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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】情報提供装置、並びに情報提供システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0207 20230101AFI20240829BHJP
【FI】
G06Q30/0207
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021112152
(22)【出願日】2021-07-06
(65)【公開番号】P2023008521
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】竹中 浩一
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-099943(JP,A)
【文献】国際公開第2017/150395(WO,A1)
【文献】特開2020-052976(JP,A)
【文献】特開2020-052548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの利用者が保持する通信端末からのエレベータ呼びの履歴を記録する移動履歴データベースと、
前記通信端末へ送付可能な提供情報を格納する提供情報データベースと、
前記通信端末からエレベータ呼びを受け付けたとき、エレベータ呼びで指定されたエレベータとエレベータ呼びを受け付けた時刻情報に基づいて、前記移動履歴データベースに格納されたエレベータ呼びの履歴を参照し、利用者の移動範囲を求める移動予測部と、
前記提供情報データベースを参照し、前記移動予測部が求めた移動範囲に関連する提供情報を求める提供情報選択部を備え、
前記提供情報選択部が抽出した提供情報を利用者の通信端末へ送信することを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提供装置であって、
前記提供情報データベースには、提供情報と前記提供情報の発行可能数が含まれ、前記提供情報選択部は前記提供情報が利用者の移動範囲に関連し、発行可能数が残っており、前回と異なる提供情報であり、過去に情報表示するも利用されなかった提供情報に類似するものでなければ前記提供情報を提供情報として選択し、選択された提供情報を利用者の通信端末へ送信することを特徴とする情報提供装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報提供装置であって、
提供する情報の抽出には、呼び登録を行った建物に関連する店舗だけでなく、移動経路予測された行動範囲にある店舗も含むことでより多くの情報を提示でき、一方で過去の情報提示と使用結果から、その情報の利用がされにくいことが推定される場合は、当該情報の提供を停止し、提供可能情報のランダム表示とすることで、利用者にとって不要と思われる情報の提示数を減らすことを特徴とする情報提供装置。
【請求項4】
エレベータの利用者が保持する通信端末と、エレベータを制御するエレベータ本体装置にネットワークを介して接続され、通信端末からのエレベータ呼びに応じてエレベータ本体装置にエレベータのかご予約を行うとともに、通信端末に提供情報を与える情報提供システムであって、
情報提供システムは、通信端末からのエレベータ呼びの履歴を記録する移動履歴データベースと、
前記通信端末へ送付可能な前記提供情報を格納する提供情報データベースと、
前記通信端末からエレベータ呼びを受け付けたとき、エレベータ呼びで指定されたエレベータとエレベータ呼びを受け付けた時刻情報に基づいて、前記移動履歴データベースに格納されたエレベータ呼びの履歴を参照し、利用者の移動範囲を求める移動予測部と、
前記提供情報データベースを参照し、前記移動予測部が求めた移動範囲に関連する提供情報を求める提供情報選択部を備え、
前記提供情報選択部が抽出した提供情報を利用者の通信端末へ送信することを特徴とする情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータを利用した情報提供装置、並びに情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータ利用者の携帯情報端末(以下通信端末という)による呼び登録を基に、利用者に割り当てたエレベータを示す情報と共に、指定した行先階床に関連したクーポン等の提供情報を利用者の通信端末に送信・表示させる技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1では、エレベータの利用者に応じた情報を提供することを目的として、「情報通信端末の制御部は、エレベータの利用者が号機に乗車する前に当該利用者の所持する当該情報通信端末で行先階の登録操作を行うことで、複数台のエレベータの中から当該利用者に割り当てられたエレベータを示す割当号機情報と、行先階の登録操作に関する行先階と出発階とのうちの少なくとも一方を含む階床情報に基づいて所定装置によって選択されたクーポンデータとを受信し、表示部に、割当号機情報が示す割当号機名とクーポンデータが示すクーポンとを同時に表示させる。」ようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-111608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
然るに特許文献1は、都度のエレベータ目的階呼び情報しか説明変数が無く、利用者の満足度を高めるには十分な精度を得ることは難しいものであった。
【0006】
このことから本発明においては、目的地での呼び登録だけでなく、出発地や経由地での
エレベータ呼び情報、およびその呼びから得られる情報を説明変数に加えることで利用者
の行動を予測し、より最適なタイミングで最適な情報をプッシュ通知する環境を形成する
ことができる情報提供装置、並びに情報提供システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のことから本発明においては「エレベータの利用者が保持する通信端末からのエレベータ呼びの履歴を記録する移動履歴データベースと、通信端末へ送付可能な前記提供情報を格納する提供情報データベースと、通信端末からエレベータ呼びを受け付けたとき、エレベータ呼びで指定されたエレベータとエレベータ呼びを受け付けた時刻情報に基づいて、移動履歴データベースに格納されたエレベータ呼びの履歴を参照し、利用者の移動範囲を求める移動予測部と、提供情報データベースを参照し、移動予測部が求めた移動範囲に関連する提供情報を求める提供情報選択部を備え、提供情報選択部が抽出した提供情報を利用者の通信端末へ送信することを特徴とする情報提供装置。」としたものである。
【0008】
また本発明においては「エレベータの利用者が保持する通信端末と、エレベータを制御するエレベータ本体装置にネットワークを介して接続され、通信端末からのエレベータ呼びに応じてエレベータ本体装置にエレベータのかご予約を行うとともに、通信端末に提供情報を与える情報提供システムであって、情報提供システムは、通信端末からのエレベータ呼びの履歴を記録する移動履歴データベースと、通信端末へ送付可能な提供情報を格納する提供情報データベースと、通信端末からエレベータ呼びを受け付けたとき、エレベータ呼びで指定されたエレベータとエレベータ呼びを受け付けた時刻情報に基づいて、移動履歴データベースに格納されたエレベータ呼びの履歴を参照し、利用者の移動範囲を求める移動予測部と、提供情報データベースを参照し、移動予測部が求めた移動範囲に関連する提供情報を求める提供情報選択部を備え、提供情報選択部が抽出した提供情報を利用者の通信端末へ送信することを特徴とする情報提供システム。」としたものである。
【発明の効果】
【0010】
利用者通信端末からのエレベータ呼び登録の際、利用者に合わないクーポン等のプッシュ通知は迷惑以外の何物でもなく、最も悪い状況の場合、通信端末からの呼び登録すら利用されなくなる恐れがあるが、本発明によれば個々のニーズにマッチする信頼性の高い広告のプッシュ通知であれば、利用者のメリットとなる。
【0011】
本発明の実施例によれば、過去のエレベータ遠隔呼び登録情報、提供した情報およびその使用情報を一元管理することで、複数の過去エレ呼び履歴を基に、より高い精度で利用者にマッチした提供情報を選択でき、結果、利用者のメリットとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】エレベータを用いた情報提供システムの全体構成例を示す図。
図2】提供情報データベースDB1のデータ構成例を示す図。
図3】情報発信店舗データベースDB2のデータ構成例を示す図。
図4】移動履歴データベースDB3のデータ構成例を示す図。
図5】情報利用履歴データベースDB4を示す図。
図6】利用者M氏、N氏の数日間におけるエレベータの利用履歴例を示す図。
図7】利用者認証装置17の処理フローを示す図。
図8】利用者認証装置17における各種処理のうち、提供情報選択フローを示す図。
図9】利用者の行動に特化されて選択された提供情報の表示の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施例について図を参照して説明する。
【実施例
