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特許7545809繊維結合材料製の取り付け区域と、取り付け部材を固定する少なくとも一つの支持部材とを持つブラケットユニット
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  • 特許-繊維結合材料製の取り付け区域と、取り付け部材を固定する少なくとも一つの支持部材とを持つブラケットユニット 図1
  • 特許-繊維結合材料製の取り付け区域と、取り付け部材を固定する少なくとも一つの支持部材とを持つブラケットユニット 図2
  • 特許-繊維結合材料製の取り付け区域と、取り付け部材を固定する少なくとも一つの支持部材とを持つブラケットユニット 図3
  • 特許-繊維結合材料製の取り付け区域と、取り付け部材を固定する少なくとも一つの支持部材とを持つブラケットユニット 図4
  • 特許-繊維結合材料製の取り付け区域と、取り付け部材を固定する少なくとも一つの支持部材とを持つブラケットユニット 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】繊維結合材料製の取り付け区域と、取り付け部材を固定する少なくとも一つの支持部材とを持つブラケットユニット
(51)【国際特許分類】
   B60J 1/17 20060101AFI20240829BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20240829BHJP
   F16B 41/00 20060101ALI20240829BHJP
   F16B 39/22 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B60J1/17 A
B60J5/00 501Z
F16B41/00 B
F16B39/22 Z
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020046689
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2020169018
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】10 2019 203 906.5
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508072408
【氏名又は名称】ブローゼ ファールツォイクタイレ エスエー ウント コンパニ コマンディートゲゼルシャフト バンベルク
【氏名又は名称原語表記】BROSE FAHRZEUGTEILE SE & CO.KG,BAMBERG
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 1, 96052 Bamberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】ティエネル・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】カール・アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン・ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】メルクル・ゼバスティアン
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-168248(JP,A)
【文献】特開2015-224736(JP,A)
【文献】特開2008-074241(JP,A)
【文献】実開昭56-172991(JP,U)
【文献】実開昭50-142955(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/17
B60J 5/00
B60R 13/02
F16B 23/00 - 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの取り付け部位(10)を有する、機能コンポーネントを取り付けるためのブラケットユニット(1)を備えた車両用のブラケット組立体で、ブラケットユニット(1)がブラケット組立体の取り付け部材(2)によって車両部品に取り付けられ、一方、取り付け部材(2)が、貫通開口部(103)によってブラケットユニット(1)を貫通して延びる取り付け部分(21)によって車両部品に固定されるブラケット組立体において、
