IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新明和工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-塵芥収集車 図1A
  • 特許-塵芥収集車 図1B
  • 特許-塵芥収集車 図2A
  • 特許-塵芥収集車 図2B
  • 特許-塵芥収集車 図3
  • 特許-塵芥収集車 図4
  • 特許-塵芥収集車 図5
  • 特許-塵芥収集車 図6
  • 特許-塵芥収集車 図7
  • 特許-塵芥収集車 図8
  • 特許-塵芥収集車 図9
  • 特許-塵芥収集車 図10
  • 特許-塵芥収集車 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
   B65F 3/00 20060101AFI20240829BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B65F3/00 C
B60P3/00 Q
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021052338
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2022149970
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河津 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】下田 健太郎
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-202887(JP,A)
【文献】特開2004-269137(JP,A)
【文献】特開2013-060281(JP,A)
【文献】特開2011-148614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 3/00
B60P 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車台上に設けられ、塵芥が投入される塵芥投入口が形成された塵芥投入箱と、該塵芥投入箱に設けられて下端側の全閉位置と上端側の全開位置との間を上下にスライド移動することで上記塵芥投入口を開閉する投入口カバーと、該投入口カバーを全閉位置と全開位置との間で上下移動させるための駆動アクチュエータを有する開閉機構と、該開閉機構を制御する制御部とを備えた塵芥収集車であって、
上記開閉機構は、上記駆動アクチュエータと上記投入口カバーとの間に介設される電磁クラッチを有し、
上記塵芥投入箱には、
上記投入口カバーの開閉スイッチと、
上記電磁クラッチのオンオフを切り換える切換スイッチとが設けられ、
上記切換スイッチにより上記電磁クラッチをオンにした場合には、上記制御部は、上記開閉スイッチを有効にして上記開閉スイッチの操作により自動で上記駆動アクチュエータを動作させる一方、
上記開閉スイッチが操作されなければ上記電磁クラッチの作用により上記投入口カバーをその場で停止させるように制御し、
上記切換スイッチにより上記電磁クラッチをオフにした場合には、上記制御部は、上記開閉スイッチを無効に制御する一方、手動で上記投入口カバーを開閉可能に構成した
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
請求項1に記載の塵芥収集車において、
上記投入口カバーの下端には、物体が接触したことを検知する接触センサが設けられ、
上記制御部は、上記電磁クラッチがオンの状態で上記開閉スイッチが一度操作されると上記接触センサ側からの検知信号を受信しない限り上記駆動アクチュエータにより上記投入口カバーを上下にスライド移動させて全開又は全閉にする一方、
上記投入口カバーを上記全閉位置へ移動させている途中で上記接触センサ側からの検知信号を受信したときは、上記投入口カバーを開放方向に所定時間移動させた後に上記投入口カバーの移動を停止させるように制御する
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項3】
請求項2に記載の塵芥収集車において、
上記接触センサ側から上記制御部に入力される上記検知信号は、上記接触センサが物体を検知したときと、上記制御部と上記接触センサとの間に設けられた信号線が断線したときとで、同じ内容になるように設定され、
上記制御部は、上記検知信号を受信している間は上記開閉スイッチを無効に制御する
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の塵芥収集車において、
上記制御部は、上記投入口カバーを上記全開位置へ移動させている途中で上記接触センサ側からの上記検知信号を受信したときは、上記検知信号を無視するように設定されている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の塵芥収集車において、
上記制御部には、オフ状態で上記開閉スイッチからの信号を全て無効にする主電源スイッチが接続され、
