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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】吐出装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20240829BHJP
   B05B 1/18 20060101ALI20240829BHJP
   A47K 3/10 20060101ALI20240829BHJP
   F15D 1/08 20060101ALI20240829BHJP
   A47K 3/20 20060101ALN20240829BHJP
【FI】
A47K3/00 E
B05B1/18 101
A47K3/10
A47K3/00 F
F15D1/08 E
A47K3/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020150635
(22)【出願日】2020-09-08
(65)【公開番号】P2022045123
(43)【公開日】2022-03-18
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】森 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】松本 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】新村 雄三
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘明
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-042084(JP,A)
【文献】特開2017-108830(JP,A)
【文献】特開2015-047268(JP,A)
【文献】実開平05-009659(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
B05B 1/18
A47K 3/10
F15D 1/08
A47K 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方へ噴流を噴射する出口孔と、
前記出口孔へ液体を通流する通流路と、
前記出口孔の外側に設けられており、前記通流路からの液体を排出する排液孔と、
を備え
前記排液孔は、液体の流出口の外側へ向って液体を導く導液部を有する吐出装置。
【請求項2】
前記排液孔は、前方を臨むように形成されている請求項1に記載の吐出装置。
【請求項3】
前記出口孔から揺動噴射を発生する噴射流路を有する噴射部材を備える請求項1から2のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項4】
前記排液孔は、前記噴射流路の外部に流入口が設けられている請求項3に記載の吐出装置。
【請求項5】
前記噴射部材は、前後方向の軸回りに回転可能であり、
前記排液孔は、前記噴射部材において4箇所以上設けられている請求項3から4のいずれか1項に記載の吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、噴流を噴射する吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室設備等の衛生設備に噴流を噴射する吐出装置を組み込む場合がある。近年、噴流がユーザに付与する刺激を多様化する試みがなされている。この一例として、特許文献1には、第1ノズルと、第1ノズルよりも断面積が大きい拘束空間と、拘束空間の下流側に設けられ、拘束空間よりも断面積が小さい第2ノズルとを有し、第2ノズルを流れと直角方向に移動可能に構成した流れ方向制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平2-228921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、詳細を後述するように、吐出装置からの噴射を停止し、吐出装置内の液体が流れ出た状態において吐出装置内の液体の残留量を減少するうえで、特許文献1の開示技術に改良の余地があるとの認識を得た。
【0005】
本開示の目的の1つは、吐出装置内における液体の残留量を減少できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の吐出装置は、前方へ噴流を噴射する出口孔と、前記出口孔へ液体を通流する通流路と、前記出口孔の外側に設けられており、前記通流路からの液体を排出する排液孔と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の吐出システムを側方から見た構成図である。
