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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】配管支持具
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/13 20060101AFI20240829BHJP
   F16B 2/22 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
F16L3/13
F16B2/22 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020179601
(22)【出願日】2020-10-27
(65)【公開番号】P2022070504
(43)【公開日】2022-05-13
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】香川 太平
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-066388(JP,A)
【文献】米国特許第04624432(US,A)
【文献】特開2002-061775(JP,A)
【文献】特開2017-166507(JP,A)
【文献】特開2009-209971(JP,A)
【文献】特開平07-145878(JP,A)
【文献】特開2010-209972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/13
F16B 2/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付け対象面に取付け可能とされ、互いに離間した一対の支持部と、
各々の前記支持部に支持されると共に少なくとも一方が前記支持部に回動可能に支持され、配管を保持するための一対の受部と、
前記一対の支持部の間の空間内に収まるように設けられ、前記受部による前記配管の保持状態と非保持状態との切替えを行うための可動部と、
前記支持部の前記取付け対象面から離れた位置に、前記一対の支持部を互いに結合する連結部を有し、
前記可動部は、前記連結部に係合可能な係合部を有し
前記連結部は穴を有し、
前記係合部は、前記受部から前記連結部側に延びると共に先端側に凸形状の爪部を有し、前記配管が保持される方向への前記受部の回動により前記爪部が前記穴を通った後、該穴の縁部に引っ掛かるように構成されている配管支持具。
【請求項2】
前記受部の一方は前記支持部に固定され、前記受部の他方は前記支持部に回動可能に支持されている請求項1に記載の配管支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
配管を保持するサドル部材と、このサドル部材を所定の部位に固定するためのベース部材とから構成される配管固定用サドル(配管支持具)が開示されている(特許文献1参照)。サドル部材は、配管の一部を保持する弧状部を有する一対の配管支持部を有している。一方の配管支持部には、その弧状部に連設して、先端部の表面に鋸歯列が形成された湾曲抱持部が開閉して動くように取り付けられている。他方の配管支持部における弧状部の外側には、湾曲抱持部の先端部を受入れる空隙を形成する張出係合部が設けられ、この張出係合部の内側に、湾曲抱持部の鋸歯列と噛み合う鋸歯列が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-44751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来例では、一対の鋸歯列が互いに噛み合うことで、一対の配管支持部で配管を締め付けて保持できるようになっている。しかしながら、上記従来例では、配管支持部やベース部材の外側からの操作によって鋸歯列の噛合いを解除可能となっている。したがって、施工者等の足が誤って配管固定サドルに当たった場合等、外部からの衝撃により鋸歯列の噛合いが解除され、配管が配管固定用サドルから外れてしまう可能性があった。
【0005】
本発明は、配管支持具により保持された配管が、外部からの衝撃により配管支持具から外れることを抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る配管支持具は、取付け対象面に取付け可能とされ、互いに離間した一対の支持部と、各々の前記支持部に支持されると共に少なくとも一方が前記支持部に回動可能に支持され、配管を保持するための受部と、前記一対の支持部の間の空間内に収まるように設けられ、前記受部による前記配管の保持状態と非保持状態との切替えを行うための可動部と、を有する。
【0007】
この配管支持具は、各々の支持部に支持されると共に少なくとも一方が支持部に回動可能に支持された一対の受部により、配管を保持することができる。受部による配管の保持状態と非保持状態との切替えは、可動部の操作により行われる。この配管支持具では、可動部が一対の支持部の間の空間内に収まるように設けられているので、施工者等の足が誤って可動部に接触することが抑制される。つまり、外部からの衝撃が可動部に直接入力されることが抑制される。このため、配管支持具により保持された配管が、外部からの衝撃により配管支持具から外れることを抑制できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様に係る配管支持具において、前記支持部の前記取付け対象面側から離れた位置に、前記一対の支持部を互いに結合する連結部を有し、前記可動部は、前記連結部に係合可能な係合部を有している。
