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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】蓄電池システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20240829BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240829BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J7/35 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020182657
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072945
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】五十棲 健太
(72)【発明者】
【氏名】川本 哲裕
(72)【発明者】
【氏名】大堀 彰大
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-075878(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106786803(CN,A)
【文献】特開2015-226336(JP,A)
【文献】特開2013-183488(JP,A)
【文献】特開2019-168769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00-7/12
H02J7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーコンディショナの直流側に接続される蓄電池システムであって、
入力側に太陽電池が接続され、かつ、出力側に前記パワーコンディショナが接続されるDC/DC変換回路、および、前記DC/DC変換回路を制御する制御回路を有するDC/DC変換装置と、
前記DC/DC変換回路と前記パワーコンディショナとを接続する直流バスに接続される蓄電池と、
前記蓄電池の状態に応じて、前記DC/DC変換装置の出力電力を制御する制御装置と、
を備え
前記制御装置は、前記蓄電池から充電電力情報を入力され、前記充電電力情報が充電電力上限値以上になったときに、前記DC/DC変換装置の出力電力を抑制させる、
蓄電池システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記蓄電池からさらに充電率を入力され、前記充電率が充電率上限値以上になったときに、前記DC/DC変換装置の出力電力を抑制させる、
請求項1に記載の蓄電池システム。
【請求項3】
前記充電率が前記充電率上限値以上になったときと、前記充電電力情報が前記充電電力上限値以上になったときとで、前記DC/DC変換装置の出力電力の抑制の程度が異なる、
請求項2に記載の蓄電池システム。
【請求項4】
入力側に第2の太陽電池が接続され、かつ、出力側に前記パワーコンディショナが接続される第2のDC/DC変換回路、および、前記第2のDC/DC変換回路を制御する第2の制御回路を有する第2のDC/DC変換装置をさらに1または複数備え、
前記制御装置は、1または複数の前記第2のDC/DC変換装置の出力電力も制御する、
請求項1ないし3のいずれかに記載の蓄電池システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記蓄電池から蓄電池情報を入力され、前記蓄電池情報が所定値以上になったときに、前記DC/DC変換装置および1または複数の前記第2のDC/DC変換装置のいずれかの出力を停止させる、
請求項に記載の蓄電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池とパワーコンディショナとを備え、太陽電池が発電した直流電力を、パワーコンディショナが交流電力に変換して、負荷や電力系統に出力する電源システムが知られている。また、太陽電池の出力電力がパワーコンディショナの出力電力を上回る場合に、余剰電力を蓄電池に充電する蓄電池システムが開発されている。蓄電池システムは、太陽電池の出力電力が低下したときに放電を行って、パワーコンディショナに出力する。これにより、蓄電池システムは、パワーコンディショナの出力を平滑化させ、かつ、太陽電池の発電効率の低下を抑制する。特許文献1には、このような蓄電池システムが開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された蓄電池システムは、蓄電池、DC/DC変換器、および制御部を備えている。DC/DC変換器は、太陽電池とパワーコンディショナとを接続する直流電路と蓄電池との間に接続されている。制御部は、DC/DC変換器を制御することで、蓄電池の充放電を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-18114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された蓄電池システムの場合、太陽電池とパワーコンディショナとが直接接続されているので、パワーコンディショナの入力電圧の変動幅は、太陽電池の出力電圧の変動幅に応じたものになる。太陽電池の出力電圧は、ゼロから最大電圧(例えば600V)まで変動する。したがって、パワーコンディショナを構成する部品(たとえばスイッチング素子)は、ゼロから最大電圧までの変動幅に対応できるものが必要になる。このようなスペックの高い部品はコストが高いので、パワーコンディショナのコストも高くなる。