前記取り付け部材(2)の前記取り付け部分(21)が正しく前記ブラケットユニット(1)を貫通して延びるとき、繊維結合材料製の前記ブラケットユニット(1)の取り付け区域に、前記取り付け部位(10)が設けられ、その取り付け部位(10)は取り付け部材(2)を取り付けることにより、取り付け方向(R)に沿って形成される貫通開口部(103)の位置を決め、前記取り付け部位(10)は取り付け方向(R)に沿って張り出した少なくとも一つの支持部材(100)を成形し、
前記取り付け部分(21)とは異なる頭部(20)が前記取り付け部材(2)上に設けられ、突出した前記支持部材(100)に少なくとも摩擦結合的に横方向に載置され、
前記取り付け部材(2)の前記取り付け部分(21)が前記ブラケットユニット(1)の材料を介して適切に延びるときに、
負荷が前記取り付け部位(10)で発生するため、前記負荷は前記取り付け区域から突き出ている前記支持部材(100)を超えて前記取り付け部材(2)によって伝達されるように、前記頭部(20)がサポートされることを特徴とするブラケット組立体。
【請求項2】
請求項1のブラケット組立体において、前記取り付け部位(10)を有する前記取り付け区域が有機シートで形成されることを特徴とするブラケット組立体。
【請求項3】
請求項1または2に記載のブラケット組立体において、前記支持部材が前記ブラケットユニット(1)に形成された、少なくとも一つのリブ(100)の部分から成形されることを特徴とするブラケット組立体。
【請求項4】
請求項3に記載のブラケット組立体において、前記リブ(100)が前記繊維結合材料によって形成されることを特徴とするブラケット組立体。
【請求項5】
請求項3に記載のブラケット組立体において、前記リブ(100)が前記取り付け区域に射出成形されることを特徴とするブラケット組立体。
【請求項6】
請求項5に記載のブラケット組立体において、前記リブ(100)が前記取り付け区域に射出成形された繊維結合材料で形成されることを特徴とするブラケット組立体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のブラケット組立体において、前記支持部材(100)がアーチ形に凹んだ内壁(101)を定め、そこに前記頭部(20)が摩擦結合的に密着することを特徴とするブラケット組立体。
【請求項8】
請求項5に記載のブラケット組立体において、アーチ形に凹んだ内壁(101)が円弧状に続くことを特徴とするブラケット組立体。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のブラケット組立体において、前記支持部材(100)が、断面が円形状の前記取り付け部材(2)の前記頭部(20)のための取り付け部を定めることを特徴とするブラケット組立体。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のブラケット組立体において、前記頭部(20)が取り付け方向(R)に向かって円錐状に小さくなることを特徴とするブラケット組立体。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のブラケット組立体において、前記取り付け部材がねじ(2)、ボルト、またはリベットを有することを特徴とするブラケット組立体。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のブラケット組立体において、前記ブラケットユニット(1)が平面的に延びておよび/または前記ブラケットユニット(1)によって窓ガラスを動かすことができる窓昇降装置の機能コンポーネントが取り付くことを特徴とするブラケット組立体。
【請求項13】
機能コンポーネントを取り付けるために設けられたブラケットユニット(1)を車両部品に取り付ける方法において、
繊維結合材料製の前記ブラケットユニット(1)の取り付け区域に、取り付け部材(2)の取り付け部分(21)が、前記ブラケットユニット(1)を貫通して取り付け方向(R)に沿ってガイドされ、
前記車両部品に前記取り付け部分(21)を、取り付け部位(10)に固定し、これによって前記ブラケットユニット(1)を前記車両部品に取り付け、
―前記取り付け部分(21)のための貫通開口部(103)が、前記ブラケットユニット(1)を通って前記取り付け部材(2)を取り付けることによって初めて形成され、
―前記取り付け部材(2)の前記取り付け部分(21)が、前記ブラケットユニット(1)を貫通してガイドされたとき、
