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特許7545825停止位置判定装置、停止位置判定方法およびプラットホームドアシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】停止位置判定装置、停止位置判定方法およびプラットホームドアシステム
(51)【国際特許分類】
   B61L 25/02 20060101AFI20240829BHJP
   B61B 1/02 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B61L25/02 G
B61B1/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020128594
(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公開番号】P2022025646
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509335144
【氏名又は名称】株式会社JR西日本テクシア
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】横井 偉士
(72)【発明者】
【氏名】田中 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】福井 有朋
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 昌兵
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-048004(JP,A)
【文献】特開2018-184076(JP,A)
【文献】特開2015-105052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 25/02
B61B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の台車の少なくとも一部を検出するためのセンサと、
前記センサからの検出結果に基づいて、列車が目標停止範囲に停止しているか否かを判定する判定部と、
前記センサとは別のセンサと、
を備え
前記センサおよび前記別のセンサは、台車の車輪を検出するためのセンサであり、
列車が目標停止範囲に停止しているときに台車の車輪が存在すると想定される範囲を存在範囲と称すとき、
前記センサは、存在範囲に進入する車輪を検出可能に構成され、
前記別のセンサは、存在範囲から退出する車輪を検出可能に構成され、
前記判定部は、前記センサおよび前記別のセンサがそれぞれ検出した車輪数に基づいて、列車が目標停止範囲に停止しているか否かを判定する停止位置判定装置。
【請求項2】
列車の台車の少なくとも一部を検出するためのセンサと、
前記センサからの検出結果に基づいて、列車が目標停止範囲に停止しているか否かを判定する判定部と、
を備え
前記センサは、台車の、プラットホーム側の車輪および反プラットホーム側の車輪を検出可能に設けられ、
前記判定部は、前記センサによる、前記プラットホーム側の車輪および前記反プラットホーム側の車輪の検出結果に基づいて、列車が目標停止範囲に停止しているか否かを判定する停止位置判定装置。
【請求項3】
前記センサは、台車の車輪を検出するためのセンサであり、
列車が目標停止範囲に停止しているときに台車の車輪が存在すると想定される範囲を存在範囲と称すとき、
前記判定部は、前記センサにより存在範囲において車輪が検出され、かつ、存在範囲に隣接する範囲において車輪が検出されない場合に、列車が目標停止範囲に停止していると判定する請求項に記載の停止位置判定装置。
【請求項4】
前記センサとは別のセンサをさらに備え、
前記センサおよび前記別のセンサは、台車の車輪を検出するためのセンサであり、
列車の第1の車両と第2車両が連結されているとき、
前記判定部は、最も第2の車両に近い第1の車両の台車の車輪についての前記センサからの検知結果と、最も第1の車両に近い第2の車両の台車の車輪についての前記別のセンサからの検知結果に基づいて、列車が目標停止範囲に停止しているか否かを判定する請求項2または3に記載の停止位置判定装置。
【請求項5】
前記センサとは別のセンサをさらに備え、
前記センサおよび前記別のセンサは、台車の車輪を検出するためのセンサであり、
列車が目標停止範囲に停止しているときに台車の車輪が存在すると想定される範囲を存在範囲と称すとき、
前記センサは、存在範囲に進入する車輪を検出可能に構成され、
