(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】印刷された可食体の製造方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
B41J 3/407 20060101AFI20240829BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240829BHJP
A61J 3/06 20060101ALI20240829BHJP
B41J 3/54 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B41J3/407
A23L5/00 Z
A61J3/06 Q
B41J3/54 Z
(21)【出願番号】P 2020186420
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000228110
【氏名又は名称】クオリカプス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲柳▼ 臣吾
(72)【発明者】
【氏名】松山 智一
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/199201(WO,A1)
【文献】特開2017-158947(JP,A)
【文献】特開2008-279060(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0081227(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/407
A23L 5/00
A61J 3/06
B41J 3/54
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可食体に印刷することにより印刷可食体を製造する方法であって、
可食体を搬送する搬送工程と、
搬送された可食体に対してマーキングパターンを形成するマーキング工程とを備え、
前記マーキング工程は、可食体に対してインクジェット印刷を行うことにより第1の印刷パターンを形成するインクジェット印刷工程と、可食体に対してレーザ印刷を行うことにより第2の印刷パターンを形成するレーザ印刷工程とを備えており、
前記第1の印刷パターンと前記第2の印刷パターンとの合成により前記マーキングパターンが形成され
、
前記マーキング工程は、前記インクジェット印刷工程の後に、前記レーザ印刷工程を行い、
前記レーザ印刷工程は、前記第1の印刷パターンに生じた印刷欠けによる欠陥部を補完するように前記第2の印刷パターンを形成する印刷可食体の製造方法。
【請求項2】
前記マーキング工程は、前記レーザ印刷工程を行う前に前記第1の印刷パターンの前記欠陥部を検出する印刷欠け検出工程を更に備え、
前記レーザ印刷工程は、前記欠陥部の検出に基づき前記第2の印刷パターンを形成する請求項
1に記載の印刷可食体の製造方法。
【請求項3】
可食体に印刷することにより印刷可食体を製造する装置であって、
可食体を搬送する搬送装置と、
搬送された可食体に対してマーキングパターンを形成するマーキング装置とを備え、
前記マーキング装置は、可食体に対してインクジェット印刷を行うことにより第1の印刷パターンを形成するインクジェット印刷装置と、可食体に対してレーザ印刷を行うことにより第2の印刷パターンを形成するレーザ印刷装置とを備えており、
前記第1の印刷パターンと前記第2の印刷パターンとの合成により前記マーキングパターンが形成され
、
前記マーキング装置は、前記インクジェット印刷装置により前記第1の印刷パターンを形成した後に、前記レーザ印刷装置により前記第2の印刷パターンを形成し、
前記レーザ印刷装置は、前記第1の印刷パターンに生じた印刷欠けによる欠陥部を補完するように前記第2の印刷パターンを形成する印刷可食体の製造装置。
【請求項4】
前記マーキング装置は、前記レーザ印刷装置により前記第2の印刷パターンを形成する前に前記第1の印刷パターンの前記欠陥部を検出する印刷欠け検出装置を更に備え、
