(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】切削工具、工具ホルダ及び工作機械
(51)【国際特許分類】
B23B 1/00 20060101AFI20240829BHJP
B23B 29/00 20060101ALI20240829BHJP
B23B 29/24 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B23B1/00 Z
B23B29/00 D
B23B29/24 Z
(21)【出願番号】P 2021023468
(22)【出願日】2021-02-17
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000133593
【氏名又は名称】株式会社ツガミ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】頓所 正人
(72)【発明者】
【氏名】井比 亨
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-023001(JP,A)
【文献】特開平05-253704(JP,A)
【文献】国際公開第2019/170325(WO,A1)
【文献】特開2008-126391(JP,A)
【文献】特開2008-100314(JP,A)
【文献】国際公開第2012/026098(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 1/00-25/06
B23B27/00-29/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具主軸ユニットに取り付けられる工具ホルダにより固定的に支持される切削工具であって、
前記切削工具の長手方向に交わる方向の切り込み方向にてワークに切り込み可能に構成され
、軸回転する前記ワークから前記切削工具の長手方向に切削抵抗の主分力を受ける加工点を備
え、
前記切削工具は、長手方向が前記工具ホルダの中心軸の方向と平行となるように前記工具ホルダに支持されることで、切削抵抗の主分力は、前記工具ホルダを前記工具主軸ユニットに押し付ける力となる、
切削工具。
【請求項2】
請求項1に記載の切削工具を保持する工具ホルダであって、
前記
主分力が前記工具ホルダの中心軸上
で前記工具ホルダに向けて作用する、
工具ホルダ。
【請求項3】
請求項1に記載の切削工具を保持する工具ホルダであって、
前記切削工具を収容する工具収容
凹部と、
前記切削工具を前記工具収容
凹部内で保持する工具保持部材と、
前記工具保持部材を前記工具ホルダに固定する第1固定部材と、を備え、
前記切削工具の側面には、第1傾斜面を有する工具凹部が形成されており、
前記工具収容
凹部は、
前記切削工具の長手方向に延び、前記工具ホルダの側面に形成されており、前記切削工具の前記加工点とは反対側の基端部が接触することにより、前記切削工具を前記長手方向に位置決めする位置決め面を備え、
前記工具保持部材は、
前記第1傾斜面と対向する第2傾斜面を有する押し付け部を有し、前記工具凹部に嵌めた状態で前記第1固定部材によって前記切削工具に押し付けられることで、前記押し付け部を介して前記切削工具の前記基端部を前記位置決め面に押し付ける
、
工具ホルダ。
【請求項4】
請求項
3に記載の
工具ホルダは、前記工具ホルダの中心軸に直交する方向から切削工具を固定する第2固定部材を備える、
工具ホルダ。
【請求項5】
請求項1に記載の切削工具と、
前記工具ホルダと、
前記切削工具でワークを切削するために前記ワークを回転させるワーク回転部と、
回転する前記ワークから前記切削工具の長手方向に切削抵抗の主分力を受けるように前記ワークに対して相対的に移動させる移動機構と、を備える、
工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削工具、工具ホルダ及び工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工具台にツールスピンドルを設け、ツールスピンドルに取り付けられた工具で切削加工、穴開け加工又はフライス加工を行う工作機械が知られている。ツールスピンドルに切削工具が取り付けられている場合には、ツールスピンドルの回転を規制(ロック)する必要がある。例えば、特許文献1に記載のターニングセンタ用ツールスピンドルの定位置割出装置は、油圧シリンダにより環状ピストンが上下することにより第1~第3カップリング部の嵌合状態を変化させてツールスピンドルをロック又はアンロックさせる。ツールスピンドルをロックした状態では、第1~第3カップリング部が切削工具に加わる加工負荷を受け止める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成においては、
