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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/12 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
F25C1/12 301Z
F25C1/12 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021019725
(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公開番号】P2022122473
(43)【公開日】2022-08-23
【審査請求日】2024-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】越 洋
(72)【発明者】
【氏名】傅 強飛
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-245882(JP,A)
【文献】特開2020-143797(JP,A)
【文献】特開2003-329343(JP,A)
【文献】特開平09-329376(JP,A)
【文献】特開2005-221129(JP,A)
【文献】米国特許第05289691(US,A)
【文献】中国実用新案第211876454(CN,U)
【文献】実開平6-78771(JP,U)
【文献】特開昭63-105381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00-5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
氷を生成する製氷部と、
前記製氷部を冷却する冷却装置と、
前記製氷部に供給される水を貯める水タンクと、
前記水タンクの水位を検出する水位センサと、
前記水タンクに対して洗剤を供給するための洗剤供給装置と、を備え、
前記洗剤供給装置は、
モーターを具備し、前記洗剤を搬送するための洗剤搬送ポンプを有し、
前記洗剤搬送ポンプを第1回転方向に作動することで前記洗剤が前記水タンクに供給され、前記洗剤搬送ポンプを前記第1回転方向とは逆の第2回転方向に作動することで前記水タンク内の水が排出されるように構成されており、
前記洗剤搬送ポンプを前記第2回転方向に作動する前と後の前記水位センサの検出結果に基づき、前記洗剤供給装置の異常を判定する制御部と、
前記異常を報知するための報知部と、をさらに備える製氷機。
【請求項2】
前記洗剤供給装置は、
前記洗剤を収容する洗剤容器と、
前記洗剤容器から前記洗剤を供給するための洗剤供給管であって、一端部が前記洗剤容器に接続され、他端部が前記水タンク内に挿入されている洗剤供給管と、
前記洗剤供給管と接続されて前記洗剤供給管内の前記洗剤を外部に排出するための洗剤排出管と、を備え、
前記洗剤搬送ポンプは、前記洗剤供給管の経路上に設けられるチューブローラー式ポンプである請求項1に記載の製氷機。
【請求項3】
前記水位センサは、前記水タンク内の水位に合わせて浮力で変位する浮き子を有し、前記水タンクの水位が所定の閾値以下か否かによって異なる信号を検出するフロートスイッチであり、
前記洗剤供給管の前記他端部の先端は、前記水位センサの前記閾値より下方となる位置に配されている請求項2に記載の製氷機。
【請求項4】
前記水タンク内の水の排水を調整可能な排水バルブを備え、
前記制御部は、前記洗剤搬送ポンプを前記第2回転方向に作動する前に、前記排水バルブを所定の時間開弁して前記水タンク内の水を排水する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項5】
前記水タンク内への水の供給を調整可能な給水バルブと、
前記水タンク内の水の排水を調整可能な排水バルブと、を備え、
前記制御部は、前記洗剤搬送ポンプを前記第2回転方向に作動する前に、
前記水位センサが第1検出信号を検出するように、前記排水バルブを制御して前記水タンク内の水を排水した後、前記水位センサが前記第1検出信号とは異なる第2検出信号を検出するように、前記給水バルブを制御して前記水タンク内に水を給水する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項6】
前記製氷部及び前記水タンクを経路上に含む流水経路に水を循環するための循環ポンプを備え、
前記制御部は、少なくとも前記冷却装置を作動することで前記製氷部において氷を生成する製氷運転と、前記冷却装置を停止して前記循環ポンプを作動することで前記流水経路を洗浄する洗浄運転と、を実行するものとされ、
前記洗浄運転の累積実行回数を記憶可能な記憶部をさらに備えており、
前記制御部は、前記累積実行回数が所定の値に達した場合に、前記洗剤搬送ポンプを前記第2回転方向に作動する前と後の前記水位センサの検出結果に基づき、前記洗剤供給装置の異常を判定する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項7】
前記製氷部は、流下する水を凍結させて氷を生成する製氷板を有し、
