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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】浄水処理方法および浄水処理システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20230101AFI20240829BHJP
   B01D 71/02 20060101ALI20240829BHJP
   C02F 1/52 20230101ALI20240829BHJP
   B01D 29/66 20060101ALI20240829BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C02F1/44 D
B01D71/02
C02F1/52 Z
B01D29/38 520A
B01D61/58
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020199945
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2022087855
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 桂史
(72)【発明者】
【氏名】西本 信太郎
(72)【発明者】
【氏名】上中 哲也
(72)【発明者】
【氏名】松永 晃
(72)【発明者】
【氏名】布 光昭
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-213875(JP,A)
【文献】特開2006-272218(JP,A)
【文献】特開平07-148488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/44
B01D61/00-71/82
C01F1/52-1/56
B01D29/00-29/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を第一ろ過装置でろ過処理して第一浄水を得る第一ろ過工程と、
第一浄水を用いて第一ろ過装置を逆洗する第一逆洗工程と、
第一逆洗工程において第一ろ過装置から排出された逆洗排水を第二ろ過装置でろ過処理して第二浄水を得る第二ろ過工程とを有する浄水処理方法であって、
第一逆洗工程から次の第一逆洗工程までの時間間隔を逆洗サイクルとし、
第一ろ過工程で得られた第一浄水の量と第二ろ過工程で得られた第二浄水の量とを足し合せた合計浄水量から第一逆洗工程で消費された第一浄水の量を差し引いた値を水収支とすると、
原水の水質又は第一ろ過装置のろ過抵抗に応じて逆洗サイクルの長さを調節し、
各逆洗サイクルにおける水収支の単位時間当たりの平均値が一定となるように、第二ろ過装置から得られる第二浄水の単位時間当りの量を調節して運転することを特徴とする浄水処理方法。
【請求項2】
第一ろ過工程において、第一ろ過装置のろ過運転時に得られる第一浄水の単位時間当りの量を一定にすることを特徴とする請求項1に記載の浄水処理方法。
【請求項3】
第一ろ過装置は、ケーシング内に形成された閉鎖的空間にろ過膜を収納したケーシング収納型の膜ろ過装置であり、
第二ろ過装置は、ハウジング内に形成された開放的空間にろ過膜を収納し、排水槽に貯留された逆洗排水中にハウジングとろ過膜とを浸漬した浸漬型の膜ろ過装置であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の浄水処理方法。
【請求項4】
第一ろ過装置および第二ろ過装置はそれぞれセラミックス製のろ過膜を有していることを特徴とする請求項3に記載の浄水処理方法。
【請求項5】
第一ろ過工程で得られた第一浄水中のマンガンをマンガン除去装置で除去するマンガン除去工程と、
マンガン除去工程を経た第一浄水を用いてマンガン除去装置を逆洗する第二逆洗工程とを有し、
第二ろ過工程では、第一逆洗工程において第一ろ過装置から排出された逆洗排水および第二逆洗工程においてマンガン除去装置から排出された逆洗排水を第二ろ過装置でろ過処理して第二浄水を得ることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の浄水処理方法。
【請求項6】
第一ろ過工程において、凝集剤を添加してフロックが形成された原水を第一ろ過装置でろ過処理することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の浄水処理方法。
【請求項7】
上記請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の浄水処理方法を行う浄水処理システムであって、
原水をろ過処理して第一浄水を得る第一ろ過装置と、
第一浄水を貯留する浄水貯留部と、
浄水貯留部の第一浄水を用いて第一ろ過装置を逆洗したときに第一ろ過装置から排出された逆洗排水をろ過処理して第二浄水を得る第二ろ過装置と、