【0009】
この配管支持具では、連結部により一対の支持部が互いに結合されているので、連結部がない構造と比較して支持部の剛性が向上している。また、可動部に設けられた係合部を連結部に係合させることにより、配管が受部により保持され、かつその保持状態が維持される。
【0010】
第3の態様は、第2の態様に係る配管支持具において、前記連結部が穴を有し、前記係合部が、前記受部から前記連結部に延びると共に先端側に凸形状の爪部を有し、前記配管が保持される方向への前記受部の回動により前記爪部が前記穴を通った後、該穴の縁部に引っ掛かるように構成されている。
【0011】
この配管支持具では、配管が保持される方向へ受部を回動させ、可動部における係合部の爪部を、連結部に設けられた穴に通し、穴の縁部に引っ掛けて係合させることにより、配管が受部により保持され、かつその保持状態が維持される。
【0012】
第4の態様は、第1~第3の何れか1態様に係る配管支持具において、前記受部の一方は前記支持部に固定され、前記受部の他方は前記支持部に回動可能に支持されている。
【0013】
この配管支持具では、受部の一方が支持部に固定され、受部の他方が支持部に回動可能に支持されているので、受部の他方を回動させることで、配管を保持できる。このため、受部の双方を回動させる場合と比較して、配管保持の作業性が向上する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、配管支持具により保持された配管が、外部からの衝撃により配管支持具から外れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係るサイホン排水システムを示す側面図である。
図2】第1実施形態に係る配管支持具を示す斜視図である。
図3】第1実施形態に係る配管支持具において、配管非保持状態を示す正面図である。
図4】第1実施形態に係る配管支持具において、配管保持状態を示す正面図である。
図5】第2実施形態に係る配管支持具を示す斜視図である。
図6】第2実施形態に係る配管支持具において、配管非保持状態を示す正面図である。
図7】第2実施形態に係る配管支持具において、配管保持状態を示す正面図である。
図8参考例に係る配管支持具を示す斜視図である。
図9参考例に係る配管支持具において、配管非保持状態を示す正面図である。
図10参考例に係る配管支持具において、配管保持状態を示す正面図である。
図11参考例の変形例に係る配管支持具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一又は同様の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。また、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0017】
(サイホン排水システム)
本実施形態に係る配管支持具1,2,3は、例えばサイホン排水システム10に用いられる。図1には、本実施形態に係るサイホン排水システム10の全体構成の概略が示されている。サイホン排水システム10は、サイホン力を利用して水廻り器具からの排水を効率よく排出する排水システムである。
【0018】
具体的には、図1に示されるように、サイホン排水システム10は、一例として、複数階(図1では、所定の階のみ図示)で構成された集合住宅に用いられる。集合住宅は、排水を下方へ流す排水立て管12を備えている。排水立て管12は、集合住宅の上下方向(鉛直方向)に延設され、集合住宅の各階のコンクリート製の床スラブ14を貫いている。なお、本発明に係るサイホン排水システムは、集合住宅に好適に用いられるが、集合住宅以外の戸建て住宅や工場等にも用いることができる。
【0019】
集合住宅の各階の各戸において、居室19(図1における二点鎖線で示す壁DLの右側)の床材17の上に水廻り器具16が設けられており、この水廻り器具16には、排水方向下流側に排水トラップ18が接続されている。
【0020】
図1に示されるように、居室19下の床スラブ14において、水廻り器具16の配置されている下方の領域は、種々の配管を通すために一段下がった凹状の段差スラブ14Aとなっている。なお、一例として、床スラブ14の上面から床材17の上面までの高さ寸法は130mm前後、段差スラブ14Aの上面15から床材17の上面までの高さ寸法は240mm前後、床材17の厚さは30mm前後である。
【0021】
図1に示されるように、排水トラップ18の排水方向下流側には、L字状に曲げられたL字配管部材20が配置されている。L字配管部材20は、排水トラップ18に接続されて鉛直方向に延びる鉛直部20A、段差スラブ14Aの上に水平方向に配置されて水平方向に延びる水平部20B、及び鉛直部20Aと水平部20Bとを繋ぐ湾曲部20Cを含んで構成されている。L字配管部材20としては、例えば硬質塩化ビニール樹脂等の合成樹脂で形成された市販品(例えば、エルボとも呼ばれる)を用いることができる。
【0022】