前記別のセンサは、存在範囲から退出する車輪を検出可能に構成され、
前記判定部は、前記センサおよび前記別のセンサがそれぞれ検出した車輪数に基づいて、列車が目標停止範囲に停止しているか否かを判定する請求項に記載の停止位置判定装置。
【請求項6】
前記センサは、プラットホームの下方に設けられる請求項1から5のいずれかに記載の停止位置判定装置。
【請求項7】
前記センサはエリアセンサであり、
前記判定部は、前記センサの検出結果に基づいて列車の速度を算出する請求項1から6のいずれかに記載の停止位置判定装置。
【請求項8】
前記センサは、距離センサであることを特徴とする請求項に記載の停止位置判定装置。
【請求項9】
列車が目標停止範囲に停止しているときに台車の車輪が存在すると想定される範囲を存在範囲と称すとき、
存在範囲に進入する車輪を検出可能に構成されたセンサ、および、存在範囲から退出する車輪を検出可能に構成され別のセンサがそれぞれ検出した車輪数に基づいて、列車が目標停止範囲に停止しているか否かを判定する停止位置判定方法。
【請求項10】
列車の台車の少なくとも一部を検出するためのセンサと、
前記センサからの検出結果に基づいて、列車が目標停止範囲に停止しているか否かを判定する判定部と、
前記センサとは別のセンサと、
を備え
前記センサおよび前記別のセンサは、台車の車輪を検出するためのセンサであり、
列車が目標停止範囲に停止しているときに台車の車輪が存在すると想定される範囲を存在範囲と称すとき、
前記センサは、存在範囲に進入する車輪を検出可能に構成され、
前記別のセンサは、存在範囲から退出する車輪を検出可能に構成され、
前記判定部は、前記センサおよび前記別のセンサがそれぞれ検出した車輪数に基づいて、列車が目標停止範囲に停止しているか否かを判定するプラットホームドアシステム。
【請求項11】
台車のプラットホーム側の車輪および反プラットホーム側の車輪を検出することと、
前記プラットホーム側の車輪および前記反プラットホーム側の車輪の検出結果に基づいて、列車が目標停止範囲に停止しているか否かを判定することと、
を含む停止位置判定方法。
【請求項12】
列車の台車の少なくとも一部を検出するためのセンサと、
前記センサからの検出結果に基づいて、列車が目標停止範囲に停止しているか否かを判定する判定部と、
を備え
前記センサは、台車の、プラットホーム側の車輪および反プラットホーム側の車輪を検出可能に設けられ、
前記判定部は、前記センサによる、前記プラットホーム側の車輪および前記反プラットホーム側の車輪の検出結果に基づいて、列車が目標停止範囲に停止しているか否かを判定するプラットホームドアシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停止位置判定装置、停止位置判定方法およびプラットホームドアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車の信号システムから情報を得ることなくプラットホームドアの開動作を自動化するためには、プラットホーム側にセンサを設置して、当該センサによる検出結果に基づいて、列車があらかじめ定められた目標停止範囲に停止したか否かを判定する必要がある。例えば特許文献1には、センサによって車両間の隙間を検出することにより、列車が目標停止範囲に停止したか否かを判定する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-105052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両間の隙間は、車種が変われば、当然隙間も変わりうる。また車種によっては、幌により覆われて車両間の隙間がないものもある。いずれにせよ、特許文献1に記載されるような従来の技術では、列車の車種によっては、列車が目標停止範囲に停止しているか否かを判定できない。
【0005】
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、列車の車種によらず、列車が目標停止範囲に停止しているか否かを判定できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の停止位置判定装置は、列車の台車の少なくとも一部を検出するためのセンサと、センサからの検出結果に基づいて、列車が目標停止範囲に停止しているか否かを判定する判定部と、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、列車の車種によらず、列車が目標停止範囲に停止しているか否かを判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態に係る停止位置判定装置が用いられるプラットホームシステムの機能ブロックを示す構成図である。
