(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】液晶ポリマーペレットおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20240829BHJP
B29B 9/06 20060101ALI20240829BHJP
C08G 63/06 20060101ALN20240829BHJP
【FI】
C08J3/12 A CFD
B29B9/06
C08G63/06
(21)【出願番号】P 2020162168
(22)【出願日】2020-09-28
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000189659
【氏名又は名称】上野製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】太田 晃仁
(72)【発明者】
【氏名】藤原 久成
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 尚矢
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-021147(JP,A)
【文献】特開2009-179693(JP,A)
【文献】特開2006-089714(JP,A)
【文献】特開平08-192421(JP,A)
【文献】特開平10-180753(JP,A)
【文献】特開平10-139885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00-3/28,99/00
B29B 7/00-11/14
B29B 13/00-15/06
B29C 31/00-31/10
B29C 37/00-37/04
B29C 71/00-71/02
C08G 63/00-64/42
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
B29C 48/00-48/96
C08G 69/00-69/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性単量体を反応槽内で縮重合反応する反応工程、
反応工程で生成した液晶ポリマーを溶融状態で反応槽からストランド状に抜き出し、冷却し、および切断して予備ペレットを作製する予備ペレット化工程、
予備ペレット化工程で得られた予備ペレットを押出機内で溶融および混練し、押出機から溶融状態でストランド状に抜き出し、冷却し、および切断してペレットを作製するペレット化工程、
を含む、液晶ポリマーペレットの製造方法
であって、
予備ペレットのかさ比重(Q1)とペレットのかさ比重(Q2)は、Q2/Q1≧1.05の関係式を満たす、方法。
【請求項2】
重合性単量体は、重合性単量体全量に基づき90モル%以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
芳香族ヒドロキシカルボン酸は、4-ヒドロキシ安息香酸および/または6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
予備ペレットのかさ比重(Q1)は0.50~0.64である、請求項
1~3のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形加工時の計量安定性に優れるとともに、成形加工時における成形品表面の膨れおよびリフロー後のブリスターの発生が抑制される液晶ポリマーペレットおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サーモトロピック液晶ポリマー(以下、液晶ポリマーまたはLCPとも称する)は、耐熱性、剛性等の機械物性、耐薬品性、寸法精度、吸水性、誘電特性等に優れているため、成形品用途のみならず、繊維やフィルムといった各種用途にその使用が拡大しつつある。
【0003】
特にパーソナルコンピューターや携帯電話等の情報・通信分野においては、部品の高集積度化、小型化、薄肉化、低背化が急速に進んでおり、非常に薄い肉厚部が形成されるケースが多い。そこで、LCPはその優れた成形性、すなわち流動性が良好であり、かつバリが出ないという他の樹脂にない特徴を生かして、その使用量が大幅に増大している。
【0004】
しかしながら、近年、はんだの鉛フリー化により、コネクターなどの電子部品用途において、リフロー温度が高温化しており、液晶ポリマーの成形品においても高温でのリフロー処理により生じるブリスターと呼ばれる成形品表面の膨れの発生が問題となっている。
【0005】
かかるブリスターの発生は、液晶ポリマー中に内包される分解ガス、空気ないし水分等に起因する空隙(ボイド)が原因であると考えられている。
【0006】
また、リフロー温度が高温化した場合には、液晶ポリマーの成形品に反りが生じやすくなる問題があり、反りの発生を抑制するために液晶ポリマーにタルクなどの充填材を配合することが知られている。
【0007】
しかし、タルクは微量の水分を含有しているために、タルクを含有する液晶ポリマー組成物においては、成形品の反りの発生は抑制されるものの、成形加工時における成形品表面の膨れの発生およびリフロー後のブリスターの発生がより増加しやすくなる問題を有する。
【0008】
このような、液晶ポリマーの成形品の膨れおよびブリスター発生の問題を解消する方法について多数の方法が提案されている。具体的には、シリコーンゴム、リン化合物、ホウ素化合物などを添加剤として配合する方法(特許文献1~8を参照)、または液晶ポリマーと無機充填材を溶融混練する場合のスクリュー噛合率を調整する方法(特許文献9を参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平02-075653号公報
【文献】特開平06-032880号公報
【文献】特開平10-036641号公報
【文献】特開平10-158482号公報
【文献】特開平11-140283号公報
【文献】特開平11-199761号公報
