(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】オフィスの席予約システム及びオフィスの席予約方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/02 20120101AFI20240829BHJP
【FI】
G06Q10/02
(21)【出願番号】P 2021119353
(22)【出願日】2021-07-20
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 航生
(72)【発明者】
【氏名】清國 敦史
(72)【発明者】
【氏名】平井 優也
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-144918(JP,A)
【文献】特開2021-067073(JP,A)
【文献】特開2020-038552(JP,A)
【文献】特開2016-133823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者からのオフィスに配置された席の予約を受付ける予約受付部と、
席予約データベースを参照して、前記予約受付部が受付けた予約要求が可能か否かを判定する判定部と、
前記判定部が予約可能と判定した席の情報を出力する出力部と、
前記出力部が出力した席の前記利用者による選択を受付ける選択受付部とを備えるオフィスの席予約システムにおいて、
前記席予約データベースは、前記オフィスに配置された席のエリアの情報を有し、
前記判定部は、前記予約受付部が受付けた予約者に対応したエリアの席の予約が可能かを判定し、
前記出力部は、前記判定部が予約可能と判定したエリアの席の情報を出力し、
前記選択受付部で出力した席の選択がある場合に、前記席予約データベースに該当する席の予約を登録する
オフィスの席予約システム。
【請求項2】
前記席予約データベースが有する席のエリアの情報には、オフィスの部署に対応したエリアが示され、
前記予約受付部は、予約を受付けた際の利用者の所属部署を取得し、
前記判定部は、予約を受付けた利用者の所属部署に対応したエリア内の席の予約要求が可能か否かを判定する
請求項1に記載のオフィスの席予約システム。
【請求項3】
前記席予約データベースが有する席のエリアの情報には、部署に対応付けられていないオープンエリアを含み、
前記判定部は、予約を受付けた利用者の所属部署に対応したエリア内の席の予約要求が可能でない場合に、前記オープンエリア内の席の予約要求が可能かを判定し、
前記出力部は、前記判定部が予約可能と判定したオープンエリアの席の情報を出力する
請求項2に記載のオフィスの席予約システム。
【請求項4】
前記判定部は、予約を受付けた利用者の所属部署に対応したエリア内の席の予約要求が可能でない場合に、該当する部署に隣接したエリア内、又は近隣のエリア内の席の予約要求が可能か否かを判定し、
前記出力部は、前記判定部が予約可能と判定したエリアの席の情報を出力する
請求項2に記載のオフィスの席予約システム。
【請求項5】
前記予約受付部は、前記利用者とは別の利用者について既に予約された席の問い合わせを受付けたとき、前記出力部が前記席予約データベースに登録された該当者の予約された席の情報を出力する
請求項2に記載のオフィスの席予約システム。
【請求項6】
前記席予約データベースは、オフィス内で予約できない席を固定又は可変で設定し、
前記判定部は、前記席予約データベース内の予約できない席を除いた席について、前記予約受付部が受付けた予約要求が可能か否かを判定する
請求項2に記載のオフィスの席予約システム。
【請求項7】
利用者からのオフィスに配置された席の予約を受付ける予約受付処理と、
席予約データベースを参照して、前記予約受付処理で受付けた予約要求が可能か否かを判定する判定処理と、
前記判定処理で予約可能と判定した席の情報を出力する出力処理と、
前記出力処理により出力した席の前記利用者による選択を受付ける選択受付処理とを
コンピュータにより実行するオフィスの席予約方法において、
前記席予約データベースは、前記オフィスに配置された席の部署に対応したエリアの情報を有し、
前記予約受付処理は、予約を受付けた際の利用者の所属部署を取得し、
前記判定処理は、前記予約受付処理により受付けた利用者の所属部署に対応したエリア内の席の予約要求が可能か否かを判定し、
前記出力処理は、前記判定処理で予約可能と判定したエリアの席の情報を出力し、
前記選択受付処理で出力した席の選択がある場合に、前記席予約データベースに該当する席の予約を登録する
オフィスの席予約方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスの席予約システム及びオフィスの席予約方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレワークの普及やオフィスの複数拠点化などの勤務形態の多様化で、勤務者が決まったオフィスに毎日出社しない状況が発生している。このような状況に対処してオフィスを効率的に運用するために、オフィスの各デクスへの着席者を固定しないフリーアドレス化が徐々に普及している。