前記水タンクは、その上部開口から前記製氷部に供給された水のうち凍結しなかった水を回収するように前記製氷板の下方に配されている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製氷機において、所定の製氷運転時間後には洗浄運転が行われることが知られており、その一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の製氷機では、ユーザが「掃除」ボタンを押すと、自動脱スケール及び消毒プロセスが開始される。当該プロセスには、ユーザが脱スケールを行う洗浄剤を水だめの主貯水槽に加えるために、当該プロセスを一次中断するステップが含まれている。洗剤投入後、ユーザが制御パネルのボタン等を押すと、当該プロセスが再開される。また、特許文献1には、主貯水槽の水位が消毒水位に達すると、消毒剤槽内の消毒剤が主貯水槽内に自動投入される技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6506408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の製氷機によれば、ユーザは洗剤を加える作業を手動で行い、作業終了後にはボタンを押して当該プロセスを進行させる必要がある。また、消毒剤はその全量が主貯水槽に投入されるため、ユーザは投入毎に消毒剤槽に消毒剤を補充しなければならない。
【0005】
そこで、所定量の洗剤や消毒剤が自動的に供給されるようにすれば、ユーザの手間を省き、作業効率を向上できると考えられる。しかしながら、洗剤供給作業を自動化するために、洗剤の搬送手段となる機器を設けたり、洗剤を供給するための洗剤供給管を接続したりすると、ユーザの手間が省かれる一方で、ユーザが機器の故障、洗剤供給管の接続外れ等の異常に気付きにくくなる懸念がある。
【0006】
本願明細書に記載の技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、洗剤供給作業を自動化すると共に、自動化した洗剤供給作業の異常発生を検知し報知することが可能な製氷機を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願明細書に記載の技術に関わる製氷機は、氷を生成する製氷部と、前記製氷部を冷却する冷却装置と、前記製氷部に供給される水を貯める水タンクと、前記水タンクの水位を検出する水位センサと、前記水タンクに対して洗剤を供給するための洗剤供給装置と、を備え、前記洗剤供給装置は、モーターを具備し前記洗剤を搬送するための洗剤搬送ポンプを有し、前記洗剤搬送ポンプを第1回転方向に作動することで前記洗剤が前記水タンクに供給され、前記洗剤搬送ポンプを前記第1回転方向とは逆の第2回転方向に作動することで前記水タンク内の水が排出されるように構成されており、前記洗剤搬送ポンプを前記第2回転方向に作動する前と後の前記水位センサの検出結果に基づき、前記洗剤供給装置の異常を判定する制御部と、前記異常を報知するための報知部と、をさらに備える。
【0008】
このようにすれば、洗剤搬送ポンプを第1回転方向に作動すれば、水タンクに洗剤が自動的に供給されて、洗剤供給作業を自動化できる。また、洗剤搬送ポンプを第2回転方向に作動すれば、水タンク内の水が排出されて、水タンク内の水位は減少する。このため、洗剤供給装置が正常に動作していれば、洗剤搬送ポンプが第2回転方向に作動すると水タンク内の水位は減少する一方で、洗剤供給装置に異常が発生している場合には、水タンク内の水位は減少しないものとなる。そこで、洗剤搬送ポンプを第2回転方向に作動する前と後における水位センサの検出結果に基づき、制御部が異常を判定し、報知部によって使用者に報知することで、自動化した洗剤供給作業の異常発生を報知できるようになる。
【0009】
また、前記洗剤供給装置は、前記洗剤を収容する洗剤容器と、前記洗剤容器から前記洗剤を供給するための洗剤供給管であって、一端部が前記洗剤容器に接続され、他端部が前記水タンク内に挿入されている洗剤供給管と、前記洗剤供給管と接続されて前記洗剤供給管内の前記洗剤を外部に排出するための洗剤排出管と、を備え、前記洗剤搬送ポンプは、前記洗剤供給管の経路上に設けられるチューブローラー式ポンプである。このようにすれば、洗剤搬送ポンプの第1回転方向と第2回転方向の切り替えによって、洗剤供給管内の液体(洗剤、水)の流通方向を簡単に切り替えることで、水タンクへの洗剤の供給、及び水タンク内の排水(洗剤供給管のすすぎ洗い)を容易に実現できる。
【0010】
また、前記水位センサは、前記水タンク内の水位に合わせて浮力で変位する浮き子を有し、前記水タンクの水位が所定の閾値以下か否かによって異なる信号を検出するフロートスイッチであり、前記洗剤供給管の前記他端部の先端は、前記水位センサの前記閾値より下方となる位置に配されている。水位センサの種類をフロートスイッチとすることで、低コスト化でき、汎用性を高めることができる。水タンク内に挿入されている洗剤供給管の先端(下端)をフロートスイッチの閾値より下方となる位置に配することで、洗剤供給装置が正常であれば、水タンク内の水位が減少してフロートスイッチの閾値未満となり、フロートスイッチの検出信号が変化するようになる。また、洗剤供給装置に異常が発生している場合には、水タンク内の水位が減少しないため、フロートスイッチの検出信号は変化しないものとなる。これにより、フロートスイッチを用いつつ、その検出信号の変化によって洗剤供給装置の異常判定ができるようになる。
【0011】
また、前記水タンク内の水の排水を調整可能な排水バルブを備え、前記制御部は、前記洗剤搬送ポンプを前記第2回転方向に作動する前に、前記排水バルブを所定の時間開弁して前記水タンク内の水を排水する。このようにすれば、洗剤搬送ポンプを第2回転方向に作動する前に、排水バルブによって水タンク内の水を排水し、予め水位を減少しておくことができる。これにより、洗剤搬送ポンプを第2回転方向に作動することで排水する水の量を低減でき、洗剤供給装置の異常を判定する目的で増大する洗剤搬送ポンプの作動時間を短縮できるようになる。その結果、洗剤搬送ポンプの寿命低下を抑制できる。