【文献】特開2003-096279号公報
【文献】特開2004-196886号公報
【文献】特開2003-211443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、膨れやブリスターの発生を抑制するために各種の添加剤を配合する方法については、ブリスター発生の抑制効果は改善の余地のあるものであり、添加剤によっては液晶ポリマー組成物の機械物性が大きく低下する問題がある。
【0011】
また、液晶ポリマーと無機充填材との溶融混練時のスクリューの設定を調整する方法については、添加剤を配合する方法と比較し、大きな作業負担がかかる問題がある。
【0012】
これらの事情から、液晶ポリマーにおいて、成形時などのスクリューの設定の調整などの操作を行わず、かつ、添加剤の配合によらずに、成形品表面の膨れやブリスターの発生を抑制する方法の開発が強く望まれている。
【0013】
本発明の目的は、成形加工時の計量安定性に優れるとともに、成形加工時における成形品表面の膨れおよびリフロー後のブリスターの発生が抑制される液晶ポリマーペレットおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者等は、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、液晶ポリマーの予備ペレットをさらに再ペレット化することにより、成形加工時の計量安定性に優れるとともに、成形加工時における成形品表面の膨れやブリスターの発生が著しく抑制されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕重合性単量体を反応槽内で縮重合反応する反応工程、反応工程で生成した液晶ポリマーを溶融状態で反応槽からストランド状に抜き出し、冷却し、および切断して予備ペレットを作製する予備ペレット化工程、予備ペレット化工程で得られた予備ペレットを押出機内で溶融および混練し、押出機から溶融状態でストランド状に抜き出し、冷却し、および切断してペレットを作製するペレット化工程、を含む、液晶ポリマーペレットの製造方法。
〔2〕重合性単量体は、重合性単量体全量に基づき90モル%以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸を含む、〔1〕に記載の方法。
〔3〕芳香族ヒドロキシカルボン酸は、4-ヒドロキシ安息香酸および/または6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸である、〔2〕に記載の方法。
〔4〕予備ペレットのかさ比重(Q1)とペレットのかさ比重(Q2)は、Q2/Q1≧1.05の関係式を満たす、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕予備ペレットのかさ比重(Q1)は0.50~0.64である、〔4〕に記載の方法。
〔6〕ペレットのかさ比重(Q2)は0.65~0.90である、液晶ポリマーペレット。
〔7〕液晶ポリマーは、液晶ポリマーを構成する全構成単位に基づき、90モル%以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位を含む、〔6〕に記載の液晶ポリマーペレット。
〔8〕芳香族ヒドロキシカルボン酸は、4-ヒドロキシ安息香酸および/または6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸である、〔7〕に記載の液晶ポリマーペレット。
〔9〕充填剤を含有しない、〔6〕~〔8〕のいずれかに記載の液晶ポリマーペレット。
【発明の効果】
【0016】
本発明の液晶ポリマーペレットは、成形加工時の計量安定性に優れるとともに、成形加工時における成形品表面の膨れおよびリフロー後のブリスターの発生が著しく抑制される。そのため、本発明の液晶ポリマーペレットは、薄層化、高集積化したコネクター、カメラモジュール、アンテナ、基板などの電気電子部品や、フィルム、繊維などの材料として好適に使用することができる。
【0017】
また、本発明の液晶ポリマーペレットの製造方法は、成形加工時の計量安定性に優れるとともに、成形加工時における成形品表面の膨れおよびリフロー後のブリスターの発生が著しく抑制された液晶ポリマーペレットを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明において、予備ペレットとは、重合性単量体を縮重合反応させて得られた溶融状態の液晶ポリマーを、通常、反応槽内から抜き出し、これを切断してペレット状に加工したものを意味し、また液晶ポリマーペレットとは、予備ペレットを溶融し、溶融状態でストランド状に抜き出し、これを切断したものを意味する。
【0019】
本発明に係る液晶ポリマーは、異方性溶融相を形成するポリエステルまたはポリエステルアミドであり、当該技術分野においてサーモトロピック液晶ポリエステル又はサーモトロピック液晶ポリエステルアミドと呼ばれるものであれば特に限定されない。
【0020】
異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法により確認することができる。より具体的には、異方性溶融相の確認は、Leitz偏光顕微鏡を使用し、Leitzホットステージにのせた試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観察することにより実施することができる。本発明の液晶ポリマーは光学的に異方性を示すもの、即ち、直交偏光子の間で検査したときに光を透過させるものである。試料が光学的に異方性であると、たとえ静止状態であっても偏光は透過する。
【0021】
本発明に係る液晶ポリマーに用いる重合性単量体としては、従来の液晶ポリマーに用いられる単量体、例えば芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。これら化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0022】