前記レーザ印刷装置は、前記欠陥部の検出に基づき前記第2の印刷パターンを形成する請求項3に記載の印刷可食体の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷された可食体の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤やカプセル剤等の可食体を搬送装置により搬送して、可食体の表面にインクジェット方式によるマーキングパターンを形成することが、従来から行われている(例えば、特許文献1)。インクジェット方式は、インクの種類や印刷する線の太さ等を任意に設定可能であり、視認性の良い印刷が可能である一方で、印刷ヘッドの汚れや目詰まりが発生すると、インクが吐出されずに印刷欠け等が発生するおそれがあった。
【0003】
可食体への印刷方式としては、可食体の表面にレーザ光を照射するレーザ印刷方式も従来から知られている(例えば、特許文献2)。レーザ印刷方式は、インクジェット方式と比較して印刷安定性が優れており、高い歩留まりが得られる一方で、印刷の視認性についてはインクジェット方式に劣るのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-186783号公報
【文献】特開2008-126309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、印刷の視認性を良好に維持しつつ歩留まりを向上させることができる印刷可食体の製造方法および装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、可食体に印刷することにより印刷可食体を製造する方法であって、可食体を搬送する搬送工程と、搬送された可食体に対してマーキングパターンを形成するマーキング工程とを備え、前記マーキング工程は、可食体に対してインクジェット印刷を行うことにより第1の印刷パターンを形成するインクジェット印刷工程と、可食体に対してレーザ印刷を行うことにより第2の印刷パターンを形成するレーザ印刷工程とを備えており、前記第1の印刷パターンと前記第2の印刷パターンとの合成により前記マーキングパターンが形成され、前記マーキング工程は、前記インクジェット印刷工程の後に、前記レーザ印刷工程を行い、前記レーザ印刷工程は、前記第1の印刷パターンに生じた印刷欠けによる欠陥部を補完するように前記第2の印刷パターンを形成する印刷可食体の製造方法により達成される。
【0007】
この印刷可食体の製造方法において、前記マーキング工程は、前記レーザ印刷工程を行う前に前記第1の印刷パターンの前記欠陥部を検出する印刷欠け検出工程を更に備えることが好ましく、前記レーザ印刷工程は、前記欠陥部の検出に基づき前記第2の印刷パターンを形成することができる。
【0009】
また、本発明の前記目的は、可食体に印刷することにより印刷可食体を製造する装置であって、可食体を搬送する搬送装置と、搬送された可食体に対してマーキングパターンを形成するマーキング装置とを備え、前記マーキング装置は、可食体に対してインクジェット印刷を行うことにより第1の印刷パターンを形成するインクジェット印刷装置と、可食体に対してレーザ印刷を行うことにより第2の印刷パターンを形成するレーザ印刷装置とを備えており、前記第1の印刷パターンと前記第2の印刷パターンとの合成により前記マーキングパターンが形成され、前記マーキング装置は、前記インクジェット印刷装置により前記第1の印刷パターンを形成した後に、前記レーザ印刷装置により前記第2の印刷パターンを形成し、前記レーザ印刷装置は、前記第1の印刷パターンに生じた印刷欠けによる欠陥部を補完するように前記第2の印刷パターンを形成する印刷可食体の製造装置により達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、印刷の視認性を良好に維持しつつ歩留まりを向上させることができる印刷可食体の製造方法および装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る印刷可食体の製造装置の概略構成図である。
【
図2】
図1に示す印刷可食体の製造装置の要部断面図である。
【
図3】
図1に示す印刷可食体の製造装置による印刷可食体の製造方法の要部を説明するためのフローチャートである。
【
図4】マーキングパターンの一例を模式的に示す図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る印刷可食体の製造装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、 本発明の一実施形態に係る印刷可食体の製造装置の概略構成図である。