【0006】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、パワーコンディショナのコストを抑制可能な蓄電池システムを提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面によって提供される蓄電池システムは、パワーコンディショナの直流側に接続される蓄電池システムであって、入力側に太陽電池が接続され、かつ、出力側に前記パワーコンディショナが接続されるDC/DC変換回路、および、前記DC/DC変換回路を制御する制御回路を有するDC/DC変換装置と、前記DC/DC変換回路と前記パワーコンディショナとを接続する直流バスに接続される蓄電池と、前記蓄電池の状態に応じて、前記DC/DC変換装置の出力電力を制御する制御装置とを備えている。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御装置は、前記蓄電池から蓄電池情報を入力され、前記蓄電池情報が所定値以上になったときに、前記DC/DC変換装置の出力電力を抑制させる。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、入力側に第2の太陽電池が接続され、かつ、出力側に前記パワーコンディショナが接続される第2のDC/DC変換回路、および、前記第2のDC/DC変換回路を制御する第2の制御回路を有する第2のDC/DC変換装置をさらに1または複数備え、前記制御装置は、1または複数の前記第2のDC/DC変換装置の出力電力も制御する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御装置は、前記蓄電池から蓄電池情報を入力され、前記蓄電池情報が所定値以上になったときに、前記DC/DC変換装置および1または複数の前記第2のDC/DC変換装置のいずれかの出力を停止させる。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記蓄電池情報は、前記蓄電池の充電電力または前記蓄電池の充電率である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、太陽電池とパワーコンディショナとの間にDC/DC変換回路が接続されている。そして、DC/DC変換回路とパワーコンディショナとを接続する直流バスに、蓄電池が接続されている。したがって、パワーコンディショナの入力電圧の変動幅は、太陽電池の出力電圧の変動幅に関係なく、蓄電池の出力電圧の変動幅に応じたものになる。蓄電池の出力電圧の変動幅は、太陽電池の出力電圧の変動幅より小さい。したがって、パワーコンディショナは、太陽電池が直接接続される場合と比較して、スペックの低い部品を用いることができるので、コストを抑制可能である。
【0014】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る蓄電池システムを説明するためのブロック図であり、当該蓄電池システムを備えた電源システムの全体構成を示している。
図2】太陽電池の電力-電圧特性を説明するための図である。
図3】太陽電池の出力電力を制御する出力電力制御処理を説明するためのフローチャートである。
図4図1に示す電源システムにおける電力の流れる方向を示す図である。
図5】第2実施形態に係る蓄電池システムを説明するためのブロック図である。
図6】第3実施形態に係る蓄電池システムを説明するためのブロック図である。
図7】第4実施形態に係る蓄電池システムを説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る蓄電池システムA1を説明するためのブロック図であり、当該蓄電池システムA1を備えた電源システムBの全体構成を示している。
【0018】
電源システムBは、蓄電池システムA1、太陽電池2、パワーコンディショナ3、および直流バス4を備えている。電源システムBは、太陽電池2が出力する直流電力をパワーコンディショナ3によって交流電力に変換し、負荷Dに供給する。負荷Dには、電力系統Cからも電力が供給される。また、電源システムBは、逆潮流ありのシステムであり、交流電力を電力系統Cにも供給する。
【0019】
太陽電池2は、多数の太陽電池セルを備えている。各太陽電池セルは、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換することで、直流電力を生成する。太陽電池セルは、複数が直列または並列に接続され、樹脂や強化ガラスなどで保護されてパッケージ化された太陽電池モジュールを構成する。太陽電池モジュールは、いわゆる太陽電池パネルと呼ばれるものである。太陽電池モジュールは、複数が直列接続されて、太陽電池ストリングを構成する。太陽電池ストリングは、複数が並列接続されて、太陽電池アレイを構成する。本実施形態では、太陽電池2は、太陽電池アレイを備えている。なお、太陽電池2は、これに限定されない。太陽電池2は、各太陽電池セルで生成された直流電力を、後述するDC/DC変換回路121を介して、パワーコンディショナ3に出力する。
【0020】
