(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 3/46 20060101AFI20240829BHJP
H02K 3/50 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H02K3/46 B
H02K3/50 A
(21)【出願番号】P 2020120077
(22)【出願日】2020-07-13
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】峰松 泰浩
(72)【発明者】
【氏名】中野 智彰
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-163726(JP,A)
【文献】国際公開第2020/174817(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/46
H02K 1/00
H02K 3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のティースと、
巻き始めと巻き終わりとを有する第1の
ステータコイルと、
前記第1の
ステータコイルの巻き始めにつながる第1渡線と、
前記第1の
ステータコイルの巻き終わりにつながる第2渡線と、
前記第1の
ステータコイルが巻かれた筒部と、当該筒部が連結された外周側面とを有するインシュレータと、
を備え、
前記第1のステータコイルは、前記複数のティースのうち1つのティースに巻き回され、他のいずれか1つのティースに巻き回された同一相の別のステータコイルと、前記第1渡線又は前記第2渡線を介して接続され、
前記インシュレータの外周側面には
、複数の凹部が
回転軸方向に並んで形成されており、
前記第1渡線と前記第2渡線とは、前記複数の凹部のうち、回転軸方向において異なる位置にある2つの凹部に配置され
、
前記複数の凹部は、それぞれ、前記回転軸方向において対向する2つの凸部により形成され、
前記第2渡線が配置される第2凹部は、前記第2渡線が前記第2凹部に引き出される位置において、前記第2凹部を挟んで対向する2つの凸部の周方向の端部の位置が相互に異なる、
回転電機。
【請求項2】
前記第1渡線が前記第1の
ステータコイルに引き込まれる位置において、前記第2凹部を挟んで対向する2つの凸部の周方向の端部の位置が略同一である、請求項
1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記第1渡線は、前記第1の
ステータコイルとは相が異なる第2の
ステータコイルの巻き終わりにつながる、請求項1
又は2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記第1の
ステータコイルの巻き始めが、前記第1の
ステータコイルとは相が異なる第3の
ステータコイルの巻き終わりにつながる、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の回転電機。
【請求項5】
前記第2渡線は、
前記別のステータコイルの巻き始めにつながり、
前記
別のステータコイルの巻き終わりにつながる第3渡線が、前記第2渡線が巻き回された凹部と同一の凹部に配置される、請求項1乃至
4のいずれか1つに記載の回転電機。
【請求項6】
前記第1渡線、前記第2渡線及び前記第3渡線が、同一の導線により形成される、請求項
5に記載の回転電機。
【請求項7】
複数のティースと、
巻き始めと巻き終わりとを有する第1のステータコイルと、
前記第1のステータコイルの巻き始めにつながる第1渡線と、
前記第1のステータコイルの巻き終わりにつながる第2渡線と、
前記第1のステータコイルが巻かれた筒部と、当該筒部が連結された外周側面とを有するインシュレータと、
を備え、
前記第1のステータコイルは、前記複数のティースのうち1つのティースに巻き回され、他のいずれか1つのティースに巻き回された同一相の別のステータコイルと、前記第1渡線又は前記第2渡線を介して接続され、
前記インシュレータの外周側面には、複数の凹部が回転軸方向に並んで形成されており、
前記第1渡線と前記第2渡線とは、前記複数の凹部のうち、回転軸方向において異なる位置にある2つの凹部に配置され、
前記複数の凹部に配置された
複数の渡線は、
前記第1渡線と前記第2渡線とを含み、
前記第1渡線と前記第2渡線とは、互いに異なる回転方向に
巻き回されている、
回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
3相モータや3相発電機等の回転電機にコイルを巻き回す際に、180度反対側のスロットまで渡線を引き回す場合がある。その際に、渡線が他の相の渡線と重ならないようにするため、渡線を巻き回すための溝をインシュレータに3つ形成し、三段構造で巻き線を行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-171239号公報