上記主電源スイッチは、車台上に設けられた運転室の中に配設されている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車に関し、特にその投入口カバーの自動開閉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車台上に設けられた塵芥収容箱と、この塵芥収容箱の後方開口部に連設され、塵芥が投入される塵芥投入口が形成された塵芥投入箱と、この塵芥投入箱に設けられて塵芥収容箱に塵芥を積み込む塵芥積込装置と、スライド移動することで塵芥投入口を開閉する投入口カバーとを備えた塵芥収集車は知られている。この種の塵芥収集車において、特許文献1のように電動モータや油圧シリンダで投入口カバーを開閉できるようにするものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-202887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の塵芥収集車では、電動モータを制御する電気回路において断線が発生すると、投入口カバーを容易に開閉できなくなるなどの不都合が生じる。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、断線が発生した場合でも開閉テールゲートを安全且つ容易に開閉できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明では、駆動アクチュエータと投入口カバーとの間に電磁クラッチを設けた。
【0007】
具体的には、第1の発明では、車台上に設けられ、塵芥が投入される塵芥投入口が形成された塵芥投入箱と、該塵芥投入箱に設けられて下端側の全閉位置と上端側の全開位置との間を上下にスライド移動することで上記塵芥投入口を開閉する投入口カバーと、該投入口カバーを全閉位置と全開位置との間で上下移動させるための駆動アクチュエータを有する開閉機構と、該開閉機構を制御する制御部とを備えた塵芥収集車を前提とし、
上記開閉機構は、上記駆動アクチュエータと上記投入口カバーとの間に介設される電磁クラッチを有し、
上記塵芥投入箱には、
上記投入口カバーの開閉スイッチと、
上記電磁クラッチのオンオフを切り換える切換スイッチとが設けられ、
上記切換スイッチにより上記電磁クラッチをオンにした場合には、上記制御部は、上記開閉スイッチを有効にして上記開閉スイッチの操作により自動で上記駆動アクチュエータを動作させる一方、
上記開閉スイッチが操作されなければ上記電磁クラッチの作用により上記投入口カバーをその場で停止させるように制御し、
上記切換スイッチにより上記電磁クラッチをオフにした場合には、上記制御部は、上記開閉スイッチを無効に制御する一方、手動で上記投入口カバーを開閉可能に構成した。
【0008】
上記の構成によると、電磁クラッチがオンの場合には、開閉スイッチが操作されたときには投入口カバーは開閉し、開閉スイッチが操作されていないときには、電磁クラッチにより投入口カバーは停止状態が維持されるので、手動では動かない。電磁クラッチがオフの場合は、開閉スイッチを操作しても投入口カバーは開閉しないが、手動で開閉は可能となるので、断線などで投入口カバーを開閉できないときでも、安全且つ容易に投入口カバーを開閉できる。また、電磁クラッチのオンオフを切り換える切換スイッチが塵芥投入箱に設けられているので、断線などで投入口カバーを開閉できなくなったらすぐに切換スイッチを操作することができる。これにより、どのようなときでも容易に投入口カバーを開閉できる。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、
上記投入口カバーの下端には、物体が接触したことを検知する接触センサが設けられ、
上記制御部は、上記電磁クラッチがオンの状態で上記開閉スイッチが一度操作されると上記接触センサ側からの検知信号を受信しない限り上記駆動アクチュエータにより上記投入口カバーを上下にスライド移動させて全開又は全閉にする一方、
上記投入口カバーを上記全閉位置へ移動させている途中で上記接触センサ側からの検知信号を受信したときは、上記投入口カバーを開放方向に所定時間移動させた後に上記投入口カバーの移動を停止させるように制御する。
【0010】
上記の構成によると、投入口カバーを全閉位置に移動させているときに投入口カバーの下端の接触センサに物体が触れると、一度開放方向に開いてから投入口カバーが停止するので、投入口カバーが閉まったまま緊急停止して物体が挟まるなることはない。
【0011】
第3の発明では、第2の発明において、
上記接触センサ側から上記制御部に入力される上記検知信号は、上記接触センサが物体を検知したときと、上記制御部と上記接触センサとの間に設けられた信号線が断線したときとで、同じ内容になるように設定され、
上記制御部は、上記検知信号を受信している間は上記開閉スイッチを無効に制御する。
【0012】
上記の構成によると、制御部と接触センサとの間に設けられた信号線が断線した場合には、接触センサに物体が接触した場合と同様に開閉スイッチを無効にすることで、接触センサが働かない状態での開閉が行えなくなり、安全である。また、投入口カバーを全閉位置へ移動させている途中で制御部と接触センサとの間に設けられた信号線が断線した場合でもすぐに投入口カバーを停止するのではなく、一度開放方向に開いてから投入口カバーが停止するので、投入口カバーが閉まったまま緊急停止して物体が抜けなくなることはない。
【0013】
第4の発明では、第2又は第3の発明において、
上記制御部は、上記投入口カバーを上記全開位置へ移動させている途中で上記接触センサ側からの上記検知信号を受信したときは、上記検知信号を無視するように設定されている。
【0014】
上記の構成によると、投入口カバーを全開位置へ移動させている途中で投入口カバー下端の接触センサに触れた場合には、開く方向に移動を続けても物体が挟まるなどの問題はないので、そのまま全開位置への移動を継続させる。このため、必要以上の停止動作が避けられるので、安全を確保しながらも作業効率が低下しない。
【0015】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、
上記制御部には、オフ状態で上記開閉スイッチからの信号を全て無効にする主電源スイッチが接続され、
