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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】布団篭
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/08 20060101AFI20240829BHJP
   E02B 3/04 20060101ALI20240829BHJP
   E02D 17/20 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
E02B3/08 301
E02B3/04 301
E02D17/20 103G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021003479
(22)【出願日】2021-01-13
(65)【公開番号】P2022108466
(43)【公開日】2022-07-26
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】野崎 祐介
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-171652(JP,A)
【文献】特開2013-023268(JP,A)
【文献】特開2013-053477(JP,A)
【文献】特開2007-315142(JP,A)
【文献】特開2001-348833(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00816572(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/08
E02B 3/04
E02D 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側にベルトが一体に取り付けられた土嚢を収容するための金属の編地の六面体形状を有する籠体と、
前記籠体の上方に配置され、前記土嚢の前記ベルトを絡ませて当該土嚢を前記籠体の収容空間の中で吊り下げ可能に保持する吊部材と、を備え、
前記籠体は、前記収容空間の天面を覆う天面パネルを有さず、
前記吊部材は、前記籠体の互いに対向する端部にそれぞれ取り付けられたロープ状部材と当該吊部材の一端側および他端側の端部とが結合されている、布団篭。
【請求項2】
外側にベルトが一体に取り付けられた土嚢を収容するための金属の編地の六面体形状を有する籠体と、
前記籠体の上方に配置され、前記土嚢の前記ベルトを絡ませて当該土嚢を前記籠体の収容空間の中で吊り下げ可能に保持する吊部材と、を備え、
前記籠体は、前記収容空間の天面を覆う天面パネルを有し、
前記吊部材は、前記天面パネルに固定された固定枠体を有し、当該固定枠体に対して回転自在に取り付けられ、前記天面パネルの網地の隙間から外側に引っ張り出された前記土嚢の前記ベルトを前記固定枠体と回転自在に軸支された棒状部材に絡ませて巻き取ることにより当該土嚢を前記籠体の収容空間の中で吊り下げ可能に保持する、布団篭。
【請求項3】
前記棒状部材には、前記ベルトを絡ませて巻き取った状態で保持するための回転止棒が取り付けられている請求項に記載の布団篭。
【請求項4】
外側にベルトが一体に取り付けられた土嚢を収容するための金属の編地の六面体形状を有する籠体と、
前記籠体の上方に配置され、前記土嚢の前記ベルトを絡ませて当該土嚢を前記籠体の収容空間の中で吊り下げ可能に保持する吊部材と、を備え、
前記籠体は、前記収容空間の天面を覆う天面パネルを有し、
前記吊部材は、前記天面パネルに固定された固定枠体を有し、前記天面パネルの網地の隙間から外側に引っ張り出された前記土嚢の前記ベルトを前記固定枠体の互いに平行に配置された横枠材の双方を外側から跨ぐように絡ませ、当該ベルトを介して当該土嚢を前記籠体の収容空間の中で吊り下げ可能に保持する、布団篭。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布団篭に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、河川や海岸における護岸工事や山腹の斜面における補強工事においては、籠体の内部に砕石等の中詰材を充填した後、重機によって籠体を吊り上げ、所望の設置場所に籠体を吊り下ろして配置することが行われている。また、近年では、腐食防止や軽量化のために鉄線製の布団籠に替わって繊維製の布団籠が用いられている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-348833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に布団籠においては、重機による布団籠の吊り下げ時に、吊りロープが籠体の底面に食い込んで変形させるおそれがある。