【0014】
図1は、本発明の実施例に係るエレベータを用いた情報提供システムの全体構成例を示している。
【0015】
エレベータを用いた情報提供システムは、エレベータ本体装置1と、管制センタ装置15と、利用者が保有する通信端末5が、公衆ネットワーク8、9により接続されて構成されている。
【0016】
このうち、エレベータ本体装置1は、遠隔呼び受信部2aを含むエレベータ制御装置2、遠隔監視装置3、通信装置4により構成されている。また利用者が保有する通信端末5は、エレ遠隔呼びを行えるスマートフォンの利用を前提としており、図示せぬ入力部と表示部の他に、メッセージ交換部5aの機能を有している。
【0017】
また情報提供装置として機能する管制センタ装置15は、エレベータ連携装置16と利用者認証装置17が内部のネットワークにより接続されており、エレベータ連携装置16はエレベータ本体装置1と公衆ネットワーク9を介して接続されて相互に通信が可能であり、また利用者認証装置17は通信端末5と公衆ネットワーク8を介して接続されて相互に通信が可能である。
【0018】
計算機を利用して構成される管制センタ装置15内のエレベータ連携装置16は、呼び作成部18の機能を有する。これに対し、管制センタ装置15内の利用者認証装置17は、店舗・利用者データを記憶する店舗・利用者データベースDB0と、プログラムの実行により達成される複数の処理機能を備えている。
【0019】
複数の処理機能は、メッセージ応答処理部S51、利用者管理部S52、遠隔呼び登録認証部S81、移動予測部S82、提供情報選択部S83である。また店舗・利用者データベースDB0は、提供情報データD1を記憶する提供情報データベースDB1、店舗情報D2を記憶する店舗情報データベースDB2、移動履歴データD3を記憶する移動履歴データベースDB3、および情報利用履歴データD4を記憶する情報利用履歴データベースDB4を含んでいる。
【0020】
これらのデータベース(DB1-DB4)は、それぞれ以下の図2から図5のようなデータ構成のものである。まず図2の提供情報データベースDB1のデータ構成例によれば、提供情報データD1は、QR情報と提供内容とを関連付けするための提供情報固有コードD11、店舗位置情報等との関連付けするための対象店舗固有コードD12、提供可能期限(開始時期D13、最終時期D14)および残数D15(利用可能時間帯の付加も有効)、並びに表示メッセージヘッダーD16および本文D17の各情報を含んでいる。
【0021】
例えば1行目の情報によれば、QR情報「13151a2b3c_2105001」について、店舗「1315-1a2b3c」において、2021/05/01から7/31まで無制限に「500円以上のお食事時にQR提示で飲料1杯無料。3回までOK」とする内容のサービスが「お飲み物サービス」というヘッダーで情報提供されるということを表している。
【0022】
図3の店舗情報データベースDB2のデータ構成例によれば、店舗情報データD2は、提供情報D11とマッチングするための対象店舗固有コードD21、他情報との精度確認(相互補完)用のビルコードD22、利用階と店舗をマッチングするための店舗階層D23、エレベータ呼びとマッチングするための店舗利用時に使用可能なエレベータD24、移動距離・経路推定算出するための店舗位置D25、店舗備考D26の各情報を含んでいる。
【0023】
例えば1行目の情報によれば、ビル「1357A123」の7階にある店舗「1315-1a2b3c」は、最寄りエレベータ「135-456135-777」を用いて、「N035.7727920E139.8444883」の位置にあり、軽食、カフェ、レストラン、喫茶を営んでいるということを表している。
【0024】
このように図3に示す店舗情報データベースDB2に必要なフィールドにおいては、情報を提供する店舗を特定するコード、その店舗が入っている建物コード、その店舗の存在する階層、その店舗を利用するために使用される可能性のある昇降機判別コード、その店舗または建物の場所が明確になる緯度経度情報、店舗をグルーピングするための情報を有するのがよい。
【0025】
図4の移動履歴データベースDB3のデータ構成例によれば、移動履歴データD3は、利用者判別用コードD31、エレベータ呼び情報とのマッチングおよび移動時間推定用のエレベータ呼び実働時間D32並びにエレベータ呼び実働日時D33、位置情報および駅利用特定用の実利用エレベータD34、提供情報絞り込み用の行先階層D35、情報提供有無および実使用フラグD36、D37、移動手段推定用の移動時間並びに移動距離D38、D39の各情報を含んでいる。
【0026】