図2は、太陽電池2の電力-電圧特性を説明するための図である。同図において、横軸は太陽電池2の出力電圧であり、縦軸は太陽電池2の出力電力である。同図に示すように、太陽電池2の出力電力は、最大出力動作電圧Vpmのときに最大出力Pmaxになる。出力電圧が最大出力動作電圧Vpm以下の場合、出力電圧が大きくなると出力電力も大きくなり、出力電圧が小さくなると出力電力も小さくなる。一方、出力電圧が最大出力動作電圧Vpm以上の場合、出力電圧が大きくなるほど出力電力は小さくなり、出力電圧が小さくなるほど出力電力は大きくなる。開放電圧Vocは出力電力がゼロになる電圧であり、太陽電池2の出力電圧は開放電圧Vocより大きくならない。
【0021】
パワーコンディショナ3は、入力される直流電力を交流電力に変換して出力する。また、パワーコンディショナ3は、入力される交流電力を直流電力に変換して出力することもできる。パワーコンディショナ3は、直流バス4によって、直流側の端子がDC/DC変換装置12の出力側の端子に接続されている。また、パワーコンディショナ3は、交流側に、電力系統Cおよび負荷Dが接続されている。つまり、パワーコンディショナ3は、直流バス4から入力される直流電力を交流電力に変換して、電力系統Cおよび負荷Dに供給する。また、パワーコンディショナ3は、電力系統Cから入力される交流電力を直流電力に変換して、直流バス4に出力することもできる。
【0022】
パワーコンディショナ3は、図示しないインバータ回路および制御回路を備えている。インバータ回路は、例えば3組6個のスイッチング素子を備えた三相インバータであり、制御回路から入力される制御信号に基づいて各スイッチング素子のオンとオフとを切り替えることで直流電力を交流電力に変換する。なお、インバータ回路の構成は限定されない。制御回路は、パワーコンディショナ3の直流側の電圧(直流バス4の電圧)が設定された電圧になるように制御する。また、制御回路は、電源システムBが電力系統Cに接続されている状態のときは、パワーコンディショナ3の交流側の電力が設定された電力になるように制御する。また、制御回路は、電源システムBが電力系統Cから切り離されて、電源システムBの出力が負荷Dだけに出力される状態のときは、負荷Dが必要とする交流電圧をパワーコンディショナ3が出力できるように制御を行う。制御回路は、以上の制御を行うための制御信号を生成して、インバータ回路に出力する。
【0023】
電源システムBは、太陽電池2の発電効率の低下を抑制するために、蓄電池システムA1を備えている。蓄電池システムA1は、パワーコンディショナ3の直流側に接続されている直流バス4に接続している。蓄電池システムA1は、蓄電池11、DC/DC変換装置12、および制御装置13を備えている。本実施形態では、太陽電池2は、DC/DC変換装置12によって、基本的に最大電力を出力するように制御されている。蓄電池システムA1は、太陽電池2の出力電力がパワーコンディショナ3の出力電力を上回らないように、余剰電力を蓄電池11に充電する。また、蓄電池システムA1は、太陽電池2の出力電力が低下したとき(例えば日射強度が減少したり太陽電池2が雲の影に入った場合や、夜間、雨天時など)に、蓄電池11に蓄電された電力の放電を行って、パワーコンディショナ3に出力する。これにより、蓄電池システムA1は、パワーコンディショナ3に所定の直流電力を供給する。
【0024】
蓄電池11は、本実施形態では、繰り返し充放電を行うことができる二次電池である。蓄電池11は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、鉛蓄電池などである。なお、蓄電池11は、二次電池ではなく、電気二重層コンデンサなどのコンデンサであってもよい。蓄電池11は、分岐線14を介して、直流バス4に接続されている。蓄電池11は、太陽電池2の出力電力のうち、パワーコンディショナ3の出力電力を上回る余剰電力が充電される。また、蓄電池11は、太陽電池2の出力電力が低下したときに、蓄電された電力の放電を行って、太陽電池2の出力電力の不足分を補う。
【0025】
蓄電池11は、図示しない電圧センサおよび電流センサを備えており、電圧センサが検出した電圧および電流センサが検出した電流に基づいて各種蓄電池情報を算出している。蓄電池情報には、充電電力、放電電力、および充電率(SOC:State Of Charge)などが含まれる。充電電力は、蓄電池11が充電されているときの電力であり、充電時の電圧および電流から算出される。充電電力には、Cレートの許容範囲に応じて算出される上限値が設定されている。Cレートとは、蓄電池の全容量に対する充電時または放電時の電流の相対的な比率であり、蓄電池の全容量を1時間で充電または放電する場合を1Cとしたものである。蓄電池11には、充電時のCレートの上限値(例えば2C)および放電時のCレートの上限値(例えば2C)が設定されている。充電電力の上限値は、充電時のCレートの上限値に基づいて算出される。放電電力は、蓄電池11が放電されているときの電力であり、放電時の電圧および電流から算出される。放電電力には、放電時のCレートの上限値に基づいて算出された上限値が設定されている。充電率は、蓄電池の充電状態を示す指標であって、満充電時の容量に対する充電残量の割合を百分率で示したものである。充電率は、例えば、蓄電池11の充電電流および放電電流を積算することで算出される。なお、充電率の算出方法は限定されない。充電率には上限値および下限値が設定されている。
【0026】
本実施形態では、蓄電池11は、蓄電池情報のうち充電電力および充電率を、制御装置13に送信する。なお、蓄電池11は、その他の蓄電池情報を制御装置13に送信してもよい。また、蓄電池11が各種蓄電池情報を算出する代わりに、制御装置13が、蓄電池11の電圧センサによって検出された電圧検出信号および電流センサによって検出された電流検出信号に基づいて、各種蓄電池情報を算出してもよい。
【0027】