上記主電源スイッチは、車台上に設けられた運転室の中に配設されている。
【0016】
上記の構成によると、主電源スイッチを運転室内に設けて車外から自由に操作できないようにすることで、作業者が積込作業していないときに作業者以外の人が塵芥投入口の内部へアクセスするのを防ぐことができるので、安全を確保できる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、駆動アクチュエータと投入口カバーとの間にオンオフ切換操作可能な電磁クラッチを設けたことにより、断線が発生した場合でも開閉テールゲートを安全且つ容易に開閉できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】投入口カバーの自動開閉装置及びその周辺を前側上方右側から見た斜視図である。
図1B】投入口カバーの自動開閉装置及びその周辺を前側上方左側の別の位置から見た斜視図である。
図2A】本発明の実施形態に係る塵芥収集車を示す側面図である。
図2B】塵芥収集車の背面図である。
図3】駆動モータ及びその周辺を拡大して示す斜視図である。
図4】投入口カバーの自動開閉装置及びその周辺を後側上方左側から見た斜視図である。
図5】駆動モータ及びその周辺を後側上方左側から拡大して見た斜視図である。
図6】塵芥投入箱の内部構造を示す断面図である。
図7】投入口カバーのリンク機構及びその周辺を示す側面図である。
図8】本発明の実施形態に係る塵芥収集車の後側を一部破断して示す側面図である。
図9】投入口カバーの開閉自動制御を示すフローチャートである。
図10】PLC及びその周辺を簡略化して示す電気回路図である。
図11】塵芥積込装置の簡略化した油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。
【0020】
-塵芥収集車の構成-
図2A及び図2Bは、本発明の実施形態の塵芥収集車1を示し、この塵芥収集車1は、走行可能な車台2と、その車台2上に設けられた運転室3及び塵芥収容箱4と、この塵芥収容箱4の後方開口部4aに連設され、塵芥が投入される塵芥投入口7が形成された塵芥投入箱5と、この塵芥投入箱5に設けられて塵芥収容箱4に塵芥を積み込む塵芥積込装置6(図6参照)と、全開位置Aと全閉位置B(図6参照)との間をスライド移動することで塵芥投入口7を開閉する投入口カバー8とを備えている。塵芥投入口7の車幅方向に延びる下縁部には、塵芥投入口7の下縁部のほぼ全体に沿うように延びると共に車両前後方向に起伏自在の投入口テーブル80が設けられている。なお、塵芥収容箱4内に前後にスライド移動可能な排出板が設けられていてもよいし、塵芥投入箱5を上側の回動軸を中心に回動させて後方開口部4aを開閉可能に構成してもよいし、塵芥収容箱4を傾動可能に構成してもよいが、以下の説明では、その場合の油圧シリンダ等は省略する。
【0021】
図6及び図8に示すように、本実施形態の塵芥積込装置6は、例えば、プレス式であり、塵芥投入箱5の両側壁9には溝型鋼で形成された案内溝部材20が補強枠を兼ねて前方上方より後方下部に向かって傾斜するように設けられている。塵芥投入箱5内にはその横幅一杯に広がる昇降板21が収容されている。一方、昇降板21の背面上部の左右端部に設けた支持部には、図7にも2点鎖線で示すように、昇降板支持軸21aが挿通されている。この昇降板支持軸21aが昇降板21の摺動距離に合致して塵芥投入箱5の側壁9に形成された摺動用開口22を越えて側壁9の内側より外側に突出するように配置されている。塵芥投入箱5の側壁から外側に突出した昇降板支持軸21aと塵芥投入箱5の下部間には、塵芥投入箱5の外側で案内溝部材20の傾斜方向に沿って設けられた昇降シリンダ23が連結されている。この昇降シリンダ23の伸縮作動によって昇降板21を案内溝部材20に沿って上下に往復移動させるようにしている。
【0022】
昇降板21の下端には、塵芥投入箱5内の横幅一杯に広がる圧縮板24の一端が前後に揺動自在に支持されている。この圧縮板24の先端は前方に向かって若干屈折形成されている。圧縮板24の背面に突設した接続部と昇降板21の背面上部に設けられた支持部との間には、揺動シリンダ25が連結され、この揺動シリンダ25の伸縮作動によって圧縮板24を前後に揺動させるようにしている。なお、塵芥積込装置6は、油圧シリンダで往復回動する押込板と、回転駆動される回転板とを備えた回転板式であってもよい。
【0023】
図1Bに示すように、投入口カバー8は、略矩形板状を有し、左右両端に設けたローラ8aが左右側壁9の内側に設けたレール部材8bに沿って動くことで、全閉位置と全開位置との間で上下にスライド移動可能となっている。投入口カバー8は、開閉機構39により自動又は手動で開閉可能となっている。
【0024】
図2Bに示すように、投入口カバー8の下端には、物体が接触したことを検知する接触センサとしてのエッジスイッチ70が設けられている。詳しくは図示しないが、エッジスイッチ70は、例えば、4線式の断線検知可能な構成で、投入口カバー8の下端部のほぼ全体を覆っている。PVC、EPDMなどの外被で覆われたテープスイッチが剛性の高いアルミチャンネルに取り付けられることで、剛性と防水性を保たれている。剛性の高いアルミチャンネル側が投入口カバー8の下端に取り付けられ、柔軟性のある外被が起立状態の投入口テーブル80の先端部に当接するようになっている。
【0025】
開閉機構39について以下に説明する。図7に示すように、投入口カバー8の上端部において車幅方向に飛び出す棒状の車幅方向端部8cに板状のリンク部材40の先端が回動可能に連結されている。リンク部材40の他端には、外側アーム部41の先端がアーム連結ピン41aにより回動可能に連結されている。外側アーム部41の基端側は、側面視で昇降シリンダ23と重なる位置に回動可能に支持されている。
