(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、配分方法、および配分プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0241 20230101AFI20240829BHJP
G06Q 30/0251 20230101ALI20240829BHJP
【FI】
G06Q30/0241
G06Q30/0251
(21)【出願番号】P 2021121447
(22)【出願日】2021-07-26
(62)【分割の表示】P 2020179016の分割
【原出願日】2020-10-26
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】320005501
【氏名又は名称】株式会社電通
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100174528
【氏名又は名称】木村 晋朗
(72)【発明者】
【氏名】小林 晋
(72)【発明者】
【氏名】中野 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】横野 芳弥
(72)【発明者】
【氏名】浅田 泰平
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-30671(JP,A)
【文献】特開2013-41335(JP,A)
【文献】特開2008-117077(JP,A)
【文献】特許第6762483(JP,B1)
【文献】特開2017-146949(JP,A)
【文献】特開2002-24525(JP,A)
【文献】特開2017-151821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送地区に対する出稿量と、前記出稿量での前記放送地区におけるターゲット層に対するリーチとの関係、前記放送地区における前記ターゲット層の人数、および前記放送地区における視聴率単価に基づいて、前記放送地区に対する広告の出稿金額と、前記放送地区への前記広告の出稿によるターゲットの獲得人数との関係を表すモデルを生成する制御部を含む、情報処理装置。
【請求項2】
複数の放送地区の各放送地区ごとに生成されている前記モデルに基づき、出稿金額の追加に対する前記ターゲットの獲得人数の変化の割合が最も大きい第1の放送地区を、前記複数の放送地区のうちから特定する特定部と、
前記第1の放送地区への前記広告の出稿量が増えるように予算を配分する配分部と、
を更に含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
放送地区に対する広告の出稿金額と、前記放送地区への前記広告の出稿によるターゲット獲得効果推定値との関係を表すモデルであって、複数の放送地区の各放送地区ごとに生成されている前記モデルに基づき、出稿金額の追加に対する前記ターゲット獲得効果推定値の変化の割合が最も大きい第1の放送地区を、前記複数の放送地区のうちから特定する特定部と、
前記第1の放送地区への前記広告の出稿量が増えるように予算を配分する配分部と、
を含む、情報処理装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記配分部により配分された追加予算を含む前記第1の放送地区の増加後の出稿金額において、前記第1の放送地区への更なる出稿金額の追加に対する前記ターゲット獲得効果推定値の第2の変化の割合を特定し、前記第2の変化の割合に基づいて、前記複数の放送地区のうちから、前記ターゲット獲得効果推定値の変化の割合が最も大きい第2の放送地区を特定する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記特定部は、前記配分部が前記第1の放送地区への前記広告の出稿量が増えるように前記予算を配分した結果、前記第1の放送地区への前記広告の出稿量が所定の判定条件を満たして過多となった場合、前記複数の放送地区のうちから前記第1の放送地区を除外した残りの放送地区のうちから、前記ターゲット獲得効果推定値の変化の割合が最も大きい第3の放送地区を特定する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
所定の出稿条件を満たすように前記複数の放送地区に対する一次出稿量を決定し、前記一次出稿量と対応する出稿金額を、前記広告を前記複数の放送地区に対する出稿するための全体予算から除いて前記予算を生成する生成部、を更に含む、請求項3から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記モデルは、更に、前記広告を出稿する放送枠の枠取りの仕方を指定するゾーン指定の種類ごとに生成されており、
前記ゾーン指定の種類は、逆L型、全日型、ヨの字型、コの字型、逆F型、深夜型、および全日昼型を含むゾーンを含み、
前記特定部は、前記広告の出稿依頼において指定されたゾーンと対応する前記モデルに基づき、出稿金額の追加に対する前記ターゲット獲得効果推定値の変化の割合が最も大きい前記第1の放送地区を特定する、請求項3から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置により実行される配分方法であって、
前記情報処理装置が、
放送地区に対する広告の出稿金額と、前記放送地区への前記広告の出稿によるターゲット獲得効果推定値との関係を表すモデルであって、複数の放送地区の各放送地区ごとに生成されている前記モデルに基づき、出稿金額の追加に対する前記ターゲット獲得効果推定値の変化の割合が最も大きい第1の放送地区を、前記複数の放送地区のうちから特定し、
前記第1の放送地区への前記広告の出稿量が増えるように予算を配分する、
ことを含む、配分方法。
【請求項9】