重合性単量体として、1種以上が結合してなるオリゴマーを共重合に供してもよい。なお、本発明における、重合性単量体の量については、「重合性単量体」をオリゴマーとして用いる場合であっても、当該オリゴマーを構成する単量体ユニット毎にカウントするものとする。
【0023】
芳香族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、4-ヒドロキシ安息香酸、3-ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、5-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、7-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、4’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸、3’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸および4’-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸、およびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも、4-ヒドロキシ安息香酸または6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸を単独で、あるいは両者を組み合わせて用いることが、得られる液晶ポリマーの耐熱性や機械強度、融点を調節しやすいという点で、より好ましい。
【0024】
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル、3,4’-ジカルボキシビフェニル、4,4’’-ジカルボキシターフェニル、ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4-カルボキシフェノキシ)ブタン、ビス(4-カルボンキシフェニル)エタン、ビス(3-カルボキシフェニル)エーテルおよびビス(3-カルボキシフェニル)エタン、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにそれらのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6-ナフタレンジカルボン酸が好適に用いられ、特に得られる液晶ポリマーの耐熱性を効果的に高められる点で、テレフタル酸または2,6-ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0025】
芳香族ジオールの具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェノールエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンおよび2,2’-ジヒドロキシビナフチル、およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにそれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,6-ジヒドロキシナフタレンが好適に用いられ、特に重合時の反応性に優れる点において、ハイドロキノン、4,4’-ジヒドロキシビフェニルまたは2,6-ジヒドロキシナフタレンが好ましい。
【0026】
芳香族アミノカルボン酸の具体例としては、4-アミノ安息香酸、3-アミノ安息香酸および6-アミノ-2-ナフトエ酸、およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにそれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0027】
芳香族ヒドロキシアミンの具体例としては、4-アミノフェノール、N-メチル-4-アミノフェノール、3-アミノフェノール、3-メチル-4-アミノフェノール、4-アミノ-1-ナフトール、4-アミノ-4’-ヒドロキシビフェニル、4-アミノ-4’-ヒドロキシビフェニルエーテル、4-アミノ-4’-ヒドロキシビフェニルメタン、4-アミノ-4’-ヒドロキシビフェニルスルフィドおよび2,2’-ジアミノビナフチル、およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにそれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも、4-アミノフェノールが、得られる液晶ポリマーの耐熱性および機械強度のバランスをとりやすい点から好ましい。
【0028】
芳香族ジアミンの具体例としては、1,4-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレンおよび1,8-ジアミノナフタレン、およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにそれらのアシル化物などのアミド形成性誘導体が挙げられる。
【0029】
脂肪族ジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ならびにそれらのアシル化物が挙げられる。また、ポリエチレンテレフタレートや、ポリブチレンテレフタレートなどの脂肪族ジオールを含有するポリマーを、前記の芳香族オキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよびそれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などと反応させてもよい。
【0030】
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、フマル酸、マレイン酸およびヘキサヒドロテレフタル酸が挙げられる。これらの中でも、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸およびドデカン二酸が重合時の反応性に優れる点から好ましい。
