超音波画像表示プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A61B8/14
(21)【出願番号】P 2019012767
(22)【出願日】2019-01-29
【審査請求日】2021-11-29
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】穐山 充男
(72)【発明者】
【氏名】平山 貢大
(72)【発明者】
【氏名】安藤 広治
(72)【発明者】
【氏名】大井 伸秀
【合議体】
【審判長】樋口 宗彦
【審判官】▲高▼見 重雄
【審判官】伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-42725(JP,A)
【文献】特開2010-11964(JP,A)
【文献】特開2013-144050(JP,A)
【文献】特表2017-519544(JP,A)
【文献】特開2006-23686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査モードの種類と、スキャンの種類とのうち少なくとも1つを含む画像種が対応する超音波画像群を含む複数の超音波画像を表示部の同一画面上に並列に表示可能な超音波診断装置であって、
ユーザの操作に従って、並列表示された前記複数の超音波画像に含まれる前記超音波画像群のいずれか一の超音波画像に対して表示態様が変更された場合に、前記超音波画像群のうち前記表示態様が変更されていない超音波画像に対して前記操作に対応する表示態様の変更を行う一方で、前記複数の超音波画像に含まれる前記画像種が対応しない超音波画像に対して表示態様の変更を行わない表示制御部、
を有する超音波診断装置。
【請求項2】
前記表示態様の変更は、移動と、拡大又は縮小と、ゲイン調整とのうち少なくとも1つである、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記画像種は、前記検査モードの種類と、前記スキャンの種類とのうち少なくとも1つに加え、ビューの種類と、フェーズの種類と、レイアウトの種類とのうち少なくとも1つを含む、
請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記複数の超音波画像のうち前記一の超音波画像のみの表示態様を前記表示態様の変更操作に従って変更する第1のモードと、前記複数の超音波画像の全ての表示態様を前記表示態様の変更操作に従って変更する第2のモードと、前記一の超音波画像と前記一の超音波画像の画像種に対応する超音波画像との表示態様を前記表示態様の変更操作に従って変更する第3のモードとのいずれか1つを、操作者が操作可能な入力部からの指示により設定する設定部と、
前記第3のモードが設定された場合に、前記一の超音波画像の画像種に対応する超音波画像を特定する特定部と、
を備える請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記一の超音波画像の表示態様の変更操作の内容を変更履歴として記憶部に登録する受付部を備え、
前記表示制御部は、表示されてない超音波画像の表示要求があると、前記記憶部から取得された変更履歴の内容を前記表示されていない超音波画像に反映させることで前記表示されていない超音波画像を初期表示させる、
請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記受付部は、前記一の超音波画像の表示態様の変更操作の内容に画像種を対応付けたものを前記変更履歴として前記記憶部に登録する、
請求項
5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
検査モードの種類と、スキャンの種類とのうち少なくとも1つを含む画像種が対応する医用画像群を含む複数の医用画像を表示部の同一画面上に並列に表示可能な医用画像処理装置であって、
ユーザの操作に従って、並列表示された前記複数の医用画像に含まれる前記医用画像群のいずれか一の医用画像に対して表示態様が変更された場合に、前記医用画像群のうち前記表示態様が変更されていない医用画像に対して前記操作に対応する表示態様の変更を行う一方で、前記複数の医用画像に含まれる前記画像種が対応しない医用画像に対して表示態様の変更を行わない表示制御部、
を有する医用画像処理装置。
【請求項8】
コンピュータに、
検査モードの種類と、スキャンの種類とのうち少なくとも1つを含む画像種が対応する超音波画像群を含む複数の超音波画像を表示部の同一画面上に並列に表示する機能と、
ユーザの操作に従って、並列表示された前記複数の超音波画像に含まれる前記超音波画像群のいずれか一の超音波画像に対して表示態様が変更された場合に、前記超音波画像群のうち前記表示態様が変更されていない
超音波画像に対して前記操作に対応する表示態様の変更を行う一方で、前記複数の超音波画像に含まれる前記画像種が対応しない超音波画像に対して表示態様の変更を行わない機能と、
を実現させる超音波画像表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波診断装置、医用画像処理装置、及び超音波画像表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用分野では、超音波プローブの複数の振動子(圧電振動子)を用いて発生させた超音波を利用して、被検体内部を画像化する超音波診断装置が使用されている。超音波診断装置は、超音波診断装置に接続された超音波プローブから被検体内に超音波を送信させ、反射波に基づくエコー信号を生成し、画像処理によって所望の超音波画像を得る。
【0003】
超音波診断装置は、ストレスエコー法等によって生成された複数の超音波画像を同一画面上にて表示させる機能を備える。また、超音波診断装置は、同一画面上に表示された複数の超音波画像のいずれかに対する表示態様の変更操作を受け付け、当該超音波画像の表示態様の変更を行うことができる。表示態様の変更操作は、例えば、移動(Pan)操作や拡大(Zoom-IN)又は縮小(Zoom-Out)操作である。
【0004】
さらに、超音波診断装置は、同一画面上に表示された表示された複数の超音波画像のうちいずれかの超音波画像で行われた表示態様の変更操作を、他の全ての超音波画像に対しても反映させることができる。これにより、他の全ての超音波画像に対して、操作対象の超音波画像に対して行ったのと同様の変更操作を行う手間を省くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、同一画面上に表示された複数の医用画像のうちある医用画像に対して行われた表示態様の変更操作を、他の医用画像に効果的に反映することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る、複数の超音波画像を表示部の同一画面上に表示可能な超音波診断装置は、受付部と、特定部と、表示制御部とを有する。受付部は、同一画面上に表示された複数の超音波画像のいずれかである第1の超音波画像の表示態様の変更操作を受け付ける。特定部は、同一画面上に表示された複数の超音波画像の中のその他の超音波画像のうち、画像種が第1の超音波画像の画像種に対応する1又は複数の第2の超音波画像を特定する。表示制御部は、同一画面上に表示された複数の超音波画像のうち第1の超音波画像と第2の超音波画像との表示態様を表示態様の変更操作に従って変更する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す概略図。