図2】第1実施形態の吐出システムを上方から見た構成図である。
図3図1の吐出装置の外観斜視図である。
図4図1の吐出装置の側面断面図である。
図5】噴射部材の外観斜視図である。
図6】噴射部材の正面図である。
図7図6のA-A線による噴射部材の断面図である。
図8図6のB-B線による噴射部材の断面図である。
図9図8のC-C線で切断した噴射流路の一部の断面図である。
図10】カバーの側面断面図である。
図11】吐出装置の運転時における液体の流れを示す図である。
図12】吐出装置の停止時における液体の排出を示す図である。
図13】第2実施形態の吐出装置の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素の一部を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。本明細書で言及する構造及び形状には、言及している形状に厳密に一致する構造及び形状のみでなく、寸法誤差及び製造誤差等の誤差の分だけずれた構造及び形状も含まれる。本明細書での「接続」、「固定」、「取り付け」、「支持」とは、特に明示がない限り、言及している条件を二者が直接的に満たす場合の他に、他の部材を介して満たす場合も含む。
【0009】
(第1実施形態)図1図2を参照する。吐出装置10は衛生設備12に用いられる。本実施形態の衛生設備12は、浴室設備14であり、浴槽16を備える。浴室設備14は、この他にも、浴室壁、洗い場床等を備える。
【0010】
浴槽16は、吐出装置10から噴射される噴流Jを受けることができる槽体の一例となる。浴槽16は、平面視において、長方形状をなす。浴槽16は、底面部16aと、底面部16aの四周の端辺部から立ち上がる複数の側壁部16bとを備える。
【0011】
吐出装置10は、吐出システム18に用いられる。吐出システム18は、液体源20から吐出装置10に液体を供給する給液路22と、給液路22の途中に設けられるポンプ24と、ポンプ24を制御する制御部26とを備える。本実施形態の液体源20は、噴射対象の液体として浴槽水Wを貯留する浴槽16である。ポンプ24は、制御部26による制御のもと、液体源20から吸引した液体を圧送することによって、給液路22を通して吐出装置10に液体を供給する。
【0012】
吐出装置10は、給液路22を通して供給される液体を噴流Jとして噴射する。本実施形態の吐出装置10は、液体の単相流の噴流Jを噴射する。本実施形態の吐出装置10は、ポンプ24によって給液路22を循環する浴槽水Wを噴射する。本実施形態の噴流Jは、ユーザの身体、特に、浴槽16内において座位姿勢にあるユーザの背中及び腰の少なくとも何れかに背面側から当てることができる。これにより、ユーザにマッサージ効果を付与できる。
【0013】
図3を参照する。吐出装置10は、出口孔38を有する噴射部材30を備える。噴射部材30は、浴槽16内に臨み、出口孔38から前方へ噴流Jを噴射する。噴射部材30の周縁部はカバー70によって覆われている。液体の供給管40aおよび吸込管40bは、給液路22に接続されている。供給管40aから供給された液体は、吐出装置10の内部を通って噴射部材30の出口孔38から噴射される。吐出装置10は、カバー70に設けられた吸込口70aから浴槽16から液体を吸い込み、吸込管40bから給液路22へ液体を戻す。噴射部材30は、出口孔38の外側に排液孔39を有している。吐出装置10の内部に溜まった液体は、排液孔39から浴槽16へ排出される。
【0014】
吐出装置10は、液体に空気の気泡を混ぜて出口孔38から浴槽16へ噴射するようにしてもよい。この場合、吐出装置10は、吸気管40cから空気を取り入れ、供給管40aから供給される液体に混ぜ合わせる。吐出装置10は、液体に空気の気泡を混ぜ合わせるために、内部にエゼクター部分を備えるとよい。エゼクター部分は、公知の技術を用いることができる。以下の説明では、吐出装置10の内部にエゼクター部分を持たず、吸気管40cを閉塞して空気を取り入れない構成とした場合について説明する。
【0015】
図4を参照する。吐出装置10は、衛生設備12に設けられる壁状のベース28に取り付けられる。本実施形態のベース28は浴槽16の側壁部16bである。ベース28には、吐出装置10を取り付けるための貫通孔29が形成される。
【0016】
吐出装置10は、噴流Jを噴射する噴射部材30と、噴射部材30を支持する支持体41とを備える。噴射部材30には、噴流Jを噴射する噴射流路36が形成される。噴射流路36の下流側端部には出口孔38が形成される。
【0017】
本明細書では、浴槽16側を前側(図4の紙面左側)、それとは反対側を後側(図4の紙面右側)とする前後方向Xと、前後方向Xに直交する水平方向である左右方向Yとを用いて説明する。
【0018】