放送地区に対する広告の出稿金額と、前記放送地区への前記広告の出稿によるターゲット獲得効果推定値との関係を表すモデルであって、複数の放送地区の各放送地区ごとに生成されている前記モデルに基づき、出稿金額の追加に対する前記ターゲット獲得効果推定値の変化の割合が最も大きい第1の放送地区を、前記複数の放送地区のうちから特定し、
前記第1の放送地区への前記広告の出稿量が増えるように予算を配分する、
処理を、情報処理装置に実行させる配分プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、配分方法、および配分プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、地上波放送などのテレビ放送においては、広告としてコマーシャル(CM:Commercial Message)が放送される。CMは、例えば、タイムCM(time CM)およびスポットCM(spot CM)に大別される。タイムCMは、例えば、番組と一体で売買される枠で放送されるCMであって、プログラムコマーシャル(program commercial)、番組CM、提供CMなどと呼ばれてもよい。
【0003】
スポットCMは、例えば、番組に関係なくテレビ局が定めた時間に挿入されるCMである。スポットCMは、番組間で放送されるステーションブレイク(SB:Station Break)、番組内に挿入されるが提供表示が付かないパーティシペーション(PT:Participation)またはパーティシペーティングCMなどに分けられる。
【0004】
スポットCMでは、例えば、広告枠の売買の際にCMの放送時間を特定せずに、所定期間に集中的にCMが放送される。スポットCMでは、例えば、CMを放送する時間帯のパターンによってCMの放送枠の購入が行われる。
【0005】
これに関し、広告出稿の最適化を行うことに関連する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スポットCMの取引は、一般に放送地区ごとに行われている。例えば、放送地区ごとに放送局と交渉してプランニングが行われ、出稿量が決定されている。そして、複数の放送地区の全体でみて、広告効果が高まるように出稿量を適切にプランニングすることのできる技術はなかった。
【0008】
1つの側面では、本発明は、複数の放送地区の全体として広告効果が高まるように出稿量をプランニングすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの態様の情報処理装置は、放送地区に対する出稿量と、出稿量での放送地区におけるターゲット層に対するリーチとの関係、放送地区におけるターゲット層の人数、および放送地区における視聴率単価に基づいて、放送地区に対する広告の出稿金額と、放送地区への広告の出稿によるターゲットの獲得人数との関係を表すモデルを生成する制御部を含む。
【発明の効果】
【0010】
複数の放送地区の全体として広告効果が高まるように出稿量をプランニングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る放送地区の評価を例示する図である。
【
図2】実施形態に係る情報処理装置のブロック構成を例示する図である。
【
図3】実施形態に係るリーチ曲線を例示する図である。
【
図4】実施形態に係るターゲット獲得モデルを例示する図である。
【
図5】実施形態に係るターゲットの獲得効率のよい放送地区の特定を例示する図である。
【
図6】実施形態に係る出稿情報を例示する図である。
【
図7】例示的な放送地区Aのリーチ曲線を示す図である。
【
図8】実施形態に係る予算配分処理の動作フローを例示する図である。
【
図9】実施形態に係る調整情報を例示する図である。
【
図10】実施形態に係る情報処理装置を実現するためのコンピュータのハードウェア構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。なお、複数の図面において対応する要素には同一の符号を付す。
【0013】
上述のように、例えば、顧客からスポットCMの広告キャンペーンの依頼があると、放送地区ごとに放送局との交渉が行われ、CMの出稿のプランニングが行われる。例えば、日本の場合、全国で放送地区は32地区に分けることができ、関東、名古屋などの放送地区ごとに個別にCMの出稿量が決定されている。
【0014】
しかしながら、複数の放送地区に出稿する場合に、放送地区によって同じ出稿金額をかけてもCMをリーチさせることのできるターゲットの人数が異なることがある。そして、本願の発明者らは、出稿金額に対してCMをリーチさせることができるターゲットの人数が多い放送地区からCMの放送枠を獲得することができれば、複数の放送地区を全体として見たときに広告効果を改善することができると考えた。そこで、以下で述べる実施形態では、例えば、複数の放送地区のうちで、出稿金額に対してCMをリーチさせることができるターゲットの人数が多い放送地区からCMの放送枠を獲得するように、放送地区に対する出稿量を決定する。それにより、顧客は、広告キャンペーンの出稿金額を増やさなくても、より多くのターゲットに広告を届けることが可能となる。以下、実施形態を更に詳細に説明する。なお、以下では、広告の例としてスポットCMを例に説明を行うが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、放送地区ごとの出稿金額と、その放送地区での広告によるターゲットの獲得人数とを対応づけることが可能なその他の広告に、実施形態が適用されてもよい。
【0015】
図1は、実施形態に係る放送地区の評価を例示する図である。
図1では、日本地図が放送地区ごとに区分けされて示されている。また、