【文献】特開2008-167604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転電機にコイルを巻き回す際に、インシュレータに形成された溝から渡線がスロットに進入し、スロット内のティースにコイルを巻き終えた後に別の段の溝に引き回される場合がある。その際、別の段の溝に導線を引き回すことが難しい場合がある。
【0005】
一つの側面では、導線の巻き回しを容易にできる回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様において、回転電機は、複数のティースと、巻き始めと巻き終わりとを有する第1のステータコイルと、前記第1のステータコイルの巻き始めにつながる第1渡線と、前記第1のステータコイルの巻き終わりにつながる第2渡線と、前記第1のステータコイルが巻かれた筒部と、当該筒部が連結された外周側面とを有するインシュレータとを備える。前記第1のステータコイルは、前記複数のティースのうち1つのティースに巻き回され、他のいずれか1つのティースに巻き回された同一相の別のステータコイルと、前記第1渡線又は前記第2渡線を介して接続される。前記インシュレータの外周側面には、複数の凹部が回転軸方向に並んで形成されており、前記第1渡線と前記第2渡線とは、前記複数の凹部のうち、回転軸方向において異なる位置にある2つの凹部に配置されている。前記複数の凹部は、それぞれ、前記回転軸方向において対向する2つの凸部により形成される。前記第2渡線が配置される第2凹部は、前記第2渡線が前記第2凹部に引き出される位置において、前記第2凹部を挟んで対向する2つの凸部の周方向の端部の位置が相互に異なる。
【0007】
一つの態様によれば、導線の巻き回しを容易にできる回転電機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態におけるモータの外観斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態におけるステータの正面図である。
【
図4】
図4は、実施形態におけるステータの背面図である。
【
図5】
図5は、実施形態におけるステータの上面図である。
【
図6】
図6は、実施形態におけるステータの底面図である。
【
図7】
図7は、実施形態におけるステータの拡大斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態における切欠き部の位置の一例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、実施形態における渡線の引き出し位置の拡大斜視図である。
【
図10A】
図10Aは、実施形態における渡線の引き回し構造の一例を示す模式図である。
【
図10B】
図10Bは、実施形態における渡線の引き回し構造の一例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、実施形態における渡線が巻き回されたステータの一例を示す正面図である。
【
図12】
図12は、実施形態における渡線が巻き回されたステータの一例を示す背面図である。
【
図13A】
図13Aは、変形例における渡線の引き回し構造の一例を示す模式図である。
【
図13B】
図13Bは、変形例における渡線の引き回し構造の一例を示す模式図である。
【
図14】
図14は、変形例における渡線が巻き回されたステータの一例を示す正面図である。
【
図15】
図15は、変形例における渡線が巻き回されたステータの一例を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する回転電機について図面を参照して説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。各図面において、説明を分かりやすくするために、回転電機の回転軸(シャフト)に沿う方向をZ軸方向とする3次元の直交座標系を図示する場合がある。
【0010】
[実施形態]
図1は、実施形態におけるモータの外観斜視図、
図2は、モータの
図1におけるA-A断面図である。
図1において、モータ1は、略円筒状のハウジング7と、このハウジング7の開口側の端部を覆うキャップ8とを備えている。ハウジング7およびキャップ8は、例えば、金属材料から形成されている。キャップ8の中央の突出部8aからは、シャフト9が露出している。また、キャップ8上には、樹脂等の絶縁材料から形成されたボス部83aが突出し、このボス部83aからは、金属材料から形成された外部端子84が露出している。なお、モータ1は回転電機の一例である。
【0011】
図2は、モータ1の
図1におけるA-A断面図である。
図2において、ハウジング7のキャップ8と反対側(
図2における下側)の中央の突出部7aの内側にはベアリング91が設けられ、キャップ8の突出部8aの内側にはベアリング92が設けられ、ベアリング91、92によってシャフト9が回動可能に支持されている。また、シャフト9は、スプリング93によって、ベアリング91側からベアリング92側に付勢されている。なお、シャフト9のベアリング91側の外周面にはスリーブ9aが設けられている。
【0012】
シャフト9の略中央付近の外周面には略円筒状のロータヨーク80が固定され、ロータヨーク80の外周面には略円筒状のマグネット90が固定されている。シャフト9、ロータヨーク80およびマグネット90によって、ロータが形成されている。
