IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ JFE建材株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-堰堤、捕捉体および捕捉体の設置方法 図1
  • 特許-堰堤、捕捉体および捕捉体の設置方法 図2
  • 特許-堰堤、捕捉体および捕捉体の設置方法 図3
  • 特許-堰堤、捕捉体および捕捉体の設置方法 図4
  • 特許-堰堤、捕捉体および捕捉体の設置方法 図5
  • 特許-堰堤、捕捉体および捕捉体の設置方法 図6
  • 特許-堰堤、捕捉体および捕捉体の設置方法 図7
  • 特許-堰堤、捕捉体および捕捉体の設置方法 図8
  • 特許-堰堤、捕捉体および捕捉体の設置方法 図9
  • 特許-堰堤、捕捉体および捕捉体の設置方法 図10
  • 特許-堰堤、捕捉体および捕捉体の設置方法 図11
  • 特許-堰堤、捕捉体および捕捉体の設置方法 図12
  • 特許-堰堤、捕捉体および捕捉体の設置方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】堰堤、捕捉体および捕捉体の設置方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 7/02 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
E02B7/02 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021014585
(22)【出願日】2021-02-01
(65)【公開番号】P2022117850
(43)【公開日】2022-08-12
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】山口 聖勝
(72)【発明者】
【氏名】吉田 一雄
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 幸司
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-183539(JP,A)
【文献】特開2011-117247(JP,A)
【文献】特開2016-194193(JP,A)
【文献】特開2001-182040(JP,A)
【文献】特開2014-173234(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0320064(KR,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0154012(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水通し部を有する堰堤であって、
少なくとも前記水通し部に対向して壁部に設けられ、上流から流れてくる物体を捕捉して流水を通す捕捉体を備え、
前記捕捉体は、一端が前記壁部に固定され、他端が前記壁部から上流側に離間する複数の柱部と、前記複数の柱部のうち、前記水通し部の幅方向における端部に位置する柱部と前記壁部の間に設けられた側方柵と、を備え、
前記側方柵は、前記壁部のみに連結されており、
前記側方柵の一端は、前記壁部に固定されており、
前記側方柵の他端は、河川の流れ方向に沿った前記柱部に対向する位置で前記柱部から離間した位置にあることを特徴とする堰堤。
【請求項2】
水通し部を有する堰堤であって、
少なくとも前記水通し部に対向して壁部に設けられ、上流から流れてくる物体を捕捉して流水を通す捕捉体を備え、
前記捕捉体は、一端が前記壁部に固定され、他端が前記壁部から上流側に離間する複数の柱部と、前記複数の柱部のうち、前記水通し部の幅方向における端部に位置する柱部と前記壁部の間に設けられた側方柵と、を備え、
前記側方柵は、前記壁部のみに連結されており、
前記側方柵の一端は、前記壁部に固定されており、
前記側方柵の他端は、河川の幅方向に沿った前記柱部に対向する位置で前記柱部から離間した位置にあることを特徴とする堰堤。
【請求項3】
前記捕捉体は、前記柱部間に架け渡された複数の横部を備え、
前記複数の横部のうち、少なくとも一部の横部は、前記柱部間の連結が遮断されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の堰堤。
【請求項4】
堰堤が有する水通し部に対向して前記堰堤の壁部に設けられ、上流から流れてくる流木を捕捉して流水を通す捕捉体であって、
一端が前記壁部に固定され、他端が前記壁部から上流側に離間する複数の柱部と、前記複数の柱部のうち、前記水通し部の幅方向における端部に位置する柱部と前記壁部の間に設けられた側方柵と、を備え、
前記側方柵は、前記壁部のみに連結されており、
前記側方柵の一端は、前記壁部に固定されており、
前記側方柵の他端は、河川の流れ方向に沿った前記柱部に対向する位置で前記柱部から離間した位置にあることを特徴とする捕捉体。
【請求項5】
堰堤が有する水通し部に対向して前記堰堤の壁部に設けられ、上流から流れてくる流木を捕捉して流水を通す捕捉体であって、
一端が前記壁部に固定され、他端が前記壁部から上流側に離間する複数の柱部と、前記複数の柱部のうち、前記水通し部の幅方向における端部に位置する柱部と前記壁部の間に設けられた側方柵と、を備え、
前記側方柵は、前記壁部のみに連結されており、
前記側方柵の一端は、前記壁部に固定されており、
前記側方柵の他端は、河川の幅方向に沿った前記柱部に対向する位置で前記柱部から離間した位置にあることを特徴とする捕捉体。
【請求項6】
前記柱部間に架け渡された複数の横部を備え、
前記複数の横部のうち、少なくとも一部の横部は、前記柱部間の連結が遮断されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の捕捉体。
【請求項7】
請求項4から6までのいずれか一項に記載の捕捉体を、堰堤が有する水通し部に対向させて前記堰堤の壁部に設ける捕捉体の設置方法であって、
前記柱部の一端を前記壁部に固定する工程と、
前記側方柵の他端を前記柱部から離間させて前記側方柵の一端を前記壁部に連結する工程と、
を有することを特徴とする捕捉体の設置方法。
【請求項8】
請求項に記載の捕捉体を、堰堤が有する水通し部に対向させて前記堰堤の壁部に設ける捕捉体の設置方法であって、
前記柱部の一端を前記壁部に固定する工程と、
前記側方柵の他端を前記柱部から離間させて前記側方柵の一端を前記壁部に連結する工程と、
前記複数の横部のうち、少なくとも一部の横部を、前記柱部間の連結が遮断された状態で前記柱部に連結する工程と、
を有することを特徴とする捕捉体の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、堰堤、捕捉体および捕捉体の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
山間部等の河川においては、台風や大雨による土砂災害を防止するため、堰堤が設置される。堰堤は、天端に水を通す水通し部が形成されており、水を通過させつつも土石流に含まれる岩石や流木が通過することを抑えるものであり、その壁部にて土石流の勢いを弱めると共に、岩石や流木を堰き止める働きをしている。このような堰堤は、不透過型堰堤と呼ばれている。また、水通し性能をより高めて岩石や流木を効果的に捕捉するため、堰堤の一部にスリットを形成し、このスリットに鋼管等で柵状に構築された捕捉体を設けた、いわゆる透過型堰堤も知られている(例えば、特許文献1参照)。
近年、土石流に含まれる流木が原因で被害が拡大していることを受け、流木捕捉効果を高める対策として、新たに構築する堰堤については、透過型堰堤の採用が推奨されており、既設の不透過型堰堤については、流木捕捉効果を高めるために捕捉体を設置する対策が推奨されている。