制御部とを有し、
制御部は、原水の水質又は第一ろ過装置のろ過抵抗に応じて逆洗サイクルの長さを調節し、且つ、各逆洗サイクルにおける水収支の単位時間当たりの平均値が一定となるように、第二ろ過装置から得られる第二浄水の単位時間当りの量を調節して運転を制御することを特徴とする浄水処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原水をろ過処理して浄水を得る浄水処理方法および浄水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の浄水処理システムとしては、浄水の回収率を高めるために、例えば図10に示すように、原水201を貯留する原水タンク202と、原水タンク202の原水201をろ過処理して浄水203を得る一段目膜ろ過装置204と、浄水203を貯留する浄水タンク205と、浄水タンク205内の浄水203を用いて一段目膜ろ過装置204を逆洗したときに一段目膜ろ過装置204から排出された逆洗排水206を貯留する逆洗排水受槽207と、逆洗排水受槽207内の逆洗排水206をろ過処理して浄水203を得る二段目膜ろ過装置208とを有しているものがある。
【0003】
尚、二段目膜ろ過装置208は逆洗排水受槽207内の逆洗排水206中に浸漬されている。また、一段目膜ろ過装置204で得られた浄水203は、浄水タンク205に貯留され、浄水タンク205内から配水区域に配水される。さらに、二段目膜ろ過装置208で得られた浄水203は浄水回収配管209から取り出されて浄水タンク205に回収される。
【0004】
これによると、原水201が原水タンク202から原水供給配管211を経て一段目膜ろ過装置204に導入され、一段目膜ろ過装置204でろ過処理することによって得られた浄水203が浄水取出配管212を経て浄水タンク205内に貯留される。
【0005】
そして、一段目膜ろ過装置204に対して所定時間おきに浄水203を逆流させて逆洗を行い、この際に一段目膜ろ過装置204から排出された逆洗排水206が逆洗排水送り配管213を経て逆洗排水受槽207に供給される。逆洗排水受槽207内の逆洗排水206を二段目膜ろ過装置208でろ過処理することによって得られた浄水203が一定量ずつ浄水回収配管209を通って浄水タンク205に回収される。
【0006】
このように、一段目膜ろ過装置204から排出された逆洗排水206から浄水203を得ることにより、原水量に対する浄水量の回収率が向上する。
【0007】
尚、上記のような浄水処理システムは例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2006-272218
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上記の従来形式では、一段目膜ろ過装置204に対して所定時間おきに浄水203を逆流させて逆洗を行っているが、例えば原水201の濁度が急激に上昇した場合、一段目膜ろ過装置204が短時間で目詰まりしてしまうため、逆洗と次の逆洗との時間間隔を短縮して逆洗を行う頻度(回数)を増やす必要がある。しかしながら、逆洗の頻度の増加に伴って、一段目膜ろ過装置204から逆洗排水受槽207に供給される逆洗排水206の供給量も増加し、浄水タンク205内の浄水量が急激に減少し、浄水タンク205内から配水区域に配水される浄水203の量が減少することがある。
【0010】
本発明は、原水の水質等によって逆洗を行う頻度が変化しても、一定量の浄水を配水区域に安定して配水することができる浄水処理方法および浄水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本第1発明は、原水を第一ろ過装置でろ過処理して第一浄水を得る第一ろ過工程と、
第一浄水を用いて第一ろ過装置を逆洗する第一逆洗工程と、
第一逆洗工程において第一ろ過装置から排出された逆洗排水を第二ろ過装置でろ過処理して第二浄水を得る第二ろ過工程とを有する浄水処理方法であって、
第一逆洗工程から次の第一逆洗工程までの時間間隔を逆洗サイクルとし、
第一ろ過工程で得られた第一浄水の量と第二ろ過工程で得られた第二浄水の量とを足し合せた合計浄水量から第一逆洗工程で消費された第一浄水の量を差し引いた値を水収支とすると、
原水の水質又は第一ろ過装置のろ過抵抗に応じて逆洗サイクルの長さを調節し、
各逆洗サイクルにおける水収支の単位時間当たりの平均値が一定となるように、第二ろ過装置から得られる第二浄水の単位時間当りの量を調節して運転するものである。
【0012】
これによると、第二ろ過工程において、第一逆洗工程で第一ろ過装置から排出された逆洗排水を第二ろ過装置でろ過処理して第二浄水を得るため、原水量に対する浄水量の回収率が向上する。
【0013】
また、原水の水質等によって第一逆洗工程を実行する頻度が変化しても、各逆洗サイクルにおける水収支の単位時間当たりの平均値が一定に保たれるため、一定量の浄水を配水区域に安定して配水することができる。