【0026】
外側アーム部41は、基端側のパイプ部材42と、基端側がパイプ部材42の先端に固定され、先端側がリンク部材40の基端側に回動可能に連結される板部材43とを備えている。パイプ部材42は、例えば、鋼製パイプで構成され、側面視で中間部において後方へ折り曲げられ、先端側はさらに側壁9に向かって(車幅方向内側へ)折り曲げられている。板部材43は、例えば車幅方向に一対の鋼板よりなり、パイプ部材42に対し溶接等により固定されている。これら一対の鋼板の間をリンク部材40が回動可能となっている。
【0027】
外側アーム部41の基端側は、側壁9における昇降シリンダ23と塵芥投入口7との間に設けられたアーム取付ブラケット44に回動可能に連結されている。アーム取付ブラケット44は、例えば基端が側壁9に固定された角錐台44aを備え、図4にも示すように、この角錐台44aの先端は、昇降シリンダ23よりも車幅方向外側まで延び、板状の先端部44bが一体に設けられている。板状の先端部44bは、図7に示すように、側面視で昇降シリンダ23のピストンロッド23aと重なる位置まで前方に向かって下方へ延び、この先端部44bがパイプ部材42の基端側と回動可能に連結されている。
【0028】
図8に示すように、塵芥投入箱5における塵芥積込装置6の上方には、塵芥投入箱5の左右側壁9をつなぐクロスバー10が設けられている。「塵芥積込装置6の上方」とは、塵芥積込装置6の上方のスペースを意味し、塵芥積込装置6の一部(例えば、昇降シリンダ23の一部)が側面視でクロスバー10よりも高い位置にあってもよい。クロスバー10は、例えば、剛性を保つためにある程度の厚さを有する鋼管よりなるが、棒鋼で構成されていてもよい。
【0029】
図1A及び図5に示すように、この左右に延びるクロスバー10の左右中央よりも背面から見て右側には、電動モータ等よりなる駆動アクチュエータとしての電磁クラッチ付電動モータ11が固定されている。電磁クラッチ付電動モータ11の電力は、例えば車台2側のバッテリ61(図10参照)から供給される。図5にも示すように、電磁クラッチ付電動モータ11の出力軸11aには、駆動プーリ11bが回転一体に設けられている。電磁クラッチ付電動モータ11は、モータ取付ブラケット11cを介してクロスバー10に固定されている。この駆動プーリ11bに伝動部材としての伝動ベルト12が掛けられている。一方、図1Bにも示すように、駆動プーリ11bの上方で、塵芥積込装置6の上側には、ベアリングを内蔵した上側支持部13を介して従動プーリ13aが回転可能に支持されている。従動プーリ13aは、左右側壁9の中央から左右いずれか一方にずれた位置(図1Bでは、前方から見て左側)に設けられている。この従動プーリ13aに伝動ベルト12の上端側が掛けられている。このように伝動ベルト12は、上下に延びて駆動プーリ11bと従動プーリ13aとの間で電磁クラッチ付電動モータ11によって駆動されるようになっている。
【0030】
開閉機構39は、電磁クラッチ付電動モータ11と投入口カバー8との間に介設される電磁クラッチ46を有する。電磁クラッチ46は、コイルに通電することにより発生する電磁力を利用して動力の連結と切り離しを切換できるように構成されている。詳しい電磁クラッチ46の作用は後述する。
【0031】
そして、内側アーム部14の一端14aが伝動ベルト12に回動可能に連結されている。具体的には、図5に示すように、伝動ベルト12の所定位置に固定された固定部14cには、上側アーム支持部14dが設けられ、この上側アーム支持部14dに内側アーム部14の一端14aが回動可能に支持されている。一方、内側アーム部14の他端14bは、投入口カバー8の上端側に設けた下側アーム支持部14eに回動可能に連結されている。図1Bに示すように、下側アーム支持部14eは、投入口カバー8のコ字状断面のアーム取付ブラケット8dに固定されている。これにより、伝動ベルト12の駆動に合わせて内側アーム部14が上下に移動するようになっている。
【0032】
すなわち、電磁クラッチ付電動モータ11を制御して伝動ベルト12を駆動させることで、内側アーム部14が上下に移動し、それによって投入口カバー8が図7に示す全開位置Aと全閉位置Bとの間でスライド移動し、塵芥投入口7が開閉されるようになっている。
【0033】
図10は、塵芥収集車1における制御回路図である。塵芥収集車1には、塵芥積込装置6や塵芥排出機構(図示せず)のアクチュエータの動作制御を行う制御部としてのPLC66が設けられている。電磁クラッチ付電動モータ11を含む開閉機構39の制御は、PLC66及びコントロールボード16が行う。図10に簡略化して示すように、PLC66は、プログラマブル・ロジック・コントローラ(programmable logic controller)であり、適宜プログラムを書き換えることが可能となっている。PLC66への電力供給は、図10の左上に示すバッテリ61によって行われる。コントロールボード16は、例えば、マイコン(マイクロコンピュータ)及びDACを含む。DACは「Digital Analog Converter」の略で、「D/Aコンバーター」ともいわれ、デジタル信号をアナログ信号に変換する回路又はコンポーネントを意味する。コントロールボード16は、ドライバボード17に接続され、ドライバボード17が電磁クラッチ付電動モータ11に電気的に接続されている。
【0034】
図1A及び図1Bに示すように、塵芥投入箱5内には、投入口カバー8が全開位置A又は全閉位置Bの手前に移動してきたのを検知する上側センサ18及び下側センサ19がそれぞれ設けられている。具体的には後述するが、下側センサ19は、塵芥投入口7の上縁よりも少し上方のクロスバー10の近傍に設けられている。上側センサ18は、塵芥投入箱5内部の上端近傍に設けられている。
【0035】