【0003】
既設の不透過型堰堤に捕捉体を設ける場合、(1)不透過型堰堤の水通し部を切り欠いて捕捉体を設置する、(2)不透過型堰堤の水通し部に捕捉体を設置して袖部を嵩上げする、(3)副堰堤又は垂直壁に捕捉体を設置する、(4)不透過型堰堤の上流堆砂敷に捕捉体を設置する、(5)不透過型堰堤の上流法面に直接設置する、といった対策が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-173234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、(1)の対策は、堰堤を切り欠くため費用・時間がかかり、堰堤の上流側に土砂が堆積していた場合は除石が必要である。(2)の対策は、堰堤を嵩上げするため、(1)と同様、費用・時間がかかる。(3)の対策は、副堰堤又は垂直壁を嵩上げするため、(1)や(2)と同様、費用・時間がかかり、捕捉できる流木量に制限がある。このように、(1)~(3)の対策工は、機能発揮するまでに相当な時間がかかり、また、大がかりな施工となってしまう等の課題がある。
(4)の対策は、上流堆砂敷に捕捉体を設置するので、不透過型堰堤に影響しない範囲に設置すれば容易に捕捉体を構築できる。しかし、堆砂敷に設置した場合、下流側が洗堀され構造物が不安定になること、地耐力が小さいこと、将来不透過型堰堤の機能回復のために除石する場合には撤去が必要であり、除石すると捕捉体を設けることができない等の課題がある。
(5)の対策は、不透過型堰堤に極力手を加えずに捕捉体を設けることができるため、最も有効な対策である。しかし、不透過型堰堤の上流面に直接設置するため、捕捉体を構成する各部材を高い組立精度で施工する必要がある。また、捕捉体の両端部には流木の回り込みによる流出を防止するため、不透過型堰堤の上流面と捕捉体の両端部との間に側方柵を設ける必要があるが、その施工にも高い組立精度が求められるので施工に手間がかかる等の課題があり、解決が望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、上記(5)の対策において、より短時間で簡単に施工できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、水通し部を有する堰堤であって、少なくとも前記水通し部に対向して壁部に設けられ、上流から流れてくる物体を捕捉して流水を通す捕捉体を備え、前記捕捉体は、一端が前記壁部に固定され、他端が前記壁部から上流側に離間する複数の柱部と、前記複数の柱部のうち、前記水通し部の幅方向における端部に位置する柱部と前記壁部の間に設けられた側方柵と、を備え、前記側方柵は、前記壁部と前記柱部の少なくとも一方に連結されていることを特徴とする。
【0008】
また、前記捕捉体は、前記柱部間に架け渡された複数の横部を備え、前記複数の横部のうち、少なくとも一部の横部は、前記柱部間の連結が遮断されていることが好ましい。
【0009】
また、前記側方柵の一端が前記壁部から離間した状態で、前記側方柵の他端が前記柱部に連結されており、前記側方柵の一端は、根巻きコンクリートにて前記壁部に固定されていることが好ましい。
【0010】
また、前記壁部には、前記側方柵の一端を挿脱自在に受容する受容部が設けられており、前記側方柵の他端は、前記側方柵の一端が前記受容部に挿入された状態で前記柱部に連結されていることが好ましい。
【0011】
また、前記側方柵の一端は、前記壁部に固定されており、前記側方柵の他端は、河川の流れ方向に沿った前記柱部に対向する位置で前記柱部から離間した位置にあることが好ましい。
【0012】
また、前記側方柵の一端は、前記壁部に固定されており、前記側方柵の他端は、河川の幅方向に沿った前記柱部に対向する位置で前記柱部から離間した位置にあることが好ましい。
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明は、堰堤が有する水通し部に対向して前記堰堤の壁部に設けられ、上流から流れてくる流木を捕捉して流水を通す捕捉体であって、一端が前記壁部に固定され、他端が前記壁部から上流側に離間する複数の柱部と、前記複数の柱部のうち、前記水通し部の幅方向における端部に位置する柱部と前記壁部の間に設けられた側方柵と、を備え、前記側方柵は、前記壁部と前記柱部の少なくとも一方に連結されていることを特徴とする。
【0014】
また、前記柱部間に架け渡された複数の横部を備え、前記複数の横部のうち、少なくとも一部の横部は、前記柱部間の連結が遮断されていることが好ましい。
【0015】
上記の課題を解決するため、本発明は、上記の捕捉体を、堰堤が有する水通し部に対向させて前記堰堤の壁部に設ける捕捉体の設置方法であって、前記柱部の一端を前記壁部に固定する工程と、前記側方柵を前記壁部と前記柱部の少なくとも一方に連結する工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
上記の課題を解決するため、本発明は、上記の捕捉体を、堰堤が有する水通し部に対向させて前記堰堤の壁部に設ける捕捉体の設置方法であって、前記柱部の一端を前記壁部に固定する工程と、前記側方柵を前記壁部と前記柱部の少なくとも一方に連結する工程と、前記複数の横部のうち、少なくとも一部の横部を、前記柱部間の連結が遮断された状態で前記柱部に連結する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、不透過型堰堤に捕捉体をより短時間で簡単に施工できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施の形態における捕捉体を備えた堰堤を上流側から見た斜視図である。
図2】(a)は図1の堰堤を上流側から見た正面図、(b)は(a)のA-A矢視図、(c)は(a)のB-B矢視図である。
図3】(a)は第2の実施の形態における堰堤を上流側から見た正面図、(b)は(a)のC-C矢視図、(c)は(a)のD-D矢視図である。
図4】(a)は第3の実施の形態における堰堤を上流側から見た正面図、(b)は(a)のE-E矢視図、(c)は(a)のF-F矢視図である。
図5】(a)は第4の実施の形態における堰堤を上流側から見た正面図、(b)は(a)のG-G矢視図、(c)は(a)のH-H矢視図である。
図6】(a)は第5の実施の形態における堰堤を上流側から見た正面図、(b)は(a)のI-I矢視図、(c)は(a)のJ-J矢視図である。
図7】(a)は第6の実施の形態における堰堤を上流側から見た正面図、(b)は(a)のK-K矢視図、(c)は(a)のL-L矢視図である。
図8】第7の実施の形態における捕捉体を備えた堰堤を川岸から見た側面図である。
図9】(a)は第8の実施の形態における堰堤を川岸から見た側面図、(b)は(a)における側方柵と袖部の連結部位の拡大図、(c)は(a)における側方柵と袖部の連結部位の機構を説明する図である。
図10】(a)は第9の実施の形態における堰堤を川岸から見た側面図、(b)は(a)の側方柵の平面図、(c)は(a)の側方柵と柱部との位置関係を示す図である。
図11】(a)は第10の実施の形態における堰堤を川岸から見た側面図、(b)は(a)の側方柵の平面図、(c)は(a)の側方柵と柱部との位置関係を示す図である。
図12】(a)は第11の実施の形態における堰堤を川岸から見た側面図、(b)は(a)の側方柵の平面図、(c)は(a)の側方柵と柱部との位置関係を示す図である。
図13】(a)は第12の実施の形態における堰堤を川岸から見た側面図、(b)は(a)の側方柵の平面図、(c)は(a)の側方柵と柱部との位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は例示であり、本発明の範囲において、種々の形態をとり得る。