L字配管部材20の排水方向下流側には、サイホン排水管21の一部を構成する横引き管22が配置されている。本実施形態の横引き管22には、JIS K6778及びJIS K6792に定められる、呼び径が20で可撓性を有する合成樹脂製の配管が用いられている。横引き管22に用いる合成樹脂製の配管としては、例えば、可撓性を有するポリブテン管を用いることができるが、他の種類の合成樹脂製の配管を用いることもできる。また、横引き管22は、呼び径が20のものに限らず25のものを用いてもよい。
【0023】
居室19の外側における横引き管22の排水方向下流側には、メーターボックス24が設けられている。本実施形態では、メーターボックス24の床面14Bが、居室19下の段差スラブ14Aと水平方向に連続して繋がっている。
【0024】
このメーターボックス24内には、サイホン排水管21の一部を構成するL字状に曲げられた落し込み管26が配置されている。落し込み管26は、段差スラブ14Aの上に配置されて水平方向に延びる水平部26A、鉛直方向に延び段差スラブ14Aを貫通する鉛直部26B、及び水平部26Aと鉛直部26Bとを繋ぐ湾曲部26Cを含んで構成されている。落し込み管26は、一例として硬質塩化ビニール樹脂等の合成樹脂で形成された市販品(例えば、エルボとも呼ばれる)を用いることができる。
【0025】
落し込み管26の排水方向下流側には、竪管部材34が配置されている。竪管部材34は、サイホン排水管21の一部を構成し、上下方向に延び、継手36を介して落し込み管26の鉛直部26Bに接続されている。竪管部材34の排水方向下流側の端部は、合流継手38に接続されている。合流継手38は、排水立て管12の中間部に取り付けられている。本実施形態の竪管部材34には、横引き管22と同一の素材や呼び径を有する配管が用いられていてもよい。
【0026】
横引き管22の上流側の端部は、継手28を介してL字配管部材20の水平部20Bに接続されている。横引き管22の下流側の端部は、継手30を介して落し込み管26の水平部26Aに接続されている。
【0027】
横引き管22の長手方向中間部の複数個所が、段差スラブ14Aの上面15に取り付けられた複数の配管支持具1によって、水平に支持されている。配管支持具1の代わりに、配管支持具2又は配管支持具3が用いられてもよい。これにより、横引き管22は、段差スラブ14Aから上方に離間して配置されている。このように、横引き管22が段差スラブ14Aから上方に離間して配置されることで、横引き管22と段差スラブ14Aとの間にスペースが形成される。このスペースには、ガス管や給水管などの配管29が配置されている。
【0028】
(配管支持具)
[第1実施形態]
図1から図4において、本実施形態に係る配管支持具1は、配管の一例としての横引き管22(図1参照)を支持する支持具である。配管支持具1は、一例として、樹脂材料で一体的に形成されている。この配管支持具1は、一対の支持部40,42と、受部44,46と、可動部48とを有している。
【0029】
一対の支持部40,42は、取付け対象面の一例としての段差スラブ14Aの上面15(図1参照)に取付け可能とされ、例えば横引き管22(図2図3)の径方向に互いに離間している。一方の支持部40は、取付け部40A及び40Bを有している。取付け部40Aは、脚部40Bの下端から脚部42側と反対側に延びている。取付け部40Aには、ビス等の締結部材(図示省略)が通される取付け穴40Cが、上下方向に貫通して形成されている。また、他方の支持部42は、取付け部42A及び脚部42Bを有している。取付け部42Aは、脚部42Bの下端から脚部40B側と反対側に延びている。取付け部40Aには、ビス等の締結部材(図示省略)が通される取付け穴40Cが、上下方向に貫通して形成されている。取付け穴40C,42Cに通された締結部材(図示省略)が段差スラブ14Aに締結されることで、配管支持具1が段差スラブ14Aの上面15に取り付けられる。
【0030】
脚部40B,42Bの厚さは、取付け部40A,42Aから離れる方向、つまり上方向に向かって漸減するように構成されている。なお、脚部40B,42Bの肉厚が均一化するように、脚部40B,42Bを、下端側が開口する中空構造としてもよい。
【0031】
支持部40,42の段差スラブ14Aの上面15(図1)側から離れた位置には、一対の支持部40,42を互いに結合する連結部50が設けられている。図3図4に示されるように、連結部50は、例えば取付け部40A,42Aと平行に延びている。これにより、支持部40,42及び連結部50は、正面視で略H形を形成している。連結部50は、穴50Aを有している。
【0032】
穴50Aの縁部50Bは、後述する可動部48の係合部58が係合する被係合部である。
【0033】
受部44,46は、各々の支持部40,42に支持されると共に少なくとも一方が支持部40,42に回動可能に支持され、配管の一例としての横引き管22を保持するための部位である。受部44,46は、例えば、それぞれ断面円弧状に形成された円筒内面として構成されている。受部44,46をそれぞれ「サドル部」と言い換えることもできる。
【0034】
受部44は略半円状に形成され、受部46は円弧長が半円より短い円弧に形成されている。本実施形態では、一対の受部の一方である受部44が支持部40に回動可能に支持され、一対の受部の他方である受部46が支持部42に固定されている。受部46は、支持部42の脚部42Bの上方に一体的に構成されている。
【0035】