一方、投入口カバー8の上辺の上側センサ18及び下側センサ19に対応する位置には、上下に延びるプレート状の被検知板26が設けられている。この被検知板26が上側センサ18及び下側センサ19の近傍に移動したときに、その存在が検出されるようになっている。被検知板26の上下長さは、上側センサ18及び下側センサ19によって検出したい投入口カバー8の高さに合わせて設定すればよい。
【0036】
具体的には、図1Bに示すように、上側センサ18は、投入口カバー8が全開位置Aに来て完全に開くよりも所定位置手前で被検知板26を検出するように、上側センサ取付ブラケット18aを介して塵芥投入箱5の上側に固定されている。図1Aに示すように、上側センサ18は、上側センサ取付ブラケット18aの長孔18b等を利用して上下位置を微調整可能となっている。また、下側センサ19は、投入口カバー8が全閉位置Bに来て完全に閉じるよりも所定位置手前で被検知板26を検出するように、クロスバー10に下側センサ取付ブラケット19aを介して取り付けられている。図5に示すように、下側センサ19も、下側センサ取付ブラケット19aの長孔19b等を利用して位置を微調整可能となっている。
【0037】
次に、塵芥積込装置6等を制御するPLC66に対する入出力状態について、図2A図2B図6図8図10及び図11により説明する。
【0038】
塵芥収集車1の運転室3内の前部操作部28及び塵芥投入箱5の後部操作部27には、各種作動スイッチが設けられている。各作動スイッチとして、緊急停止スイッチ36、塵芥積込装置6の積込スイッチ31、下降スイッチ32、上昇スイッチ33及び反転スイッチ34等が設けられている。また、塵芥投入箱5には、緊急停止プレートスイッチ50も設けられている。さらに、後部操作部27には、投入口カバー8の開閉スイッチ37,38が設けられている。
【0039】
また、図6に示すように、サイドカバー9aで覆われた塵芥投入箱5の左右側壁9には、上記コントロールボード16の収容ボックスと、当該収容ボックスにブラケットを介して取り付けられると共に、電磁クラッチ46のオンオフを切り換える電磁クラッチ切換スイッチ45とが設けられている。開閉可能なサイドカバー9aで覆われているので、電磁クラッチ切換スイッチ45は、通行人などの第3者に対しその存在に容易に気付かれないようになっている。
【0040】
PLC66には、オフ状態で開閉スイッチ37,38からの信号を全て無効にする主電源スイッチ30が電気的に接続されている。この主電源スイッチ30は、詳しくは図示しないが、前部操作部28に設けられている。主電源スイッチ30を運転室3内に設けて車外から自由に操作できないようにすることで、作業者が積込作業していないときに作業者以外の人が塵芥投入口7の内部へアクセスするのを防ぐことができるので、安全を確保できる。また、前部操作部28には、電磁クラッチ付電動モータ11の作動中を示すランプや断線などのエラーを示すランプが設けられていてもよい。
【0041】
また、図6に示すように、塵芥投入箱5内には、昇降板21を昇降させる昇降シリンダ23が最伸長した状態を検出する無接点スイッチLS1、昇降シリンダ23が最収縮した状態を検出する無接点スイッチLS2、圧縮板24を揺動させる揺動シリンダ25が最伸長した状態を検出する無接点スイッチLS4、揺動シリンダ25が最収縮した状態を検出する無接点スイッチLS3等が設けられている。無接点スイッチLS1及びLS2は、塵芥投入箱5と昇降シリンダ23との間において、それぞれ一方に検出体が、他方に被検知体が配設されて切換作動するようになっている。また、無接点スイッチLS3及びLS4は、昇降板21と揺動シリンダ25との間において、それぞれ一方に検出体が、他方に被検知体が配設されて切換作動するようになっている。なお、上記無接点スイッチLS1~LS4は、昇降シリンダ23及び揺動シリンダ25の作動を検出するセンサ部に相当し、当該作動の検出信号をPLC66に送る機能を有している。これらの無接点スイッチLS1~LS4、上側センサ18及び下側センサ19としては、例えば光電スイッチ、近接スイッチ等を使用できる。
【0042】
図11に油圧回路図を簡略化して示すように、この油圧回路は、油圧ポンプP、オイルリザーバT、昇降シリンダ23を伸縮制御する電磁制御弁V1、揺動シリンダ25を伸縮制御する電磁制御弁V2等から構成されている。油圧ポンプPには、車両エンジン(図示省略)の駆動力がPTO(パワーテイクオフ)を介して伝達される。電磁制御弁V1,V2は、例えば6ポート3位置の電磁式の方向切換弁よりなる。電磁制御弁V1はソレノイドSOLa及びSOLbを有し、電磁制御弁V2はソレノイドSOLc及びSOLdを有している。電磁制御弁V1,V2は、各ソレノイドに通電されているときのみ上方位置又は下方位置に切り換わり、通電されていない状態では中立位置に復帰するようになっている。
【0043】
このバッテリ61の正極から図10の右側に延びてグランドラインK1に至る通電ラインK2には、イグニッションスイッチ62、PTOスイッチ63、リレーコイル64等が介設されている。
【0044】
また、バッテリ61及びイグニッションスイッチ62の中間において通電ラインK2から分岐するように、通電ラインK3の上流端が接続されており、その上流側(バッテリ61に近い側)には、リレーコイル64に対応するリレースイッチ65が介設されている。
【0045】
通電ラインK3の下流端は、エッジスイッチ70と電磁クラッチ切換スイッチ45と電磁クラッチ付駆動モータ11が接続されている。上記コントロールボード16は、PLC66が接続されており、PLC66との間で動作信号を送受信できるようになっている。
【0046】