【0020】
[第1の実施の形態]
<堰堤の構成>
図1図2に示すように、堰堤1は、本体2と、捕捉体3とを備えている。堰堤1は、河川に設置された既設の不透過型堰堤である本体2に捕捉体3を新たに設置して流木や岩石等(物体)の捕捉機能を高めたものである。
【0021】
(本体)
本体2は、その底部が地盤に埋設されており、河川を横切るように河川の幅方向に沿って延在するように構築されている。本体2は、例えば、コンクリートまたはソイルセメントによって構築されている。なお、本体2において、河川の上流側または下流側に面する壁部を、複数の鋼製セグメントを連結することにより形成された鋼板壁とし、その内部にコンクリートやソイルセメントを充填してもよい。
本体2における河川の幅方向に沿った中央近傍、つまり、堰堤1が構築される河川の両岸から河川中央に向かって延在する袖部21の間の上端部には、周囲よりも上端面(天端面)が低くなるように切り欠かれた(凹んだ)水通し部22が形成されている。水通し部22は、上流から流れてくる流水を本体2の中央近傍に集約して下流に流すために形成されている。すなわち、本体2は、水通し部を有する不透過型堰堤である。
本体2は、河川の両岸に接続した袖部21と、河川の上流側に面する上流壁部23とを備えている。袖部21の上流側および下流側に面する壁部は、鉛直方向に延在している。上流壁部23は、袖部21または水通し部22の底面22aから下方に向かうにつれて上流側に向けて傾斜している。上流壁部23には、捕捉体3を取り付ける固定部23aが設けられている。固定部23aは、例えば、コンクリートやモルタルで形成されており、捕捉体3をずれなく固定するために表面が平坦に形成されている。
【0022】
(捕捉体)
捕捉体3は、河川の上流から流れてくる物体(流木や岩石等)を捕捉して流水を通すものであり、本体2の袖部21および上流壁部23に設けられている。捕捉体3は、本体2の延在方向、すなわち、河川の幅方向に沿って設けられている。
捕捉体3は、本体2の水通し部22の上流側で水通し部22に対向する位置に設けられている。捕捉体3は、少なくとも一部が本体2の水通し部22の底面22aよりも上方に位置するように本体2に設けられている。捕捉体3は、幅方向の長さLが水通し部22の幅よりも長くなるように構築されている。
捕捉体3は、複数の柱部31と、横部32と、側方柵33と、を備えている。
【0023】
柱部31は、一端が上流壁部23aに固定され、他端が上流壁部23aから上流側に離間している。柱部31は、本体2の幅方向(河川の幅方向)に沿って互いに所定の間隔をあけて複数設けられている。隣接する柱部31の間隔Sは、河川を流れてくると想定される最大の流木の長さの半分の長さ、または、河川を流れてくると想定される最大の礫径に相当する長さであることが好ましい。柱部31は、例えば、鋼管によって形成されている。
柱部31は、第1の脚部31aと、第2の脚部31bと、立設部31cと、を備えている。
第1の脚部31aは、一端(下端)が上流壁部23の固定部23aにアンカーボルトおよびナットによって固定されている。第1の脚部31aは、一端(下端)から他端(上端)に向かうにつれて上流側上方に向けて傾斜するように延在しており、他端近傍で屈曲されて真上に向かって延在している。第1の脚部31aは、その他端でフランジを介して立設部31cに連結されている。堰堤1の高さ方向において第1の脚部31aは、その他端部が袖部21の上流側の壁部に少なくとも対向する位置まで延在している。
【0024】
第2の脚部31bは、一端が第1の脚部31aの一端よりも上方の位置において、上流壁部23の固定部23aにアンカーボルトおよびナットによって固定されている。第2の脚部31bは、他端において、第1の脚部31aの延在方向における中央近傍に連結されている。
ここで、第2の脚部31bは、上流側の川底の傾斜に沿うように配置されていると、土石流の力を第2の脚部31bの軸線方向に沿って受けることができ、第1の脚部31aが本体2の上流壁部23から引き剥がされようとする力を小さく抑えることができるので好ましい。これにより、柱部31の第1の脚部31aおよび第2の脚部31bは、側面視略λ字状に構築されており、第1の脚部31aは、第2の脚部31bよりも長くなっている。
【0025】
立設部31cは、一端(下端)が第1の脚部31aの他端(上端)にフランジを介して連結されている。立設部31cは、第1の脚部31aの他端から鉛直方向に延在するように設けられている。具体的には、立設部31cは、斜めに延在する第1の脚部31aに対して上流壁部23側で鈍角をなして延在している。すなわち、立設部31cは、本体2の袖部21の上流側の壁部に対して略平行に延在している。
【0026】
横部32は、隣接する柱部31間に複数架け渡されており、柱部31の延在方向に交差(直交)する方向に延在している。
横部32は、例えば、鋼管によって形成されている。横部32は、その端部が柱部31の立設部31cに設けられている。
横部32は、立設部31cの延在方向に沿って複数列にわたって設けられており、各列においては、隣接する柱部31の立設部31cに横部32の各端部がそれぞれ連結されている。ここで、隣接する柱部31間に設けられた複数の横部32のうち、一部の横部32aは、2つの鋼管がフランジを介して連結されており、隣接する立設部31c間で1つの横部32aとして構成されている。横部32a以外の残りの横部32bは、2つの鋼管の一端がそれぞれの立設部31cに連結されており、他端は立設部31c間のほぼ中央付近で互いに少しの間隔をあけて対向するように構成されている。すなわち、複数の横部32のうち、少なくとも一部の横部32bは、柱部31間の連結が遮断されている。
図1図2においては、横部32は、立設部31cの延在方向に沿って4列にわたって立設部31cに設けられており、上から二列目の横部32が横部32aとして構成されており、残りの横部32が横部32bとして構成されている。
【0027】
側方柵33は、複数の柱部31のうち、水通し部22の幅方向における端部に位置する柱部31と袖部21及び上流壁部23aとの間に設けられている。側方柵33は、袖部21と柱部31の立設部31cの少なくとも一方に連結されている。なお、図1図2においては、側方柵33は、袖部21と立設部31cの双方に連結されている。
側方柵33は、横部33aと、立設部33bと、を備えている。
横部33aは、袖部21と立設部31cとの間に架け渡されており、柱部31の延在方向に交差(直交)する方向、すなわち、河川の流れ方向に延在している。
横部33aは、例えば、鋼管によって形成されている。横部33aは、一端が立設部31cにおける横部32aとの連結部位近傍に連結されており、他端が袖部21の固定部21aにアンカーボルトおよびナットによって固定されている。すなわち、横部33aと横部32aは、堰堤1の高さ方向において、ほぼ同じ高さ位置で立設部31cに連結されている。具体的には、横部32aおよび横部33aは、想定される流水の水面を含む高さ位置に設けられていることが好ましい。横部33aは、1つの鋼管から構成してもよいが、図1に示すように、現場での施工を容易にするために、複数の鋼管を、フランジを介して連結してもよい。
【0028】
立設部33bは、横部33aから上方及び下方に延在している。立設部33bは、例えば、鋼管によって形成されている。
立設部33bは、その延在方向(軸線方向)途中の位置で横部33aに連結されており、所定の間隔をおいて横部33aから上方及び下方に向かうように延在して横部33aに立設されており、例えば、柱部31の立設部31cの延在方向に平行に鉛直方向に延在している。つまり、立設部33bは、本体2の袖部21における上流側の壁部に対向して当該壁部に略平行に延在している。隣接する立設部33bの間隔S1は、立設部31cにおける間隔Sよりも狭くなっていることが好ましい。立設部33bは、1つの鋼管から構成してもよいが、現場での施工を容易にするために、複数の鋼管を、フランジを介して連結してもよい。