【0013】
ハウジング7の内周面にはコアバック42およびティース43を有するステータコア40が固定され、ステータコア40のティース43にはインシュレータ41A、41Bを介してステータコイル50が巻回されている。本実施形態におけるステータコア40は、6組のコアバック42及びティース43を備える。ステータコア40、インシュレータ41A、41Bおよびステータコイル50によって、ステータ4が形成されている。なお、インシュレータ41A及び41Bは、インシュレータの一例である。
【0014】
各ステータコイル51乃至56を結ぶ導線の一部は、各ティース43に巻かれた後に、インシュレータ41Bの外周部に渡り、他のティース43の位置まで巻かれる。すなわち、本実施形態におけるモータ1は、例えば、6スロットの3相モータとなる。なお、以下において、6つのティース43をそれぞれ区別して表現する場合に、ティース431乃至436と表記する場合がある。また、6つのティース431乃至436それぞれに巻回されたステータコイル50を区別して表現する場合に、それぞれステータコイル51乃至56と表記する場合がある。また、各ステータコイル51乃至56において、導線がティース431乃至436に反時計回りに巻き回されることを区別して表現する場合、ステータコイル51c乃至56cと表記する場合がある。
【0015】
一方、キャップ8の内側には端子ホルダ83が設けられ、端子ホルダ83の一部であるボス部83aがキャップ8から外部に突出しており、ボス部83aの内部に外部端子84が挿通されている。また、インシュレータ41Aには結線端子31が配置されており、モータ1の組立時において、キャップ8側の外部端子84とインシュレータ41A側の結線端子31とが係合し、電気的に接続されるようになっている。
【0016】
外部端子84はモータ1の外部に接続され、結線端子31にはステータコイル50を形成する導線の端部が溶着または絡げ接続される。
【0017】
図3は、実施形態におけるステータの正面図、
図4は、実施形態におけるステータの背面図である。
図5は、実施形態におけるステータの上面図、
図6は、実施形態におけるステータの底面図である。
図3乃至
図5に示すように、本実施形態におけるステータ4のインシュレータ41Aには、
図2に示される結線端子31に加えて、ステータコイル50を形成する導線の端部が溶着または絡げ接続される結線端子32乃至35が配置される。また、
図3、
図4及び
図6に示すように、ステータ4のインシュレータ41Bには、ピン21乃至23が配置される。ピン21乃至23には、後に説明するように、ステータコイル50を形成する導線の端部が絡げられる場合がある。
【0018】
また、
図2乃至
図4に示されるように、インシュレータ41Bには、複数の凹部10x乃至10zと、複数の凸部10a乃至10dとが周方向に形成される。複数の凹部10x乃至10z及び複数の凸部10a乃至10dは、例えば、モータ1の回転軸方向(Z軸方向)に対して略直交する方向に形成される。すなわち、本実施形態において、複数の凹部10x乃至10z及び複数の凸部10a乃至10dは、それぞれ他の凹部10x乃至10z及び他の凸部10a乃至10dとは相互に略平行に形成される。複数の凹部10x乃至10zには、複数のステータコイル50を相互に結ぶ導線が渡される。すなわち、3つの凹部10x乃至10zを備える本実施形態におけるモータ1には、三段構造で巻き線を行うことが可能である。本実施形態において、複数の凹部10x乃至10zは、モータ1の回転軸方向(Z軸方向)において異なる位置に、例えばティース431乃至436に近い順に並んで形成される。すなわち、凹部10xはZ軸正方向側に、凹部10zはZ軸負方向側に形成され、中間に凹部10yが形成される。
【0019】
図7は、実施形態におけるステータの拡大斜視図である。
図7は、
図4の符号Pに示す部分を、斜め上方向(X軸負方向、Y軸負方向かつZ軸正方向)から見た状態を示している。
図7に示すように、本実施形態において、凹部10x乃至10zは、それぞれ、凸部10a乃至10dのうちのいずれか2つに挟まれることにより形成される。例えば、凹部10xは、
図7に示すZ軸正方向側に形成される凸部10aと、Z軸負方向側に形成される10bとに挟まれる部分である。同様に、凹部10yは、Z軸正方向側に形成される凸部10bと、Z軸負方向側に形成される10cとに挟まれる部分であり、凹部10zは、Z軸正方向側に形成される凸部10cと、Z軸負方向側に形成される10dとに挟まれる部分である。
【0020】
また、本実施形態における凸部10b乃至10dには、切欠き部11乃至16が設けられる。切欠き部11乃至16は、ステータコイル50を形成する導線が引き出され、又は引き込まれる位置に、それぞれ形成される。
図8は、実施形態における切欠き部の位置の一例を示す模式図である。
図8に示すように、例えば、切欠き部11乃至16は、ステータコイル51乃至56がそれぞれ形成されるティース431乃至436の位置に応じて、それぞれ形成される。
【0021】
本実施形態において、各凹部10x乃至10zのいずれかに巻き回された渡線は、