図11に示すように、ツールスピンドル150の中心軸Jと切削工具170のワークWへの切り込み方向Kは同方向となる。この場合、切削工具170及びツールスピンドル150に加わる切削抵抗の主分力Faは、ツールスピンドル150の中心軸Jに対して直交する方向に作用する。ツールスピンドル150は、切削抵抗の主分力Faを受け止めるために、第1~第3カップリング部及び油圧シリンダ等の複雑な構成を介して切削工具を強い力で固定して、切削時に切削工具を安定させる必要がある。従って、例えば、切削工具を固定する力が弱い構成、又は切削工具のワークへの切削圧が高い重切削の場合には、切削時に切削工具を安定させることが困難であった。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、切削時に切削工具を安定させることができる切削工具、工具ホルダ及び工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る切削工具は、工具主軸ユニットに取り付けられる工具ホルダにより固定的に支持される切削工具であって、前記切削工具の長手方向に交わる方向の切り込み方向にてワークに切り込み可能に構成され、軸回転する前記ワークから前記切削工具の長手方向に切削抵抗の主分力を受ける加工点を備え、前記切削工具は、長手方向が前記工具ホルダの中心軸の方向と平行となるように前記工具ホルダに支持されることで、切削抵抗の主分力は、前記工具ホルダを前記工具主軸ユニットに押し付ける力となる。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る前記切削工具を保持する工具ホルダは、前記主分力が前記工具ホルダの中心軸上で前記工具ホルダに向けて作用する。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る前記切削工具を保持する工具ホルダは、前記切削工具を収容する工具収容凹部と、前記切削工具を前記工具収容凹部内で保持する工具保持部材と、前記工具保持部材を前記工具ホルダに固定する第1固定部材と、を備え、前記切削工具の側面には、第1傾斜面を有する工具凹部が形成されており、前記工具収容凹部は、前記切削工具の長手方向に延び、前記工具ホルダの側面に形成されており、前記切削工具の前記加工点とは反対側の基端部が接触することにより、前記切削工具を前記長手方向に位置決めする位置決め面を備え、前記工具保持部材は、前記第1傾斜面と対向する第2傾斜面を有する押し付け部を有し、前記工具凹部に嵌めた状態で前記第1固定部材によって前記切削工具に押し付けられることで、前記押し付け部を介して前記切削工具の前記基端部を前記位置決め面に押し付ける。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第4の観点に係る工具ホルダは、前記工具ホルダの中心軸に直交する方向から切削工具を固定する第2固定部材を備える。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第5の観点に係る工作機械は、前記切削工具と、前記工具ホルダと、前記切削工具でワークを切削するために前記ワークを回転させるワーク回転部と、回転する前記ワークから前記切削工具の長手方向に切削抵抗の主分力を受けるように前記ワークに対して相対的に移動させる移動機構と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、切削時に切削工具を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る工作機械の正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る工作機械の平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る固定工具ユニットが装着された工具主軸ユニットの断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る回転工具ユニットが装着された工具主軸ユニットの部分的な断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る工具主軸ユニットの底面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る固定工具ユニットの側面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る固定工具ユニットの正面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る固定工具ユニットの側面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る工具ホルダ、カップリング部及びスピンドルの斜視図である。
【
図11】背景技術に係るツールスピンドルに装着された切削工具によるワークの加工態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る切削工具、工具ホルダ、工具主軸ユニット及び工作機械について、図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、ターニングセンタである工作機械1は、工作機械1全体の台であるベッドSと、第1主軸11を有する第1主軸ユニット10と、第2主軸21を有する第2主軸ユニット20と、第2主軸移動機構25と、工具移動機構42と、B軸回転機構45と、工具主軸ユニット50と、工具マガジン60と、制御部300と、を備える。
