(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 17/08 20060101AFI20240829BHJP
F25D 19/00 20060101ALI20240829BHJP
F25D 21/04 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
F25D17/08 307
F25D19/00 520B
F25D21/04 A
(21)【出願番号】P 2020135985
(22)【出願日】2020-08-11
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】河井 良二
(72)【発明者】
【氏名】石塚 正展
(72)【発明者】
【氏名】小松 利広
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-161834(JP,A)
【文献】国際公開第2019/234848(WO,A1)
【文献】特開2017-146030(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0024487(KR,A)
【文献】特開2013-200082(JP,A)
【文献】特開2020-34238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/08
F25D 19/00
F25D 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1貯蔵室と、
該第1貯蔵室の正面側の開口を閉塞する第1貯蔵室扉と、
前記第1貯蔵室の内部に配置され、正面側に開口が形成された内室と、
前記内室の正面側に形成された開口を閉塞する
、ガスケットが配された内室扉と、
前記内室を、冷蔵温度帯である第1温度帯、又は、冷凍温度帯を含む-5℃未満の第2温度帯の何れかの温度帯に切替可能な温度切替機構と
、
前記第1貯蔵室及び前記内室に供給される冷気を生成する冷却器と、
生成した冷気を前記内室に送風する内室送風路と、
前記内室から前記冷却器に空気を戻す内室戻り風路と、
前記第1貯蔵室から前記冷却器に空気を戻す貯蔵室戻り風路と、
を備え
、
前記貯蔵室戻り風路の吸込口は、前記第1貯蔵室扉と前記内室扉との間に配置される
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記内室扉は、正面側に開いたときに前記吸込口を覆うように回動可能に配置される
ことを特徴とする請求項
1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記内室扉は、断熱材と、該断熱材よりも前記
第1貯蔵
室側に配置されたヒータと、を備え
、
前記第1貯蔵室は、前記第1温度帯に設定された冷蔵室である
ことを特徴とする請求項
1又は
2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記第1温度帯又は前記第2温度帯の何れかに設定されるとともに、前記第1貯蔵室よりも内容積が小さな第2貯蔵室を備える
ことを特徴とする請求項1~
3の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記内室は、
前記内室を前記第1温度帯に設定した場合に、前記第1貯蔵室、前記第2貯蔵室及び前記内室を含む室のうちの前記第1温度帯の前記室の内容積が、前記第2温度帯の前記室の内容積よりも大きく、
前記内室を前記第2温度帯に設定した場合に、前記第1貯蔵室、前記第2貯蔵室及び前記内室を含む室のうちの前記第1温度帯の前記室の内容積が、前記第2温度帯の前記室の内容積よりも小さくなる、
ように構成される
ことを特徴とする請求項
4に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、区画壁にて上部に区画形成された冷凍室と、下部に区画された冷蔵室と、前記冷凍室の後方に収められた冷却器と、前記冷蔵室の天部に設けられ内部に冷気を流通させる区画室と、前記冷蔵室への冷気量を制御するダンパ開閉装置と、前記区画室への冷気量を制御するダンパ開閉装置と、前記二つのダンパ開閉装置を収めて、前記冷蔵室と区画室への冷気吐出通路を一体に形成した温度調節装置とを備える冷蔵庫が記載されている。この冷蔵庫では、前記区画室は、底面、側面とも断熱材とし、前面を断熱扉、奥面に、前記温度調節装置に当接し、この区画室への冷気量の制御を前記ダンパ開閉装置の軸に設けた回転レバーと、前記区画室底面の断熱板中に設けた保持レバーと、前記断熱扉下面に設けた操作部にて連動させ、前記ダンパー開閉装置の軸を一定角度可変にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭61-093373号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の冷蔵庫では、冷蔵室の内部に配置された区画室は、-3~0℃に設定される(2頁右上欄、
図7)。このため、区画室での冷凍が不十分であり、使い勝手に改善の余地がある。
本開示が解決しようとする課題は、使い勝手に優れた冷蔵庫の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る冷蔵庫は、
第1貯蔵室と、
該第1貯蔵室の正面側の開口を閉塞する第1貯蔵室扉と、
前記第1貯蔵室の内部に配置され、正面側に開口が形成された内室と、
前記内室の正面側に形成された開口を閉塞する、ガスケットが配された内室扉と、
前記内室を、冷蔵温度帯である第1温度帯、又は、冷凍温度帯を含む-5℃未満の第2温度帯の何れかの温度帯に切替可能な温度切替機構と、
前記第1貯蔵室及び前記内室に供給される冷気を生成する冷却器と、
生成した冷気を前記内室に送風する内室送風路と、
前記内室から前記冷却器に空気を戻す内室戻り風路と、
前記第1貯蔵室から前記冷却器に空気を戻す貯蔵室戻り風路と、
を備え、
前記貯蔵室戻り風路の吸込口は、前記第1貯蔵室扉と前記内室扉との間に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図7】風路構成及び冷凍サイクル構成の説明図である。
【
図8】
図1のB-B断面における切替室の構成を表す部分断面分解斜視図である。
【
図11】外郭に切替室扉を取り付けた状態を示す正面側からの外観斜視図である。
【
図13】外郭に切替室扉を取り付けた状態を示す背面側からの外観斜視図である。
【
図14】外郭の一部を切断して示す内部構造図である。
【
図15】切替室容器の上方からの外観斜視図である。
【
図16】切替室容器の下方からの外観斜視図である。
【
図17】切替室容器を収容した外郭において、取っ手部を正面側に引いて切替室容器を引き出した状態を示す外観斜視図である。
【
図18】切替室容器の移動時における切替室扉の動きを説明する図である。
【
図19】切替室近傍の構造及び冷気及び空気の流れを説明する図であり、側方からの断面図である。
【
図21】冷蔵室の扉を開いたときの冷蔵庫の外観斜視図である。
【
図22】冷蔵室の扉を開いたときの凸部及び切替室容器の近傍を拡大して示す断面図である。
【
図26】風路構成と冷凍サイクル構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための形態(実施形態と称する)を説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限られず、例えば異なる実施形態同士を組み合わせたり、本開示の効果を著しく損なわない範囲で任意に変形したりできる。また、同じ部材については同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略する。更に、同じ機能を有するものは同じ名称を付すものとする。図示の内容は、あくまで模式的なものであり、図示の都合上、本開示の効果を著しく損なわない範囲で実際の構成から変更することがある。
【0008】
図1は、本実施形態の冷蔵庫1の正面図である。A-A線及びB-B線については
図3及び
図8を参照しながら後記する。冷蔵庫1の外形寸法として、例えば、左右方向の長さである幅は680mm、正面-背面方向(以下、前後方向という)の長さである奥行きは720mm、上下方向の長さである高さは1770mmであるが、これに限定されない。
【0009】
冷蔵庫1は、扉21により正面側を開口可能に閉塞され、断熱箱体10の内部の上段に区画(形成)された冷凍室2(第2貯蔵室。
図2)と、扉31(貯蔵室扉)により正面側を開口可能に閉塞され、下段に区画(形成)された冷蔵室3(第1貯蔵室、貯蔵室。
図2)を備える。扉21の左側には、切替室4(
図3)の温度帯(第1温度帯又は第2温度帯)を設定する操作パネル212(温度切替機構)が備えられる。従って、切替室4は、冷蔵室3とは異なる温度帯に設定され得る。操作パネル212は、例えば、いずれも図示しない操作ボタン、液晶表示、タッチパネル等を備え、使用者が操作ボタンを操作することで、切替室4の温度帯が切り替えられる。温度切替機構としては、その他にも、冷蔵庫1とは別機器であるスマートフォン等から発せられる使用者の指令を受けることで、切替室4の温度帯が切り替えられるものでもよい。操作パネル212を冷凍室2又は冷蔵室3の内面に設けることで扉の意匠性及び清掃性を高めるようにしてもよい。
【0010】
図2は、冷蔵庫1の扉21,31を開いた状態を表す正面図である。冷凍室2は、後記する冷凍温度帯を含む第2温度帯に設定されるとともに、冷蔵室3よりも内容積が小さなものである。内容積をこのような関係にすることで、必要に応じて、切替室4(
図3)の温度帯を冷凍室2の温度帯と同じに設定することで、冷凍室2と同じ温度帯の室の大きさを拡張でき、使い勝手を向上できる。
【0011】
冷蔵室3は、後記する冷蔵温度帯である第1温度帯に設定される。冷凍室2及び冷蔵室3は、それぞれ、断熱箱体10の正面側に冷凍室2及び冷蔵室3の開閉手段である扉21及び扉31(貯蔵室扉)を備える。扉21,31は、冷蔵庫1の右端側に回動可能に固定され、正面側に開くことができる回転式扉である。
【0012】
冷蔵庫1は、冷凍室2の内部に棚33を備えており、冷凍室2内における食品を設置可能な面積を増やすことで、収納性を高めている。
【0013】