【0003】
オフィス内の勤務者用の席をフリーアドレス化した場合、勤務者は、出勤時に空席の中から自分が着席する席を選択する。着席した席では、勤務者は、自身が所持したノート型などの可搬型のコンピュータ装置を使って業務を行うか、あるいはデクス上に設置されたコンピュータ装置に自身の識別コードでログインして業務を行う。
オフィスを運営する会社では、勤務者のオフィスでの在席率に応じた席を用意すれば良いため、オフィスの省スペース化やコスト低減を実現することができる。
【0004】
特許文献1には、フリーアドレス化されたオフィスの席を割り当てるフリーアドレスオフィス管理機能を入退管理システムに持たせて、フリーアドレス化されたオフィスに入る際に、予め設定された優先順位条件に従って利用者(勤務者)の席を自動的に割り当てる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オフィスの席をフリーアドレス化して、各勤務者に自由に席を選ばせた場合、業務を実施する上で好ましくない席配置となる可能性がある。例えば、同じグループ内で同じ業務を行う者同士が、オフィス内の離れた場所に着席した場合、勤務者同士の連絡などが行い難くなり、業務を行う上で支障が出る可能性がある。
このため、例えば特許文献1に記載されるように、オフィスへの入場時に、予め設定されている優先順位条件に従って、各勤務者に適切な席の候補を提示することが提案されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されるようにオフィスへの入場時に、出勤者に順に席を割り当てた場合、オフィスの空席が少ない場合、適切な席の候補を提示できない状況が発生してしまう。また、出勤時に空席がない満席状態が発生した場合には、勤務者が業務時に本来は座る席でないスペースで業務を行うことになってしまう。勤務者にとっては、特定の日に満席になることや、希望する席の近くに座れないことが事前にわかっていれば、出勤日や出勤時間をシフトさせるなどの対処が可能であるが、オフィスへの入場時にわかったのでは、対処できない可能性が高い。
【0008】
本発明は、フリーアドレス化されたオフィスの席の管理が適切にできるオフィスの席予約システム及びオフィスの席予約方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、オフィスの席予約システムとして、利用者からのオフィスに配置された席の予約を受付ける予約受付部と、席予約データベースを参照して、予約受付部が受付けた予約要求が可能か否かを判定する判定部と、判定部が予約可能と判定した席の情報を出力する出力部と、出力部が出力した席の利用者による選択を受付ける選択受付部とを備えるオフィスの席予約システムに適用したものである。
そして、席予約データベースは、オフィスに配置された席のエリアの情報を有し、判定部は、予約受付部が受付けた予約者に対応したエリアの席の予約が可能かを判定し、出力部は、判定部が予約可能と判定したエリアの席の情報を出力し、選択受付部で出力した席の選択がある場合に、席予約データベースに該当する席の予約を登録するようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フリーアドレス化されたオフィスの利用者は、自分が利用する席を、事前に希望するエリアから選択できるようになり、業務などを行う上で適切な席を予約して利用することができる。また、事前に予約できるため、出勤時に満席で席がない状況を回避することも可能になる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態例のオフィスの席予約システムの構成図である。
【
図2】本発明の一実施の形態例の席予約サーバの構成図である。
【
図3】本発明の一実施の形態例の入退管理サーバの構成図である。
【
図4】本発明の一実施の形態例の予約データベースのデータ例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施の形態例の入場者データベースのデータ例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施の形態例の席予約サーバによる予約受付処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施の形態例の席予約サーバによる予約登録処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施の形態例の席予約サーバによる使用開始登録処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施の形態例の席予約サーバによる予約検索処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施の形態例による予約画面の例を示す図である。