前記取り付け部材(2)の頭部(20)が、前記取り付け方向(R)に沿って張り出した、前記取り付け区域の支持部材(100)に横方向に少なくとも摩擦結合的に密着し、
前記取り付け部材(2)の前記取り付け部分(21)が前記ブラケットユニット(1)の材料を介してガイドされたときに支持され、
前記取り付け部位(10)で負荷が発生し、該負荷が取り付け部位(10)で突出する前記支持部材(100)を超えて前記取り付け部材(2)から伝達される、ブラケットユニットの車両部品への取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用のブラケット組立体、およびブラケットユニットの車両部品への取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のブラケット組立体には、典型的な例として、機能コンポーネントを取り付けるためのブラケットユニットが含まれる。ブラケットユニットとしては、例えば車両用の窓ガラスを動かすための窓昇降用の機能コンポーネントを取り付けるためのブラケットの集合体が挙げられる。この場合、一般的にブラケットユニットを、例えば車両用ドアのドア内側の金属板のような形の車両部品に、少なくとも一つの取り付け部位によって取り付ける必要がある。このためにブラケットユニットには少なくとも一つの取り付け部位があり、そこには、取り付け部分を持つ、例えば、ねじ、ボルト、またはリベットのような取り付け部材が、ブラケットユニットを貫通し、取り付け方向に沿って貫通開口部によりガイドされる。そのブラケットユニットを貫通してガイドされた取り付け部分は、次に車両部品に固定され、さらにブラケットユニットは車両部品に取り付けられる。
【0003】
特に車両用ドア用のブラケットユニットを樹脂材料で作ることは、既に実用化されており公知である。この場合、さらに、固定のための力,および駆動力を継続的に安定して伝えるために、取り付け部位を定めるための金属製ブッシュがよく用いられている。この金属製ブッシュは、樹脂製のねじ結合の場合に見られるようなクリープ、およびずれの現象を防止すると言われている。車両部品の形状の接合相手に樹脂材料を直接連結しようとしても、ねじ、またはリベット結合では、クリープ、およびずれの現象のために、時間とともに締めつけトルクが減少して、多くの場合、長時間持続しない。時間とともに結合の強度が減少する。
【0004】
このような背景から、ブラケット組立体の改善、およびブラケット組立体の取り付け、特にはブラケットユニットの車両部品への取り付け方法の改善が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明により、この点に関しての改善を行う。本発明ではブラケット組立体用に、繊維結合材料製のブラケットユニットの取り付け区域に、取り付け部材用の取り付け部位を設けることを提案する。ここでは、取り付け区域は、取り付け部材を取り付け方向に沿って取り付けることによって、(はじめて)これから形成される貫通開口部の位置を定め、また、取り付け部材の、頭部から取り付け方向に沿って離れるように延びる取り付け部分が正しくブラケットユニットを貫通して延びたとき、取り付け方向に沿って張り出す少なくとも一つの支持部材を構成し、そこに取り付け部材の頭部が、少なくとも摩擦結合的に密着する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
繊維の配合によって、特に密度を減少することで、繊維結合材料はごく僅かにクリープするだけとなり、それにより、取り付け部位の区域で顕著なずれと、それに伴う、設定された締め付け力が低下するのを防止できる。取り付け部位の繊維結合材料に貫通開口部が設けられておらず、下穴が明けられていないために、より遊びのない結合が得られるようになる。取り付け部材の、取り付け部分とは異なる頭部を、少なくとも摩擦結合的に配置するための支持部材は、取り付け部材をより強く固定して、取り付け部位に生ずる負荷が支持部材も越えて確実に伝達されるようにする。これによって従来の一般的なブラケット組立体に比べて、かなり大きな力を取り付け部位の区域に伝達することが可能となる。車両部品にブラケットユニットを取り付けるための取り付け部材の取り付け部分が、完全に、また正しい方法でブラケットユニットを貫通してガイドされたとき、支持部材は、組立方向に沿って設けられ、それによって頭部を横方向に支える支持部材は、例えば少なくとも摩擦結合的に確実に頭部を取り付ける。
【0007】