以下では、第1主軸11及び第2主軸21の回転軸に沿う軸線方向をZ軸方向と規定し、Z軸方向に直交する高さ方向をX軸方向と規定し、X軸方向及びZ軸方向に直交する方向をY軸方向と規定する。
【0014】
第1主軸ユニット10は、ワークWを把持しつつ回転させる。具体的には、第1主軸ユニット10は、第1主軸11と、第1主軸11を回転可能に支持する第1主軸台12と、を備える。第1主軸11は、ワークWの一端を把持する。第1主軸台12には、第1主軸11を回転させるワーク回転用モータ(図示せず)が内蔵されている。第1主軸ユニット10は、ベッドSに対して移動不能に構成される。
【0015】
第2主軸ユニット20は、Z軸方向に第1主軸ユニット10と向かい合う位置に設けられている。第2主軸ユニット20は、ワークWの他端を把持する第2主軸21と、第2主軸21を回転可能に支持する第2主軸台22と、を備える。第2主軸台22には、第2主軸21を回転させるワーク回転用モータ(図示せず)が内蔵されている。
【0016】
第2主軸移動機構25は、
図2に示すように、第2主軸ユニット20をY軸方向(Y2軸方向)に移動させるY移動機構25Yと、
図1に示すように、第2主軸ユニット20をX軸方向(X2軸方向)に移動させるX移動機構25Xと、第2主軸ユニット20をZ軸方向(Z2軸方向)に移動させるZ移動機構25Zと、を備える。
【0017】
工具移動機構42は、
図2に示すように、工具主軸ユニット50をY軸方向(Y1軸方向)に移動させるY移動機構42Yと、
図1に示すように、工具主軸ユニット50をX軸方向(X1軸方向)に移動させるX移動機構42Xと、工具主軸ユニット50をZ軸方向(Z1軸方向)に移動させるZ移動機構42Zと、を備える。
なお、
図2に示すように、Z移動機構25ZのZ軸方向に移動するスライド台25SとZ移動機構42ZのZ軸方向に移動するスライド台42Sは、ベッドS上にZ軸方向に延びる共通のレール29に沿って移動する。
【0018】
X移動機構25X,42X、Y移動機構25Y,42Y及びZ移動機構25Z,42Zは、それぞれ、モータ、ボールねじ及びナットを有し、モータの回転力をボールねじ及びナットにより直線運動に変換することにより、対応する第2主軸ユニット20又は工具主軸ユニット50を直線的に移動可能な構成からなる。
B軸回転機構45は、工具主軸ユニット50をB軸方向に回転させる。B軸方向は、Y軸方向に沿う回転軸を中心とした回転方向である。
【0019】
工具マガジン60は、互いに異なる種類の複数の工具ユニット(例えば、固定工具ユニット70及び回転工具ユニット80)を保持し、工具主軸ユニット50との間で工具ユニットを授受する。
詳しくは、工具マガジン60は、工具支持部61と、駆動部62と、を備える。
工具支持部61は、略円環状をなし、Z軸方向に沿って延びる回転軸を中心に回転可能に支持される。工具支持部61には、工具支持部61の外周側に位置し、工具支持部61の径方向外側に向けて開口するU字状の工具把持溝が工具支持部61の回転方向に並ぶように形成されている。
駆動部62は、例えば、モータを有し、工具支持部61を回転軸を中心に回転させる。
【0020】
図3及び
図4に示すように、工具主軸ユニット50は、例えば、ツールスピンドルであり、回転工具ユニット80及び固定工具ユニット70の何れかを選択的に装着可能に構成される。
図3に示すように、工具主軸ユニット50は、ボディ51と、複数の軸受け55と、スピンドル52と、モータ53と、クランプ機構54と、を備える。
ボディ51は、ボディ本体部51aと、カップリング部51bと、を備える。
ボディ本体部51aは、スピンドル52の中心軸Jに沿う方向に延びる筒状をなす。ボディ本体部51aは、ボディ本体部51aの内部空間にて複数の軸受け55を介してスピンドル52を軸回転可能に支持する。
【0021】
スピンドル52は、中心軸Jに沿って延びる略円筒状をなす。
図10に示すように、スピンドル52は、スピンドル52の先端面に形成される複数の凸部52aを備える。凸部52aは、スピンドル52の先端側に向けて突出した直方体をなし、カップリング部51bよりも先端側に位置する。
図5に示すように、複数、本例では2つの凸部52aは、中心軸Jを中心とした周方向Cにおいて等角度間隔、本例では180°間隔で配置されている。
図3に示すように、スピンドル52は、スピンドル52の先端側の内周面に形成されるホルダ収容部52bを備える。ホルダ収容部52bは、スピンドル52の先端側に向かうにつれて径が大きくなる傾斜面を有する孔部である。ホルダ収容部52bには、固定工具ユニット70の後述する工具ホルダ71のテーパ部72又は回転工具ユニット80の後述する工具ホルダ81のテーパ部82(
図4参照)が収容される。
【0022】
モータ53は、ボディ本体部51aの内部空間におけるスピンドル52の外周に設けられ、スピンドル52を中心軸Jを中心に回転させる。
カップリング部51bは、ボディ本体部51aの先端側の開口部を塞ぐようにボディ本体部51aの先端に固定される。カップリング部51bは、中心軸Jを中心としたリング状をなす。
図10に示すように、カップリング部51bの中央部には、中心軸Jに沿って延びる貫通孔51hが形成されている。貫通孔51hにはスピンドル52の先端部が通過する。