【
図11】本発明の一実施の形態例による検索画面の例を示す図である。
【
図12】本発明の一実施の形態例によるオフィスの出勤率低減時のレイアウト例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」と称する)を、添付図面を参照して説明する。
【0013】
[オフィスの席予約システムの全体構成]
図1は、本例のオフィスの席予約システムの全体構成を示す。
本例のオフィスの席予約システムは、席予約サーバ10と入退管理サーバ20とを備える。席予約サーバ10は、本例のシステムで管理するオフィスの席の予約情報を持つ席予約データベース11aを有する。入退管理サーバ20は、オフィスが設置されたビル100,200での勤務者の入場及び退場の情報を持つ入場者データベース21aを有する。なお、図面上ではデータベースはDBと略称する。
【0014】
席予約サーバ10と入退管理サーバ20は、ネットワークNWを介してオフィスが設置されたビル100,200のゲート装置50,60と接続されている。ゲート装置50,60は、各ビル100,200の入口などに設置されたゲートの通過を制御する装置であり、予め登録された勤務者が入場する際、及び勤務者が退場する際に、通過した者を認識して、入場及び退場の情報を入場者データベース21aに登録する。
【0015】
それぞれのゲート装置50,60は、制御部51,61を備えており、制御部51,61の制御で入場及び退場の記録の処理を行う。ゲート装置50,60が勤務者の入場及び退場の際に、勤務者を認識する方式としては、勤務者が所持するカード又は端末による認証方式、勤務者の顔画像による認証方式など、様々な方式が適用可能である。なお、本例のシステムを利用する勤務者は、社内の所属部署や役職などの情報が席予約データベース11aや入場者データベース21aに登録されている。
【0016】
そして、本例のオフィスの席予約システムを利用する勤務者U1は、自身が所持するスマートフォンなどのユーザ端末40で、ネットワークNWを経由して席予約サーバ10にアクセスして、ビル100又はビル200の席予約を行う。なお、ユーザ端末40は、勤務者U1が適正にログインして席予約サーバ10にアクセスできる端末であれば、勤務者U1自身が所持する端末以外の端末であってもよい。例えば、勤務者U1が勤務中に使用するコンピュータ装置を、ユーザ端末40としてもよい。
【0017】
[オフィスの席配置の例]
本例のオフィスの席予約システムで予約可能なオフィスは、予めエリア分けが行われている。
図1は、ビル100内の特定の階のオフィス100aの席の配置例を示す。
図1では、デスクが配置された状態が示されているが、実際には勤務者が勤務時に着席する座席が勤務者のデスクになる。以下の説明で席と述べた場合、これらのデスクと席がセットになったものをいう。
【0018】
オフィス100aには、エリアとして、営業1課エリア101と、営業2課エリア102と、営業3課エリア103とが用意され、それぞれのエリア101,102,103に複数の席が配置されている。例えば、営業1課エリア101には、席101a,101b,101c,・・・が配置されている。また、営業2課エリア102には、席102a,102b,102c,・・・が配置されている。さらに、営業3課エリア103には、席103a,103b,103c,・・・が配置されている。これらの席は、後述する予約ができない席を除いて、勤務者が自由に選択して着席できるフリーアドレス化された席である。
【0019】
各エリア101,102,103の席の配置数は、基本的に各課での各勤務日での最大の出勤者数に対応して決められている。但し、後述するオープンエリア104を利用することを考慮して、最大の出勤者数よりも少ない数の席でもよい。
また、各課のエリア101,102,103には、それぞれの課を統括する管理職用の席が、特定の位置に決められており、その席については席予約システムでは予約できない席になっている。
【0020】
そして、オフィス100aには、それぞれの課に割り当てられたエリア101,102,103の他に、オープンエリア104が設けられている。オープンエリア104にも、複数の席104a,104b,104c,・・・が配置されている。
オープンエリア104の席については、各デスクが他のデスクと離れて設置された席や、小グループでの業務やミーティングに適したグループ席など、様々な形態の席が用意されている。
【0021】
また、オフィス100aには、複数の席が設置された会議室や、電話やオンラインミーティングに適した1つの席だけの個室についても用意され、これらの席についても本例の席予約システムで予約できるようにしてもよい。あるいは、会議室や個室については、本例のフリーアドレス用の席予約システムとは別の会議室予約システムで予約できるようにしてもよい。