図2】プラットホームを示す平面図である。
図3】軌道の延在方向からプラットホームを見た図である。
図4】停止範囲判定を説明するための図である。
図5】第2の実施の形態に係る停止位置判定装置が用いられるプラットホームシステムによる停止範囲判定を説明するための図である。
図6】第3の実施の形態に係る停止位置判定装置が用いられるプラットホームシステムによる停止範囲判定を説明するための図である。
図7】第4の実施の形態に係る停止位置判定装置が用いられるプラットホームシステムによる停止範囲判定を説明するための図である。
図8】変形例に係る停止位置判定装置が用いられるプラットホームシステムによる停止範囲判定を説明するための図である。
図9】別の変形例に係る停止位置判定装置が用いられるプラットホームシステムによる停止判定を説明するための図である。
図10】さらに別の変形例に係る停止位置判定装置が用いられるプラットホームシステムによる停止判定を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。
【0011】
(第1の実施の形態)
第1実施の形態に係る停止位置判定装置の概要は以下の通りである。
第1実施の形態に係る停止位置判定装置は、列車の台車の少なくとも一部、具体的には台車の車輪を検出するための台車検出センサと、台車検出センサからの検出結果に基づいて、列車が目標停止範囲に停止しているか否かを判定する判定部と、を備える。つまり、この装置によれば、台車の車輪の停止位置に基づいて、列車が目標停止範囲に停止しているか否かが判定される。台車に設けられた車輪の大きさ(直径)や車輪間の距離は、一定寸法の範囲内で設計がなされているため、実施の形態に係る停止位置判定装置によれば、列車の車種によらず、列車が目標停止範囲に停止しているか否かを判定できる。以下、第1の実施の形態に係る停止位置判定装置について具体的に説明する。
【0012】
図1は、第1の実施の形態に係る停止位置判定装置10が用いられるプラットホームシステム1の機能ブロックを示す構成図である。図2は、プラットホームPFを示す平面図である。図3は、軌道Tの延在方向からプラットホームPFを見た図である。
【0013】
プラットホームシステム1は、動き検出センサ11と、台車検出センサ12と、制御装置14と、複数のプラットホームドア装置16と、を備える。動き検出センサ11、台車検出センサ12、制御装置14の停止判定部30(後述)および停止範囲判定部32(後述)は、停止位置判定装置10を構成する。
【0014】
複数のプラットホームドア装置16は、プラットホームPFの縁部に、軌道Tに沿って配列される。複数のプラットホームドア装置16はそれぞれ、プラットホームドア20と、プラットホームドアを収納する戸袋22と、を備える。複数のプラットホームドア装置16は、列車2があらかじめ定められた目標停止範囲に停止したときに、列車2の車両3の各車両ドア3aと各プラットホームドア20とが対面するように配置される。プラットホームドア20は、不図示の開閉機構により、戸袋22に収容された位置と戸袋22から引き出された位置との間を往復動する。
【0015】
動き検出センサ11は、列車2の動きの有無を検出するためのセンサである。動き検出センサ11は、特には限定しないが本実施の形態では測距センサであり、当該動き検出センサ11から列車2の先頭車両までの距離を検出する。動き検出センサ11は、検出結果を制御装置14に出力する。
【0016】
台車検出センサ12は、プラットホームPFの下方に設置される。台車検出センサ12は、列車2がプラットホームPFの目標停止範囲またはその近傍に停止したときに、台車4の少なくとも一部を検出可能に、本実施の形態では台車4のプラットホーム側の車輪5を検出可能に構成される。台車検出センサ12は、検出結果を制御装置14に出力する。
【0017】
制御装置14は、CPU、ROM、RAM等からなる電子制御ユニットであり、プラットホームシステム1を統括的に制御する機能を有する。制御装置14は、停止判定部30と、停止範囲判定部32と、処理実行部34と、を含む。
【0018】
停止判定部30は、動き検出センサ11から得られた測定結果に基づいて、列車2が停止したか否かを判定する。具体的には停止判定部30は、動き検出センサ11から列車2の先頭車両までの距離に変化が生じている場合、列車2は走行中であると判定し、変化が生じない状態が所定時間を経過した場合、列車2は停止していると判定する。
【0019】