冷蔵庫1は、冷蔵室3の内部に、切替室4(
図3)の正面側に形成された開口を閉塞する切替室扉46を備え、切替室扉46は扉31とは独立して開閉可能である。切替室4に収容される切替室容器44(
図3)は、冷蔵室3の内部に露出した(後記する外郭45から露出した)取っ手443(張り出し部)を備える。使用者が取っ手443を正面側(手前側)に引くことで内部の切替室容器44が正面側に引き出されるとともに、切替室扉46が開く。なお、取っ手443を備えない場合には、切替室容器44のうち最も正面側に張り出し、かつ、冷蔵室3の内部に露出した部分が張り出し部に相当する。
【0014】
冷蔵庫1は、冷蔵室3の内部で上から順に棚351,352,353を備え、冷蔵室3内における食品の設置可能な面積を増やすことで、収納性を高めている。冷蔵庫1は、冷蔵室3の最下部に、野菜等の食品を収納する引き出し式の冷蔵室容器43を備える。
【0015】
冷蔵庫1は、冷蔵室3内の棚352と棚353との間の左端に、製氷用の水を貯める製氷水タンク61を備える。冷蔵庫1は、冷凍室2の左下部に、自動製氷装置62及び貯氷容器63を備える。自動製氷装置62は、いずれも図示しないが、給水ポンプ、製氷皿、離氷機構、製氷センサ(温度センサ)を備える。給水ポンプの入口と、製氷水タンク61とは給水管(不図示)により接続される。給水ポンプの作動によって製氷水タンク61から製氷皿に水が供給されて製氷が行われる。製氷センサが検知する温度が所定温度(一例として-8℃)に到達した場合に、製氷完了と判定され、離氷機構が作動することで氷が貯氷容器63に自動的に供給される。
【0016】
冷蔵庫1は、扉21の内側で上から順にドアポケット321,322を備え、収納性を高めている。同様に、冷蔵庫1は、扉31の内側で上から順にドアポケット341,342,343,344を備え、収納性を高めている。扉31は、内側に、凸部313を備えるドアライナ312を備える。凸部313の機能は、
図21を参照しながら後記する。
【0017】
図3は、
図1のA-A縦断面図である。また、
図4は、風路配置を示す正面図である。
図3及び
図4では外郭45(
図8)の図示を省略する。図示の簡略化のために、切替室4の構造を簡略化して示す。
図4中の破線は、冷凍室2、冷蔵室3及び切替室4の背面側に形成される風路と部材(例えば冷却器室8に収容されるファン91等)を示す。
図4は、
図2の扉21,31、棚33、棚351,352,353、冷蔵室容器43、切替室扉46、切替室容器44、製氷水タンク61、自動製氷装置62、貯氷容器63を外した状態である。
図4において、実線矢印は冷凍室2、冷蔵室3及び切替室4のそれぞれの内部での空気の流れを示し、破線矢印は冷凍室2、冷蔵室3及び切替室4の背面側での空気の流れを示す。
【0018】
冷蔵庫1のIEC62552-3:2015に基づいて測定した内容積としては、これらの数値に限定されないが、例えば冷凍室2が103L、冷蔵室3が262L、切替室4が25Lにすることができる。冷蔵室3の内容積は、扉31を開けて食材等を出し入れ可能な空間のうち、切替室4が占める体積を除いた空間の体積である。
【0019】
冷蔵庫1は切替室4(内室)を備え、切替室4は、冷蔵室3の内部の最上部(冷凍室2の側)に配置され、正面側に開口が形成される。冷蔵庫1は、切替室4を、冷蔵温度帯である第1温度帯、又は、冷凍温度帯を含む-5℃未満(-5℃よりも低温)の第2温度帯の何れかの温度帯に切替可能な切替室ダンパ106(温度切替機構)を備える。第1温度帯は、例えば-5℃以上5℃以下のうちの任意の設定温度であり、例えば約3℃である。
【0020】
第2温度帯は、-5℃未満の任意の設定温度であればよいが、-5℃未満にすることで、切替室4に収容した食品等の収容物を十分に凍結させて冷凍できる。これにより、冷蔵庫1の使い勝手を向上できる。第2温度帯は例えば-12℃である。第2温度帯の下限は特に制限されないが、例えば-20℃以上である。ただし、第2温度帯としては、好ましくは-6℃以下、より好ましくは-12℃以下、よりさらに好ましくは-18℃以下である。切替室4を第1温度帯に設定する場合、切替室4の温度帯と冷蔵室3の設定温度は同じでもよく、異なっていてもよい。切替室4を第2温度帯に設定する場合、切替室4の温度帯と冷凍室2の設定温度は同じでもよく、異なっていてもよい。
【0021】
図示の例では、切替室4は、冷蔵室3の内部に配置される。このようにすることで、冷蔵庫1の正面側に切替室4用の独立した扉を設ける必要が無いため、庫外に露出する扉の数を削減できる。また、切替室4内と冷蔵室3内との温度差は、切替室4内と冷蔵庫1外(庫外)との温度差よりも小さい。このため、切替室4への食品の出し入れを行う際に、庫外との温度勾配に起因して切替室4から逃げる冷熱を少なくできる。これにより、切替室4の温度変動を小さくでき、切替室4に貯蔵される食品の保存性に優れた冷蔵庫1を提供できる。
【0022】
図示はしないが、別の実施形態では、切替室4は、冷凍室2(冷凍温度帯を含む-5℃未満の第2温度帯に設定された貯蔵室)の内部に配置される。このようにしても、本開示による効果が奏される。
【0023】
冷蔵庫1は、鋼板製の外箱101と合成樹脂製(本実施形態ではABS樹脂)の内箱102との間に発泡断熱材93を充填して形成される断熱箱体10により、庫外と庫内が隔てられて構成される。扉21,31の内部には発泡断熱材94が充填される。本実施形態の冷蔵庫1では、発泡断熱材93及び発泡断熱材94はポリウレタンフォームである。
【0024】
冷蔵庫1は、冷凍室2の背面に冷却器7が収納された冷却器室8を備え、冷却器7は、冷凍室2の背面側に配置される。冷却器7は、空気の冷却により、冷凍室2、冷蔵室3及び切替室4に供給される冷気を生成する。冷凍室2と冷蔵室3との間には断熱仕切壁28が配置される。このように冷却器7及び断熱仕切壁28が配置されることで、冷却器7によって冷凍室2を効率的に低温にできる。また、冷蔵室3及び第1温度帯に設置された切替室4は、正面視で冷却器7とは異なる位置に配置されるため、冷蔵室3及び切替室4の背面側に断熱壁を不設置又はその厚さを薄くしても、冷却器7による冷蔵室3及び切替室4の過度の冷却を抑制できる。これにより、スペース効率を向上できる。
【0025】
冷蔵庫1は、冷却器室8の上部正面側にファン91を備え、冷却器室8と冷凍室2との間には、冷凍室2に冷気を供給する冷凍室送風路11を備える。ファン91は、例えば軸流ファンであるプロペラファンである。冷凍室送風路11は、左右方向に長い冷凍室吐出口111,112及び自動製氷装置62の製氷皿に向けた冷凍室吐出口113を備える。冷凍室送風路11及び冷凍室吐出口111,112,113は、冷凍室2の背面の仕切部材である冷凍室風路形成部材200によって形成される。
【0026】
図5は、冷凍室風路形成部材200の分解斜視図である。冷凍室風路形成部材200は、前パネル210及び後パネル220を備える。前パネル210は冷凍室吐出口111,112,113を備える。後パネル220は、ファン91を設置する開口部225を備える。後パネル220は、外周に板状の突出部226を備え、正面側を前パネル210で覆うことで、冷凍室送風路11及び冷蔵室切替室送風路12が形成される。前パネル210と後パネル220とを組み合わせ、ファン91を実装することで、冷凍室風路形成部材200が形成される。なお、冷凍室風路形成部材200を構成する前パネル210と後パネル220は何れも合成樹脂製(例えばポリプロピレン)であり、発泡断熱材は備えていない。
【0027】
図3及び
図4に戻って、冷蔵庫1は、切替室4の温度を検知する切替室温度センサ431(温度検知装置)を備え、切替室温度センサ431により、検出値に基づき切替室4の温度を制御でき、冷蔵庫1の信頼性を向上できる。冷蔵庫1は、冷凍室2の温度を検知する冷凍室温度センサ51、冷蔵室3の温度を検知する冷蔵室温度センサ52、冷却器室8の温度を検知する冷却器温度センサ(不図示)、庫外の温度を検知する庫外温度センサ(不図示)を備える。これらのセンサにより、冷凍室2、冷蔵室3、冷却器室8、庫外の温度を検知できる。冷蔵庫1は、扉21,31の開閉を検知する開閉検知センサ(不図示)を備える。
【0028】
冷蔵庫1は、冷凍室送風路11の下部に、冷凍室送風路11を流れた空気を冷蔵室3及び切替室4に送る冷蔵室切替室送風路12を備える。冷蔵庫1は、冷蔵室切替室送風路12の下部であって切替室4の背部に、冷蔵室ダンパ105(ダンパ110の一例。冷蔵室3への送風制御機構)と、切替室ダンパ106(ダンパ110の一例。切替室4への送風制御機構)を備える。冷蔵室ダンパ105及び切替室ダンパ106のそれぞれの開口(不図示)は、開口の一端に回動可能に軸支された例えば板状の開閉体(不図示)をモータ(不図示)により駆動させることで、開閉制御される。
【0029】
冷蔵庫1は、冷蔵室ダンパ105の下方に冷蔵室送風路13を、切替室ダンパ106の下方から正面側にかけて切替室送風路14(内室吐送風路)を備える。冷蔵室送風路13は、冷却器7で生成した冷気を冷蔵室3に送風するものであり、切替室送風路14は、冷却器7で生成した冷気した冷気を切替室4に送風するものである。
【0030】
冷蔵室送風路13は、冷蔵室3の左右方向の略中央に位置し、冷蔵室吐出口131,132,133を備える。切替室送風路14は、切替室4の背面投影領域に位置し、切替室4の左右方向の略中心に位置する切替室吐出口141を備える。切替室吐出口141は、冷蔵室3及び切替室4の背面を構成する冷蔵室風路形成部材300に形成される。冷蔵室送風路13、切替室送風路14、冷蔵室吐出口131,132,133、切替室吐出口141、切替室戻り風路17(
図4)、切替室戻り口171は、冷蔵室3の背面の仕切部材である冷蔵室風路形成部材300によって形成される。
【0031】
図6は、冷蔵室風路形成部材300の分解斜視図である。冷蔵室風路形成部材300は、前パネル310、前断熱材320及び後断熱材330を備える。前パネル310は冷蔵室吐出口131,132,133と、切替室吐出口141及び切替室戻り口171を備える。前断熱材320は、冷蔵室吐出口131,132,133と冷蔵室送風路13とを連通させる開口315,316,317と、切替室吐出口141と切替室送風路14とを連通させる開口318を備える。前断熱材320は、切替室戻り風路17を形成する切り欠き部319を備える。開口318は、切替室送風路14に繋がる。後断熱材330は、冷蔵室送風路13、切替室送風路14、ダンパ110(冷蔵室ダンパ105及び切替室ダンパ106の一体物)及びファン92を収納するための凹部331を備える。ダンパ110は、ダンパ110を駆動させるモータ(不図示)を収納するモータ収納部114を備える。ファン92は例えば軸流ファンであるプロペラファンである。ファン92の駆動により、冷蔵室3に供給される空気の量を調整できる。