【0022】
[席予約サーバの構成]
図2は、席予約サーバ10の構成を示す。
席予約サーバ10は、外部記憶装置11と、CPU(Central Processing Unit)12と、主記憶装置13と、ネットワークインタフェース(以下、「ネットワークI/F」と称する)14とを備える。
外部記憶装置11には、席予約データベース11aが保存されている。
【0023】
主記憶装置13には、席予約サーバ10としての機能を実現するプログラムが格納され、CPU12の制御によるプログラムの実行で、様々な処理機能部が構成される。主記憶装置13に構成される処理機能部としては、例えば予約受付部13a、判定部13b、選択受付部13c、出力部13dが含まれる。
【0024】
ネットワークI/F14は、席予約サーバ10を、ネットワークNWを介して入退管理サーバ20や管理端末30、ユーザ端末40などと接続して、データ転送するための通信処理部である。
【0025】
[入退管理サーバの構成]
図3は、入退管理サーバ20の構成を示す。
入退管理サーバ20は、外部記憶装置21と、CPU22と、主記憶装置23と、ネットワークI/F24とを備える。
外部記憶装置21には、入場者データベース21aが保存されている。
【0026】
主記憶装置23には、入退管理サーバ20としての機能を実現するプログラムが格納され、CPU22の制御によるプログラムの実行で、様々な処理機能部が構成される。主記憶装置23に構成される処理機能部としては、例えば入場者登録部23a、入場権限確認部23b、入場許可者情報配信部23c、入場情報受信部23d、入場実績送信部23eが含まれる。
【0027】
ネットワークI/F24は、入退管理サーバ20を、ネットワークNWを介して入退管理サーバ20や各ゲート装置50,60、管理端末30などと接続して、データ転送するための通信処理部である。
【0028】
[席予約データベースのデータ例]
図4は、席予約サーバ10の外部記憶装置11に保存される席予約データベース11aのデータ構造の例を示す。
席予約データベース11aは、項目として、席番号、ビル名、フロア、エリア種別、予約開始日時、予約時間、予約者の氏名、予約者の所属部署、予約者の出勤実績の欄を備える。
【0029】
席番号の欄は、フリーアドレス化された全ての席に付与された通し番号を示す。
図4では全ての席を異なる番号としたが、ビルごとやフロアごとの番号でもよい。
ビル名の欄は、該当する番号の席を有するオフィスのビル名を示す。
フロアの欄は、該当する番号の席が設置された階床を示す。
エリア種別の欄は、該当する番号の席のエリア種別を示す。具体的には、
図1に示すオフィス100aの営業1課エリア101、営業2課エリア102、営業3課エリア103などのエリアに割り当てられた部署の名称を示す。
【0030】
予約開始日時の欄は、該当する番号の席に予約がある場合の、予約された開始日時を示す。例えば、
図4の席番号1の例では、2021年7月25日9時00分からの予約があることを示す。
なお、該当する席が、何らかの要因で、予約ができない割当不可の席である場合には、この予約開始日時の欄に割当不可が示される。なお、この割当不可の情報は、
図4に図示されていない、その他の欄に記録してもよい。
予約時間の欄は、開始時間からの予約時間を1時間単位で示す。例えば、
図4の席番号1の例では、予約時間が8時間となっている。したがって、この席番号1の席は、2021年7月25日9時00分から17時00分まで予約されている状態であることを示している。
【0031】
予約者の氏名の欄は、予約を行った勤務者の氏名を示す。
予約者の所属部署の欄は、予約を行った勤務者が所属する部署名が示される。この部署名は、例えば、勤務者が予約を行った際に、席予約サーバ10は、社内の勤務者と所属部署との対応を示す、不図示の勤務者データベースを参照して判断する。
予約者の出勤実績の欄は、予約された勤務者が実際に出勤した日時が実績として記録される。この出勤実績は、席予約サーバ10が入退管理サーバ20から情報を取得して記録される。
なお、
図4に示す席予約データベースでは、説明を簡単にするために、各席番号で1つの予約だけを示すが、実際にはそれぞれの席は、日付や時刻が重ならない範囲で多数の予約が可能である。なお、何日先までの予約が可能かは、予め決めておく必要がある。
また、席予約データベース11aの各席の情報には、席やデスクの形態についての情報を付加してもよい。例えば、一般執務用デスク、大型ディスプレイ付きデスクなどの情報を付加してもよい。これらの席やデスクの付加情報は、該当する席がユーザ端末40で候補として表示される際に、席の種別として表示される。
【0032】
[入場者データベースのデータ例]
図5は、入退管理サーバ20の外部記憶装置21が記憶する入場者データベース21aのデータ構造の例を示す。
