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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240829BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20240829BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240829BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240829BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L21/60 301B
H01L23/12 J
H01L23/12 Q
H01L23/48 G
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020160625
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022053801
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】吉原 克彦
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/239771(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/169134(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/056666(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/105476(WO,A1)
【文献】特表2020-504459(JP,A)
【文献】特開2007-115946(JP,A)
【文献】国際公開第2016/030955(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 21/60
H01L 23/12
H01L 23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向を向く第1主面を有する第1配線層と、
前記厚さ方向において前記第1主面と同じ側を向く第2主面を有するとともに、前記厚さ方向に対して直交する第1方向において前記第1配線層から離れ第2配線層と、
前記厚さ方向において前記第1主面が向く側に設けられた第1主面電極を有するとともに、前記第1主面に接合された第1半導体素子と、
前記厚さ方向において前記第2主面が向く側に設けられた第2主面電極を有するとともに、前記第2主面に接合された第2半導体素子と、
前記第2主面電極に導通する第1端子と、
前記第1主面電極と前記第2主面とに接合された第1導電部材と、
前記第2主面電極と前記第1端子とに接合された第2導電部材と、を備え、
前記第1端子は、前記厚さ方向において前記第1主面が向く側に前記第1配線層から離れており
前記厚さ方向視て、前記第2導電部材は、前記第1配線層に重なっており、
前記第1端子は、前記第1方向において前記第1半導体素子に対して前記第2配線層とは反対側に位置する基部を有し、
前記厚さ方向に視て、前記基部は、前記第1配線層に重なっており、
前記第2導電部材は、前記基部に接合されている、半導体装置。
【請求項2】
前記厚さ方向において前記第1主面および前記第2主面の各々と同じ側を向く第3主面を有する基板をさらに備え、
前記第1配線層および前記第2配線層は、前記第3主面に接合されており、
前記厚さ方向に視て、前記基部は、前記基板に重なっており、
前記第1端子は、前記厚さ方向に視て前記基板よりも外方に位置しており、かつ前記基部につながる端子部を有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記厚さ方向に視て、前記第2導電部材は、前記第1半導体素子に重なっている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記厚さ方向に視て、前記第2導電部材は、前記第1導電部材に重なっている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
厚さ方向を向く第1主面を有する第1配線層と、
前記厚さ方向において前記第1主面と同じ側を向く第2主面を有するとともに、前記厚さ方向に対して直交する第1方向において前記第1配線層から離れた第2配線層と、
前記厚さ方向において前記第1主面および前記第2主面の各々と同じ側を向く第3主面を有するとともに、前記第3主面に前記第1配線層および前記第2配線層が接合された基板と、
前記厚さ方向において前記第1主面が向く側に設けられた第1主面電極を有するとともに、前記第1主面に接合された第1半導体素子と、
前記厚さ方向において前記第2主面が向く側に設けられた第2主面電極を有するとともに、前記第2主面に接合された第2半導体素子と、
前記第2主面電極に導通する第1端子と、
前記第1主面電極と前記第2主面とに接合された第1導電部材と、
前記第2主面電極と前記第1端子とに接合された第2導電部材と、を備え、
前記第1端子は、前記厚さ方向において前記第1主面が向く側に前記第1配線層から離れており
前記厚さ方向に視て、前記第2導電部材は、前記第1配線層に重なっており、
前記第1端子は、前記厚さ方向に視て前記基板よりも外方に位置する端子部と、前記端子部につながり、かつ前記厚さ方向に視て前記基板に重なる基部と、前記基部につながり、かつ前記厚さ方向に視て前記第1配線層に重なる延出部と、を有し、
前記基部は、前記第1方向において前記第1半導体素子に対して前記第2配線層とは反対側に位置しており、
前記延出部は、前記厚さ方向に視て前記第2半導体素子に向けて前記第1方向に沿って延びており、
前記第2導電部材は、前記延出部に接合されており、
前記厚さ方向に視て、前記第1半導体素子は、前記厚さ方向および前記第1方向の各々に対して直交する第2方向において互いに離れており、かつ各々が前記第1方向に沿って延びる一対の端縁を有し、
前記厚さ方向に視て、前記一対の端縁のうちのいずれかの延長線は、前記第2半導体素子に重なっており、
前記厚さ方向に視て、前記延出部は、前記一対の端縁のいずれかに重なっている、半導体装置。
【請求項6】
前記厚さ方向に沿って視て、前記第1導電部材は、前記延出部および前記第2導電部材の各々から離れている、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記厚さ方向に視て、前記延出部の前記第1方向における両端のうちの少なくともいずれかは、前記第1配線層よりも外方に位置する、請求項5または6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記厚さ方向に視て、前記延出部の前記第1方向における先端は、前記第1配線層と前記第2配線層との間に挟まれた前記基板の領域に重なっている、請求項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1配線層および前記第2配線層の各々の厚さは、前記基板の厚さよりも大である、請求項2ないし8のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1半導体素子は、前記厚さ方向において前記第1主面電極とは反対側に位置する第1裏面電極を有するとともに、前記第1配線層に導通しており、