【
図2】
図2は、実施形態に係る超音波診断装置の機能を示すブロック図。
【
図3】
図3は、実施形態に係る超音波診断装置の動作をフローチャートとして示す図。
【
図4】
図4は、実施形態に係る超音波診断装置において、同一画面上における複数の超音波画像の第1表示例を示す図。
【
図5】
図5は、実施形態に係る超音波診断装置において、同一画面上における複数の超音波画像の第2表示例を示す図。
【
図6】
図6は、実施形態に係る超音波診断装置において、同一画面上における複数の超音波画像の第3表示例を示す図。
【
図7】
図7は、実施形態に係る超音波診断装置において、連動モードの設定方法の一例を示す表示画面を示す図。
【
図8】
図8は、実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示す概略図。
【
図9】
図9は、実施形態に係る医用画像処理装置の機能を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、超音波診断装置、医用画像処理装置、及び超音波画像表示プログラムの実施形態について詳細に説明する。
【0010】
1.超音波診断装置
図1は、実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す概略図である。
【0011】
図1は、実施形態に係る超音波診断装置10を示す。また、
図1は、超音波プローブ20と、入力インターフェース30と、ディスプレイ40とを示す。なお、超音波診断装置10に、超音波プローブ20と、入力インターフェース30と、ディスプレイ40とのうちの少なくとも1個を加えた装置を超音波診断装置と称する場合もある。以下の説明では、超音波診断装置10の外部に、超音波プローブ20と、入力インターフェース30と、ディスプレイ40との全てが備えられる場合について説明する。
【0012】
超音波診断装置10は、送受信回路11と、Bモード処理回路12と、ドプラ処理回路13と、画像生成回路14と、画像メモリ15と、ネットワークインターフェース16と、処理回路17と、メインメモリ18とを備える。回路11~14は、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)等によって構成されるものである。しかしながら、その場合に限定されるものではなく、回路11~14の機能の全部又は一部は、処理回路17がプログラムを実行することで実現されるものであってもよい。
【0013】
送受信回路11は、送信回路及び受信回路(図示省略)を有する。送受信回路11は、処理回路17による制御の下、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。なお、送受信回路11が超音波診断装置10に設けられる場合について説明するが、送受信回路11は、超音波プローブ20に設けられてもよいし、超音波診断装置10及び超音波プローブ20の両方に設けられてもよい。なお、送受信回路11は、送受信部の一例である。
【0014】
送信回路は、パルス発生回路、送信遅延回路、及びパルサ回路等を有し、超音波振動子に駆動信号を供給する。パルス発生回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。送信遅延回路は、超音波プローブ20の超音波振動子から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生回路が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサ回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波振動子に駆動パルスを印加する。送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波ビームの送信方向を任意に調整する。
【0015】
受信回路は、アンプ回路、A/D(Analog to Digital)変換器、及び加算器等を有し、超音波振動子が受信したエコー信号を受け、このエコー信号に対して各種処理を行ってエコーデータを生成する。アンプ回路は、エコー信号をチャンネル毎に増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正されたエコー信号をA/D変換し、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、A/D変換器によって処理されたエコー信号の加算処理を行ってエコーデータを生成する。加算器の加算処理により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
【0016】
Bモード処理回路12は、処理回路17による制御の下、受信回路からエコーデータを受信し、対数増幅、及び包絡線検波処理等を行って、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(2次元又は3次元データ)を生成する。このデータは、一般に、Bモードデータと呼ばれる。なお、Bモード処理回路12は、Bモード処理部の一例である。
【0017】
なお、Bモード処理回路12は、フィルタ処理により、検波周波数を変化させることで、映像化する周波数帯域を変えることができる。Bモード処理回路12のフィルタ処理機能を用いることにより、コントラストハーモニックイメージング(CHI:Contrast Harmonic Imaging)や、ティッシュハーモニックイメージング(THI:Tissue Harmonic Imaging)等のハーモニックイメージングを実行可能である。すなわち、Bモード処理回路12は、造影剤が注入された被検体の反射波データから、造影剤(微小気泡、バブル)を反射源とするハーモニック成分の反射波データ(高調波データ又は分周波データ)と、被検体内の組織を反射源とする基本波成分の反射波データ(基本波データ)とを分離することができる。Bモード処理回路12は、また、ハーモニック成分の反射波データ(受信信号)から、造影画像データを生成するためのBモードデータを生成することができ、また、基本波成分の反射波データ(受信信号)から、基本波(ファンダメンタル)画像データを生成するためのBモードデータを生成することができる。
【0018】
また、Bモード処理回路12のフィルタ処理機能を用いることによるTHIにおいて、被検体の反射波データから、ハーモニック成分の反射波データ(受信信号)である高調波データ又は分周波データを分離することができる。そして、Bモード処理回路12は、ハーモニック成分の反射波データ(受信信号)から、ノイズ成分を除去した組織画像データを生成するためのBモードデータを生成することができる。