DC/DC変換装置12は、太陽電池2の出力電圧を昇圧または降圧して、直流バス4に出力する。DC/DC変換装置12は、太陽電池2側からパワーコンディショナ3側に電力を出力するが、パワーコンディショナ3側から太陽電池2側に電力を出力しない片方向型である。DC/DC変換装置12は、DC/DC変換回路121および制御回路122を備えている。
【0028】
DC/DC変換回路121は、入力側に太陽電池2が接続され、出力側に直流バス4を介してパワーコンディショナ3が接続されている。DC/DC変換回路121は、太陽電池2の出力電圧を昇圧または降圧して、直流バス4に出力する。DC/DC変換回路121は、たとえば図示しないチョッパ回路を備え、直流電圧を所定の直流電圧に変換して出力する。DC/DC変換回路121のチョッパ回路は、制御回路122から入力される制御信号に基づいて各スイッチング素子のオンとオフとを切り替えることで直流電圧を所定の直流電圧に変換する。なお、DC/DC変換回路121の構成は限定されない。
【0029】
図示しないが、DC/DC変換装置12は、DC/DC変換回路121の入力電圧(すなわち太陽電池2の出力電圧)を検出する電圧センサを備えている。電圧センサは、検出した電圧検出信号を制御回路122に出力する。また、図示しないが、DC/DC変換装置12は、DC/DC変換回路121の入力電流(すなわち太陽電池2の出力電流)を検出する電流センサを備えている。電流センサは、検出した電流検出信号を制御回路122に出力する。なお、電圧センサおよび電流センサは、DC/DC変換装置12に備えられずに、太陽電池2に備えられてもよいし、太陽電池2とDC/DC変換装置12との間に配置されてもよい。
【0030】
制御回路122は、DC/DC変換回路121を制御するものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御回路122は、電圧センサから入力される電圧検出信号および電流センサから入力される電流検出信号に基づいて制御信号を生成して、DC/DC変換回路121に出力する。制御回路122は、DC/DC変換回路121の入力電圧(太陽電池2の出力電圧)が設定された電圧になるように制御する。
【0031】
電源システムBでは、太陽電池2の電力-電圧特性(図2参照)を利用して、最大電力点追従(MPPT:Maximum Power Point Tracking)制御が行われている。MPPT制御は、太陽電池2の出力電力が最大になるように、太陽電池2の出力電圧を制御する制御方法である。本実施形態では、制御回路122が、MPPT制御を行う。制御回路122は、電圧センサから入力される電圧検出信号に基づいて、太陽電池2の出力電圧Vdcを検出する。また、制御回路122は、電圧センサから入力される電圧検出信号および電流センサから入力される電流検出信号に基づいて、太陽電池2の出力電力Pを検出する。制御回路122は、太陽電池2の出力電圧Vdcの目標値Vdc*を微小変化させて、出力電圧Vdcを制御し、太陽電池2の出力電力Pがより大きくなるように目標値Vdc*を変更する。すなわち、制御回路122は、目標値Vdc*を微小変化させたときに、出力電力Pが大きくなれば、目標値Vdc*を同じ方向に変化させ、出力電力Pが小さくなれば、最大電力点(図2の点M参照)を超えたとして、目標値Vdc*を逆の方向に変化させる。制御回路122は、これを繰り返すことで、動作点を最大電力点Mの近傍に位置させて、出力電力Pをできるだけ最大の状態に保つ。
【0032】
また、制御回路122は、制御装置13から後述する抑制指令を受信した場合、太陽電池2の出力電力Pを抑制させる。具体的には、制御回路122は、出力電力Pの目標値P*を設定して、出力電力Pが目標値P*になるように、出力電圧Vdcの目標値Vdc*を増加させる。これにより、動作点が最大電力点Mから移動して、出力電力Pが減少する。目標値P*は、パワーコンディショナ3の出力電力などに応じて、適宜設定される。本実施形態では、抑制指令には、第1抑制指令と第2抑制指令とが含まれている。制御回路122は、受信した抑制指令が第1抑制指令か第2抑制指令かによって、異なる目標値P*を設定する。なお、目標値P*の設定方法は限定されず、制御回路122は、目標値P*として固定値を設定してもよい。また、出力電力Pの抑制方法は、目標値P*の設定に限定されない。例えば、制御回路122は、目標値Vdc*を所定電圧Vxに変更することで、動作点を最大電力点Mから移動させて、出力電力Pを減少させてもよい。所定電圧Vxは、最大出力動作電圧Vpmより小さく、開放電圧Voc以上の電圧であればよい。所定電圧Vxは、パワーコンディショナ3の出力電力や、抑制指令の種類などに応じて設定されてもよいし、例えば開放電圧Vocなどの固定値が設定されてもよい。
【0033】
制御装置13は、蓄電池11から入力される蓄電池情報に基づいて、DC/DC変換装置12を制御するものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。本実施形態では、制御装置13は、蓄電池11から、蓄電池情報のうち充電電力および充電率を受信する。制御装置13は、充電電力の上限値を記憶しており、蓄電池11から受信した充電電力が当該上限値以上の場合、DC/DC変換装置12(制御回路122)に第1抑制指令を送信する。制御回路122は、制御装置13から第1抑制指令を受信した場合、太陽電池2の出力電力Pを抑制させる。これにより、DC/DC変換回路121の出力電力が抑制されて、蓄電池11の充電電力が減少する。
【0034】