カップリング部51bの先端面には円環凸部51cが形成される。円環凸部51cは、貫通孔51hの周囲を囲むように形成される。円環凸部51cには固定工具ユニット70の後述する嵌合凸部74bが嵌まる複数の嵌合凹部51dが形成されている。
【0023】
各嵌合凹部51dは、周方向Cの両側の側面である傾斜面51fを備える。1つの嵌合凹部51dの2つの傾斜面51fは、1つの嵌合凹部51dの底面に近づくにつれて、すなわち、カップリング部51bに近づくにつれて、2つの傾斜面51fの間の距離が小さくなるように傾斜する。
図5に示すように、複数、本例では4つの嵌合凹部51dは、中心軸Jを中心とした周方向Cに等角度間隔、本例では90°間隔で配置されている。各嵌合凹部51dは、周方向Cに沿って延びる。
【0024】
図3及び
図4に示すように、クランプ機構54は、クランプ部76,86をスピンドル52内に引き込んでクランプする。
クランプ機構54は、ドローバー54aと、ピストン54bと、第1ばね54dと、受け部54eと、第2ばね54fと、複数のボール54gと、エア供給部54hと、を備える。
【0025】
ドローバー54aは、中心軸Jに沿って延びる円筒状をなし、スピンドル52内で中心軸Jに沿う方向に移動可能に設けられる。ドローバー54aの先端部には、複数のボール54gがドローバー54aの径方向に移動可能に嵌め込まれている。複数のボール54gは、ドローバー54aの位置に応じて、クランプ部76,86を把持(クランプ)したり、この把持を解除(アンクランプ)したりする。
【0026】
受け部54eは、ドローバー54aの後端に固定され、スピンドル52の後端よりも後端側に突出している。
第2ばね54fは、スピンドル52内であって、ドローバー54aの外周に設けられる。第2ばね54fは、受け部54eをドローバー54aとともに後端側に付勢する。
ピストン54bは、受け部54eの後端側に位置し、第1ばね54dの弾性力により受け部54eから離れる方向に付勢されている。エア供給部54hは、制御部300による制御のもと、エア供給空間54mにエアを供給する。これにより、エア供給空間54m内の圧力が高まると、ピストン54bが第2ばね54fの弾性力に抗して受け部54eに近づいて受け部54eを押す。そして、受け部54eは、ドローバー54a及びボール54gとともに第2ばね54fの付勢力に抗してドローバー54aの先端側に移動する。よって、ボール54gがスピンドル52の先端側の内周面に形成される凹部52cに到達する。これにより、ボール54gがクランプ部76,86を押す力が解除されて、固定工具ユニット70又は回転工具ユニット80が工具主軸ユニット50から取り外し可能なアンクランプ状態となる。
また、エア供給部54hからのエア供給空間54mへのエアの供給が停止されると、ピストン54bは、第1ばね54dからの付勢力を受けて受け部54eとは離れた状態となる。この状態では、第2ばね54fの付勢力によりドローバー54aが複数のボール54gとともに後端側に位置する。このため、複数のボール54gがクランプ部76,86を挟み込んで、固定工具ユニット70又は回転工具ユニット80が工具主軸ユニット50に固定されたクランプ状態となる。
【0027】
次に、固定工具ユニット70について説明する。
図3に示すように、固定工具ユニット70は、工具主軸ユニット50により軸回転不能に固定的に支持される。固定工具ユニット70は、例えば、切削加工を行う工具ユニットである。
図9に示すように、工具主軸ユニット50は、固定工具ユニット70を介して、固定工具ユニット70の中心軸Jに直交する方向の切り込み方向Kに切り込み可能に構成されている。
【0028】
図6に示すように、固定工具ユニット70は、ワークを切削する切削工具73と、切削工具73を保持する工具ホルダ71と、を備える。切削工具73は、例えば、切削バイトであり、工具ホルダ71に着脱可能に構成される。
切削工具73は、工具本体部73aと、工具本体部73aに装着される加工チップ73bと、を備える。
工具本体部73aは、固定工具ユニット70の中心軸Jに沿う角柱状をなす。
図7に示すように、工具本体部73aには、後述する工具保持部材79が嵌まる工具凹部73cが形成されている。工具凹部73cは、工具本体部73aの中心軸Jに沿って延びる側面の上部に位置し、中心軸Jに直交する工具本体部73aの幅方向(Y軸方向)に沿って延びる。
【0029】
工具凹部73cは、底面73c1と、直交面73c2と、傾斜面73c3と、を備える。底面73c1は、工具本体部73aの幅方向に沿って延びる。直交面73c2は、底面73c1の加工チップ73b(
図6参照)に近い端部に位置し、底面73c1に直交する方向に延びる。傾斜面73c3は、底面73c1の加工チップ73bから遠い端部に位置し、底面73c1から離れるにつれて直交面73c2から遠ざかるように底面73c1に対して傾斜している。傾斜面73c3は、後述する工具保持部材79により切削工具73を後述する位置決め面75bに押し付けるために形成される。
【0030】
図6に示すように、加工チップ73bは、工具本体部73aに対して着脱可能であり、ワークWを切削加工するチップである。加工チップ73bは、加工チップ73bの中心軸Jに直交する方向に位置するワークWを切削する加工点73dを有する。加工点73dは固定工具ユニット70の中心軸J上に位置する。加工チップ73bは、菱形板状をなし、工具本体部73aの先端面に固定されている。