取り付け部位を持つ取り付け区域は、例えば有機シートにより形成される。これには特に、取り付け区域だけでなく、ブラケットユニットの大部分と、必要に応じ、特にブラケットユニットで決まる機能コンポーネントを配置するためのブラケット面が有機シートで形成されることを含む。この場合、ブラケットユニットの大部分が有機シートで形成される、とは、通常の運用状態で発生する力の大部分を受けるブラケットユニットの主要な部材を有機シートで形成するという意味である。一つの(例えば一つまたは複数のガイドレールを持った、連結している)有機シート製のブラケットユニットの部材、または複数の(例えば一つまたは複数のガイドレールを持った)有機シート製のブラケットユニットの部材は、そのため、例えばブラケットユニットの面の約30%、あるいはそれ以上に及ぶ。通常、有機シートはブラケットユニットのブラケット面の30%以上、特には40%以上、また一般的に少なくとも50%以上に及び、その結果、有機シートは、それに対応してブラケットユニットによって決まる主要な面で、ブラケットユニットの表面の30%以上、特に40%以上、あるいは約50%以上の割合となる。
【0008】
取り付け区域に限らず、ブラケットユニットの主成分は例えば板状の有機シート製の中間材料でもよい。そのため有機シートでブラケットユニットの平面の大きさがほぼ決まるが、しかし別のコンポーネントと材料が追加されることもある。すなわち、例えば金属部材、および/またはプラスティック製の部材を有機シートに追加し、あるいは有機シートに取り付け、特にそこに射出成形することもできる。
【0009】
一実施形態の一変形例においては、支持部材は、ブラケットユニットに形成される少なくとも一つのリブの部分で形成される。このようなリブは、例えば、取り付け区域自体の構成のためにも設けられる繊維結合材料で成形してもよい。その代替として、その他の材料、特には同じような特性の別の繊維結合材料でもよい。上述の場合、リブは、例えば取り付け区域に、特に取り付け区域に形成される有機シートに、射出成形される。リブは例えば長繊維強化ポリプロピレン(PP―LGF)で形成される。
【0010】
摩擦結合による確実な配置を補助し、取り付け部材の頭部の支持部材での形状結合的結合をさらに強化するため、頭部が摩擦結合的に密着するアーチ形の円弧形状に凹んだ内壁によって支持部材を形成することもできる。このような内周面がアーチ形に凹んだ内壁は、例えば円弧状に円周方向に続く。アーチ形に凹んだ内壁は、これによって円弧に沿って延びて、この内壁の輪郭は密着する頭部の輪郭線に対応する。その結果、車両部品にブラケットユニットが正しく固定された状態においては、アーチ形に凹んだ内壁に、支持部材と頭部との間の線接触、または必要に応じて、面接触も作り出す。これによって取り付け部位への負荷を効率的に、特に支持部材によって吸収する。
【0011】
例えば、支持部材は、取り付け部材の頭部に対する断面として円形の収納部を有する。この取り付け部材の頭部は、同じように断面が円形の区域を構成する。前記頭部は、支持部材の円形の収納部の中で形状結合的に収納され、また支持部材での摩擦結合により収納部の中に結合されて保持される。このため取り付け部材の頭部は、特に円板状に仕上げてもよい。支持部材はまた、リング状のリブとして加工してもよく、そのリブが取り付け部材の頭部のための円形の収納部の縁を囲む。
【0012】
さらに寸法公差を埋め合わせるために、支持部材に取り付け部材の頭部と連結するためのスクレーパーリブを少なくとも一つ構成してもよい。これによって、頭部と支持部材との間の摩擦結合、特には押し付け力が追加され、また頭部を支持部材に配置することによって遊びのない固定が確保できる。
【0013】
これに代わり、または追加し、頭部の支持部材への摩擦結合的な配置を相応に補助するために、頭部は取り付け方向に向かうに従って円錐状に先細りして構成される。それにより、取り付け部材の頭部は、取り付け方向と反対に延びる延長方向に沿って幅が広くなる。反取り付け方向に対応して頭部が広がることで、取り付け部材を取り付け方向に沿って取り付ける場合、取り付け部材がその取り付け部分で車両部品に固定され、取り付け方向に沿ってブラケットユニットに対して移動すると、頭部は縦断面が斜面状に延びる側面の区域によって支持部材に対して押し付けられるようになる。
【0014】
取り付け部材は、ねじ、ボルト、またはリベットを含んだものでもよく、特に取り付け部材をねじ、ボルト、またはリベットで形成してもよい。
【0015】
実施形態の一変形例において、ブラケットユニットは平面的に拡がり、またそれによって、主要な面に沿って広がるブラケットの平面が決まり、そのブラケットの平面に、例えば車両の窓昇降装置のような複数の機能コンポーネントを取り付けてもよく、特には事前に組み立てておくこともできる。