また、制御装置13は、充電率の上限値を記憶しており、蓄電池11から受信した充電率が当該上限値以上の場合、DC/DC変換装置12(制御回路122)に第2抑制指令を送信する。制御回路122は、制御装置13から第2抑制指令を受信した場合、太陽電池2の出力電力Pを抑制させる。このとき、制御回路122は、太陽電池2の出力電力Pを、パワーコンディショナ3の出力電力より小さくなるように抑制させる。これにより、DC/DC変換回路121の出力電力が抑制されて、蓄電池11は放電に転じるので、蓄電池11の充電率は減少する。
【0035】
図3は、太陽電池2の出力電力を制御する出力電力制御処理を説明するためのフローチャートである。出力電力制御処理は、DC/DC変換装置12の制御回路122が行うMPPT制御処理と、制御装置13が行う蓄電池状態検出処理とからなる。
【0036】
図3(a)は、制御装置13が行う蓄電池状態検出処理の一例を示すフローチャートである。当該蓄電池状態検出処理は、蓄電池11の状態を検出する処理であり、常時実行されている。
【0037】
まず、蓄電池11の充電電力が上限値以上であるか否かが判別される(S1)。具体的には、制御装置13が、蓄電池11から受信した充電電力と、あらかじめ記憶している充電電力の上限値とを比較し、充電電力が上限値以上であるか否かを判別する。充電電力が上限値未満である場合(S1:NO)、蓄電池11の充電率が上限値以上であるか否かが判別される(S3)。具体的には、制御装置13が、蓄電池11から受信した充電率と、あらかじめ記憶している充電率の上限値とを比較し、充電率が上限値以上であるか否かを判別する。充電率が上限値未満である場合(S2:NO)、ステップS1に戻って、ステップS1およびステップS3の判別が繰り返される。
【0038】
ステップS1において、充電電力が上限値以上である場合(S1:YES)、第1抑制指令が、制御回路122に送信され(S2)、ステップS1に戻る。ステップS3において、充電率が上限値以上である場合(S3:YES)、第2抑制指令が、制御回路122に送信され(S4)、ステップS1に戻る。
【0039】
図3(b)は、DC/DC変換装置12の制御回路122が行うMPPT制御処理の一例を示すフローチャートである。当該MPPT制御処理は、いわゆるMPPT制御を行いつつ、制御装置13から抑制指令を受信したときに抑制制御を行う制御処理である。当該MPPT制御処理は、DC/DC変換装置12が起動されたときに、実行が開始される。
【0040】
まず、目標値Vdc*に初期値V0が設定され、探索方向が設定される(S11)。本実施形態では、初期値V0として開放電圧Vocが設定されている。また、探索方向としては、目標値Vdc*を減少させる減少方向が設定される。なお、各設定はこれに限定されない。制御回路122は、目標値Vdc*に応じて制御を行い、太陽電池2の出力電圧Vdcが目標値Vdc*に制御される。次に、太陽電池2の出力電力Pが検出され、前回出力電力P0に設定される(S12)。 次に、制御装置13から抑制指令を受信したか否かが判別される(S13)。
【0041】
抑制指令を受信していない場合(S13:NO)、MPPT制御が行われる。まず、現在設定されている探索方向が減少方向であるか否かが判別される(S14)。探索方向が減少方向である場合(S14:YES)、目標値Vdc*が増減幅ΔVだけ減少され(S15)、探索方向が減少方向でない場合(S14:NO)、すなわち増加方向である場合、目標値Vdc*が増減幅ΔVだけ増加される(S16)。増減幅ΔVは、例えば開放電圧Vocや設定された分解能に応じて設定される。なお、増減幅ΔVの設定方法は限定されず、増減幅ΔVは、例えば固定値であってもよい。制御回路122は、目標値Vdc*に応じて制御を行い、太陽電池2の出力電圧Vdcが目標値Vdc*に制御される。次に、太陽電池2の出力電力Pが検出され、出力電力Pが前回出力電力P0より大きいか否かが判別される(S17)。出力電力Pが前回出力電力P0より大きい場合(S17:YES)、探索方向は変更されずに、前回出力電力P0に出力電力Pが設定されて(S19)、ステップS13に戻る。一方、出力電力Pが前回出力電力P0以下の場合(S17:NO)、最大電力点Mを超えたとして探索方向は反転される(S18)。すなわち、探索方向が減少方向であった場合には増加方向が設定され、探索方向が増加方向であった場合には減少方向が設定される。そして、前回出力電力P0に出力電力Pが設定されて(S19)、ステップS13に戻る。
【0042】
ステップS13において、抑制指令を受信した場合(S13:YES)、抑制制御が行われる。まず、目標値P*が設定される(S20)。目標値P*は、パワーコンディショナ3の出力電力などに応じて、適宜設定される。次に、太陽電池2の出力電力Pが検出され、出力電力Pが目標値P*以下であるか否かが判別される(S21)。出力電力Pが目標値P*より大きい場合(S21:NO)、目標値Vdc*が増減幅ΔVだけ増加され(S22)、ステップS21に戻る。なお、増減幅ΔVは、ステップS15,S16で用いられる増減幅ΔVと異なってもよい。一方、出力電力Pが目標値P*以下である場合(S21:YES)、出力電力Pが抑制されたので、ステップS13に戻る。
【0043】
つまり、制御回路122は、制御装置13から抑制指令を受信しないかぎり、MPPT制御(ステップS14~S19)を継続する。一方、制御回路122は、制御装置13から抑制指令を受信したときには、抑制制御(ステップS20~S22)を行って、出力電力Pが目標値P*に抑制されると、MPPT制御を再開する。
【0044】