【0031】
本発明に係る液晶ポリマーは、本発明の目的を損なわない範囲で、チオエステル結合を含むものであってもよい。このような結合を与える単量体としては、メルカプト芳香族カルボン酸、および芳香族ジチオールおよびヒドロキシ芳香族チオールなどが挙げられる。これらの単量体は、他の重合性単量体に対して10モル%以下であるのが好ましい。
【0032】
重合性単量体として、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸からなる群から選択される2種以上の化合物を併用することは、本発明の好ましい態様の一つである。上記態様には、重合性単量体として、2種以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸を用いる場合も包含される。
【0033】
また、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールを含む組合せがさらに好適に用いられ、1種以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸、1種以上の芳香族ジカルボン酸および1種以上の芳香族ジオールの混合物が高耐熱性を示す点から好ましい。
【0034】
液晶ポリマー中に内包される分解ガス、空気ないし水分等に起因する空隙(ボイド)の発生を効果的に抑制し得る点で、芳香族ヒドロキシカルボン酸を含む重合性単量体を用いて液晶ポリマーを得ることが好ましい。また、その使用量は、重合性単量体全量に基づき90モル%以上であることが好ましく、93モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましく、97モル%以上であることが特に好ましい。
【0035】
本発明に係る液晶ポリマーに用いる、重合性単量体の具体例としては、例えば下記の組合せからなる混合物が挙げられる。
1)4-ヒドロキシ安息香酸/6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、
2)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル、
3)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/イソフタル酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル、
4)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/イソフタル酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル/ハイドロキノン、
5)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/ハイドロキノン、
6)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン、
7)4-ヒドロキシ安息香酸/6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル、
8)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル、
9)4-ヒドロキシ安息香酸/6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン、
10)4-ヒドロキシ安息香酸/6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン/4,4’-ジヒドロキシビフェニル、
11)4-ヒドロキシ安息香酸/2,6-ナフタレンジカルボン酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル、
12)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6-ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン、
13)4-ヒドロキシ安息香酸/2,6-ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン、
14)4-ヒドロキシ安息香酸/6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/2,6-ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン、
15)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6-ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン/4,4’-ジヒドロキシビフェニル、
16)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4-アミノフェノール、
17)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/テレフタル酸/4-アミノフェノール、
18)4-ヒドロキシ安息香酸/6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/テレフタル酸/4-アミノフェノール、
19)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル/4-アミノフェノール、
20)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/エチレングリコール、
21)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル/エチレングリコール、