前記第1裏面電極は、前記第1主面に接合されており、
前記第2半導体素子は、前記厚さ方向において前記第2主面電極とは反対側に位置する第2裏面電極を有するとともに、前記第2配線層に導通しており、
前記第2裏面電極は、前記第2主面に接合されている、請求項2ないし9のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1配線層に導通する第2端子をさらに備え、
前記厚さ方向に視て、前記第2端子は、前記第1端子から離れており、
前記端子部および前記第2端子の各々は、前記第1配線層および前記第2配線層に対して前記第1方向の一方側に位置する、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1配線層、前記第2配線層、前記第1半導体素子、前記第2半導体素子、前記第1導電部材および前記第2導電部材と、前記第1端子および前記第2端子の各々の一部と、を覆う封止樹脂をさらに備え、
前記第3主面は、前記封止樹脂に接している、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記基板は、前記厚さ方向において前記第3主面とは反対側を向く裏面を有し、
前記裏面に接合され、かつ前記封止樹脂から露出する放熱層をさらに備え、
前記裏面は、前記封止樹脂に接している、請求項12に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体素子を備える半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MOSFETやIGBTなどのスイッチング機能を有する複数の半導体素子を搭載した半導体装置が広く知られている。当該半導体装置は、主に電力変換に用いられる。特許文献1には、スイッチング機能を有する複数の半導体素子を搭載した半導体装置の一例が開示されている。当該半導体装置においては、絶縁基板の表面に複数の配線層(特許文献1では金属パターン4a,4b)が配置されている。さらに、当該半導体装置においては、絶縁基板の表面に複数の配線中継領域が配置されている。複数の配線中継領域の各々は、複数の配線層とともに、当該半導体装置の導電経路を構成している。
【0003】
このように、当該半導体装置においては、複数の配線中継領域の配置に伴い、当該装置の平面視における寸法が拡大される傾向となる。しかし、近年においては、当該半導体装置のさらなる小型化の要請が高まっているため、このような要請に応えるべく当該装置の改善について望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-158787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、装置の小型化を図ることが可能な半導体装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される半導体装置は、厚さ方向を向く第1主面を有する第1配線層と、前記厚さ方向において前記第1主面と同じ側を向く第2主面を有するとともに、前記厚さ方向に対して直交する第1方向において前記第1配線層から離れて位置する第2配線層と、前記厚さ方向において前記第1主面が向く側に設けられた第1主面電極を有するとともに、前記第1主面に接合された第1半導体素子と、前記厚さ方向において前記第2主面が向く側に設けられた第2主面電極を有するとともに、前記第2主面に接合された第2半導体素子と、前記第2主面電極に導通する第1端子と、前記第1主面電極と前記第2主面とに接合された第1導電部材と、前記第2主面電極と前記第1端子とに接合された第2導電部材と、を備え、前記第1端子は、前記厚さ方向において前記第1主面が向く側に前記第1配線層から離れて位置し、前記厚さ方向に沿って視て、前記第2導電部材が前記第1配線層に重なることを特徴としている。
【0007】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記第1端子が前記第1配線層に重なる。
【0008】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向において前記第1主面および前記第2主面と同じ側を向く第3主面を有する基板をさらに備え、前記第1配線層および前記第2配線層は、前記第3主面に接合されている。
【0009】
本発明の実施において好ましくは、前記第1配線層および前記第2配線層の各々の厚さは、前記基板の厚さよりも大である。
【0010】
本発明の実施において好ましくは、前記第1端子は、前記厚さ方向に沿って視て前記基板よりも外方に位置する端子部と前記端子部につながり、かつ前記厚さ方向に沿って視て前記基板に重なる基部と、を有し、前記基部は、前記第1方向において前記第1半導体素子に対して前記第2配線層とは反対側に位置する。
【0011】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記基部が前記第1配線層に重なり、前記第2導電部材は、前記基部に接合され、前記厚さ方向に沿って視て、前記第2導電部材が前記第1半導体素子に重なる。
【0012】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記第2導電部材が前記第1導電部材に重なる。
【0013】
本発明の実施において好ましくは、前記第1端子は、前記基部につながり、かつ前記厚さ方向に沿って視て前記第1配線層に重なる延出部を有し、前記延出部は、前記厚さ方向に沿って視て前記第2半導体素子に向けて前記第1方向に沿って延び、前記第2導電部材は、前記延出部に接合されている。
【0014】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記延出部の前記第1方向における両端の少なくともいずれかが、前記第1配線層よりも外方に位置する。
【0015】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記延出部の前記第1方向における先端が、前記第1配線層と前記第2配線層との間に挟まれた前記基板の領域に重なる。
【0016】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記第1半導体素子は、前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向において互いに離れて位置し、かつ前記第1方向に沿って延びる一対の端縁を有し、前記厚さ方向に沿って視て、前記一対の端縁のいずれかの当該端縁の延長線が、前記第2半導体素子に重なる。
【0017】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記延出部が前記一対の端縁のいずれかに重なる。
【0018】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記第1導電部材は、前記延出部および前記第2導電部材から離れて位置する。