【0029】
捕捉体3は、水通し部22の幅よりも長くなるように構築されている。捕捉体3の幅方向(河川の幅方向)における両端部に設けられた柱部31が、少なくとも袖部12及び上流壁部23に対向する位置に配置されている。例えば、捕捉体3は、幅方向において両端部側から3つ目までの柱部31が、幅方向において水通し部22の側方で本体2に対向する(かぶる)ように設置されている。
換言すると、柱部31と柱部31との間隔Sを1スパンとした場合、捕捉体3は、各端部で2スパン分だけ本体2に対向するように構築されている。なお、本体2に対向する各2スパンのうち、水通し部22側における1スパンは、少なくとも一部が本体2に対向しているだけでもよい。
また、本体2に対向する捕捉体3の範囲は、例えば、河川を流れてくると想定される最大の流木の長さ、最大の礫径、または設置する堰堤1の規模等に応じて、1スパン分、3スパン分またはそれ以上のスパン分だけ本体2に対向するように、適宜、変更することができる。
【0030】
ここで、捕捉体3における立設部31c、横部32、横部33aおよび立設部33bの取り付け位置について、説明する。
横部32および横部33aは、堰堤1において想定される越流水深の水面を含む高さ位置に設けられており、立設部31cおよび立設部33bは、水通し部22における余裕高に少なくとも達する位置にまで延在している。
「想定される越流水深」とは、水通し部22を流れる、つまり、堰堤1を越流すると想定される流水の水面の高さから、ここでは、水通し部22の底面22aまでの距離である。また、「余裕高」とは、越流水深に基づいて設定した高さである。
立設部33bの上端は、立設部31cと同じ高さ位置まで延びている。つまり、立設部33bは、その上端が横部33aから最短距離で余裕高にまで達する長さを有する。
【0031】
<捕捉体の設置方法>
次に、既設の不透過型堰堤の本体2に捕捉体3を設けて堰堤1を構築する際の、捕捉体3の設置方法について説明する。
最初に、本体2の上流壁部23における捕捉体3の設置位置に、コンクリート又はモルタルで表面が平坦な固定部23aを構築すると共に、本体2の袖部21における捕捉体3の設置位置に、コンクリート又はモルタルで表面が平坦な固定部21aを構築する。
次に、固定部23a及び固定部21aを削孔し、形成した孔にアンカーボルトを埋設し、モルタル等を孔に充填して固定する。
次に、アンカーボルトに第1の脚部31a、第2の脚部31bおよび横部33aの一端に設けられているベースプレートを通し、ナットで固定する。ここで、捕捉体3は、それぞれ鋼管からなる柱部31と横部32と横部33aとを予め溶接等にて接合しておき、クレーン等で吊しながらナットで固定する。複数の横部32のうち、少なくとも一部の横部を、柱部31間の連結が遮断された状態で柱部31に連結する。側方柵33は、上流壁部23と柱部31の少なくとも一方に連結する。ここで、捕捉体3の幅方向の長さは、少なくとも本体2の水通し部22の幅よりも長くなるように構築することが好ましい。
なお、捕捉体3を本体2に設ける際には、捕捉体3の一部が本体2の水通し部22の底面22aよりも上方に位置するように本体2に取り付ける。
以上の工程をもって、既設の不透過型堰堤の本体2に捕捉体3を設置することができ、既設の不透過型堰堤の流木等の捕捉機能を強化した堰堤1が構築される。
【0032】
以上のように、既設の不透過型堰堤の本体2の袖部21および上流壁部23に捕捉体3を設けることにより、堰堤1に極力手を加えることなく流木や土砂等を捕捉する機能を付加することができ、堰堤1としての機能を向上させ、土砂災害を抑えることができる。
また、台風や大雨による土石流の発生を想定して事前に捕捉体3を本体2に設けることができるので、土砂災害を未然に防止することができる。
ここで、捕捉体を既設の水通し部に設けると、従来では新たな水通し部を設けるために堰堤本体を嵩上げする必要があるが、堰堤1においては、捕捉体3は、上流壁部23及び袖部21に水通し部22から離間させて設けられているので、本体2を嵩上げする必要がなく、堰堤1の強度不足を解消するための改良工事が不要となる。
また、本体2からの越流に備えて堰堤1の下流側の改良工事や、水通し部22の拡幅工事、腹付工事を行う必要がないので、施工コストの削減、工期の短縮を図ることができる。
また、本体2の嵩上げや捕捉体3の設置のために、水通し部22のコンクリートをはつってから捕捉体3の固定用のコンクリートを打設することもなく、既設の本体2を大幅に改良する必要がない。
よって、従来よりも簡単に捕捉体3を本体2に設置でき、施工コストの削減、工期の短縮を図ることができる。
【0033】
また、複数の横部32のうち、少なくとも一部の横部32bは、柱部31間の連結が遮断されているので、捕捉体3を本体2に固定する際に多少の取り付け誤差があっても横部32b間に形成された隙間で誤差の影響を解消することができる。これにより、施工に高い組立精度が求められることもなくなり、本体2に捕捉体3をより短時間で簡単に施工できる。
また、横部32aは、想定される越流水深の位置に配置されており、横部32bは横部32aの上下に複数段配置されているので、現地の水位変動にも柔軟に対応した堰堤1を構築することができる。
側方柵33に関しても、側方柵33を袖部21と柱部31の少なくとも一方に連結されていればよいので、捕捉体3を本体2に固定する際に多少の取り付け誤差があっても、側方柵33の自由端側で誤差の影響を解消することができる。これにより、施工に高い組立精度が求められることもなくなり、本体2に捕捉体3をより短時間で簡単に施工できる。
また、柱部31、横部32、側方柵33のうち、多くの場所で連結が遮断されており、連結部位はフランジ等を用いてボルト及びナットで連結されているので、流木を捕捉した後、損傷した部材のみを簡単に交換することができる。
【0034】
また、捕捉体3は、水通し部22の底面22aよりも上方に突出するように配置されているので、長い年月が経過して堰堤1の上流側に土砂が堆積していても流木等の捕捉機能を維持することができる。
また、捕捉体3は、水通し部22との対向部分が水通し部22から離間して設けられているので、水通し部22に流木等が流れ込む前で流木等を捕捉することができる。
また、第2の脚部31bは、堰堤1が設置される地盤(川底)の傾斜に沿って配置されているので、第1の脚部31aから伝わる流木等の衝突エネルギーを軸線方向に沿って受けることができるので、第1の脚部31aが本体2から剥がれようとする力を最小限に抑えることができる。
【0035】
また、第1の脚部31aに鉛直方向に延在する立設部31cを備えることにより、第1の脚部31aの他端から鉛直方向に延在する立設部31cが余裕高に最短距離で達することになる。これにより、第1の脚部31aが余裕高に達する場合に比べて捕捉体3と本体2との間の間隔を小さくすることができる。
さらに、例えば、捕捉体3により捕捉された流木や巨礫が堆積してせり上がろうとした場合であっても、立設部31cの存在により流木や巨礫が捕捉体3を乗り越えることを防ぐことができる。このように、流れてきた流木や巨礫は、第1の脚部31aに沿って堰堤1の下方に向かうように案内されると共に、立設部31cにより押し戻されて流木等の越流の防止効果をより高めることができる。
【0036】
また、捕捉体3は、想定される越流水深の水面を含む高さ位置に横部33aを備えているので、上流から下流に向かう流水は、横部33aに沿って袖部21の壁部に衝突した後、上流へと戻りつつ本体2の中央近傍に集約されて下流に流されるようになる。これにより、捕捉体3の側方からの流木等の回り込みによる越流の防止効果を達成することができる。