なお、図3のフローチャートに示す処理は一例であって、制御回路122が行うMPPT制御処理、および、制御装置13が行う蓄電池状態検出処理は、上述したものに限定されない。例えば、MPPT制御は、従来知られた他の方法が採用されてもよい。また、抑制制御は、目標値Vdc*を所定電圧Vxに変更する方法などでもよい。
【0045】
図4は、電源システムBにおける電力の流れる方向を示す図である。図4の各図においては、電力の流れる方向を破線矢印で示している。図4(a)は、太陽電池2の出力電力がパワーコンディショナ3の出力電力より大きい場合を示している。この場合、太陽電池2の出力電力からパワーコンディショナ3の出力電力を減じた余剰電力が、蓄電池11に充電される。蓄電池11の充電電力が大きくなり上限値になった場合は、制御装置13から第1抑制指令が送信されて、太陽電池2の出力電力が抑制される。これにより、蓄電池11の充電電力が減少する。
【0046】
また、蓄電池11の充電率が大きくなり上限値になった場合は、制御装置13から第2抑制指令が送信されて、太陽電池2の出力電力が抑制される。この場合、太陽電池2の出力電力がパワーコンディショナ3の出力電力より小さくなり、図4(b)に示す状態になる。パワーコンディショナ3の出力電力を補うために、蓄電池11は放電に転じるので、蓄電池11の充電率は減少する。なお、日射強度が減少したり太陽電池2が雲の影に入った場合や、夜間、雨天時などに、太陽電池2の出力電力が減少またはゼロになった場合も、図4(b)に示す状態になる。
【0047】
図4(b)の状態で蓄電池11の放電が続き、蓄電池11の充電率が小さくなると、図4(c)に示すように、パワーコンディショナ3が交流電力を直流電力に変換して、蓄電池11に供給する状態になる。これにより、蓄電池11は充電されて、充電率が増加する。
【0048】
次に、本実施形態に係る蓄電池システムA1の作用効果について説明する。
【0049】
本実施形態によると、太陽電池2とパワーコンディショナ3との間にDC/DC変換回路121が接続されている。そして、DC/DC変換回路121とパワーコンディショナ3とを接続する直流バス4に、蓄電池11が接続されている。したがって、パワーコンディショナ3の入力電圧の変動幅は、太陽電池2の出力電圧の変動幅に関係なく、蓄電池11の出力電圧の変動幅に応じたものになる。蓄電池11の出力電圧の変動幅(例えば490V~590V)は、太陽電池2の出力電圧の変動幅(例えば0V~600V)より小さい。したがって、パワーコンディショナ3は、太陽電池2が直接接続される場合と比較して、スペックの低い部品を用いることができるので、コストを抑制可能である。
【0050】
また、本実施形態によると、制御装置13は、蓄電池11の充電電力が上限値以上の場合、DC/DC変換装置12(制御回路122)に第1抑制指令を送信する。制御回路122は、制御装置13から第1抑制指令を受信した場合、太陽電池2の出力電力Pを抑制させる。これにより、DC/DC変換回路121の出力電力が抑制されて、蓄電池11の充電電力が減少する。以上のように、蓄電池11の充電電力は、上限値を超えた状態が継続しないように制御される。また、制御装置13は、蓄電池11の充電率が上限値以上の場合、DC/DC変換装置12(制御回路122)に第2抑制指令を送信する。制御回路122は、制御装置13から第2抑制指令を受信した場合、太陽電池2の出力電力Pを抑制させる。このとき、制御回路122は、太陽電池2の出力電力Pを、パワーコンディショナ3の出力電力より小さくなるように抑制させる。これにより、DC/DC変換回路121の出力電力が抑制されて、蓄電池11は放電に転じるので、蓄電池11の充電率は減少する。以上のように、蓄電池11の充電率は、上限値を超えた状態が継続しないように制御される。
【0051】
また、本実施形態によると、DC/DC変換装置12は、太陽電池2側からパワーコンディショナ3側に電力を出力するが、パワーコンディショナ3側から太陽電池2側に電力を出力しない片方向型である。したがって、従来技術(特許文献1参照)のように双方向型のDC/DC変換装置を用いる場合と比較して、蓄電池システムA1のコストを抑制可能である。
【0052】
また、本実施形態によると、制御回路122および制御装置13が行う制御処理は、従来技術(特許文献1参照)における制御と比較して、簡易であり、演算量が少ない。したがって、制御回路122および制御装置13として演算処理能力の低いものを用いることができる。これにより、蓄電池システムA1のコストを抑制可能である。
【0053】
なお、本実施形態では、制御装置13が、充電電力の上限値との比較および充電率の上限値との比較の両方を行う場合について説明したが、これに限られない。制御装置13は、充電電力の上限値との比較および充電率の上限値との比較のいずれか一方のみを行ってもよい。また、制御装置13は、他の蓄電池情報を上限値または下限値と比較して、抑制指令を送信してもよい。また、本実施形態では、制御装置13が上限値と比較する場合について説明したが、制御装置13は、上限値より少し小さい値と比較してもよい。この場合、制御装置13は、充電電力および充電率が上限値に達する前に、抑制指令を送信できる。
【0054】
また、本実施形態では、制御装置13は、充電電力が上限値以上になったときと、充電率が上限値以上になったときとで、異なる抑制指令を送信し、制御回路122は受信した抑制指令に応じて、異なる抑制を行う場合について説明したが、これに限られない。制御装置13は、充電電力が上限値以上になったときと、充電率が上限値以上になったときとで、同じ抑制指令を送信し、制御回路122は同じ抑制を行ってもよい。
【0055】