【0016】
基本的にブラケットユニットは、車両の窓ガラスを動かす窓昇降装置の機能部材を支える。特に、ブラケットユニットを、車両用ドアの濡れた部分と乾燥した部分を分離するように調整して設けてもよい。
【0017】
本発明の別の面は、機能コンポーネントの取り付けのために設けられたブラケットユニットを車両部品に組み込むための方法に関する。本発明による組み込み方法の範囲内で、繊維結合材料製のブラケットユニットの取り付け区域に、取り付け部材の取り付け部分が、取り付け方向に沿ってブラケットユニットを貫通してガイドされ、取り付け部分を車両部品に固定して、これによってブラケットユニットを車両部品に取り付ける。ブラケットユニットを貫通する、取り付け部分のための貫通開口部は、ここでは、事前に加工されておらず、取り付け部材を取り付ける時に初めて形成される。取り付け部材と取り付け区域との、もしくは取り付け区域の繊維結合材料との間に、できるだけ遊びのない結合ができるようにするため、取り付け部材として、ねじ、ボルト、またはリベットが組立中に初めて貫通開口部を掘削し、または正確には、孔あけする。
【0018】
必要に応じて、取り付け部材の位置を設定するために、ブラケットユニットの取り付け区域に、一つの(ブラケットユニットを完全には貫通していない)下孔、または予備孔を備えて、そこに取り付け部材の取り付け部分が、ブラケットユニットを組み込み中に貫通してガイドされる必要がある。
【0019】
それに加えて、ブラケットユニットは、取り付け区域に、取り付け部材を取り付ける方向に沿って張り出した支持部材を有する。取り付け部材の取り付け部分がブラケットユニットを貫通してガイドされると、この支持部材に取り付け部材の頭部が、少なくとも摩擦結合的に密着する。この場合特に、取り付け部材の取り付け部分が、正しく(例えば完全に)ブラケットユニットを貫通してガイドされて、車両部品に差し込まれ、またはねじ込まれたときに、初めて取り付け部材の頭部が、少なくとも摩擦結合的に支持部材に配置されて、これによってブラケットユニットを車両部品に取り付ける。
【0020】
本発明による組み立て方法の実施形態の一変形例において、本発明によるブラケット組立体の実施形態の変形例を用いることができる。前述の、および後述の、本発明によるブラケット組立体の実施形態の変形例による利点および特徴は、提案した組み立て方法の実施形態の変形例にも、逆に組立方法のそれはブラケット組立体に対しても当てはまる。
【0021】
添付の図で、発明の可能な実施形態の変形例を,例示して詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】取り付け部材の頭部の収納部を決めるブラケットユニットに、環状のリブとして構成された支持部材を持った取り付け区域を見た斜視図の部分切り取り図で、本発明によるブラケット組立体の実施形態の変形例を示す。
図2図1のブラケットユニットの別の取り付け部位を見た斜視図の部分切り取り図であり(図1も参照のこと)、取り付け部材に対する環状リブによって形成される収納部を持つブラケットユニットの図である。
図3】同ブラケットユニットの部分切り取り図で、取り付け部材としてねじ込まれたねじがある図である。
図4】同ブラケットユニットの部分切り取り図で、ねじを外した後のブラケットユニットの背面の図である。
図5図1から図4に対応して構成されたブラケットユニットを持つ車両用ドアの概略の側面図である。
【0023】
図5は概略の側面図で、可動の窓ガラスSを持つ車両用ドアTを示す。窓ガラスSを動かすために車両用ドアTの凹み部に窓昇降装置が収納される。この窓昇降装置はロープZを動かすためのモーターによる駆動装置を有する。駆動装置は複数の方向転換部材U1からU4を介して、例えば剛体の方向転換部品、または回転可能なロープローラーによって案内され、ロープ巻き付け用ドラムの回転時に駆動源Mによって窓ガラスSを上げ下げすることができる。窓昇降装置のコンポーネント、特には駆動源M、および/または方向転換部材U1からU4、および、場合によっては窓ガラスSをガイドする案内部品、および/またはロープZに繋がれて、また窓ガラスSに連結されている駆動体をガイドするガイドレールがブラケットユニット1のブラケット面1aに取り付けられる。ブラケットユニット1は平面的に延び、公知の方法で車両ドアTの中で濡れた部分と乾燥した部分を分離することができる。
【0024】