停止範囲判定部32は、列車2が停止したと判定されると、「停止範囲判定」を実行する。停止範囲判定では、詳しくは後述するように、台車検出センサ12からの検出結果に基づいて、停止した列車2が目標停止範囲に位置しているか否かを判定する。別の言い方をすると、停止範囲判定部32は、プラットホームドア20の位置と列車2の車両3の車両ドア3aの位置が整合しているか否かを判定する。
【0020】
処理実行部34は、列車2が目標停止範囲に停止していると判定された場合、開閉機構を駆動してプラットホームドア20を開く。なお、処理実行部34は、列車2が目標停止範囲に停止した旨を表示部等を介して駅務員、運転士または車掌など(以下、担当者という)に通知してもよい。そして処理実行部34は、通知を受けた担当者がプラットホームドア20を開く指示を操作盤(不図示)に入力した場合、開閉機構を駆動してプラットホームドア20を開いてもよい。また、処理実行部34は、列車2が目標停止範囲に停止していないと判定された場合、その旨を表示部等を介して担当者に通知する。また処理実行部34は、担当者がプラットホームドア20を閉じる指示を操作盤に入力した場合、プラットホームドア装置16の開閉機構を駆動してプラットホームドア20を閉じる。
【0021】
図4は、停止範囲判定を説明するための図である。本実施の形態では、列車2の先頭車両の一番後ろの台車4(以下、台車4tともよぶ)の停止位置に基づいて停止範囲判定を実行する。以降、列車2がプラットホームPFの目標停止範囲に停止しているときに当該台車4tのプラットホーム側の車輪5が存在すると想定される範囲を「存在範囲50」と称する。また、存在範囲50外の範囲であって存在範囲50の列車進行方向前側に隣接する所定の範囲を「第1隣接範囲51」、列車進行方向後ろ側に隣接する所定の範囲を「第2隣接範囲52」と称する。
【0022】
台車検出センサ12は、本実施の形態では、検出範囲が2次元または3次元であるエリアセンサである。台車検出センサ12は例えば、レーザ光をスキャン照射可能な反射型のレーザセンサであってもよい。台車検出センサ12は、当該台車検出センサ12の検出範囲に、存在範囲50、第1隣接範囲51および第2隣接範囲52が含まれるように設置される。
【0023】
列車2が目標停止範囲に停止している場合、台車4tの車輪5は存在範囲50内に収まっているはずである。そこで停止範囲判定部32は、台車検出センサ12によって、存在範囲50において台車4tの車輪5が検出され、かつ、第1隣接範囲51および第2隣接範囲52において台車4tの車輪5が検出されない場合、停止した列車2が目標停止範囲に位置していると判定する。
【0024】
一方、停止範囲判定部32は、台車検出センサ12による検出結果がそれ以外の場合、すなわち、台車検出センサ12によって、存在範囲50において台車4tの車輪5が検出されない場合あるいは存在範囲50において台車4tの車輪5が検出されているものの隣接範囲においても台車4tの車輪5が検出されている場合、台車4tの車輪5が存在範囲50に収まっていないため、停止した列車2が目標停止範囲に位置していないと判定する。
【0025】
なお、第1隣接範囲51は、台車4tの車輪5が存在範囲50内に収まっているときに、台車4tの前方に設けられる台車4であって台車4tに隣接する台車4の車輪5が検出されない大きさとされればよい。また、第2隣接範囲52は、台車4tの車輪5が存在範囲50内に収まっているときに、台車4tの後方に設けられる台車4であって台車4tに隣接する台車4(すなわち2両目の車両の一番前の台車4)の車輪5が検出されない大きさとされればよい。
【0026】
以上のように構成されたプラットホームシステム1の動作を説明する。停止判定部30は、列車2がプラットホームPFに入って来ると、動き検出センサ11による測定結果に基づいて、列車2が停止したか否かを判定する。停止範囲判定部32は、列車2が停止したと判定されると、台車検出センサ12からの検出結果に基づいて、停止範囲判定を実行する。処理実行部34は、停止範囲判定の結果に応じた処理を実行する。
【0027】
以上説明したように、本実施の形態によれば、台車4の停止位置に基づいて、列車2が目標停止範囲に停止しているか否かが判定される。したがって、車体の形状によらず、列車2が停止範囲に停止しているか否かを判定できる。
【0028】
また本実施の形態によれば、台車検出センサ12はプラットホームPFの下方に設けられる。したがって、列車2がプラットホームPFに停車した状態では、列車2やプラットホームPFによって太陽光や照明光が遮光され、台車検出センサ12に太陽光や照明光が入射するのが抑止される。これにより、環境起因による台車検出センサ12の検出精度の低下を抑止でき、精度よく停止範囲判定できる。