【0019】
さらに、CHIやTHIのハーモニックイメージングを行なう際、Bモード処理回路12は、上述したフィルタ処理を用いた方法とは異なる方法により、ハーモニック成分を抽出することができる。ハーモニックイメージングでは、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)法や位相変調(PM:Phase Modulation)法、AM法及びPM法を組み合わせたAMPM法と呼ばれる映像法が行なわれる。AM法、PM法及びAMPM法では、同一の走査線に対して振幅や位相が異なる超音波送信を複数回行なう。これにより、送受信回路11は、各走査線で複数の反射波データ(受信信号)を生成し出力する。そして、Bモード処理回路12は、各走査線の複数の反射波データ(受信信号)を、変調法に応じた加減算処理することで、ハーモニック成分を抽出する。そして、Bモード処理回路12は、ハーモニック成分の反射波データ(受信信号)に対して包絡線検波処理等を行なって、Bモードデータを生成する。
【0020】
例えば、PM法が行なわれる場合、送受信回路11は、処理回路17が設定したスキャンシーケンスにより、例えば(-1,1)のように、位相極性を反転させた同一振幅の超音波を、各走査線で2回送信させる。そして、送受信回路11は、「-1」の送信による受信信号と、「1」の送信による受信信号とを生成し、Bモード処理回路12は、これら2つの受信信号を加算する。これにより、基本波成分が除去され、2次高調波成分が主に残存した信号が生成される。そして、Bモード処理回路12は、この信号に対して包絡線検波処理等を行なって、THIのBモードデータやCHIのBモードデータを生成する。
【0021】
又は、例えば、THIでは、受信信号に含まれる2次高調波成分と差音成分とを用いて映像化を行なう方法が実用化されている。差音成分を用いた映像化法では、例えば、中心周波数が「f1」の第1基本波と、中心周波数が「f1」より大きい「f2」の第2基本波とを合成した合成波形の送信超音波を、超音波プローブ20から送信させる。この合成波形は、2次高調波成分と同一の極性を持つ差音成分が発生するように、互いの位相が調整された第1基本波の波形と第2基本波の波形とを合成した波形である。送受信回路11は、合成波形の送信超音波を、位相を反転させながら、例えば、2回送信させる。かかる場合、例えば、Bモード処理回路12は、2つの受信信号を加算することで、基本波成分が除去され、差音成分及び2次高調波成分が主に残存したハーモニック成分を抽出した後、包絡線検波処理等を行なう。
【0022】
ドプラ処理回路13は、処理回路17による制御の下、受信回路からのエコーデータから速度情報を周波数解析し、平均速度、分散、パワー等の移動体の移動情報を多点について抽出したデータ(2次元又は3次元データ)を生成する。このデータは、一般に、ドプラデータと呼ばれる。ここで、移動体とは、例えば、血流や、心壁等の組織、造影剤である。なお、ドプラ処理回路13は、ドプラ処理部の一例である。
【0023】
画像生成回路14は、処理回路17による制御の下、超音波プローブ20が受信したエコー信号に基づいて、所定の輝度レンジで表現された超音波画像を画像データとして生成する。例えば、画像生成回路14は、超音波画像として、Bモード処理回路12によって生成された2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度にて表したBモード画像を生成する。また、画像生成回路14は、超音波画像として、ドプラ処理回路13によって生成された2次元のドプラデータから移動態情報を表す平均速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらの組み合わせ画像としてのカラードプラ画像を生成する。なお、画像生成回路14は、画像生成部の一例である。
【0024】
ここで、画像生成回路14は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成回路14は、超音波プローブ20による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成回路14は、スキャンコンバート以外に、種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成回路14は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
【0025】
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成回路14が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。画像生成回路14は、スキャンコンバート処理前の2次元超音波画像データから、表示用の2次元超音波画像データを生成する。
【0026】
画像メモリ15は、1フレーム当たり2軸方向に複数のメモリセルを備え、それを複数フレーム分備えたメモリである2次元メモリを含む。画像メモリ15としての2次元メモリは、処理回路17の制御による制御の下、画像生成回路14によって生成された1フレーム、又は、複数フレームに係る超音波画像を2次元画像データとして記憶する。なお、画像メモリ15は、記憶部の一例である。
【0027】
さらに、画像生成回路14は、Bモード処理回路12によって生成された3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路14は、ドプラ処理回路13によって生成された3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元ドプラ画像データを生成する。画像生成回路14は、「3次元のBモード画像データや3次元ドプラ画像データ」を「3次元超音波画像データ(ボリュームデータ)」として生成する。
【0028】
画像メモリ15は、3軸方向(X軸、Y軸、及びZ軸方向)に複数のメモリセルを備えたメモリである3次元メモリを含む場合もある。画像メモリ15としての3次元メモリは、処理回路17の制御による制御の下、画像生成回路14によって生成された超音波画像をボリュームデータとして記憶する。
【0029】
そして、画像生成回路14は、3次元メモリに記憶されたボリュームデータをディスプレイ40にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行なう。画像生成回路14は、レンダリング処理として、例えば、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行なってボリュームデータからMPR画像データを生成する処理を行う。また、画像生成回路14は、レンダリング処理として、例えば、3次元の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理を行う。