図1に示すように、印刷可食体の製造装置1は、可食体を供給する供給装置10と、供給装置10から供給される可食体を搬送する搬送装置30と、搬送装置30により搬送される可食体に対してマーキングパターンを形成するマーキング装置40とを備えており、可食体への印刷により印刷可食体を製造することができる。可食体は、錠剤、カプセル剤、空カプセル、タブレット状食品等の定形性を有するものを好ましく例示することができる。本実施形態においては、印刷対象となる可食体として偏平な錠剤を使用する。
【0013】
図2に示すように、供給装置10は、可食体Eを貯留するホッパ11と、駆動モータやバイブレータ等の駆動源12により駆動されて振動する振動板13と、振動板13に固定されて振動板13と一体的に振動する複数の振動ガイド部材14と、可食体Eを供給する供給ロール20と、可食体Eを供給ロール20に向けて案内する複数のガイド板15とを備えている。
【0014】
複数の振動ガイド部材14は、供給ロール20の軸方向に沿って間隔をあけて配置されており、それぞれの間に供給された可食体Eを、矢示A方向の振動により複数のガイド板15に向けて搬送する。複数のガイド板15は、振動ガイド部材14と供給ロール20との間に若干の隙間をあけて介在されており、それぞれ供給ロール20の軸方向に間隔をあけて、ホッパ11内に固定されている。
【0015】
供給ロール20は、軸方向および周方向にそれぞれ複数形成されたポケット21を備えており、振動ガイド部材14から搬送された可食体Eが、各ガイド板15の間を通過してポケット21に収容される。供給ロール20の各ポケット21の底部は、径方向内方に延びる連通路22を介して、軸方向に延びる吸引路23に連通されている。各ポケット21は、供給ロール20の矢示B方向の回転によりガイド板15を通過する間、吸引路23が吸引シュー24に一致して、収容された可食体Eが吸引保持される。
【0016】
ポケット21に収容された可食体Eは、供給ロール20の回転によりガイド板15を通過すると、吸引保持およびガイド板15による縁部の保持がいずれも解除されつつ、ポケット21からの可食体Eの飛び出しがブラシロール16によって防止される。ブラシロール16を通過した可食体Eは、供給ロール20の外周面を部分的に覆うように配置された側面視円弧状の規制ガイド26(
図1参照)によって、強制的に横倒される。ポケット21内での可食体Eの横倒は、規制ガイド26よりも搬送方向上流側で、ブラシロール16により行うこともできる。横倒された可食体Eは、表裏面の一方を露出した状態で供給ロール20により搬送される。
【0017】
図1に示すように、搬送装置30は、矢示方向に回転駆動されるロールからなり、供給ロール20と同様に、外周方向および軸方向に沿って複数のポケット(図示せず)が形成され、各ポケットは吸引路(図示せず)に接続されている。この吸引路は、可食体の受取位置31の近傍から引渡位置32の近傍まで設定された吸引シュー(図示せず)により吸引されて、横倒姿勢でポケットに収容された可食体を負圧により吸着する。搬送装置30は、可食体の表面を露出させた状態で搬送する。本実施形態の搬送装置30は、可食体を軸方向に複数列で保持し、各列の可食体をマーキング装置40で印刷するように構成しているが、可食体を軸方向に単列で保持する構成であってもよい。
【0018】
マーキング装置40は、搬送装置30の近傍に搬送方向に沿って順次設けられた可食体検出装置41、インクジェット印刷装置42、印刷欠け検出装置43、レーザ印刷装置44および印刷検査装置45を備えている。これらの作動は制御装置46により制御される。
【0019】
可食体検出装置41は、例えばCCDカメラからなり、搬送装置30により搬送される可食体の露出面を撮像して、撮像データを取得する。制御装置46は、取得された撮像データに基づいて可食体の輪郭等から可食体の位置情報を取得し、可食体の位置情報および搬送速度から、インクジェット印刷装置42、印刷欠け検出装置43、レーザ印刷装置44および印刷検査装置45を可食体が通過するタイミングを演算して、それぞれの作動を制御する。可食体検出装置41は、可食体が割線等の特徴部を有する場合には、可食体の位置情報に加えて、特徴部の向き情報を取得してもよい。
【0020】
インクジェット印刷装置42は、多数のノズルを有する印刷ヘッドを備える公知の構成であり、所定位置に搬送された可食体の露出面にインクジェット方式による印刷を行い、第1の印刷パターンを形成する。第1の印刷パターンは、予め設定されて制御装置46の記憶部に記憶されている文字、図形、記号等のマーキングパターンに基づいて形成される。可食体検出装置41が位置情報と共に特徴部の向き情報を取得する場合には、第1の印刷パターンを特徴部に沿って形成することができる。