支持体41は、ベース28に取り付けられる。支持体41は、ベース28に固定される固定部材42と、固定部材42に嵌め合わされる管状部材43とを備える。固定部材42は、ベース28に対して厚み方向の片側に配置される外側部品44と、ベース28に対して外側部品44とは反対側に配置される内側部品46とを備える。
【0019】
外側部品44は、管状部材43が接続される内筒部48と、内側部品46が着脱可能に接続される外筒部50とを備える。内筒部48は、管状部材43を受けるとともに管状部材43を支持する受け部として機能する。
【0020】
内側部品46は、浴槽16の貫通孔29に挿入される筒状体であり、その内側には管状部材43が挿入される。内側部品46は、外側部品44の外筒部50にねじ構造52を介して接続される。内側部品46および外側部品44は、ベース28を挟み込むようにしてベース28に固定される。内側部品46の前端部は、外方向へ鍔状に延びるフランジ部46aを有する。内側部品46のフランジ部46aには、前方へ延びる筒状の突起部46bが形成されている。
【0021】
管状部材43の後端部は、筒状をなし、内筒部48に差し込まれて接続される接続部43aとなっている。接続部43aと内筒部48との間には、シール部材90が配置される。これらの間は、シール部材90によりシールされる。シール部材90は、ゴム等の弾性体である。管状部材43の前後方向Xにおける中途部は、接続部43aに連続し、前方へ向うにつれて拡径し、前側において一定の径となる部分を有している。
【0022】
管状部材43の前端部は、中途部に連続し、前方へ向うにつれて拡径している。管状部材43は、前端において外方向へ鍔状に延びるフランジ部43bを有する。フランジ部43bは、外縁で後方へ折り返されて、内側部品46の突起部46bに嵌め合わされている。フランジ部43bの後方へ折り返された部分には、浴槽16内の液体を吸い込む孔43cが形成されている。
【0023】
噴射部材30は、前端部において、円板状をなす蓋体31を有し、蓋体31に連続して後方へ延びる胴部32を有する。胴部32は、筒状をなし、後端部において管状部材43に接続される接続部32aを備える。胴部32の接続部32aは、管状部材43の前後方向Xにおける中途部に差し込まれる。噴射流路36は、蓋体31および胴部32の前端部側に形成される。胴部32の後端部側の内側には中継流路35が形成される。中継流路35は、噴射流路36に連続している。
【0024】
蓋体31は、外周につば状の被押さえ部31aを備える。被押さえ部31aは、環状の押さえ部材91によって管状部材43側に押し付けられ、噴射部材30の前後方向Xでの位置が固定される。噴射部材30は、固定部材42に対して前後方向の軸まわりに回転可能に支持されている。噴射部材30は、管状部材43に固定され、管状部材43とともに固定部材42に対して回転する。噴射部材30は、固定部材42に固定された管状部材43に対して回転するようにしてもよい。
【0025】
吐出装置10は、給液路22から供給される液体を噴射部材30に送る送り流路62と、浴槽16内から取り込んだ浴槽水Wを給液路22に戻す戻し流路64とを備える。送り流路62は、噴射部材30の出口孔38へ液体を通流する通流路となっている。送り流路62の下流側部分は、外側部品44の内筒部48の内部、および管状部材43の接続部43aの内部に形成される。戻し流路64は、管状部材43と内側部品46との間、および外側部品44の外筒部50と内筒部48の間に形成される。
【0026】
吐出装置10は、送り流路62に残留する液体を排出する排液流路65を備える。噴射部材30の胴部32における側面32bは、管状部材43の内側面から離れている。排液流路65は、噴射部材30の蓋体31の後方において胴部32の側面32bと管状部材43の内側面との間に形成される。胴部32の後端部側の側面32bは、管状部材43の内側面から僅かに離れており、胴部32の後端部側の側面32bと管状部材43の内側面との間の隙間が排液流路65の一部を形成する。胴部32の前端部側の側面32bは、後端部側より大きく管状部材43の内側面から離れており、胴部32の前端部側の側面32bと管状部材43の内側面との間の隙間が排液流路65の一部を形成する。排液流路65は、送り流路62および噴射流路36に連続している。
【0027】
図5図6を参照する。噴射部材30の蓋体31は、前後方向Xの前側から見て中央に出口孔38が設けられている。噴射部材30は、出口孔38の外側の8箇所に排液孔39を有している。排液孔39は、前後方向Xの前側から見て出口孔38を中心とする円周上に等間隔に設けられている。排液孔39は、前方を臨むように設けられており、浴槽16の内側からのアクセスが可能となっている。
【0028】
噴射部材30の胴部32は、側面32bの一部を穿つようにして中継流路35が形成されている。主として軽量化のため、胴部32の側面32bを穿つようにして凹所32cが設けられている。
【0029】