入場者データベース21aは、項目として、氏名、ビル名、所属部署、入場日、入場時刻、退場時刻の欄を備える。
【0033】
氏名の欄は、入場者の氏名を示す。
ビルの欄は、入場者が入場したビル名を示す。
所属部署の欄は、入場者が所属する部署名を示す。この部署名についても、不図示の勤務者データベースを参照して判断される。
【0034】
入場日の欄は、入場者が入場した日付を示す。
入場時刻の欄は、ゲート装置50,60で入場を検出した入場時刻を示す。
退場時刻の欄は、ゲート装置50,60で退場を検出した退場時刻を示す。
【0035】
[席予約サーバによる予約受付処理の流れ]
図6は、席予約サーバ10による予約受付処理の流れを示すフローチャートである。
この予約受付処理は、席予約サーバ10の予約受付部13aで、ユーザ端末40からの予約要求の受付があることで開始される(ステップS11)。この予約の受付時には、席予約サーバ10は、ユーザ端末40を操作している勤務者U1のコード情報などに基づいて、氏名や所属部署を取得する。また、席予約サーバ10は、ユーザ端末40から席の予約を希望する日付と時間を取得する。
【0036】
そして、席予約サーバ10の判定部13bは、外部記憶装置11に保存される席予約データベース11aの情報を照会する(ステップS12)。この席予約データベース11aの情報の照会で、判定部13bは、予約要求があった勤務者U1の所属部署のエリアに、希望する時間帯に空席があるか否かを判定する判定処理を行う(ステップS13)。
【0037】
このステップS13で空席があった場合には(ステップS13のYes)、席予約サーバ10の出力部13dは、ユーザ端末40に空席情報を返送する(ステップS18)。このステップS18では、該当する所属部署のエリアの空席の席の番号のリストや、空席を示すグラフィック画面などをユーザ端末40に送り、ユーザ端末40でこれらを表示させる。
なお、このステップS18で返送する空席情報としては、対象となるエリア内の空席から席予約サーバ10が選んだ、複数の席を候補として示すのが好ましい。あるいは、対象となるエリアの全ての空席を候補として示してもよい。逆に、席予約サーバ10が対象となるエリアから、予約者に最適な特定の1つの席だけを示すようにしてもよい。
【0038】
また、ステップS13で空席がなかった場合には(ステップS13のNo)、さらに判定部13bは、外部記憶装置11に保存される席予約データベース11aの情報を照会する(ステップS14)。そして、判定部13bは、予約要求があった勤務者U1の所属部署のエリアに隣接する別の部署のエリアに、希望する時間帯に空席があるか否かを判定する(ステップS15)。例えば、予約要求者が営業1課に所属し、
図1に示す営業1課エリア101に空席がない場合に、判定部13bは、営業2課エリア102に空席があるか否かを判断する。あるいは、営業1課エリア101に隣接していない場合でも、近隣のエリア、
図1の例では営業3課エリア103を隣接したエリアとしてもよい。
【0039】
このステップS15で空席があった場合には(ステップS15のYes)、席予約サーバ10の出力部13dは、ステップS18に移って、ユーザ端末40に隣接エリアの空席情報を返送する出力処理を行う。
【0040】
また、ステップS15で隣接エリアにも空席がなかった場合には(ステップS15のNo)、さらに判定部13bは、外部記憶装置11が記憶する席予約データベース11aの情報を照会する(ステップS16)。そして、判定部13bは、希望する時間帯にオープンエリアに空席があるか否かを判定する(ステップS17)。
【0041】
このステップS17でオープンエリアに空席があった場合には(ステップS17のYes)、席予約サーバ10の出力部13dは、ステップS18に移って、ユーザ端末40にオープンエリアの空席情報を返送する。
【0042】
さらに、ステップS17でオープンエリアにも空席がなかった場合には(ステップS17のNo)、席予約サーバ10の出力部13dは、ユーザ端末40に空席無しの情報を返送する(ステップS19)。
【0043】
[席予約サーバによる予約登録処理の流れ]
図7は、席予約サーバ10による予約登録処理の流れを示すフローチャートである。
先に説明した
図6のフローチャートに示す予約受付処理で、ユーザ端末40は、ステップS18において、候補となる席が1つ又は複数示された空席情報を取得する。この空席情報で示された席の中から、勤務者U1の操作により希望する席が選ばれ、席予約サーバ10の選択受付部13cは、選択された席の予約要求を取得する(ステップS21)。
【0044】
このとき、席予約サーバ10の選択受付部13cは、受付けた席のエリアが勤務者U1の所属部署のエリアであるか否かを判断する(ステップS22)。このステップS22で、受付けた席のエリアが勤務者U1の所属部署のエリアである場合(ステップS22のYes)、選択受付部13cは、席予約データベース11aの所属エリアの席について、受付けた予約内容を登録する(ステップS23)。