受部44は、支点54により脚部40Bの上端と結合されている。この支点54は、例えばインテグラルヒンジである。図3に示されるように、受部44は、支点54において矢印O方向及びC方向に回動可能に支持されている。配管支持具1により横引き管22を支持する際には、受部44を矢印O方向に回動させて受部44,46間に横引き管22を受け入れ可能とし、受部44を矢印C方向に回転させると、受部44,46間に横引き管22を保持可能となっている。
【0036】
可動部48は、一対の支持部40,42の間の空間56,57内に収まるように設けられ、受部44,46による横引き管22の保持状態と非保持状態との切替えを行うための部位である。空間56は連結部50より上側において一対の支持部40,42に挟まれた空間であり、空間57は連結部50の下側において一対の支持部40,42に挟まれた空間である。空間56,57は、一対の支持部40,42の幅方向W(図2)の両側を、一対の支持部40,42に跨る一対の平板(図示せず)により閉塞したときに、該平板と一対の支持部40,42の間に形成される空間である。可動部48は、この空間56,57に収まるように設けられているので、図1に示される方向から見たときに、一対の支持部40,42より外側にはみ出すことがない。
【0037】
可動部48は、例えば連結部50に係合可能な係合部58を有している。この係合部58は、受部44,46から連結部50に延びると共に先端側に凸形状の爪部58Aを有している。係合部58は、横引き管22が保持される方向、つまり矢印C方向への受部44の回動により爪部58Aが穴50Aを通った後、該穴50Aの縁部50Bに引っ掛かるように構成されている。
【0038】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図3図4において、本実施形態に係る配管支持具1は、支持部40,42の取付け部40A,42Aにより、段差スラブ14Aの上面15(図1参照)に固定される。この配管支持具1は、支持部40,42に固定又は回動可能に支持された受部44,46により、横引き管22を保持することができる。一対の支持部40,42は、連結部50により互いに結合されており、連結部50がない構造と比較して支持部40,42の剛性が向上している。
【0039】
受部44,46による横引き管22の保持状態と非保持状態との切替えは、可動部48の操作により行われる。
【0040】
具体的には、図3において、受部44を開く方向(矢印O方向)へ回動させ、受部44,46間に横引き管22を下ろし、横引き管22が保持される方向(矢印C方向)へ受部44を回動させる。そして、図4に示されるように、可動部48における係合部58の爪部58Aを、連結部50に設けられた穴50Aに通し、穴50Aの縁部50Bに引っ掛けて係合させることにより、横引き管22が受部44,46により保持され、かつその保持状態が維持される。
【0041】
この保持状態において、可動部48が一対の支持部40,42の間の空間56,57内に収まるように設けられているので、施工者等の足が誤って可動部48に接触することが抑制される。つまり、可動部48が支持部40,42で守られているので、外部からの衝撃が可動部48に直接入力されることが抑制される。このため、配管支持具1により保持された横引き管22が、外部からの衝撃により配管支持具1から外れることを抑制できる。
【0042】
また、一対の受部の一方である受部46が支持部42に固定され、一対の受部の他方である受部44が支持部40に回動可能に支持されているので、該受部44を回動させることで、横引き管22を保持できる。このため、受部44,46の双方を回動させる場合と比較して、横引き管22の保持の作業性が向上する。
【0043】
そして、可動部48を操作して、係合部58の爪部58Aと穴50Aの縁部50Bとの係合を解除し、受部44を矢印O方向に回動させることにより、横引き管22の保持を解除することができる。
【0044】
[第2実施形態]
図5から図7において、本実施形態に係る配管支持具2では、例えば、脚部40B,42Bの厚さが該脚部40B,42Bの長さ方向、換言すれば、配管支持具2の高さ方向において一定に構成されている。
【0045】
また、受部44の支点54に対して可動部48と反対側の外周側には、指掛け部60が一体的に設けられている。この指掛け部60は、配管支持具2の自然状態で、例えば支点54より上方に位置しており、受部44を矢印O方向又は矢印C方向に回動させる際に指を掛けることが可能となっている。
【0046】
本実施形態では、指掛け部60に力をかけることにより、係合部58の爪部58Aと連結部50の穴50Aとの係合及びその解除、つまり受部44,46による横引き管22の保持状態と非保持状態との切替えを、指掛け部60がない構成と比較して容易に行うことが可能である。
【0047】
なお、施工者等の足が指掛け部60に接触したとしても、可動部48は一対の支持部40,42の間の空間56,57内に収まっているので、外部からの衝撃が可動部48に直接入力されることは抑制される。このため、配管支持具2により保持された横引き管22が、外部からの衝撃により配管支持具2から外れることを抑制できる。
【0048】
他の部分については、第1実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0049】
参考例