図7を参照する。排液孔39は、蓋体31を前後方向Xに貫通している。排液孔39の前端部には流出口39aが形成されており、流出口39aは前方へ向うにつれて拡径している。排液孔39の流出口39aに連続して導液部39bが形成されている。導液部39bは、蓋体31の表面を穿つようにして溝状に設けられている。導液部39bは、前後方向Xの前側から蓋体31を見て、流出口39aから外側へ延びるように設けられている。
【0030】
排液孔39の後端部には流入口39cが形成されている。流入口39cは、前後方向Xの前側から蓋体31を見て外側へ拡がるように、蓋体31の表面を穿いて形成されている。流入口39cは、排液流路65に臨むように設けられている。流入口39cは、噴射部材30における液体の揺動発生部分としての噴射流路36とは胴部32の壁によって隔てられ、噴射流路36の外部に設けられている。
【0031】
図8図9を参照する。噴射流路36には、給液路22からの液体が流入する主流路37と、主流路37内の液体を前方へ吐出する前述の出口孔38とが形成される。噴射流路36は、高さ方向Hに対向する一対の対向面37aと、幅方向Wに対向する一対の内側面37bとを備える。主流路37における前後方向Xに直交する断面は、幅寸法よりも高さ寸法が小さい長方形状となっている。図9に示す断面は、図8に示す断面図におけるC-C線による断面であるので、厳密には図中における下側半分であるが、理解の容易化のため上側半分も図示した。
【0032】
噴射部材30は、噴射流路36を有することによって揺動噴射を実行可能な流体素子として機能する。揺動噴射とは、噴流Jの噴射方向Daが平面内で揺動するように時間的に変化する噴射をいう。この揺動噴射によって、噴射部材30から波状の噴流Jが放射状に広がるように伝搬する。
【0033】
揺動噴射を実現するために、本実施形態の噴射部材30における噴射流路36は、給液路22から分岐した一対の入口流路37cと、一対の入口流路37cのそれぞれから流入する液体が合流する合流室37dとを備える。
【0034】
一対の入口流路37cは、中継流路35の下流に形成された第1壁部33の幅方向Wの両側に設けられる。噴射流路36は、合流室37d内にて下流側に向かう液体の流れを遮る第2壁部34を備える。第2壁部34には、出口孔38が形成される。
【0035】
図10を参照する。カバー70は、扁平な筒状であり、前側に孔部70bが設けられている。噴射部材30の蓋体31の前面は、孔部70bを通して浴槽16内に臨んでいる。蓋体31に設けられる出口孔38および排液孔39は、孔部70bを通して浴槽16内に臨んでいる。
【0036】
カバー70は、上述のように吸込口70aを有している。吸込口70aは、内側からメッシュ部材71によって覆われている。メッシュ部材71は、例えば線径0.25mmのステンレス製ワイヤを縦横に編んで網目状としたものである。メッシュ部材71の網目の一つ一つによって形成される複数の吸込孔71aは、網目の目開きを例えば1mm程度とすることで、それ以上の大きな異物が吐出装置10内へ吸い込まれることを防止する。
【0037】
噴射部材30に設けた排液孔39の内径寸法は、吸込孔71aの目開き寸法よりも大きくする。例えば、吸込孔71aを形成する網目の目開きを1mm程度とした場合に、排液孔39の内径寸法は1.2mm程度およびそれよりも大きい寸法のいずれかとする。排液孔39の内径寸法は、吸込孔71aの目開き寸法(1mm程度)に対して、2倍以上となる2.6mm程度の大きさとしてもよい。
【0038】
本実施形態の吐出装置10の運転時における動作について説明する。図11を参照する。本図では、主な液体の流れ方向として、送り流路62内での一部の液体の流れ方向62Aと、戻し流路64内での一部の液体の流れ方向64Aと、排液流路65内での一部の液体の流れ方向65Aとを示す。吐出装置10の運転時には、図2に示したポンプ24を作動させ、液体が給液路22から吐出装置10内部の送り流路62へ供給される。
【0039】
供給された液体は、吐出装置10内部の送り流路62の下流側にあたる中継流路35を通して噴射流路36へ送られる。噴射流路36では、揺動噴射が発生し、出口孔38から噴射する噴流Jの噴射方向が平面内で揺動する。吐出装置10は、カバー70の吸込口70aおよびメッシュ部材71の吸込孔71a(図10参照)を通して浴槽16から液体を吸い込み、給液路22へ液体を循環させる。
【0040】
吐出装置10は、噴流Jが揺動することによって、ユーザの身体に時間的に場所を変えて当たり、マッサージ効果を与えることができる。吐出装置10は、噴射部材30を回転させることで、ユーザの嗜好に応じて噴流Jの揺動する方向を変化させることができる。
【0041】
供給された液体の一部は、排液流路65にも流れ込み、排液孔39から吐出される。排液孔39は前方を臨むように形成されており、排液孔39から前方へ向って液体が噴射するので、吐出装置10は、出口孔38からの噴流Jを排液孔39からの液体の噴射によって後押しし、噴流Jの勢いを増すことができる。