【0029】
(第2の実施の形態)
図5は、第2の実施の形態に係る停止位置判定装置が用いられるプラットホームシステムによる停止範囲判定を説明するための図である。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0030】
本実施の形態のプラットホームシステムは、複数の、この例では2つの台車検出センサ12を備える。2つの台車検出センサ12は、エリアセンサであり、好ましくはそれぞれの検出範囲の中央Cが、存在範囲50と第1隣接範囲51との境界、存在範囲50と第2隣接範囲52との境界に位置するように設置される。
【0031】
以降、存在範囲50のうち、台車4tの列車進行方向前側の車輪5が存在すると想定される範囲(第1隣接範囲51に隣接する範囲)を第1存在範囲50aと称し、列車進行方向後ろ側の車輪5が存在すると想定される範囲(第2隣接範囲52に隣接する範囲)を第2存在範囲50bと称する。
【0032】
本実施の形態の停止範囲判定部32は、台車検出センサ12によって、第1存在範囲50aおよび第2存在範囲50bにおいて台車4tの車輪5が検出され、かつ、第1隣接範囲51および第2隣接範囲52において台車4tの車輪5が検出されない場合、停止した列車2が目標停止範囲に位置していると判定する。
【0033】
一方、停止範囲判定部32は、台車検出センサ12による検出結果がそれ以外の場合、すなわち、台車検出センサ12によって、第1存在範囲50aおよび第2存在範囲50bの少なくとも一方において台車4tの車輪5が検出されない場合、あるいは第1存在範囲50aおよび第2存在範囲50bにおいて台車4tの車輪5が検出されているものの第1隣接範囲51または第2隣接範囲52においても台車4tの車輪5が検出されている場合、台車4tの車輪5が存在範囲50に収まっていないため、停止した列車2が目標停止範囲に位置していないと判定する。
【0034】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。加えて、本実施の形態によれば、台車検出センサ12の検出範囲のうち、検出精度が比較的高い中央Cの範囲を停止範囲判定に用いることが可能となり、停止位置判定装置10の信頼性を向上できる。
【0035】
(第3の実施の形態)
図6は、第3の実施の形態に係る停止位置判定装置が用いられるプラットホームシステムによる停止範囲判定を説明するための図である。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0036】
本実施の形態のプラットホームシステムは、複数の台車検出センサ12を備える。複数の台車検出センサ12は、検出範囲がライン状であるラインセンサである。複数の台車検出センサ12は、光軸Axが列車進行方向に実質的に直交する水平方向を向いた状態で、光軸Axの間隔が台車4tの車輪5の直径未満の間隔で、例えば等間隔に、軌道Tに沿って並べられる。
【0037】
本実施の形態の停止範囲判定部32は、光軸Axが存在範囲50を通る台車検出センサ12によって台車4tの車輪5が検出され、かつ、光軸Axが第1隣接範囲51または第2隣接範囲52を通る台車検出センサ12によって台車4tの車輪5が検出されない場合、停止した列車2が目標停止範囲に位置していると判定する。
【0038】
一方、停止範囲判定部32は、台車検出センサ12による検出結果がそれ以外の場合、すなわち、光軸Axが存在範囲50を通る台車検出センサ12によって台車4tの車輪5が検出されない場合、あるいは光軸Axが存在範囲50を通る台車検出センサ12によって台車4tの車輪5が検出されているものの、光軸Axが第1隣接範囲51または第2隣接範囲52を通る台車検出センサ12によっても台車4tの車輪5が検出されている場合、台車4tの車輪5が存在範囲50に収まっていないため、停止した列車2が目標停止範囲に位置していないと判定する。
【0039】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。加えて、本実施の形態によれば、一般的に環境の影響を受けにくいラインセンサを台車検出センサ12に用いることができるため、停止位置判定装置10の信頼性を向上できる。
【0040】
(第4の実施の形態)
図7は、第4の実施の形態に係る停止位置判定装置が用いられるプラットホームシステムによる停止範囲判定を説明するための図である。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0041】