22)4-ヒドロキシ安息香酸/6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/テレフタル酸/エチレングリコール、
23)4-ヒドロキシ安息香酸/6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル/エチレングリコール、
24)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6-ナフタレンジカルボン酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル、
25)4-ヒドロキシ安息香酸/6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/イソフタル酸/ハイドロキノン。
【0036】
以上の中でも、液晶ポリマー中に内包される分解ガス、空気ないし水分等に起因する空隙(ボイド)の発生を効果的に抑制し得る点で、1)、9)、10)、14)および25)の単量体構成単位(組合せ)からなる液晶ポリマーが好ましく、特に1)の単量体構成単位からなる液晶ポリマーがより好ましい。
【0037】
すなわち、4-ヒドロキシ安息香酸および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸を含む重合性単量体の組合せがより好ましく、4-ヒドロキシ安息香酸および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸である重合性単量体の組合せが特に好ましい。
【0038】
本明細書において、「4-ヒドロキシ安息香酸および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸である重合性単量体の組合せ」とは、4-ヒドロキシ安息香酸および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸の合計量が、重合性単量体全体の90モル%以上であることを意味する。4-ヒドロキシ安息香酸および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸の合計量は、重合性単量体全体の93モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましく、97モル%以上であることが特に好ましい。
【0039】
本発明の好適な液晶ポリマーにおいて、重合性単量体が4-ヒドロキシ安息香酸および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸である場合、以下の2つの態様がより好適である。
【0040】
(I)液晶ポリマーを構成する全構成単位100モル%に対して、4-ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位が50~90モル%、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸重合性単量体に由来する構成単位が10~50モル%である液晶ポリマー。
4-ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位は、好ましくは60~88モル%、より好ましくは65~85モル%、さらに好ましくは70~80モル%である。
また、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位は、好ましくは12~40モル%、より好ましくは15~35モル%、さらに好ましくは20~30モル%である。
【0041】
(II)液晶ポリマーを構成する全構成単位100モル%に対して、4-ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位が15~40モル%、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸重合性単量体に由来する構成単位が60~85モル%である液晶ポリマー。
4-ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位は、好ましくは18~36モル%、より好ましくは20~34モル%、さらに好ましくは21~32モル%、特に好ましくは22~30モル%である。
また、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位は、好ましくは64~82モル%、より好ましくは66~80モル%、さらに好ましくは68~79モル%、特に好ましくは70~78モル%である。
【0042】
本発明の液晶ポリマーペレットの製造方法は、まず、反応工程において、上述した重合性単量体を反応槽内で縮重合反応させることにより液晶ポリマーを生成する。
【0043】
以下、液晶ポリマーの製造方法について説明する。
本発明に係る液晶ポリマーを製造する方法に特に制限はなく、重合性単量体を、エステル結合またはアミド結合を形成させる公知の縮重合方法、たとえば溶融アシドリシス法、スラリー重合法などに供することにより液晶ポリマーを得ることができる。
【0044】
溶融アシドリシス法は、本発明に係る液晶ポリマーを製造するのに好ましい方法である。この方法は、最初に重合性単量体を加熱して反応物質の溶融溶液を形成し、次いで縮重合反応を続けて溶融ポリマーを得るものである。なお、縮合の最終段階で副生する揮発物(たとえば酢酸、水など)の除去を容易にするために真空を適用してもよい。
【0045】
スラリー重合法とは、熱交換流体の存在下で重合性単量体を反応させる方法であって、固体生成物は熱交換媒質中に懸濁した状態で得られる。
【0046】
溶融アシドリシス法およびスラリー重合法のいずれの場合においても、液晶ポリマーを製造する際に使用される重合性単量体は、ヒドロキシル基および/またはアミノ基をアシル化した変性形態、すなわち低級アシル化物として反応に供することもできる。