【0042】
吐出装置10は、排液孔39に異物が詰まった場合でも、排液孔39が前方を臨むように形成されているので、針などを用いて異物を容易に除去することができる。
【0043】
図7に示すように排液孔39の流入口39cが、胴部32の壁によって噴射部材30における噴射流路36と隔てられ、噴射流路36の外部に設けられていることで、噴射流路36において発生する噴流Jの揺動への影響を抑制できる。
【0044】
吐出装置10の停止時における液体の排出について説明する。図12を参照する。本図では、排液流路65内での一部の液体の流れ方向65Aを示す。図2に示したポンプ24を停止し、浴槽16内の液体が排出されると、吐出装置10の送り流路62内の液体の一部は出口孔38を通って排出される。しかし、出口孔38の高さより下方における送り流路62内の液体は、出口孔38からは排出されない。
【0045】
排液孔39は、前後方向Xの前側から見て出口孔38の外側に設けられており、排液孔39を出口孔38よりも下側に位置させることで、出口孔38よりも低い位置にある液体を排出し、液体の残留量を減少できる。吐出装置10は、出口孔38よりも低い位置にある液体を出口孔38から排出することで、吐出装置10内の液体の残留量を減少させてバイオフィルムなどの菌汚れの発生を抑制できる。
【0046】
図6に示すように前後方向Xの前側から見て出口孔38を中心とする円周上に排液孔39を8箇所に設けることによって、噴射部材30を回転させた場合にも、いずれかの排液孔39を出口孔38よりも低く位置することになり、送り流路62内の液体の残留量を減少できる。噴射部材30が回転しない構成とした場合には、出口孔38の外側であって下方に設けるとよい。
【0047】
出口孔38を中心とする円周上の3箇所に排液孔39を設けることで、噴射部材30を回転させた場合に、いずれかの排液孔39を出口孔38よりも低く位置させることができる。しかし、噴射部材30の回転の角度位置によっては、排液孔39の位置が出口孔38の高さとあまり変わらず、液体の残留量を減少効果が限定的になる。吐出装置10は、出口孔38を中心とする円周上の4箇所以上に等間隔に排液孔39を設けることによって、送り流路62内における液体の残留量の減少効果が高められる。
【0048】
排液孔39は、図7に示すように液体の流出口39aの外側へ向って液体を導く導液部39bを有しており、流出口39aでの液体の表面張力によって流れが止まることを抑制できる。いずれかの排液孔39が出口孔38よりも低い位置にあるとき、その排液孔39における導液部39bは下方および斜め下方のいずれかを向くことになり、導液部39bを伝って液体が流出口39aから流れ落ちることになる。排液孔39の流入口39cは、外側へ拡がるように形成されており、排液孔39への液体の流入を促進できる。
【0049】
吐出装置10は、排液孔39の内径寸法を吸込孔71aの目開き寸法よりも大きくすることにより、給液路22に吸い込まれた異物を排液孔39から排出することができる。吐出装置10は、排液孔39の内径寸法を変化させることによって、噴射流路36側へ流す流量を調整することができる。吐出装置10は、噴射流路36側へ流す流量を調整することで、噴射流路36における液体の揺動の周波数を変え、噴射流路36で発生する音量を変えることができる。例えば、吸込孔71aを形成する網目の目開きを1mm程度とした場合に、排液孔39の内径寸法を1.2mm程度とする場合に比べて、2.6mm程度の大きさとした場合、噴射流路36への流量が減少し、噴射流路36で発生する音量を小さくできる。
【0050】
(第2実施形態)図13を参照する。第2実施形態の吐出装置10は、第1実施形態と同様に支持体41を有し、支持体41が管状部材43と固定部材42とで構成されている。固定部材42は、外側部品44と内側部品46とで構成されている。吐出装置10は第1実施形態と同様にカバー70を備える。カバー70の吸込口70aは、内側からメッシュ部材71によって覆われている(図10参照)。
【0051】
吐出装置10の内部には、送り流路62と戻し流路64が形成されており、給液路22にそれぞれ接続されている。本図に示す送り流路62における液体の流れ方向62A、および戻し流路64における液体の流れ方向64Aは、それぞれ第1実施形態におけるそれらと同等である。送り流路62には、エゼクター85が配置されており、吸気管40cから空気を取り入れることで気泡が混入した液体が生成される。吐出装置10は、第1実施形態と同様に、エゼクター85を設けない構成としてもよい。
【0052】
吐出装置10は、前方へ噴流Jを噴射する噴射部材80を備える。噴射部材80は、筒状をなし、前端部に出口孔38を、後端部に流入口81を有する。噴射部材80の後端部における外側面82は球面状であり、外側面82に接触する管状部材43の内側面43dも球面上に形成されている。噴射部材80は、外側面82を管状部材43の内側面43dで滑らせることによって、上下方向および左右方向に噴流Jの噴射方向を変化できる。噴射部材80は、前後方向の軸まわりに回転可能に支持されていてもよい。