例えば1行目の情報によれば、利用者「1315a1-111111」は、2021/06/03 09:30:00にエレベータを呼び、同9:30:05までエレベータ「0805-BS100」が実働して1階に移動したが、このとき提供情報はなく、情報利用の有無もなく、移動距離は0であった。なお2行目、3行目によれば、この利用者は同日中にさらに別の場所で2回のエレベータ利用を行っており、2行目、3行目の移動では情報提供を受け、3回目の移動では情報利用を行った、ということを表している。
【0027】
このように図4に示す移動履歴データベースDB3に必要はフィールドにおいては、使用者を特定するコード、遠隔呼びを登録した日時、実際のエレ使用日時、利用エレを特定するコード、行先階、提供情報の有無、表示情報使用の有無、および算出された移動時間と移動距離を有するのがよい。
【0028】
図5の情報利用履歴データベースDB4のデータ構成例によれば、情報利用履歴データD4は、使用者判別用コードD41、情報使用店舗D42、使用日時D43、使用したQR情報D44の各情報を含んでいる。
【0029】
例えば1行目の情報によれば、使用者「1315a1-111111」は、情報使用店舗「1201-cd23bd」の使用QR「1201cd23bd_2106001」を、2021/06/02 11:15:00に使用したということを表している。
【0030】
このように図5に示す情報利用履歴データベースDB4に必要なフィールドにおいては、使用者を特定するコード、情報を使用した店舗を特定するコード、使用日時、および使用内容を有するのがよい。
【0031】
図1に例示した複数のデータベースDB(DB1-DB4)内のデータは、互いに紐付けされたデータである。複数のデータベースDB内のデータは、店舗のデータ(D12、D21、D42)、または利用者のデータ(D31、D41)のいずれか、あるいは双方を含んで構成されることにより、データベースDB(DB1-DB4)間が相互に紐づけされているので、全てのデータが関連付けて利用可能とされている。
【0032】
図1に戻り、図1の利用者認証装置17における各種処理について以下順次説明する。まず、遠隔呼び登録確認部S81の処理について説明する。
【0033】
図1の情報提供システムにおいて、エレベータ利用者はエレベータの利用をするにあたり、エレベータ呼び登録(以下単にエレ呼び登録という)を利用者が保有する通信端末5から行う。利用者が保有する通信端末5のアプリケーションにより生成されたエレ呼び登録は、図1に示す公衆ネットワーク8を経由して管制センタ装置15に伝達され、メッセージ応答処理部S51を経由し、遠隔呼び登録確認部S81に伝達される。
【0034】
遠隔呼び登録確認部S81では、エレベータ呼び登録が正常処理か否かを判断する。エレベータ呼び登録に問題がある場合はその旨を、公衆ネットワーク8を経由して利用者が保有する通信端末5へ表示し、以後当該エレベータ呼び登録についての処理を中断する。
【0035】
遠隔呼び登録確認部S81の判断にて、エレベータ呼び登録に問題がなければエレベータ連携装置16へ情報を渡し、そのエレベータ連携装置16内の呼び作成部18にて呼びを作成し、公衆ネットワーク9、通信装置4、遠隔監視装置3を経由しエレベータ制御装置2にて呼び登録を行い、結果を公衆ネットワーク8経由で、呼び登録をおこなった利用者が保有する通信端末5に表示する。
【0036】
次に、利用者認証装置17内の移動予測部S82の処理について説明する。図6は、利用者M氏、N氏の数日間におけるエレベータの利用履歴例を示した図であり、両氏とも日常的に自宅マンションA、駅B、目的地Cにおいて、その個所のエレベータを利用している様子を示している。なお、これらのエレベータ利用場面においては、エレベータ利用前に利用者が保有する通信端末5を用いたエレ呼び登録を行ったうえでのエレベータ利用をしている。
【0037】
このエレ呼びは、商業施設のような目的地Cだけでなく、自宅マンションAや、駅Bなどのエレベータ設置施設でも行われ、管制センタ装置15の利用者認証装置17は呼び履歴に併せ前呼び登録からの時間と距離それぞれの差分を算出し、移動履歴D3として図4の移動履歴データベースDB3に記録する。この記録によれば、利用者M氏、N氏は、自宅Aから駅B経由で目的地Cに向かい帰宅Aするという日常的な行動パターンを示している。
【0038】
なお、管制センタ装置15は、通信端末からのエレ呼び情報を入手しているが、この情報のみでは自宅マンションA、駅B、目的地Cを区別して管理することができない。このため、管制センタ装置15は以下の基準を利用して、そのエレ呼び情報が自宅マンションA、駅B、目的地Cのいずれに属するものであるかを識別している。
【0039】