また、通電ラインK3のリレースイッチ65よりも下流側の位置において通電ラインK3から分岐するように、通電ラインK4の上流端が接続されている。通電ラインK4から分岐されてPLC66に入力される通電ラインが複数設けられており、それら通電ラインの1つには、昇降板21の上昇位置を検出する上昇位置センサ10eが介設されている。
【0047】
通電ラインK4の下流端には積込排出切換スイッチ51が設けられている。積込排出切換スイッチ51の積込側の接点には、通電ラインK5の上流端が接続されている。通電ラインK5から分岐されてPLC66に入力される通電ラインが複数設けられており、それぞれの通電ラインには、積込スイッチ31、下降スイッチ32、上昇スイッチ33、反転スイッチ34、緊急停止スイッチ36、緊急停止プレートスイッチ50が介設されている。
【0048】
また、通電ラインK2上におけるイグニッションスイッチ62とPTOスイッチ63との間には、通電ラインK6の上流端が接続されている。通電ラインK6から分岐されてPLC66に入力される通電ラインが複数設けられており、それら通電ラインには、排出板が最前進位置になったことを検出する排出板前進センサ20c、圧縮板24の反転位置を検出する反転位置センサ10f、昇降板21の下降位置を検出する下降位置センサ10g、圧縮板24の圧縮位置を検出する圧縮位置センサ10h等がそれぞれ介設されている。
【0049】
作業者による積込スイッチ31、下降スイッチ32、上昇スイッチ33、反転スイッチ34の操作入力や、上昇位置センサ10e、反転位置センサ10f、下降位置センサ10g、圧縮位置センサ10hの検出信号入力を受けて、PLC66は、電磁制御弁V1,V2に設けられた各電磁弁のソレノイドに切換信号を出すようになっている。すなわち、PLC66には上昇ソレノイド10a、反転ソレノイド10b、下降ソレノイド10c、圧縮ソレノイド10d、排出板後退ソレノイド20a、排出板前進ソレノイド20b等が接続されており、これらにPLC66は制御信号を送るようになっている。
【0050】
図10に示すように、これらの各種スイッチ27a、無接点スイッチLS1~LS4、上側センサ18、下側センサ19、ソレノイドSOLa~SOLd等は、PLC66に接続されている。PLC66は、図示省略の信号用電力供給部、中央処理部、各種リレーコイル、リレーコイルのa接点等を有しており、バッテリ61、イグニッションスイッチ62、PTOスイッチ63等と共に電気回路に組み込まれている。このPLC66は、各種スイッチ27a(31~36)、無接点スイッチLS1~LS4、上側センサ18、下側センサ19の入力状況に基づいて予め設定された手順に従って、対応するソレノイドSOLa~SOLdに出力するようにプログラムされている。なお、以下において、ソレノイドSOLa~SOLdへの通電・解除を説明する際、リレーコイルの説明は省略する。
【0051】
上述したように、塵芥積込装置6の積込作動時には、イグニッションスイッチ62及びPTOスイッチ63がいずれも閉じられており、通電ラインK3~K5によってPLC66に通電されている。
【0052】
電磁クラッチ切換スイッチ45により電磁クラッチ46をオンにした場合には、PLC66は、開閉スイッチ37,38を有効にして開閉スイッチ37,38の操作により自動で電磁クラッチ付電動モータ11を動作させる一方、開閉スイッチ37,38が操作されなければ電磁クラッチ46の作用により投入口カバー8をその場で停止させるように制御し、電磁クラッチ切換スイッチ45により電磁クラッチ46をオフにした場合には、PLC66は、開閉スイッチ37,38を無効に制御する一方、手動で投入口カバー8を開閉可能に構成されている。
【0053】
PLC66は、電磁クラッチ46がオンの状態で開閉スイッチ37,38が一度操作されるとエッジスイッチ70側からの検知信号を受信しない限り電磁クラッチ付電動モータ11により投入口カバー8を上下にスライド移動させて全開又は全閉にする一方、投入口カバー8を全閉位置へ移動させている途中でエッジスイッチ70側からの検知信号を受信したときは、投入口カバー8を開放方向に所定時間移動させた後に投入口カバー8の移動を停止させるように制御する。また、エッジスイッチ70側からコントロールボード16を介してPLC66に入力される検知信号は、エッジスイッチ70が物体を検知したときと、PLC66とエッジスイッチ70との間に設けられた信号線が断線したときとで、同じ内容になるように設定されている。さらに、PLC66は、検知信号を受信している間は開閉スイッチ37,38を無効に制御するようになっている。PLC66は、投入口カバー8を全開位置へ移動させている途中でエッジスイッチ70側からの検知信号を受信したときは、検知信号を無視するように設定されている。
【0054】
次に、このように構成された塵芥収集車1の作動について説明する。
【0055】
まず、塵芥積込装置6の作動について説明する。塵芥積込装置6は、通常、図6で実線に示す塵芥の積込行程終了状態で停止している。この状態では、昇降板21は上昇限界位置に、圧縮板24は前方揺動限界位置にそれぞれ配置されている。
【0056】
作業者は、塵芥収集車1に乗り込むと、イグニッションスイッチ62をONにする。このイグニッションスイッチ62のONに伴ってバッテリ61からの電力がPLC66の信号用電力供給部に入力され、PLC66が通電状態となる。
【0057】
作業者は、塵芥収集車1を運転し、収集現場に着いて塵芥収集車1を停止させた後、PTOスイッチ63をONにする。すると、PTOが接続状態となり、油圧ポンプPの駆動が開始される。この際、電磁制御弁V1及びV2は中立位置にあり、油圧ポンプPから吐出された作動油は各シリンダ23,25を駆動させることなくオイルリザーバTに還流される。
【0058】