図1では、例として、CMがリーチしたターゲット(例えば、F1層)の人数を1000人増やすのにかかる費用に応じて放送地区の濃さが設定されており、色が濃いほど費用が高額であることを表している。例えば、関東地方、および中国・四国地方の放送地区は、
図1に示す放送地区の中では比較的に費用が高額であることが分かる。一方、近畿地方の放送地区は、
図1に示す放送地区の中で比較的に費用が低額であることが分かる。
【0016】
この様なCMがリーチしたターゲットの獲得にかかる費用の放送地区間での差異が生じる一因としては、例えば、放送地区ごとに視聴率1%あたりの単価が異なっていたり、ターゲットの人口が異なっていたりすることなどが挙げられる。そして、例えば、CMがリーチしたターゲットの獲得にかかる費用が高額な関東地方および中国・四国地方の放送地区へのCMの出稿量を削って、費用が低額な近畿地方の放送地区に移すことで、放送地区の全体での出稿金額を増やさなくても、CMがリーチするターゲットの人数を増やすことができる。その結果、複数の放送地区を全体として見たときに広告効果を高めることができる。以下、実施形態に係る複数の放送地区の各放送地区への出稿量の決定について更に説明する。
【0017】
図2は、実施形態に係る情報処理装置200のブロック構成を例示する図である。情報処理装置200は、例えば、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、モバイル端末、およびタブレット端末などの演算機能を備えるコンピュータであってよい。情報処理装置200は、例えば、制御部201および記憶部202を含む。制御部201は、例えば特定部211、配分部212、および生成部213などを含み、またその他の機能部を含んでもよい。情報処理装置200の記憶部202は、例えば、後述するリーチ曲線300、ターゲット獲得モデル400、出稿情報600、および調整情報900などの情報を記憶している。これらの各部の詳細および記憶部202に格納されている情報の詳細については後述する。
【0018】
図3は、実施形態に係るリーチ曲線300を例示する図である。なお、リーチ曲線は、例えば、リーチカーブ、モデルカーブなどと呼ばれてもよい。リーチ曲線300は、放送地区に対する出稿量に対するリーチの関係を示すモデルである。リーチ曲線300において縦軸はリーチである。リーチは、例えば、CMの到達率、累積到達率、有効リーチ、CM認知率などを含んでよい。有効リーチは、例えば、対象の放送地区のターゲットのうちで、CMが所定回数以上でリーチしたターゲットが占める割合であっても、または、所定回数でリーチしたターゲットが占める割合であってもよい。
【0019】
リーチ曲線300の横軸は、例えば、対象の放送地区に対する出稿量を示す値である。出稿量は、例えば、GRP(Gross Rating Point)、TRP(Target Rating Point)、ALL(P+C7)などの延べ視聴率で表すことができる。
【0020】
また、リーチ曲線300は、例えば、放送地区への出稿量と、その出稿量におけるリーチとを対応づけたデータ点を複数収集し、回帰分析により、その複数のデータ点を当てはめて回帰曲線モデルのパラメータを決定することで生成することができる。なお、データ点の情報は、一例では、過去の出稿の実績データなどを平準化することで取得することができる。回帰曲線モデルには、例えば、ロジスティック曲線、ゴンペルツ曲線などの曲線を利用することができる。或いは、リーチ曲線300は、確率分布のパラメータを決定することで生成されてもよい。この場合、モデルの生成には、例えば、二項分布、メソリンガムなどを利用することができる。また、パラメータの決定のために用いるデータ点の出稿量と、その出稿量におけるリーチの情報は、例えば、調査会社の視聴率調査の結果などから入手することができる。或いは、これらの情報は、例えば、インターネットに結線されたテレビの視聴ログを利用して収集されてもよい。また、リーチには、例えば、調査結果などに基づき推定されたモデル値を利用してもよい。
【0021】
そして、リーチ曲線300を用いることで、制御部201は、例えば、放送地区への出稿量に応じたターゲットのリーチを特定することができる。しかしながら、上述のように、例えば、視聴率1%あたりの単価、およびターゲットの人口は、放送地区ごとに異なり得る。そのため、例えば、複数の放送地区間でリーチ曲線300を比較しても、どの放送地区に出稿するとターゲットに効率よくCMを届けることができるのかを特定することが難しいことがある。
【0022】
そこで、実施形態ではターゲット獲得モデル400を生成する。
図4は、実施形態に係るターゲット獲得モデル400を例示する図である。
図4のターゲット獲得モデル400において縦軸は、例えば、放送地区においてCMの出稿により獲得されるターゲットの人数である。なお、以下の説明では、ターゲット層のうちでCMが所定条件を満たしてリーチした人を、ターゲットの例として説明を行うが、実施形態はこれに限定されるものではなく、その他の条件を満たす人がターゲットに設定されていてもよい。ターゲット層は、例えば、マーケティングの分野で用いられる性・年齢別区分(C(Child)層、T(Teen)層、M(Male)1-M3層、F(Female)1-F3層)であってよいが、これに限られない。ターゲット獲得モデル400の横軸は、例えば、放送地区に出稿した出稿金額である。
【0023】
そして、一例では、ターゲット獲得モデル400は、リーチ曲線300の縦軸のリーチに放送地区におけるターゲット層の人口を乗じ、また、リーチ曲線300の横軸の出稿量に、放送地区における視聴率単価を乗じることで生成されてよい。
【0024】
なお、放送地区のターゲット層の人口は、例えば、放送地区のターゲット層の人口全体を指してもよく、放送地区の地上波テレビ視聴可能世帯および個人のうちのターゲット層の人口を指してもよく、或いは、放送地区にけるターゲット層の人口を表すその他の指標値であってもよい。放送地区におけるターゲット層の人口に関する情報は、例えば、国勢調査の結果などから取得することができる。また、放送地区のターゲット層の人口には、例えば、調査結果に基づき推定されたモデル値を利用してもよい。