図9において、参考例に係る配管支持具3は、横引き管22の軸方向から見て左右対称に構成されている。図8から図10において、配管支持具3では、支持部40,42の脚部40B,42Bの下端同士が、連結部62により結合されている。取付け部40A,42Aは、連結部62の延長上に位置している。脚部40Bには、脚部42B側に突出する被係合部40Dが設けられている。また、脚部42Bには、脚部40B側に突出する被係合部42Dが設けられている。被係合部40D,42Dは、一対の支持部40,42の間の空間66内に突出している。空間66は、一対の支持部40,42に挟まれた空間である。被係合部40Dは、可動部48の係合部58が係合する部位である。被係合部42Dは、後述する可動部68の係合部78が係合する。
【0050】
受部44,46は、各々の支持部40,42に回動可能に支持されている。受部44は、支点54により脚部40Bの上端と結合されている。受部46は、支点64により脚部42Bの上端と結合されている。支点54,56は、例えばインテグラルヒンジである。
【0051】
可動部48,68は、一対の支持部40,42の間の空間66内に収まるように設けられ、受部44,46による横引き管22の保持状態と非保持状態との切替えを行うための部位である。図9に示されるように、可動部48は、例えば受部44の下端から下方に延びている。可動部48が係合部58を有し、係合部58が爪部58Aを有している点は、第1実施形態と同様である。爪部58Aは、横引き管22が保持される方向、つまり矢印C方向への受部44の回動により、被係合部40Dに係合可能に構成されている(図10)。
【0052】
また、可動部68は、例えば受部46の下端から下方に延びている。一例として、可動部68は、支持部42の被係合部42Dに係合可能な係合部78を有している。この係合部78は、先端側に凸形状の爪部78Aを有し、横引き管22が保持される方向、つまり矢印C方向への受部46の回動により爪部78Aが被係合部42Dに係合するように構成されている(図10)。
【0053】
図9図10において、本参考例では、受部44,46をそれぞれ矢印O方向に回動させて開いた状態で、横引き管22を受け入れ可能となる。横引き管22を受部44,46の間に入れて下方へ押し込むと、横引き管22により押された受部44,46がそれぞれ矢印C方向に回動する。そして、図10に示されるように、係合部58の爪部58Aが被係合部40Dに係合し、係合部78の爪部78Aが被係合部42Dに係合することで、横引き管22が受部44,46により保持され、かつその保持状態が維持される。
【0054】
係合部58が被係合部40Dに当接してから係合するまでの間には、脚部40Bが外側に押圧される。同様に、係合部78が被係合部42Dに当接してから係合するまでの間には、脚部42Bが外側に押圧される。つまり、脚部40B,42Bは、互いに遠のく方向に押圧される。しかしながら、脚部40B,42Bの下端同士が連結部62に結合されているので、脚部40B,42Bの間隔が広がることは抑制される。これにより、被係合部40D,42Dが外側に逃げないので、横引き管22が受部44,46で保持状態となったときに、係合部58,78が被係合部40D,42Dに係合できる。
【0055】
この保持状態において、可動部48,68が一対の支持部40,42の間の空間66内に収まるように設けられているので、施工者等の足が誤って可動部48,68に接触することが抑制される。つまり、可動部48,68が支持部40,42で守られているので、外部からの衝撃が可動部48,68に直接入力されることが抑制される。このため、配管支持具3により保持された横引き管22が、外部からの衝撃により配管支持具3から外れることを抑制できる。
【0056】
そして、可動部48,68を例えば手指でそれぞれ矢印A方向に押圧し、係合部58の爪部58Aと被係合部40Dとの係合を解除すると共に、係合部78の爪部78Aと被係合部42Dとの係合を解除し、受部44,46をそれぞれ矢印O方向に回動させることにより、横引き管22の保持を解除することができる。このように、工具を用いなくても、手指により横引き管22の保持を解除できる。
【0057】
他の部分については、第1実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0058】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0059】
例えば、図8に示される参考例では、支持部40の取付け部40Aに取付け穴40Cが形成され、支持部42の取付け部42Aに取付け穴42Cが形成されているが、取付け穴の位置はこれに限られない。例えば、図11に示される変形例のように、連結部62に取付け穴62Aが形成されていてもよい。この場合、取付け部40A,42A(図8)を省略してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…配管支持具、2…配管支持具、3…配管支持具、15…上面(取付け対象面)、22…横引き管、40…支持部、42…支持部、44…受部、46…受部、48…可動部、50…連結部、50A…穴、50B…縁部、54…支点、56…空間、57…空間、58…係合部、58A…爪部、64…支点、66…空間、68…可動部、78…係合部、78A…爪部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11