【0030】
ネットワークインターフェース16は、ネットワークの形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。ネットワークインターフェース16は、この各種プロトコルに従って、超音波診断装置10と、外部の医用画像管理装置60及び医用画像処理装置70等の他の機器とを接続する。この接続には、電子ネットワークを介した電気的な接続等を適用することができる。ここで、電子ネットワークとは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、無線/有線の病院基幹のLAN(Local Area Network)やインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワーク及び衛星通信ネットワーク等を含む。
【0031】
また、ネットワークインターフェース16は、非接触無線通信用の種々のプロトコルを実装してもよい。この場合、超音波診断装置10は、例えば超音波プローブ20と、ネットワークを介さず直接にデータ送受信することができる。なお、ネットワークインターフェース16は、ネットワーク接続部の一例である。
【0032】
処理回路17は、専用又は汎用のCPU(central processing unit)、MPU(micro processor unit)、又はGPU(Graphics Processing Unit)の他、ASIC、及び、プログラマブル論理デバイス等を意味する。プログラマブル論理デバイスとしては、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:simple programmable logic device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:complex programmable logic device)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)等が挙げられる。
【0033】
また、処理回路17は、単一の回路によって構成されてもよいし、複数の独立した回路要素の組み合わせによって構成されてもよい。後者の場合、メインメモリ18は回路要素ごとに個別に設けられてもよいし、単一のメインメモリ18が複数の回路要素の機能に対応するプログラムを記憶するものであってもよい。なお、処理回路17は、処理部の一例である。
【0034】
メインメモリ18は、RAM(random access memory)、フラッシュメモリ(flash memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等によって構成される。メインメモリ18は、USB(universal serial bus)メモリ及びDVD(digital video disk)等の可搬型メディアによって構成されてもよい。メインメモリ18は、処理回路17において用いられる各種処理プログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(operating system)等も含まれる)や、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。また、OSに、操作者に対するディスプレイ40への情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力インターフェース30によって行うことができるGUI(graphical user interface)を含めることもできる。なお、メインメモリ18は、記憶部の一例である。
【0035】
超音波プローブ20は、前面部に複数個の微小な振動子(圧電素子)を備え、スキャン対象を含む領域、例えば管腔体を含む領域に対して超音波の送受波を行う。各振動子は電気音響変換素子であり、送信時には電気パルスを超音波パルスに変換し、また、受信時には反射波を電気信号(受信信号)に変換する機能を有する。超音波プローブ20は小型、軽量に構成されており、ケーブル(又は無線通信)を介して超音波診断装置10に接続される。
【0036】
超音波プローブ20は、スキャン方式の違いにより、リニア型、コンベックス型、及びセクタ型等の種類に分けられる。また、超音波プローブ20は、アレイ配列次元の違いにより、アジマス方向に1次元(1D)的に複数個の振動子が配列された1Dアレイプローブと、アジマス方向かつエレベーション方向に2次元(2D)的に複数個の振動子が配列された2Dアレイプローブとの種類に分けられる。なお、1Dアレイプローブは、エレベーション方向に少数の振動子が配列されたプローブを含む。
【0037】
ここで、3Dスキャン、つまり、ボリュームスキャンが実行される場合、超音波プローブ20として、リニア型、コンベックス型、及びセクタ型等のスキャン方式を備えた2Dアレイプローブが利用される。又は、ボリュームスキャンが実行される場合、超音波プローブ20として、リニア型、コンベックス型、及びセクタ型等のスキャン方式を備え、エレベーション方向に機械的に揺動する機構を備えた1Dプローブが利用される。後者のプローブは、メカ4Dプローブとも呼ばれる。
【0038】
入力インターフェース30は、操作者によって操作が可能な入力デバイスと、入力デバイスからの信号を入力する入力回路とを含む。入力デバイスは、トラックボール、スイッチ、マウス、キーボード、操作面に触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力デバイス、及び音声入力デバイス等によって実現される。操作者により入力デバイスが操作されると、入力回路はその操作に応じた信号を生成して処理回路17に出力する。なお、入力インターフェース30は、入力部の一例である。
【0039】
また、入力インターフェース30は、後述する連動モードの切替ボタンや、画像取得ボタン等を含む。切替ボタンや画像取得ボタンは、ハードウェア的なものであってもよいが、GUIによって実現されるソフトウェアボタンであってもよい。後者の場合、切替ボタンは、画面上に、第1の連動モードに切り替えるための切替ボタンB1(
図7に図示)や、第2の連動モードに切り替えるための切替ボタンB2(
図7に図示)や、第3の連動モードに切り替えるための切替ボタンB3(
図7に図示)として設けられる。画像取得ボタンは、
図7の符号「C」として設けられる。
【0040】
ディスプレイ40は、例えば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等の一般的な表示出力装置により構成される。ディスプレイ40は、処理回路17の制御に従って各種情報を表示する。なお、ディスプレイ40は、表示部の一例である。
【0041】
また、
図1は、超音波診断装置10の外部機器である医用画像管理装置60及び医用画像処理装置70を示す。医用画像管理装置60は、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)サーバであり、ネットワークNを介してデータ送受信可能に超音波診断装置10等の機器に接続される。医用画像管理装置60は、超音波診断装置10によって生成された超音波画像等の医用画像をDICOMファイルとして管理する。