【0025】
制御部201は、例えば、以上のようなターゲット獲得モデル400を放送地区ごとに生成する。そして、制御部201は、ターゲット獲得モデル400において出稿金額の追加に対するターゲットの獲得人数の変化の割合が最も大きい放送地区を、ターゲットを効率よく獲得できる放送地区として、複数の放送地区のうちから特定してよい。
【0026】
図5は、実施形態に係るターゲットの獲得効率のよい放送地区の特定を例示する図である。
図5(a)には、放送地区A、放送地区B、および放送地区Cの3つの放送地区のターゲット獲得モデル400が示されている。
【0027】
この場合に、制御部201は、出稿金額の追加に対するターゲットの獲得人数の変化の割合が最も大きい放送地区を、ターゲットの獲得効率が良い放送地区として特定する。なお、出稿金額の追加に対するターゲットの獲得人数の変化の割合を表す指標として、一例では、放送地区に現在既に割り当てられている出稿金額におけるターゲット獲得モデル400の接線の傾きを用いることができる。
【0028】
例えば、放送地区Aでは、現在既に割り当てられている出稿金額が780万円であり、この出稿金額におけるターゲット獲得モデル400の接線の傾きがaであるとする。また、放送地区Bでは、現在既に割り当てられている出稿金額が830万円であり、この出稿金額におけるターゲット獲得モデル400の接線の傾きがbであるとする。放送地区Cでは、現在既に割り当てられている出稿金額が810万円であり、この出稿金額におけるターゲット獲得モデル400の接線の傾きがcであるとする。
【0029】
この場合に、制御部201は、各放送地区から得た接線の傾きの大きさを比較することで、出稿金額の追加に対してターゲットを効率よく獲得できる放送地区を特定してよい。例えば、放送地区Aの傾き:a、放送地区Bの傾き:b、および放送地区Cの傾き:cを比較すると、a>c>bとなるとする。この場合、放送地区Aの傾きが一番大きく、新たに投下する出稿金額に対して一番効率的にターゲットを獲得できることが分かる。そのため、制御部201は、例えば、放送地区AからCMの放送枠を取得してよい。
図5(b)では、残りの予算を用いて放送地区Aから最初の放送枠の取得が行われている。
【0030】
なお、放送地区に出稿する金額を追加すると、その分だけ対象の放送地区に配分される出稿金額が増えるため、ターゲット獲得モデル400の接線の傾きが変化する。そのため、例えば、残りの予算の全てを放送地区Aに出稿した場合、或る出稿金額までは放送地区Aでのターゲットの獲得効率が最も高いとしても、その金額を超えると他の放送地区の方がターゲットの獲得効率が高くなることがある。そのため、放送地区からのCMの放送枠の取得は、
図5(b)に示すように、段階的に実行されてよい。例えば、各段階で放送地区に追加する出稿金額は所定の単位で実行されてよい。一例では、放送局との放送枠の取引が延べ視聴率単位で行われるため、対象の放送地区で所定量の延べ視聴率を取得するのにかかる金額の単位で残りの予算から追加予算が、ターゲットの獲得効率の最も高い放送地区に配分されてよい。また、取得の単位として用いる所定量は、1GRP単位から100GRP単位など任意に設定されてよい。
【0031】
そして、放送地区に追加予算を配分するたびに、その放送地区の傾きの値を再度取得して他の放送地区から得られた傾きと比較することで、次に予算を割り当てる放送地区を決定することができる。この様に、段階的に放送地区に予算を割り当ててゆくことで、ターゲットを効率的に獲得するように、残りの予算を放送地区に配分することができる。例えば、
図5(b)では、A→A→A→C→A→B→A→Cの順で残りの予算から追加予算が放送地区へと配分される例が示されている。
【0032】
以上で述べたように、出稿金額とターゲットの獲得人数の関係を表すターゲット獲得モデル400を用いることで、効率的にターゲットを獲得できる放送地区に予算を配分することができる。
【0033】
続いて、実施形態に係る一次出稿量の決定について説明する。
【0034】
上述のように、スポットCMの取引は、放送地区ごとに放送局との交渉が行われている。そのため、例えば、顧客からの放送地区ごとの出稿量が指定されて広告の出稿依頼を受けることがある。
【0035】
図6は、実施形態に係る出稿情報600を例示する図である。
図6の例では出稿情報600には、放送地区と、その放送地区に対して顧客から指定された出稿GRPとが対応付けられたレコードが登録されている。なお、
図6の例では、ほとんどの放送地区が1000GRPに指定されているが、放送地区O、および放送地区Pなど一部の放送地区については1000GRP以外の値が指定されている。
【0036】
例えば、このようにGRPにより放送地区ごとに出稿量が指定され、その出稿量に応じて広告キャンペーンの予算が組まれているとする。この場合に、同じ予算でCMのターゲットをより効率よく獲得するために、例えば、各放送地区で目標となる所定の出稿条件を満たすように一次出稿量を決定しつつ、上述のターゲットの獲得効率に基づく予算配分のために予算の確保する処理について説明する。
【0037】
まず、制御部201は、各放送地区で所定の出稿条件を満たすように一次出稿量を決定してよい。例えば、所定の出稿条件は、各放送地区での広告の出稿において最低限達成したい目標などに基づいて設定されていてよい。
【0038】
一例として、所定の出稿条件が、出稿情報600に登録されている出稿GRPの80%の出稿GRPを各放送地区に最低限投下するように設定されているとする。この場合、例えば、放送地区の出稿GRPが1000GRPであれば、制御部201は、1000GRPに80%を乗じて800GRPをまずその放送地区に投下する一次出稿量として決定し、また、残りの200GRPと対応する出稿金額を、ターゲットの獲得効率に基づく予算配分のための予算として確保してよい。