【0019】
本発明の実施において好ましくは、前記第1半導体素子は、前記厚さ方向において前記第1主面電極とは反対側に位置する第1裏面電極を有するとともに、前記第1配線層に導通し、前記第1裏面電極は、前記第1主面に接合され、前記第2半導体素子は、前記厚さ方向において前記第2主面電極とは反対側に位置する第2裏面電極を有するとともに、前記第2配線層に導通し、前記第2裏面電極は、前記第2主面に接合されている。
【0020】
本発明の実施において好ましくは、前記第1配線層に導通する第2端子をさらに備え、前記厚さ方向に沿って視て、前記第2端子は、前記第1端子から離れて位置し、前記端子部および前記第2端子は、前記第1配線層および前記第2配線層に対して前記第1方向の一方側にともに位置する。
【0021】
本発明の実施において好ましくは、前記第1配線層、前記第2配線層、前記第1半導体素子、前記第2半導体素子、前記第1導電部材および前記第2導電部材と、前記第1端子および前記第2端子の各々の一部と、を覆う封止樹脂をさらに備え、前記第3主面が前記封止樹脂に接している。
【0022】
本発明の実施において好ましくは、前記基板は、前記厚さ方向において前記第3主面とは反対側を向く裏面を有し、前記裏面に接合され、かつ前記封止樹脂から露出する放熱層をさらに備え、前記裏面が前記封止樹脂に接している。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる半導体装置によれば、当該半導体装置の小型化を図ることが可能となる。
【0024】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の平面図である。
図2図1に対応する平面図であり、封止樹脂を透過している。
図3図2に対応する平面図であり、第1端子、および複数の第2導電部材をさらに透過している。
図4図1に示す半導体装置の底面図である。
図5図1に示す半導体装置の正面図である。
図6図1に示す半導体装置の左側面図である。
図7図2のVII-VII線に沿う断面図である。
図8図2のVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9図2のIX-IX線に沿う断面図である。
図10図2の部分拡大図である。
図11図7の部分拡大図である。
図12図7の部分拡大図である。
図13】本発明の第2実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
図14図13のXIV-XIV線に沿う断面図である。
図15図13のXV-XV線に沿う断面図である。
図16図13の部分拡大図である。
図17】本発明の第3実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
図18図17のXVIII-XVIII線に沿う断面図である。
図19図17のXIX-XIX線に沿う断面図である。XXIII-XXIII線に沿う断面図である。
【0026】
本発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。当該図面の各々は、模式的に描かれている。さらに当該図面の各々は、省略された部分および誇張された部分を含むことがある。
【0027】
〔第1実施形態〕
図1図12に基づき、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置A10について説明する。半導体装置A10は、第1配線層11、第2配線層12、基板13、複数の第1半導体素子21、複数の第2半導体素子22、第1端子31、第2端子32、第3端子33、複数の第1導電部材41、複数の第2導電部材42、第3導電部材43、第4導電部材44および封止樹脂60を備える。さらに半導体装置A10は、第1ゲート配線層141、第2ゲート配線層142、第1検出配線層151、第2検出配線層152、第1ゲート端子341、第2ゲート端子342、第1検出端子351、第2検出端子352、複数のゲートワイヤ51、複数の検出ワイヤ52、一対の第1ワイヤ53、および一対の第2ワイヤ54を備える。ここで、図2は、理解の便宜上、封止樹脂60を透過している。図3は、理解の便宜上、図2に対して第1端子31、および複数の第2導電部材42をさらに透過している。図2および図3では、透過した封止樹脂60を想像線(二点鎖線)で示している。図3では、透過した第1端子31を想像線で示している。図2において、VII-VII線、およびVIII-VIII線をそれぞれ一点鎖線で示している。
【0028】
半導体装置A10の説明においては、便宜上、第1配線層11および第2配線層12の各々の厚さ方向を「厚さ方向z」と呼ぶ。厚さ方向zに対して直交する方向を「第1方向x」と呼ぶ。厚さ方向zおよび第1方向xの双方に対して直交する方向を「第2方向y」と呼ぶ。
【0029】
半導体装置A10は、第1端子31および第2端子32に印加された直流の電源電圧を、複数の第1半導体素子21、および複数の第2半導体素子22により交流電力に変換する。変換された交流電力は、第3端子33からモータなどの電力供給対象に入力される。半導体装置A10は、たとえばインバータといった電力変換回路の一部をなす。
【0030】
第1配線層11は、図2図3図7および図8に示すように、複数の第1半導体素子21を搭載している。第1配線層11は、銅(Cu)または銅合金を含む材料からなる。厚さ方向zに沿って視て、第1配線層11は、第2方向yを長辺とし、かつ第1方向xにおいて第2端子32が位置する側が切り欠かれた矩形状である。第1配線層11は、厚さ方向zを向く第1主面111を有する。厚さ方向zに沿って視て、第1配線層11は、基板13の周縁よりも内方に位置する。
【0031】
第2配線層12は、図2図3図7および図8に示すように、複数の第2半導体素子22を搭載している。第2配線層12は、銅または銅合金を含む材料からなる。第2配線層12は、第1方向xにおいて第1配線層11から離れて位置する。厚さ方向zに沿って視て、第2配線層12は、第2方向yを長辺とし、かつ第1方向xにおいて第3端子33が位置する側が切り欠かれた矩形状である。第2配線層12は、厚さ方向zにおいて第1配線層11の第1主面111と同じ側を向く第2主面121を有する。厚さ方向zに沿って視て、第2配線層12は、基板13の周縁よりも内方に位置する。
【0032】
基板13は、図7に示すように、第1配線層11、第2配線層12、第1ゲート配線層141、第2ゲート配線層142、第1検出配線層151、第2検出配線層152、放熱層16および封止樹脂60を支持している。基板13は、電気絶縁性を有する。基板13は、たとえばセラミックス基板である。当該セラミックスの一例として、窒化アルミニウム(AlN)が挙げられる。基板13に用いられる材料は、熱伝導率が比較的大であるものが好ましい。基板13は、第3主面131および裏面132を有する。第3主面131は、厚さ方向zにおいて第1配線層11の第1主面111、および第2配線層12の第2主面121と同じ側を向く。第1配線層11および第2配線層12は、第3主面131に接合されている。裏面132は、厚さ方向zにおいて第3主面131とは反対側を向く。図7図9に示すように、第3主面131および裏面132の各々は、封止樹脂60に接している。