【0014】
本第2発明における浄水処理方法は、第一ろ過工程において、第一ろ過装置のろ過運転時に得られる第一浄水の単位時間当りの量を一定にするものである。
本第3発明における浄水処理方法は、第一ろ過装置は、ケーシング内に形成された閉鎖的空間にろ過膜を収納したケーシング収納型の膜ろ過装置であり、
第二ろ過装置は、ハウジング内に形成された開放的空間にろ過膜を収納し、排水槽に貯留された逆洗排水中にハウジングとろ過膜とを浸漬した浸漬型の膜ろ過装置である。
【0015】
本第発明における浄水処理方法は、第一ろ過装置および第二ろ過装置はそれぞれセラミックス製のろ過膜を有しているものである。
【0016】
本第発明における浄水処理方法は、第一ろ過工程で得られた第一浄水中のマンガンをマンガン除去装置で除去するマンガン除去工程と、
マンガン除去工程を経た第一浄水を用いてマンガン除去装置を逆洗する第二逆洗工程とを有し、
第二ろ過工程では、第一逆洗工程において第一ろ過装置から排出された逆洗排水および第二逆洗工程においてマンガン除去装置から排出された逆洗排水を第二ろ過装置でろ過処理して第二浄水を得るものである。
【0017】
これによると、原水量に対する浄水量の回収率を向上させることができるとともに、第一浄水中のマンガンをマンガン除去装置で除去することができる。
【0018】
本第発明における浄水処理方法は、第一ろ過工程において、凝集剤を添加してフロックが形成された原水を第一ろ過装置でろ過処理するものである。
【0019】
本第発明は、上記第1発明から第発明のいずれか1項に記載の浄水処理方法を行う浄水処理システムであって、
原水をろ過処理して第一浄水を得る第一ろ過装置と、
第一浄水を貯留する浄水貯留部と、
浄水貯留部の第一浄水を用いて第一ろ過装置を逆洗したときに第一ろ過装置から排出された逆洗排水をろ過処理して第二浄水を得る第二ろ過装置と、
制御部とを有し、
制御部は、原水の水質又は第一ろ過装置のろ過抵抗に応じて逆洗サイクルの長さを調節し、且つ、各逆洗サイクルにおける水収支の単位時間当たりの平均値が一定となるように、第二ろ過装置から得られる第二浄水の単位時間当りの量を調節して運転を制御するものである。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明によると、原水の水質等によって第一逆洗工程を実行する頻度が変化しても、各逆洗サイクルにおける水収支の単位時間当たりの平均値が一定に保たれるため、一定量の浄水を配水区域に安定して配水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施の形態における浄水処理システムの図であり、第一および第二ろ過工程を行っているときの水の流れを示す。
図2】同、浄水処理システムに備えられた第一ろ過装置の断面図である。
図3】同、浄水処理システムに備えられた第一ろ過装置の膜エレメントの斜視図である。
図4】同、浄水処理システムに備えられた第二ろ過装置の断面図である。
図5】同、浄水処理システムの図であり、第一逆洗工程を行っているときの水の流れを示す。
図6】同、浄水処理システムの運転時間と各工程における浄水の1時間当りの水量とを示すグラフである。
図7】本発明の第2の実施の形態における浄水処理システムの図であり、第一および第二ろ過工程とマンガン除去工程とを行っているときの水の流れを示す。
図8】同、浄水処理システムの図であり、第一逆洗工程を行っているときの水の流れを示す。
図9】同、浄水処理システムの図であり、第二逆洗工程を行っているときの水の流れを示す。
図10】従来の浄水処理システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、図1に示すように、1は原水2をろ過処理して浄水3を得る浄水処理システムである。浄水処理システム1は、原水2を貯留する原水貯留部8と、原水貯留部8の原水2をろ過処理して第一浄水9を得る第一ろ過装置10と、第一浄水9を貯留する浄水池11(浄水貯留部の一例)と、浄水池11の第一浄水9の一部を取り出して加圧する加圧タンク16と、浄水池11内の第一浄水9を利用して第一ろ過装置10を逆洗したときに第一ろ過装置10から排出された逆洗排水12を貯留する排水槽13と、排水槽13内の逆洗排水12をろ過処理して第二浄水14を得る第二ろ過装置15と、制御部(図示省略)とを有している。尚、浄水池11に貯留されている浄水3は第一浄水9と第二浄水14とが混合されたものである。
【0024】
原水貯留部8は着水井19と混和池20とを有している。混和池20には、原水2に凝集剤21を添加する凝集剤添加部22と、凝集剤21を添加した原水2を攪拌する攪拌装置23とが備えられている。原水2は、外部から着水井19に供給され、着水井19から混和池20に流入する。混和池20内の原水2に凝集剤21を添加して攪拌することにより、原水2中に多数のフロックが生成される。
【0025】