【0047】
低級アシル基は炭素原子数2~5のものが好ましく、炭素原子数2または3のものがより好ましい。特に好ましくは前記重合性単量体の成分のアセチル化物を反応に用いる方法が挙げられる。
【0048】
重合性単量体の低級アシル化物は、別途アシル化して予め合成したものを用いてもよいし、液晶ポリマーの製造時に重合性単量体に無水酢酸等のアシル化剤を加えて反応系内で生成せしめることもできる。
【0049】
溶融アシドリシス法またはスラリー重合法のいずれの場合においても、重合反応は、温度150~400℃、好ましくは250~370℃で、常圧および/または減圧下で行うのがよく、必要に応じて触媒を用いてもよい。
【0050】
触媒の具体例としては、ジアルキルスズオキシド(たとえばジブチルスズオキシド)、ジアリールスズオキシドなどの有機スズ化合物;二酸化チタンなどの金属酸化物;三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物;アルコキシチタンシリケート、チタンアルコキシドなどの有機チタン化合物;カルボン酸のアルカリおよびアルカリ土類金属塩(たとえば酢酸カリウム、酢酸ナトリウム);ルイス酸(たとえば三フッ化硼素)、ハロゲン化水素(たとえば塩化水素)などの気体状酸触媒などが挙げられる。
【0051】
触媒を使用する場合、該触媒の量は重合性単量体全量に対し、好ましくは1~1000ppm、より好ましくは2~100ppmである。
【0052】
本発明における液晶ポリマーには、繊維状、板状、または粉状の充填剤の1種または2種以上が配合されていてよい。充填剤としては、従来液晶ポリマーに用いられることが知られている物質から、液晶ポリマーの使用目的、用途等に応じて適宜選択される。
【0053】
繊維状の充填剤としては、例えばガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アラミド繊維、などが挙げられる。これらの中では、ガラス繊維が物性とコストのバランスが優れている点から好ましい。
【0054】
板状あるいは粉状の充填剤としては、例えばタルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、ドロマイト、クレイ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、硫酸バリウム、酸化チタンなどが挙げられる。これらの中では、タルクが物性とコストのバランスが優れている点から好ましい。
【0055】
充填剤を配合する場合、その合計配合量は、液晶ポリマー100質量部に対して、0.1~200質量部、特に10~100質量部であるのが好ましい。充填剤の配合量が200質量部を超える場合、液晶ポリマーの成形加工性が低下したり、成形機のシリンダーや金型の磨耗が大きくなる傾向がある。本発明の方法によれば充填剤を配合することなく、成形加工時の計量安定性および成形品表面の膨れおよびリフロー後のブリスターの発生の抑制が可能であり、また、配合する充填剤によっては、液晶ポリマーの機械物性が低下することもあるため、液晶ポリマーは充填剤を含有しないことが好ましい。
【0056】
このようにして得られた液晶ポリマーは、予備ペレット作製工程(予備ペレット化工程)において、溶融状態で重合反応槽よりストランド状に抜き出され、通常、これを冷却水により冷却固化させた後、カッターで切断して予備ペレットを作製する。
【0057】
このようにして作製された予備ペレットのかさ比重(Q1)は、通常、0.50~0.64(g/cc)であり、好ましくは0.52~0.63(g/cc)であり、より好ましくは0.55~0.63(g/cc)である。
【0058】
本明細書および特許請求の範囲において、「かさ比重」とは、ゆるめかさ比重を意味する。
【0059】
予備ペレット化工程で得られた予備ペレットは、次いでペレット作製工程(ペレット化工程)において、通常、これを押出機に投入し、溶融混練した後、押出機からストランド状に押出し、これを冷却水により冷却固化させた後、カッターで切断してペレット(液晶ポリマーペレット)を作製する。本発明の方法において、同一または異なる溶融混練条件下で、2回またはそれ以上のペレット化工程を設けることができる。
【0060】
このように、本発明の液晶ポリマーペレットは、縮重合反応によって得られた予備ペレット(初期ペレット)を溶融混練した後、再びペレット化することによって得られる。その結果、予備ペレット中に内包される分解ガス、空気ないし水分等に起因する空隙(ボイド)が大幅に減少し、本発明の液晶ポリマーペレットを成形に供した場合、成形直後の膨れおよびリフロー時のブリスターの発生が著しく抑制される。
【0061】
このようにして作製された本発明の液晶ポリマーペレットのかさ比重(Q2)は、好ましくは0.65~0.90(g/cc)であり、より好ましくは0.66~0.85(g/cc)であり、さらに好ましくは0.67~0.83(g/cc)である。
【0062】
予備ペレットのかさ比重(Q1)と液晶ポリマーペレットのかさ比重(Q2)は、Q2/Q1≧1.05の関係式を満たすことが好ましく、より好ましくはQ2/Q1≧1.1であり、さらに好ましくはQ2/Q1≧1.15であり、よりさらに好ましくはQ2/Q1≧1.2である。Q2/Q1の上限値は、通常、1.7である。
【0063】
ペレット化工程で得られた液晶ポリマーペレットの形状は、特に限定されるものではないが、例えば、角柱状、円柱状、球状等とすることができる。液晶ポリマーペレットの大きさは、角柱状または円柱状の場合、断面径が0.1~5mmであるのが好ましく、0.5~4mmであるのがより好ましく、1~3mmであるのがさらに好ましく、長さが0.1~10mmであるのが好ましく、0.5~7mmであるのがより好ましく、1~4mmであるのがさらに好ましい。球状の場合は、粒子径が0.1~8mmであるのが好ましく、0.5~6mmであるのがより好ましく、1~4mmであるのがさらに好ましい。
【実施例】
【0064】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0065】