また、重機による布団籠の吊り下げ時に吊りロープが籠体の底面に食い込むと、籠体が変形することに加えて中詰材が籠体の内部で偏り、籠体を吊り下ろす際に当該籠体のバランスが悪くなり、吊り下ろすのに手間取ったり、所定位置にきれいに配置できなくなるおそれがある。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、簡易な構成でありながら重機により吊り上げる際の変形を防止し、操作性に優れた布団篭を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の布団籠においては、外側にベルトが一体に取り付けられた土嚢を収容するための金属の編地の六面体形状を有する籠体と、前記籠体の上方に配置され、前記土嚢の前記ベルトを絡ませて当該土嚢を前記籠体の収容空間の中で吊り下げ可能に保持する吊部材とを備える。
【0007】
本発明において、前記前記籠体は、前記収容空間の天面を覆う天面パネルを有さず、前記吊部材は、前記籠体の互いに対向する端部にそれぞれ取り付けられたロープ状部材と当該吊部材の一端側および他端側の端部とが結合されていることが好ましい。
【0008】
本発明において、前記籠体は、前記収容空間の天面を覆う天面パネルを有し、前記吊部材は、前記天面パネルに固定された固定枠体を有し、当該固定枠体に対して回転自在に取り付けられ、前記天面パネルの網地の隙間から外側に引っ張り出された前記土嚢の前記ベルトを前記固定枠体と回転自在に軸支された棒状部材に絡ませて巻き取ることにより当該土嚢を前記籠体の収容空間の中で吊り下げ可能に保持することが好ましい。
【0009】
本発明において、前記棒状部材には、前記ベルトを絡ませて巻き取った状態で保持するための回転止棒が取り付けられていることが好ましい。
【0010】
本発明において、前記籠体は、前記収容空間の天面を覆う天面パネルを有し、前記吊部材は、前記天面パネルに固定された固定枠体を有し、前記天面パネルの網地の隙間から外側に引っ張り出された前記土嚢の前記ベルトを前記固定枠体と絡ませ、当該ベルトを介して当該土嚢を前記籠体の収容空間の中で吊り下げ可能に保持することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
簡易な構成でありながら重機による吊り上げる際の変形を防止し、操作性に優れた布団篭を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態における布団篭の全体構成を示す略線的斜視図である。
図2】本発明の第1の形態における布団篭の籠体および吊部材の構成を示す略線的斜視図である。
図3】本発明の第2の実施の形態における布団籠の構成を示す略線的斜視図である。
図4】本発明の第2の実施の形態における布団篭の構成を示す正面図および平面図である。
図5】本発明の第2の実施の形態における布団篭における吊部材の固定枠体の外観構成を示す略線的斜視図である。
図6】本発明の第2の実施の形態における布団篭において土嚢のベルトを巻き付ける前の状態を示す略線的斜視図である。
図7】本発明の第3の実施の形態における布団篭の構成を示す略線的斜視図である。
図8】本発明の第3の実施の形態における布団篭の吊部材の構成を示す正面図および平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.実施の形態の具体例
(1-1)第1の実施の形態
以下、本発明の第1の実施の形態にかかる布団篭の全体構成について図1および図2を参照しながら詳細に説明する。ここで、図1は、本発明の第1の実施の形態における布団篭の全体構成を示す略線的斜視図である。図2は、本発明の第1の形態における布団篭の籠体および吊部材の構成を示す略線的斜視図である。
【0014】
ここで、図1において矢印a方向を上側または上方とし、矢印b方向を下側または下方とする。また、図1において矢印c方向を一端側または一方とし、矢印d方向を他端側または他方とする、さらに、図1において矢印e方向すなわち手前側を正面側または前方とし、矢印f方向すなわち奥行側を背面側または後方として以下説明する。ただし、これらの方向は説明の便宜上用いられるだけであり、実際の使用時の方向と一致するとは限らない。
【0015】
図1に示すように、布団篭100は、主に、全体が直方体形状を有する籠体20と、重機(図示せず)によって布団篭100が吊り下げられる際に籠体20の上方に配置される吊部材30と、籠体20と吊部材30とを物理的に繋ぐスリングロープ40とを有している。