また、本実施形態では、制御装置13が蓄電池11から受信した充電電力および蓄電率をそれぞれの上限値と比較する場合について説明したが、これに限られない。例えば、蓄電池11が、充電電力および蓄電率をそれぞれの上限値と比較してもよい。この場合、いずれかが上限値以上になった場合に、蓄電池11が制御装置13に抑制指令を出力してもよいし、蓄電池11が直接、DC/DC変換装置12に抑制指令を出力してもよい。また、蓄電池システムA1が制御装置13を備えず、蓄電池11が充電電力および蓄電率を制御回路122に送信し、制御回路122が蓄電池状態検出処理も行ってもよい。この場合、制御回路122が、本発明の「制御装置」を兼用する。
【0056】
図5図7は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。
【0057】
〔第2実施形態〕
図5は、第2実施形態に係る蓄電池システムA2を説明するためのブロック図であり、当該蓄電池システムA2を備えた電源システムBの全体構成を示している。本実施形態に係る蓄電池システムA2は、太陽電池2の出力電力の抑制方法が、第1実施形態に係る蓄電池システムA1と異なる。
【0058】
蓄電池システムA2は、開閉器15をさらに備えている。開閉器15は、直流バス4上の分岐線14との交点よりDC/DC変換回路121側に配置されている。制御装置13は、抑制指令をDC/DC変換装置12ではなく、開閉器15に送信する。開閉器15は、通常時は閉路されており、制御装置13から抑制指令を受信した場合に開放される。開閉器15が開放された場合、DC/DC変換回路121の出力電力は、開閉器15より下流側(パワーコンディショナ3および蓄電池11側)に流れず、DC/DC変換装置12の出力が抑制(停止)される。これにより、蓄電池11は放電に転じるので、蓄電池11の充電率は減少する。また、充電電力の増大も解消される。
【0059】
本実施形態においても、太陽電池2とパワーコンディショナ3との間にDC/DC変換回路121が接続され、直流バス4に蓄電池11が接続されている。したがって、パワーコンディショナ3の入力電圧の変動幅は、太陽電池2の出力電圧の変動幅に関係なく、蓄電池11の出力電圧の変動幅に応じたものになる。よって、パワーコンディショナ3は、太陽電池2が直接接続される場合と比較して、スペックの低い部品を用いることができるので、コストを抑制可能である。
【0060】
また、本実施形態によると、制御装置13は、蓄電池11の充電電力が上限値以上の場合、または、蓄電池11の充電率が上限値以上の場合、開閉器15に抑制指令を送信する。開閉器15は、制御装置13から抑制指令を受信した場合に開放される。これにより、DC/DC変換装置12の出力が抑制(停止)されるので、蓄電池11の充電率は減少し、充電電力の増大も解消される。以上のように、蓄電池11の充電電力および充電率は、上限値を超えた状態が継続しないように制御される。また、蓄電池システムA2は、蓄電池システムA1と共通する構成により、蓄電池システムA1と同等の効果を奏する。
【0061】
〔第3実施形態〕
図6は、第3実施形態に係る蓄電池システムA3を説明するためのブロック図であり、当該蓄電池システムA3を備えた電源システムBの全体構成を示している。なお、図6においては、電力系統Cおよび負荷Dの記載を省略している。また、DC/DC変換装置12の内部構成の記載を省略している。本実施形態に係る蓄電池システムA3は、DC/DC変換装置12を複数備えている点で、第1実施形態に係る蓄電池システムA1と異なる。
【0062】
蓄電池システムA3は、複数のDC/DC変換装置12を備えている。各DC/DC変換装置12は、第1実施形態に係るDC/DC変換装置12と同様のものであり、それぞれ、DC/DC変換回路121および制御回路122(図6においては省略)を備えている。各DC/DC変換装置12(DC/DC変換回路121)の出力側は互いに接続され、直流バス4を介してパワーコンディショナ3が接続されている。また、各DC/DC変換装置12(DC/DC変換回路121)は、それぞれ、入力側に太陽電池2が接続されている。本実施形態に係る各太陽電池2は、太陽電池アレイではなく、太陽電池ストリングである。すなわち、本実施形態に係る各太陽電池2は、第1実施形態に係る太陽電池2を太陽電池ストリング毎に分けたものである。各DC/DC変換装置12(制御回路122)は、それぞれ、接続された太陽電池2の出力電圧が設定された電圧になるように制御し、MPPT制御処理(図3(b)参照)を行う。制御装置13は、抑制指令を、すべてのDC/DC変換装置12(制御回路122)に送信する。各制御回路122は、制御装置13から第2抑制指令を受信した場合、すべての太陽電池2の出力電力Pの合計電力がパワーコンディショナ3の出力電力より小さくなるように、接続された太陽電池2の出力電力Pを抑制させる。
【0063】
本実施形態によると、各太陽電池2とパワーコンディショナ3との間に、それぞれDC/DC変換回路121が接続され、直流バス4に蓄電池11が接続されている。したがって、パワーコンディショナ3の入力電圧の変動幅は、各太陽電池2の出力電圧の変動幅に関係なく、蓄電池11の出力電圧の変動幅に応じたものになる。よって、パワーコンディショナ3は、各太陽電池2が直接接続される場合と比較して、スペックの低い部品を用いることができるので、コストを抑制可能である。
【0064】