【0033】
放熱層16は、図7図9に示すように、基板13の裏面132に接合されている。放熱層16は、銅または銅合金を含む材料からなる。図4に示すように、厚さ方向zに沿って視て、放熱層16は、基板13の周縁よりも内方に位置する。厚さ方向zに沿って視て、放熱層16の面積は、第1配線層11および第2配線層12の各々の面積よりも大である。放熱層16は、後述する封止樹脂60の底面62から露出している。
【0034】
図11および図12に示すように、第1配線層11、第2配線層12および放熱層16の各々の厚さは、基板13の厚さよりも大である。
【0035】
複数の第1半導体素子21は、図2図3図7および図8に示すように、第1配線層11の第1主面111に接合されている。複数の第1半導体素子21は、いずれも同一の素子である。複数の第1半導体素子21の各々は、たとえばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。この他、複数の第1半導体素子21の各々は、MISFET(Metal-Insulator-Semiconductor Field-Effect Transistor)を含む電界効果トランジスタや、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のようなバイポーラトランジスタでもよい。複数の第1半導体素子21の各々は、化合物半導体基板を含む。当該化合物半導体基板の組成は、炭化ケイ素(SiC)を含む。この他、当該化合物半導体基板の組成は、窒化ガリウム(GaN)を含む場合でもよい。以下、半導体装置A10の説明においては、複数の第1半導体素子21の各々がnチャンネル型であり、かつ縦型構造のMOSFETである場合を対象とする。複数の第1半導体素子21は、第2方向yに沿って配列されている。
【0036】
図10および図11に示すように、複数の第1半導体素子21の各々は、第1裏面電極211、第1主面電極212および第1ゲート電極213を有する。複数の第1半導体素子21の各々において、第1裏面電極211は、第1配線層11の第1主面111に対向して設けられている。第1裏面電極211には、複数の第1半導体素子21のいずれかにより変換される電力に対応する電流が流れる。すなわち、第1裏面電極211は、当該第1半導体素子21のドレイン電極に相当する。複数の第1半導体素子21の各々の第1裏面電極211は、接合層29により第1主面111に接合されている。接合層29は、導電性を有する。接合層29は、たとえば鉛フリーハンダである。この他、接合層29は、銀(Ag)などを含む焼結金属でもよい。これにより、複数の第1半導体素子21の各々の第1裏面電極211は、第1配線層11に導通している。
【0037】
図10および図11に示すように、複数の第1半導体素子21の各々において、第1主面電極212は、厚さ方向zにおいて第1配線層11の第1主面111が向く側に設けられている。したがって、複数の第1半導体素子21の各々において、第1裏面電極211および第1主面電極212は、厚さ方向zにおいて互いに反対側に位置する。第1主面電極212には、複数の第1半導体素子21のいずれかにより変換された電力に対応する電流が流れる。すなわち、第1主面電極212は、当該第1半導体素子21のソース電極に相当する。第1主面電極212は、複数の金属めっき層を含む。第1主面電極212は、ニッケル(Ni)めっき層と、当該ニッケルめっき層の上に積層された金(Au)めっき層を含む。この他、第1主面電極212は、ニッケルめっき層と、当該ニッケルめっき層の上に積層されたパラジウム(Pd)めっき層と、当該パラジウムめっき層の上に積層された金めっき層を含む場合でもよい。
【0038】
図10および図11に示すように、複数の第1半導体素子21の各々において、第1ゲート電極213は、厚さ方向zにおいて第1主面電極212と同じ側に設けられている。第1ゲート電極213には、複数の第1半導体素子21のいずれかが駆動するためのゲート電圧が印加される。複数の第1半導体素子21の各々においては、当該ゲート電圧に基づき、第1裏面電極211に印加された電圧に対応する電流を変換する。図10に示すように、厚さ方向zに沿って視て、第1ゲート電極213の面積は、第1主面電極212の面積よりも小である。
【0039】
複数の第2半導体素子22は、図2図3図7および図8に示すように、第2配線層12の第2主面121に接合されている。複数の第2半導体素子22の各々は、複数の第1半導体素子21のいずれかと同一の素子である。したがって、半導体装置A10においては、複数の第2半導体素子22の各々はMOSFETである。複数の第2半導体素子22は、第2方向yに沿って配列されている。
【0040】
図10および図12に示すように、複数の第2半導体素子22の各々は、第2裏面電極221、第2主面電極222および第2ゲート電極223を有する。複数の第2半導体素子22の各々において、第2裏面電極221は、第2配線層12の第2主面121に対向して設けられている。第2裏面電極221には、複数の第2半導体素子22のいずれかにより変換される電力に対応する電流が流れる。すなわち、第2裏面電極221は、当該第2半導体素子22のドレイン電極に相当する。複数の第2半導体素子22の各々の第2裏面電極221は、接合層29により第2主面121に接合されている。これにより、複数の第2半導体素子22の各々の第2裏面電極221は、第2配線層12に導通している。
【0041】
図10および図12に示すように、複数の第2半導体素子22の各々において、第2主面電極222は、厚さ方向zにおいて第2配線層12の第2主面121が向く側に設けられている。したがって、複数の第2半導体素子22の各々において、第2裏面電極221および第2主面電極222は、厚さ方向zにおいて互いに反対側に位置する。第2主面電極222には、複数の第2半導体素子22のいずれかにより変換された電力に対応する電流が流れる。すなわち、第2主面電極222は、当該第2半導体素子22のソース電極に相当する。第2主面電極222は、複数の第1半導体素子21の各々の第1主面電極212と同じく複数の金属めっき層を含む。当該複数の金属めっき層の構成は、複数の第1半導体素子21の各々の第1主面電極212に含まれる複数の金属めっき層の構成と同一である。
【0042】
図10および図12に示すように、複数の第2半導体素子22の各々において、第2ゲート電極223は、厚さ方向zにおいて第2主面電極222と同じ側に設けられている。第2ゲート電極223には、複数の第2半導体素子22のいずれかが駆動するためのゲート電圧が印加される。複数の第2半導体素子22の各々においては、当該ゲート電圧に基づき、第2裏面電極221に印加された電圧に対応する電流を変換する。図10に示すように、厚さ方向zに沿って視て、第2ゲート電極223の面積は、第2主面電極222の面積よりも小である。
【0043】
第1ゲート配線層141は、図2図3および図7に示すように、基板13の第3主面131に接合されている。第1ゲート配線層141は、複数の第1半導体素子21の各々の第1ゲート電極213に導通している。厚さ方向zに沿って視て、第1ゲート配線層141は、第1配線層11が切り欠かれた部分に位置する。第1ゲート配線層141は、第2方向yに沿って延びている。第1ゲート配線層141は、銅または銅合金を含む材料からなる。