図2図3に示すように、第一ろ過装置10は、ケーシング26内に形成された閉鎖的空間27に膜エレメント28(ろ過膜の一例)を収納したケーシング収納型の膜ろ過装置であり、供給された原水2の全量をろ過する
膜エレメント28は、略直方体形状をなす複数のセラミックス成形体29からなり、接合材層30を介して多孔質体のセラミックス成形体29同士を接合してなる。膜エレメント28には、複数本の貫通流路31が両端面32,33の間を貫通して形成されている。貫通流路31の内面側が一次側をなし、膜エレメント28の外面側が二次側をなす。
【0026】
膜エレメント28には、複数のスリット34が形成されている。スリット34は、貫通流路31の軸心方向に延びており、膜エレメント28の側面35に開口する溝状をなし、スリット34の両端が膜エレメント28の端面32、33の近傍で閉じている。
【0027】
ケーシング26は、上部に上部一次側室37が形成され、下部に下部一次側室38が形成されている。上部一次側室37において膜エレメント28の上端部が露出し、下部一次側室38において膜エレメント28の下端部が露出し、貫通流路31が上部一次側室37および下部一次側室38に連通している。
【0028】
下部一次側室38は原水流入口39を有し、上部一次側室37は加圧空気流入口40を有している。また、ケーシング26は浄水流出口41を有し、浄水流出口41が膜エレメント28の二次側を囲む空間に連通している。
【0029】
図4に示すように、第二ろ過装置15は、ハウジング43内に形成された開放的空間44に、複数本の管状の膜エレメント45を収納し、排水槽13に貯留された逆洗排水12中にハウジング43と膜エレメント45とを浸漬した浸漬型の膜ろ過装置である。
【0030】
ハウジング43は断面が矩形をなして上端および下端が開口し、内部に開放的空間44を形成している。
【0031】
各膜エレメント45は、セラミックス製の多孔質管状の支持体46の表面にろ過膜47を形成したものであり、軸心方向(長さ方向)を水平方向に沿わせて配置され、所定間隔をあけて平行に並べられている。また、膜エレメント45の下方には、散気量を調整可能な散気装置48を備えている。散気装置48にはブロア49が接続されている。
【0032】
図1に示すように、混和池20と第一ろ過装置10の原水流入口39との間には原水供給管路51が接続され、原水供給管路51には原水供給用ポンプ52と第1弁53とが設けられている。
【0033】
第一ろ過装置10の浄水流出口41と浄水池11との間には浄水管路55が接続され、浄水管路55には第2弁56が設けられている。
【0034】
浄水池11と加圧タンク16との間には浄水取出管路57が接続され、浄水取出管路57には浄水取出用ポンプ58と第3弁59とが設けられている。
【0035】
加圧タンク16には、加圧タンク16内の第一浄水9を逆洗水として第一ろ過装置10に供給する第1逆洗管路60の一端部が接続され、第1逆洗管路60の他端部が浄水管路55の途中に接続されている。第1逆洗管路60には第4弁61が設けられている。
【0036】
また、加圧タンク16内には、加圧空気63(圧縮空気)が外部のコンプレッサから供給されて貯留されている。加圧タンク16と第一ろ過装置10の加圧空気流入口40との間には加圧空気供給管路64が接続され、加圧空気供給管路64には第5弁65が設けられている。
【0037】
また、第一ろ過装置10の原水流入口39から排出された逆洗排水12を排水槽13に送る逆洗排水送り管路67が原水供給管路51から分岐して排水槽13に接続されている。逆洗排水送り管路67には第6弁68が設けられている。
【0038】
排水槽13内の逆洗排水12が第二ろ過装置15の膜エレメント45を外側から内側に透過することによって得られる第二浄水14を浄水池11に回収する浄水回収管路70が、第二ろ過装置15と浄水池11との間に接続されている。浄水回収管路70には浄水回収用ポンプ71と第7弁72とが設けられている。
【0039】
浄水池11には、浄水池11内の第一浄水9を逆洗水として第二ろ過装置15に供給する第2逆洗管路74の一端部が接続され、第2逆洗管路74の他端部が浄水回収管路70の途中に接続されている。第2逆洗管路74には第2逆洗用ポンプ75と第8弁76とが設けられている。
【0040】
浄水池11には、浄水池11内の第一浄水9を配水区域に配水する配水管路78が接続されている。
【0041】
上記のような浄水処理システム1を用いた浄水処理方法を以下に説明する。
【0042】
浄水処理方法は第一ろ過工程Aと第一逆洗工程Bと第二ろ過工程Cとを有する。
【0043】
先ず、第一ろ過工程Aは原水2を第一ろ過装置10でろ過処理して第一浄水9を得る工程である。すなわち、図1に示すように、第4~第6弁61,65,68を閉じた状態で第1弁53および第2弁56を開くことにより、混和池20内の原水2が、原水供給管路51から第一ろ過装置10の原水流入口39に供給され、第一ろ過装置10の膜エレメント28の貫通流路31を一次側から二次側に流れてろ過されることで、第一浄水9が得られる。