平面的に広がるブラケットユニット1は、本発明において、大部分を、さらには、ほぼ全体を繊維結合材料、ここでは有機シートで形成されている。特に、車両用ドアTの車両部品、例えばドア内側の金属板のような外被に、ブラケットユニット1を取り付けるため、ブラケットユニット1の取り付け部位は繊維結合材料で形成される。
【0025】
図1図2はブラケット面1aを見た部分切り取り図で、二つの取り付け部位10を示し、それら二つの取り付け部位10は、有機シート製のブラケットユニット1の取り付け区域にそれぞれ設けられている。車両ドアTの車両部品にブラケットユニット1を取り付けるために、例えば自己掘削型のねじ、ボルト、またはリベットが使用される。言い換えると、ブラケットユニット1を車両部品と結合状態にするために、それによって各取り付け部材の部分が貫通して延びる必要のある、貫通開口部を、取り付け部位10に事前に加工する必要がない。従って、例えば、ねじ2のねじ部分は、取り付け部材として自己掘削するように作られ、そのために、取り付け部位10に、ねじ2がねじ込まれて初めて組立中に貫通開口部ができる。本発明で使用している有機シートの繊維配合率が高く、また密度が小さいために、組立後に、クリープがほとんどなく、また大きなずれも生じない。取り付け部位10での締め付け力の低下を大幅に減少する、更には完全になくすることもできる。
【0026】
さらに取り付け部位10に生じる力をよりよく伝達するために、図1および図2の取り付け区域である取り付け部位10のそれぞれに、環状リブ100の形状の支持部材が構成される。この環状リブ100は、ブラケット面1aからほぼ垂直に突き出して、それによって、図2および図3に対応した、例えば、ねじ2のような各取り付け部材の取り付け方向Rに沿って、ブラケットユニット1に取り付けられる。
【0027】
環状リブ100は、ねじ頭20を収納する収納部10aの周りを囲む。環状リブ100の円周状のアーチ形に凹んだ内壁101は、それにより収納部10a全体を取り囲む。この場合、収納部10aは、固定用のねじ2のねじ頭20の形をした頭部に合わせた大きさとして、それによって、ねじ2が正しくブラケットユニット1の固定のためにねじ込まれる場合、ねじ頭20は形状結合的に収納部10aの中に収納され、内壁101に結合されながら接触する。ねじ2の円板形状のねじ頭20は、従って正しく組み立てた状態において、収納部10aの中で全周を取り囲まれて、環状リブ100で支えられる。
【0028】
ねじ2の長手方向の軸と取り付け方向Rに対して、ねじ2の径方向を支持するために、環状リブ100に追加の補強リブ11aから11eが形成される。補強リブ11aから11bは、環状リブ100のように、ブラケットユニット1の取り付け部位10を構成する取り付け区域の有機シートに射出成形してもよい。この場合、環状リブ100に対して補強リブ11aから11eに、別の、または同じ繊維結合材料を使用してもよい。例えば環状リブ100は、PP-LGF製の支持部材としてブラケットユニット1の有機シートに射出成形される。
【0029】
取り付け部位10に、ねじ2をねじ込むための位置を正確に、かつ貫通開口部を形成することなしに、事前に定めるために、収納部10aの中心に、位置決めを補助するための凹み102が形成される。この凹み102は、ブラケットユニット1を貫通しない下孔の役割をして、その凹み102にねじ2の先端を挿入して、このねじ2を、そのねじ部分21で(ねじ2の形をした取り付け部材の取り付け部分として)、凹み102でブラケットユニット1を貫通してねじ込むことができ、ブラケットユニット1を車両部品に固定するために、車両部品にねじ込むことができる。
【0030】
それにより、図3に対応してブラケットユニット1の背面1bにねじ部分21が大きく飛び出すので、ブラケット面の上で、円板形状のねじ頭20が形状結合的に、および摩擦結合的に収納部10aの中に収納される。ねじ2のねじ込みによってできる貫通開口部103は、ねじ部分21がその貫通開口部103によってブラケットユニット1を貫通して延びることで、ねじ2を遊びのない状態で収納し、締め付け力を低下させることなくブラケットユニット1を取り付け部位10に継続的に確実に固定する。
【符号の説明】
【0031】
1 ブラケットユニット
10 取り付け部位
100 環状リブ(支持部材)
101 内壁
102 凹み
103 貫通孔
10a 収納部
11a―11e 補強リブ
1a ブラケット面
1b 背面
2 ねじ(取り付け部材)
20 ねじ頭(頭部)
21 ねじ部分(固定部分)
M 駆動源
R 取り付け方向
S 窓ガラス
T 車両ドア
U1-U4 方向転換部材
Z ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5