【0044】
第1ゲート端子341は、図2および図3に示すように、基板13に対して第2方向yの一方側に位置する。第1ゲート端子341は、第1ゲート配線層141に導通している。第1ゲート端子341は、銅または銅合金を含む材料からなる金属リードである。図1および図9に示すように、第1ゲート端子341の一部は封止樹脂60に覆われている。第1方向xに沿って視て、第1ゲート端子341はL字状である。図5に示すように、第1ゲート端子341は、厚さ方向zに起立した部分を含む。当該部分は、封止樹脂60から露出している。第1ゲート端子341には、複数の第1半導体素子21の各々が駆動するためのゲート電圧が印加される。
【0045】
第2ゲート配線層142は、図2図3および図7に示すように、基板13の第3主面131に接合されている。第2ゲート配線層142は、複数の第2半導体素子22の各々の第2ゲート電極223に導通している。厚さ方向zに沿って視て、第2ゲート配線層142は、第2配線層12が切り欠かれた部分に位置する。第2ゲート配線層142は、第2方向yに沿って延びている。第2ゲート配線層142は、銅または銅合金を含む材料からなる。
【0046】
第2ゲート端子342は、図2および図3に示すように、基板13に対して第2方向yにおいて第1ゲート端子341と同じ側に位置する。第2ゲート端子342は、第2ゲート配線層142に導通している。第2ゲート端子342は、銅または銅合金を含む材料からなる金属リードである。図1に示すように、第2ゲート端子342の一部は封止樹脂60に覆われている。第1方向xに沿って視て、第2ゲート端子342はL字状である。図5に示すように、第2ゲート端子342は、厚さ方向zに起立した部分を含む。当該部分は、封止樹脂60から露出している。第2ゲート端子342には、複数の第2半導体素子22の各々が駆動するためのゲート電圧が印加される。
【0047】
一対の第1ワイヤ53は、図2および図3に示すように、第1ゲート端子341および第2ゲート端子342と、第1ゲート配線層141および第2ゲート配線層142とに個別に接合されている。これにより、第1ゲート端子341は、第1ゲート配線層141に導通し、かつ第2ゲート端子342は、第2ゲート配線層142に導通している。一対の第1ワイヤ53の各々の組成は、金を含む。この他、一対の第1ワイヤ53の各々の組成は、銅を含む場合や、アルミニウム(Al)を含む場合でもよい。
【0048】
第1検出配線層151は、図2図3および図7に示すように、基板13の第3主面131に接合されている。第1検出配線層151は、複数の第1半導体素子21の各々の第1主面電極212に導通している。厚さ方向zに沿って視て、第1検出配線層151は、第1配線層11が切り欠かれた部分に位置し、かつ第1方向xにおいて第1ゲート配線層141の隣に位置する。第1検出配線層151は、第2方向yに沿って延びている。第1検出配線層151は、銅または銅合金を含む材料からなる。
【0049】
第1検出端子351は、図2および図3に示すように、基板13に対して第2方向yにおいて第1ゲート端子341と同じ側に位置し、かつ第1方向xにおいて第1ゲート端子341の隣に位置する。第1検出端子351は、第1検出配線層151に導通している。第1検出端子351は、銅または銅合金を含む材料からなる金属リードである。図1に示すように、第1検出端子351の一部は封止樹脂60に覆われている。第1方向xに沿って視て、第1検出端子351はL字状である。図5に示すように、第1検出端子351は、厚さ方向zに起立した部分を含む。当該部分は、封止樹脂60から露出している。第1検出端子351には、複数の第1半導体素子21の第1主面電極212に流れる電流に対応する電圧が印加される。
【0050】
第2検出配線層152は、図2図3および図7に示すように、基板13の第3主面131に接合されている。第2検出配線層152は、複数の第2半導体素子22の各々の第2主面電極222に導通している。厚さ方向zに沿って視て、第2検出配線層152は、第2配線層12が切り欠かれた部分に位置し、かつ第1方向xにおいて第2ゲート配線層142の隣に位置する。第2検出配線層152は、第2方向yに沿って延びている。第2検出配線層152は、銅または銅合金を含む材料からなる。
【0051】
第2検出端子352は、図2および図3に示すように、基板13に対して第2方向yにおいて第2ゲート端子342と同じ側に位置し、かつ第1方向xにおいて第2ゲート端子342の隣に位置する。第2検出端子352は、第2検出配線層152に導通している。第2検出端子352は、銅または銅合金を含む材料からなる金属リードである。図1に示すように、第2検出端子352の一部は封止樹脂60に覆われている。第1方向xに沿って視て、第2検出端子352はL字状である。図5に示すように、第2検出端子352は、厚さ方向zに起立した部分を含む。当該部分は、封止樹脂60から露出している。第2検出端子352には、複数の第2半導体素子22の第2主面電極222に流れる電流に対応する電圧が印加される。
【0052】
一対の第2ワイヤ54は、図2および図3に示すように、第1検出端子351および第2検出端子352と、第1検出配線層151および第2検出配線層152とに個別に接合されている。これにより、第1検出端子351は、第1検出配線層151に導通し、かつ第2検出端子352は、第2検出配線層152に導通している。一対の第2ワイヤ54の各々の組成は、金を含む。この他、一対の第2ワイヤ54の各々の組成は、銅を含む場合や、アルミニウムを含む場合でもよい。
【0053】
第1端子31は、図7および図9に示すように、厚さ方向zにおいて第1主面111が向く側に第1配線層11から離れて位置する。第1端子31は、複数の第2半導体素子22の各々の第2主面電極222に導通している。第1端子31は、銅または銅合金を含む材料からなる金属板である。図2に示すように、厚さ方向zに沿って視て、第1端子31は、第1配線層11に重なっている。
【0054】
図1図7(ただし、図3を除く。)に示すように、第1端子31は、端子部311および基部312を有する。端子部311は、厚さ方向zに沿って視て基板13よりも外方に位置する。端子部311は、第1配線層11および第2配線層12に対して第1方向xの一方側に位置する。端子部311の一部は封止樹脂60に覆われている。端子部311は、厚さ方向zに貫通する第1取付け孔31Aを有する。第1取付け孔31Aは、封止樹脂60から露出している。端子部311は、電力変換対象となる直流の電源電圧が印加されるN端子(負極)である。
【0055】
図1図2図4および図7に示すように、基部312は、端子部311につながり、かつ厚さ方向zに沿って視て基板13に重なっている。基部312は、第1方向xにおいて複数の第1半導体素子21に対して第2配線層12とは反対側に位置する。厚さ方向zに沿って視て、基部312は、第2方向yを長辺とする矩形状である。基部312は封止樹脂60に覆われている。半導体装置A10においては、厚さ方向zに沿って視て、基部312が第1配線層11、第1ゲート配線層141および第1検出配線層151に重なっている。
【0056】