【0042】
医用画像処理装置70は、ネットワークNを介してデータ送受信可能に超音波診断装置10や医用画像管理装置60等の機器に接続される。医用画像処理装置70としては、例えば、超音波診断装置10によって生成された超音波画像に対して各種画像処理を施すワークステーションや、タブレット端末等の携帯型情報処理端末等が挙げられる。なお、医用画像処理装置70はオフラインの装置であって、超音波診断装置10によって生成された超音波画像を可搬型の記憶媒体を介して読み出し可能な装置であってもよい。
【0043】
続いて、超音波診断装置10の機能について説明する。
【0044】
図2は、超音波診断装置10の機能を示すブロック図である。
【0045】
処理回路17は、メインメモリ18に記憶された、又は、処理回路17内に直接組み込まれたプログラムを読み出して実行することで、画像収集機能171と、表示制御機能172と、受付機能173と、特定機能174と、設定機能175とを実現する。以下、機能171~175がソフトウェア的に機能する場合を例に挙げて説明するが、機能171~175の全部又は一部は、超音波診断装置10にASIC等の回路等として設けられるものであってもよい。
【0046】
画像収集機能171は、送受信回路11と、Bモード処理回路12と、ドプラ処理回路13と、画像生成回路14等を制御して、超音波プローブ20を用いたスキャンを実行させて超音波画像データを収集する機能を含む。具体的には、画像収集機能171は、超音波画像データとして、Mモード画像データや、Bモード画像データや、ドプラ画像データ等を収集する。なお、画像収集機能171は、画像収集部の一例である。
【0047】
表示制御機能172は、画像収集機能171による制御に従って画像生成回路14によって生成された複数の超音波画像データを複数の超音波画像として、ディスプレイ40の同一画面上に表示させる機能を含む。例えば、表示制御機能172は、複数の超音波画像を、ディスプレイ40の同一画面上に並列表示させる。なお、表示制御機能172は、表示制御部の一例である。
【0048】
受付機能173は、表示制御機能172の制御により同一画面上に表示された複数の超音波画像のいずれかである超音波画像(以下、「操作対象の超音波画像」という)の表示態様の変更操作を入力インターフェース30から受け付ける機能を含む。表示態様の変更操作は、移動(Pan)操作と、拡大(Zoom-In)又は縮小(Zoom-Out)操作と、ゲイン(明度、明るさ)調整操作とのうち少なくとも1つである。なお、受付機能173は、受付部の一例である。
【0049】
特定機能174は、表示制御機能172の制御により同一画面上に表示された複数の超音波画像の中のその他の超音波画像のうち、画像種が操作対象の超音波画像の画像種に対応する1又は複数の超音波画像(以下、「連動の超音波画像」という)を特定する機能を含む。特定機能174による連動の超音波画像の特定は、受付機能173による変更操作の後に行われてもよいが、表示画面の設定の時点で予め行われるものであってもよい。なお、特定機能174は、特定部の一例である。
【0050】
画像種は、ビューの種類と、フェーズの種類と、検査モードの種類と、スキャンの種類と、レイアウトの種類とのうち少なくとも1つを含む。画像種としてのビューの種類は、例えば、短軸の心基部レベルのビューや、4腔(Chamber)断面のビューの違いを意味する。画像種がビューの種類である場合、予め、短軸の心基部レベルのビューに係る超音波画像と、4腔断面のビューに係る超音波画像とは対応する画像種であると設定される。特定機能174は、短軸の心基部レベルのビューに係る操作対象の超音波画像に対応する連動の超音波画像として、同じ短軸の心基部レベルのビューに係る超音波画像と4腔断面のビューに係る超音波画像とを特定する。
【0051】
また、画像種としてのフェーズの種類は、例えば、負荷前及び負荷後の違いを意味する。画像種が負荷前及び負荷後のフェーズの種類である場合、予め、負荷前に係る超音波画像と、負荷後に係る超音波画像とは対応する画像種であると設定される。特定機能174は、負荷前に係る操作対象の超音波画像に対応する連動の超音波画像として、同じ負荷前に係る超音波画像と負荷後に係る超音波画像とを特定する。
【0052】
さらに、画像種としてのフェーズの種類は、例えば、術前及び術後(手術は複数回行われれる場合もある)の違いを意味する。画像種が術前及び術後のフェーズの種類である場合、予め、術前に係る超音波画像と、術後に係る超音波画像とは対応する画像種であると設定される。特定機能174は、術前に係る操作対象の超音波画像に対応する連動の超音波画像として、同じ術前に係る超音波画像と術後に係る超音波画像とを特定する。
【0053】
また、画像種としての検査モードの種類は、例えば、Bモードと、ドプラモードと、Mモード等の違いを意味する。画像種が検査モードの種類である場合、予め、Bモード画像と、ドプラモード画像と、Mモード画像とは対応しない画像種であると設定される。特定機能174は、操作対象のBモード画像に対応する連動の超音波画像として、同じBモード画像のみを特定する。
【0054】
さらに、画像種としてのスキャンの種類は、例えば、2Dスキャンと、3Dスキャンと、4Dスキャンとの違いを意味する。画像種がスキャンの種類である場合、予め、2Dスキャンと、3Dスキャンと、4Dスキャンとは対応しない画像種であると設定される。特定機能174は、2Dスキャンに係る操作対象の超音波画像に対応する連動の超音波画像として、同じ2Dスキャンに係る超音波画像のみを特定する。
【0055】
また、画像種としてのレイアウトの種類は、例えば、単一段表示と、複数段表示(分割表示)との違いを意味する。画像種がレイアウトの種類である場合、予め、単一段表示と、複数段表示とは対応しない画像種であると設定される。特定機能174は、単一段表示に係る操作対象の超音波画像に対応する連動の超音波画像として、同じ単一段表示に係る超音波画像のみを特定する。
【0056】
なお、上述の画像種の認定は、超音波画像データの自動認識によって行われるものであってもよいし、超音波画像データを含むDICOMデータに付帯される情報に基づいて行われるものであってもよい。DICOMデータに付帯される情報としては、例えば、ビューを示す情報及び検査モードを示す情報や、レイアウトを示す情報及び表示指示を示す情報等のプライベート情報等が挙げられる。レイアウトを示す情報は、表示画面の各超音波画像を表示する画面要素の分割表示の情報を含む。
【0057】
なお、画像種がビューの種類である場合の代替として、画像種は、断面の位置及び姿勢からなる位置情報の種類であってもよい。画像種が位置情報の種類である場合、超音波プローブ20の位置及び姿勢を検知可能なセンサ(図示省略)が設けられる。それにより、特定機能174は、スキャン断面、すなわち、超音波画像の位置情報を特定することが可能である。特定機能174は、位置情報が操作対象の超音波画像の位置情報と略同一のものを連動の超音波画像として特定する。ここで、略同一とは、予め設定された位置情報の差の範囲内においては、同一の位置情報と認定するという意味である。