さらに、横部33aには立設部31cが設けられているので、例えば、流水が想定外の量となり、横部33aを上回ったとしても、立設部31cにおいて流木等は捕捉されるので、捕捉体3の側方からの流木等の越流をより効果的に防止することができる。
また、捕捉体3の長さは、水通し部22の幅よりも長いので、水通し部22に流木等が流れ込む前でほとんどの流木等を捕捉することができる。さらに、捕捉体3のように、水通し部22に対して幅方向において本体2に対向する位置にまで延在する場合、流れてきた流木や巨礫を捕捉する範囲が幅方向に広がり、捕捉体3の側方から回り込もうとする流木や巨礫を効果的に捕捉することができる。
【0037】
[第2の実施の形態]
次に、堰堤及び捕捉体の第2の実施の形態について説明する。堰堤1A及び捕捉体3Aが堰堤1及び捕捉体3と異なる点は、横部32の構成であるため、以下では、横部32について説明し、第1の実施の形態と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
図3に示すように、横部32は、隣接する柱部31間に複数架け渡されており、柱部31の延在方向に交差(直交)する方向に延在している。
横部32は、例えば、鋼管によって形成されている。横部32は、その端部が柱部31の立設部31cに設けられている。
横部32は、立設部31cの延在方向に沿って複数列にわたって設けられており、各列においては、隣接する柱部31の立設部31cに横部32の少なくとも一方の端部が連結されている。ここで、隣接する柱部31間に設けられた複数の横部32のうち、一部の横部32cは、2つの鋼管がフランジを介して連結されており、隣接する立設部31c間で1つの横部32cとして構成されている。横部32cは、それぞれの端部が対向する立設部31cに連結されている。
横部32c以外の残りの横部32dは、1つの鋼管の一端が一方の立設部31cに連結されており、他端は他方の立設部31cに少しの間隔をあけて対向するように構成されている。すなわち、複数の横部32のうち、少なくとも一部の横部32dは、柱部31間の連結が遮断されている。
図3においては、横部32は、立設部31cの延在方向に沿って4列にわたって立設部31cに設けられており、上から二列目の横部32が横部32cとして構成されており、残りの横部32が横部32dとして構成されている。上流側から捕捉体3に向かって左側の横部32dは、左側の立設部31cに連結されており、上流側から捕捉体3に向かって右側の横部32dは、右側の立設部31cに連結されている。
【0038】
以上のように、横部32dを1つの鋼管で構成することで、立設部31cとの連結箇所を1カ所で済ませることができ、第1の実施の形態の横部32bと比べて横部32dの立設部31cへの連結作業を減らすことができる。
【0039】
[第3の実施の形態]
次に、堰堤及び捕捉体の第3の実施の形態について説明する。堰堤1B及び捕捉体3Bが堰堤1及び捕捉体3と異なる点は、横部32の構成であるため、以下では、横部32について説明し、第1の実施の形態と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
図4に示すように、横部32は、隣接する柱部31間に複数架け渡されており、柱部31の延在方向に交差(直交)する方向に延在している。
横部32は、例えば、鋼管によって形成されている。横部32は、その端部が柱部31の立設部31cに設けられている。
横部32は、立設部31cの延在方向に沿って複数列にわたって設けられており、各列においては、隣接する柱部31の立設部31cに横部32の少なくとも一方の端部が連結されている。ここで、隣接する柱部31間に設けられた複数の横部32のうち、一部の横部32eは、2つの鋼管の一端がそれぞれの立設部31cに連結されており、他端は立設部31c間のほぼ中央付近で互いに少しの間隔をあけて対向している。2つの鋼管の他端同士は、フランジ等を用いず、鉄板等で簡易的に連結されており、1つの横部32eとして隣接する立設部31c間で連結されている。
横部32e以外の残りの横部32fは、1つの鋼管の一端が一方の立設部31cに連結されており、他端は他方の立設部31cに少しの間隔をあけて対向するように構成されている。すなわち、複数の横部32のうち、少なくとも一部の横部32fは、柱部31間の連結が遮断されている。
図4においては、横部32は、立設部31cの延在方向に沿って4列にわたって立設部31cに設けられており、上から二列目の横部32が横部32eとして構成されており、残りの横部32が横部32fとして構成されている。上流側から捕捉体3に向かって左側の横部32fは、左側の立設部31cに連結されており、上流側から捕捉体3に向かって右側の横部32fは、右側の立設部31cに連結されている。
【0040】
以上のように、横部32fを1つの鋼管で構成することで、立設部31cとの連結箇所を1カ所で済ませることができ、第1の実施の形態の横部32bと比べて横部32dの立設部31cへの連結作業を減らすことができる。
また、2つの鋼管を簡易的に連結して横部32eを構成しているので、第1の実施の形態の横部32aと比べて横部32eの連結作業を軽減することができる。
【0041】
[第4の実施の形態]
次に、堰堤及び捕捉体の第4の実施の形態について説明する。堰堤1C及び捕捉体3Cが堰堤1及び捕捉体3と異なる点は、横部32の構成であるため、以下では、横部32について説明し、第1の実施の形態と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
図5に示すように、横部32は、隣接する柱部31間に複数架け渡されており、柱部31の延在方向に交差(直交)する方向に延在している。
横部32は、例えば、鋼管によって形成されている。横部32は、その端部が柱部31の立設部31cに設けられている。
横部32は、立設部31cの延在方向に沿って複数列にわたって設けられており、各列においては、隣接する柱部31の立設部31cに横部32の各端部が連結されている。ここで、隣接する柱部31間に設けられた複数の横部32の全ての横部32gは、2つの鋼管の一端がそれぞれの立設部31cに連結されており、他端は立設部31c間のほぼ中央付近で互いに少しの間隔をあけて対向するように構成されている。すなわち、複数の横部32の全ての横部32gは、柱部31間の連結が遮断されている。
図5においては、横部32は、立設部31cの延在方向に沿って4列にわたって立設部31cに設けられている。
【0042】
以上のように、全ての横部32gは、柱部31間の連結が遮断されているので、第1の実施の形態における横部32aの連結作業を軽減できるほか、施工時に高い組立精度を求められることがなく、短時間で簡単に施工できるようになる。
【0043】
[第5の実施の形態]
次に、堰堤及び捕捉体の第5の実施の形態について説明する。堰堤1D及び捕捉体3Dが堰堤1及び捕捉体3と異なる点は、横部32の構成であるため、以下では、横部32について説明し、第1の実施の形態と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
図6に示すように、横部32は、隣接する柱部31間に複数架け渡されており、柱部31の延在方向に交差(直交)する方向に延在している。
横部32は、例えば、鋼管によって形成されている。横部32は、その端部が柱部31の立設部31cに設けられている。
横部32は、立設部31cの延在方向に沿って複数列にわたって設けられており、各列においては、隣接する柱部31の立設部31cに横部32の端部が連結されている。ここで、隣接する柱部31間に設けられた複数の横部32の全ての横部32hは、1つの鋼管の一端が一方の立設部31cに連結されており、他端は他方の立設部31cに少しの間隔をあけて対向するように構成されている。すなわち、複数の横部32の全ての横部32hは、柱部31間の連結が遮断されている。