【0044】
このようにして得られた第一浄水9は、浄水流出口41から排出され、浄水管路55を通って浄水池11に貯留される。
【0045】
次に、第一逆洗工程Bは、第一ろ過工程Aを所定時間にわたって行った後、第一浄水9を用いて第一ろ過装置10を逆洗する工程である。すなわち、第1弁53および第2弁56を閉じ、第3弁59、第4弁61、第6弁68を開く。これにより、図5に示すように、浄水池11内の第一浄水9の一部が浄水取出管路57を通って加圧タンク16に供給される。加圧タンク16内の第一浄水9は、加圧空気63で加圧された状態で、第1逆洗管路60および浄水管路55を通って第一ろ過装置10の浄水流出口41に供給され、膜エレメント28の貫通流路31を二次側から一次側に逆流することで、膜エレメント28が逆洗される。
【0046】
上記のように膜エレメント28を逆流した第一浄水9は、逆洗排水12として、原水流入口39から排出され、逆洗排水送り管路67を通って排水槽13に供給される。
【0047】
さらに、上記のように第一浄水9で膜エレメント28を逆洗しつつ、第一逆洗工程Bの終了直前に第5弁65を開くことにより、加圧タンク16内の加圧空気63が加圧空気供給管路64を通って第一ろ過装置10の加圧空気流入口40から上部一次側室37に供給され、ケーシング26内に残留していた逆洗排水12が加圧空気63と共に原水流入口39から逆洗排水送り管路67に確実に排出される。
【0048】
次に、第二ろ過工程Cは、第一逆洗工程Bにおいて第一ろ過装置10から排出された逆洗排水12を第二ろ過装置15でろ過処理して第二浄水14を得る工程である。すなわち、第4~第6弁61,65,68を閉じ、第7弁72を開く。これにより、図1に示すように、排水槽13内の逆洗排水12が第二ろ過装置15の膜エレメント45を外側(一次側)から内側(二次側)に流れる際にろ過されることで、第二浄水14が得られる。
【0049】
このようにして得られた第二浄水14は、第二ろ過装置15から浄水回収管路70を通って浄水池11に回収される。
【0050】
尚、上記のような第二ろ過工程Cを行っている際には、第一ろ過工程A又は第一逆洗工程Bも同時に並行して行っている。また、図4に示すように、散気装置48から散気することにより上向流が生じて、排水槽13内の逆洗排水12がハウジング43の内外にわたって循環し、上向流が膜エレメント45に対してクロスフローになることで、膜エレメント45の表面のろ過膜47が洗浄される。
【0051】
また、第二ろ過工程Cを実施することにより、排水槽13内の逆洗排水12の濁質分が濃縮されるため、適宜、濃縮汚泥として排水槽13の外部へ排出する。
【0052】
図6は、浄水処理システム1の運転時間[hr]と上記各工程A~Cにおける浄水9,14の1時間当たりの水量[m/hr]との関係を示すグラフである。
【0053】
尚、各棒グラフG1について、斜線部分G1aは、第一ろ過工程Aにおいて第一ろ過装置10から浄水池11に供給される第一浄水9の水量を示す。また、点描部分G1bは、第一逆洗工程Bにおいて、浄水池11から加圧タンク16を介して第一ろ過装置10に供給される第一浄水9の水量を示す。さらに、白抜き部分G1cは、第二ろ過工程Cにおいて、第二ろ過装置15から浄水池11に回収される第二浄水14の水量を示す。
【0054】
また、図6のグラフに記載した逆洗サイクルとは、第一逆洗工程Bから次の第一逆洗工程Bまでの時間間隔に相当する。ここでは、制御部が、原水2の水質例えば原水2の濁度に応じて逆洗サイクルの長さを調節するとともに、第二ろ過装置15の運転を制御している。例えば濁度に閾値を設定しておき、測定された原水2の濁度が閾値以下の場合、図6に示すように通常水質と判断して、逆洗サイクルを3時間に設定している。また、測定された原水2の濁度が閾値を超えた場合、高濁度水質と判断して、逆洗サイクルを1時間に短縮している。
【0055】
図6の棒グラフG1では、運転開始時から15時間が経過するまでは、原水2が通常水質であるため、逆洗サイクルを3時間に設定しており、3時間おきに第一逆洗工程Bを実施している。
【0056】
ここでは、運転開始時から3時間が経過するまでは第一ろ過工程Aのみを行っており、1時間当り16mの第一浄水9を第一ろ過装置10から浄水池11に供給している。
【0057】
そして、4時間目以降において第一ろ過工程Aと第一逆洗工程Bと第二ろ過工程Cとを行っている。尚、第一逆洗工程Bに要する時間は数分であり、第一ろ過工程Aおよび第二ろ過工程Cと比較して大幅に短く設定されている。
【0058】
4時間目では、第一ろ過工程Aにおいて、斜線部分G1aに示すように16[m/時間]の第一浄水9を第一ろ過装置10から浄水池11に供給し、第一逆洗工程Bにおいて、点描部分G1bに示すように0.9[m/時間]の第一浄水9を浄水池11から第一ろ過装置10に供給して逆洗し、第二ろ過工程Cにおいて、白抜き部分G1cに示すように0.3[m/時間]の第二浄水14を第二ろ過装置15から浄水池11に回収している。