【0058】
なお、特定機能174は、上述の画像種の複数を任意に組み合わせた場合に、優先度を設けてもよい。例えば、特定機能174は、画像種としての検査モード又は表示レイアウトの優先度を高く設定すると、検査モード又は表示レイアウトが同一であれば、対応する画像種であると判断する。また、例えば、特定機能174は、画像種としての検査モードの優先度を高く設定すると、同じBモード画像であれば、ビュー等が同一でなかったとしても対応する画像種であると判断する。
【0059】
表示制御機能172は、同一画面上に表示された複数の超音波画像のうち、操作対象の超音波画像と連動の超音波画像との表示態様を、受付機能173による表示態様の変更操作に従って変更する機能を含む。
【0060】
設定機能175は、第1の連動モードと、第2の連動モードと、第3の連動モードとのいずれか1つを、入力インターフェース30からの指示により設定する機能を含む。第1の連動モードとは、操作対象の超音波画像のみの表示態様を、受付機能173による表示態様の変更操作に従って変更するものである。第2の連動モードとは、表示制御機能172の制御により複数の超音波画像の全ての表示態様を、受付機能173による表示態様の変更操作に従って変更するものである。第3の連動モードとは、操作対象の超音波画像と連動の超音波画像との表示態様を、受付機能173による表示態様の変更操作に従って変更するものである(
図4(C)等に図示)。なお、設定機能175は、設定部の一例である。特定機能174は、第3の連動モードが設定された場合に、上述したように、連動の超音波画像を特定する。
【0061】
機能171~175の詳細については、
図3~
図7を用いて説明する。
【0062】
続いて、超音波診断装置10の動作について説明する。
【0063】
図3は、超音波診断装置10の動作をフローチャートとして示す図である。
図3において、「ST」に数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0064】
画像収集機能171は、送受信回路11と、Bモード処理回路12と、ドプラ処理回路13と、画像生成回路14等を制御して、超音波プローブ20を用いた超音波スキャンを実行し、複数の超音波画像データを収集して画像メモリ15に記憶させる(ステップST1)。表示制御機能172は、ステップST1によって画像メモリ15に記憶された複数の超音波画像データを読み出し、複数の超音波画像として、ディスプレイ40の同一画面上に表示させる(ステップST2)。
【0065】
図4は、同一画面上における複数の超音波画像の第1表示例を示す図である。
【0066】
図4(A)は、ステップST2によって同一画面上に表示される4個の超音波画像を示す。4個の超音波画像は、ストレスエコー法によって生成されたBモード画像である。
図4(A)の左上は、フェーズ「Rest」における短軸の心基部レベルのビューを表す超音波画像を示し、同右上は、フェーズ「Post」における短軸の心基部レベルのビューを表す超音波画像を示す。
図4(A)の左下は、フェーズ「Rest」における4腔(Chamber)断面のビューを表す超音波画像を示し、同右下は、フェーズ「Post」における4腔断面のビューを表す超音波画像を示す。
【0067】
なお、各超音波画像は、静止画として表示されてもよいし、動画像として表示されもよい。また、各超音波画像が動画像として表示される場合、心位相に応じて同期させながら表示されてもよい。
【0068】
図3の説明に戻って、受付機能173は、ステップST2によって同一画面上に表示された複数の超音波画像のうち操作対象の超音波画像の表示態様の変更操作、例えば、拡大操作を入力インターフェース30から受け付ける(ステップST3)。例えば、受付機能173は、
図2において、同一画面上における4個の超音波画像のうち、左上の操作対象の超音波画像について拡大操作を受け付ける。
【0069】
特定機能174は、ステップST2によって同一画面上に表示された複数の超音波画像の中のその他の超音波画像の中に、画像種が操作対象の超音波画像の画像種に対応する1又は複数の連動の超音波画像があるか否かを判断する(ステップST4)。例えば、特定機能174は、
図2において、同一画面上における4個の超音波画像のうち、左上の操作対象の超音波画像を除くその他の3個の超音波画像の中に、連動の超音波画像があるか否かを判断する。なお、ステップST4による連動の超音波画像の判断は、ステップST3による変更操作の後に行われてもよいが、表示画面の設定(例えば、
図4に示す4画像の表示レイアウトの設定)の時点で予め行われるものであってもよい。
【0070】
ステップST4の判断にてYES、つまり、同一画面上に表示された複数の超音波画像の中のその他の超音波画像の中に、連動の超音波画像があると判断される場合、表示制御機能172は、ステップST2によって同一画面上に表示された複数の超音波画像のうち、操作対象の超音波画像と連動の超音波画像との表示態様を、ステップST3による表示態様の変更操作に従って変更する(ステップST5)。
【0071】
図4(B),(C)は、
図4(A)に示す4個の超音波画像のうち操作対象の超音波画像と連動の超音波画像との表示態様の拡大操作に従って変更した場合の表示例を示す。特定機能174は、操作対象の超音波画像に対応する画像を連動の超音波画像として特定する。例えば、特定機能174は、操作対象の超音波画像とフェーズ、又は、ビューが対応する画像を連動の超音波画像として特定するか(
図4(B)に図示)、操作対象の超音波画像とビューが対応する画像を連動の超音波画像として特定する(
図4(C)に図示)。
【0072】
図4(B)は、同一画面上の右上の超音波画像と、左下の超音波画像と、右下の超音波画像との全てが連動の超音波画像として特定された場合の表示例を示す。
図4(B)に示すように、表示制御機能172は、同一画面上に表示される4個の超音波画像のうち、操作対象の超音波画像と、フェーズ、又は、ビューが操作対象の超音波画像に対応する3個の連動の超音波画像との表示態様を、変更操作に従って拡大させる。
【0073】
図4(C)は、同一画面上の右上の超音波画像のみが連動の超音波画像として特定された場合の表示例を示す。
図4(C)に示すように、表示制御機能172は、同一画面上に表示される4個の超音波画像のうち、操作対象の超音波画像と、ビューが操作対象の超音波画像に対応する1個の連動の超音波画像との表示態様を、変更操作に従って拡大させる。
【0074】
図3の説明に戻って、ステップST4の判断にてNO、つまり、同一画面上に表示された複数の超音波画像の中のその他の超音波画像の中に、連動の超音波画像がないと判断される場合、表示制御機能172は、ステップST2によって同一画面上に表示された複数の超音波画像のうち、操作対象の超音波画像のみの表示態様を、ステップST3による表示態様の変更操作に従って変更する(ステップST6)。