【0039】
また、別の例として所定の出稿条件は、出稿情報600に登録されている出稿GRPにおいて獲得できるターゲット層のリーチに対して少なくとも80%のリーチを獲得するGRPを各放送地区に最低限投下するように設定されていてもよい。例えば、対象の放送地区の出稿GRPが1000GRPに設定されているとする。この場合に、1000GRPで獲得できるターゲット層のリーチは、その放送地区のリーチ曲線300から取得することができる。
【0040】
図7は、例示的な放送地区Aのリーチ曲線300を示す図である。
図7のリーチ曲線300を用いることで、制御部201は、放送地区Aに1000GRPを投下すると、ターゲットのF1層のリーチを65%で獲得できることを特定することができる。そして、制御部201は、65%に目標とした80%を乗じて得られた52%のリーチと対応するGRPをリーチ曲線300から特定する。
図7のリーチ曲線300ではターゲット層の52%のリーチと対応するGRPとして約700GRPを特定することができる。この場合、制御部201は、放送地区Aに投下する一次出稿量として700GRPを決定し、また、残りの300GRPと対応する出稿金額をターゲットの獲得効率に基づく予算配分のための予算として確保してよい。
【0041】
そして、制御部201は、複数の放送地区の各放送地区から確保した予算をまとめて、ターゲットの獲得効率に基づく予算配分の予算として用いてよい。
【0042】
また、上述のように、所定の出稿条件を満たすように一次出稿量を決定することで、例えば、各放送地区で目標とする最低限の出稿量を予め達成しつつ、ターゲットの獲得効率に基づく予算配分のための予算を確保することができる。そのため、例えば、実施形態に係るターゲットの獲得効率に基づく予算配分を行った結果、一部の放送地区の出稿金額が少なくなりすぎてしまい、CMが全く認知されなくなってしまったといった状況を回避することができる。
【0043】
続いて、実施形態に係る予算配分処理の動作フローを説明する。
【0044】
図8は、実施形態に係る予算配分処理の動作フローを例示する図である。例えば、制御部201は、予算配分処理の実行指示が入力されると
図8の動作フローを開始してよい。
【0045】
ステップ801(以降、ステップを“S”と記載し、例えば、S801と表記する)において制御部201は、各放送地区に対する出稿量を取得する。例えば、制御部201は、出稿情報600から各放送地区の出稿GRPを取得してよい。なお、
図8では出稿量を表す延べ視聴率として、GRPを用いる例を述べるが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、別の実施形態では、ALL(P+C7)およびTRPなどその他の延べ視聴率が出稿量として用いられてもよい。
【0046】
S802において制御部201は、複数の放送地区において所定の出稿条件を満たすように一次出稿量を決定しつつ、残りの予算を確保する。上述のように所定の出稿条件は、例えば、各放送地区での広告の出稿において最低限達成したい目標値などに基づいて設定されていてよい。例えば、所定の出稿条件が、出稿情報600の出稿GRPに対して80%の出稿GRPを最低限投下するように設定されているとする。この場合、例えば、対象の放送地区の出稿GRPが1000GRPに設定されていれば、制御部201は、1000GRPに80%を乗じて、800GRPを対象の放送地区に投下するように一次出稿量を決定し、残りの200GRPに、その放送地区におけるGRP単価を乗じることで得られた出稿金額を残りの予算として確保する。
【0047】
S803において制御部201は、例えば、S802の処理で放送地区から確保した残りの予算を複数の放送地区の全体でまとめて、ターゲットの獲得効率に基づく予算配分のための予算を得る。
【0048】
S804において制御部201は、例えば、放送地区に対する現在の出稿金額を特定する。例えば、制御部201は、放送地区に対して現在決定されている出稿GRPに、その放送地区のGRP単価を乗じて、現在の出稿金額を特定してよい。
【0049】
S805において制御部201は、出稿金額の追加に対するターゲットの獲得人数の変化の割合が最も大きい放送地区を特定する。例えば、制御部201は、S804で特定した放送地区に対する現在の出稿金額を、ターゲット獲得モデル400にあてはめて、その出稿金額におけるターゲット獲得モデル400の接線の傾きを取得する。そして、制御部201は、例えば、
図5で述べたように、広告キャンペーンの対象となる複数の放送地区間で傾きを比較することで、出稿金額の追加に対するターゲットの獲得人数の変化の割合が最も大きい放送地区を特定してよい。
【0050】
S806において制御部201は、特定した放送地区への出稿量が増えるように予算を配分する。例えば、制御部201は、特定した放送地区に、追加で所定単位のGRPを出稿してよい。なお、追加のGRPの出稿は、一例では、1GRP単位または100GRP単位などの所定の単位で実行されてよい。
【0051】
S807において制御部201は、ターゲットの獲得効率に基づく予算配分のために確保した予算を全て使い切っているか否かを判定する。予算がまだある場合(S807がNO)、フローはS808に進む。
【0052】
S808において制御部201は、広告キャンペーンの対象となる複数の放送地区のうちで、出稿量が所定の判定条件を満たして過多となった放送地区があるか否かを判定する。なお、出稿量が過多となったか否かを判定する所定の判定条件は、例えば、放送地区への出稿GRPが所定の閾値以上であることであってよい。或いは、所定の判定条件は、例えば、出稿情報600に登録されている調整前の出稿GRPに対して所定の割合以上で出稿GRPが増加していることであってもよい。出稿量が所定の判定条件を満たした放送地区がなく、過多となった放送地区がない場合(S808がNO)、フローはS804に戻り、制御部201は、処理を繰り返す。一方、出稿量が所定の判定条件を満たしており、過多となった放送地区がある場合(S808がYES)、フローはS809に進む。