例えば、自宅マンションAについて、非接触エレ呼び利用回数が、他場所と比較し多いとき、あるいは一連の行動グループの中で、最初と最後に使用される割合が、他場所と比較し多いとき、あるいは一連の行動グループの最初で一定階層からロビー階層へ移動、最後にロビー階層から一定階層へ移動することが多いとき(ここでは居宅階層も推定可能となる)、自動搬送ロボット等による機械的な呼びではない(移動推定除外利用者登録)時であることをもって、自宅マンションAと定義するものとする。
【0040】
また駅Bについて、図1には記述していないが設置場所データベースDBまたは利用用途データベースDBに「駅」設定がされていることをもって駅Bと定義するものとする。さらに場所C(目的施設)について、提供情報管理センタに登録されているとき、あるいは設置場所データベースDBまたは利用用途データベースDBに「商業施設」を示す設定がされていることをもって、場所C(目的施設)と定義するものとする。
【0041】
ところで、先にも述べたように、複数のデータベースDB(DB1、DB2、DB3、DB4)は相互に紐づけされている。これを利用して、移動予測部S82は、以下のように作動して利用者M氏、N氏の行動を予測する処理を実行する。例えば、図4の移動履歴データベースDB3に記録された移動履歴データD3と、移動履歴データD3のエレベータの情報D34に紐づけされた図3の店舗情報データベースDB2の情報D2とを用い、これらから利用者の移動経路、移動半径、移動目的を解析し、かつさらに店舗情報データベースDB2の店舗情報D21に関連して、情報利用履歴データベースDB4を参照して、ここに登録された過去の発行情報の使用履歴から利用者M氏、N氏の今後の行動を推定する。
【0042】
この予測された行動予定を受けて、提供情報選択部S83は、移動途中を含む利用者M氏、N氏の次の行動にマッチングした発行情報を、登録されている提供情報データベースDB1中から選択抽出する。なおこのとき提供情報選択部S83は、情報利用履歴データベースDB4の利用者コードD41から、利用者M氏、N氏を特定しかつ提供情報データベースDB1を参照することで、呼び登録をおこなった利用者M氏、N氏に最適な提供情報を抽出可能である。
【0043】
最後にメッセージ応答処理部S51は、呼び登録をおこなった利用者M氏、N氏に対して、その保持する通信端末5に、呼びの結果に併せ、表示が適当であると判断された提供情報D1がある場合は提供情報のプッシュ通知を実施する。
【0044】
なお、表示情報の選択は、呼び登録先(場所Bや場所C)および移動予測部S82にて推定された経路において、店舗情報D2を基に、経路上にある店舗の提供情報が提供情報D1に登録されているか確認し、提供可能情報がある場合は、利用者の移動履歴を移動履歴D3、情報使用状況を移動履歴D3および情報利用履歴D4にて確認し、提供情報選択部S83にて、過去の複数回に渡る類似表示情報に対する、使用の有無により表示可否かを判断する。
【0045】
利用者M氏、N氏の保持する通信端末5に表示した情報は、移動履歴データベースDB3の情報提供実施有無確認用フラグ(提供情報有無FLG)D36を立て、記録に残す。
【0046】
ここまでの説明は、利用者に情報を提供する事であったが、つぎに利用者M氏、N氏が提供された情報を使用することについて説明する。なお、この提供情報の使用場面(権利行使場面)では、(エレベータの)利用者を(提供情報の)使用者ということがある。
【0047】
図6において、利用者A氏と利用者B氏は共にエレ遠隔呼びサービスを利用し同じルートを使用し移動するものとし、以前からその移動工程の途中で、提供情報D1に掲載されているサービスを利用しているものとする。また、図6の例では利用者A氏、B氏共に同一の行移動パターンであった場合でも場所Bにおける情報αの提示は両者ともに有効であるが、場所Cでの情報利用履歴がA氏は情報β、一方B氏は情報γを利用していることから、場所Cにおける情報の優先度は、A氏の場合は情報β関連を、B氏の場合は情報γ関連を提供することが有効であると考えることができる。
【0048】
表示情報の利用が行われた場合は、利用された店舗等の情報利用履歴α、β、γを移動履歴データベースDB3の情報利用フラグ(情報利用有無FLG)D37を立てると共に、情報利用履歴データベースDB4の全フィールドへ当該データを入力し記録として残す。
【0049】
図7に、利用者認証装置17の処理フローを示す。図7の最初の処理ステップS511では、メッセージ応答処理部S51に利用者の通信端末5からの遠隔エレ呼び登録が発生したことを確認し、処理ステップS512では利用者管理部S52にて登録済み利用者かを確認し、登録利用者でない場合は、処理ステップS513においてその旨をエラーメッセージとして利用者の通信端末5へ回答返信する。
【0050】