図6においては、横部32は、立設部31cの延在方向に沿って4列にわたって立設部31cに設けられており、上流側から捕捉体3に向かって左側の横部32hは、左側の立設部31cに連結されており、上流側から捕捉体3に向かって右側の横部32hは、右側の立設部31cに連結されている。
【0044】
以上のように、横部32hを1つの鋼管で構成することで、立設部31cとの連結箇所を1カ所で済ませることができ、第1の実施の形態の横部32bと比べて横部32hの立設部31cへの連結作業を減らすことができる。
また、全ての横部32hは、柱部31間の連結が遮断されているので、第1の実施の形態における横部32aの連結作業を軽減できるほか、施工時に高い組立精度を求められることがなく、短時間で簡単に施工できるようになる。
【0045】
[第6の実施の形態]
次に、堰堤1E及び捕捉体3Eの第6の実施の形態について説明する。堰堤1E及び捕捉体3Eが堰堤1及び捕捉体3と異なる点は、横部32を有していない点である。以下では、第1の実施の形態と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
図7に示すように、捕捉体3は、柱部31と側方柵33とを備えているだけで、横部を備えていない。
この場合、柱部31間には隙間が形成されることになるが、河川の水位変動があまりないと想定される場合には、横部を設けなくても捕捉体3Eとして機能を発揮することができる。
【0046】
以上のように、横部を省くことで、柱部31との連結作業を省くことができるので、第1の実施の形態の捕捉部3と比べて、捕捉体3Eを短時間で簡単に施工できるようになる。また、横部がないことから、施工時に高い組立精度を求められることがなく、短時間で簡単に施工できるようになる。
【0047】
[第7の実施の形態]
次に、堰堤及び捕捉体の第7の実施の形態について説明する。堰堤1F及び捕捉体3Fが堰堤1及び捕捉体3と異なる点は、側方柵33の構成であるため、以下では、側方柵33について説明し、第1の実施の形態と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
図8に示すように、側方柵33は、複数の柱部31のうち、水通し部22の幅方向における端部に位置する柱部31と袖部21との間に設けられている。側方柵33は、柱部31の立設部31cに連結されており、側方柵33と袖部21との間には隙間が形成されている。
側方柵33は、横部33cと、立設部33dと、を備えている。
横部33cは、袖部21と立設部31cとの間に架け渡されており、柱部31の延在方向に交差(直交)する方向、すなわち、河川の流れ方向に延在している。
横部33cは、例えば、鋼管によって形成されている。横部33cは、一端が立設部31cにおける横部32aとの連結部位近傍に連結されており、他端が袖部21から離間して配置されている。横部33cの他端は、捕捉体3Fの取付後に、根巻きコンクリート35によって袖部21に固定されている。
横部33cと横部32aは、堰堤1の高さ方向において、ほぼ同じ高さ位置で立設部31cに連結されている。具体的には、横部32aおよび横部33cは、想定される流水の水面を含む高さ位置に設けられていることが好ましい。横部33cは、1つの鋼管から構成してもよいが、図8に示すように、現場での施工を容易にするために、複数の鋼管を、フランジを介して連結してもよい。
【0048】
立設部33dは、横部33cから上方及び下方に延在している。立設部33dは、例えば、鋼管によって形成されている。
立設部33dは、その延在方向(軸線方向)途中の位置で横部33cに連結されており、所定の間隔をおいて横部33cから上方及び下方に向かうように延在して横部33cに立設されており、例えば、柱部31の立設部31cの延在方向に平行に鉛直方向に延在している。つまり、立設部33dは、本体2の袖部21における上流側の壁部に対向して当該壁部に略平行に延在している。隣接する立設部33dの間隔は、立設部31cにおける間隔よりも狭くなっていることが好ましい。立設部33dは、1つの鋼管から構成してもよいが、現場での施工を容易にするために、複数の鋼管を、フランジを介して連結してもよい。
【0049】
以上のように、側方柵33の横部33cの一端のみを立設部31cに連結しておき、横部33cの他端を袖部21から離間するように構成し、捕捉体3Fの施工後に根巻きコンクリート35で横部33cと袖部21の隙間を埋めることができる。これにより、捕捉体3Fの施工時に高い組立精度を求められることがなく、袖部21と横部33cとの隙間の距離が多少変化しても、根巻きコンクリート35でその誤差を解消することができるようになり、捕捉体3Fを短時間で簡単に施工できるようになる。
【0050】
[第8の実施の形態]
次に、堰堤及び捕捉体の第8の実施の形態について説明する。堰堤1G及び捕捉体3Gが堰堤1及び捕捉体3と異なる点は、側方柵33の構成であるため、以下では、側方柵33について説明し、第1の実施の形態と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
図9に示すように、側方柵33は、複数の柱部31のうち、水通し部22の幅方向における端部に位置する柱部31と袖部21との間に設けられている。側方柵33は、柱部31の立設部31cに連結されており、側方柵33の一部が袖部21に対して挿脱自在に構成されている。
側方柵33は、横部33eと、立設部33fと、を備えている。
横部33eは、袖部21と立設部31cとの間に架け渡されており、柱部31の延在方向に交差(直交)する方向、すなわち、河川の流れ方向に延在している。
横部33eは、例えば、鋼管によって形成されている。横部33eは、一端が立設部31cにおける横部32aとの連結部位近傍に連結されており、他端が立設部31cから袖部21までの距離よりも長く形成されている。
袖部21には、横部33eを形成する鋼管よりも径の大きな鋼管(鞘管)36(受容部)が埋設されている。鋼管36の端部にはベースプレート37が設けられており、アンカーボルトによってベースプレート37が袖部21の固定部21aに固定されている。
横部33eの他端から少し一端側に向かった外周面には、鋼管36よりも外側に突出するストッパ38が設けられている。
横部33eは、その他端が鋼管36内に挿入されており、ストッパ38が鋼管36の端部に当接した位置で横部33eが位置決めされる。
これにより、外側から堰堤1Gを見れば、側方柵33は立設部31cと袖部21にそれぞれ連結されているように見えるが、横部33eは、鋼管36の内部で固定されておらず、単に鋼管36の端部に突き当てられてフリーの状態となっている。
横部33eと横部32aは、堰堤1の高さ方向において、ほぼ同じ高さ位置で立設部31cに連結されている。具体的には、横部32aおよび横部33eは、想定される流水の水面を含む高さ位置に設けられていることが好ましい。横部33eは、1つの鋼管から構成してもよいが、図9に示すように、現場での施工を容易にするために、複数の鋼管を、フランジを介して連結してもよい。
【0051】
立設部33fは、横部33eから上方及び下方に延在している。立設部33fは、例えば、鋼管によって形成されている。
立設部33fは、その延在方向(軸線方向)途中の位置で横部33eに連結されており、所定の間隔をおいて横部33eから上方及び下方に向かうように延在して横部33eに立設されており、例えば、柱部31の立設部31cの延在方向に平行に鉛直方向に延在している。つまり、立設部33fは、本体2の袖部21における上流側の壁部に対向して当該壁部に略平行に延在している。隣接する立設部33fの間隔は、立設部31cにおける間隔よりも狭くなっていることが好ましい。立設部33fは、1つの鋼管から構成してもよいが、現場での施工を容易にするために、複数の鋼管を、フランジを介して連結してもよい。
【0052】