【0012】
また、前記水タンク内への水の供給を調整可能な給水バルブと、前記水タンク内の水の排水を調整可能な排水バルブと、を備え、前記制御部は、前記洗剤搬送ポンプを前記第2回転方向に作動する前に、前記水位センサが第1検出信号を検出するように、前記排水バルブを制御して前記水タンク内の水を排水した後、前記水位センサが前記第1検出信号とは異なる第2検出信号を検出するように、前記給水バルブを制御して前記水タンク内に水を給水する。このようにすれば、洗剤搬送ポンプを第2回転方向に作動することで排水する水の量は、フロートスイッチの検出信号が第2検出信号から第1検出信号に変化する変化分で済むようになり、洗剤供給装置の異常を判定する目的で増大する洗剤搬送ポンプの作動時間をさらに短縮できるようになる。その結果、洗剤搬送ポンプの寿命低下をより一層抑制できる。
【0013】
また、前記製氷部及び前記水タンクを経路上に含む流水経路に水を循環するための循環ポンプを備え、前記制御部は、少なくとも前記冷却装置を作動することで前記製氷部において氷を生成する製氷運転と、前記冷却装置を停止して前記循環ポンプを作動することで前記流水経路を洗浄する洗浄運転と、を実行するものとされ、前記洗浄運転の累積実行回数を記憶可能な記憶部をさらに備えており、前記制御部は、前記累積実行回数が所定の値に達した場合に、前記洗剤搬送ポンプを前記第2回転方向に作動する前と後の前記水位センサの検出結果に基づき、前記洗剤供給装置の異常を判定する。このようにすれば、洗剤供給装置の異常判定は、毎回の洗浄運転の度には行われず、所定頻度(例えば3回に1回)で定期的に行われるようになる。その結果、洗剤供給装置の異常を判定する目的で増大する洗剤搬送ポンプの作動時間をさらに短縮でき、洗剤搬送ポンプの寿命低下をより一層抑制できる。
【0014】
また、前記製氷部は、流下する水を凍結させて氷を生成する製氷板を有し、その上部開口から前記製氷部に供給された水のうち凍結しなかった水を回収するように前記製氷板の下方に配されている。このようにすれば、製氷板を流下する水を凍結させることで、不純物濃度の低い氷を生成する流下式の製氷機を実現できる。
【発明の効果】
【0015】
本願明細書に記載の技術によれば、洗剤供給作業を自動化すると共に、自動化した洗剤供給作業の異常発生を検知し報知することが可能な製氷機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1に係る製氷機の模式図
図2】フロントパネルを外した状態における製氷機の斜視図
図3図3のA-A線断面図
図4図1の洗剤供給装置付近を拡大した模式図
図5】洗浄運転の大まかな処理を示すフローチャート
図6】予備洗浄処理を示すフローチャート
図7】洗剤洗浄処理を示すフローチャート
図8】第2すすぎ洗浄処理及び異常検知処理を示すフローチャート
図9】第2すすぎ洗浄処理及び異常検知処理を示すフローチャート
図10】水タンクの水位変化を示す模式図
図11】実施形態2における第2すすぎ洗浄処理及び異常検知処理を示すフローチャート
図12】水タンクの水位変化を示す模式図
図13】実施形態3における第2すすぎ洗浄処理及び異常検知処理を示すフローチャート
図14】水タンクの水位変化を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
実施形態1に係る流下式の製氷機10(製氷機の一例)について、図1から図10を参照して説明する。図2及び図3の一部には、X軸、Y軸、及びZ軸を示しており、各軸方向が各図で共通した方向となるように描かれている。また、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向とする。
【0018】
製氷機10は、図1に示すように、水を凍結させることで氷Iを生成する製氷部11と、製氷部11(より詳しくは製氷部11が備える各製氷板12)を冷却するための冷却装置40と、製氷部11に供給される水を貯めるための水タンク13と、製氷部11で生成された氷を貯めるための貯氷庫14と、製氷部11と水タンク13との間で水を循環供給可能な循環ポンプ15と、水タンクに対して洗剤を自動供給するための洗剤供給装置90と、を備える。また、製氷機10は、製氷部11と循環ポンプ15とを接続する第1通水管18と、第1通水管18の中間部19から引き出され、水タンク13内の水を外部に排水するための排水管20と、排水管20を開閉する排水バルブ21と、水道管と接続される給水管29と、給水管29を開閉する給水バルブ30と、排水管20と給水管29とを接続する第2通水管32と、第2通水管32を開閉する通水バルブ34と、を備える。
【0019】
冷却装置40は、図1に示すように、圧縮機41と、凝縮器42と、膨張弁(キャピラリーチューブ)43と、蒸発管44と、を備え、これらが冷媒管45により接続されて既知の蒸気圧縮式の冷凍回路(冷凍サイクル)を構成している。また、冷却装置40は、凝縮器42を空冷するための凝縮器ファン46と、冷凍回路に混入した水分を除去するためのドライヤ47と、を備える。蒸発管44は、複数の製氷板12の間に蛇行状にロウ付け配置されており、膨張弁43によって膨張された液冷媒が気化されることで、製氷板12を冷却する。冷媒管45において蒸発管44の出口付近には、製氷板12の温度を検知するための製氷部温度センサ16(例えばサーミスタ)が設けられている。
【0020】