【0032】
前パネル310と前断熱材320と後断熱材330とを組み合わせ、ダンパ110及びファン92を実装することで、冷蔵室風路形成部材300が形成される。なお、冷蔵室送風路13と切替室送風路14とは、ダンパ110の下流側(下側)においてモータ収納部114によって分離され、空気の流通が抑制される。前パネル310は合成樹脂製(例えばポリプロピレン)であり、前断熱材320及び後断熱材330は発泡断熱材(例えばポリスチレンフォーム)である。
【0033】
図3及び
図4に戻って、冷蔵庫1は、冷凍室2と冷蔵室3及び切替室4との間を隔てる断熱仕切壁28を備え、断熱仕切壁28の内部には、発泡断熱材95(例えばポリスチレンフォーム)が配置されている。冷蔵庫1は、断熱仕切壁28の内部に、冷凍室戻り風路15と、冷蔵室戻り風路16(貯蔵室戻り風路)を備える。冷凍室戻り風路15は、冷凍室2から冷却器7に空気を戻すものであり、冷蔵室戻り風路16は、冷蔵室3から冷却器7に空気を戻すものであり、断熱仕切壁28に備えられる。冷凍室戻り風路15は、冷凍室2の下面(断熱仕切壁28の上面)の正面側に冷凍室戻り口151を備え、冷却器室8の下部正面側に冷却器室戻り口152を備える。冷蔵室戻り風路16は、冷蔵室3の上面(断熱仕切壁28の下面)の切替室4の正面側に冷蔵室戻り口161を備え、冷却器室8の下部正面左側に、冷却器室戻り口162を備える。
【0034】
図3に示すように、冷蔵庫1に備えられる冷蔵室戻り口161は、扉21と切替室扉46との間に配置される。このようにすることで、切替室扉46への食品等の収容物の挟み込みによって切替室扉46が完全に閉じない場合であっても、切替室4から漏出した冷気を、扉21と切替室扉46との間に配置された冷蔵室戻り口161から冷蔵室戻り風路16に流入させて、冷却器7を収容した冷却器室8に戻すことができる。これにより、切替室4から冷蔵室3への、特に冷蔵室3で食材を載置しやすい棚351,352,353側への漏出空気量を減らすことができ、冷蔵室3の冷え過ぎを抑制できる。
【0035】
また、切替室扉46は、
図3において二点鎖線で示す切替室扉46のように、正面側に開けたときに冷蔵室戻り口161(貯蔵室戻り風路の吸込口)を覆うように回動可能に配置される。従って、開けた切替室扉46は、冷蔵室3の開口と切替室4の開口との間であって冷蔵室3の内部に配置される。太実線矢印で示すように切替室扉46を開けると、破線矢印で示すように開かれた切替室扉46は、上面に備えられた冷蔵室戻り口161を塞ぐように位置する。このようにすることで、ファン91の駆動停止により、重力によって比重の大きな冷気が冷蔵室戻り風路16を逆流することを抑制できる。また、扉31を開いたことで外気が冷蔵室3に流入しても、更に切替室扉46が開かれることで外気の冷蔵室戻り風路16への流入を抑制でき、冷蔵室戻り風路16の内部での結露を抑制できる。
【0036】
冷蔵庫1は、切替室4の左側背面から冷凍室2の左側背面下部に延在し、切替室4から冷却器7に空気を戻す切替室戻り風路17(内室戻り風路)を備える。切替室戻り風路17、切替室送風路14及び冷却器7を備えることで、切替室送風路14によって切替室4に直接冷気を送風でき、切替室4の温度を素早く所望の温度に冷却できる。また、切替室戻り風路17により、切替室4を冷却した空気が冷蔵室3に漏れることを抑制できるので、冷蔵室3を設定温度帯に維持でき、機能的で信頼性が高い冷蔵庫1を提供できる。
【0037】
切替室戻り風路17は、切替室4の背面壁である冷蔵室風路形成部材300の内部に配置される。従って、切替室戻り風路17と、上記冷蔵室戻り風路16とは、異なる壁部材に配置される。このようにすることで、例えば切替室4が第2温度帯に設定される等、冷蔵室3の戻り空気の温度と切替室4の戻り空気の温度差が大きく異なっても、戻り空気同士の熱的な影響を相互に抑制できる。これにより、一方の戻り空気による他方の戻り空気の冷却に起因する霜の成長、結露発生等を抑制でき、冷蔵庫1の信頼性を向上できる。
【0038】
特に、図示の例では、切替室戻り風路17は、上下方向に延在する冷蔵室風路形成部材300の内部に配置され、冷蔵室戻り風路16は、前後方向に延在する断熱仕切壁28の内部に配置される。このように配置することで、風路同士の間隔を長くでき、一方の戻り空気による他方の戻り空気の冷却に起因する霜の成長、結露発生等を抑制でき、冷蔵庫1の信頼性を向上できる。切替室戻り風路17が断熱仕切壁28の内部に配置され、冷蔵室戻り風路16が冷蔵室風路形成部材300の内部に配置されてもよい。
【0039】
本実施形態では、冷却器室8が断熱箱体10の上側かつ背面側に位置しており、切替室4が冷蔵室3最上部で背面壁及び上面壁(断熱仕切壁28側)に固定されて位置している。また、切替室4の正面側には、切替室扉46の開閉のために或る程度、扉31との間に寸法が確保される。このような事情があるため、冷蔵室戻り口161を切替室4の側方でなく正面側に設けることで、切替室4の側方寸法を大きくでき、内容積を確保しやすい。
【0040】
切替室戻り風路17は、何れも
図4に示すように、切替室4の背面左側に切替室戻り口171を備える。また、冷却器室8の下部左側には、切替室戻り口171から冷却器室8に向かうと、冷却器室戻り口172、下方から上方に向かって戻り空気が流れる上昇部173、上方から下方に向かって戻り空気が流れる下降部174、が順に配置されている。これにより、ファン91が停止した状態において、上方の冷却器室8内の密度が大きい低温空気が自然対流によって切替室戻り風路17を介して下方の切替室4に流下し難くなり、切替室4の冷え過ぎを抑制できる。
【0041】
冷蔵庫1は、冷却器7の下方の冷却器室8内に、冷却器7に成長した霜を解かす除霜ヒータ18を備える。霜が解けて生成した水は、樋(不図示)に流下し、排水口(不図示)から排水管(不図示)を介して断熱箱体10の背面側下部に形成される機械室5に至る。冷蔵庫1は、機械室5内に、圧縮機24と、排水管からの水を貯める蒸発皿(不図示)とを備える。除霜によって排水管から排水されて蒸発皿に貯まった水は、圧縮機24の発熱等により蒸発する。
【0042】
冷蔵庫1は、切替室4の下部右側に、外郭45(
図9)から延びる電力コネクタ458(
図9)に接続されるコネクタ収納部424を備える。
【0043】
冷蔵庫1は、切替室4の設定、及び、上記センサによる検出値に基づいて、圧縮機24の運転状態、何れも後記する冷蔵室ダンパ105及び切替室ダンパ106の開閉状態、ファン91,92の駆動状態、ヒータ82,462(
図19)の通電状態、除霜ヒータ18の通電状態を制御する運転制御装置(不図示)を備える。
【0044】
運転制御装置は、いずれも図示はしないが、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、I/F(インターフェイス)等を備えて構成される。運転制御装置は、ROMに格納されている所定の制御プログラムがRAMに展開され、CPUによって実行されることで、具現化される。
【0045】
運転制御装置は、冷蔵庫1の運転モードである冷凍室運転、冷凍冷蔵室運転、冷凍冷蔵切替室運転、又は冷凍切替室運転の何れかの運転に対応した制御を行う。例えば運転制御装置は、冷凍室2の時間平均温度が例えば-18℃程度、冷蔵室3の時間平均温度が例えば3℃程度に制御されるとともに切替室4が設定状態(第1温度帯又は第2温度帯)に基づく所定の温度帯に制御される。
【0046】
具体的には、運転制御装置は、切替室4の設定温度帯、及び切替室温度センサ431の検出値に基づいて、切替室ダンパ106の開度を調整する。切替室4が例えば第1温度帯に設定された場合、運転制御装置は、切替室温度センサ431の検出値に基づき、例えば切替室ダンパ106の開時間を短くして切替室4内への送風量を減少させ、温度調整を行う。切替室4が例えば第1温度帯に設定された場合、運転制御装置は、切替室温度センサ431の検出値に基づき、例えば切替室ダンパ106の開時間を長くして切替室4内への送風量を増加させ温度調整を行う。温度調整は、切替室ダンパ106の開時間調整ではなく、開度調整(開閉板の開角度の増減)によって送風量を調整してもよい。他にも、第2温度帯設定時の送風量よりも第1温度帯設定時の送風量を少なくできれば、他の方法でもよい。
【0047】
切替室4の第1温度帯設定時には、例えば庫外温度が所定温度より低い場合(例えば10℃以下)、運転制御装置は、切替室4の底面のヒータ82(
図19)に通電することで、切替室4の温度が低下しすぎないように制御する。さらに、切替室4の第2温度帯設定時には、運転制御装置は、切替室扉46の正面側の温度を上げるヒータ462(
図19)に通電することで、切替室扉46の冷蔵室3側の表面を加温して結露を抑制するように制御する。
【0048】
図7は、風路構成及び冷凍サイクル構成の説明図である。冷蔵庫1は冷凍サイクル100を備える。冷凍サイクル100は、圧縮機24と、断熱箱体10の外表面を形成する外箱101(
図3)の内面に接するように配置された放熱機構である放熱配管25と、減圧機構であるキャピラリチューブ26と、冷却器7とを冷媒配管(不図示)で接続することで構成される。冷凍サイクル100は、キャピラリチューブ26と冷却器7から圧縮機24に至る冷媒配管とが熱交換可能に接触した内部熱交換部80を備える。
【0049】
圧縮機24が駆動することで圧縮されて高温高圧となった冷媒は、放熱配管25を流れることで放熱して、キャピラリチューブ26を流れることで圧力が下がり低温低圧の冷媒となり、冷却器7に至って空気を冷却し、冷気を生成する。冷却器7を出た冷媒は、内部熱交換部80でキャピラリチューブ26と熱交換して温度が上昇して、圧縮機24に戻る。
【0050】
冷蔵庫1は、圧縮機24が駆動状態、ファン91が駆動状態、ファン92が停止状態、冷蔵室ダンパ105が閉鎖状態、切替室ダンパ106が閉鎖状態の冷凍室運転を実行する。冷凍室運転では、冷却器室8での冷却器7との熱交換により生成した冷気は、ファン91の駆動によって冷凍室送風路11及び冷凍室吐出口111,112,113を流れて冷凍室2が冷却される。冷凍室2を冷却した空気は、冷凍室戻り口151から冷凍室戻り風路15に入り、冷却器室戻り口152から冷却器室8に戻る。