以上のように、側方柵33の横部33eの一端のみを立設部31cに連結しておき、横部33eの他端を袖部21に設けた鋼管36に挿脱自在に構成することで、捕捉体3Gの施工時に高い組立精度を求められることがなく、横部33eが鋼管36に挿入される長さが多少変化しても、横部33eの鋼管36内での移動により、その誤差を解消することができるようになり、捕捉体3Gを短時間で簡単に施工できるようになる。なお、ストッパ38は、鋼管36に突き当てるだけでもよいが、捕捉体3Gの位置が決まった際にストッパ38と鋼管36を溶接等にて連結してもよい。
【0053】
[第9の実施の形態]
次に、堰堤及び捕捉体の第9の実施の形態について説明する。堰堤1H及び捕捉体3Hが第4の実施の形態における堰堤1C及び捕捉体3Cと異なる点は、側方柵33の構成であるため、以下では、側方柵33について説明し、第4の実施の形態と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
図10に示すように、側方柵33は、複数の柱部31のうち、水通し部22の幅方向における端部に位置する柱部31と袖部21との間に設けられている。側方柵33は、袖部21に連結されている。
側方柵33は、横部33gと、立設部33hと、を備えている。
横部33gは、袖部21と立設部31cとの間に架け渡されており、柱部31の延在方向に交差(直交)する方向、すなわち、河川の流れ方向に延在している。
横部33gは、例えば、鋼管によって形成されている。横部33gは、高さ方向に所定の間隔をあけて2つ設けられており、一端が袖部21にアンカーボルトおよびナットによって固定されており、他端が立設部31cにおける上から二段目の横部32gとの連結部位近傍に河川の流れ方向下流側から対向する位置で立設部31cから離間して配置されている。具体的には、横部33g、立設部33h、立設部31cの軸心が河川の流れ方向に沿った同一平面上に存在している。横部32gおよび横部33gは、想定される流水の水面を含む高さ位置に設けられていることが好ましい。横部33gは、1つの鋼管から構成してもよいが、図10に示すように、現場での施工を容易にするために、複数の鋼管を、フランジを介して連結してもよい。なお、柱部31の立設部31cに、河川の流れ方向に沿って側方柵33に延びるプレートを設け、このプレートで横部33gの他端を河川の幅方向外側から挟み込むようにしてもよい。
【0054】
立設部33hは、横部33gから上方及び下方に延在している。立設部33hは、例えば、鋼管によって形成されている。
立設部33hは、その延在方向(軸線方向)途中の位置で2つの横部33gに連結されており、所定の間隔をおいて横部33gから上方及び下方に向かうように延在して横部33gに立設されており、例えば、柱部31の立設部31cの延在方向に平行に鉛直方向に延在している。つまり、立設部33hは、本体2の袖部21における上流側の壁部に対向して当該壁部に略平行に延在している。隣接する立設部33hの間隔は、立設部31cにおける間隔よりも狭くなっていることが好ましい。立設部33hは、1つの鋼管から構成してもよいが、現場での施工を容易にするために、複数の鋼管を、フランジを介して連結してもよい。
【0055】
以上のように、側方柵33の横部33gの一端のみを袖部21に連結しておき、横部33gの他端を立設部31cから離間させることで、捕捉体3Hの施工時に高い組立精度を求められることがなく、横部33gの組付けが多少変化しても、横部33gの他端と立設部31cとの間の隙間でその誤差を解消することができるようになり、捕捉体3Hを短時間で簡単に施工できるようになる。
【0056】
[第10の実施の形態]
次に、堰堤及び捕捉体の第10の実施の形態について説明する。堰堤1J及び捕捉体3Jが第4の実施の形態における堰堤1C及び捕捉体3Cと異なる点は、側方柵33の構成であるため、以下では、側方柵33について説明し、第4の実施の形態と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
図11に示すように、側方柵33は、複数の柱部31のうち、水通し部22の幅方向における端部に位置する柱部31と袖部21との間に設けられている。側方柵33は、袖部21に連結されている。
側方柵33は、横部33jと、立設部33kと、を備えている。
横部33jは、袖部21から立設部31cにわたって架け渡されており、柱部31の延在方向に交差(直交)する方向、すなわち、河川の流れ方向に延在している。
横部33jは、例えば、鋼管によって形成されている。横部33jは、高さ方向に沿って所定の間隔をあけて2つ設けられており、一端が袖部21にアンカーボルトおよびナットによって固定されており、他端が立設部31cにおける上から二段目の横部32gとの連結部位近傍に堰堤1Jの幅方向外側から対向する位置で立設部31cから離間して配置されている。具体的には、横部32gおよび横部33jは、想定される流水の水面を含む高さ位置に設けられていることが好ましい。横部33jは、1つの鋼管から構成してもよいが、図10に示すように、現場での施工を容易にするために、複数の鋼管を、フランジを介して連結してもよい。
【0057】
立設部33kは、横部33jから上方及び下方に延在している。立設部33kは、例えば、鋼管によって形成されている。
立設部33kは、その延在方向(軸線方向)途中の位置で2つの横部33jに連結されており、所定の間隔をおいて横部33jから上方及び下方に向かうように延在して横部33jに立設されており、例えば、柱部31の立設部31cの延在方向に平行に鉛直方向に延在している。つまり、立設部33kは、本体2の袖部21における上流側の壁部に対向して当該壁部に略平行に延在している。隣接する立設部33kの間隔は、立設部31cにおける間隔よりも狭くなっていることが好ましい。立設部33kは、1つの鋼管から構成してもよいが、現場での施工を容易にするために、複数の鋼管を、フランジを介して連結してもよい。
【0058】
以上のように、側方柵33の横部33jの一端のみを袖部21に連結しておき、横部33jの他端を立設部31cから離間させることで、捕捉体3Jの施工時に高い組立精度を求められることがなく、横部33jの組付けが多少変化しても、横部33jの他端と立設部31cとの間の隙間でその誤差を解消することができるようになり、捕捉体3Jを短時間で簡単に施工できるようになる。また、横部33jと柱部31とが堰堤1の幅方向において重なるように配置されているので、横部33jに荷重が作用した場合、柱部31にその荷重を伝達することができるので、安定した捕捉体とすることができる。
【0059】
[第11の実施の形態]
次に、堰堤及び捕捉体の第11の実施の形態について説明する。堰堤1K及び捕捉体3Kが第4の実施の形態における堰堤1C及び捕捉体3Cと異なる点は、側方柵33の構成であるため、以下では、側方柵33について説明し、第4の実施の形態と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
図12に示すように、側方柵33は、複数の柱部31のうち、水通し部22の幅方向における端部に位置する柱部31と袖部21との間に設けられている。側方柵33は、袖部21に連結されている。
側方柵33は、横部33mと、支持部33nと、立設部33pと、を備えている。
横部33mは、袖部21と立設部31cとの間に架け渡されており、柱部31の延在方向に交差(直交)する方向、すなわち、河川の流れ方向に延在している。
横部33mは、例えば、2つの鋼管によって形成されている。横部33mは、河川の流れ方向に沿って設けられており、一方の鋼管の一端が袖部21にアンカーボルトおよびナットによって固定されており、他方の鋼管の一端が立設部31cにおける上から二段目の横部32gとの連結部位近傍に連結されている。一方の鋼管の他端と他方の鋼管の他端は、河川の流れ方向において隙間をあけて互いに対向している。具体的には、横部33m、支持部33n、立設部33p、立設部31cの軸心が河川の流れ方向に沿った同一平面上に存在している。横部32gおよび横部33mは、想定される流水の水面を含む高さ位置に設けられていることが好ましい。横部33mは、1つの鋼管から構成してもよいが、図12に示すように、現場での施工を容易にするために、複数の鋼管から構成されていてもよい。