【0016】
図2に示すように、籠体20は、金属の編地からなる六面体形状を有している。籠体20は、それぞれの面が格子状に形成された第1の正面パネル部21a、当該第1の正面パネル21aと対向配置された第2の正面パネル21b、第1の正面パネル部21aおよび第2の正面パネル21bと直角に配置され、かつ互いに対向配置された第1の側面パネル22a、第2の側面パネル22b、第1の正面パネル21aおよび第2の正面パネル21bのそれぞれの下端部間に細板状の底面材23aが架け渡されて形成された底面パネル23とを備えている。なお、籠体20は、六面体形状ではあるが、その天面を覆う天面パネルについては有していない。
【0017】
第1の正面パネル21aおよび第2の正面パネル21bは、互いに同じ大きさであり、かつ、お互いが平行に配置されている。第1の側面パネル22aおよび第2の側面パネル22bについても互いに同じ大きさであり、かつ、お互いが平行に配置されている。この場合、第1の正面パネル21aおよび第2の正面パネル21bと第1の側面パネル22aおよび第2の側面パネル22bとは互いに同じ高さを有している。
【0018】
一方、第1の正面パネル21aおよび第2の正面パネル21bの方が、第1の側面パネル22aおよび第2の側面パネル22bよりも横長に形成されており、これにより籠体20は平面視および側面視において長方形状に形成されている。但し、これに限るものではなく、籠体20は平面視および側面視において天面パネルのない台形状に形成されていてもよい。
【0019】
実際上、第1の正面パネル21aおよび第2の正面パネル21bは長手方向(矢印cd方向)の長さが2mであり、第1の側面パネル22aおよび第2の側面パネル22bは、奥行方向(矢印ef方向)の幅が1.2mであり、高さが1mである。ただし、これに限るものではなく、他の種々のサイズにより形成されていてもよい。
【0020】
これらの第1の正面パネル21a、第2の正面パネル21b、第1の側面パネル22a、第2の側面パネル22bおよび底面パネル23は、互いにシャックル(図示せず)等の結合部材によって互いに六面体形状を維持するように結合されている。
【0021】
籠体20は、その内部に土嚢50を収容可能な空間を有している。この場合、籠体20は、2個の土嚢50を収容可能な大きさである。実際上、土嚢50は、例えば布製の袋体51の内部に土砂や石等の充填材を詰めて形成されている。土嚢50の外側の表面には、所定の長さのベルト52が一体に取り付けられている。
【0022】
ここでは、2個の土嚢50が円柱形に表示されているが、袋体51の布による柔軟性並びに内部の土砂等の大きさ及び量に応じて変形可能である。なお、籠体20は、2個の土嚢50の間において互いに接触する面の面積が大きくなるように密着させて配置することができる。因みに、籠体20は、土嚢50を1個または3個以上、収容可能な大きさであってもよい。
【0023】
吊部材30は、第1の正面パネル21aおよび第2の正面パネル21bと平行に配置され、かつ、第1の正面パネル21aおよび第2の正面パネル21bと同様の長さに形成されたH形鋼からなり、重機(図示せず)によって吊り下げられる部分である。吊部材30は、H型鋼のフランジの一面における一端側および他端側の上方および下方に対してU字ボルト31乃至34が取り付けられている。
【0024】
また、吊部材30は、H型鋼のフランジの一面における一端側よりも内側の上方および他端側よりも内側の上方に対してそれぞれU字ボルト35、36が取り付けられている。U字ボルト35、36は、U字ボルト31乃至34よりも大きく、土嚢50のベルト52をU字の幅の間に通すことが可能なサイズである。
【0025】
吊部材30は、U字ボルト35、36を介して土嚢50のベルト52が絡ませられており、土嚢50が吊部材30上において矢印cd方向の一端側および他端側へ移動することが規制されている。実際上、吊部材30の上に土嚢50のベルト52を掛けた後、当該吊部材30に対してU字ボルト35、36を取り付けることにより、吊部材30に対して土嚢50のベルト52が絡ませられた状態となる。
【0026】
吊部材30は、籠体10の四隅とスリングロープ40によって接続されている。スリングロープ40は、一般的に重量物の吊り下げ時に傷を付けることなく持ち上げて移動する際に使用される一手段である。この場合、例えば、布製の柔らかい素材のスリングベルトを用いることができる。
【0027】