登録済み利用者であった場合は処理ステップS514において、エレ遠隔呼び登録認証部S81から呼び作成部18経由でエレベータ制御装置2に対し呼び登録指令を送信する。処理ステップS515では、この送信に対する返信を監視しており、また処理ステップS516において回答待ちタイムアウトを判断する。この結果、呼び作成部18に対しエレベータ制御装置2からの回答が一定時間内に無かった場合は、処理ステップS518においてメッセージ応答処理部S51に「受付失敗」の回答結果をセットし、エレベータ制御装置2からの回答があった場合は、処理ステップS517においてメッセージ応答処理部S51に「受付成功」の回答結果をセットする。
【0051】
次に処理ステップS519では、情報提供選択部S83において、提供情報データベースDB1に提供可能な情報があるかを確認し、提供可能な情報があった場合は処理ステップS520においてメッセージ応答部S51に提供情報D1をセットする。
【0052】
処理ステップS521では、メッセージ応答処理部S51にセットされた制御結果内容および提供情報内容を、利用者の通信端末5へ送信し、処理ステップS522では、移動履歴データベースDB3へ遠隔エレ呼びに関する情報を登録し、処理ステップS523では移動履歴データベースDB3に登録された利用者と同じ利用者の情報があることを確認し、あった場合、処理ステップS524において移動距離、移動時間の算出の実施、及び移動予測部(S82)にて移動経路の推定実施し、結果をセットする。この移動予測には、新規に発生した登録データと、同じまたは類似する同一利用者の過去移動履歴を移動履歴DB(DB3)を使用し推定に利用することも可能とする。
【0053】
なお処理ステップS524の処理では、移動予測部S82にて、前回移動履歴との時間差、距離を算出し、移動手段を推定して移動履歴データベースDB3の新規登録データをセットし、移動範囲を推定して移動予測部S82内にセットする。距離の算出には、情報発信店舗データベースB2に登録された、エレベータ設置建屋の緯度経度情報を使用するのがよい。
【0054】
再度図1に戻り、図1の利用者認証装置17における各種処理のうち、提供情報選択フローの処理について図8を用いて説明する。
【0055】
図8の処理では、利用者が保有する通信端末5からの情報に応じて提供情報を提示し、或はその使用を管理する。このための最初の処理では、メッセージ応答処理部S51で受信した情報に応じて提供情報選択部S83にて提供情報の有無を確認する。具体的には、図8の処理では処理ステップS611から処理ステップS614並びに処理ステップS622において、例えば5項目の確認処理を行う。
【0056】
これらの確認処理では、利用者が保有する通信端末5からの呼び登録情報が、建屋からの退館では無い(例えば入館や建物内のフロア移動)ことを処理ステップS611において確認し、建屋からの退館では無い場合に目的階での提供可能情報の有無を処理ステップS612において確認し、その情報を利用者が過去に使用しているかを処理ステップS613において確認し、使用している場合は更に前回提供した情報と異なる情報かを処理ステップS614において確認し、前回提供した情報と異なる場合は、過去の同様情報表示のを有無を処理ステップS622において確認したものである。
【0057】
これらの確認結果が、退館或は提供可能情報が無いであるときには処理ステップS617に移動し、過去使用がなく、今回提供情報と同じであり、或は過去に動揺情報の表示有のいずれかである場合には、処理ステップS616に移動し、すべての条件が成立する場合には処理ステップS615に移動して、対応する処理を実施する。
【0058】
すべての条件が成立する処理ステップS615の場合は、その情報発信した店舗の新たな情報を通信端末5に伝送して表示し、処理ステップS616の場合は、同一フロアなど選択してもらえる範囲の提供情報を通信端末5に伝送して表示ランダムに表示する。
【0059】
処理ステップS615、処理ステップS616の処理がされた場合には、通信端末経由で利用者に提示した提供情報の使用が実行されるまで待機(処理ステップS624のNO)し、実行がされたときには処理ステップS624の判断でYesとなることから、処理ステップS625において提供情報の利用履歴を情報利用履歴データベースDB4に登録する。
【0060】
利用者が保有する通信端末5からの呼び登録情報の判断結果、処理ステップS611または処理ステップS612においてNOとされた場合には、以下の4項目の新たな確認判断処理が実行される。
【0061】