図8に示す左右いずれかの方向から、切欠き部11乃至16を通じて、各切欠き部11乃至16に対応するティース431乃至436に引き込まれる。また、本実施形態において、各ティース431乃至436にそれぞれ巻き回された導線は、
図8に示す左右いずれかの方向に、切欠き部11乃至16を通じて、凹部10x乃至10zのいずれかに引き出される。なお、
図8において、例えば、左方向は時計回り(CW)に導線が巻き回される方向を示し、右方向は反時計回り(CCW)に導線が巻き回される方向を示すものとする。
【0022】
なお、各ティース431乃至436の位置に応じた切欠き部11乃至16に加えて、結線端子31乃至35に対応する位置等に、別の切欠き部がさらに形成されてもよい。本実施形態においては、
図8に示すように、例えば、切欠き部14と切欠き部15との間に、結線端子34の位置に対応する切欠き部19がさらに形成される。
【0023】
また、本実施形態における切欠き部11乃至16は、凹部10x乃至10zのうちのどの凹部に導線が渡されるかに対応して形成される。さらに、切欠き部11乃至16は、導線が引き込まれるティース43の位置に対応して形成される。本実施形態において、凹部10x乃至10zのいずれかに渡線が巻き回された場合、当該いずれかの凹部10x乃至10zよりもZ軸負方向側、すなわち引き込み先のティース431乃至436又は結線端子31乃至35から遠い側の凸部10b乃至10dが切り欠かれている場合にのみ、渡線をティース431乃至436又は結線端子31乃至35へ引き込める。
【0024】
本実施形態において、各凸部10b乃至10dが切り欠かれているか否かは、各切欠き部11乃至16においてそれぞれ異なる。すなわち、切欠き部11乃至16の形状が同一であるとは限らない。例えば、切欠き部11は、凸部10dにのみ形成される。この場合、ティース431に対応する位置においては、凸部10b及び10cは切り欠かれていない。この場合において、切欠き部11に対応するティース431には、凹部10x乃至10zのうち、切欠き部11が形成されていない凸部10b及び10cよりも、ティース431から遠い側(Z軸負方向側)にある凹部10zに渡された導線のみが引き込み可能である。
【0025】
また、例えば、切欠き部14及び16は、凸部10dに加えて、凸部10cにも形成される。この場合、切欠き部14に対応するティース434、及び切欠き部16に対応するティース436には、凹部10zに加えて、切欠き部14及び16が形成されていない凸部10bよりも、ティース434又は436から遠い側(Z軸負方向側)の凸部10cに隣接する凹部10yに渡された導線も引き込み可能である。
【0026】
また、例えば、切欠き部12、13及び15は、凸部10b乃至10dのいずれにも形成される。この場合、切欠き部12に対応するティース432、切欠き部13に対応するティース433、及び切欠き部15に対応するティース435には、凹部10x乃至10zのいずれに渡された導線も引き込み可能である。
【0027】
また、例えば機械巻線により導線を巻き回す場合、引き出し元となるティース43又は結線端子31乃至35から引き出された導線を、引き出し先の凹部10x乃至10zよりも引き出し元に近い(Z軸正方向側にある)凸部10a乃至10cに置くことが一般的である。その際、引き出し先の凹部10x乃至10zよりも引き出し元から遠い(Z軸負方向側にある)凸部10b乃至10dに切欠き部11乃至16が設けられるとともに、引き出し先の凹部10x乃至10zよりも引き出し元に近い(Z軸正方向側にある)凸部10a乃至10cは切り欠かれていないことが望ましい。例えば、引き出し先が凹部10zである場合、ティース432に対応する切欠き部12においては、凸部10cも切り欠かれているため、ティース432から凹部10zに導線を引き出すことは困難である。
【0028】
そこで、本実施形態においては、
図8に示すように、切欠き部11乃至16は、凸部10b乃至10dのうち少なくともいずれかに対して、左右非対称に形成されていてもよい。例えば、切欠き部11乃至16は、凸部10b乃至10dのいずれかに対して、一部が形成されなくてもよい。
【0029】
例えば、
図8に示す切欠き部12は、凸部10bにも、凸部10c及び凸部10dと同様に形成されるのに対し、切欠き部13においては、凸部10bのうち、符号10bcに示す部分は切り欠かれない。すなわち、
図7及び
図8に示すように、切欠き部13においては、導線が右方向(反時計回り方向)に巻き回される場合において、凹部10x又は10yから導線が引き込まれる位置131の形状と、凹部10yに対して導線が引き出される位置132との形状とが左右非対称となる。例えば、位置131においては、3つの凸部の周方向の端部10bs、10cs及び10dsの位置が略同一であるのに対し、位置132においては、凸部の周方向の端部10beの位置と、周方向の端部10ce及び10deの位置とが相互に異なる。この場合において、切欠き部13に対応するティース433から右方向(反時計回り方向)に凹部10yに引き出される導線を、凸部10bの符号10bcに示す部分に置く(凸部10bのZ軸負方向側の面に導線を乗せる)ことができる。これにより、切欠き部12に対応するティース432から機械巻線により凹部10yに導線を引き出すのが困難であるのに対し、ティース433からは機械巻線により凹部10yに容易に導線を引き出すことができる。なお、位置131は、第1渡線が第1のコイルに引き込まれる位置の一例であり、位置132は、第2渡線が第1のコイルから引き出される位置の一例である。