また、この状態では、昇降シリンダ23及び揺動シリンダ25はいずれも最伸長状態にあるので、無接点スイッチLS1及びLS4が作動し、この無接点スイッチLS1及びLS4のON信号がPLC66に入力されている。この状態で作業者が、塵芥投入箱5の塵芥投入口7より塵芥を投入した後、積込スイッチ31を押圧操作すると、PLC66により、ソレノイドSOLdが通電状態となり、電磁制御弁V2が上方位置に切り換わる。その結果、揺動シリンダ25が収縮作動し、圧縮板24をその圧縮面が略水平位置になるまで反転させる。
【0059】
圧縮板24が後方揺動限界位置に達すると、すなわち、揺動シリンダ25が最収縮すると、無接点スイッチLS3が作動し、PLC66は、電磁制御弁V2を中立位置に復帰させると同時に、ソレノイドSOLbが通電状態となり、電磁制御弁V1が上方位置に切り換わるため、昇降シリンダ23が収縮作動し、昇降板21を案内溝部材20に沿って下降させる。その結果、昇降板21に連結された圧縮板24が、その圧縮面を略水平となるように保持したまま平行に下降するため、塵芥投入箱5の底面の円弧面との間で塵芥を押し潰すことができる。
【0060】
昇降板21が下降限界位置に達すると、すなわち、昇降シリンダ23が最収縮すると、無接点スイッチLS2が作動し、PLC66はソレノイドSOLbへの通電を解除して電磁制御弁V1を中立位置に復帰させると同時に、ソレノイドSOLcに通電し、電磁制御弁V2を下方位置に切り換える。その結果、塵芥の押し潰し終了状態より揺動シリンダ25が伸長作動し、軸支部を支点として圧縮板24をその圧縮面が略垂直になるまで時計回りに揺動させる。これにより、圧縮板24は、前行程で一次的に押し潰された塵芥を塵芥投入箱5の底面の平坦面との間で二次的に圧縮することができる。
【0061】
圧縮板24が前方揺動限界位置に達すると、すなわち、揺動シリンダ25が最伸長すると、無接点スイッチLS4が作動し、PLC66は、ソレノイドSOLcへの通電を解除して電磁制御弁V2を中立位置に復帰させると同時に、ソレノイドSOLaに通電し、電磁制御弁V1を下方位置に切り換える。その結果、圧縮行程の終了状態より昇降シリンダ23が伸長作動し、圧縮板24をその圧縮面が略垂直となるように保持したまま平行に上昇させ、前行程にて圧縮した塵芥を塵芥収容箱4内に積み込む。そして、昇降板21が上昇限界位置に達すると、すなわち、昇降シリンダ23が最伸長すると、無接点スイッチLS1が作動し、PLC66は、ソレノイドSOLaへの通電を解除して電磁制御弁V1を中立位置に復帰させる。これにより、積込行程が終了する。
【0062】
以上の通り、塵芥積込装置6は、積込スイッチ31の押圧操作により、反転行程、押潰行程、圧縮行程、積込行程(以下、積込サイクルともいう。)の順に作動し、塵芥投入箱5に投入された塵芥を塵芥収容箱4に積み込むことができる。
【0063】
-投入口カバーの開閉動作-
次に、本実施形態に係る投入口カバー8の開閉動作について説明する。図7に示すように、例えば、投入口カバー8が全閉位置Bにあって完全に閉じている全閉状態と、全開位置Aまで完全に開く全開状態との間の制御について説明する。
【0064】
図9に示すように、例えば、イグニッションスイッチ62のONになると制御がスタートし、ステップS01において、主電源スイッチ30がONになるまで待機される。電磁クラッチ付電動モータ11を駆動するには、運転室3内の主電源スイッチ30をONにしておく必要がある。ONになると、ステップS02に進む。
【0065】
次いで、ステップS02において、電磁クラッチ切換スイッチ45によって電磁クラッチ46がOFFにされているかどうかで条件分岐が行われる。OFFの場合、S03に進み、ONの場合ステップS04に進む。
【0066】
ステップS03において、電磁クラッチ付電動モータ11を駆動させず、開ボタン37及び閉ボタン38の操作を無効にする制御が行われる。電磁クラッチ46がオフの場合は、開閉スイッチ37,38を操作しても投入口カバー8は開閉しないが、手動で開閉は可能となるので、断線などで投入口カバー8を開閉できないときでも、安全且つ容易に投入口カバー8を開閉できる。
【0067】
一方、ステップS04では、PLC66により開ボタン37がONであるか判定される。ONの場合、ステップS05に進み、OFFの場合、ステップS06に進む。電磁クラッチ46がオンの場合には、開閉スイッチ37,38が操作されたときには投入口カバー8は開閉し、開閉スイッチ37,38が操作されていないときには、電磁クラッチ46により投入口カバー8は停止状態が維持される。この状態では、手で投入口カバー8を開閉できない。
【0068】
次いで、ステップS05において、PLC66により投入口カバー8が全開状態か判定される。全開状態であれば、ステップS07に進み、全開状態でなければ、ステップS08に進む。全開になったかどうかは上側センサ18で検知する。
【0069】
次いで、ステップS07において、電磁クラッチ付電動モータ11を駆動させず、開ボタン37の操作を無効とする。すでに全開状態であるためである。
【0070】
次いで、ステップS08において、断線状態であるかどうか判定される。断線状態であれば、ステップS09に進み、断線状態でなければ、ステップS10に進む。
【0071】
次いで、ステップS09において、電磁クラッチ付電動モータ11を駆動させず、開ボタン37及び閉ボタン38の操作を無効にする。断線状態では、電磁クラッチ付電動モータ11を駆動できないためである。
【0072】
次いで、ステップS10において、扉開方向へ電磁クラッチ付電動モータ11を駆動させ、ステップS05に戻る。投入口カバー8を全開位置へ移動させている途中で投入口カバー8下端のエッジスイッチ70に触れた場合には、開く方向に移動を続けても問題はないので、そのまま全開位置への移動を継続させる。このため、必要以上の停止動作が避けられるので、安全を確保しながらも作業効率が低下しない。
【0073】