【0053】
噴射部材80は、前後方向の前側から見て出口孔38の外側に排液孔39を有する。排液孔39は、前方を臨むように設けられており、流出口39aから外側へ向って延びる溝状の導液部39bを有する。排液孔39の流入口39cは、噴流Jを形成する壁部83に対して外側に位置しており、噴流Jの形成部分の外部に設けられている。
【0054】
排液孔39は、第1実施形態と同様に8箇所設けてもよいし、上述のように4箇所以上に設けてもよい。噴射部材80が回転しない構成とした場合には、出口孔38の外側であって下方に設けるとよい。
【0055】
第2実施形態の吐出装置10についても、排液孔39から前方へ向って液体が噴射するので、出口孔38からの噴流Jを排液孔39からの液体の噴射によって後押しし、噴流Jの勢いを増すことができる。排液孔39に異物が詰まった場合でも、排液孔39が前方を臨むように形成されているので、針などを用いて異物を容易に除去することができる。
【0056】
排液孔39の流入口39cが、噴流Jの形成部分の外部に設けられていることで、噴射流路36において形成する噴流Jへの影響を抑制できる。
【0057】
排液孔39は、前後方向Xの前側から見て出口孔38の外側に設けられており、排液孔39を出口孔38よりも下側に位置させることによって、吐出装置10内の液体の残留量を減少させてバイオフィルムなどの菌汚れの発生を抑制できる。
【0058】
排液孔39は、導液部39bを有していることで、流出口39aでの液体の表面張力によって流れが止まることを抑制できる。吐出装置10は、排液孔39の内径寸法をカバー70のメッシュ部材71における吸込孔71a(図10参照)の目開き寸法よりも大きくすることにより、給液路22に吸い込まれた異物を排液孔39から排出することができる。
【0059】
各構成要素の他の実施形態を説明する。
【0060】
衛生設備12の具体例は特に限定されず、たとえば、キッチン設備、洗面設備等でもよい。衛生設備12の槽体の具体例は特に限定されず、たとえば、キッチンシンク、手洗シンク等のシンクでもよい。
【0061】
浴室設備14は、少なくとも浴槽16を備えていればよく、浴室壁、洗い場床等はなくともよい。
【0062】
吐出システム18の液体源20は、浴槽16に限定されず、例えば、浴槽16とは別に設けられてもよい。液体源20は、衛生設備12が設置される建物の外部に設けられる上水道等の給水設備でもよい。この場合、吐出システム18は、給水設備から給水圧をかけた状態の水が給液路22に供給されるため、ポンプ24を備えなくともよい。
【0063】
送り流路62と戻し流路64は、共通する吐出装置10の内部に形成される例を説明した。これらは、戻し流路64は、浴槽16において吐出装置10とは異なる箇所に形成されてもよい。
【0064】
吐出装置10の具体例は特に限定されず、例えば、シャワー装置として用いられてもよい。
【0065】
吐出装置10は、ユーザの身体に当たるように噴流Jを噴射できればよく、その噴流Jがユーザに当たる位置は特に限定されない。たとえば、吐出装置10は、ユーザの身体に側面側から当たるように噴流Jを噴射してもよい。
【0066】
ベース28に対する支持体41の取付態様は、特に限定されない。
【0067】
揺動噴射を実行可能な流体素子の具体例は特に限定されない。例えば、カルマン渦を利用する流体素子が用いられてもよいし、コアンダ効果を利用する流体素子が用いられてもよい。
【0068】
導液部39bは、溝状に形成されるほか、段差、突起、リブなどによって形成されてもよい。
【0069】
以上、実施形態及び変形例を説明した。実施形態及び変形例を抽象化した技術的思想を理解するにあたり、その技術的思想は実施形態及び変形例の内容に限定的に解釈されるべきではない。前述した実施形態及び変形例は、いずれも具体例を示したものにすぎず、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0070】
以上の構成要素の任意の組み合わせも、実施形態及び変形例を抽象化した技術的思想の態様として有効である。たとえば、実施形態に対して他の実施形態の任意の説明事項を組み合わせてもよいし、変形例に対して実施形態及び他の変形例の任意の説明事項を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…吐出装置、30…噴射部材、36…噴射流路、38…出口孔、39…排液孔、39b…流出口、39b…導液部、39c…流入口、62…送り流路(通流路)。
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