【0051】
冷蔵庫1は、圧縮機24が駆動状態、ファン91,92が駆動状態、冷蔵室ダンパ105が開放状態、切替室ダンパ106が閉鎖状態の冷凍冷蔵室運転を実行する。冷凍冷蔵室運転は、例えば切替室4を冷却し過ぎた場合に行われ、冷凍室2及び冷蔵室3には送風し、切替室4には送風しない運転である。
【0052】
冷凍冷蔵室運転では、冷却器室8での冷却器7との熱交換により生成した冷気は、ファン91の駆動によって冷凍室送風路11及び冷凍室吐出口111,112,113を流れて冷凍室2が冷却される。冷凍室2を冷却した空気は、冷凍室戻り口151から冷凍室戻り風路15に入り、冷却器室戻り口152から冷却器室8に戻る。
【0053】
また、冷却器7により生成した冷気は、ファン92の駆動により、冷蔵室切替室送風路12、開放された冷蔵室ダンパ105、冷蔵室送風路13及び冷蔵室吐出口131,132,133を介して冷蔵室3に流れて、冷蔵室3が冷却される。冷蔵室3を冷却した空気は、冷蔵室戻り口161から冷蔵室戻り風路16に入り、冷却器室戻り口162から冷却器室8に戻る。
【0054】
冷蔵庫1は、圧縮機24が駆動状態、ファン91,92が駆動状態、冷蔵室ダンパ105が開放状態、切替室ダンパ106が開放状態の冷凍冷蔵切替室運転を実行する。冷凍冷蔵切替室運転は、例えば少ない送風量による切替室4の第1温度帯(例えば冷蔵)での運転、及び、多い送風量による切替室4の第2温度帯(例えば冷凍)での運転を含む。送風量の制御は、切替室ダンパ106の開度調整により実行できる。
【0055】
冷凍冷蔵切替室運転では、冷却器室8での冷却器7との熱交換により生成した冷気は、ファン91の駆動によって冷凍室送風路11及び冷凍室吐出口111,112,113を流れて冷凍室2が冷却される。冷凍室2を冷却した空気は、冷凍室戻り口151から冷凍室戻り風路15に入り、冷却器室戻り口152から冷却器室8に戻る。
【0056】
また、冷却器7により生成した冷気はファン91,92の駆動により、冷蔵室切替室送風路12、開放された冷蔵室ダンパ105、冷蔵室送風路13及び冷蔵室吐出口131,132,133を介して冷蔵室3に流れて、冷蔵室3が冷却される。冷蔵室3を冷却した空気は、冷蔵室戻り口161から冷蔵室戻り風路16に入り、冷却器室戻り口162から冷却器室8に戻る。
【0057】
さらに、冷却器7により生成した冷気は、ファン91,92の駆動により、開放された切替室ダンパ106、切替室送風路14及び切替室吐出口141を介して切替室4に流れて、切替室4が冷却される。切替室4を冷却した空気は、切替室戻り口171から切替室戻り風路17に入り、冷却器室戻り口172から冷却器室8に戻る。
【0058】
冷蔵庫1は、圧縮機24が駆動状態、ファン91が駆動状態、ファン92が停止状態、冷蔵室ダンパ105が閉鎖状態、切替室ダンパ106が開放状態の冷凍切替室運転を実行する。冷凍切替室運転は、例えば冷蔵室3を冷却し過ぎた場合に行われ冷凍室2及び切替室4には送風し、冷蔵室3には送風しない運転である。
【0059】
冷凍切替室運転では、冷却器室8での冷却器7との熱交換により生成した冷気は、ファン91の駆動によって冷凍室送風路11及び冷凍室吐出口111,112,113を流れて冷凍室2が冷却される。冷凍室2を冷却した空気は、冷凍室戻り口151から冷凍室戻り風路15に入り、冷却器室戻り口152から冷却器室8に戻る。
【0060】
また、冷却器7により生成した冷気は、ファン91の駆動により、冷蔵室切替室送風路12、開放された切替室ダンパ106、切替室送風路14及び切替室吐出口141を介して切替室4に流れて、切替室4が冷却される。切替室4を冷却した空気は、切替室戻り口171から切替室戻り風路17に入り、冷却器室戻り口172から冷却器室8に戻る。
【0061】
図8は、
図1のB-B線断面における切替室4の構成を表す部分断面分解斜視図である。切替室4は、切替室4の内部に、上面、両側面、背面及び底面を箱状に形成した外郭45を備え、外郭45の正面側は開口する。当該開口は、外郭45に回動可能に固定され、開閉可能な切替室扉46により閉塞される。外郭45の内部には、背面側の切替室吐出口141及び開口481(吐出口)を通じて冷気が吐出される。野菜等の収容物を当該開口を通じて外郭45に収容することで、切替室4に収容物が収容される。切替室扉46を備える外郭45を備えることで、冷蔵室3と切替室4とが大きく異なる温度帯であっても、切替室4の冷気が冷蔵室3に漏出することを抑制できる。これにより、冷気の漏出に起因した冷蔵室3の冷え過ぎを抑制でき、冷蔵庫1の信頼性を向上できる。
【0062】
切替室扉46は、外郭45の正面側の開口を閉塞するように、外郭45の上面の前縁部の左右端の2か所において、回動軸450(
図12C)を軸中心に回動可能に配置される。
【0063】
切替室4は、更に、外郭45に収容される切替室容器44(容器)を備え、切替室容器44は、外郭45の正面側の開口を通じて出し入れ可能な例えば引き出し式である。切替室容器44は、切替室扉46を閉じたときに外郭45の外部(例えば正面側の下方)に露出するとともに例えば正面側に張り出した取っ手443を備える。切替室容器44は、取っ手443が正面側に引っ張られることで切替室扉46が開いて切替室容器44が引き出されるように構成される。このようにすることで、取っ手443を掴んだ引き出し及び押し込みにより切替室容器44を出し入れ及び切替室扉46を開閉できる。
【0064】
主に
図9~
図14を参照しながら外郭45の構造を説明し、主に
図15及び
図16を参照しながら切替室容器44の構造を説明する。
【0065】
図9は、外郭45の外観斜視図である。外郭45は、内部側面に、切替室容器44(
図8)の挿入時にガイドする上ガイドレール492及び下ガイドレール493を備える。詳細は後記するが、切替室容器44の外側側面に備えられたガイドレール449(
図15)が上ガイドレール492と下ガイドレール493との間に挿入されることで、切替室容器44を外郭45の内部に収容できる。
【0066】
下ガイドレール493は、正面側端部に、凸部460を備える。凸部460を備えることで、切替室容器44を引き出したときに、ガイドレール449の下方に向かう凸部444(
図15)が突き当たり、切替室容器44の正面方向への移動が規制される。
【0067】
外郭45は、外郭45の外側上面から立設する補強部材455を備える。補強部材455は、図示の例では上面視で格子状に立設した壁、リブ等であるが、これに限られない。補強部材455により、外郭45の剛性を向上できる。外郭45は、左右外側面に、前後方向に延在するガイドレール452を備える。ガイドレール452を、切替室4の内側左右側面に前後方向に延在して備えられた段部457(
図20)に載置して挿入することで、切替室4の内部に外郭45を配置できる。
【0068】
外郭45の上面には電源ケーブル468が配置され、電源ケーブル468は、切替室扉46を加熱するヒータ462(
図10)に接続される。ヒータ462について、切替室扉46の構造を説明しながら説明する。
【0069】
図10は、切替室扉46の分解斜視図である。切替室扉46は、正面側から背面側に向かって、樹脂製の外面部材461と、ヒータ462と、発泡ポリウレタン又はポリスチレンフォーム等の断熱材463と、樹脂製の内面部材464と、ガスケット(パッキン)465とを備える。外面部材461と内面部材464とは嵌合可能に構成され、これらの間にヒータ462及び断熱材463が挟持される。内面部材464の左右両端には、正面側から背面側に向かって窄まる凸部483を備える。凸部483の機能は
図17及び
図18を参照して後記する。ガスケット465は枠状に構成され、内面部材464の外縁に沿って配置される。ガスケット465により、切替室扉46を閉じた時に外郭45(
図9)の内部の気密性を向上できる。
【0070】
ヒータ462は、断熱材463よりも冷蔵室3(
図3)側及び冷蔵室戻り口161(
図3)側に設けられ、外面部材461と断熱材463との間に配置される。これにより、外面部材461の正面側の面(冷蔵室3を臨む面)を加熱でき、切替室4が内部に配置された冷蔵室3と、切替室4との温度差が大きくなっても切替室扉46への結露を抑制できる。上述した別実施形態のように切替室4を冷凍室2内に配置する場合には、ヒータ462は、これに代えて、断熱材463と内面部材464との間、即ち、断熱材463よりも切替室4側に設けられることが好ましい。
【0071】
ヒータ462は、例えば電気ヒータであり、切替室扉46の表面に沿って配置された電熱線473(例えばシリコンコードヒータ)を備える。ヒータ462は、電熱線473とヒータ462の電源とを接続する電源ケーブル468(
図9)に接続され、電源からの電力供給により発熱し、切替室扉46を加熱できる。電源は、例えば冷蔵庫1を駆動させる電源と共用の電源である。ヒータ462は、例えば、電熱線473とアルミニウム箔(不図示)とを両面粘着テープの一面で固定し、両面粘着テープの他面を加熱面(図示の例では正面側)に貼付可能としたアルミニウム箔ヒータである。
【0072】
電熱線473は、一方の端部に正極端子471を備え、他方の端部に負極端子472を備える。図示の例では、正極端子471は右側端部に備えられ、負極端子472は左側端部に備えられる。図示の例では、正極端子471及び負極端子472が電源ケーブル468(
図9)に接続される。電熱線473は、図示の例では、同一面内において、矩形状の外面部材461の各四辺に沿って左右方向又は上下方向に連続的に蛇行して配置され、これにより、切替室扉46の全面を満遍なく加熱できる。
【0073】
図11は、外郭45に切替室扉46を取り付けた状態を示す正面側からの外観斜視図である。電源ケーブル468は、正極ケーブル466及び負極ケーブル467を含む。正極ケーブル466は、切替室扉46の内部に配置された正極端子471(
図10)に接続され、負極ケーブル467は、切替室扉46の内部に配置された負極端子472(
図10)に接続される。正極ケーブル466及び負極ケーブル467は、外郭45の上面において背面側で一本に束ねられ、外郭45の外側背面壁を下降し、電力コネクタ458(
図8)に接続される。
【0074】