処理ステップS611の判断において建屋からの退館が予測される場合や建屋内に提供可能情報が無い場合は、処理ステップS617において移動推定範囲内における提供情報の有無を確認し、ない場合はそのまま処理ステップS624に移行し待機状態とする。提供可能情報がある場合は、処理ステップS618においてその情報を利用者が過去に使用しているか確認し、使用している場合は、処理ステップS619において更に前回提供した情報と異なる情報かを確認し、前回提供した情報と異なる場合は、処理ステップS623において過去の同様情報表示のを有無を確認し、使用している場合は、その情報発信した店舗の新たなは、処理ステップS620において情報を表示し、処理ステップS618、S619、S623のいずれかにおいて、そうでないと判断された場合は、処理ステップS621において同一フロアなど選択してもらえる範囲の提供情報をランダムに表示する。
【0062】
このようにして、利用者に特化されて選択された情報の表示の一例を図9に示している。通信端末の表示画面には、この例では上部からクーポン券とその利用で使用するQR情報、プレゼントとその利用で使用するQR情報、一般的なキャンペーン情報、割引とその利用で使用するQR情報が、スクロール可能に表示され、利用者は適宜の提供情報に応じてそれらの店舗に赴き、利用を図ることができる。
【0063】
以上の本発明における処理を整理して述べると、以下のようである。まず、エレベータ利用者が保有する通信端末からの呼びについて、商業施設だけでなく、マンションや駅などでの利用履歴を用い、利用者の行動を推測すること、および過去の情報使用履歴を用いることで、最適な情報のプッシュ通知を行う。
【0064】
事前の登録として、情報提供店舗に関するデータ、提供情報内容データを準備しておく。
利用者に関するデータは、遠隔エレ呼び利用登録の情報を用いる。
【0065】
情報提供店舗データにおいては、対象店舗判別コード、店舗と対象となるエレベータのマッチングに必要な情報、店舗の存在する階層情報、店舗の位置情報を準備しておく。
【0066】
提供情報内容データにおいては、提供情報を区別するコード、対象店舗判別コード、提供可能期間、提供できる残数、提供内容となる文字情報を準備しておく。
【0067】
移動履歴には、利用者判別コード、エレベータの呼び登録および実働日時、利用エレの判別が可能なコード、行先階層、提供情報に関するフラグ、前イベントからの移動時間と移動距離を登録する。
【0068】
利用者がエレベータの遠隔呼び登録を行うごとに移動履歴へ登録すると共に、その場所と目的階層が場所Aでのロビー階層への移動であった場合は新たな行動イベントの発生と判断し、推定用移動時間および移動距離を初期化し、新規の推定を開始する。
【0069】
移動履歴へ情報が登録されるごとに、前イベントからの移動時間と移動距離を算出する。これらの判断を用い、移動履歴へ情報が登録されるごとに、その行先登録された場所に、提示できる情報があるかを確認し、提示できる情報がある場合は過去の同様情報の使用履歴を確認し複数回情報提供を行っているが使用実績が無い場合は、当該情報は提供情報とせず表示可能な情報のランダム表示とする。
【0070】
また、電車利用の場合で乗降駅が特定できる場合は、移動途中駅での情報表示を行うことも可能とする。
【0071】
マッチングすると判断し表示した情報が使われた場合は、店舗側からの利用情報を使用履歴に登録する。
【0072】
過去に情報提供するも使用されなかった情報については、表示した旨の記録と合わせ記録として残すことで、今後の類似提供判定時に表示除外判定として利用し、提供可能情報のランダム選択以外での表示は行わないものとすることで、ノイズとなる情報の表示を減らす。
【0073】
本発明に係る上記システムによれば利用者は利用者個々人にあった情報提供を受け、そのサービスを享受することができ、目的施設や店舗側では広告媒体となりえ、かつ再利用が高い利用者を確保することが期待でき、エレベータ管理者側は保守契約を継続的に確保できるという各人にあった受益とすることができる。
【符号の説明】
【0074】
1:エレベータ本体装置
2:エレベータ制御装置
3:エレベータ監視装置
4:エレベータ通信装置
5:エレベータ利用者所有通信端末
8:公衆ネットワーク
9:社内ネットワーク
15:管制センタ装置
16:エレベータ連携装置
17:利用者認証装置
18:外部からの呼び作成部
S51:メッセージ応答処理部
S52:利用者管理部
S81:遠隔呼び登録認証部
S82:遠隔呼び利用者移動予測部
S83:提供情報選択部
DB0:店舗・利用者データベース
DB1:提供情報データベース
DB2:情報発信店舗データベース
DB3:移動履歴データベース
DB4:情報利用履歴データベース
A:自宅マンション
B:駅
C:目的施設
α、β、γ:提供情報使用履歴
図1
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図9