実際上、一端側のスリングロープ40は、そのロープが吊部材30に巻き付けられると共に吊部材30のフランジの一面における上方のU字ボルト31および下方のU字ボルト32に双方通した状態で当該ロープの一端および他端が籠体20の4ケ所の端部のうち互いに対向し最も近接した2ケ所の端部に結び付けられている。この場合、スリングロープ40のロープが吊部材30に巻き付けられる量に応じて、当該吊部材30が重機によって吊り下げられた際、吊部材30と籠体20との距離が調整される。
【0028】
同様に、他端側のスリングロープ40についても、そのロープが吊部材30に巻き付けられると共に吊部材30のフランジの一面における上方のU字ボルト33および下方のU字ボルト34に双方通した状態で当該ロープの一端および他端が籠体20の最も近接した2ケ所の端部に結び付けられている。この場合も、スリングロープ40のロープが吊部材30に巻き付けられる量に応じて、当該吊部材30が重機によって吊り下げられた際、吊部材30と籠体20との距離が調整される。したがって、一端側のスリングロープ40および他端側のスリングロープ40は、吊部材30と籠体20との距離が同じになるように調整されている。
【0029】
ここで、吊部材30と籠体20との距離は、吊部材30が重機によって吊り下げられると同時に、当該吊部材30とベルト52で繋がった土嚢50とが持ち上げられた際、土嚢50の重量が籠体20の底面パネル23に負荷としてかからない程度の長さに設定される。
【0030】
具体的には、土嚢50が籠体20の底面パネル23に接触しないか、あるいは微かに接触する程度であることが好ましい。すなわち、吊部材30に土嚢50のベルト52を絡ませることにより、重機によって吊部材30が吊り下げられたとき、土嚢50の重量が籠体20の底面パネル23に負荷としてかからず、当該土嚢50を籠体20の収容空間の中で吊り下げ可能に保持することができる。
【0031】
以上の構成において、布団篭100は、重機の玉掛ワイヤー(図示せず)等によって吊部材30が1点または2点で吊り下げられると、吊部材30とスリングロープ40によって接続された籠体20についても同時に持ち上げられる。このとき、吊部材30にベルト52が絡められた土嚢50についても籠体20の底面パネル23に接触しない状態で当該吊部材30と一緒に持ち上げられることになる。
【0032】
したがって、布団篭100では、重機による吊り下げ時に土嚢50の重量負荷が籠体20にかかることがないので、土嚢50の重量負荷によって籠体20に対する変形を未然に防止することができる。
【0033】
また、布団篭100では、重機により1点で吊り下げる場合、吊部材30の水平状態が保たれずに傾くことがあり得るが、そのときでも、土嚢50のベルト52が吊部材30のU字ボルト35、36に通されているために当該土嚢50が籠体20の内部空間において籠体20の一端側および他端側へ移動することを防止できる。このため、土嚢50が第1の側面パネル22aおよび第2の側面パネル22bに対して重量負荷がかかることを防止し、籠体20に対する変形を未然に防止することができる。
【0034】
(1-2)第2の実施の形態
以下、本発明の第2の実施の形態にかかる布団篭の全体構成について図3乃至図6を参照しながら詳細に説明する。ここで、図3は、本発明の第2の実施の形態における布団籠の構成を示す略線的斜視図である。図4は、本発明の第2の実施の形態における布団篭の構成を示す正面図および平面図である。図5は、本発明の第2の形態における布団篭における吊部材の固定枠体の外観構成を示す略線的斜視図である。図6は、本発明の第2の実施の形態における布団篭において土嚢のベルトを巻き付ける前の状態を示す略線的斜視図である。
【0035】
図1との対応部分に同一符号を付した図3に示すように、第2の実施の形態における布団篭200は、主に、全体が直方体形状を有する籠体120と、重機(図示せず)によって布団篭100が吊り下げられる際に籠体120の上方に配置されて当該籠体120と一体に取り付けられた吊部材130とを有している。
【0036】
籠体120は、第1の実施の形態における籠体20と同様の構成を有しており、金属の編地からなる六面体形状を有している。籠体120は、第1の実施の形態における籠体20と同様に、第1の正面パネル部21a、第2の正面パネル21b、第1の側面パネル22a、第2の側面パネル22bおよび底面パネル23を有している。さらに籠体120は、これらに加えて、第1の正面パネル21aおよび第2の正面パネル21bのそれぞれの上端部間に細板状の天面材24aが架け渡された形成された天面パネル24を備えている。
【0037】
籠体120は、その内部に土嚢50を収容可能な空間を有しており、この場合も例えば2個の土嚢50を収容可能な大きさである。籠体120は、2個の土嚢50を収容した後、天面パネル24が第1の正面パネル部21a、第2の正面パネル21b、第1の側面パネル22aおよび第2の側面パネル22bに対してシャックル等の結合部材によって結合される。