電源ケーブル468(図示の例では正極ケーブル466及び負極ケーブル467)は、補強部材455の上端456よりも低い位置を這うようにして外郭45の上面に配置されており、補強部材455は電源ケーブル468が這わされる空間を確保するように部分的に途切れている又は高さが低くされている。例えば冷蔵庫1の正面視で電源ケーブル468の高さは、例えば正面視で補強部材455の高さよりも低い。従って、電源ケーブル468は、補強部材455における上端456(外郭45から離れた側の端部)よりも外郭45側を這うようにして外郭45の外面側に配置される。電源ケーブル468を外郭45の上面に配置することで、外郭45の左右側方での電源ケーブル468の占有体積を考慮しなくてよく、外郭45の内部の左右の内寸を広く確保できる。また、電源ケーブル468を補強部材455の上端456よりも低い位置に配置することで、電源ケーブル468が潰れることを抑制できる。
【0075】
図12Aは、外郭45及び切替室扉46の側面図である。外郭45の上面を這う電源ケーブル468は、外郭45の正面側で外郭45の側方に降り、カバー部材470の内部を通り、切替室扉46の内部に向かう。図示の例では、正極ケーブル466は、外郭45の正面側で右側方に配置され、切替室扉46の右側から切替室扉46の内部(
図12Aの紙面奥方向)に向かう。
【0076】
図12Bは、
図12AのC-C線断面図であり、
図12Cは、
図12BのD部拡大図である。
図12B、
図12C及び
図13(後記)を参照する以下の説明では、電源ケーブル468の一例として正極ケーブル466(電源ケーブル468)を主に例示するが、負極ケーブル467に対しても以下の説明が同様に適用される。
【0077】
切替室扉46は、正面視で切替室扉46の左右方向に延在する回動軸450を中心に回動可能に配置される。回動軸450は、外郭45に固定され左右方向に延在する中空状の管459のうち、切替室扉46に固定され左右方向に延在する中空状の管491に接触する部分に形成される。管491の内部で、管491(円管)の内径と一致(対応)する外径を有する管459(円管)が摺動することで、切替室扉46が回動する。切替室扉46は、例えば、外郭45に対してヒンジ(蝶番)によって回動可能に構成される。
【0078】
回動軸450は、管459の内部に形成される中空部分である中空部451を備える。正極端子471(
図10)に接続される正極ケーブル466は、中空部451の左側から入り、中空部451を通ることで左右方向に配置される。正極ケーブル466が中空部451を通るように配置されることで、正極ケーブル466の撓み、折れ等の変形を抑制でき、断線を抑制できる。また、例えば回動軸450の外側に正極ケーブル466を設置する場合と比べ、無駄スペースを削減してスペース効率を向上できる。
【0079】
即ち、正極ケーブル466は、正極端子471(
図10。電熱線473の一方端)から切替室扉46の左右方向における右端(一方端)に向かうように、中空部451を通って配置される。切替室扉46の右側から突出した正極ケーブル466は、上記の
図12Aに示すように右側方を後方に向かって延在し、更に、上記の
図11に示すように外郭45の上面を後方に向かって這うように延在する。
【0080】
また、負極ケーブル467は、負極端子472(
図10。電熱線473の他方端)から切替室扉46の左右方向における左端(他方端)に向かうように、中空部451を通って配置される。切替室扉46の左側から突出した負極ケーブル467は、図示はしないが、左側方を後方に向かって延在し、更に、上記の
図11に示すように外郭45の上面を後方に向かって這うように延在する。
【0081】
このように、正極ケーブル466を負極ケーブル467とは別体にしてそれぞれ中空部451を通すことで、正極ケーブル466及び負極ケーブル467を束ねた場合と比べて、電源ケーブル468を細くできる。これにより、中空部451に通し易くできるとともに、通した後に、回動軸450の回動への電源ケーブル468による影響を抑制できる。
【0082】
図13は、外郭45に切替室扉46を取り付けた状態を示す背面側からの外観斜視図である。
図13では、
図11とは異なり、カバー部材470の図示を省略する。外郭45に切替室容器44が収容されているが、切替室容器44については後記する。
【0083】
上記の
図12Cを参照して説明したように、正極ケーブル466は、回動軸450の左側において電熱線473(
図10)に接続され、その反対側である右側の端部から突出する。突出した正極ケーブル466は、
図13に示すように、正面視で背面方向に向かって延在するとともに、背面方向に向かっていったん降りて再度昇る屈曲部469を備えて配置される。即ち、正極ケーブル466は、回動軸450(
図12C)よりも低い位置を通る。屈曲部469を備えることで、正極ケーブル466に結露水が生じた場合であっても、屈曲部469に結露水を捕捉でき、正極ケーブル466を伝った電源への結露水の到達を抑制できる。図示の例では、屈曲部469より背面側で、外郭45の側方に配置された正極ケーブル466が外郭45の上面に至る。
【0084】
外郭45は、背面壁(内壁)に、外郭45を切替室4に挿入した状態で切替室吐出口141(
図4)及び切替室戻り口171(
図4)と外郭45の内部とを連通させるように、開口481(吐出口)及び開口482(戻り口)を備える。開口481は、冷却器7で生成した冷気を外郭45の内部に吐出するものであり、開口482は、外郭45の内部の空気を冷却器7に戻すものである。図示の例では、冷蔵庫1の正面視で、開口481,482は、切替室吐出口141及び切替室戻り口171の位置と一致する。
【0085】
開口481,482をこのように配置することで、開口481から外郭45に吹き出す冷気と、外郭45の内部から開口482を通じて冷却器7に戻る空気との流動抵抗を抑制でき、切替室4の冷却効率を向上できる。また、開口481,482がいずれも外郭45の背面壁に備えられることで、切替室4の背面側に形成された冷却器7に空気を戻し易くでき、流動抵抗を抑制できる。尤も、開口481,482並びに切替室吐出口141及び切替室戻り口171はそれぞれ、左右側面に設けられていてもよい。
【0086】
外郭45は、背面側の外壁に、開口481,482を囲うようにシール材475,476を備える。シール材475,476は例えば軟質ウレタンフォームである。外郭45を切替室4に挿入すると、切替室吐出口141及び切替室戻り口171と開口481,482とが対向し、冷気又は空気が流れる。そこで、シール材475,476を備えることで、切替室吐出口141と開口481との間、及び、切替室戻り口171と開口482との間からの冷気又は空気の漏れを抑制できる。
【0087】
図14は、外郭45の一部を切断して示す内部構造図である。外郭45の底面453は、内部にポリスチレンフォーム等の断熱材963を実装した断熱壁により構成される。外郭45は、内部底面に、切替室容器44(
図15)を収容したときに内部で固定するロック機構454を備える。ロック機構454は、爪477と、正面側が開いたガイド部478とを備える。ロック機構454の機能については、切替室容器44(
図16)のロック機構448(
図16)とともに、
図16を参照しながら後記する。
【0088】
図15は、切替室容器44の上方からの外観斜視図である。取っ手443の内部には、断熱材962(
図18)が収容される。ただし、断熱材962の配置とともに、又は断熱材962の配置に代えて、取っ手443に例えばスリットを形成することで伝熱経路を少なくして断熱したり、切替室扉46に内蔵されたヒータ462(
図10)の熱を伝熱させたりして、切替室4及び切替室4を収容する室(本実施形態では冷蔵室3)の一方が第1温度帯、他方が第2温度帯に設定された場合の、取っ手443への結露を抑制してもよい。ヒータ462の熱を効果的に伝達させるべく、ヒータ462側に取っ手443から延在する金属部材を設けてもよい。
【0089】
切替室容器44は、外郭45の開口481(
図13)の高さ位置よりも高い背面壁445(内壁)と、正面視で開口481と重なる背面壁445の部位に形成された開口441(内壁開口)とを備える。従って、切替室吐出口141(
図4)から開口481(
図14)を通じ外郭45に吐出された冷気は、更に、開口441を通じて切替室容器44に吐出される。切替室容器44は、更に、開口441を覆うように配置された透過部材438を備え、透過部材438は冷気を透過可能なものである。透過部材438は、図示の例ではスリットであるが、例えばメッシュ等でもよい。
【0090】
背面壁445、開口441及び透過部材438を備えることで、切替室容器44の背面壁445を高くしたまま切替室吐出口141から吐出した冷気を切替室容器44に吐出でき、切替室容器44の収納容量を大きくできる。また、透過部材438によって冷気の流動抵抗を抑制し、切替室容器44の冷却効率を向上できる。さらに、切替室容器44に収納された食品等の収容物が、開口441を介して切替室容器44と外郭45との間に落下することを抑制でき、使い勝手を向上できる。
【0091】
切替室容器44は、側壁446に、開口442と、開口442を覆うように配置された透過部材439を備え、透過部材439は空気を透過可能なものである。透過部材439は、図示の例ではスリットであるが、例えばメッシュ等でもよい。
【0092】
開口442を備えることで、食品等を冷却した空気を切替室容器44の外部であって外郭45の内部に排気できる。詳細は後記するが、外郭45に排気された空気は、切替室戻り口171(
図4)を通じて排気される。そこで、開口442は、切替室容器44の前後方向長さの中心よりも後方に配置され、これにより、開口482(
図14)及び切替室戻り口171を通じて排気され易くできる。また、透過部材439によって空気の流動抵抗を抑制し、切替室容器44の外部に排気し易くできる。さらに、切替室容器44に収納された食品等の収容物が、開口442を介して切替室容器44と外郭45との間に落下することを抑制でき、使い勝手を向上できる。
【0093】
図16は、切替室容器44の下方からの外観斜視図である。切替室容器44は、外側底面にロック機構448を備え、ロック機構448は、ロック機構454(
図14)と協働し、切替室容器44を外郭45に収容したときに内部で固定する。ロック機構448は、挿入部440及び凹部447を備える。
【0094】
切替室容器44を外郭45に挿入すると、挿入部440は、正面側からガイド部478(