冷却装置40はさらに、圧縮機41で圧縮された冷媒ガス(ホットガス)を蒸発管44に供給するためのバイパス管49と、バイパス管49に設けられた電磁弁であるホットガス弁50と、を備える。ホットガス弁50を開くことで、圧縮機41から冷媒ガス(ホットガス)を蒸発管44に供給し、蒸発管44を加熱可能となっている。
【0021】
製氷部11は、図1に示すように、製氷板12と、製氷板12に製氷用の水を散水するための第1散水パイプ24及び散水ガイド25と、氷を融解させる水を散水可能な第2散水パイプ23と、を備える。製氷板12は、板面が垂下する姿勢で複数(本実施形態では例えば2枚)設けられている。2枚の製氷板12は対向配置され、非対向の外側の面が製氷面とされている。循環ポンプ15から送られた水は、製氷板12の上に設けられた第1散水パイプ24及び散水ガイド25によって各製氷面に均一となるように散水され、製氷面を流下する。
【0022】
第2散水パイプ23は、2枚の製氷板12間の上部に設けられており、給水管29及び給水バルブ30を介して水道管と接続されている。給水バルブ30を開くことで、第2散水パイプ23から水が散水され、散水された水は、製氷板12の背面(対向面、製氷面と反対側の面)を流下して、水タンク13に供給される。第2散水パイプ23は、製氷板12を水道水によって温める機能と、水タンク13に水道水を供給する給水機能をも担っている。
【0023】
水タンク13は、図1に示すように、製氷板12の下方に配されており、製氷板12を流下した製氷水のうち、凍結しなかった水が水タンク13に貯まるようになっている。これにより、循環ポンプ15を動作させることで、水タンク13と製氷部11との間で水を循環可能となっている。水タンク13と製氷部11は、2つの流水経路(第1流水経路、第2流水経路)の経路上に含まれており、循環ポンプ15は各流水経路の水を循環することができる。第1流水経路は、水タンク13から順に循環ポンプ15、第1通水管18、第1散水パイプ24、製氷板12の製氷面を通って水タンク13に戻る経路であり、第2流水経路は、水タンク13から順に循環ポンプ15、第1通水管18、排水管20、第2通水管32、給水管29、第2散水パイプ23、製氷板12の背面を順に通って水タンク13に戻る経路である。第1流水経路と第2流水経路は、通水バルブ34の開閉によって切り替え可能である。なお、第2通水管32及び通水バルブ34を設けず、給水管29、第2散水パイプ23、製氷板12の背面を順に通って水タンク13に流下した水は、第1流水経路と同じ経路で循環されるように第2流水経路を簡易な構成としても構わない。
【0024】
水タンク13は、図1に示すように、上部開口を有する箱状のタンク本体部26と、タンク本体部26の上部開口を部分的に覆う蓋体27と、を備える。タンク本体部26のうち、蓋体27で覆われていない部分は、製氷板12からの水が落下する位置に配されており、この部分と製氷板12との間にはキューブガイド28(分離部材の一例)が介在している。キューブガイド28は、複数の通水過孔が形成されたスノコ状の部材であり、製氷板12から流下した水は、キューブガイド28を通過して水タンク13に回収される。一方で、製氷板12から落下した氷は、キューブガイド28上を滑り落ちて貯氷庫14に投入される。
【0025】
蓋体27には、図1に示すように、循環ポンプ15、タンク本体部26内の水位を検出するための水位センサ17、及び後述する洗剤供給装置90の洗剤供給管92が固定されている。循環ポンプ15は、動力源として回転速度が可変なモーター15Aを備えており、モーター15Aの駆動によって水を循環させると共に、モーター15Aの回転速度によって水の循環量を変化させることができる。
【0026】
水位センサ17は、フロート(浮き子17A)を備えるフロートスイッチとされ、浮き子17Aが浮力でタンク本体部26の水位に合わせて上下に変位すると、その変位によって水位センサ17の本体部に含まれるリードスイッチがオン、オフする。水位センサ17は、2つのリードスイッチによって2つの所定水位(下基準水位L1、上基準水位L2)を検出可能となっている。より詳しくは、水位センサ17は、タンク本体部26の水位が所定の第1閾値L1以下の場合に第1リードスイッチがオン(検出状態、第1検出信号の一例)となり、第1閾値L1を超えると第1リードスイッチがオフ(非検出状態、第2検出信号の一例)となる。水位センサ17は、第1リードスイッチのオン、オフによって、第1閾値L1である下基準水位L1を検出する。同様にして、水位センサ17は、水位が第2閾値L2以上か否かによって第2リードスイッチがオン、オフすることで、第2閾値L2である上基準水位L2を検出する。
【0027】
タンク本体部26は、図1に示すように、タンク本体部26内の水が所定のオーバーフロー水位L3を超えた場合に、オーバーフロー水位L3を超えた水を水タンク13の外部に排水可能に構成されている。より詳しくは、タンク本体部26においては、水が貯められる貯水空間A1と隣接する形でオーバーフロー空間A2が設けられている。オーバーフロー空間A2は、貯水空間A1から溢れた水を排水するための機能を有している。タンク本体部26は、オーバーフロー水位L3を規定する越流関として立壁部36が設けられており、貯水空間A1の水の水位が越流関36(オーバーフロー水位L3)を超えると、水がオーバーフロー空間A2に流れ込んで排水される。水位センサ17が検出可能な上基準水位L2は、オーバーフロー水位L3より小さい値に設定され、L3>L2>L1の関係となっている。
【0028】