【0031】
工具ホルダ71は、
図6に示すように、テーパ部72と、回転規制部74と、工具装着部75と、クランプ部76と、被保持溝部78と、工具保持部材79と、複数の第1固定部材77aと、
図8に示すように、複数の第2固定部材77bと、を備える。
図6に示すように、工具装着部75には切削工具73の加工チップ73bと反対側の基端部が装着される。工具装着部75は中心軸Jに沿って延びる略半円柱状をなす。
工具装着部75には、切削工具73の基端部が嵌まる工具収容凹部75aと工具保持部材79が嵌まる保持部材収容凹部75dが形成されている。工具収容凹部75a及び保持部材収容凹部75dは、工具装着部75の中心軸Jに沿って延びる平側面75Fに形成されている。
図6及び
図8に示すように、複数の第2固定部材77bは、切削工具73を工具収容凹部75a内で中心軸Jに直交する方向に位置決めするための部材である。複数の第2固定部材77bは、それぞれボルトであり、中心軸Jに沿った方向に並べられる。各第2固定部材77bは、工具装着部75に形成されるねじ穴(図示略)に螺合された状態で、切り込み方向Kに沿って延びる。第2固定部材77bの先端は、
図6の破線で模式的に示すように、切削工具73の側面を押すように構成される。なお、図示されていないが、第2固定部材77bに押される切削工具73の側面と工具収容凹部75aの上記ねじ穴が形成される側面の間には隙間が設けられてもよい。
【0032】
図8に示すように、工具収容凹部75aは中心軸Jに沿って延びる溝として形成されている。工具収容凹部75aの先端は工具装着部75の先端面まで形成されている。工具収容凹部75aは、工具収容凹部75aの基端側に位置する位置決め面75bを備える。位置決め面75bは、中心軸Jに交わる方向、本例では、中心軸Jに直交する方向に延び、工具本体部73aの基端面に接触することにより切削工具73を中心軸Jに沿う方向に位置決めする。図示されていないが、工具収容凹部75aの短手方向に沿う幅は、切削工具73の短手方向に沿う幅よりも大きく形成されている。
保持部材収容凹部75dは、工具収容凹部75aの中間部を通過し、工具収容凹部75aに交差するように形成される。保持部材収容凹部75dは、工具収容凹部75aよりも浅い溝として形成される。
【0033】
図6に示すように、工具装着部75は、第1主軸11(
図1参照)により把持されたワークWから逃げるように形成される傾斜面75cを備える。傾斜面75cは、中心軸Jを中心として工具収容凹部75aとは反対側に形成される。傾斜面75cは、固定工具ユニット70により加工中のワークWの上方に位置する。傾斜面75cは、Y軸方向(切り込み方向K)において切削工具73から離れるにつれてX軸方向においてワークWから離れるように傾斜する。
【0034】
工具保持部材79は、工具収容凹部75a内に切削工具73を保持する部材であり、第1固定部材77aにより工具装着部75に固定される。工具保持部材79は、切削工具73が工具収容凹部75a内に収容された状態で、保持部材収容凹部75d内に収容される。工具保持部材79は、工具収容凹部75aに収容される切削工具73に交差して切削工具73を跨ぐように切削工具73の幅方向に沿って延びる角柱状をなす。
【0035】
図7に示すように、工具保持部材79は、工具凹部73cの傾斜面73c3に対向する傾斜面である押し付け部79aを備える。工具保持部材79の押し付け部79aは、工具凹部73cの傾斜面73c3と協働して工具本体部73aを位置決め面75bに押し付けるために形成される。
図6に示すように、複数の第1固定部材77aは、工具保持部材79を工具装着部75に固定する部材である。複数の第1固定部材77aは、それぞれボルトであり、工具保持部材79の長手方向の両端部に位置する。各第1固定部材77aは、工具保持部材79が延びる方向と切削工具73が延びる方向の両方向に直交する方向に延びる。
【0036】
被保持溝部78は、固定工具ユニット70の中心軸Jに沿って工具装着部75と回転規制部74の間に位置し、外周面の全周に亘って溝が形成された円板状をなす。工具装着部75は、上述した工具支持部61(
図1参照)の工具把持溝に嵌まる。
【0037】
回転規制部74は、ボディ51(
図3参照)に嵌合することにより、固定工具ユニット70の回転を規制した状態で固定工具ユニット70に加わる加工負荷をボディ51で受け止めるように形成される。回転規制部74は、固定工具ユニット70の中心軸Jに沿ってテーパ部72と被保持溝部78の間に位置する。
図6に示すように、回転規制部74は、円板部74aと、複数の嵌合凸部74bと、複数の溝部74cと、を備える。
円板部74aは、中心軸Jを中心とした円板状に形成されている。
図10に示すように、複数の溝部74cは、円板部74aの外周側に凹状に形成されている。複数の溝部74cは、円板部74aの径方向の外側に向かって開口する。
複数、本例では2つの溝部74cは、中心軸Jを中心とした周方向Cに等角度間隔、本例では180°間隔に配置されている。溝部74cにはスピンドル52の凸部52aが嵌まる。
【0038】
図10に示すように、複数の嵌合凸部74bは、カップリング部51bの複数の嵌合凹部51dに嵌まることにより固定工具ユニット70のカップリング部51bに対する回転を規制した状態で固定工具ユニット70に加わる加工負荷をボディ51で受け止めることを可能とする。