第2端子32は、図1図4に示すように、厚さ方向z沿って視て第1端子31から第2方向yに離れて位置する。第2端子32は、第1配線層11および第2配線層12に対して第1方向xの一方側に位置する。すなわち、第2端子32は、第1配線層11および第2配線層12に対して第1方向xにおいて第1端子31の端子部311と同じ側に位置する。第2端子32は、第1配線層11に導通している。第2端子32は、銅または銅合金を含む材料からなる金属板である。第2端子32の一部は封止樹脂60に覆われている。第2端子32は、厚さ方向zに貫通する第2取付け孔32Aを有する。第2取付け孔32Aは、封止樹脂60から露出している。第2端子32は、電力変換対象となる直流の電源電圧が印加されるP端子(正極)である。
【0057】
第3導電部材43は、図2図3および図8に示すように、第2端子32と、第1配線層11の第1主面111とに接合されている。これにより、第2端子32は、第1配線層11に導通している。さらに、半導体装置A10においては、複数の第1半導体素子21の各々の第1裏面電極211は、第1配線層11および第3導電部材43を介して第2端子32に導通している。半導体装置A10においては、第3導電部材43は複数のワイヤから構成される。当該複数のワイヤの各々の組成は、銅またはアルミニウムを含む。この他、第3導電部材43は、金属クリップでもよい。
【0058】
第3端子33は、図1図3図7および図8に示すように、第1配線層11および第2配線層12に対して第1方向xの他方側に位置する。すなわち、第3端子33は、第1配線層11および第2配線層12に対して、第1方向xにおいて第1端子31の端子部311、および第2端子32とは反対側に位置する。第3端子33は、第2配線層12に導通している。第3端子33は、銅または銅合金を含む材料からなる金属板である。第3端子33の一部は封止樹脂60に覆われている。第3端子33は、厚さ方向zに貫通する第3取付け孔33Aを有する。第3取付け孔33Aは、封止樹脂60から露出している。第3端子33から、複数の第1半導体素子21、および複数の第2半導体素子22により変換された交流電力が出力される。
【0059】
第4導電部材44は、図2図3および図8に示すように、第3端子33と、第2配線層12の第2主面121とに接合されている。これにより、第3端子33は、第2配線層12に導通している。さらに、半導体装置A10においては、複数の第2半導体素子22の各々の第2裏面電極221は、第2配線層12および第4導電部材44を介して第3端子33に導通している。半導体装置A10においては、第4導電部材44は複数のワイヤから構成される。当該複数のワイヤの各々の組成は、銅またはアルミニウムを含む。この他、第4導電部材44は、金属クリップでもよい。
【0060】
複数の第1導電部材41の各々は、図2図3図10および図11に示すように、複数の第1半導体素子21のいずれかの第1主面電極212と、第2配線層12の第2主面121とに接合されている。これにより、複数の第1半導体素子21の各々の第1主面電極212は、第2配線層12に導通している。厚さ方向zに沿って視て、複数の第1導電部材41の各々は、第1方向xに沿って延びている。半導体装置A10においては、複数の第1導電部材41の各々は、複数のワイヤから構成される。当該複数のワイヤの各々の組成は、銅またはアルミニウムを含む。この他、複数の第1導電部材41の各々は、金属リードでもよい。
【0061】
複数の第2導電部材42の各々は、図2図3図10および図12に示すように、複数の第2半導体素子22のいずれかの第2主面電極222と、第1端子31とに接合されている。半導体装置A10においては、複数の第2導電部材42の各々は、第1端子31の基部312に接合されている。これにより、複数の第2半導体素子22の各々の第2主面電極222は、第1端子31に導通している。厚さ方向zに沿って視て、複数の第2導電部材42の各々は、第1配線層11に重なっている。半導体装置A10においては、厚さ方向zに沿って視て、複数の第2導電部材42の各々は、第1方向xに沿って延びるとともに、複数の第1半導体素子21のいずれかと、複数の第1導電部材41のいずれかとに重なっている。半導体装置A10においては、複数の第2導電部材42の各々は、複数のワイヤから構成される。当該複数のワイヤの各々の組成は、銅またはアルミニウムを含む。この他、複数の第2導電部材42の各々は、金属リードでもよい。
【0062】
複数のゲートワイヤ51のいくつかの各々は、図2図3および図10に示すように、複数の第1半導体素子21のいずれかの第1ゲート電極213と、第1ゲート配線層141とに接合されている。これにより、複数の第1半導体素子21の各々の第1ゲート電極213は、第1ゲート配線層141に導通するとともに、一対の第1ワイヤ53の一方を介して第1ゲート端子341に導通している。さらに、複数のゲートワイヤ51の残りの各々は、図2図3および図10に示すように、複数の第2半導体素子22のいずれかの第2ゲート電極223と、第2ゲート配線層142とに接合されている。これにより、複数の第2半導体素子22の各々の第2ゲート電極223は、第2ゲート配線層142に導通するとともに、一対の第1ワイヤ53の他方を介して第2ゲート端子342に導通している。複数のゲートワイヤ51の各々の組成は、金を含む。この他、複数のゲートワイヤ51の各々の組成は、アルミニウムを含む場合や、銅を含む場合でもよい。
【0063】
複数の検出ワイヤ52のいくつかの各々は、図2図3および図10に示すように、複数の第1半導体素子21のいずれかの第1主面電極212と、第1検出配線層151とに接合されている。これにより、複数の第1半導体素子21の各々の第1主面電極212は、第1検出配線層151に導通するとともに、一対の第2ワイヤ54の一方を介して第1検出端子351に導通している。さらに、複数の検出ワイヤ52の残りの各々は、図2図3および図10に示すように、複数の第2半導体素子22のいずれかの第2主面電極222と、第2検出配線層152とに接合されている。これにより、複数の第2半導体素子22の各々の第2主面電極222は、第2検出配線層152に導通するとともに、一対の第2ワイヤ54の他方を介して第2検出端子352に導通している。複数の検出ワイヤ52の各々の組成は、金を含む。この他、複数の検出ワイヤ52の各々の組成は、アルミニウムを含む場合や、銅を含む場合でもよい。
【0064】
封止樹脂60は、図1、および図7図9に示すように、第1配線層11、第2配線層12、基板13、第1ゲート配線層141、第2ゲート配線層142、第1検出配線層151、第2検出配線層152、複数の第1半導体素子21、複数の第2半導体素子22、複数の第1導電部材41、複数の第2導電部材42、第3導電部材43および第4導電部材44を覆っている。さらに封止樹脂60は、放熱層16、第1端子31、第2端子32、第3端子33、第1ゲート端子341、第2ゲート端子342、第1検出端子351および第2検出端子352の各々の一部を覆っている。封止樹脂60は、電気絶縁性を有する。封止樹脂60は、たとえば黒色のエポキシ樹脂を含む材料からなる。
【0065】