貯氷庫14は、図1及び図4に示すように、キューブガイド28上を滑り落ちた氷が落下して収容されるように、水タンク13の下方に設けられている。貯氷庫14に落下した氷は、貯氷庫14の底部14Aから積み上がるように収容される。貯氷庫14の上部には、貯氷庫14内の氷の貯氷量を検出するための貯氷センサ33が設けられている。貯氷センサ33は、フラップ板33Aを備える貯氷スイッチであり、氷が貯氷庫14内に積み上がって満氷(上限量の一例)になると、フラップ板33Aが氷によって上に押されて満氷が検出される。
【0029】
製氷機10は、図3に示すように全体として略直方体形状をなし、正面上側には、貯氷庫14を開閉して氷を取り出すための下開き式の扉2が設けられている。また、製氷機10の正面における扉2の下方には、操作パネル5が設けられている。操作パネル5には、各種の操作ボタンを有する操作部5Aと、情報を表示する表示部5B(報知部の一例)と、が設けられている。使用者は、操作部5Aを操作することによって製氷運転の開始や停止等を指示する。表示部5Bには現在の運転モードや各種メッセージが表示される。表示部5Bに表示されるメッセージには、洗剤供給装置90の異常を使用者に報知するためのエラーメッセージが含まれる。報知部は、使用者への報知機能を有していれば表示部5Bに限られず、例えばブザーや点滅ランプ、さらにはこれらの組み合わせであっても構わない。なお、図2は製氷機10の正面下側を覆うフロントパネル(化粧板)が外された状態を示している。フロントパネルが取り付けられると、操作パネル5以外の部分は、フロントパネルでほぼ覆われるようになる。
【0030】
操作パネル5の後方には、図3に示すように、製氷機10の各部と電気的に接続される制御基板6が、電装箱7(コントロールボックス)内に収容される形で配されている。制御基板6には、製氷機10の各部を制御する制御部、製氷機10の運転に係る制御プログラムや各設定値が記憶される記憶部、時間の経過をカウントする計時部が含まれている。
【0031】
次に、洗剤供給装置90について説明する。洗剤供給装置90は、図1に示すように、
洗剤を収容する洗剤容器91と、洗剤容器91から洗剤を供給するための洗剤供給管92と、洗剤供給管92内の洗剤を搬送するための洗剤搬送ポンプ94と、洗剤供給管92と接続されて洗剤供給管92内の液体(洗剤供給管92内に残留した洗剤及び水)を外部に排出するための洗剤排出管95と、を備える。
【0032】
洗剤には、酸性物質、アルカリ性物質、除菌・抗菌用の薬剤等、目的に応じたものを適宜使用可能である。例えば洗剤にクエン酸を用いると、人体への害なくスケール(水垢)を効果的に除去できるようになる。スケールが製氷部11に析出(付着)すると、不衛生となる他、第1散水パイプ24が目詰まりして製氷板12の製氷面に水が均一に流下されずに異形氷が生成されたり、設計より大きく生成された異形氷が製氷板12を温めても除氷されず、多重製氷が発生してしまったりする懸念がある。製氷機1の使用地域(水道水の水質)によってはスケール成分が元来大きく、また水に含まれるスケール成分は、製氷板12で凍結しにくくいため、製氷を繰り返すにつれて水のスケール成分は上昇する。そこで、製氷機1は、洗浄供給装置90によって水タンク13にスケール除去効果のある洗剤を自動供給し、循環ポンプ15によって洗剤が混入された水を循環することで、流水経路を洗浄し、スケールに起因する問題に対処できるものとなっている。洗浄運転の詳細については後述する。
【0033】
洗剤供給管92は、図4に示すように、一端部が洗剤容器91に接続され、他端部の先端92Aが水タンク13内に挿入されており、洗剤容器91と水タンク13の貯水空間A1とを接続している。洗剤供給管92の先端(下端)92Aは、水タンク13において、水位センサ17の下基準水位L1より下方となる位置に配されている。洗剤搬送ポンプ94は、洗剤供給管92の経路上に設けられるチューブローラー式ポンプであって、複数のローラー94Aと、両端が洗剤供給管92と連通するチューブ94Bと、駆動手段であるモーター94Cと、を備える。洗剤搬送ポンプ94は、ローラー94Aによって、弾性を有するチューブ94Bを押しつぶして、その管内の液体(洗剤等)を押し出して搬送する。また、洗剤搬送ポンプ94は、モーター94Cに印加される電圧の極性を切り替えることで、回転方向が正回転(第1回転方向)、又は逆回転(第2回転方向)に変更される。
【0034】
洗剤排出管95は、図4に示すように、洗剤供給管92と水タンク13のオーバーフロー空間A2とを接続している。洗剤排出管95は、洗剤供給管92の管内の液体を外部に排出するための流路となる。洗剤供給管92において、洗剤排出管95との接続部92Bは、洗剤容器91と洗剤搬送ポンプ94との間に位置する。また、洗剤供給管92において接続部92Bと洗剤容器91との間には第1逆止弁96が設けられ、洗剤排出管95には、第2逆止弁97が設けられている。第1逆止弁96は、洗剤容器91から洗剤搬送ポンプ94に向かう流れを許容し、洗剤搬送ポンプ94から洗剤容器91に向かう流れを規制する。第2逆止弁97は、洗剤搬送ポンプ94から水タンク13のオーバーフロー空間A2に向かう流れを許容し、オーバーフロー空間A2から洗剤搬送ポンプ94に向かう流れを規制する。なお、洗剤排出管95の端部は、水タンク13のオーバーフロー空間A2ではなく、排水管20に接続されていても構わない。
【0035】