また、本実施形態によると、制御装置13は、蓄電池11の充電電力が上限値以上の場合、各DC/DC変換装置12(制御回路122)に第1抑制指令を送信する。各制御回路122は、制御装置13から第1抑制指令を受信した場合、接続された太陽電池2の出力電力Pを抑制させる。これにより、各DC/DC変換回路121の出力電力が抑制されて、蓄電池11の充電電力が減少する。以上のように、蓄電池11の充電電力は、上限値を超えた状態が継続しないように制御される。また、制御装置13は、蓄電池11の充電率が上限値以上の場合、各DC/DC変換装置12(制御回路122)に第2抑制指令を送信する。各制御回路122は、制御装置13から第2抑制指令を受信した場合、接続された太陽電池2の出力電力Pを抑制させる。このとき、各制御回路122は、すべての太陽電池2の出力電力Pの合計電力がパワーコンディショナ3の出力電力より小さくなるように、接続された太陽電池2の出力電力Pを抑制させる。これにより、各DC/DC変換回路121の出力電力が抑制されて、蓄電池11は放電に転じるので、蓄電池11の充電率は減少する。以上のように、蓄電池11の充電率は、上限値を超えた状態が継続しないように制御される。また、蓄電池システムA3は、蓄電池システムA1と共通する構成により、蓄電池システムA1と同等の効果を奏する。
【0065】
さらに、本実施形態によると、各太陽電池2は太陽電池ストリングであり、それぞれがDC/DC変換装置12によってMPPT制御される。したがって、複数の太陽電池2の一部が雲などの部分影によって覆われた場合でも、部分影に覆われていない太陽電池2の出力は低下しない。また、太陽電池アレイに対してMPPT制御を行うときには、最大電力点Mが複数発生して、MPPT効率が低下する場合がある。一方、太陽電池ストリングである太陽電池2に対するMPPT制御では、最大電力点Mは複数発生しないので、MPPT効率の低下が抑制される。以上のように、本実施形態によると、太陽電池アレイを1個のDC/DC変換装置12でMPPT制御する場合と比較して、太陽電池2の出力の低下を抑制できる。
【0066】
なお、本実施形態では、各太陽電池2が太陽電池ストリングである場合について説明したが、これに限られない。各太陽電池2は、それぞれが太陽電池アレイであってもよい。
【0067】
〔第4実施形態〕
図7は、第4実施形態に係る蓄電池システムA4を説明するためのブロック図であり、当該蓄電池システムA4を備えた電源システムBの全体構成を示している。なお、図7においては、電力系統Cおよび負荷Dの記載を省略している。また、DC/DC変換装置12の内部構成の記載を省略している。本実施形態に係る蓄電池システムA4は、各太陽電池2の出力電力の抑制方法が、第3実施形態に係る蓄電池システムA3と異なる。
【0068】
蓄電池システムA4は、複数の開閉器15をさらに備えている。各開閉器15は、直流バス4と分岐線14との交点と各DC/DC変換装置12(DC/DC変換回路121)との間にそれぞれ配置されている。制御装置13は、抑制指令を各DC/DC変換装置12ではなく、複数の開閉器15の一部に送信する。本実施形態では、制御装置13は、充電電力および充電率のいずれが上限値以上になったかや、パワーコンディショナ3の出力電力などに応じて、抑制指令を送信する開閉器15の数を決定する。なお、制御装置13は、固定された数の開閉器15に、抑制指令を出力してもよい。各開閉器15は、通常時は閉路されており、制御装置13から抑制指令を受信した場合に開放される。開閉器15が開放された場合、DC/DC変換回路121の出力電力は、開閉器15より下流側(パワーコンディショナ3および蓄電池11側)に流れず、DC/DC変換装置12の出力が抑制(停止)される。これにより、開放された開閉器15の数に応じて、蓄電池11の充電電力が減少し、または、蓄電池11が放電に転じて充電率が減少する。
【0069】
本実施形態においても、各太陽電池2とパワーコンディショナ3との間に、それぞれDC/DC変換回路121が接続され、直流バス4に蓄電池11が接続されている。したがって、パワーコンディショナ3の入力電圧の変動幅は、各太陽電池2の出力電圧の変動幅に関係なく、蓄電池11の出力電圧の変動幅に応じたものになる。よって、パワーコンディショナ3は、各太陽電池2が直接接続される場合と比較して、スペックの低い部品を用いることができるので、コストを抑制可能である。
【0070】
また、本実施形態によると、制御装置13は、蓄電池11の充電電力が上限値以上の場合、または、蓄電池11の充電率が上限値以上の場合、複数の開閉器15の一部に抑制指令を送信する。各開閉器15は、制御装置13から抑制指令を受信した場合に開放される。これにより、開放された開閉器15の数に応じて、蓄電池11の充電電力が減少し、または、蓄電池11が放電に転じて充電率が減少する。以上のように、蓄電池11の充電電力および充電率は、上限値を超えた状態が継続しないように制御される。
【0071】
また、本実施形態においても、各太陽電池2は太陽電池ストリングであり、それぞれがDC/DC変換装置12によってMPPT制御される。したがって、太陽電池アレイを1個のDC/DC変換装置12でMPPT制御する場合と比較して、太陽電池2の出力の低下を抑制できる。また、蓄電池システムA4は、蓄電池システムA1と共通する構成により、蓄電池システムA1と同等の効果を奏する。
【0072】
本発明に係る蓄電池システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る蓄電池システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0073】
A1~A4:蓄電池システム、11:蓄電池、12:DC/DC変換装置、121:DC/DC変換回路、122:制御回路、13:制御装置、2:太陽電池、3:パワーコンディショナ、4:直流バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7