【0045】
また、ステップS22で、受付けた席のエリアが勤務者U1の所属部署のエリアでない場合(ステップS22のNo)、受付けた席のエリアが勤務者U1の所属部署のエリアに隣接するエリアであるか否かを判断する(ステップS24)。このステップS24で、受付けた席のエリアが勤務者U1の所属部署のエリアに隣接するエリアである場合(ステップS24のYes)、選択受付部13cは、席予約データベース11aの該当する隣接エリアの席について、受付けた予約内容を登録する(ステップS25)。
【0046】
さらに、ステップS24で、受付けた席のエリアが勤務者U1の所属部署のエリアに隣接するエリアでもない場合(ステップS24のNo)、つまりオープンエリアが選択されたとき、選択受付部13cは、席予約データベース11aのオープンエリアの席について、受付けた予約内容を登録する(ステップS26)。
【0047】
そして、ステップS23,S25,S26で選択受付部13cが予約内容の登録を行った後に、出力部13dは、ユーザ端末40に対して、予約登録した結果を回答し(ステップS27)、予約登録処理を終了する。
【0048】
[席予約サーバによる使用開始登録処理の流れ]
図8は、席の予約がある勤務者が該当するビルに入場して予約席の使用を開始したときの、席予約サーバ10での使用開始登録処理の流れを示すフローチャートである。
まず、席予約サーバ10は、入退管理サーバ20から入場者の情報を受信する(ステップS31)。このとき、席予約サーバ10の判定部13bは、外部記憶装置11に保存されている席予約データベース11aの予約情報を照会する(ステップS32)。この照会で、判定部13bは、入場者について、入場者の所属部署のエリア又は隣接エリアでの予約があるか否かを判断する(ステップS33)。
【0049】
このステップS33で、入場者の所属部署のエリア又は隣接エリアでの予約がある場合には(ステップS33のYes)、席予約サーバ10の出力部13dは、席予約データベース11aの実績欄(
図4)に、該当者の入場実績を登録する(ステップS34)。
【0050】
また、ステップS33で、入場者の所属部署のエリアでの予約がない場合(ステップS33のNo)、並びにステップS34で入場実績を登録した後、さらに席予約サーバ10の判定部13bは、外部記憶装置11が記憶する席予約データベース11aの予約情報を照会する(ステップS35)。この照会で、判定部13bは、入場者について、オープンエリアでの予約があるか否かを判断する(ステップS36)。
このステップS36で、オープンエリアでの予約がある場合には(ステップS36のYes)、出力部13dは、席予約データベース11aの実績欄(
図4)に、該当者の入場実績を登録する(ステップS37)。
【0051】
そして、ステップS36で予約がない場合(ステップS36のNo)、並びにステップS37で入場実績を登録した後、使用開始登録処理を終了する。なお、ステップS36で予約がない場合(ステップS36のNo)には、席の予約が無い勤務者が入場したことを、席予約サーバ10が管理端末30などに通知してもよい。
【0052】
[席予約サーバでの予約検索処理の流れ]
本例のシステムで勤務者が席予約を行う際には、同じ部署の他の特定の勤務者の席の予約状況を検索して、同じ部署のエリアの予約状況をユーザ端末40で確認することができる。
図9は、席予約サーバ10で同じ部署の他の勤務者の席の予約状況を検索する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【0053】
まず、席予約サーバ10の予約受付部13aは、ユーザ端末40から予約検索要求を受付ける(ステップS41)。
予約受付部13aが予約検索要求を受付けたとき、予約受付部13aはユーザ端末40を操作している勤務者U1の検索権限を確認する(ステップS42)。この検索権限では、例えば勤務者U1と同じ部署の勤務者についての検索要求であるとき、権限ありとする。あるいは、勤務者U1の役職に応じて、権限を設定してもよい。
【0054】
そして、ステップS42で確認した権限を有する範囲内で、判定部13bは、外部記憶装置11に保存されている席予約データベース11aの予約情報を照会する(ステップS43)。この照会で、判定部13bは、問い合わせた同じ部署のエリア又は隣接エリアに予約があるか否かを判断する(ステップS44)。
【0055】
ステップS44で、予約検索要求を行った勤務者と同じ部署のエリア又は隣接エリアに予約がある場合には(ステップS44のYes)、席予約サーバ10の出力部13dは、予約状況の検索を指示したユーザ端末40に対して、予約された席の位置と予約済みの時間帯、並びに出勤しているか否かの実績を回答する(ステップS45)。この回答された情報は、ユーザ端末40に表示される。
【0056】