次いで、ステップS06において、閉ボタン38がONであるか判定される。ONの場合、ステップS11に進み、OFFの場合ステップS04に戻る。
【0074】
次いで、ステップS11において、PLC66により投入口カバー8が全閉状態か判定され、全閉状態であれば、ステップS12に進み、全閉状態でなければステップS13に進む。全閉になったかどうかは下側センサ19で検知する。
【0075】
次いで、ステップS12において、電磁クラッチ付電動モータ11を駆動させず、閉ボタン38の操作を無効にする。すでに全閉状態であるためである。
【0076】
次いで、ステップS13において、PLC66又はコントロールボード16によりエッジスイッチ70がONか又は断線状態かが判定され、エッジスイッチがONか断線状態であれば、ステップS14に進み、エッジスイッチ70がONでもなく断線状態でもない場合には、ステップS15に進む。
【0077】
次いで、ステップS14において、電磁クラッチ付電動モータ11を駆動して閉動作中であるか判定される。閉動作中であれば、ステップS16に進み、閉動作中でなければ、ステップS17に進む。
【0078】
ステップS16において、電磁クラッチ付電動モータ11を所定時間逆回転させてから駆動停止し、開ボタン37及び閉ボタン38の操作を無効にする。投入口カバー8を全閉位置に移動させているときに投入口カバー8の下端のエッジスイッチ70に物体が触れると、一度開放方向に開いてから投入口カバー8が停止するので、投入口カバー8が閉まったまま緊急停止して物体や手が抜けなくなることはない。投入口カバー8を全閉位置へ移動させている途中でPLC66とエッジスイッチ70との間に設けられた信号線が断線した場合でもすぐに投入口カバー8を停止するのではなく、一度開放方向に開いてから投入口カバー8が停止するので、投入口カバー8が閉まったまま緊急停止して物体や手が抜けなくなることはない。
【0079】
一方、閉動作中でない場合には、ステップS17において、単純に電磁クラッチ付電動モータ11を駆動させず、開ボタン37及び閉ボタン38の操作を無効にする。全閉状態ではない中で開閉スイッチ37,38を無効にすることで、エッジスイッチ70がオン又は断線状態での投入口カバー8の開閉が行えなくなり、安全である。もともと全閉状態ではないので、投入口カバー8が閉まったまま物体や手が抜けなくなるという状態にはならない。
【0080】
次いで、エッジスイッチ70がONでもなく断線状態でもない場合には、ステップS15において、通常通り、扉開方向へ電磁クラッチ付電動モータ11を駆動させ、ステップS11に戻る。
【0081】
したがって、本実施形態に係る塵芥収集車1によると、電磁クラッチ付電動モータ11と投入口カバー8との間にオンオフ切換操作可能な電磁クラッチ46を設けたことにより、断線が発生した場合でも開閉テールゲートを安全且つ容易に開閉できる。
【0082】
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、電磁クラッチ付電動モータ11の制御は、制御部としてのPLC66及びコントロールボード16が行うように構成したが、本発明はこれに限らず、駆動モータの制御部を、PLCとは別の投入口カバー開閉制御専用の部品で構成してもよい。
【0083】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0084】
1 塵芥収集車
2 車台
2b 前壁
3 運転室
4 塵芥収容箱
4a 後方開口部
5 塵芥投入箱
6 塵芥積込装置
7 塵芥投入口
8 投入口カバー
8a ローラ
8b レール部材
8c 車幅方向端部
8d アーム取付ブラケット
9 左右側壁
9a サイドカバー
10 クロスバー
10a 上昇ソレノイド
10b 反転ソレノイド
10c 下降ソレノイド
10d 圧縮ソレノイド
10e 上昇位置センサ
10f 反転位置センサ
10g 下降位置センサ
10h 圧縮位置センサ
11 電磁クラッチ付電動モータ
11a 出力軸
11b 駆動プーリ
11c モータ取付ブラケット
12 伝動ベルト
13 上側支持部
13a 従動プーリ
14 内側アーム部
14a 一端
14b 他端
14c 固定部
14d 上側アーム支持部
14e 下側アーム支持部
15 PLC(制御部)
16 コントロールボード
17 ドライバ
18 上側センサ
18a 上側センサ取付ブラケット
18b 長孔
19 下側センサ
19a 下側センサ取付ブラケット
19b 長孔
20 案内溝部材
20a 排出板後退ソレノイド
20b 排出板前進ソレノイド
20c 排出板前進センサ
21 昇降板
21a 昇降板支持軸
22 摺動用開口
23 昇降シリンダ
23a ピストンロッド
24 圧縮板
25 揺動シリンダ
26 被検知板
27 後部操作部
27a 各種スイッチ
30 主電源スイッチ
31 積込スイッチ
32 下降スイッチ
33 上昇スイッチ
34 反転スイッチ
36 緊急停止スイッチ
37,38 開閉スイッチ
39 開閉機構
40 リンク部材
41 外側アーム部
45 切換スイッチ
41a アーム連結ピン
42 パイプ部材
43 板部材
44 アーム取付ブラケット
44a 角錐台
44b 先端部
45 電磁クラッチ切換スイッチ
46 電磁クラッチ(駆動アクチュエータ)
50 緊急停止プレート
51 積込排出切換スイッチ
61 バッテリ
62 イグニッションスイッチ
63 PTOスイッチ
64 リレーコイル
65 リレースイッチ
66 PLC(制御部)
67 報知部
68 プレート移動規規制スイッチ
70 エッジスイッチ(接触センサ)
K3~K5 通電ライン
V1,V2 電磁制御弁
LS1~LS4 無接点スイッチ
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11