【0030】
同様に、
図8に示す切欠き部14において、凸部10cのうち、符号10cdに示す部分は切り欠かれない。すなわち、切欠き部14においても、導線が右方向(反時計回り方向)に巻き回される場合において、凹部10y又は10zから導線が引き込まれる位置141の形状と、凹部10zに対して導線が引き出される位置142との形状とが左右非対称となる。この場合において、切欠き部14に対応するティース434から右方向(反時計回り方向)に凹部10zに引き出される導線を、凸部10cの符号10cdに示す部分に置くことができる。これにより、ティース434からは機械巻線により凹部10zに容易に導線を引き出すことができる。
【0031】
図8に示すような左右非対称の切欠き部14を用いて巻き回される導線について、
図9を用いて説明する。
図9は、実施形態における渡線の引き出し位置の拡大斜視図である。
図9は、
図4の符号Qに示す部分を、斜め下方向(X軸負方向、Y軸負方向かつZ軸負方向)から見た状態を示している。
図9に示すように、インシュレータ41Bの凹部10yに反時計回り方向に巻き回された渡線C4は、位置141において切欠き部14に引き込まれる。そして、後に説明するように、渡線C4につながる導線は、結線端子33に溶着または絡げ接続された後、ティース434に反時計回り方向に巻き回されることにより、ステータコイル54cを形成する。
【0032】
そして、ステータコイル54cの巻き終わり54eにつながる導線は、渡線C5として、切欠き部14から引き出されて、位置142において凸部10cに置かれる。すなわち、渡線C5は、渡線C4が巻き回された凹部10yとは異なる凹部10zに巻き回される。かかる構成によれば、ステータコイル54cの巻き終わり54eにつながる導線を、機械巻線により凹部10zに容易に引き出すことができる。
【0033】
このような凸部10a乃至10d及び凹部10x乃至10zが形成されたインシュレータ41Bに導線を巻き回す構成について、
図10A乃至
図12を用いて説明する。
図10A及び
図10Bは、実施形態における渡線の引き回し構造の一例を示す模式図である。
図11は、実施形態における渡線が巻き回されたステータの一例を示す正面図である。
図12は、実施形態における渡線が巻き回されたステータの一例を示す背面図である。
図11は、
図3の符号M1に示す部分に渡線C1乃至C6が巻き回された状態を示し、
図12は、
図4の符号M2に示す部分に渡線C1乃至C6が巻き回された状態を示している。
【0034】
図10A乃至
図12は、モータ1の回転方向が時計回り方向(CW)である場合の渡線を巻き回す構成について説明する。この場合において、ステータコイル52及び55はU相に、ステータコイル53及び56はV相に、ステータコイル51及び54はW相に、それぞれ対応する。なお、
図10A及び
図10Bにおいては、
図8と同様に、右方向の矢印は、導線が反時計回り方向に巻き回されることを示し、左方向の矢印は、導線が時計回り方向に巻き回されることを示す。また、
図10B、
図11及び
図12においては、ピン21乃至23及び結線端子31乃至35に関する図示を省略している。なお、以下において、「巻き始めにつながる」又は「巻き終わりにつながる」という表現は、他の渡線を介することなく、かつ結線端子31乃至35又は他のステータコイル50を介して、渡線がステータコイル50の巻き始め又は巻き終わりに間接的につながる場合を含むものとする。
【0035】
まず、
図10A及び
図10Bに示すように、導線は、ピン21に絡げられてから、矢印C0に示すように、切欠き部12からインシュレータ41B内部に引き込まれる。導線は、結線端子31に溶着または絡げ接続され、その後ティース432に時計回り方向に巻き回されることにより、ステータコイル52を形成する。本実施形態において、結線端子31は、U相の外部端子84に電気的に接続される。
図10A及び
図11に示すように、ステータコイル52の巻き終わり52eにつながる導線は、渡線C1として、切欠き部12から凹部10xに反時計回り方向に引き出される。
【0036】
図10A及び
図10Bに示すように、渡線C1は、凹部10xを反時計回り方向に半周(180度)巻き回され、切欠き部15からインシュレータ41B内部に引き込まれる。渡線C1からつながる導線は、ティース435に時計回り方向に巻き回されることにより、ステータコイル55を形成する。すなわち、
図10A及び
図12に示すように、渡線C1は、ステータコイル55の巻き始め55sにつながる。なお、ステータコイル55は、第2のコイルの一例である。
【0037】
ステータコイル55の巻き終わり55eにつながる導線は、渡線C2として、切欠き部15から凹部10xに反時計回り方向に引き出される。渡線C2は、凹部10xを反時計回り方向に巻き回され、位置132と周方向において対向する位置131において、切欠き部13からインシュレータ41B内部に引き込まれる。
【0038】