ステップS44で、予約検索要求を行った勤務者と同じ部署のエリア又は隣接エリアに予約がない場合(ステップS44のNo)には、判定部13bは、外部記憶装置11が記憶する席予約データベース11aの予約情報をステップS42で確認した権限を有する範囲内で照会する(ステップS46)。このステップS46の予約データベースの照会は、ステップS45で、同じ部署のエリア又は隣接エリアの予約された席の位置などを回答した後についても、ステップS42で確認した権限を有する範囲内で行われる。
【0057】
このステップS46の照会で、判定部13bは、同じ部署の問い合わせた勤務者が、オープンスペースに予約があるか否かを判断する(ステップS47)。
ステップS47で、オープンスペースに予約がある場合には(ステップS47のYes)、席予約サーバ10の出力部13dは、予約状況の検索を指示したユーザ端末40に対して、予約された席の位置と予約済みの時間帯、並びに出勤しているか否かの実績を回答する(ステップS48)。この回答された情報についても、ユーザ端末40に表示される。
ステップS47で、オープンスペースに予約がない場合(ステップS47のNo)、並びにステップS48で、オープンスペースの予約された席の位置などを回答した後に、席予約サーバ10は予約検索処理を終了する。
【0058】
[ユーザ端末での表示画面の例]
図10及び
図11は、スマートフォンで構成されるユーザ端末40での表示画面の例を示す。
図10は、ユーザ端末40で席の予約を行った際の予約画面の例を示す。
この予約画面は、
図7のフローチャートのステップS27での席予約サーバ10からの回答に基づいた表示例である。
【0059】
図10の例では、ユーザ端末40は、予約した席のビル名、フロア名、部署エリア名、予約日、開始時間、終了時間、予約者名、席番号、席数と席(デスク)の形態とを表示している。
なお、予約した席の位置がわかるように、該当するエリアの見取り図を表示させて、その見取り図中に、予約した席を示すようにしてもよい。
【0060】
図11は、ユーザ端末40で、他の勤務者の検索を行った際の検索画面の例を示す。
この検索画面は、
図9のフローチャートのステップS45又はS48での席予約サーバ10からの回答に基づいた表示例である。
図11の例では、ユーザ端末40は、検索を行う勤務者名の選択箇所と検索ボタンを表示し、その検索結果として、予約席がある場所であるビル名、フロア名、部署エリア名、席番号、予約日、開始時間、終了時間を表示している。
この検索画面でも、該当する席の置がわかるように、該当するエリアの見取り図を表示させて、その見取り図中に、予約した席を示すようにしてもよい。
【0061】
[本実施の形態例のシステムによる効果]
以上説明した本例のオフィスの席予約システムによると、各勤務者は、出勤前に事前に自分が出勤時に着席する席を、希望するエリアから選択できるようになる。したがって、出勤した際に希望した部署などのエリアに着席できないことがなく、フリーアドレス化したオフィスでの各勤務者の勤務環境を適切にすることができる。
【0062】
また、勤務者が所属した部署のエリアに空席がない場合には、席予約サーバ10から所属部署のエリアに隣接したエリアを候補として提示するため、希望する部署に隣接した箇所の席を予約でき、各エリアが満席時にも適切な席予約ができる。さらに、隣接したエリアにも空席がない場合には、各部署で共通して利用できるエリアであるオープンエリアの空席を候補として提示するため、各エリアが満席状態での適切な席予約ができる。
【0063】
さらに、同じ部署内の別の勤務者が予約した席などの、業務を行う上で近くに座ることが好ましい者の席の予約状況を検索して確認できるため、本来は近くにいることが好ましい勤務者同士が、フリーアドレス化で離れて座ってしまうことを阻止することができる。
【0064】
さらに、席予約サーバ10では、入退管理サーバ20からの情報に基づいて、席予約が行われた勤務者の出勤状況及び退出状況を記録するようにしたことで、予約した席が実際に使用されているか否かを席予約データベース11aの情報から判断することができる。したがって、管理サーバ30などで席予約が適正か否かを管理できるようになる。
【0065】
[変形例]
なお、ここまで説明した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
例えば、上述した各実施の形態例では、各エリア内で席は勤務者が候補となる席から自由に選べるようにした。これに対して、席予約サーバ10は、予約できる席に制限を設けるようにしてもよい。
【0066】
図12は、予約できる席に制限を設ける場合の一例を示す。
この
図12の例では、オフィス100a内に配置された席を、1つ毎に間隔をあけて予約可とし、「×」で印を付けた席は予約不可としたものである。例えば、営業1課エリア101では、席101a,101c,101e,101h,101j,101lを予約可の席とし、他の席101b,101d,101f、101g,101i,101kを予約不可とする。