図14)に挿入される。挿入部440の左右方向外寸(爪477の部分を除く)は、ガイド部478の左右方向内寸(挿入部440が通る部分の寸法)とほぼ同じである。このとき、挿入部440は、ガイド部478の左右方向内寸よりもわずかに短い左右方向内寸(挿入部440が通る部分の寸法)の爪477(
図14)を広げるようにして、挿入される。切替室容器44を最も奥まで背面方向に押し込むと、爪477が元の位置に元って、爪477が凹部447に嵌る。これにより、外郭45の内部で切替室容器44が固定される。
【0095】
図17は、切替室容器44を収容した外郭45において、取っ手443を正面側に引いて切替室容器44を引き出した状態を示す外観斜視図である。切替室容器44は、正面側左右両端に、正面方向に向かって下る曲線、例えば円弧により構成された摺動部434を備える。摺動部434は、回動可能な切替室扉46を支持する。切替室扉46は、閉じたときに前後方向に延在する凸部483を備え、凸部483は摺動部434上に摺動可能に載置される。摺動部434は、上端に、切替室容器44を最も正面側に引き出したとき、即ち、外郭45の凸部460(
図14)が切替室容器44の凸部444(
図15)に突き当たったときに凸部483を載置する、平坦部435を備える。従って、平坦部435は、切替室扉46が開放した状態で切替室扉46を載置する。
【0096】
図18は、切替室容器44の移動時における切替室扉46の動きを説明する図である。
図18は、切替室容器44を最も正面側に引き出すことで、平坦部435に凸部483が載置されている状態を示す。切替室扉46は90°回動可能に構成され、全開時には、外郭45の上面(補強部材455の上端456のうちの最も高い部分)と同じ高さになるように配置される。
【0097】
図18に示す状態で取っ手443を押し込むと、回動軸450(
図12C)の位置が維持された状態で切替室容器44が背面側に移動する。これにより、切替室扉46に備えられる凸部483は、正面側に向かって下る円弧の摺動部434の上を正面方向に滑り、摺動部434の最下端436に至ると、切替室扉46は閉まる。切替室扉46が閉まるとともに、ロック機構448,454(
図14、
図16)によって外郭45の内部で切替室容器44が固定され、内部でのがたつきが抑制される。
【0098】
図示はしないが、取っ手443を正面側に引くことで、切替室容器44が引き出されるとともに切替室扉46が開く。即ち、最下端436に接触している凸部483は、取っ手443の引っ張りに伴う切替室容器44の正面側への移動により、背面側に向かって昇る円弧の摺動部434の上を滑り、これにより、凸部437を備える切替室扉46が開く。そして、凸部483は、最終的に
図18に示すように平坦部435に載置され、これにより、切替室扉46が全閉になる。
【0099】
図19は、切替室4近傍の構造及び冷気及び空気の流れを説明する図であり、側方からの断面図である。切替室容器44の背面壁445は、外側背面に、開口441を囲うように外郭45側に向けて前後方向に立設した枠状のリブ474を備える。リブ474は、切替室容器44を外郭45に収容した状態で、更に、外郭45の開口481を囲うように配置される。これにより、切替室吐出口141及び開口481を通じて吐出された冷気を、切替室容器44の外部に漏出し難くできる。
【0100】
冷蔵庫1は、切替室容器44の背面と外郭45の背面との間に空間429を備える。切替室容器44の戻り空気は、開口442(
図15)及び空間426(
図20)を通って空間429に流れ、開口482(
図14)及び切替室戻り口171(
図4)を通じて、冷却器7に戻る。この切替室4の戻り冷気流れは、切替室4への送風停止時、すなわち冷凍室運転時、冷凍冷蔵室運転時、及び冷却停止時(ファン停止時)の場合には生じないため、冷気が滞留する。このため、これら運転の実行中及び冷却停止時には、空間429により、外郭45の背面側の外部に、断熱層として機能する空気層を形成できる。これにより、切替室4周囲から切替室4への熱伝達を抑制できる。尤も、切替室4の戻り冷気流れが生じる、上記運転以外の運転の実行中であっても、空間429が断熱箱体10と切替室容器44との間に設けられることになるので、庫外から断熱箱体10への固体熱伝導の影響を戻り冷気に与えることになるから、切替室容器44内の温度安定性に寄与できる。
【0101】
図20は、
図19のE-E線断面図である。冷蔵庫1は、切替室容器44の外側の左右外側面と外郭45の左右内側面との間に空間426を備える。空間426は空間429(
図19)と一体に形成されて連通し、上記のように、切替室容器44の戻り空気は、開口442を通じて空間426に流れる。空間426を備えることで、外郭45の左右両側の外部に、断熱層として機能する空気層を形成できる。これにより、切替室4の内壁及び冷蔵室3の内壁面を戻り空気により冷却され難くでき、結露及び霜の発生を抑制できる。また、当該内壁を伝った熱伝達を抑制できるため、第2温度帯に設定した切替室4の冷熱による冷蔵室3の冷え過ぎを抑制できる。
【0102】
冷蔵庫1は、外郭45の上面と断熱箱体10との間に空間427を備える。空間427は、外郭45の上面と断熱箱体10との間に配置された、隣接する補強部材455の間に形成される。これにより、細かく区切られた空間427が形成され、対流抑制によって断熱性能を向上した空気層を形成できる。
【0103】
これらのように、外郭45の外部において、左右両側、背面側及び上側には、断熱性能を有する空気層が形成される。切替室4は、左右側及び背面側については断熱箱体10を主に、さらに空間426,429(空気層)で断熱される。上側は、切替室4の上側に設けられた断熱仕切壁28を主に、さらに空間427(空気層)で断熱される。下側は、切替室4の下側(より具体的には外郭45の下側)に設けられた断熱材963を主に、さらに空間428(空気層)で断熱される。正面側は、断熱材463で断熱される。これらのうち、空間426,427,428,429は、外郭45と切替室容器44との間に設けられ、少なくとも空気流れが滞留するものである。
【0104】
これらのように、切替室4は、左側及び右側それぞれが少なくとも断熱箱体10で断熱され、上側及び下側それぞれが少なくとも断熱仕切壁28又は断熱材963で断熱されている。これにより、特に左右側及び背面側では断熱箱体10を効果的に用いることができ、切替室4に別途の断熱部材を備える必要が小さい又は無いため、外郭45の内部空間を大きくでき、収容スペースを大きくできる。
【0105】
冷蔵庫1は、切替室容器44を外郭45に収容した状態で、切替室容器44の外側底面と外郭45の外側底面の間に空間428を備える。空間428は、空間429(
図19)とは連通し、空間426とは連通しない。空間428の高さは例えば5mmである。空間428を備えることで、空間426とは連通しないことによって空気の対流が生じ難い空気層を形成できる。空気層によって断熱でき、第2温度帯に設定された切替室4に起因する冷蔵室3の上面への結露及び霜の発生を抑制できる。また、第2温度帯に設定した切替室4の冷熱による冷蔵室3の冷え過ぎを抑制できる。
【0106】
冷蔵庫1は、底面453を樹脂により構成し、底面453と断熱材963との間にヒータ82を備える。ヒータ82により切替室4の温度を上昇させて調整し易くでき、例えば冷蔵食品の凍結を回避できる。ヒータ82は、ヒータ462(
図10)と同様の構成を採用できる。
【0107】
図19及び
図20を参照して、冷気及び空気の流れを説明する。
図19に示すように、切替室吐出口141は、外郭45の開口481と略一致し、実線矢印で示すように、正面側に空気を吹き出す。切替室容器44の、切替室吐出口141の前方投影領域には開口441が設けられ、切替室送風路14からの冷気が、実線矢印で示すように切替室容器44内に吹き出される。吹出された冷気は実線矢印で示すように循環して切替室容器44内を冷却し、その後、実線矢印で示すように切替室容器44の両側面の開口442から流出する。
【0108】
図20において、実線矢印で示すように開口442から流出した空気は、空間426に排気される。外郭45の正面側の開口は切替室扉46(
図19)により閉塞されているため、空間426に排気された空気は背面方向に流れる。そして、空気は背面側の空間429(
図19)に入り、破線矢印で示すように、開口482及び切替室戻り口171を通じて切替室戻り風路17に流れる。
【0109】
図21は、冷蔵室3の扉31を開いたときの冷蔵庫1の外観斜視図である。
図21及び後記する
図22は、切替室容器44を最も正面側に引き出し、扉31を最も開いた(閉塞時の扉31に対する角度として例えば90°)ときの状態を示す。扉31(貯蔵室扉)は、外壁311と、外壁311の内側に配置されたドアライナ312とを備える。ドアライナ312は、冷蔵室3の庫内壁を形成するもので、ドアポケット341,342,343,344を支持する。
【0110】
ドアライナ312は、取っ手443(張り出し部)と同じ高さ位置に、他の部位よりも盛り上がって形成された凸部313(例えば部分的なリブ)を備える。図示の例では、扉31を閉じた状態の正面視で矩形状のドアライナ312において、扉31を回動させる回動軸(不図示)に近い側の辺の一部に凸部313が形成される。凸部313の高さは、閉塞時の扉31に対する所定角度(例えば90℃)で扉31を開いたときに、切替室容器44を最も正面側に引き出しても切替室容器44の取っ手443が凸部313(ドアライナ312又はドアポケット341の一例)に接触しない程度の高さである。
【0111】
図22は、冷蔵室3の扉31を開いたときの凸部313及び切替室容器44の近傍を拡大して示す断面図である。切替室容器44を最も正面側に引き出した状態(一部のみ引き出した状態でもよい)で扉31を閉めると、ドアライナ312のうち扉31に最も近い凸部313が取っ手443に接触する。接触した状態で扉31を更に閉めると、扉31の回動に伴って凸部313も、扉31の回動方向と同一方向に移動する。扉31の移動方向は、ベクトルで考えると背面方向を含むため、扉31の回動に伴い、凸部313が取っ手443に背面方向への力を作用させる。これにより、取っ手443に接続された切替室容器44が背面側に移動して外郭45に収容され、切替室扉46が閉じる。
【0112】