図1図4、および図5図9に示すように、封止樹脂60は、頂面61、底面62、および一対の側面63を有する。頂面61は、厚さ方向zにおいて基板13の第3主面131と同じ側を向く。頂面61の面積は、第3主面131の面積よりも大である。底面62は、厚さ方向zにおいて頂面61とは反対側を向く。放熱層16の封止樹脂60からの露出部は、底面62から厚さ方向zに向けて突出している。一対の側面63は、第1方向xにおいて互いに離れて位置し、かつ頂面61および底面62につながっている。一対の側面63のうち一方の当該側面63から、第1端子31の端子部311、および第2端子32が露出している。一対の側面63のうち他方の当該側面63から、第3端子33が露出している。
【0066】
次に、半導体装置A10の作用効果について説明する。
【0067】
半導体装置A10は、第1主面111を有する第1配線層11と、第2主面121を有する第2配線層12と、第1主面電極212を有するとともに、第1主面111に接合された第1半導体素子21と、第2主面電極222を有するとともに、第2主面121に接合された第2半導体素子22とを備える。さらに半導体装置A10は、第2主面電極222に導通する第1端子31と、第1主面電極212と第2主面121とに接合された第1導電部材41と、第2主面電極222と第1端子31とに接合された第2導電部材42とを備える。第1端子31は、厚さ方向zにおいて第1主面111が向く側に第1配線層11から離れて位置する。厚さ方向zに沿って視て、第2導電部材42が第1配線層11に重なっている。これにより、半導体装置A10においては、第1端子31および第2導電部材42が、第1配線層11に対して厚さ方向zにおいて第1主面111が向く側に配置された構成となる。このため、半導体装置A10の平面視(厚さ方向zに沿った視点)における寸法の縮小を図ることができる。したがって、半導体装置A10によれば、当該装置の小型化を図ることが可能となる。
【0068】
厚さ方向zに沿って視て、第1端子31(半導体装置A10では基部312)が第1配線層11に重なっている。これにより、半導体装置A10には、第1配線層11および第1端子31に起因した相互インダクタンスが発生する。当該相互インダクタンスにより、第1配線層11にかかるインダクタンスが低減される。したがって、第1配線層11における電力損失を抑制することができる。
【0069】
厚さ方向zに沿って視て、第2導電部材42が第1半導体素子21に重なっている。このことは、半導体装置A10の第2方向yにおける寸法の縮小に寄与する。さらに厚さ方向zに沿って視て、第2導電部材42が第1導電部材41に重なっている。これにより、半導体装置A10には、第1導電部材41および第2導電部材42に起因した相互インダクタンスが発生する。当該相互インダクタンスにより、第1導電部材41にかかるインダクタンスが低減される。したがって、第1半導体素子21から第2配線層12に至る電力損失を抑制することができる。
【0070】
半導体装置A10は、封止樹脂60をさらに備える。封止樹脂60は、第1半導体素子21、第2半導体素子22、第1半導体素子21、第2半導体素子22、第1導電部材41および第2導電部材42と、第1端子31の一部とを覆っている。これにより、半導体装置A10の絶縁耐圧の確保を図りつつ、第1端子31が封止樹脂60に保持された構成となる。
【0071】
基板13の第3主面131および裏面132の双方は、封止樹脂60に接している。これにより、基板13が封止樹脂60から厚さ方向zに脱落することを防止できる。さらに、半導体装置A10は、裏面132に接合された放熱層16を備える。放熱層16は、封止樹脂60から露出している。これにより、半導体装置A10の放熱性の向上を図ることができる。
【0072】
第1配線層11および第2配線層12の各々の厚さは、基板13の厚さよりも大である。これにより、第1配線層11および第2配線層12の各々において、厚さ方向zに対して直交する方向における熱伝導効率を向上させることができる。このことは、半導体装置A10の放熱性の向上に寄与する。
【0073】
〔第2実施形態〕
図13図16に基づき、本発明の第2実施形態にかかる半導体装置A20について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一、または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、図13は、理解の便宜上、封止樹脂60を透過している。図13では、透過した封止樹脂60を想像線で示している。図13において、XIV-XIV線を一点鎖線で示している。
【0074】
半導体装置A20においては、第1端子31、複数の第2半導体素子22、および複数の第2導電部材42の構成が、先述した半導体装置A10の当該構成と異なる。
【0075】
図13図16に示すように、半導体装置A20においては、第1端子31は、複数の延出部313をさらに有する。複数の延出部313の各々は、基部312につながり、かつ第2方向yに沿って配列されている。厚さ方向zに沿って視て、複数の延出部313の各々は、基部312から複数の第2半導体素子22のいずれかに向けて第1方向xに沿って延びている。複数の第2導電部材42は、複数の延出部313に対して個別に接合されている。半導体装置A20においては、厚さ方向zに沿って視て、基部312、および複数の延出部313が第1配線層11に重なっている。厚さ方向zに沿って視て、さらに基部312が第1ゲート配線層141および第1検出配線層151に重なっている。
【0076】
図13に示すように、複数の延出部313の各々の第1方向xにおける両端の少なくともいずれかが、第1配線層11よりも外方に位置する。半導体装置A20においては、複数の延出部313の各々の第1方向xにおける両端のうち、基部312から離れて位置する一端が、第1配線層11よりも外方に位置する。図16に示すように、当該一端を先端313Aと呼ぶ。厚さ方向zに沿って視て、複数の延出部313の各々の先端313Aが、第1配線層11と第2配線層12との間に挟まれた基板13の領域13Aに重なっている。
【0077】
図16に示すように、複数の第1半導体素子21の各々は、一対の端縁21Aをさらに有する。厚さ方向zに沿って視て、一対の端縁21Aは、第2方向yにおいて互いに離れて位置し、かつ第1方向xに沿って延びている。厚さ方向zに沿って視て、一対の端縁21Aのいずれかの当該端縁21Aの延長線が、第2半導体素子22に重なっている。これにより、半導体装置A20においては、複数の第1半導体素子21、および複数の第2半導体素子22が第2方向yにおいて千鳥配置された構成となっている。
【0078】
図16に示すように、厚さ方向zに沿って視て、第1端子31の複数の延出部313の各々が、複数の第1半導体素子21の各々の一対の端縁21Aのいずれかに重なっている。すなわち、複数の延出部313の各々は、複数の第1半導体素子21のいずれかに重なっている。
【0079】
図13に示すように、厚さ方向zに沿って視て、複数の第1導電部材41の各々は、第1端子31の複数の延出部313、および複数の第2導電部材42から離れて位置する。厚さ方向zに沿って視て、複数の第2導電部材42の各々は、第1方向xに対して傾斜している。
【0080】
次に、半導体装置A20の作用効果について説明する。
【0081】