上記した洗剤供給装置90の構成によれば、洗剤搬送ポンプ94が正回転すると、図4の実矢線で示すように、洗剤容器91内の洗剤は洗剤搬送ポンプ94により吸引され、洗剤供給管92を通って水タンク13のタンク本体部26内に供給される。一方、洗剤搬送ポンプ94が逆回転すると、図4の白抜き矢線で示すように、タンク本体部26内の水が洗剤供給管92の先端92Aから洗剤供給管92内に吸引され、洗剤供給管92から分岐する洗剤排出管95を通って、オーバーフロー空間A2に排出される。洗剤搬送ポンプ94の回転方向を逆回転に変更することで、洗剤供給管92内の液体を洗剤排出管95から排出し、洗剤供給管92内に付着した洗剤をすすぎ洗いできる。
【0036】
次に、上記した製氷機10の運転方法について説明する。製氷運転は、操作部5Aにおいて製氷運転開始が指示され(具体的には製氷実行ボタンON)、貯氷センサ33が貯氷庫14の満氷を検出していない場合に実行される。製氷運転が開始されると、制御基板6(制御部)は、冷却装置40を運転して製氷板12を所定の製氷温度まで冷却する。また、給水バルブ30を開いて水タンク13へ給水し、循環ポンプ15を作動して水タンク13から製氷板12の製氷面に水を流下させる。水タンク13への給水は、水位センサ17が上基準水位L2を検出後、さらに所定時間給水して水タンク13内の水がオーバーフロー空間A2に越流するまで(オーバーフロー水位L3となるまで)行う。氷は、製氷板12の背面に蒸発管44が接触している部分を中心に生成され、その生成度合いは、製氷に伴い低下する水タンク13の水位を水位センサ17で検出することで把握される。
【0037】
制御基板6は、水位センサ17が下基準水位L1を検出すると、ホットガス弁50を開き、給水バルブ30を開いて第2散水パイプ23から製氷板12の背面に水を流す。これにより製氷板12を温めて、氷を除氷して落下させる。製氷板12から落下した氷は、キューブガイド28を滑り落ちて貯氷庫14に投入される。氷の落下は、製氷板12の温度上昇を製氷部温度センサ16によって検出されることで把握される。なお、流下式の製氷機1では、不純物濃度の低い氷が生成できる一方で、製氷板12で凍結されず、キューブガイド28を通過して水タンク13に回収された水は、スケール成分等の不純物の濃度が高い濃縮水となっている。そこで制御基板6は、水位センサ17が下基準水位L1を検出すると、循環ポンプ15を作動させたまま所定時間だけ排水バルブ21を開き、水タンク13内の水を排水管20に排水する。
【0038】
製氷運転では、上記した製氷、除氷、排水の各処理が、貯氷センサ33が貯氷庫14の満氷を検出するまで繰り返し実行される。制御基板6は、貯氷センサ33が満氷を検出する、又は操作部5Aにおいて製氷運転の停止が指示されると(具体的には製氷停止ボタンONになると)、冷却装置40(具体的には圧縮機41、凝縮器ファン46)を停止して製氷運転を停止する。
【0039】
続いて洗浄運転について図5から図10を参照して説明する。制御基板6は、上記した製氷運転の累積実行回数が所定の回数に達する、又は操作部5Aにおいて洗浄運転の開始が指示されると(具体的には洗浄実行ボタンONになると)、洗浄運転を開始する。
【0040】
以下では、洗浄運転の一例として、図5に示すように、排水、予備洗浄、洗剤洗浄、第1すすぎ洗浄、第2すすぎ洗浄及び異常検知の各処理が順に自動的に行われる制御フローを説明する。排水処理S31では、所定時間だけ循環ポンプ15を作動させ排水バルブ21を開いて、水タンク13内の残留水があれば排水管20に排出する。予備洗浄処理S32では、水道水(清潔な水)で流水経路を前洗いする。洗剤洗浄処理S33では、洗剤が希釈された水で流水経路を洗浄する。第1すすぎ洗浄処理S34では、水道水によって洗剤が付着した流水経路をすすぎ洗いする。第2すすぎ洗浄処理及び異常検知処理S35では、水道水によって洗剤が付着した洗剤供給管92をすすぎ洗いすると共に、洗剤供給装置90の異常発生を検知、報知する。
【0041】
なお、予備洗浄処理S32、洗剤洗浄処理S33、第1すすぎ洗浄処理S34で洗浄する流水経路は、少なくとも製氷板12の製氷面が経路上に含まれる第1流水経路とされるが、通水バルブ34を開閉することで、さらに第2流水経路も洗浄されるようにしても構わない。
【0042】
予備洗浄処理S32の制御フローは、図6に示すように、給水バルブ30を開き(S40)、水タンク13の水位センサ17が上基準水位L2を検出したら(S42)、給水バルブ30を閉じ(S44)、循環ポンプ15を作動させる(S46)。これにより流水経路が水道水によって循環洗浄される。循環ポンプ15の作動時には、その回転速度を増減させて高速と低速の切り替えを繰り返し行うことで、洗浄効果を高めることができる。循環ポンプ15を作動させて循環洗浄を一定時間行った後、所定の時間だけ排水バルブ21を開いて(S48)、水タンク13内の水を排水し、循環ポンプ15を停止する(S49)。
【0043】
洗剤洗浄処理S33の制御フローは、図7に示すように、給水バルブ30を開いて(S50)、水タンク13の水位センサ17が上基準水位L2を検出したら(S52)、給水バルブ30を閉じる(S54)。次に、所定時間だけ循環ポンプ15を作動させ排水バルブ21を開いて(S56)、水タンク13内の水を排水し、水タンク13内の水を所定水量まで減少させる。そして、洗浄搬送ポンプ94を所定時間だけ正回転で作動させて(S58)、洗剤容器91から水タンク13内へ洗剤を供給する(図18の実矢線)。洗剤は、水タンク13内に貯められた水で希釈される。水タンク13内の水は、ステップS56によって所定水量に調整されていることから、洗浄搬送ポンプ94の作動時間によって、所望の希釈度に応じた洗剤量が投入される。次に、循環ポンプ15を作動させると(S60)、流水経路が洗剤の希釈水によって循環洗浄される。循環ポンプ15の作動時には、その回転速度を増減させて高速と低速の切り替えを繰り返し行うことで、洗浄効果を高めることができる。循環ポンプ15を作動させて循環洗浄を一定時間行った後、所定の時間だけ排水バルブ21を開き(S62)、水タンク13内の希釈水を排水し、循環ポンプ15を停止する(S64)。