このように、切替室容器44は、切替室扉46が開いた状態で扉31を閉めるときに、凸部313によって取っ手443が背面方向に押されることで、切替室容器44を背面方向に移動可能に構成される。切替室容器44がこのように構成されることで、切替室扉46が開いた状態で扉31を閉めても、凸部313によって取っ手443が押されることで切替室容器44を背面方向に移動できる。これにより、切替室容器44の破損を速成し、扉31を閉塞とともに切替室扉46を閉塞できる。
【0113】
取っ手443又は切替室容器44を押すことができれば、ドアライナ312に限らず、切替室扉46と同じ高さに設けられているドアポケット341に凸部を設けてもよい。ドアライナ312の内部には断熱材が配されているためドアポケット341よりも高強度のため、ドアライナ312で押す態様が好ましい。また、凸部のような部分的なリブでなく全体的に背面側に届く構造にすることで、凸部がない態様で押すことができるように構成してもよい。従って、ドアライナ312又はドアポケット341の少なくとも一方を備える(図示の実施形態では双方備える)冷蔵庫1において、ドアライナ312又はドアポケット341によって切替室容器44が背面方向に押されればよい。
【0114】
切替室容器44は、切替室容器44を最も正面側に引き出したとき、切替室容器44の正面側端部である取っ手443の正面側端部位置(破線L1で示す位置)が、冷蔵室3の開口(破線L2で示す位置)よりも正面側に配置可能に構成される。冷蔵室3の開口とは、冷蔵庫1における断熱箱体10(即ち、扉31を含まない)が形成する開口である。このようにすることで、切替室容器44を冷蔵室3の開口よりも正面側に引き出せるため、使用者が切替室容器44に野菜等の収容物を収容し易くでき、切替室4の使い勝手を向上できる。
【0115】
図23は、第二実施形態の冷蔵庫50の正面図である。冷蔵庫50は、冷凍室2が下段に区画され冷蔵室3が上段に区画されたこと、並びに、外形寸法及び内容積が異なること以外は、上記の冷蔵庫1(
図1)と同様である。冷蔵庫50の外形寸法としては、例えば、幅680mm、奥行き720mm、高さ1670mmであるが、これに限定されない。
【0116】
図24は、
図23のF-F断面図である。冷蔵庫50は、冷凍室2内に冷凍室容器421,422,423を備える。冷蔵庫50は、冷蔵室3の最下部に切替室4を備える。冷蔵庫50は、扉21の内側にドアポケット323を備え、これにより、収納性を向上できる。ファン91は、冷却器室8の上部正面側に備えられる。冷蔵室切替室送風路12及び切替室送風路14は、何れも、冷凍室送風路11の上部に備えられる。冷蔵室戻り口161は、冷蔵室3の下面(断熱仕切壁28の上面)の正面側に備えられる。冷蔵室戻り口161に接続された冷蔵室戻り風路16は、冷却器室8の左側下部に設けられた冷却器室戻り口162に至る。
【0117】
冷蔵庫50では、切替室4は、以下のように構成される。切替室4を第1温度帯に設定した場合に、冷蔵室3及び切替室4(冷蔵室3、冷凍室2及び切替室4を含む室のうちの第1温度帯の室)の内容積が、冷凍室2(第2温度帯の室)の内容積よりも大きくなるように、切替室4が構成される。また、切替室4を第2温度帯に設定した場合に、冷蔵室3(冷蔵室3、冷凍室2及び切替室4を含む室のうちの第1温度帯の室)の内容積が、冷凍室2及び切替室4(第2温度帯の室)の内容積よりも小さくなるように、切替室4が構成される。
【0118】
具体的には、冷蔵庫50のIEC62552-3:2015に基づいて測定した内容積としては、これらの数値に限定されないが、例えば、冷凍室2が103L、冷蔵室3が112L、切替室4が25Lである。従って、切替室4を第1温度帯に設定した場合、冷蔵室3及び切替室4の内容積は137Lであり、冷凍室2の内容積である103Lよりも大きい。一方で、切替室4を第2温度帯に設定した場合、冷蔵室3の内容積である112Lは、冷凍室2及び切替室4の内容積である128Lよりも小さい。
【0119】
このように切替室4を構成することで、必要に応じて使用者が切替室4の設定を選択することで、第1温度帯の室を大きくしたり、第2温度帯の室を大きくしたりできるので、冷蔵庫50の使い勝手を向上できる。
【0120】
冷蔵庫50では、冷蔵室戻り風路16(貯蔵室戻り風路)は断熱仕切壁28の内部に備えられ、切替室戻り風路17(内室戻り風路)は切替室4から冷却器室8にかけて背面壁の内部に備えられ、冷凍室戻り風路15は冷凍室2の背面壁の内部であって冷却器室8の正面に備えられる。このように、3つの戻り風路を夫々異なる壁面に配置することで、風路同士の間隔を広くして、一つの戻り風路を流れる空気の冷熱による他の戻り風路への作用を抑制できる。これにより、他の戻り風路内での霜の成長及び結露の発生を抑制でき、冷蔵庫50の信頼性を向上できる。
【0121】
図25は、風路配置を示す正面図である。冷蔵庫50の風路配置は、概ね、冷蔵庫1(
図4)の風路配置において上下反転した構成を採る。
図25は、扉21,22、冷凍室容器421,422,423、棚351,352,353、切替室扉46、切替室容器44を外した状態を示す。
【0122】
ファン92は、切替室4の背面側に備えられ、冷蔵室送風路13を空気が上昇するように駆動する。冷蔵室切替室送風路12は、冷凍室2の背面上部に備えられる。冷却器室戻り口162は、冷却器室8の左下の側面に備えられる。冷却器室戻り口172は、冷却器室8の右下の背面側に備えられる。
【0123】
図26は、風路構成と冷凍サイクル構成の説明図である。冷蔵庫50でも、冷蔵庫1(
図5)と概ね同様にして冷気及び空気が流れる。ただし、冷蔵庫1とは異なり、冷凍室2からの空気は、冷凍室2の背面側に備えられた冷凍室戻り口151を通じて冷却器7に戻される。冷蔵室3では、冷気が上方から下方に向かうように流れ、冷蔵室3の下面である断熱仕切壁28に備えられた冷蔵室戻り口161を通じて、冷却器7に戻される。
【0124】
以上で、実施形態を説明したが、本開示は前述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。すなわち、前述した実施形態は本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0125】
本願は、以下の技術的思想を包含する。
[付記1-1]
冷蔵温度帯である第1温度帯、又は、冷凍温度帯を含む-5℃未満の第2温度帯の何れかの温度帯に設定された貯蔵室と、
前記貯蔵室の内部に配置され、正面側に開口が形成された内室と、
前記内室の正面側に形成された開口を閉塞する内室扉と、
前記内室扉を加熱するヒータと、
前記内室を前記第1温度帯又は前記第2温度帯の何れかの前記温度帯に切替可能な温度切替機構とを備える
ことを特徴とする冷蔵庫。
[付記1-2]
前記内室扉は、中空部を備える回動軸を軸中心に回動可能に配置され、
前記ヒータは、電熱線を備えるとともに、前記電熱線と電源とを接続する電源ケーブルに接続され、
前記電源ケーブルは、前記回動軸の前記中空部を通るように配置される
ことを特徴とする付記1-1に記載の冷蔵庫。
[付記1-3]
前記貯蔵室は、前記第1温度帯に設定されており、
前記内室扉は、
断熱材と、
該断熱材よりも前記貯蔵室側に設けられた前記ヒータと、を備える
ことを特徴とする付記1-2に記載の冷蔵庫。
[付記1-4]
前記貯蔵室は、前記第2温度帯に設定されており、
前記内室扉は、
断熱材と、
該断熱材よりも前記内室側に設けられた前記ヒータと、を備える
ことを特徴とする付記1-2に記載の冷蔵庫。
[付記1-5]
前記回動軸は、正面視で前記内室扉の左右方向に延在するように配置され、
前記電源ケーブルは、正極ケーブル及び負極ケーブルを含み、
前記正極ケーブルは、前記電熱線の一方端から前記内室扉の左右方向における一方端に向かうように前記中空部を通って配置され、
前記負極ケーブルは、前記電熱線の他方端から前記内室扉の左右方向における他方端に向かうように前記中空部を通って配置される
ことを特徴とする付記1-2~1-4の何れか一項に記載の冷蔵庫。
[付記1-6]
前記電熱線に接続される側とは反対側の、前記回動軸の端部から突出した前記電源ケーブルは、正面視で背面方向に向かって延在するとともに、背面方向に向かっていったん降りて再度昇る屈曲部を備える
ことを特徴とする付記1-2~1-5の何れか1項に記載の冷蔵庫。
[付記1-7]
前記内室は、
正面側が開口した外郭と、
前記外郭に収容され、前記外郭の開口を通じて出し入れ可能な容器と、
を備え、
前記内室扉は、前記外郭の開口を閉塞するように配置され、
前記容器は、前記内室扉を閉じたときに前記外郭の外部に露出するとともに張り出した張り出し部を備え、
前記容器は、前記張り出し部が正面側に引っ張られることで前記内室扉が開いて前記容器が引き出されるように構成される
ことを特徴とする付記1-2~1-6の何れか1項に記載の冷蔵庫。
[付記1-8]
前記張り出し部は、断熱材を備える、スリットが形成されている、又は前記ヒータ側に延在する金属部材を備える
ことを特徴とする付記1-7に記載の冷蔵庫。
[付記1-9]
前記外郭は、前記外郭の外面から立設する補強部材を備え、
前記電熱線に接続される側とは反対側の前記回動軸の端部から突出した前記電源ケーブルは、前記補強部材における該外郭から離れた側の端部よりも外郭側を這うようにして前記外郭の外面側に配置される
ことを特徴とする付記1-7又は1-8に記載の冷蔵庫。
[付記1-10]
前記外郭は、前記外郭の内壁に、前記外郭の内部に供給する冷気を生成する冷却器で生成した冷気を前記外郭の内部に吐出する吐出口を備え、
前記容器は、
前記吐出口の高さ位置よりも高い内壁と、
前記吐出口の正面視で該吐出口と重なる前記容器の前記内壁の部位に形成された内壁開口と、
前記内壁開口を覆うように配置された、冷気を透過可能な透過部材と、
を備える
ことを特徴とする付記1-7~1-9の何れか1項に記載の冷蔵庫。
[付記1-11]
前記外郭は、前記外郭の内壁に、
前記外郭の内部に供給する冷気を生成する冷却器で生成した冷気を前記外郭の内部に吐出する吐出口と、
前記外郭の内部の空気を前記冷却器に戻す戻り口とを備える
ことを特徴とする付記1-7~1-10の何れか1項に記載の冷蔵庫。
[付記1-12]
前記内室は、
正面側が開口した外郭と、
前記外郭に収容され、前記外郭の開口を通じて出し入れ可能な容器と、
を備え、
前記内室扉は、前記外郭の開口を閉塞するように配置され、
前記貯蔵室の正面側に形成された開口を閉塞するとともに、外壁と、前記外壁の内側に配置されたドアライナ又はドアポケットの少なくとも一方とを備える貯蔵室扉を備え、