【0021】
印刷欠け検出装置43は、例えばCCDカメラからなり、第1の印刷パターンが形成された可食体を撮像する。制御装置46は、撮像された第1の印刷パターンを、予め設定されたマーキングパターンと照合し、撮像された第1の印刷パターンに印刷欠けによる欠陥部が生じている場合には、この欠陥部の位置および大きさを特定して、欠陥部に対応する領域を記憶部に記憶する。
【0022】
レーザ印刷装置44は、光源から出射されたレーザ光をスキャニングして可食体の表面に第2の印刷パターンを形成する装置であり、本実施形態においては、可食体の表面にUVレーザ光を照射することにより、可食体の表面に分散された酸化チタン等の変色誘起物を変色させて、第2の印刷パターンを形成する。制御装置46は、予め設定されたマーキングパターンにおいて、印刷欠け検出装置43が検出した欠陥部に対応する部分を抽出し、この欠陥部を補完するように第2の印刷パターンを形成する。レーザ印刷装置44は、可食体の表面にレーザ光を照射してマーキング可能なレーザ印刷方式であれば特に限定されず、例えばCO2レーザ光を照射し、熱エネルギーにより可食体の表面を変性または剥離(食刻)させて、第2の印刷パターンを形成する構成であってもよい。
【0023】
印刷検査装置45は、例えばCCDカメラからなり、可食体の露出面を撮像して、撮像データを取得する。制御装置46は、取得された撮像データに基づき、可食体に形成されたマーキングパターンを予め設定されたマーキングパターンと照合してマーキングの良否判定を行い、良品のみを後工程で抽出する。印刷検査装置45を通過した可食体は、引渡位置32で搬送装置30による吸着が解除されて、不図示の吸着ローラやシュータ等により後工程に送られる。
【0024】
上記の構成を備える印刷可食体の製造装置1は、可食体を搬送装置30により搬送する搬送工程と、搬送された可食体に対してマーキング装置40によりマーキングパターンを形成するマーキング工程とを行うことにより、印刷可食体を製造することができる。
【0025】
図3は、マーキング工程を説明するためのフローチャートである。
図3に示すように、マーキング工程は、まず、インクジェット印刷装置42により可食体に対してインクジェット印刷を行うことにより、第1の印刷パターンを形成するインクジェット印刷工程を行う(ステップS1)。例えば、インクジェット印刷装置42は、「QJP」のマーキングパターンに基づき、
図4(a)に示す第1の印刷パターンP1を形成する。
【0026】
印刷欠け検出装置43は、可食体に形成された第1の印刷パターンP1の印刷欠けによる欠陥部を検出する印刷欠け検出工程を行う(ステップS2)。
図4(a)に示すように、第1の印刷パターンP1に欠陥部D1~D6が生じている場合には、印刷欠け検出装置43がこれらの欠陥部D1~D6を検出する(ステップS3)。
【0027】
レーザ印刷装置44は、欠陥部D1~D6の検出に基づき、それぞれの欠陥部D1~D6に対応する領域に、
図4(b)に示すように、第2の印刷パターンP2を形成するレーザ印刷工程を行う(ステップS4)。こうして、第1の印刷パターンP1と第2の印刷パターンP2との合成により、マーキングパターンPが形成される。第1の印刷パターンP1と第2の印刷パターンP2との合成は、第2の印刷パターンP2を少なくとも欠陥部D1~D6に形成して行うことができる。すなわち、第2の印刷パターンP2は、欠陥部D1~D6にのみ形成してもよく、あるいは、欠陥部D1~D6に形成すると共に第1の印刷パターンP1に重なるように形成してもよい。
【0028】
一方、第1の印刷パターンP1に欠陥部が生じていない場合には、ステップS4によるレーザ印刷工程を行わずに、マーキング工程を終了する。この場合は、
図4(c)に示すように、第1の印刷パターンP1のみによってマーキングパターンPが形成される。
【0029】
本実施形態の印刷可食体の製造方法によれば、第1の印刷パターンP1に印刷欠けが生じない場合には、
図4(c)に示すように、インクジェット印刷による鮮明なマーキングパターンPを形成することができる。一方、第1の印刷パターンP1に印刷欠けが生じた場合でも、