【0053】
S809において制御部201は、出稿量が所定の判定条件を満たして過多となった放送地区を、ターゲットの獲得効率に基づく予算配分の対象から外して、フローはS804に戻る。この場合、制御部201は、複数の放送地区のうちから、出稿量が過多となった放送地区を除いた残りの放送地区を対象に、S804以降の処理を実行してよい。この様に、出稿量が所定の判定条件を満たして過多となった放送地区をターゲットの獲得効率に基づく予算配分の対象から外して、それ以上の出稿量が増えないように制御することで、特定の放送地区に出稿が偏りすぎてしまうことを抑制することができる。
【0054】
また、S804に戻り、処理を繰り返す場合、先のS806の処理の実行で追加のGRPが出稿された放送地区は、追加したGRPに応じた金額だけターゲット獲得モデル400の横軸の出稿金額が増えており、傾きが変わっている。繰り返し処理では、その変化後の傾きを用いて、出稿金額の追加に対するターゲットの獲得人数の変化の割合が大きい放送地区が特定されるため、繰り返しのたびに、ターゲットの獲得効率が最も高い放送地区にGRPを出稿することが可能である。
【0055】
S807において予算を全て使い切った場合(S807がYES)、フローはS810に進む。
【0056】
S810において制御部201は、予算の配分により調整された各放送地区の出稿GRPを調整情報900に保存し、本動作フローは終了する。
【0057】
図9は、実施形態に係る調整情報900を例示する図である。調整情報900は、例えば、各放送地区の調整後の出稿GRPを含む。
図9の例では調整情報900には、放送地区と、調整前の出稿GRPと、調整後の出稿GRPと、調整量とが対応づけて登録されている。調整情報900の放送地区および調整前の出稿GRPには、例えば、出稿情報600の放送地区および出稿GRPがそれぞれ登録されてよい。また、調整後のGRPは、例えば、
図8の動作フローの実行で調整された各放送地区の出稿GRPであってよい。調整量は、例えば、調整前のGRPからの調整後のGRPへの変化量であってよい。
【0058】
図9に示すように調整情報900では、調整により、広告キャンペーンの対象の複数の放送地区のうち、一部の放送地区の出稿GRPが減っており、また、別の放送地区の出稿GRPが増えている。そして、放送地区の出稿GRPの増減は、ターゲットの獲得効率に基づいて実行されている。そのため、調整情報900の調整後の出稿GRPを用いてスポットCMを出稿することで、例えば、出稿情報600と同じ予算であっても、より多くのターゲットを獲得することができる。即ち、実施形態によれば、複数の放送地区を全体として見て広告効率を改善することができる。
【0059】
そして、実施形態によれば、例えば、広告キャンペーンを依頼した顧客にターゲットの獲得効率の高い出稿計画を提示することが可能になる。なお、ターゲットの獲得効率に基づく予算配分処理を実行した場合に、一例では、F1層およびM1層をターゲットとすると、出稿量が少ないほど改善幅が大きく、F12層をターゲットとすると、出稿量が多いほど改善幅が大きく、また、有効フリークエンシーが多いほど、改善幅が大きいという傾向が見られている。
【0060】
また、例えば、上述の実施形態では、S802の処理で所定の出稿条件を満たすように一次出稿量を決定しており、各放送地区である程度の出稿量を獲得しつつ、ターゲットの獲得効率に基づく予算配分のための予算を確保している。それにより、各放送地区で望まれるCMの認知を確保しつつも、ターゲットの獲得効率のよい放送地区に予算を回して広告効果を高めている。このように、各放送地区で出稿量に下限を設けることで、例えば、ターゲットの獲得効率を重視しすぎてしまい、一部の放送地区で広告がターゲットに全然知られなくなってしまったといった状況を回避することができる。従って、例えば、ターゲットの獲得人数を増やすだけでなく、放送地区ごとでCMの認知に偏りが出すぎないようにしたいという顧客の要望も満たすことが可能である。
【0061】
また、例えば、上述の実施形態では、S809の処理において出稿量が過多となった放送地区を、その後の出稿量の調整対象から外し、その放送地区へのGRPの出稿を控えるように制御している。それにより、ターゲットの獲得人数に基づき予算配分を行った結果、一部の放送地区に出稿が偏りすぎてしまい、複数の放送地区の全体として見ると出稿量が不足する放送地区が生じてしまうことを抑制することができる。
【0062】
以上において、実施形態を例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の動作フローは例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。可能な場合には、動作フローは、処理の順番を変更して実行されてもよく、別に更なる処理を含んでもよく、または、一部の処理が省略されてもよい。
【0063】
例えば、
図8のS808からS809の処理は実行されなくてもよい。その場合、放送地区の出稿量に上限を設けずに予算配分が行われるため、ターゲットの獲得効率をより重視して出稿量を決定することができる。
【0064】
また同様に、
図8のS802の処理で一次出稿量を決定する処理を実行せず、複数の放送地区に対する全ての予算を、ターゲットの獲得効率に基づく予算配分に用いてもよい。この場合にも、S804からS807の処理で予算を各放送地区に配分することができ、それによりターゲットの獲得効率をより重視して放送地区の出稿量を決定することができる。