実施例において、下記の略号は以下の化合物を表す。
POB:4-ヒドロキシ安息香酸
BON6:6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸
IPA:イソフタル酸
HQ:ハイドロキノン
【0066】
[実施例1]
液晶ポリマーペレット1の製造
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた反応容器に、POB:655.4g(73モル%)およびBON6:330.2g(27モル%)を仕込み、さらに全単量体の水酸基量(モル)に対して1.03倍モルの無水酢酸を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。
【0067】
窒素ガス雰囲気下に室温から150℃まで1時間で昇温し、同温度にて30分間保持した。次いで、副生する酢酸を留去しながら210℃まで速やかに昇温し、同温度にて30分間保持した。その後、325℃まで5時間かけて昇温した後、90分かけて20mmHgにまで減圧した。所定のトルクを示した時点で重合反応を終了した。
【0068】
生成した液晶ポリマーの溶融物を反応容器からストランド状に抜き出し、カッター(ペレタイザー)で切断して液晶ポリマーの予備ペレット1を得た。縮重合時の流出酢酸量はほぼ理論量どおりであった。
【0069】
得られた予備ペレット1を、真空ベントを備えた二軸押出機TEX-30(日本製鋼所株式会社製)を用いて320℃で溶融混練し、押出成形して得られたストランドを、直径約2.5mm、長さ約3.0mmの円柱状になるようにカッターで切断し、液晶ポリマーペレット1を得た。
【0070】
予備ペレット1および液晶ポリマーペレット1の結晶融解温度はいずれも278℃であった。
【0071】
結晶融解温度は、以下の方法で測定した。
示差走査熱量計としてセイコーインスツルメンツ(株)製Exstar6000を用いて、試料を室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)を測定した後、Tm1より50℃高い温度で10分間保持する。次いで、20℃/分の降温条件で室温まで試料を冷却し、さらに再度20℃/分の昇温条件で測定した際の吸熱ピークを観測し、そのピークトップを示す温度を結晶融解温度(Tm)とする。
【0072】
[実施例2]
液晶ポリマーペレット2の製造
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた反応容器に、POB:179.6g(20モル%)、BON6:960.2g(78.5%)、IPA:8.1g(0.75%)およびHQ:5.4g(0.75%)を仕込み、さらに全単量体の水酸基量(モル)に対して1.03倍モルの無水酢酸を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。
【0073】
窒素ガス雰囲気下に室温から150℃まで1時間で昇温し、同温度にて30分間保持した。次いで、副生する酢酸を留去しながら210℃まで速やかに昇温し、同温度にて30分間保持した。その後、325℃まで5時間かけて昇温した後、90分かけて20mmHgにまで減圧した。所定のトルクを示した時点で重合反応を終了した。
【0074】
生成した液晶ポリマーの溶融物を反応容器からストランド状に抜き出し、カッターで切断して液晶ポリマーの予備ペレット2を得た。縮重合時の流出酢酸量はほぼ理論量どおりであった。
【0075】
得られた予備ペレット2を、350℃で溶融混練した以外、予備ペレット1と同様にして、液晶ポリマーペレット2を得た。
【0076】
予備ペレット2および液晶ポリマーペレット2の結晶融解温度はいずれも328℃であった。
【0077】
得られた液晶ポリマーのペレット(予備ペレット1、2および液晶ポリマーペレット1、2)について、かさ比重、かさ比重比、膨れ・ブリスター発生、および計量安定性について、以下に示す方法にて測定した。結果を表1に示す。
【0078】
<かさ比重(ゆるめかさ比重)>
容積100ml(cc)のメスシリンダーの100mlの標線までペレットをゆっくりと入れ、そのときのペレットの重量を測定し、測定したペレットの重量をメスシリンダーの容積の値(標線の値)で除して、かさ比重を算出した。
【0079】
<かさ比重比>
かさ比重の評価において算出した予備ペレットのかさ比重をQ1、液晶ポリマーペレットのかさ比重をQ2とし、Q2の値をQ1で除して、かさ比重比(Q2/Q1)を算出した。
【0080】
<膨れ>
射出成形機(日精樹脂株式会社製NEX-15-1E)を用いて結晶融解温度+20~40℃のシリンダー温度、金型温度140℃で射出成形し、箱形試験片(縦30mm×横5mm×高さ6mm、厚さ0.2mm)を作製した。
【0081】
この試験片30個について、成形直後の試験片表面の膨れを目視にて確認し、膨れが発生した試験片の個数をカウントした。膨れの発生した試験片の数が0~4の場合は〇、5~9の場合は△、10以上の場合は×とした。
【0082】
<ブリスター>
膨れ発生評価で作製した箱型試験片について、膨れが発生していない10個の試験片をギアオーブンにて試験片の結晶融解温度-40℃の温度で1分間加熱処理を行い、冷却後、目視により試験片表面にブリスターの発生した個数をカウントした。ブリスターの数が0の場合は〇、ブリスターの数が1~2の場合は△、ブリスターの数が3以上の場合は×とした。
【0083】
<計量安定性>
膨れ発生評価において、30個の箱型試験片を射出成形した際の各計量時間を測定し、その値から計量時間の標準偏差を求めた。計量時間の標準偏差の値が小さいほど、計量時間のバラツキも小さく、計量安定性が良好であることを示す。
【0084】
【0085】
表1に示すように、本発明の液晶ポリマーペレット(液晶ポリマーペレット1および2)は、いずれも計量安定性等の成形性に優れるとともに、成形加工時における成形品表面の膨れおよびリフロー後のブリスターの発生が著しく抑制されていることが理解される。