他のエリア102,103やオープンエリア104についても、同様に「×」で印を付けた席は予約不可とする。
【0067】
この
図12に示すように1つ毎に間隔をあけて予約可とすることで、勤務時に各勤務者がある程度の間隔をあけて座ることになり、オフィス内での密集を防いだ適切な勤務環境が得られるようになる。この予約できない席の設定は、固定的に決めてもよいが、それぞれの出勤日の出勤者数の予測などに基づいて、可変で設定してもよい。例えば、月曜日などの特定の曜日や月末などで出勤者数が多いことが予想される日については、予約できない席を少なく設定し、出勤者数が少ないと予想される日は、予約できない席を多く設定して、出勤者数が多い場合と少ない場合のいずれの場合でも、密集を防いだ適切な勤務環境を提示してもよい。
【0068】
なお、席予約サーバ10は、予約受付当初に、
図12に示すように間隔をあけた予約を行うようにして、予約された席に空きがなくなった段階で、「×」で印を付けた席を予約できるように開放して、出勤者が少ない状況の場合のみ密集を避ける配置としてもよい。この予約不可の席の設定は、例えば管理端末30での操作で行うのが好ましい。
【0069】
さらに、席予約サーバ10が各勤務者に予約できる席の候補を提示する際には、単純にエリアだけを選んでそのエリア内の空席から候補を提示するのではなく、予め決められた条件に基づいて、エリア内の席の特定の席を候補として提示してもよい。
例えば、特定の勤務者が選択する席が、特定の部署エリアのいつもほぼ同じ場所であるとき、席予約サーバ10は、その普段利用する席を候補として最優先で提示してもよい。
逆に、同じエリア内でも、一ヶ月ごとや季節ごとに、いつも座っている席とは違う場所の席を候補として提示して、定期的な席の移動を促すようにしてもよい。
【0070】
また、予約時に勤務者が希望した勤務時間が残業時間を含む場合や休日出勤時の予約時に、席予約サーバ10が提示する席を、所属部署エリア内の特定箇所とすることで、残業時や休日出勤時の勤務者の執務エリアを1箇所に集約して、空調や照明の適切使用を図るようにしてもよい。
【0071】
また、上述した実施の形態例では、エリアとして、各勤務者の所属部署のエリアとしたが、より細かく勤務者の条件を分けて、候補エリアを対応させてもよい。例えば、営業1課の中の特定のグループに所属した勤務者については、営業1課エリア内のさらに所属グループ用のエリアを設定して、そのエリアを候補として提示してもよい。あるいは、所属グループ用のエリアを事前に設定しない代わりに、該当するグループの勤務者については、営業1課エリア内で常に近い位置になるように候補を提示して、結果的に座る位置がグループ内で近接するようにしてもよい。
【0072】
さらに、勤務者の役職に応じて、席予約サーバ10が自動的に、エリア内で適切な候補の席を選ぶようにしてもよい。例えば、各エリアの部署を統括する管理職(例えば部長)の席を、エリア内の特定の固定した位置とした上で、課長や係長などの部長の下の役職を持つ者が席を選ぶ際には、席予約サーバ10が自動的に部長の席に近い席を候補の席として選んで、ユーザ端末40に提示してもよい。
【0073】
また、席予約サーバ10が予約候補としてユーザ端末40に提示した席が、勤務者にとって何らかの理由で避けたい場合(例えば空調が強く効く席、窓からの直射日光が入る席など)には、ユーザ端末40からの指示で、席予約サーバ10は、その候補席を除いた候補席の再検索ができるようにしてもよい。
【0074】
また、
図2及び
図3に示す構成図では、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものだけを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0075】
なお、オフィスの席予約システムをコンピュータなどの情報処理装置で構成した場合に、オフィスの席予約システムを実現するプログラムについては、コンピュータ内の不揮発性ストレージやメモリに用意する他に、外部のメモリ、ICカード、SDカード、光ディスク等の記録媒体に置いて、転送してもよい。
【符号の説明】
【0076】
10…席予約サーバ、11…外部記憶装置、11a…席予約データベース、12…CPU、13…主記憶装置、13a…予約受付部、13b…判定部、13c…選択受付部、13d…出力部、14…ネットワークインタフェース、20…入退管理サーバ、21…外部記憶装置、21a…入場者データベース、22…CPU、23…主記憶装置、23a…入場者登録部、23b…入場権限確認部、23c…入場許可者情報配信部、23d…入場情報受信部、23e…入場実績送信部、30…管理端末、40…ユーザ端末、50…ゲート装置、51…制御部、100,200…ビル、100a…オフィス、101…営業1課エリア、102…営業2課エリア、103…営業3課エリア、U1…勤務者