【0059】
その後、5時間目では、第一ろ過工程Aと第二ろ過工程Cとを行っており、第一ろ過工程Aにおいて、斜線部分G1aに示すように16[m/時間]の第一浄水9を第一ろ過装置10から浄水池11に供給し、第二ろ過工程Cにおいて、白抜き部分G1cに示すように0.3[m/時間]の第二浄水14を第二ろ過装置15から浄水池11に回収している。
【0060】
その後、6時間目では、上記5時間目と同様に、第一ろ過工程Aと第二ろ過工程Cとを行っている。
【0061】
その後、7時間目では、上記4時間目と同様に、第一ろ過工程Aと第一逆洗工程Bと第二ろ過工程Cとを行っている。
【0062】
この際、第一ろ過工程Aで得られた第一浄水9の量と第二ろ過工程Cで得られた第二浄水14の量とを足し合せた合計浄水量から第一逆洗工程Bで消費された第一浄水9の量を差し引いた値を水収支とすると、通常水質時の逆洗サイクル(すなわち4時間目から6時間目までの3時間)における水収支の1時間当りの平均値は以下のようになる。
●4時間目から6時間目までにおける第一ろ過工程Aで得られた第一浄水9の量(棒グラフG1の斜線部分G1aを参照):16m×3=48m
●4時間目から6時間目までにおける第二ろ過工程Cで得られた第二浄水14の量(棒グラフG1の白抜き部分G1cを参照):0.3m×3=0.9m
●4時間目から6時間目までにおける第一逆洗工程Bで消費された第一浄水9の量(棒グラフG1の点描部分G1bを参照):0.9m
●4時間目から6時間目までにおける水収支:48m+0.9m-0.9m=48m
●4時間目から6時間目までにおける水収支の1時間当りの平均値:48m÷3時間=16m/時間
同様に、通常水質時の逆洗サイクル(3時間)毎における水収支の1時間当りの平均値すなわち、7時間目から9時間目までにおける水収支の1時間当りの平均値、10時間目から12時間目までにおける水収支の1時間当りの平均値、13時間目から15時間目までにおける水収支の1時間当りの平均値も、それぞれ16[m/時間]となるように、制御部が第二ろ過装置15の運転を制御する。
【0063】
運転開始時から15時間が経過した後、原水2の水質が通常水質から高濁度水質に変化した場合、逆洗サイクルを1時間に短縮し、16時間目から21時間目までは1時間おきに第一逆洗工程Bを実施している。
【0064】
この場合の逆洗サイクル(すなわち16時間目)における水収支の1時間当りの平均値は以下のようになる。
●16時間目における第一ろ過工程Aで得られた第一浄水9の量(棒グラフG1の斜線部分G1aを参照):16m
●16時間目における第二ろ過工程Cで得られた第二浄水14の量(棒グラフG1の白抜き部分G1cを参照):0.9m
●16時間目における第一逆洗工程Bで消費された第一浄水9の量(棒グラフG1の点描部分G1bを参照):0.9m
●16時間目における水収支:16m+0.9m-0.9m=16m
●16時間目における水収支の1時間当りの平均値:16m÷1時間=16m/時間
同様に、高濁度水質時の逆洗サイクル(1時間)毎における水収支の1時間当りの平均値すなわち、17時間目から21時間目までにおける水収支の1時間当りの平均値も16[m/時間]となるように、制御部が第二ろ過装置15の運転を制御する。
【0065】
そして、運転開始時から21時間が経過した後、原水2の水質が高濁度水質から通常水質に戻った場合、逆洗サイクルを1時間から3時間に戻し、上記4時間目から15時間目までと同様に、22時間目以降は通常水質時の逆洗サイクル(3時間)毎における水収支の1時間当りの平均値がそれぞれ16[m/時間]となるように、制御部が第二ろ過装置15の運転を制御する。
【0066】
上記のような浄水処理方法によると、第二ろ過工程Cにおいて、第一逆洗工程Bで第一ろ過装置10から排出された逆洗排水12を第二ろ過装置15でろ過処理して第二浄水14を得るため、原水2の量に対する浄水3の量の回収率が向上する。
【0067】
また、原水2の水質等によって第一逆洗工程Bを実行する頻度が変化しても、各逆洗サイクルにおける水収支の単位時間当たりの平均値が一定に保たれるため、一定量の浄水3を配水管路78から配水区域に安定して配水することができる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、図7に示すように、第一ろ過工程Aで得られた第一浄水9中に含まれる溶解性マンガンを除去するマンガン除去装置100が浄水処理システム1に備えられている。マンガン除去装置100は容器101にろ材102を内蔵したものである。容器101には、マンガン除去前の第一浄水9が流入する浄水入口103と、マンガン除去後の第一浄水9を排出する浄水出口104と、逆洗排水12を排出する逆洗排水排出口105とが設けられている。
【0068】
第一ろ過装置10の浄水流出口41とマンガン除去装置100の浄水入口103との間には上流側浄水管路55aが接続され、上流側浄水管路55aには第9弁107が設けられている。
【0069】