【0044】
第1すすぎ洗浄処理S34の基本的な制御フローは、図6に示す予備洗浄処理S32と基本的には同様であるが、予備洗浄処理S32と異なりステップS40からS49までの給水、循環洗浄、排水を所定回数(例えば4回)繰り返して行う。所定回数繰り返すことで、流水経路に付着した洗剤を確実に除去することができる。
【0045】
第2すすぎ洗浄処理及び異常検知処理S35の制御フローは、図8及び図9に示すように、給水バルブ30を開いて(S70)、水タンク13の水位センサ17が上基準水位L2を検出したら(S72)、給水バルブ30を閉じる(S74)。次に、洗浄搬送ポンプ94を所定時間だけ逆回転で作動させて(S76)、タンク本体部26内の水を洗剤供給管92内に吸引し、洗剤排出管95を介して排水する(図18の白抜き矢線)。これにより、洗剤供給管92内に付着した洗剤をすすぎ洗いできる。また、タンク本体部26内の水が排水されて、水タンク13(タンク本体部26)の水位は減少する。
【0046】
ここで、洗剤搬送ポンプ94が故障していたり、洗剤供給管92と洗剤搬送ポンプ94との接続部、洗剤供給管92と洗剤排出管95との接続部92Bにおいて接続が外れたりして、洗剤供給装置90に異常が発生している場合には、洗浄搬送ポンプ94を逆回転で作動させても(S76)、水タンク13内の水は吸引されず、水位は減少しないこととなる。
【0047】
そこで、制御基板6は、洗浄搬送ポンプ94を逆回転に作動する前と後の水位センサ17の検出結果に基づき、洗剤供給装置90の異常を判定する。より詳しくは、図9に示すように、洗浄搬送ポンプ94を所定時間だけ逆回転に作動した後(S76)、水位センサ17が下基準水位L1を検出した場合には(S78のYES)、水位減少が確認されるため、洗剤供給装置90は正常と判定する(S80)。既述したように、水タンク13内の洗剤供給管92の先端92Aは、下基準水位L1より下方に位置している。このため、洗剤供給装置90が正常である場合には、洗浄搬送ポンプ94を逆回転に所定時間作動させれば、水タンク13内の水位は先端92Aとほぼ同じ先端水位L92Aまで減少し、水位センサ17が下基準水位L1を検出できる。水タンク13内の水位は、図10に示すように、洗浄搬送ポンプ94の逆回転作動前には、ほぼ上基準水位L2と一致しており、洗浄搬送ポンプ94の逆回転作動後は先端水位L92AへとΔL2だけ減少する。
【0048】
一方で、水位センサ17が下基準水位L1を検出しない場合には(S78のNO)、水位減少が確認されないため、洗剤供給装置90は異常ありと判定する(S82)。そして、表示部5Bにエラーメッセージを表示することで、使用者に洗剤供給装置90の異常を報知する(S84)。このように洗剤供給装置90の異常検知処理を行った後は、循環ポンプ15を作動させ(S86)、所定時間だけ排水バルブ21を開いて(S88)、水タンク13内の残留水があれば排水管20に排出し、循環ポンプ15を停止する(S90)。
【0049】
上記した制御フローによれば、洗剤搬送ポンプ94を正回転で作動すれば、水タンク13に洗剤が自動的に供給されて、洗剤供給作業を自動化できる。また、洗剤搬送ポンプ94を逆回転で作動すれば、洗剤供給管92内に付着した洗剤をすすぎ洗いできると共に、水位センサ17の検出結果に基づき、洗剤供給装置90に異常が発生しているか否かを検知できる。従って、洗剤供給作業を自動化しつつ、自動化した洗剤供給作業の異常発生を検知、報知することが可能となる。洗剤供給装置90の異常発生は、洗剤が投入されなくても洗浄運転そのものは水洗浄として実行されるため、使用者が気付きにくい。このため、例えば洗剤供給管92と洗剤搬送ポンプ94との接続部分が外れ、洗剤であるクエン酸が漏れ出てしまう事態が発生しても、長期間放置されてしまう懸念がある。その結果、漏れ出たクエン酸が部品に長期間付着して、腐食、破損が生じてしまう事態を招く恐れもある。本実施形態の製氷機10によれば、異常発生を早期に検知して、使用者に報知できるようになるため、このような事態を抑制できる。
【0050】
<実施形態2>
実施形態2に係る第2すすぎ洗浄処理及び異常検知処理S135について、図11及び図12を参照して説明する。本実施形態では、洗剤搬送ポンプ94を逆回転に作動させる前に、水タンク13内の水を所定量だけ排水して、予め水タンク13内の水位を所定水位(図12の調整水位L4)まで減少させる点が実施形態1と異なる。実施形態1と同様の構成、及び作用効果についての重複説明は省略する。
【0051】
第2すすぎ洗浄処理及び異常検知処理S135の制御フローは、実施形態1と同じ給水処理(図8)を行った後、図11に示すように、循環ポンプ15を作動させ(S100)、所定時間だけ排水バルブ21を開いて(S110)、水タンク13内の水を排出し、循環ポンプ15を停止する(S120)。これにより、水タンク13内の水は所定量だけ排水され、図12に示すように、水タンク13内の水位は、給水処理後の上基準水位L2から所定水位(調整水位)L4まで減少される。ステップS120より後の処理は、実施形態1と同じ処理を行う。
【0052】