【0075】
表示制御機能172は、ステップST2によって開始された複数の超音波画像の表示を終了するか否かを判断する(ステップST7)。ステップST7の判断にてNO、つまり、複数の超音波画像の表示を終了しないと判断される場合、ステップST3の動作に戻る。
【0076】
一方で、ステップST7の判断にてYES、つまり、複数の超音波画像の表示を終了すると判断される場合、超音波診断装置10は、複数の超音波画像の表示を終了させ、動作を終了する。
【0077】
なお、
図4を用いて、同一画面上に4個の超音波画像が表示される場合について説明したが、その場合に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0078】
図5は、同一画面上における複数の超音波画像の第2表示例を示す図である。
図5(A)は、ステップST2によって同一画面上に表示される2個の超音波画像を示す。2個の超音波画像は、ストレスエコー法によって生成されたBモード画像である。
図5(A)の左側は、フェーズ「Rest」における超音波画像を示し、同右側は、フェーズ「Post」における超音波画像を示す。
【0079】
なお、各超音波画像は、静止画として表示されてもよいし、動画像として表示されもよい。また、各超音波画像が動画像として表示される場合、心位相に応じて同期させながら表示されてもよい。
【0080】
図5(B),(C)は、
図5(A)に示す2個の超音波画像のうち操作対象の超音波画像と連動の超音波画像との表示態様の拡大操作に従って変更した場合の表示例を示す。特定機能174は、操作対象の超音波画像に対応する画像を連動の超音波画像として特定する。例えば、特定機能174は、操作対象の超音波画像とフェーズ、又は、検査モードが対応する画像を連動の超音波画像として特定するか(
図5(B)に図示)、操作対象の超音波画像とフェーズが対応する画像を連動の超音波画像として特定する(
図5(C)に図示)。
【0081】
図5(B)は、同一画面上の右側の超音波画像が連動の超音波画像として特定された場合の表示例を示す。
図5(B)に示すように、表示制御機能172は、同一画面上に表示される2個の超音波画像のうち、操作対象の超音波画像と、フェーズ、又は、検査モードが操作対象の超音波画像に対応する1個の連動の超音波画像との表示態様を、変更操作に従って拡大させる。
【0082】
図5(C)は、同一画面上の右側の超音波画像が連動の超音波画像として特定されなかった場合の表示例を示す。
図5(C)に示すように、表示制御機能172は、同一画面上に表示される2個の超音波画像のうち、操作対象の超音波画像のみの表示態様を、変更操作に従って拡大させる。
【0083】
図6は、同一画面上における複数の超音波画像の第3表示例を示す図である。
【0084】
図6は、ステップST2によって同一画面上に表示される2個の超音波画像を示す。2個の超音波画像は、ストレスエコー法によって生成されたBモード画像(上段)とドプラ画像(下段)である。
図6の左上は、フェーズ「Rest」におけるBモード画像を示し、同右上は、フェーズ「Post」におけるBモード画像を示す。
図6の左下は、フェーズ「Rest」におけるドプラ画像を示し、同右下は、フェーズ「Post」におけるドプラ画像を示す。
【0085】
図6に示すように、表示制御機能172は、同一画面上に表示される4個の超音波画像のうち、操作対象のBモード画像と、検査モードが操作対象に対応する1個の連動のBモード画像との表示態様を、変更操作に従って拡大させる。
【0086】
なお、各超音波画像は、静止画として表示されてもよいし、動画像として表示されもよい。また、各超音波画像が動画像として表示される場合、心位相に応じて同期させながら表示されてもよい。
【0087】
超音波診断装置10によると、複数の超音波画像が同一画面上に表示されている場合において、ある超音波画像の表示態様の変更操作(例えば、拡大操作)した場合に、当該超音波画像に加え、当該超音波画像に画像種が対応する超音波画像のみを連動して拡大させることができる。つまり、同一画面上に表示された複数の超音波画像の中で、対応する超音波画像の表示態様だけがシンクロして変更される。
【0088】
2.第1の変形例
ここでは、設定機能715の動作について説明する。設定機能715は、連動モードを操作者の選択に従って設定することを特徴とする。
【0089】
図7は、連動モードの設定方法の一例を示す表示画面を示す図である。
【0090】
図7は、ディスプレイ40の表示画面上に設けられる、GUIによって実現される連動モードの切替ボタンB1~B3を示す。切替ボタンB1は、操作対象の超音波画像のみの表示態様を、表示態様の変更操作に従って変更する第1の連動モードに対応する。切替ボタンB2は、複数の超音波画像の全ての表示態様を、表示態様の変更操作に従って変更する第2の変更モードに対応する。切替ボタンB3は、操作対象の超音波画像と連動の超音波画像との表示態様を、表示態様の変更操作に従って変更する第3の連動モードに対応する。
【0091】
操作者は、入力インターフェース30を介して、切替ボタンB1~B3のいずれか1つをクリックすると、設定機能715は、対応する連動モードに切り替える。特定機能174は、第3の連動モードが設定された場合に、上述したように連動の超音波画像の特定を行う。
【0092】
このように、第1の変形例によれば、上述の効果に加え、同一画面上への複数の超音波画像の表示中に、操作者が任意に連動モードの切り替えを行うことができる。
【0093】
3.第2の変形例
ここでは、受付機能713の追加の動作について説明する。受付機能713は、同一画面に複数の超音波画像が表示された状態で、追加表示の超音波画像の選択を受け付けるものである。
【0094】
受付機能713は、操作対象の超音波画像の表示態様の変更操作の内容を変更履歴としてメインメモリ18に登録する機能を含むことができる。つまり、メインメモリ18には、表示態様の変更操作の内容が蓄積される。その場合、表示制御機能172は、現在は同一画面上に表示されてない超音波画像(以下、「非表示の超音波画像」という)の表示要求があると、非表示の超音波画像に、メインメモリ18から取得された変更履歴を反映することで、非表示の超音波画像を初期表示させる機能を含む。
【0095】
例えば、操作者が入力インターフェース73を用いて、ディスプレイ40の表示画面上に設けられる、GUIによって実現される画像取得ボタンC(
図7に図示)をクリックすると、表示制御機能172は、表示されている複数の超音波画像に対応する、例えば、同一患者及び/又は同一検査に係る非表示の超音波画像を含むサムネイルD(
図7に図示)を表示する。操作者が入力インターフェース73を用いて、1又は複数の非表示の超音波画像を含むサムネイルDの中から所望の画像を選択すると(例えば、ドラッグ&ドロップ操作)、受付機能713は、選択された超音波画像の表示要求を受け付ける。
【0096】