マンガン除去装置100の浄水出口104と浄水池11との間には下流側浄水管路55bが接続されている。
【0070】
また、第1逆洗管路60は、一端部が加圧タンク16に接続され、他端部が上流側浄水管路55aの途中に接続されている。
【0071】
浄水取出管路57には、浄水池11内の第一浄水9を逆洗水としてマンガン除去装置100に供給するマンガン除去装置用逆洗管路108の一端部が接続され、マンガン除去装置用逆洗管路108の他端部が下流側浄水管路55bの途中に接続されている。マンガン除去装置用逆洗管路108には第10弁109が設けられている。
【0072】
また、マンガン除去装置100の逆洗排水排出口105から排出された逆洗排水12を排水槽13に送るマンガン除去装置用逆洗排水送り管路110が逆洗排水排出口105と排水槽13との間に接続されている。マンガン除去装置用逆洗排水送り管路110には第11弁111が設けられている。
【0073】
浄水処理システム1を用いた浄水処理方法を以下に説明する。
【0074】
浄水処理方法は第一ろ過工程Aとマンガン除去工程Dと第一逆洗工程Bと第二逆洗工程Eと第二ろ過工程Cとを有する。
【0075】
先ず、第一ろ過工程Aは原水2を第一ろ過装置10でろ過処理して第一浄水9を得る工程である。すなわち、第4~第6弁61,65,68と第10弁109および第11弁111を閉じた状態で第1弁53と第2弁56および第9弁107を開く。これにより、図7に示すように、混和池20内の原水2が、原水供給管路51から第一ろ過装置10の原水流入口39に供給され、第一ろ過装置10の膜エレメント28の貫通流路31を一次側から二次側に流れてろ過されることで、第一浄水9が得られる。
【0076】
また、マンガン除去工程Dは、第一ろ過工程Aで得られた第一浄水9中のマンガンをマンガン除去装置100で除去する工程である。すなわち、上記第一ろ過工程Aにより第一ろ過装置10にて得られた第一浄水9は、第一ろ過装置10の浄水流出口41から排出され、上流側浄水管路55aを通って、浄水入口103からマンガン除去装置100内に供給され、ろ材102を通過することにより、第一浄水9中のマンガンが除去される。
【0077】
その後、第一浄水9は、マンガン除去装置100の浄水出口104から下流側浄水管路55bを通って浄水池11に貯留される。
【0078】
尚、第一ろ過工程Aとマンガン除去工程Dとは同時に並行して実行される。
【0079】
次に、第一逆洗工程Bは、マンガン除去工程Dを行った後、第一浄水9を用いて第一ろ過装置10を逆洗する工程である。すなわち、第1弁53と第2弁56および第9弁107を閉じ、第3弁59、第4弁61、第6弁68を開く。これにより、図8に示すように、浄水池11内の第一浄水9の一部が浄水取出管路57を通って加圧タンク16に供給される。加圧タンク16内の第一浄水9は、加圧空気63で加圧された状態で、第1逆洗管路60および上流側浄水管路55aを通って第一ろ過装置10の浄水流出口41に供給され、膜エレメント28の貫通流路31を二次側から一次側に逆流することで、膜エレメント28が逆洗される。
【0080】
上記のように膜エレメント28を逆流した第一浄水9は、逆洗排水12として、原水流入口39から排出され、逆洗排水送り管路67を通って排水槽13に供給される。
【0081】
さらに、上記のように第一浄水9で膜エレメント28を逆洗しつつ、第一逆洗工程Bの終了直前に第5弁65を開くことにより、加圧タンク16内の加圧空気63が加圧空気供給管路64を通って第一ろ過装置10の加圧空気流入口40から上部一次側室37に供給され、ケーシング26内に残留していた逆洗排水12が加圧空気63と共に原水流入口39から逆洗排水送り管路67に確実に排出される。
【0082】
次に、第二逆洗工程Eは、第一逆洗工程Bを行った後、第一浄水9を用いてマンガン除去装置100を逆洗する工程である。すなわち、第3~第6弁59、61、65、68を閉じ、第10弁109および第11弁111を開く。これにより、図9に示すように、浄水池11内の第一浄水9の一部が、浄水取出管路57からマンガン除去装置用逆洗管路108および下流側浄水管路55bを通って、マンガン除去装置100の浄水出口104から容器101内に供給され、ろ材102を二次側から一次側へ逆流することで、ろ材102が逆洗される。
【0083】
上記のようにろ材102を逆流した第一浄水9は、逆洗排水12として、逆洗排水排出口105からマンガン除去装置100の外部へ排出され、マンガン除去装置用逆洗排水送り管路110を通って排水槽13に供給される。
【0084】
次に、第二ろ過工程Cは、第一逆洗工程Bにおいて第一ろ過装置10から排出された逆洗排水12および第二逆洗工程Eにおいてマンガン除去装置100から排出された逆洗排水12を第二ろ過装置15でろ過処理して第二浄水14を得る工程である。すなわち、第4~第6弁61,65,68と第10弁109および第11弁111を閉じ、第7弁72を開く。これにより、図7に示すように、排水槽13内の逆洗排水12が第二ろ過装置15の膜エレメント45を外側(一次側)から内側(二次側)に流れる際にろ過されることで、第二浄水14が得られる。