【0038】
籠体120の上方に配置される吊部材130は、吊体140、固定枠体150、および吊体140と固定枠体150とを接続するスリングロープ40を有している。吊体140は、天面パネル24と長手方向の長さが等しいが天面パネル24よりも短手方向の長さが短い矩形状の4辺からなる部材である。
【0039】
吊体140は、例えば断面正方形状の角鋼が四辺を為す矩形状の部材であり、縦枠材141a、141bおよび横枠材142a、142bを有している。なお、吊体140の縦枠材141a、141bおよび横枠材142a、142bは、角鋼に限るものではなく、例えばH型鋼その他種々の型鋼または断面が円形、正方形、多角形などの棒鋼を用いることができる。
【0040】
また、吊体140は、短手方向に沿って互いに平行に配置された縦枠材141a、141bと、長手方向に沿って互いに平行に配置された横枠材142a、142bとが互いにネジまたは溶接等によって一体に結合されている。
【0041】
固定枠体150は、吊体140と同様に当該吊体140と全体の大きさが同じ矩形状の部材である。この固定枠体150は、例えば断面正方形状の角鋼が四辺を為す矩形状の部材であり、縦枠材151a、151bおよび横枠材152a、152bを有している。なお、固定枠体150の縦枠材151a、151bおよび横枠材152a、152bは、角鋼に限るものではなく、丸鋼等の他の種々の断面形状の棒鋼を用いることができる。
【0042】
固定枠体150は、短手方向に沿って互いに平行に配置された縦枠材151a、151bと、長手方向に沿って互いに平行に配置された横枠材152a、152bとが互いにネジまたは溶接等によって一体に結合されている。そのうえで固定枠体150は、籠体120の天面パネル24とシャックル等の結合部材によって一体に結合される。
【0043】
また固定枠体150には、縦枠材151aおよび縦枠材151bの中央位置において、当該縦枠材151aと当該縦枠材151bとの間を架け渡すように設けられた例えば角鋼からなる土嚢ベルト巻付体155が回転自在に軸支されている。なお、土嚢ベルト巻付体155は、角鋼だけではなく型鋼または棒鋼によって形成されていてもよい。
【0044】
土嚢ベルト巻付体155は、角鋼における任意の一面に対して略L字状のベルト係止具156が2ヶ所取り付けられている。この場合、ベルト係止具156は、籠体120に収容される土嚢50のベルト52を巻き付け易い位置に設けられている。すなわち、ベルト係止具156は、籠体120に収容可能な土嚢50の数、大きさ、および、サイズ等に応じて任意の数及び位置に設けられる。
【0045】
土嚢ベルト巻付体155は、縦枠材151aおよび縦枠材151bに対して図示しないベアリング等によって手前側または奥行側の両方向へ回転自在に軸支されている。ただし、これに限るものではなく、ベアリング等を用いることなく、土嚢ベルト巻付体155は、縦枠材151aおよび縦枠材151bに対して滑りによって回転自在に軸支されていてもよい。
【0046】
土嚢ベルト巻付体155は、その中央に貫通孔155hが形成されている。この貫通孔155hには、土嚢ベルト巻付体155の回転を止めるための回転止棒157が挿通される。回転止棒157は、その直径が土嚢ベルト巻付体155の貫通孔155hとほぼ同じか僅かに小さくなるように形成されている。回転止棒157は、その長さが横枠材152aと横枠材152bとの間隔よりも長く形成されている。
【0047】
ところで、スリングロープ40は、第1の実施の形態における布団篭10に用いられる布製の柔らかい素材のスリングベルトであり、吊体140の四隅と固定枠体150の四隅との間で互いに結び付けられている。ここで、スリングロープ40の結び付ける方法は特に問わず、任意の方法で結び付けることが可能である。
【0048】
この場合、吊体140および固定枠体150は同一サイズであり、固定枠体150の真上に吊体140が配置可能であるため、4本のスリングロープ40は、上方から下方に向かって真っ直ぐ直線状に張られる状態となる。因みに、この場合、スリングロープ40が布製の素材のスリングベルトに限る必要はなく、金属製の玉掛ワイヤー等その他種々の吊りロープを用いることができる。
【0049】
以上の構成において、布団篭200は、籠体120の内部に2個の土嚢50を収容した後、天面パネル24を取り付けることにより、籠体120の収容空間に2個の土嚢50を収容して天面パネル24で蓋をした状態とする。
【0050】