渡線C2につながる導線は、結線端子32に溶着または絡げ接続された後に、ティース433に反時計回り方向に巻き回されることにより、ステータコイル53cを形成する。本実施形態において、結線端子32は、U相からV相への整流子となる。なお、ステータコイル53cは、第1のコイルの一例であり、渡線C2は、第1渡線の一例である。本実施形態において、渡線C2は、結線端子32を介して、ステータコイル53cの巻き始めに間接的につながる。
【0039】
ステータコイル53cの巻き終わり53eにつながる導線は、渡線C3として、渡線C2が巻き回された凹部10xとは異なる凹部10yに、切欠き部13から反時計回り方向に引き出される。
図10B及び
図12の符号132に示すように、渡線C3は、凸部10cの符号10bcに示す部分、すなわち凸部10bの周方向の端部10beと凸部10cの周方向の端部10ceとの位置が異なる部分に引き出される。なお、渡線C3は、第2渡線の一例である。また、渡線C3が巻き回された凹部10yは第2凹部の一例であり、凹部10yと渡線C2が巻き回された凹部10xとは、回転軸方向において異なる位置にある2つの凹部の一例である。また、凸部10b及び10cは、第2凹部を挟んで対向する2つの凸部の一例である。また、凸部10cの符号10bcに示す部分は、符号132に示す位置において、2つの凸部10b、10cの周方向の端部10beと10ceとの位置がそれぞれ異なることにより形成される段差である。
【0040】
凹部10yに引き出された渡線C3は、凹部10yを反時計回り方向に半周巻き回され、切欠き部16からインシュレータ41B内部に引き込まれる。渡線C3は、ティース436に反時計回り方向に巻き回されることにより、ステータコイル56cを形成する。すなわち、
図10A及び
図11に示すように、本実施形態において、渡線C3は、ステータコイル56cの巻き始め56sにつながる。
【0041】
ステータコイル56cの巻き終わりにつながる導線は、結線端子35に溶着または絡げ接続された後、渡線C4として、渡線C3が巻き回された凹部10yと同一の凹部10yに、切欠き部16から反時計回り方向に引き出される。本実施形態において、結線端子35は、V相の外部端子84に電気的に接続される。
【0042】
図10B及び
図12の符号141に示すように、渡線C4は、凹部10yを反時計回り方向に巻き回され、切欠き部14からティース434に引き込まれる。渡線C4につながる導線は、結線端子33に溶着または絡げ接続された後、ティース434に反時計回り方向に巻き回されることにより、ステータコイル54cを形成する。本実施形態において、結線端子33は、V相からW相への整流子となる。
【0043】
ステータコイル54cの巻き終わり54eにつながる導線は、
図10B及び
図12の符号142に示すように、渡線C5として、渡線C4が巻き回された凹部10yとは異なる凹部10zに、切欠き部14から反時計回り方向に引き出される。渡線C5は、凸部10cの符号10cdに示す部分に引き出される。
【0044】
なお、
図9及び
図12に示すように、渡線C4がステータコイル54cに引き込まれる位置141において、2つの凸部10c及び10dの周方向の端部の位置は略同一である。一方、渡線C5がステータコイル53cから引き出される位置142において、2つの凸部10c及び10dの周方向の端部の位置は相互に異なる。
【0045】
凹部10zに引き出された渡線C5は、凹部10zを反時計回り方向に半周巻き回され、切欠き部11からインシュレータ41B内部に引き込まれる。
図10A及び
図11に示すように、渡線C5は、ステータコイル51cの巻き始め51sにつながる。その後、導線は、ティース431に反時計回り方向に巻き回されることにより、ステータコイル51cを形成する。そして、ステータコイル51cの巻き終わり51eにつながる導線は、渡線C6として、凹部10zに、切欠き部11から反時計回り方向に引き出される。
【0046】
渡線C6は、凹部10zを反時計回り方向に巻き回され、切欠き部19からインシュレータ41B内部に引き込まれる。そして、導線は結線端子34に溶着または絡げ接続された後、
図10A及び
図10Bの矢印C9に示すように切欠き部19から引き出されて、ピン22に絡げられる。本実施形態において、結線端子32は、W相の外部端子84に電気的に接続される。このように、本実施形態において、渡線C1乃至C4を含むステータコイル50は、同一の導線により、例えば一筆書きで形成される。
【0047】
以上説明したように、本実施形態におけるモータ1は、巻き始めと巻き終わりとを有する第1のコイル53cと、第1のコイル53cの巻き始めにつながる第1渡線C2と、第1のコイルの巻き終わりにつながる第2渡線C3と、第1のコイルが巻かれた筒部41A、41Bと、当該筒部が連結された外周側面41Bとを有するインシュレータ41とを備える。インシュレータの外周側面41Bには、回転軸方向において、複数の凹部10x乃至10zが形成されており、第1渡線C2と第2渡線C3とは、複数の凹部10x乃至10zのうち、回転軸方向において異なる位置にある2つの凹部10x及び10yに配置されている。これにより、導線の巻き回しを容易にできる回転電機を提供できる。
【0048】
[変形例]