半導体装置A20は、第1主面111を有する第1配線層11と、第2主面121を有する第2配線層12と、第1主面電極212を有するとともに、第1主面111に接合された第1半導体素子21と、第2主面電極222を有するとともに、第2主面121に接合された第2半導体素子22とを備える。さらに半導体装置A20は、第2主面電極222に導通する第1端子31と、第1主面電極212と第2主面121とに接合された第1導電部材41と、第2主面電極222と第1端子31とに接合された第2導電部材42とを備える。第1端子31は、厚さ方向zにおいて第1主面111が向く側に第1配線層11から離れて位置する。厚さ方向zに沿って視て、第2導電部材42が第1配線層11に重なっている。したがって、半導体装置A20によっても、当該装置の小型化を図ることが可能となる。
【0082】
半導体装置A20においては、第1端子31は、基部312につながり、かつ厚さ方向zに沿って視て第1配線層11に重なる延出部313を有する。延出部313は、厚さ方向zに沿って視て第2半導体素子22に向けて第1方向xに沿って延びている。第2導電部材42は、延出部313に接合されている。これにより、第2導電部材42の延長が半導体装置A10の場合と比較して小となる。さらに、延出部313の第1方向xに対する横断面積を、第2導電部材42が延びる方向に対する横断面積よりも大とすることによって、半導体装置A10の寄生抵抗の低減を図ることが可能となる。あわせて、第1配線層11および第1端子31に起因した相互インダクタンスが、より大となるため、第1配線層11にかかるインダクタンスがより低減される。したがって、第1配線層11における電力損失をより効果的に抑制することができる。
【0083】
厚さ方向zに沿って視て、第1端子31の延出部313の第1方向xにおける先端313Aが、第1配線層11と第2配線層12との間に挟まれた基板13の領域13Aに重なっている(図16参照)。これにより、半導体装置A10の製造工程において、厚さ方向zにおいて基板13の領域13Aと、延出部313の先端313Aとの間に挟まれた空間にスペーサを配置することができる。したがって、延出部313に第2導電部材42を接合する際、延出部313の厚さ方向zの変位(たわみ)が低減されるため、延出部313に対する第2導電部材42の接合強度を確保することができる。
【0084】
半導体装置A20においては、第1半導体素子21は、一対の端縁21Aをさらに有する。厚さ方向zに沿って視て、一対の端縁21Aは、一対の端縁21Aのいずれかの当該端縁21Aの延長線が、第2半導体素子22に重なっている。これにより、厚さ方向zに沿って視て、延出部313と第2半導体素子22との最小間隔を、より小とすることができる。これにより、第2導電部材42の延長がより小となる。
【0085】
厚さ方向zに沿って視て、第1端子31の延出部313が、第1半導体素子21の一対の端縁21Aのいずれかに重なっている。これにより、延出部313の配置に起因した半導体装置A10の第1方向xにおける寸法の拡大を抑制することができる。
【0086】
半導体装置A20においては、厚さ方向zに沿って視て、第1導電部材41は、延出部313および第2導電部材42から離れて位置する。これにより、半導体装置A20の製造工程において、第1端子31の延出部313に第2導電部材42を接合した後に、第2導電部材42との干渉を回避しつつ、第1半導体素子21の第1主面電極212に第1導電部材41を接合することができる。
【0087】
〔第3実施形態〕
図17図19に基づき、本発明の第3実施形態にかかる半導体装置A30について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一、または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、図17は、理解の便宜上、封止樹脂60を透過している。図17では、透過した封止樹脂60を想像線で示している。図17において、XVIII-XVIII線を一点鎖線で示している。
【0088】
半導体装置A20においては、第1端子31の構成が、先述した半導体装置A20の当該構成と異なる。
【0089】
図17に示すように、半導体装置A30においては、第1端子31の複数の延出部313の各々の第1方向xにおける両端が、第1配線層11よりも外方に位置する。このため半導体装置A30においては、厚さ方向zに沿って視て、複数の延出部313が第1配線層11および第1ゲート配線層141に重なっている(図19参照)。基部312は、厚さ方向zに沿って視て第1検出配線層151に重なっている(図18参照)。
【0090】
次に、半導体装置A30の作用効果について説明する。
【0091】
半導体装置A30は、第1主面111を有する第1配線層11と、第2主面121を有する第2配線層12と、第1主面電極212を有するとともに、第1主面111に接合された第1半導体素子21と、第2主面電極222を有するとともに、第2主面121に接合された第2半導体素子22とを備える。さらに半導体装置A30は、第2主面電極222に導通する第1端子31と、第1主面電極212と第2主面121とに接合された第1導電部材41と、第2主面電極222と第1端子31とに接合された第2導電部材42とを備える。第1端子31は、厚さ方向zにおいて第1主面111が向く側に第1配線層11から離れて位置する。厚さ方向zに沿って視て、第2導電部材42が第1配線層11に重なっている。したがって、半導体装置A30によっても、当該装置の小型化を図ることが可能となる。
【0092】
半導体装置A30においては、厚さ方向zに沿って視て、第1端子31の延出部313の第1方向xにおける両端が、第1配線層11よりも外方に位置する。これにより、厚さ方向zに沿って視て、ゲートワイヤ51が第1端子31から離れた構成となる。このため、第1端子31が第1半導体素子21および検出ワイヤ52に接触しない範囲内で、厚さ方向zにおける第1配線層11と第1端子31との最小間隔を、より小とすることができる。したがって、半導体装置A10の厚さ方向zにおける寸法の縮小を図ることができる。
【0093】
本発明は、先述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0094】
A10,A20,A30:半導体装置
11:第1配線層
111:第1主面
12:第1配線層
121:第2主面
13:基板
13A:領域
131:第3主面
132:裏面
141:第1ゲート配線層
142:第2ゲート配線層
151:第1検出配線層
152:第2検出配線層
16:放熱層
21:第1半導体素子
21A:端縁
211:第1裏面電極
212:第1主面電極
213:第1ゲート電極
22:第2半導体素子
221:第2裏面電極
222:第2主面電極
223:第2ゲート電極
29:接合層
31:第1端子
31A:第1取付け孔
311:端子部
312:基部
313:延出部
313A:先端
32:第2端子
32A:第2取付け孔
33:第3端子
33A:第3取付け孔
341:第1ゲート端子
342:第2ゲート端子
351:第1検出端子
352:第2検出端子
41:第1導電部材
42:第2導電部材
43:第3導電部材
44:第4導電部材
51:ゲートワイヤ
52:検出ワイヤ
53:第1ワイヤ
54:第2ワイヤ
60:封止樹脂
61:頂面
62:底面
63:側面
z:厚さ方向
x:第1方向
y:第2方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17
図18
図19