続いて、図6に示すように、土嚢50のベルト52を天面パネル24における複数の天面材24aの隙間から引っ張り出し、横枠材152aおよび横枠材152bの双方を外側から跨ぐように絡める。その際、土嚢ベルト巻付体155の表面と略L字状のベルト係止具156との間に当該ベルト52を通しておく。その後、天面パネル24に対して吊部材130の固定枠体150を一体に取り付けて固定する。
【0051】
これにより、土嚢50のベルト52が固定枠体150の横枠材152a、152bおよび土嚢ベルト巻付体155のベルト係止具156に絡められた状態で籠体120と一体化される。その後、作業者は土嚢ベルト巻付体155を矢印方向に回転させることにより、当該土嚢ベルト巻付体155に土嚢50のベルト52を巻き付ける。
【0052】
作業者は、土嚢ベルト巻付体155に土嚢50のベルト52を巻き付ける量を調整することにより、土嚢50の重量が籠体20の底面パネル23に負荷としてかからず、当該土嚢50を籠体20の収容空間の中で吊り下げ可能に保持することができる。
【0053】
この状態で土嚢ベルト巻付体155の貫通孔155hに回転止棒157を挿通し、この回転止棒157を固定枠体150の横枠材152aの下面と横枠材152bの上面とに対して係止させる。
【0054】
これにより、図3に示したように、固定枠体150に対して土嚢50が吊り下げられた状態が維持され、籠体120の底面パネル23に土嚢50の重量が負荷されない状況を形成することができる。すなわち、吊部材130の固定枠体150に土嚢50のベルト52を絡ませて当該土嚢50を籠体120の収容空間の中で吊り下げ可能に保持することができる。
【0055】
なお、作業者は、土嚢ベルト巻付体155の回転量を調整することにより、固定枠体150に対して土嚢50が吊り下げられたときの固定枠体150と土嚢50との距離を任意に変更することが可能である。
【0056】
吊体140と固定枠体150とはスリングロープ40によって接続されているため、重機によって吊体140が吊り下げられると、固定枠体150と一体に取り付けられた籠体120も同時に持ち上げられる。このとき、固定枠体150の土嚢ベルト巻付体155を介して土嚢50が籠体120の底面パネル23に接触しない状態で一緒に持ち上げられることになる。
【0057】
したがって、布団篭200では、重機による吊り下げ時に土嚢50の重量負荷が籠体120にかかることがないので、土嚢50の重量負荷によって籠体120の変形を未然に防止することができる。
【0058】
(1-3)第3の実施の形態
以下、本発明の第3の実施の形態にかかる布団篭の全体構成について図7および図8を参照しながら詳細に説明する。ここで、図7は、本発明の第3の実施の形態における布団篭の構成を示す略線的斜視図である。また、図8は、本発明の第3の実施の形態における布団篭の吊部材の構成を示す正面図および平面図である。
【0059】
図3との対応部分に同一符号を付した図7に示すように、第3の実施の形態における布団篭300は、主に、全体が直方体形状を有する籠体120と、重機(図示せず)によって布団篭300が吊り下げられる際に籠体120の上方に配置されて当該籠体120と一体に取り付けられた吊部材230と、重機によって布団篭300が吊り下げる際に用いられるスリングロープ40とを有している。
【0060】
籠体120は、第2の実施の形態における布団篭200に用いられているものと同じであり、ここでは便宜上その説明を省略する。また、布団篭300を重機により吊り下げる際のスリングロープ40についても、第1の実施の形態における布団篭100および第2の実施の形態における布団篭200に用いられているものと同じである。
【0061】
図8に示すように、吊部材230は、固定枠体150と、当該固定枠体150の横枠材152aおよび横枠材152bに沿って取り付けられ、土嚢50のベルト52を固定枠体150との間で挟み付けるための挟持体170a、170bとを有している。なお、固定枠体150は、縦枠材151a、151bおよび横枠材152a、152bからなり、第2の実施の形態における布団篭200の吊部材130のように土嚢ベルト巻付体155については設けられていない。
【0062】
挟持体170a、170bは、型鋼からなり、例えば略L字状の山型鋼を用いることができる。但し、これに限るものではなく、挟持体170a、170bとしては、H型鋼、I型鋼、溝型鋼等を用いることができる。挟持体170a、170bは、横枠材152aおよび横枠材152bと同じ長さおよび同じ高さを有し、挟持体170a、170bの平面部分と横枠材152aおよび横枠材152bの平面部分とが面接触により密着可能な状態で取り付けられる。
【0063】
挟持体170a、170bと横枠材152aおよび横枠材152bとは、ボルトbt1乃至bt4によって取り付けることが可能であり、土嚢50のベルト52を挟み付けた状態でボルトbt1乃至bt4によって強固に結合可能である。