実施形態においては、時計回り方向(CW)に回転するモータ1について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、インシュレータ41Bに導線を巻き回す順序や方向を変更することにより、反時計回り方向(CCW)に回転するモータ2も実現可能である。また、複数の凹部10x乃至10zにおいて、他の渡線とは異なる方向に渡線が巻き回されてもよい。
【0049】
変形例において、モータ2のインシュレータ41Bに導線を巻き回す構成について、
図13A乃至
図15を用いて説明する。なお、以下において、先に説明した図面に示す部位と同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図13A及び
図13Bは、変形例における渡線の引き回し構造の一例を示す模式図である。
図14は、変形例における渡線が巻き回されたステータの一例を示す正面図である。
図15は、変形例における渡線が巻き回されたステータの一例を示す背面図である。
【0050】
図13A乃至
図15は、回転方向が反時計回り方向(CCW)であるモータ2において、インシュレータ41Bに導線を巻き回す構成について説明する。変形例において、ステータコイル53及び56がV相に対応するのは実施形態と同様であるが、ステータコイル52及び55はW相に、ステータコイル51及び54はU相に、それぞれ対応する点が実施形態とは異なる。なお、
図13A及び
図13Bにおいても、右方向の矢印は、導線が反時計回り方向に巻き回されることを示し、左方向の矢印は、導線が時計回り方向に巻き回されることを示す。また、
図13B、
図14及び
図15においては、
図10B、
図11及び
図12と同様に、ピン21乃至23及び結線端子31乃至35に関する図示を省略している。
【0051】
まず、
図13Aに示すように、導線は、ピン23に絡げられてから、矢印CC0に示すように、切欠き部19からインシュレータ41B内部に引き込まれ、結線端子34に溶着または絡げ接続される。変形例において、結線端子34は、W相の外部端子84に電気的に接続される。
【0052】
その後、導線は、ティース435に時計回り方向に巻き回されることにより、ステータコイル55を形成する。
図13A及び
図15に示すように、ステータコイル55の巻き終わりC55eにつながる導線は、渡線CC1として、切欠き部15から凹部10xに時計回り方向(左方向)に引き出される。
【0053】
図14に示すように、渡線CC1は、凹部10xを時計回り方向に半周(180度)巻き回され、切欠き部12からインシュレータ41B内部に引き込まれる。渡線CC1につながる導線は、ティース432に時計回り方向に巻き回されることにより、ステータコイル52を形成する。すなわち、本変形例において、渡線CC1は、ステータコイル52の巻き始めC52sにつながる。なお、本変形例において、渡線CC1は第1渡線の一例であり、ステータコイル52は、第3のコイルの一例である。
【0054】
本変形例において、ステータコイル52の巻き終わりにつながる導線は、切欠き部12に引き出されずに、結線端子32に溶着または絡げ接続される。本変形例において、結線端子32は、W相からV相への整流子となる。その後、導線はティース433に反時計回り方向に巻き回されることにより、ステータコイル53cを形成する。なお、本変形例において、ステータコイル53cは、第1のコイルの一例である。本変形例において、第1渡線CC1は、他のステータコイル52及び結線端子32を介して、間接的に第1のコイル53cの巻き始めにつながる。
【0055】
図10B及び
図15の符号132に示すように、ステータコイル53cの巻き終わりC53eにつながる導線は、渡線CC2として、渡線CC1が巻き回された凹部10xとは異なる凹部10yに、切欠き部13から反時計回り方向に引き出される。渡線CC2は、凸部10cの符号10bcに示す部分に引き出され、凹部10yを反時計回り方向に半周(180度)巻き回される。なお、渡線CC2は、第2渡線の一例である。
【0056】
図10B及び
図14に示すように、渡線CC2は、切欠き部16からインシュレータ41B内部に引き込まれる。渡線CC2につながる導線は、ティース436に反時計回り方向に巻き回されることにより、ステータコイル56cを形成した後に、結線端子35に溶着または絡げ接続される。すなわち、
図10B及び
図14に示すように、本変形例において、渡線CC2は、ステータコイル56cの巻き始めC56sにつながる。本変形例において、結線端子35は、V相の外部端子84に電気的に接続される。なお、ステータコイル56cは、第4のコイルの一例である。
【0057】
結線端子35に溶着または絡げ接続された導線は、渡線CC3として、切欠き部16から、渡線CC2が巻き回された凹部10yと同じ凹部10yに引き出される。
図10B及び
図14に示すように、本変形例において、渡線CC3は、結線端子35を介して、ステータコイル56cの巻き終わりと間接的につながる。なお、渡線CC3は、第3渡線の一例である。
【0058】
図10B及び
図15に示すように、渡線CC3は、凹部10yを反時計回り方向に巻き回され、切欠き部14からティース434に引き込まれる。渡線CC3につながる導線は、結線端子33に溶着または絡げ接続された後、ティース434に反時計回り方向に巻き回されることにより、ステータコイル54cを形成する。変形例において、結線端子33は、V相からU相への整流子となる。