本実施の形態のプラットホームシステムは、2つの台車検出センサ12を備える。列車進行方向前側に設置される台車検出センサ12(台車検出センサ12_1とも称する)は、存在範囲50から退出する台車4の車輪5を検出可能に構成され、列車進行方向後ろ側に設置される台車検出センサ12(台車検出センサ12_2とも称する)は、存在範囲50に進入する車輪5を検出可能に構成される。台車検出センサ12の種類は特に問わず、エリアセンサやラインセンサなどの光学式のセンサ、磁気式の近接センサあるいは超音波センサを用いることができる。図示の例では、2つの台車検出センサ12はラインセンサであり、台車検出センサ12_1は、その光軸Axが存在範囲50の列車進行方向前側の端部を通るように設置され、台車検出センサ12_2は、その光軸Axが存在範囲50の列車進行方向後ろ側の端部を通るように設置されている。
【0042】
停止範囲判定部32は、台車検出センサ12_1および台車検出センサ12_2のそれぞれが検出した車輪数に基づいて、列車2が目標停止範囲に停止しているか否かを判定する。具体的には停止範囲判定部32は、その全体が存在範囲50に進入した車輪5の総数(NIN)から、その全体が存在範囲50から退出した車輪5の総数(NOUT)を減算することで、全体が存在範囲50に位置する車輪5の総数(N)を算出する。
N=NIN-NOUT
【0043】
停止範囲判定部32は、算出された車輪数Nが1つの台車4の車輪数(図示の例では2)と一致する場合、列車2が目標停止範囲に停止していると判定し、一致しない場合、列車2が目標停止範囲に停止していないと判定する。
【0044】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。加えて、本実施の形態によれば、ラインセンサ、磁気式の近接センサまたは超音波センサなど、一般的に環境の影響を受けにくいセンサを台車検出センサ12に用いることができるため、停止位置判定装置10の信頼性を向上することが可能となる。
【0045】
以上、実施の形態に係る停止位置判定装置の構成と動作について説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0046】
(変形例1)
第1~第3の実施の形態では、1つの台車についての検出結果に基づいて、停止範囲判定を実行する場合について説明した。本変形例では、互いに連結された車両の連結部を挟んで隣接する2つの台車の停止位置に基づいて列車2が目標停止範囲に停止しているか否かを判定する。
【0047】
図8は、変形例に係る停止位置判定装置が用いられるプラットホームシステムによる停止範囲判定を説明するための図である。本変形例では、列車2の先頭車両の一番後ろの台車4(以下、第1台車4aともよぶ)の停止位置と、二両目の車両の一番前の台車4(以下、第2台車4bともよぶ)の停止位置とに基づいて、停止範囲判定を実行する。
【0048】
本変形例では、列車2がプラットホームPFの目標停止範囲に停止しているときに第1台車4aおよび第2台車4bの車輪5が存在すると想定される範囲を存在範囲50と称する。そして、存在範囲50のうち、第1台車4aの車輪5が存在すると想定される範囲を第1存在範囲50aと称し、第2台車4bの車輪5が存在すると想定される範囲を第2存在範囲50bと称する。
【0049】
本変形例では、プラットホームシステムは、2つの台車検出センサ12を備える。2つの台車検出センサ12は、エリアセンサである。2つの台車検出センサ12は、第2の実施の形態と同様に、好ましくはそれぞれの検出範囲の中央Cが、存在範囲50と第1隣接範囲51との境界、存在範囲50と第2隣接範囲52との境界に位置するように設置される。
【0050】
本変形例の停止範囲判定部32は、台車検出センサ12によって、第1存在範囲50aおよび第2存在範囲50bにおいて台車4の車輪5が検出され、かつ、第1隣接範囲51および第2隣接範囲52において台車4の車輪5が検出されない場合、列車2が目標停止範囲に停止していると判定する。
【0051】
一方、停止範囲判定部32は、台車検出センサ12による検出結果がそれ以外の場合、すなわち、台車検出センサ12によって、第1存在範囲50aおよび第2存在範囲50bの少なくとも一方において車輪5が検出されない場合、あるいは第1存在範囲50aおよび第2存在範囲50bにおいて車輪5が検出されているものの第1隣接範囲51または第2隣接範囲52においても車輪5が検出されている場合、少なくとも一方の台車4の車輪5が存在範囲50に収まっていないため、停車した列車2が目標停止範囲に位置していないと判定する。
【0052】
本変形例によれば、上述の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0053】