非表示の超音波画像の表示要求があると、特定機能174は、非表示の超音波画像について、連動の超音波画像であるか否かを判断する。表示制御機能172は、非表示の超音波画像が連動の超音波画像であると判断された場合に、メインメモリ18から取得された変更履歴の内容を非表示の超音波画像に反映させることで、非表示の超音波画像を初期表示させる。なお、過去の変更操作が複数存在する場合には、表示制御機能172は、画像種が対応する超音波画像に対する変更操作のみを非表示の超音波画像に反映させればよい。その場合、受付機能713は、操作対象の超音波画像の表示態様の変更操作の内容に画像種を対応付けたものを変更履歴としてメインメモリ18に登録することが好適である。
【0097】
このように、第2の変形例によれば、上述の効果に加え、同一画面上への複数の超音波画像の表示中に、過去の移動操作が反映された超音波画像を初期表示させることができる。
【0098】
4.医用画像処理装置
図8は、実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示す概略図である。
【0099】
図8は、実施形態に係る医用画像処理装置70を示す。医用画像処理装置70は、医用画像管理装置(画像サーバ)や、ワークステーションや、読影端末等であり、ネットワークを介して接続された医用画像システム上に設けられる。なお、医用画像処理装置70は、オフラインの装置であってもよい。
【0100】
医用画像処理装置70は、処理回路71と、メモリ72と、入力インターフェース73と、ディスプレイ74と、ネットワークインターフェース75とを備える。処理回路71、メモリ72と、入力インターフェース73と、ディスプレイ74とは、
図1及び
図2に示す処理回路17と、メインメモリ18と、入力インターフェース30と、ディスプレイ40と同等の構成を有するものとして説明を省略する。
【0101】
ネットワークインターフェース75は、パラレル接続仕様やシリアル接続仕様に合わせたコネクタによって構成される。医用画像処理装置70が医用画像システム上に設けられる場合、ネットワークインターフェースは、ネットワーク上の外部装置と情報の送受信を行なう。例えば、ネットワークインターフェースは、処理回路71の制御の下、外部装置から、超音波画像データや、CT(Computed Tomography)画像データや、MR(Magnetic Resonance)画像データ等の医用画像データを受信する。
【0102】
続いて、医用画像処理装置70の機能について説明する。
【0103】
図9は、医用画像処理装置70の機能を示すブロック図である。
【0104】
処理回路71は、メモリ72に記憶されたプログラムを実行することで、画像取得機能711と、表示制御機能712と、受付機能713と、特定機能714と、設定機能715とを実現する。以下、機能711~715がソフトウェア的に機能する場合を例に挙げて説明するが、機能711~715の全部又は一部は、医用画像処理装置70にASIC等の回路等として設けられるものであってもよい。また、機能711~715の全部又は一部は、医用画像管理装置60等の他の装置に設けられるものであってもよい。
【0105】
画像取得機能711は、ネットワークインターフェース75を介して医用画像管理装置60又は超音波診断装置10から、複数の医用画像データを取得する機能を含む。例えば、画像取得機能711は、複数の医用画像データとして、同一患者に係る複数の超音波画像データや、同一患者に係る複数のCT画像データや、同一患者に係る複数のMR画像データを取得する機能を含む。また、例えば、画像取得機能711は、超音波画像データと、CT画像データと、MR画像データとを組み合わせた同一患者に係る複数の医用画像データを取得することもできる。なお、画像取得機能711は、画像取得部の一例である。
【0106】
表示制御機能712は、
図2に示す表示制御機能172と同等の機能を含む。表示制御機能712は、画像取得機能711によって取得された複数の医用画像データを複数の医用画像として、ディスプレイ40の同一画面上に表示させる機能を含む。なお、表示制御機能712は、表示制御部の一例である。
【0107】
受付機能713は、
図2に示す受付機能173と同等の機能を含む。表示制御機能712の制御により同一画面上に表示された複数の医用画像のいずれかである医用画像(以下、「操作対象の医用画像」という)の表示態様の変更操作を入力インターフェース73から受け付ける機能を含む。受付機能713は、受付部の一例である。
【0108】
特定機能714は、
図2に示す特定機能174と同等の機能を含む。特定機能714は、表示制御機能712の制御により同一画面上に表示された複数の医用画像の中のその他の医用画像のうち、画像種が操作対象の医用画像の画像種に対応する1又は複数の医用画像(以下、「連動の医用画像」という)を特定する機能を含む。特定機能714による連動の医用画像の特定は、受付機能713による変更操作の後に行われてもよいが、表示画面の設定の時点で予め行われるものであってもよい。なお、特定機能714は、特定部の一例である。
【0109】
表示制御機能712は、同一画面上に表示された複数の医用画像のうち、操作対象の医用画像と連動の医用画像との表示態様を、受付機能713による表示態様の変更操作に従って変更する機能を含む。
【0110】
設定機能715は、
図2に示す設定機能175と同等の機能を含む。設定機能715は、第1の連動モードと、第2の連動モードと、第3の連動モードとのいずれか1つを、入力インターフェース73からの指示により設定する機能を含む。なお、設定機能715は、設定部の一例である。
【0111】
なお、医用画像処理装置70の主な動作については、
図3に示す超音波診断装置10の動作と同等であるので、説明を省略する。
【0112】
医用画像処理装置70によると、複数の医用画像が同一画面上に表示されている場合において、ある医用画像の表示態様の変更操作(例えば、拡大操作)した場合に、当該医用画像に加え、当該医用画像に画像種が対応する医用画像のみを連動して拡大させることができる。つまり、同一画面上に表示された複数の医用画像の中で、対応する医用画像の表示態様だけがシンクロして変更される。
【0113】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、同一画面上に表示された複数の医用画像のうちある医用画像に対して行われた表示態様の変更操作を、他の医用画像に効果的に反映することができる。
【0114】
なお、画像収集機能171は、画像収集部の一例である。表示制御機能172,712は、表示制御部の一例である。受付機能173,713は、受付部の一例である。特定機能174,714は、特定部の一例である。設定機能175,715は、設定部の一例である。画像取得機能711は、画像取得部の一例である。
【0115】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
10 超音波診断装置
17 処理回路
40 ディスプレイ
70 医用画像処理装置
71 処理回路
74 ディスプレイ
171 画像収集機能
172,712 表示制御機能
173,713 受付機能
174,714 特定機能
175,715 設定機能
711 画像取得機能