このようにすれば、水タンク13内の水位は、洗浄搬送ポンプ94の逆回転作動前には調整水位L4であり、洗浄搬送ポンプ94の逆回転作動後は先端水位L92AへとΔL4だけ減少する。洗剤搬送ポンプ94の逆回転作動によって排出される水量は、実施形態1では水位差ΔL2であるのに対して、本実施形態では水位差ΔL4に減少される。これにより、洗剤搬送ポンプ94を逆回転する作動時間を短縮できるようになり、洗剤搬送ポンプ94の製品寿命の低下を抑制することができる。洗剤搬送ポンプ94として用いられるチューブローラー式ポンプは、その構造上、製品寿命が循環ポンプ15より大幅に短い。本実施形態によれば、洗剤搬送ポンプ94としてチューブローラー式ポンプを用いて、回転方向の変更によって洗剤供給管92内の液体(洗剤、水)の流通方向を容易に切り替えつつ、洗剤搬送ポンプ94の製品寿命を向上できるようになる。
【0053】
<実施形態3>
実施形態3に係る第2すすぎ洗浄処理及び異常検知処理S235について、図13及び図14を参照して説明する。本実施形態では、洗剤搬送ポンプ94を逆回転に作動させる前に、水タンク13内の水を下基準水位L1まで排水し、その後に再給水することで、予め水タンク13内の水位を所定水位(調整水位L5)まで減少させる点が実施形態1及び実施形態2と異なる。実施形態1及び実施形態2と同様の構成、及び作用効果についての重複説明は省略する。
【0054】
第2すすぎ洗浄処理及び異常検知処理S235の制御フローは、実施形態1と同じ給水処理(図8)を行った後、図13に示すように、循環ポンプ15を作動させて排水バルブ21を開き(S200)、水位センサ17が下基準水位L1を検出したら(S210)、循環ポンプ15を停止して排水バルブ21を閉じる(S220)。この時、水位センサ17は第1リードスイッチがオン(第1検出信号)を検出しており、水タンク13内の水位は下基準水位L1とほぼ同じ水位に減少している。次に、給水バルブ30を開いて(S230)、水位センサ17が下基準水位L1を検出しなくなったら(S240)、給水バルブ30を閉じる(S250)。この時、水位センサ17は第1リードスイッチがオフ(第2検出信号)を検出しており、水タンク13内の水位は下基準水位L1を僅かに上回る調整水位L5となる。ステップS250より後の処理は、実施形態1及び実施形態2と同じ処理を行う。
【0055】
このようにすれば、水タンク13内の水位は、図14に示すように洗浄搬送ポンプ94の逆回転作動前には調整水位L5であり、洗浄搬送ポンプ94の逆回転作動後は先端水位L92AへとΔL5だけ減少する。洗剤搬送ポンプ94の逆回転作動によって排出される水量は、実施形態2の水位差ΔL4よりさらに小さくなり、水位差ΔL5に減少される。これにより、洗剤搬送ポンプ94を逆回転する作動時間をさらに短縮し、洗剤搬送ポンプ94の製品寿命の低下を確実に抑制することができる。
【0056】
<実施形態4>
実施形態4に係る第2すすぎ洗浄処理及び異常検知処理S335は、毎回の洗浄運転の度には行われず、所定の頻度(例えば3回に1回)で定期的に行われる。実施形態1から実施形態3と同様の構成、及び作用効果についての重複説明は省略する。
【0057】
本実施形態では、実行された洗浄運転の数が累積カウントされ、制御基板6の記憶部に洗浄運転の累積実行回数が記憶されている。制御基板6の制御部は、この累積実行回数Nが所定の値(例えば、N=3,6,9…)に達した場合に、第2すすぎ洗浄処理及び異常検知処理S335を実行する。その制御フローは、実施形態1から実施形態3の第2すすぎ洗浄処理及び異常検知処理S35,S135,S235のいずれかと同様に実行される。
【0058】
このようにすれば、第2すすぎ洗浄処理及び異常検知処理S335の実行頻度が小さくなり、洗剤搬送ポンプ94の作動時間を短縮できるようになる。その結果、洗剤搬送ポンプ94の寿命低下を抑制できる。なお、第2すすぎ洗浄処理及び異常検知処理S335の実行頻度(すなわち、上記した所定の値の設定値)は、洗剤搬送ポンプ94の寿命の予測値に基づいて設定され、さらには操作部5A等から手動で入力することで調整可能とされる。これにより、使用状況(汚れの付着状況)等に応じて、第2すすぎ洗浄処理及び異常検知処理S335を最適な頻度で行いつつ、洗剤搬送ポンプ94の寿命低下を適切に抑制できるようになる。
【0059】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0060】
(1)異常検知処理は、洗剤洗浄処理S33において実行されるようにしても構わない。
【0061】
(2)貯氷センサ33及び水位センサ17は、超音波を用いた距離センサ等、他の種類のセンサであっても構わない。
【0062】
(3)洗浄供給装置90は、2種類以上の洗剤を個別に供給可能に構成されていても構わない。
【0063】
(4)本技術は、流下式の製氷機に限定されず、水タンクと製氷部とを備える他の方式の製氷機(例えばオーガ式)に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
5A…操作部、5B…表示部(報知部)、6…制御基板(制御部、記憶部、計時部)、10…製氷機、11…製氷部、12…製氷板、13…水タンク、14…貯氷庫、15…循環ポンプ、17…水位センサ、21…排水バルブ、30…給水バルブ、40…冷却装置、90…洗剤供給装置、91…洗剤容器、92…洗剤供給管、94…洗剤搬送ポンプ、94C…洗剤搬送ポンプのモーター、95…洗剤排出管
図1
図2
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図11
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