【0085】
このようにして得られた第二浄水14は、第二ろ過装置15から浄水回収管路70を通って浄水池11に回収される。
【0086】
尚、上記のような第二ろ過工程Cを行っている際には、第1弁53と第2弁56および第9弁107を開いて、第一ろ過工程Aおよびマンガン除去工程Dも同時に並行して行っている。
【0087】
上記のようにマンガン除去装置100を備えた浄水処理システム1の運転時間[hr]と上記各工程A~Eにおける浄水9,14の1時間当たりの水量[m/hr]との関係も図6のグラフと同様になる。この場合、棒グラフG1について、斜線部分G1aは、第一ろ過工程Aおよびマンガン除去工程Dにおいて第一ろ過装置10からマンガン除去装置100を経て浄水池11に供給される第一浄水9の水量を示す。
【0088】
また、点描部分G1bは、第一逆洗工程Bにおいて浄水池11から加圧タンク16を介して第一ろ過装置10に供給される第一浄水9の水量と、第二逆洗工程Eにおいて浄水池11からマンガン除去装置100に供給される第一浄水9の水量とを足し合わせた水量を示す。
【0089】
さらに、白抜き部分G1cは、第二ろ過工程Cにおいて、第二ろ過装置15から浄水池11に回収される第二浄水14の水量を示す。
【0090】
これによると、先述した第1の実施の形態と同様に、第2の実施の形態においても、通常水質時における逆洗サイクル(3時間)における水収支の1時間当りの平均値ならびに高濁度水質時における逆洗サイクル(1時間)における水収支の1時間当りの平均値がそれぞれ16[m/時間]となるように、制御部が第二ろ過装置15の運転を制御する。このため、原水2の水質等によって第一および第二逆洗工程B,Eを実行する頻度が変化しても、各逆洗サイクルにおける水収支の単位時間当たりの平均値が一定に保たれるため、一定量の浄水3を配水管路78から配水区域に安定して配水することができる。
【0091】
上記各実施の形態において、図6のグラフに示した水量や運転時間、逆洗サイクル等に関する各数値については、1つの例であって、これら数値に限定されるものではない。
【0092】
上記各実施の形態では、測定された原水2の濁度が閾値以下の場合、通常水質と判断して、逆洗サイクルを3時間に設定し、上記閾値を超えた場合、高濁度水質と判断して、逆洗サイクルを1時間に短縮しているが、濁度以外の指標を用いてもよい。例えば、第一ろ過装置10のろ過抵抗(膜間差圧等)を測定し、測定されたろ過抵抗が閾値以下の場合、通常水質と判断して、逆洗サイクルを3時間に設定し、上記閾値を超えた場合、高濁度水質と判断して、逆洗サイクルを1時間に短縮してもよい。
【0093】
上記各実施の形態では、各工程A~Eにおける各弁53,56,59,61,65,68,72,76,107,109,111の開閉および各ポンプ52,58,71,75の運転については、制御部で自動的に制御してもよいし、或いは、人が操作してもよい。
【0094】
上記各実施の形態では、逆洗サイクルを1時間および3時間の二段階のステップからなる不連続的な値に設定しているが、三段階以上のステップからなる不連続的な値に設定してもよい。また、原水2の水質に応じて、逆洗サイクルを、上記のような不連続的な値ではなく、直線状又は曲線状の連続的な値に変更するように設定してもよい。
【0095】
また、上記各実施の形態では、水収支に、第二ろ過装置15を逆洗する工程で消費される第一浄水9の量が示されていない。ここで、第二ろ過装置15を逆洗する工程では、浄水池11内の第一浄水9を、逆洗水として、第2逆洗管路74を通じて第二ろ過装置15の二次側から一次側に供給する。このような第二ろ過装置15の逆洗工程は所定時間ごとに実施されるが、消費される第一浄水9は第二ろ過装置15の第二ろ過工程Cで得られる処理水の全量の1~5%程度に過ぎず、第一浄水9の量と比較すると、水収支上の影響は極僅かであると考えられる。そこで、上記各実施の形態では、説明および理解がより簡便となるように、第二ろ過装置15の第二ろ過工程Cで得られる処理水から、第二ろ過装置15の逆洗工程で消費される第一浄水9を差し引いた正味の処理水量を第二浄水14の量として記載するとともに、第二ろ過装置15の逆洗工程で消費される第一浄水9の記載を省略している。
【符号の説明】
【0096】
1 浄水処理システム
2 原水
8 原水貯留部
9 第一浄水
10 第一ろ過装置
11 浄水池(浄水貯留部)
12 逆洗排水
13 排水槽
14 第二浄水
15 第二ろ過装置
21 凝集剤
26 ケーシング
27 閉鎖的空間
28 膜エレメント(ろ過膜)
43 ハウジング
44 開放的空間
47 ろ過膜
100 マンガン除去装置
A 第一ろ過工程
B 第一逆洗工程
C 第二ろ過工程
D マンガン除去工程
E 第二逆洗工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10