複数の嵌合凸部74bは、それぞれ円板部74aの後面の外周側に位置し、中心軸Jに沿う方向及び周方向Cに延び、周方向Cに沿って並べられる。複数、本例では4つの嵌合凸部74bは、等角度間隔、本例では、90°間隔で配置される。
各嵌合凸部74bは、周方向Cの両側に位置する側面である傾斜面74b1を備える。1つの嵌合凸部74bの2つの傾斜面74b1は、中心軸Jに沿う方向において、円板部74aから遠ざかるにつれて互いに近づくように傾斜する。言い換えると、嵌合凸部74bは、中心軸Jに直交する方向から見て台形状をなす。
傾斜面74b1は、カップリング部51bの嵌合凹部51dの傾斜面51fに周方向Cに面接触する。
【0039】
図6に示すように、テーパ部72は、円板部74aの後面に位置し、中心軸Jに沿って延び、後端側に向かうにつれて径が小さくなる円錐台で形成される。
図3に示すように、テーパ部72は、スピンドル52のホルダ収容部52bに収容される。テーパ部72の外周面とホルダ収容部52bの内周面の間には隙間が形成されている。よって、固定工具ユニット70のテーパ部72とスピンドル52のホルダ収容部52bは接触していない。言い換えると、隙間が形成されるように、
図10に示すように、嵌合凸部74bと嵌合凹部51dが嵌合している。
図6に示すように、クランプ部76は、テーパ部72の後端面に固定されている。クランプ部76は、中心軸Jに沿って延びる柱状をなす。クランプ部76は、クランプ部76の後端に位置し、クランプ状態において各ボール54gが引っ掛かる球状部76aを備える。
【0040】
次に、回転工具ユニット80について説明する。
図4に示すように、回転工具ユニット80は、工具主軸ユニット50によりスピンドル52とともに軸回転可能に支持される。
回転工具ユニット80は、ワークを加工する工具部83と、工具部83を保持する工具ホルダ81と、を備える。工具部83はドリル等の回転工具である。
工具ホルダ81は、上述したテーパ部72と同様のテーパ部82と、上述した工具装着部75と同様の工具装着部85と、上述したクランプ部76と同様のクランプ部86と、上述した被保持溝部78と同様の被保持溝部88と、を備える。
以下、回転工具ユニット80について固定工具ユニット70との相違点を中心に説明する。
回転工具ユニット80の工具ホルダ81は、スピンドル52の凸部52aが嵌まる溝部74cと同様の溝部を有するものの、固定工具ユニット70と異なって嵌合凸部74bを有しない。回転工具ユニット80の工具ホルダ81の溝部にスピンドル52の凸部52aが嵌まることにより、スピンドル52の回転が回転工具ユニット80に伝達される。また、回転工具ユニット80の工具ホルダ81がスピンドル52の先端に嵌め込まれた状態で、回転工具ユニット80のテーパ部82の外周面とホルダ収容部52bの内周面は面接触している。
【0041】
図1に示すように、制御部300は、第1主軸ユニット10、第2主軸ユニット20、第2主軸移動機構25、工具移動機構42、B軸回転機構45、工具主軸ユニット50及び工具マガジン60を制御する。制御部300は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)、CPUによる処理の手順を定義したプログラムを記憶するROM(Read Only Memory)等を備える。
【0042】
次に、制御部300により実行される加工処理について説明する。制御部300は、事前に作成されたNCプログラムに従って、この加工処理を実行する。
図1に示すように、制御部300は、第1主軸11により把持されたワークWを工具主軸ユニット50に装着された固定工具ユニット70又は回転工具ユニット80により加工する。例えば、工具主軸ユニット50に固定工具ユニット70が装着されている場合、制御部300は、第1主軸11をワークWとともに軸回転させつつ、工具移動機構42を介して固定工具ユニット70の切削工具73をワークWに切り込みつつZ軸方向に送ることにより、ワークWの外周面を切削する。この際、
図9に示すように、切削工具73の切り込み方向Kは固定工具ユニット70の中心軸Jに直交するY軸方向に設定され、切削時に切削工具73に生じる切削抵抗の主分力Faは中心軸Jに沿う方向に作用する。本例では、加工点73dの切り込み方向KにはワークWの回転軸が位置する。また、加工チップ73bの加工点73dが中心軸J上に設けられることにより、切削抵抗の主分力Faは中心軸J上に位置する。これにより、切削抵抗の主分力Faによって固定工具ユニット70に回転モーメントが発生することが抑制される。また、切削抵抗の主分力Faは、切削工具73を工具ホルダ71の工具装着部75に押し付ける力となるとともに、工具ホルダ71の回転規制部74の嵌合凸部74bを工具主軸ユニット50のカップリング部51bの嵌合凹部51d(
図10参照)に押し付ける力となる。以上のように、工具主軸ユニット50により固定工具ユニット70をクランプする力の大小に関わらず、切削抵抗に伴う加工点73dの位置ずれを抑制でき、安定した重切削加工を実現でき、ワークWの加工品位を向上させることができる。
【0043】