【0060】
支持部33nは、横部33mを支持するものであり、例えば、1つの鋼管によって形成されている。支持部33nは横部33mの直下に所定の間隔をあけて配置されている。支持部33nの一端は袖部21に固定されており、他端は横部33mに下方から連結されている。支持部33nは、袖部21に固定された一端から他端に向かうにつれて徐々に上方に向かうように傾斜している。
【0061】
立設部33pは、横部33m及び支持部33nから上方及び下方に延在している。立設部33pは、例えば、鋼管によって形成されている。
立設部33pは、横部33mから上方にむけて鉛直方向に延在するように横部33mに設けられている。また、立設部33pは、横部33mから下方にむけて垂直に延在するように横部33mに設けられていると共に、支持部33nから下方にむけて垂直に延在するように支持部33nに設けられている。立設部33pは、例えば、柱部31の立設部31cの延在方向に平行に鉛直方向に延在している。つまり、立設部33pは、本体2の袖部21における上流側の壁部に対向して当該壁部に略平行に延在している。隣接する立設部33pの間隔は、隣接する立設部31c間隔よりも狭くなっていることが好ましい。立設部33pは、1つの鋼管から構成してもよいが、現場での施工を容易にするために、複数の鋼管を、フランジを介して連結してもよい。
【0062】
以上のように、側方柵33の横部33mを構成する2つの鋼管を離間させて配置することにより、捕捉体3Kの施工時に高い組立精度を求められることがなく、横部33mの組付けが多少変化しても、横部33mの2つの鋼管の端部間にできる隙間でその誤差を解消することができるようになり、捕捉体3Kを短時間で簡単に施工できるようになる。
【0063】
[第12の実施の形態]
次に、堰堤及び捕捉体の第12の実施の形態について説明する。堰堤1M及び捕捉体3Mが第4の実施の形態における堰堤1C及び捕捉体3Cと異なる点は、側方柵33の構成であるため、以下では、側方柵33について説明し、第4の実施の形態と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
図13に示すように、側方柵33は、複数の柱部31のうち、水通し部22の幅方向における端部に位置する柱部31と袖部21との間に設けられている。側方柵33は、袖部21に連結されている。
側方柵33は、横部33qと、支持部33rと、立設部33sと、を備えている。
横部33qは、袖部21から立設部31cにわたって架け渡されており、柱部31の延在方向に交差(直交)する方向、すなわち、河川の流れ方向に延在している。
横部33qは、例えば、2つの鋼管によって形成されている。横部33qは、堰堤1Mの幅方向に沿って所定の間隔をあけて2つ設けられている。横部33qを形成する一方の鋼管は、一端が袖部21にアンカーボルトおよびナットによって固定されており、他端が立設部31cにおける横部32gとの連結部位の手前まで延びて立設部31cから離間して配置されている。横部33qを形成する他方の鋼管は、一端が立設部31cにおける上から二段目の横部32gとの連結部位近傍で立設部31cに連結されており、他端が河川の流れ方向に沿って袖部21に向かって延び、袖部21に到達することなく途中で途切れている。すなわち、横部33qを形成する2つの鋼管は、互いに同じ高さで間隔をあけて平行に延びており、一方の横部33qを形成する鋼管の他端側と他方の横部33qを形成する鋼管の他端側とが堰堤1の幅方向において重なるように配置されている。
具体的には、横部32gおよび横部33qは、想定される流水の水面を含む高さ位置に設けられていることが好ましい。横部33qの各鋼管は、1つの鋼管から構成してもよいが、現場での施工を容易にするために、複数の鋼管を、フランジを介して連結してもよい。
【0064】
支持部33rは、横部33qを支持するものであり、例えば、1つの鋼管によって形成されている。支持部33rは横部33qの直下に所定の間隔をあけて配置されている。支持部33rの一端は袖部21に固定されており、他端は横部33qに下方から連結されている。支持部33rは、袖部21に固定された一端から他端に向かうにつれて徐々に上方に向かうように傾斜している。
【0065】
立設部33sは、横部33q及び支持部33rから上方及び下方に延在している。立設部33sは、例えば、鋼管によって形成されている。
立設部33sは、横部33qから上方にむけて鉛直方向に延在するように横部33qに設けられている。また、立設部33sは、横部33qから下方にむけて垂直に延在するように横部33qに設けられていると共に、支持部33rから下方にむけて垂直に延在するように支持部33rに設けられている。立設部33sは、例えば、柱部31の立設部31cの延在方向に平行に鉛直方向に延在している。つまり、立設部33sは、本体2の袖部21における上流側の壁部に対向して当該壁部に略平行に延在している。隣接する立設部33sの間隔は、隣接する立設部31c間隔よりも狭くなっていることが好ましい。立設部33sは、1つの鋼管から構成してもよいが、現場での施工を容易にするために、複数の鋼管を、フランジを介して連結してもよい。
【0066】
以上のように、側方柵33の横部33qを構成する2つの鋼管を離間させて配置することにより、捕捉体3Mの施工時に高い組立精度を求められることがなく、横部33qの組付けが多少変化しても、横部33qの2つの鋼管は、平行に配置されているのでぶつかることがなく、その誤差を解消することができるようになり、捕捉体3Mを短時間で簡単に施工できるようになる。また、二つの横部33qが堰堤1の幅方向において重なるように配置されているので、横部33qに荷重が作用した場合、横部33qを介して柱部31にその荷重を伝達することができるので、安定した捕捉体とすることができる。
【0067】
<その他>
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、本発明の範囲を超えない範囲で適宜変更が可能である。例えば、捕捉体の構造は、流木や巨礫を捕捉できる機能を有していれば自由に変更可能である。
また、柱部31間の横部32は、連結が遮断されているものであれば、隙間の形成位置は自由に変更可能である。全ての横部32において、同じ位置で隙間を形成する必要もない。
また、柱部31、横部32及び側方柵33を構成する鋼管の太さ、長さ、数、配置も本発明の範囲を超えない範囲で適宜変更が可能である。
また、捕捉体3を本体2に固定する方法も自由に変更可能であり、上述した条件を満たす位置に配置されていればよい。
また、捕捉体3は、既設の堰堤に取り付ける場合に限らず、不透過型堰堤の施工時に本体2と共に構築してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J,1K,1M 堰堤
2 本体
21 袖部
22 水通し部
23 上流壁部
23a 固定部
3,3A,3B,3C,3D,3E,3F,3G,3H,3J,3K,3M 捕捉体
31 柱部
31a 第1の脚部
31b 第2の脚部
31c 立設部
32,32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32h 横部
33 側方柵
33a,33c,33e,33g,33j,33m,33q 横部
33b,33d,33f,33h,33k,33p,33s 立設部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13