【0059】
図10B及び
図15の符号142に示すように、ステータコイル54cの巻き終わりC54eにつながる導線は、渡線CC4として、凸部10c符号10cdに示す部分に置かれる。これにより、渡線CC4は、渡線CC3が巻き回された凹部10yとは異なる凹部10zに、切欠き部14から反時計回り方向に引き出される。
【0060】
図10B及び
図14に示すように、渡線CC4は、凹部10zを反時計回り方向に半周巻き回され、切欠き部11からインシュレータ41B内部に引き込まれる。そして、渡線CC4につながる導線はティース431に反時計回り方向に巻き回されることにより、ステータコイル51cを形成する。すなわち、
図10B及び
図14に示すように、渡線CC4は、ステータコイル51cの巻き始めC51sにつながる。
【0061】
本変形例において、ステータコイル51の巻き終わりにつながる導線は、結線端子31に溶着または絡げ接続された後に、矢印CC9に示すように切欠き部11から引き出されて、ピン21に絡げられる。本変形例において、結線端子31は、U相の外部端子84に電気的に接続される。このように、本変形例においても、渡線CC1乃至CC4を含むステータコイル50は、同一の導線により形成される。
【0062】
以上説明したように、本変形例におけるモータ2において、第1のコイル53cの巻き始めは、他の渡線を介することなく、第1のコイル53cとは相が異なる第3のコイル52の巻き終わりにつながってもよい。また、本変形例におけるモータ2において、巻き始めC56sが第2渡線CC2とつながる第4のコイル56cの巻き終わりにつながる第3渡線CC3は、第2渡線CC2が巻き回された凹部10yと同一の凹部10yに配置されてもよい。さらに、本変形例におけるモータ2の複数の凹部10x乃至10zに配置された渡線は、第2渡線CC2及びその他の渡線CC3、CC4が配置される回転方向(反時計回り方向)と異なる回転方向(時計回り方向)に配置される渡線CC1を有してもよい。これにより、渡線の配置の自由度を向上できる。
【0063】
また、本変形例におけるモータ2には、回転方向が異なるモータ1に用いられるインシュレータと同一のインシュレータ41を用いることができる。これにより、回転方向に応じて異なるインシュレータを用意する必要がないため、製造コストを削減できる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、回転電機の一例としてモータ1を示したが、これに限られず、例えば発電機等のその他の回転電機であってもよい。また、モータ1として6スロットの3相モータを示したが、回転電機のスロット数等はこれに限られない。
【0065】
また、
図8の符号10bc及び10cdに示すように、凸部10b乃至10dのうち一部において、切欠き部11乃至16に対して右方向側(反時計回り方向側)が切り欠かれない構成を示したが、実施の形態はこれに限られない。例えば、凸部10b乃至10dの切欠き部11乃至16のうち一部において、左方向側(時計回り方向側)が切り欠かれない構成であってもよく、左方向側と右方向側の両方が切り欠かれない構成であってもよい。これにより、ティース43から左方向(時計回り方向)に導線を引き出す際にも、機械巻線により容易に導線を巻き回すことができる。
【0066】
また、複数の凹部10x乃至10zが、モータ1の回転軸方向(Z軸方向)において異なる位置に並ぶ構成について説明したが、これに限られず、例えば複数の凹部が径方向において異なる位置に、例えば回転電機のシャフトを中心とした同心円状に並ぶような構成であってもよい。その場合において、本実施形態と同様に回転軸方向において異なる位置に並んでいてもよく、また例えば複数の凹部のうちの少なくとも2つが回転軸方向において一直線上に並ぶような構成であってもよい。
【0067】
また、渡線がつなぐ2つのステータコイル50の相の異同と、2つの渡線が巻き回される凹部の異同との関係は、実施形態及び変形例に示す例に限られない。例えば、実施形態において、異なる相のステータコイル56cの巻き終わりとステータコイル54cの巻き始めとにつながる渡線C4と、ステータコイル54cの巻き終わりにつながる渡線C5とが、同一の凹部に巻き回されてもよい。また、変形例において、同一の相のステータコイル53cの巻き終わりとステータコイル56cの巻き始めとにつながる渡線CC2と、ステータコイル56cの巻き終わりにつながる渡線CC3とが、それぞれ異なる凹部に巻き回されていてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 モータ、4 ステータ、7 ハウジング、8 キャップ、9 シャフト、91~92 ベアリング、93 スプリング、80 ロータヨーク、90 マグネット、40 ステータコア、41A,41B インシュレータ、50,51~56 ステータコイル、83 端子ホルダ、83a ボス部、10a~10d 凸部、10x~10z 凹部、11~16 切欠き部、21~23 ピン、31~35 結線端子、C1~C6,CC1~CC4 渡線