【0065】
また、
図8の例では、S801からS803の処理で、出稿情報600に登録されている各放送地区への出稿量の一部を削って得られた予算を、S804以降のターゲットの獲得効率に基づく予算配分のために用いる例を述べている。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、別の実施形態では、広告キャンペーンにおいて複数の放送地区に広告を出稿するための全体予算が指定されて広告の出稿依頼を受けるなど、その他の形式で広告の出稿依頼が受け付けられてもよい。この場合に、制御部201は、全体予算の一部を用いて、所定の出稿条件を満たすように一次出稿量を決定してよい。そして、制御部201は、一次出稿量と対応する出稿金額を、全体予算から除いて得られた残りの予算をS804以降の処理で用いてもよい。なお、一次出稿量の決定に用いる所定の出稿条件には、例えば、所定の延べ視聴率を出稿する、および所定のターゲットリーチを獲得するように出稿量を決定するなど、様々な条件を用いることができる。
【0066】
また、上述の実施形態ではリーチ曲線300の縦軸に、放送地区のターゲット層の人口を乗じ、また、横軸に放送地区の視聴率単価を乗じるなどして、ターゲット獲得モデル400を生成する例を述べているが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、別の実施形態では、回帰曲線モデルまたは確率分布を用いて、ターゲット獲得モデル400が直接生成されてもよい。この場合、モデルの生成には、例えば、ロジスティック曲線、ゴンペルツ曲線などの回帰曲線モデル、または、二項分布、メソリンガムなどの確率分布が利用されてよい。
【0067】
また、上述の実施形態では、リーチ曲線300およびターゲット獲得モデル400が放送地区ごとに生成される例を述べているが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、別の実施形態では、リーチ曲線300およびターゲット獲得モデル400は、各放送地区において更にCM放送枠の枠取りの仕方ごとに細分化されて生成されてもよい。CM放送枠の枠取りの仕方の一例として、枠取りをするゾーンを指定するゾーン指定がある。ゾーン指定では、例えば、放送スケジュールを示す番組表においてCMを放送するゾーンが指定される。ゾーンは、例えば、逆L型、全日型、ヨの字型、コの字型、逆F型、深夜型、全日昼型などと呼ばれるゾーンを含んでよい。或いは、ゾーンは、番組表において任意に指定したゾーンなどのその他のゾーンであってもよい。ゾーンの種類ごとにリーチ曲線300およびターゲット獲得モデル400を生成して用いることで、顧客の依頼の際のゾーン指定に応じたリーチ曲線300およびターゲット獲得モデル400を選択することができる。その結果、ターゲットの獲得効率に基づく予算配分の精度を更に向上させることができる。
【0068】
また、上述の実施形態では、ターゲット獲得モデル400におけるターゲットとして、ターゲット層のうちでCMが所定条件を満たしてリーチした人を例に説明を行っているが、実施形態はこれに限定されるものではない。ターゲットは、例えば、出稿によりCMを所定条件を満たして届ける対象とする放送地区の人であってよい。例えば、別の実施形態ではターゲットは、CMが所定条件を満たしてリーチした人のうちで、更に別の条件を満たす人であってもよい。一例として、CMが所定条件を満たしてリーチした人数に、コンバージョンレートを乗じて得られた最終的な成果人数を、CMの出稿により獲得されたターゲットの人数として用いてもよい。即ち、例えば、CMが所定条件を満たしてリーチしたターゲット層の人のうち、所定の割合の人が問い合わせの電話や資料請求をなど行う傾向が見られているとする。この場合、ターゲット層のうちでCMが所定条件を満たしてリーチした人数に、更にコンバージョンレートとして所定の割合を乗じて得た、問い合わせの電話や資料請求をなど行う人の人数を、ターゲットの獲得人数として用いてターゲット獲得モデル400を生成してもよい。なお、コンバージョンレートは、これに限定されるものではなく、心理・態度の変容を起こす人の割合、或いは、成約する人の割合などであってもよい。
【0069】
この様にターゲットを目的に応じて設定することで、実施形態を用いて、電話問い合わせや資料請求を行う人、心理・態度の変容を起こす人、或いは、成約の人数などを最大化するように複数の放送地区への出稿量を決定することができる。なお、コンバージョンレートは、例えば、それぞれの放送地区で統計解析などにより求められた値など、放送地区ごとに異なる値であってもよい。放送地区ごとに求めた精度の高いコンバージョンレートを用いることで、複数の放送地区の全体として出稿金額に対する最終的な成果人数をより高精度に増加させることができる。
【0070】
また、上述の実施形態では、出稿金額の追加に対するターゲットの獲得人数の変化の割合が最も大きい放送地区を特定して予算を配分する例を述べている。しかしながら、別の例として、制御部201は、以下の式1に示すように、放送地区への出稿金額を、その出稿金額で放送地区から獲得できたターゲットの人数で除した値を放送地区の評価指標として用いてもよい。例えば、制御部201は、得られた放送地区の評価指標が低い放送地区をターゲットの獲得効率の良い放送地区として特定し、予算配分を実行してもよい。
放送地区の評価指標=放送地区への出稿金額÷ターゲットの獲得人数 ・・・式1
【0071】
なお、上述の実施形態においてS805の処理では制御部201は、例えば、特定部211として動作する。また、S806の処理では制御部201は、例えば、配分部212として動作する。S803の処理では制御部201は、例えば、生成部213として動作する。
【0072】
図10は、実施形態に係る情報処理装置200を実現するためのコンピュータ1000のハードウェア構成を例示する図である。