図4(b)に示すように、印刷欠けが生じた部分のみがレーザ印刷による第2の印刷パターンP2で補完されるため、マーキングパターンPの全体としての視認性を良好に維持しつつ、印刷欠けによる印刷不良を防止して歩留まりを高めることができる。
【0030】
図4(d)は、
図4(b)との比較参考用に、レーザ印刷による第2の印刷パターンP2のみで形成したマーキングパターンPを示している。
図4(b)に示すマーキングパターンPは、
図4(d)に示すマーキングパターンPと比較して、大部分がインクジェット印刷により太く且つ濃い線で形成されており、印刷の視認性において優れている。
【0031】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態の印刷可食体の製造装置1は、搬送装置30およびマーキング装置40によって可食体の一方面に印刷するように構成しているが、搬送装置30の引渡位置32で可食体を受け取ってマーキングパターンを形成するように、搬送装置30およびマーキング装置40と同様の構成を備える別の搬送装置およびマーキング装置を設けることにより、可食体の両面に印刷することもできる。
【0032】
また、搬送装置30は、可食体を被印刷面が露出するように保持して搬送可能な構成であれば特に限定されないが、第1の印刷パターンP1と第2の印刷パターンP2との合成を精度良く行うことができるように、可食体の姿勢を維持したままインクジェット印刷装置42およびレーザ印刷装置44を通過するように構成されていることが好ましい。このような搬送装置30としては、本実施形態のような吸着ロール以外に、可食体を一対の挟持ベルト間に挟持して搬送する構成を例示することができる。
【0033】
図1に示す本実施形態の印刷可食体の製造装置1は、印刷欠け検出装置43の検出に基づいて第2の印刷パターンP2を形成することにより、第1の印刷パターンP1に生じた印刷欠けによる欠陥部D1~D6を補完するように構成しているが、印刷欠け検出装置43は本発明において必須のものではなく、印刷欠け検出装置43を備えない構成にすることもできる。印刷欠けの主な原因であるインクジェット印刷装置42の印刷ヘッドの汚れや目詰まり等の問題は、クリーニング等を行わない限り解消されない場合が多いため、可食体の第1の印刷パターンP1に欠陥部が一旦生じると、その後に印刷される可食体についても同じ形状・大きさの欠陥部が同じ個所に生じ易い傾向にある。したがって、第1の印刷パターンP1の欠陥部の検出を例えば印刷検査装置45により行い、制御部46が、印刷検査装置45の撮像データに基づき欠陥部を補完するようにレーザ印刷装置44の作動を制御することで、不良品の発生を最小限に抑制しつつ、印刷の視認性を良好に維持することができる。この場合、欠陥部の検出は、印刷検査装置45以外に別途設けた撮像装置等で行ってもよく、あるいは、作業者が目視により特定した欠陥部の位置や形状等を制御部46に入力して行ってもよい。
【0034】
本実施形態のマーキング装置40は、インクジェット印刷工程を行った後にレーザ印刷工程を行うように、インクジェット印刷装置42およびレーザ印刷装置44をそれぞれ配置しているが、
図5に示すように、レーザ印刷装置44をインクジェット印刷装置42の搬送方向上流側に配置することにより、レーザ印刷工程の後に、インクジェット印刷工程を行うように構成してもよい。なお、
図5において
図1と同様の構成部分には同一の符号を付している。
【0035】
図5に示す印刷可食体の製造装置1’は、レーザ印刷装置44により第2の印刷パターンP2を形成した後に、インクジェット印刷装置42により第1の印刷パターンP1を形成できるので、上記と同様に、第1の印刷パターンP1に実際に印刷欠けが生じるおそれのある箇所を、第2の印刷パターンP2で予め補完することができる。また、第2の印刷パターンP2に第1の印刷パターンP1を重畳させることができるため、例えば、印刷欠けが生じる箇所よりも広い範囲に第2の印刷パターンP2を形成したり、あるいは、マーキングパターンPの全体を第2の印刷パターンP2により形成してから第2の印刷パターンP2に第1の印刷パターンP1を重ねることが可能であり、欠陥部を確実に補完することができる。
【符号の説明】
【0036】
1,1’ 印刷可食体の製造装置
10 供給装置
30 搬送装置
40 マーキング装置
41 可食体検出装置
42 インクジェット印刷装置
43 印刷欠け検出装置
44 レーザ印刷装置
45 印刷検査装置
E 可食体
P マーキングパターン
P1 第1の印刷パターン
P2 第2の印刷パターン
D1~D6 欠陥部