制御部300は、第1主軸11により把持されたワークWの加工完了後、第2主軸移動機構25を介して第2主軸21を第1主軸11に対向する位置まで移動させ、第1主軸11から第2主軸21へワークWを受け渡す。そして、制御部300は、第2主軸21により把持されたワークWを図示しない刃物台に装着された工具によりワークWを加工し、この加工済みのワークWを外部に排出する。以上で、加工処理を終了する。
【0044】
次に、切削工具73を工具ホルダ71に装着する方法について説明する。この装着作業は、例えば、作業者によって行われる。
まず、
図6及び
図7に示すように、切削工具73を工具収容凹部75aに挿入する。そして、各第2固定部材77bを工具装着部75に形成されるねじ穴(図示略)に螺合して各第2固定部材77bの先端にて切削工具73を工具収容凹部75aの内側面に向けて軽く押すことにより切削工具73を仮止め状態とする。この仮止め状態では、切削工具73の側面が工具収容凹部75aの内側面に接触している。次に、工具保持部材79を保持部材収容凹部75dに挿入する。そして、各第1固定部材77aのねじ軸部を、工具保持部材79に形成される軸通孔(図示略)に通し、工具収容凹部75aの底面に形成されるねじ穴(図示略)に螺合させる。これにより、各第1固定部材77aの頭部は、工具保持部材79の表面(切削工具73に対向する面の反対側の面)から工具保持部材79を切削工具73に向けて押す。この際、
図7の矢印F1に示すように、各第1固定部材77aにより工具保持部材79が工具凹部73cの底面73c1に向けて押される。これにより、工具保持部材79の押し付け部79aは、工具凹部73cの傾斜面73c3に摺動して、
図7の矢印F2に示すように、工具本体部73aを工具収容凹部75aの位置決め面75bに向けて押し付ける。なお、このとき、切削工具73は、各第2固定部材77bにより仮止め状態にあるため位置決め面75bに向けて移動可能な状態にある。
最後に、各第2固定部材77bを強く締めて切削工具73の側面を工具収容凹部75aの内側面に密着させる。
以上により、切削工具73の工具ホルダ71への装着が完了する。
【0045】
次に、工具主軸ユニット50に装着される工具ユニットの種類を交換する際の制御部300により実行される処理について説明する。以下では、工具主軸ユニット50に装着された回転工具ユニット80を固定工具ユニット70に交換する例について説明する。
制御部300は、工具移動機構42及びB軸回転機構45を介して工具主軸ユニット50に装着される回転工具ユニット80が工具マガジン60の工具把持溝に嵌まるように工具主軸ユニット50を移動させる。そして、制御部300は、クランプ機構54をクランプ状態からアンクランプ状態に切り替え、工具移動機構42を介して工具主軸ユニット50を工具マガジン60から遠ざけるようにZ軸方向に移動させることにより工具主軸ユニット50から回転工具ユニット80を取り外す。次に、制御部300は、工具マガジン60を回転させて工具マガジン60に支持された固定工具ユニット70の割り出し動作を行うことにより工具主軸ユニット50を固定工具ユニット70にZ軸方向に対向させて、固定工具ユニット70のクランプ部76をドローバー54aの先端側に挿入する。そして、制御部300は、クランプ機構54をアンクランプ状態からクランプ状態に切り替える。これにより、固定工具ユニット70の工具主軸ユニット50への装着が完了する。この後、上述したように、工具主軸ユニット50に装着された固定工具ユニット70によりワークWが加工される。
【0046】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)切削工具73は、工具ホルダ71により固定的に支持される。切削工具73は、切削工具73の長手方向(中心軸Jに沿う方向)に交わる方向の切り込み方向KにてワークWに切り込み可能に構成される加工点73dを備える。
この構成によれば、切削時に切削工具73に加わる切削抵抗の主分力Faが中心軸Jに沿う方向に作用するため、切削時に切削工具73を安定させることができる。
また、上記構成では、工具主軸ユニット50が工具ホルダ71を固定する力が弱い簡易な構成を実現した場合であっても、切削時に切削工具73を安定させることができる。
さらに、重切削の場合であっても、切削時に切削工具73を安定させることができる。
【0047】
(2)切削工具73を保持する工具ホルダ71は、加工点73dが工具ホルダ71の中心軸J上に位置するように切削工具73を収容する工具収容部の一例である工具収容凹部75aを備える。
この構成によれば、切削抵抗の主分力Faによって工具ホルダ71に回転モーメントが発生することが抑制され、切削時に切削工具73を安定させることができる。
【0048】
(3)切削工具73を保持する工具ホルダ71は、切削工具73を収容する工具収容凹部75aと、切削工具73を工具収容凹部75a内に保持する工具保持部材79と、を備える。工具収容凹部75aは、切削工具73の加工点73dとは反対側の基端部が接触することにより、切削工具73を中心軸Jに沿う方向に位置決めする位置決め面75bを備える。工具保持部材79は、切削工具73の基端部を位置決め面75bに押し付ける押し付け部79aを備える。
この構成によれば、切削工具73が中心軸Jに沿う方向に位置決めされるため、より精度の高いワークWの切削加工を実現できる。