図10のハードウェア構成は、例えば、プロセッサ1001、メモリ1002、記憶装置1003、読取装置1004、通信インタフェース1006、および入出力インタフェース1007を備える。なお、プロセッサ1001、メモリ1002、記憶装置1003、読取装置1004、通信インタフェース1006、入出力インタフェース1007は、例えば、バス1008を介して互いに接続されている。
【0073】
プロセッサ1001は、例えば、シングルプロセッサであっても、マルチプロセッサやマルチコアであってもよい。プロセッサ1001は、メモリ1002を利用して例えば上述の動作フローの手順を記述したプログラムを実行することにより、上述した制御部201の一部または全部の機能を提供する。例えば、情報処理装置200のプロセッサ1001は、記憶装置1003に格納されているプログラムを読み出して実行することで、特定部211、配分部212、および生成部213として動作する。
【0074】
メモリ1002は、例えば半導体メモリであり、RAM領域およびROM領域を含んでいてよい。記憶装置1003は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、または外部記憶装置である。なお、RAMは、Random Access Memoryの略称である。また、ROMは、Read Only Memoryの略称である。
【0075】
読取装置1004は、プロセッサ1001の指示に従って着脱可能記憶媒体1005にアクセスする。着脱可能記憶媒体1005は、例えば、半導体デバイス、磁気的作用により情報が入出力される媒体、光学的作用により情報が入出力される媒体などにより実現される。なお、半導体デバイスは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリである。また、磁気的作用により情報が入出力される媒体は、例えば、磁気ディスクである。光学的作用により情報が入出力される媒体は、例えば、CD-ROM、DVD、Blu-ray Disc等(Blu-rayは登録商標)である。CDは、Compact Discの略称である。DVDは、Digital Versatile Diskの略称である。
【0076】
記憶部202は、例えばメモリ1002、記憶装置1003、および着脱可能記憶媒体1005を含んでいる。例えば、情報処理装置200の記憶装置1003には、リーチ曲線300、ターゲット獲得モデル400、出稿情報600、および調整情報900などの情報が格納されている。
【0077】
通信インタフェース1006は、例えば、プロセッサ1001の指示に従って、他の装置と通信する。入出力インタフェース1007は、例えば、入力装置および出力装置との間のインタフェースであってよい。入力装置は、例えばユーザからの指示を受け付けるキーボード、マウス、タッチパネルなどのデバイスである。出力装置は、例えばディスプレーなどの表示装置、およびスピーカなどの音声装置である。
【0078】
実施形態に係る各プログラムは、例えば、下記の形態で情報処理装置200に提供される。
(1)記憶装置1003に予めインストールされている。
(2)着脱可能記憶媒体1005により提供される。
(3)プログラムサーバなどのサーバから提供される。
【0079】
なお、
図10を参照して述べた情報処理装置200を実現するためのコンピュータ1000のハードウェア構成は、例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の構成の一部が、削除されてもよく、また、新たな構成が追加されてもよい。また、別の実施形態では、例えば、上述の制御部201の一部または全部の機能がFPGA、SoC、ASIC、およびPLDなどによるハードウェアとして実装されてもよい。なお、FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。SoCは、System-on-a-chipの略称である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。PLDは、Programmable Logic Deviceの略称である。
【0080】
以上において、いくつかの実施形態が説明される。しかしながら、実施形態は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態および代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、各種実施形態は、その趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できることが理解されよう。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の実施形態が実施され得ることが理解されよう。更には、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除して、または実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して種々の実施形態が実施され得ることが当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0081】
200 情報処理装置
201 制御部
202 記憶部
211 特定部
212 配分部
213 生成部
300 リーチ曲線
400 ターゲット獲得モデル
600 出稿情報
900 調整情報
1000 コンピュータ
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 記憶装置
1004 読取装置
1005 着脱可能記憶媒体
1006 通信インタフェース
1007 入出力インタフェース
1008 バス