【0064】
この場合、挟持体170a、170bにおいては、土嚢50のベルト52の幅よりも僅かに大きな間隔を開けた位置に2ケ所ずつ合計4点でボルトbt1乃至bt4によって結合可能である。挟持体170a、170bは、土嚢50のベルト52を横枠材152aおよび横枠材152bとの間に挟み付けた状態で水平方向の移動を規制するために取り付けられるものである。したがって、挟持体170a、170bの平面部分および横枠材152aおよび横枠材152bの平面部分は、摩擦抵抗が大きくなるような表面粗さに形成されていることが好ましい。
【0065】
以上の構成において、布団篭300は、籠体120の内部に2個の土嚢50を収容した後、天面パネル24を取り付け、籠体120の収容空間に2個の土嚢50を収容して天面パネル24で蓋をした状態とする。
【0066】
続いて、土嚢50のベルト52を天面パネル24における複数の天面材24aの隙間から引っ張り出し、横枠材152aおよび横枠材152bの双方を外側から跨ぐように絡める。その後、天面パネル24に対して吊部材130の固定枠体150を一体に取り付けて固定する。
【0067】
そして、挟持体170a、170bを横枠材152aおよび横枠材152bに取り付ける。このとき、挟持体170a、170bと横枠材152aおよび横枠材152bとの間に土嚢50のベルト52を挟み付けた状態で、挟持体170a、170bが横枠材152aおよび横枠材152bに強固に取り付けられる。
【0068】
これにより、土嚢50のベルト52が固定枠体150の横枠材152a、152bに絡められると共に、挟持体170a、170bによってベルト52の矢印cd方向の一端側または他端側への移動が規制された状態で土嚢50と籠体120とが一体化される。
【0069】
この状態で2個の土嚢50のベルト52に対してスリングロープ40を結び付けることにより布団篭300が重機により吊り下げ可能な状態として形成される。布団篭300のスリングロープ40が重機によって吊り下げられると、スリングロープ40を介して土嚢50のベルト52が引っ張り上げられることになる。
【0070】
このとき、土嚢50が籠体120の天面パネル24に接触することになり、土嚢50と共に籠体120についても一緒に吊り下げられる。すなわち、スリングロープ40を介して土嚢50のベルト52が吊り下げられると、土嚢50が天面パネル24に接触した状態のまま籠体120が同時に吊り下げられる。
【0071】
このとき、籠体120の底面パネル23に土嚢50の重量が負荷されない状況を形成することができる。すなわち、吊部材230の固定枠体150に土嚢50のベルト52を絡ませて、スリングロープ40を介して重機によりベルト52が引っ張り上げられると、当該土嚢50が籠体120の収容空間の中で吊り下げ可能に保持されることになる。
【0072】
したがって、布団篭300では、固定枠体150を介して重機によりベルト52を直接吊り下げることにより、土嚢50の重量負荷が籠体120にかかることがないので、当該籠体120を土嚢50の重量負荷によって変形させることを未然に防止することができる。
【0073】
また、布団籠300では、スリングロープ40が重機により1点で吊り下げられると、2個の土嚢50のベルト52が移動しようとする。しかしながら、挟持体170a、170bと横枠材152a、152bとの間に土嚢50のベルト52が強固に挟み付けられた状態で取り付けられているため、籠体120に収容された土嚢50の位置が変動することなく、籠体120の変形を未然に防止することができる。
【0074】
2.他の実施の形態
なお、その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の布団籠100、200、300を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0075】
20,120……籠体、21a……第1の正面パネル、21b……第2の正面パネル、22a……第1の側面パネル、22b……第2の側面パネル、23……底面パネル、24……天面パネル、30,130,230……吊部材、31~36……U字ボルト、40……スリングロープ(ロープ状部材)、50……土嚢、51……ベルト、100,200,300……布団篭、140……吊体、150……固定枠体、151a,151b……縦枠材、152a,152b……横枠材、155……土嚢ベルト巻付体、155h……貫通孔、156……ベルト係止具、157……回転止棒、170a,170b……挟持体、bt1乃至bt4……ボルト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8