前記容器は、前記内室扉が開いた状態で前記貯蔵室扉を閉めるときに、前記ドアライナ又は前記ドアポケットによって前記容器が背面方向に押されることで、前記容器を背面方向に移動可能に構成される
ことを特徴とする付記1-2~1-11の何れか1項に記載の冷蔵庫。
[付記1-13]
前記貯蔵室の正面側に形成された開口を閉塞する貯蔵室扉を備え、
前記容器は、前記容器を最も正面側に引き出したとき、前記容器の正面側端部が前記貯蔵室の開口よりも正面側に配置可能に構成される
ことを特徴とする付記1-12に記載の冷蔵庫。
[付記1-14]
前記貯蔵室を内部に形成する断熱箱体と、
前記内室の上側及び下側それぞれに設けられた断熱仕切壁又は断熱材と、を備え、
前記内室は、
左側及び右側それぞれが少なくとも前記断熱箱体で断熱され、
上側及び下側それぞれが少なくとも前記断熱仕切壁又は前記断熱材で断熱されている
ことを特徴とする付記1-1~1-13の何れか1項に記載の冷蔵庫。
[付記1-15]
前記内室は、
正面側が開口した外郭と、
前記外郭に収容され、前記外郭の開口を通じて出し入れ可能な容器と、
前記外郭と前記容器との間に設けられ、少なくとも空気流れが滞留し得る空気層と、を備える
ことを特徴とする付記1-1~1-14の何れか1項に記載の冷蔵庫。
[付記1-16]
前記内室は、
正面側が開口した外郭と、
前記外郭に収容され、前記外郭の開口を通じて出し入れ可能な容器と、
を備え、
前記容器は、
回動可能な前記内室扉を支持する曲線状の摺動部と、
前記内室扉が開放した状態で該内室扉を載置する平坦部と、を備える
ことを特徴とする付記1-1~1-15の何れか1項に記載の冷蔵庫。
[付記2-1]
第1貯蔵室と、
前記第1貯蔵室の内部に配置され、正面側に開口が形成された内室と、
前記内室の正面側に形成された開口を閉塞する内室扉と、
前記内室を、冷蔵温度帯である第1温度帯、又は、冷凍温度帯を含む-5℃未満の第2温度帯の何れかの温度帯に切替可能な温度切替機構とを備える
ことを特徴とする冷蔵庫。
[付記2-2]
前記第1貯蔵室及び前記内室に供給される冷気を生成する冷却器と、
生成した冷気を前記内室に送風する内室送風路と、
前記内室から前記冷却器に空気を戻す内室戻り風路と、を備える
ことを特徴とする付記2-1に記載の冷蔵庫。
[付記2-3]
前記第1貯蔵室との間に断熱仕切壁を配置した冷凍室を備え、
前記冷却器は、前記冷凍室の背面側に配置される
ことを特徴とする付記2-2に記載の冷蔵庫。
[付記2-4]
前記第1貯蔵室から前記冷却器に空気を戻す貯蔵室戻り風路を備え、
前記内室戻り風路及び前記貯蔵室戻り風路は、異なる壁部材に配置される
ことを特徴とする付記2-3に記載の冷蔵庫。
[付記2-5]
前記内室戻り風路又は前記貯蔵室戻り風路のうちの一方の風路は、前記内室の背面壁の内部に配置され、
前記内室戻り風路又は前記貯蔵室戻り風路のうちの他方の風路は、前記断熱仕切壁の内部に配置される
ことを特徴とする付記2-4に記載の冷蔵庫。
[付記2-6]
前記第1貯蔵室から前記冷却器に空気を戻す貯蔵室戻り風路を前記断熱仕切壁に備え、
前記貯蔵室戻り風路の吸込口は、前記第1貯蔵室の正面側に形成された開口を閉塞する第1貯蔵室扉と、前記内室扉との間に配置される
ことを特徴とする付記2-3~2-5の何れか1項に記載の冷蔵庫。
[付記2-7]
前記内室扉は、正面側に開いたときに前記吸込口を覆うように回動可能に配置される
ことを特徴とする付記2-6に記載の冷蔵庫。
[付記2-8]
前記内室扉は、断熱材と、該断熱材よりも前記貯蔵室戻り風路の吸込口側に配置されたヒータと、を備える
ことを特徴とする付記2-6又は2-7に記載の冷蔵庫。
[付記2-9]
前記第1貯蔵室は、前記第1温度帯に設定された冷蔵室である
ことを特徴とする付記2-1~2-8の何れか1項に記載の冷蔵庫。
[付記2-10]
前記第1温度帯又は前記第2温度帯の何れかに設定されるとともに、前記第1貯蔵室よりも内容積が小さな第2貯蔵室を備える
ことを特徴とする付記2-1~2-9の何れか1項に記載の冷蔵庫。
[付記2-11]
前記内室は、
前記内室を前記第1温度帯に設定した場合に、前記第1貯蔵室、前記第2貯蔵室及び前記内室を含む室のうちの前記第1温度帯の前記室の内容積が、前記第2温度帯の前記室の内容積よりも大きく、
前記内室を前記第2温度帯に設定した場合に、前記第1貯蔵室、前記第2貯蔵室及び前記内室を含む室のうちの前記第1温度帯の前記室の内容積が、前記第2温度帯の前記室の内容積よりも小さくなる、
ように構成される
ことを特徴とする付記2-10に記載の冷蔵庫。
[付記3-1]
貯蔵室と、
該貯蔵室の正面側の開口を閉塞可能な回動式の貯蔵室扉と、
前記貯蔵室の内部に配置され、正面側に開口が形成された内室と、
前記内室の正面側に形成された開口を閉塞する内室扉と、を備え、
前記内室は、
正面側が開口した外郭と、
前記外郭に収容され、前記外郭の開口を通じて出し入れ可能な容器と、
を備え、
前記容器を最も正面側に引き出したとき、前記容器の正面側端部が前記貯蔵室の開口よりも正面側に配置可能に構成された
ことを特徴とする冷蔵庫。
[付記3-2]
前記貯蔵室扉は、外壁と、前記外壁の内側に配置されたドアライナ又はドアポケットとを備え、
前記容器は、前記内室扉を閉じたときに前記外郭の外部に露出するとともに張り出した張り出し部を備え、
前記容器は、前記張り出し部が正面側に引っ張られることで前記内室扉が開いて前記容器が引き出されるように構成され、
前記貯蔵室扉を所定角度開いた場合、前記容器を最も正面側に引き出しても、前記張り出し部が前記ドアライナ又は前記ドアポケットに接触しない
ことを特徴とする付記3-1に記載の冷蔵庫。
[付記3-3]
前記内室扉が開いた状態で前記貯蔵室扉を閉めた場合、前記ドアライナ又は前記ドアポケットによって前記容器が背面方向に押され、前記容器を背面方向に移動可能に構成されている
ことを特徴とする付記3-2に記載の冷蔵庫。
[付記4-1]
第1貯蔵室と、
前記第1貯蔵室の内部に配置され、正面側に開口が形成され、前記第1貯蔵室とは異なる温度帯に設定され得る内室と、
前記内室の正面側に形成された開口を閉塞する内室扉と、
前記第1貯蔵室及び前記内室に供給される冷気を生成する冷却器と、
該冷却器で生成した冷気を、前記内室の背面投影領域に位置する内室吐出口から前記内室に送風する内室送風路と、を備え、
前記内室は、
正面側が開口した外郭と、
前記外郭に収容され、前記外郭の開口を通じて出し入れ可能な容器と、を備え、
前記外郭は、前記内室吐出口と前記外郭の内部とを連通させる開口を備える
ことを特徴とする冷蔵庫。
[付記4-2]
前記容器は、
前記外郭の開口よりも上側に達する背面壁と、
該背面壁に設けられ、前記外郭の開口の正面視で該開口と重なる領域に配置された開口と、を備える
ことを特徴とする付記4-1に記載の冷蔵庫。
[付記4-3]
前記背面壁は、前記容器の開口を囲い、前記外郭側に向けて立設したリブを備える
ことを特徴とする付記4-2に記載の冷蔵庫。
[付記4-4]
前記外郭及び前記容器の間に設けられ、少なくとも空気流れが滞留し得る空気層を備える
ことを特徴とする付記4-1~4-3の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【符号の説明】
【0126】
1 冷蔵庫
10 断熱箱体
100 冷凍サイクル
101 外箱
102 内箱
105 冷蔵室ダンパ
106 切替室ダンパ(温度切替機構)
11 冷凍室送風路
110 ダンパ
111,112,113 冷凍室吐出口
114 モータ収納部
12 冷蔵室切替室送風路
13 冷蔵室送風路
131,132,133 冷蔵室吐出口
14 切替室送風路(内室送風路)
141 切替室吐出口
15 冷凍室戻り風路
151 冷凍室戻り口
152 冷却器室戻り口
16 冷蔵室戻り風路(貯蔵室戻り風路)
161 冷蔵室戻り口(貯蔵室戻り風路の吸込口)
162 冷却器室戻り口
17 切替室戻り風路(内室戻り風路)
171 切替室戻り口
172 冷却器室戻り口
173 上昇部
174 下降部
18 除霜ヒータ
2 冷凍室(第2貯蔵室、室、貯蔵室)
200 冷凍室風路形成部材
21 扉
210 前パネル
212 操作パネル(温度切替機構)
220 後パネル
225 開口部
226 突出部
23 樋
24 圧縮機
25 放熱配管
26 キャピラリチューブ
28 断熱仕切壁
3 冷蔵室(第1貯蔵室、室、貯蔵室)
300 冷蔵室風路形成部材
31 扉(貯蔵室扉)
310 前パネル
311 外壁
312 ドアライナ
313 凸部
315,316,317,318 開口
319 切り欠き部
320 前断熱材
321,322,323 ドアポケット
33 棚
330 後断熱材
331 凹部
341,342,343,344 ドアポケット
351,352,353 棚
4 切替室(内室、室)
421,422,423 冷凍室容器
424 コネクタ収納部
426,427,428,429 空間(空気層)
43 冷蔵室容器
431 切替室温度センサ(温度検知装置)
434 摺動部
435 平坦部
436 最下端
438,439 透過部材
44 切替室容器(容器)
440 挿入部
441 開口(内壁開口)
442 開口
443 取っ手(張り出し部)
444 凸部
445 背面壁(内壁)
446 側壁
447 凹部
448 ロック機構
449 ガイドレール
45 外郭
450 回動軸
451 中空部
452 ガイドレール
453 底面
454 ロック機構
455 補強部材
456 上端
457 段部
458 電力コネクタ
459 管
46 切替室扉(内室扉)
460 凸部
461 外面部材
462 ヒータ
463 断熱材
464 内面部材
465 ガスケット
466 正極ケーブル
467 負極ケーブル
468 電源ケーブル
469 屈曲部
470 カバー部材
471 正極端子
472 負極端子
473 電熱線
474 リブ
475,476 シール材
477 爪
478 ガイド部
481 開口(吐出口)
482 開口(戻り口)
483 凸部
491 管
492 上ガイドレール
493 下ガイドレール
5 機械室
50 冷蔵庫
51 冷凍室温度センサ
52 冷蔵室温度センサ
53 切替室温度センサ
61 製氷水タンク
62 自動製氷装置
63 貯氷容器
7 冷却器
8 冷却器室
80 内部熱交換部
82 ヒータ
91,92 ファン
93,94,95 発泡断熱材
962,963 断熱材
L1,L2 破線