(変形例2)
実施の形態では、動き検出センサ11による測定結果に基づいて列車2が停止したか否かを判定する場合について説明したが、これに限られず、台車検出センサ12による検出結果に基づいて列車2が停止したか否かを判定してもよい。
【0054】
図9は、別の変形例に係る停止位置判定装置が用いられるプラットホームシステムによる停止判定を説明するための図である。例えば停止判定部30は、台車検出センサ12による検出範囲Aを複数の分割範囲aに分け、台車4tの車輪5を検出する分割範囲aが切り替わる時間を計測することで、台車4tの車輪5ひいては列車2の移動速度を算出してもよい。そして停止判定部30は、列車2の移動速度がゼロになった場合、列車2が停止したと判定してもよい。あるいはまた、停止判定部30は、列車2の移動速度がゼロに近い状態となった場合、例えば(A)以下となった場合、列車2が停止したと判定してもよい。また例えば停止判定部30は、台車4tの車輪5を検出している分割範囲aと検出していない分割範囲aが所定時間以上変化しない場合、すなわち各分割範囲aでの検出状態が所定時間以上変化しない場合、列車2が停止したと判定してもよい。
【0055】
また例えば停止判定部30は、図6の例において、台車4の車輪5を検出する台車検出センサ12が切り替わる時間を計測することで、台車4の車輪5ひいては列車2の移動速度を算出してもよい。そして停止判定部30は、列車2の移動速度がゼロになった場合、列車2が停止したと判定してもよい。また例えば停止判定部30は、台車4の車輪5を検出している台車検出センサ12と検出していない台車検出センサ12が所定時間以上変化しない場合、すなわち各台車検出センサ12による検出状態が所定時間以上変化しない場合、列車2が停止したと判定してもよい。
【0056】
これらの場合、動き検出センサ11が不要となるため、低コスト化を図れる。
【0057】
(変形例3)
実施の形態では、台車4のプラットホーム側の車輪5の停止位置に基づいて停止範囲判定する場合について説明したが、台車4のプラットホーム側の車輪5(以下、車輪5aとも称する)と反プラットホーム(プラットホームから遠い)側の車輪5(以下、車輪5bとも称する)の両方の車輪5の停止位置に基づいて停止範囲判定してもよい。
【0058】
図10は、さらに別の変形例に係る停止判定装置が用いられるプラットホームにおける、停止範囲判定を説明するための図である。
【0059】
本変形例では、プラットホームシステムは2つの台車検出センサ12を備える。2つの台車検出センサ12はエリアセンサであり、この例では距離センサである。列車進行方向前側の台車検出センサ12は、その検出範囲に、プラットホーム側の前側の車輪5aの第1存在範囲50aとその第1隣接範囲51、および反プラットホーム側の前側の車輪5cの第1存在範囲50aとその第1隣接範囲51が含まれるように設置される。列車進行方向後ろ側の台車検出センサ12は、その検出範囲に、プラットホーム側の後ろ側の車輪5bの第2存在範囲50bとその第2隣接範囲52、および反プラットホーム側の後ろ側の車輪5dの第2存在範囲50bとその第2隣接範囲52が含まれるように設置される。
【0060】
停止範囲判定部32は、台車検出センサ12によって、第1存在範囲50aおよび第2存在範囲50bにおいて車輪5a,5b,5c,5dが検出され、かつ、第1隣接範囲51および第2隣接範囲52において車輪5a,5b,5c,5dが検出されない場合、列車2が目標停止範囲に停止していると判定する。なお、停止範囲判定部32は、検出距離に基づいて、プラットホーム側の車輪5を検出したのか、反プラットホーム側の車輪5を検出したのかを判別すればよい。
【0061】
一方、停止範囲判定部32は、台車検出センサ12による検出結果がそれ以外の場合、すなわち、台車検出センサ12によって、第1存在範囲50aおよび第2存在範囲50bの少なくとも一方において車輪5が検出されない場合、あるいは第1存在範囲50aおよび第2存在範囲50bで車輪5が検出されているものの第1隣接範囲51または第2隣接範囲52においても車輪5が検出されている場合、車輪5が存在範囲50に収まっていないため、停止した列車2が目標停止範囲に位置していないと判定する。
【0062】
本変形例によれば、反プラットホーム側の車輪も考慮するため、より高い精度で停止範囲判定できる。
【符号の説明】
【0063】
1 プラットホームシステム、 10 停止位置判定装置、 12 台車検出センサ、 32 停止範囲判定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10