【0049】
(4)工具主軸ユニット50は、切削工具73及び工具ホルダ71を有する固定工具ユニット70、及び回転工具ユニット80の何れかを選択的に装着可能であり、回転工具ユニット80を中心軸Jを中心に回転可能に支持し、固定工具ユニット70を固定的に支持する。
この構成によれば、工具主軸ユニット50は、固定工具ユニット70が装着された状態で、上述のように、切削時に切削工具73を安定させることができる。
【0050】
(5)工作機械1は、切削工具73と、工具ホルダ71と、切削工具73でワークWを切削するためにワークWを回転させるワーク回転部の一例である第1主軸11と、第1主軸11に支持されたワークWの径方向に沿う切り込み方向Kに加工点73dをワークWに対して相対的に移動させる移動機構の一例である工具移動機構42と、を備える。
この構成によれば、工作機械1において、上述のように、切削時に切削工具73を安定させることができる。
【0051】
なお、本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0052】
(変形例)
上記実施形態においては、工具主軸ユニット50は、ターニングセンタに適用されていたが、工作機械であればターニングセンタに限らず、例えば、マシニングセンタに適用されてもよい。このマシニングセンタは、工具主軸ユニット50に固定工具ユニット70が装着された状態で、ワークが固定されるテーブルを回転させることによりワークの加工を行う。
【0053】
上記実施形態においては、工作機械1は、第1主軸ユニット10及び第2主軸ユニット20を備えていたが、第1主軸ユニット10及び第2主軸ユニット20の何れか一方が省略されてもよい。
上記実施形態における工具主軸ユニット50が固定工具ユニット70の回転を規制する構成は、嵌合凸部と嵌合凹部の嵌合に限らず、適宜変更可能である。
【0054】
上記実施形態における第1主軸ユニット10、第2主軸ユニット20及び工具主軸ユニット50の移動方向は適宜変更可能である。例えば、第1主軸ユニット10はZ軸方向に移動可能に構成されてもよい。
【0055】
上記実施形態においては、駆動源の一例であるモータ53は、ボディ51の内部に設けられていたが、これに限らず、ボディ51の外部に設けられていてもよい。
工具保持部材79の押し付け部79aと工具凹部73cの傾斜面73c3は省略されてもよい。
また、上記実施形態においては、切削抵抗の主分力Faは、工具主軸ユニット50の中心軸J上に位置していたが、中心軸Jからずれて位置していてもよい。
また、上記実施形態においては、切り込み方向Kは、中心軸Jに直交していたが、直交に限らず、中心軸Jに交わっていればよい。
また、上記実施形態においては、加工チップ73bは、菱形板状をなしていたが、これに限らず、例えば、三角形板状等の他の形状であってもよい。
【0056】
上記実施形態においては、切削工具73は、工具主軸ユニット50によって工具ホルダ71を介して固定的に支持されていたが、これに限らず、工具主軸ユニット50が省略されて、工具ホルダ71が工具移動機構42のスライド台に固定されていてもよい。この場合、工具ホルダ71は、例えば、複数の切削工具73を保持するくし刃刃物台であってもよい。また、これに限らず、切削工具73又は工具ホルダ71は、タレット刃物台に保持可能に構成されてもよい。これらの変形例においても、切削工具73がその長手方向に交わる方向の切り込み方向KにワークWに切り込み可能に構成されることにより、上述のように、切削時に切削工具73を安定させることができる。
【符号の説明】
【0057】
1…工作機械、10…第1主軸ユニット、11…第1主軸、12…第1主軸台、20…第2主軸ユニット、21…第2主軸、22…第2主軸台、25…第2主軸移動機構、25S,42S…スライド台、25X,42X…X移動機構、25Y,42Y…Y移動機構、25Z,42Z…Z移動機構、29…レール、42…工具移動機構、45…B軸回転機構、50…工具主軸ユニット、51…ボディ、51a…ボディ本体部、51b…カップリング部、51c…円環凸部、51d…嵌合凹部、51f,73c3,74b1,75c…傾斜面、51h…貫通孔、52…スピンドル、52a…凸部、52b…ホルダ収容部、52c…凹部、53…モータ、54…クランプ機構、54a…ドローバー、54b…ピストン、54d…第1ばね、54f…第2ばね、54e…受け部、54g…ボール、54h…エア供給部、54m…エア供給空間、55…軸受け、60…工具マガジン、61…工具支持部、62…駆動部、70…固定工具ユニット、71,81…工具ホルダ、72,82…テーパ部、73,170…切削工具、73a…工具本体部、73b…加工チップ、73c…工具凹部、73c1…底面、73d…加工点、73c2…直交面、74…回転規制部、74a…円板部、74b…嵌合凸部、74c…溝部、75,85…工具装着部、75F…平側面、75a…工具収容凹部、75b…位置決め面、75d…保持部材収容凹部、76,86…クランプ部、76a…球状部、77a…第1固定部材、77b…第2固定部材、78,88…被保持溝部、79…工具保持部材、79a…押し付け部、80…回転工具ユニット、83…工具部、150…ツールスピンドル、300…制御部、C…周方向、J…中心軸、K…切り込み方向、S…ベッド、W…ワーク、Fa…主分力