(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】電動車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
B60L 3/00 20190101AFI20240829BHJP
B60L 58/15 20190101ALI20240829BHJP
B60W 20/13 20160101ALI20240829BHJP
【FI】
B60L3/00 J
B60L58/15
B60W20/13 ZHV
(21)【出願番号】P 2021169600
(22)【出願日】2021-10-15
【審査請求日】2023-02-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有村 絢太
(72)【発明者】
【氏名】中本 和男
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-348583(JP,A)
【文献】特開2004-260968(JP,A)
【文献】特開2002-186102(JP,A)
【文献】特開平08-308004(JP,A)
【文献】特開2012-079618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00
B60L 58/15
B60W 20/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用モータに電力を供給する高電圧バッテリと、
前記高電圧バッテリから前記走行用モータへの電力供給を制御する電力制御部と、
前記高電圧バッテリと前記電力制御部とを接続又は遮断するリレー部と、
を有する電動車両の制御装置であって、
システム停止要求を検知した場合に、前記リレー部を制御することにより、前記電動車両の車速が予め定めた閾値以上のときは、前記高電圧バッテリと前記電力制御部との接続を維持し、前記電動車両の車速が前記閾値未満のときは、前記高電圧バッテリと前記電力制御部とを遮断する制御部、
を備え、
前記制御部は、
前記高電圧バッテリの過充電状態を検知した場合、前記リレー部を制御することにより、前記電動車両の車速に関係なく、前記高電圧バッテリと前記電力制御部とを遮断し、
前記高電圧バッテリの過充電状態を検知しない場合で且つ、前記高電圧バッテリの容量が閾値を超えている場合に、前記電力制御部を制御することにより、
前記電動車両の車速が閾値未満となるまでの間、前記走行用モータのトルクの絶対値を予め定めた閾値未満にする、
電動車両の制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記システム停止要求を検知した場合に、前記リレー部を制御することにより、前記電動車両が停止していないときは、前記高電圧バッテリと前記電力制御部との接続を維持し、前記電動車両が停止したときは、前記高電圧バッテリと前記電力制御部とを遮断する、
請求項1に記載の電動車両の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記電力制御部を制御することにより、前記走行用モータのトルクの絶対値を0にする、
請求項1に記載の電動車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動機及び内燃機関の二種の動力源を備えるハイブリッド車両(以下、HEV車両ともいう)が一般に広く普及するようになってきている。HEV車両として、例えば、シリーズ方式のハイブリッドシステムを搭載したものが知られている。
【0003】
このようなハイブリッドシステムは、ユーザからのシステム起動要求を検知すると、システムメインリレー(以下、SMRともいう)を制御し、高電圧バッテリとPCU(Power Control Unit)とを接続し、HEV車両を走行可能状態とする。また、ハイブリッドシステムは、HEV車両の走行中や走行可能状態時に、ユーザからのシステム停止要求を検知すると、SMRを制御し、高電圧バッテリとPCUとを接続する高電圧回路を遮断する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したHEV車両では、HEV車両の走行中(モータが駆動している状態)にSMRを制御し、高電圧回路を遮断してしまうと、駆動モータに発生した逆起電圧がPCU内部のコンデンサに負荷を与えてしまう可能性がある。従来、このような逆起電圧に対しては、負荷に耐え得る耐圧性能が高いコンデンサを用いることで対応している。しかしながら、このようなコンデンサは大型で非常に高価である。
【0006】
本発明は、上記した課題を鑑みてなされたものであり、逆起電圧の発生を抑制し、かつ、HEV車両の部品のコストダウンを図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明に係る電動車両の制御装置は、走行用モータに電力を供給する高電圧バッテリと、前記高電圧バッテリから前記走行用モータへの電力供給を制御する電力制御部と、前記高電圧バッテリと前記電力制御部とを接続し、又は、前記高電圧バッテリと前記電力制御部との接続を遮断するリレー部と、を有する電動車両の制御装置であって、システム停止要求を検知した場合に、前記リレー部を制御することにより、前記電動車両の車速が予め定めた閾値以上のときは、前記高電圧バッテリと前記電力制御部との接続を維持し、前記電動車両の車速が前記閾値未満のときは、前記高電圧バッテリと前記電力制御部とを遮断する制御部を備える。また、前記制御部は、前記高電圧バッテリの過充電状態を検知した場合、前記リレー部を制御することにより、前記電動車両の車速に関係なく、前記高電圧バッテリと前記電力制御部とを遮断し、前記高電圧バッテリの過充電状態を検知しない場合で且つ、前記高電圧バッテリの容量が閾値を超えている場合に、前記電力制御部を制御することにより、前記電動車両の車速が閾値未満となるまでの間、前記走行用モータのトルクの絶対値を予め定めた閾値未満にする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、逆起電圧の発生を抑制し、かつ、HEV車両の部品のコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る電動車両の制御装置が搭載された車両の要部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、SMR制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
<ハイブリッドシステムの構成>
図1は、ハイブリッドシステム1の構成の一例を示すブロック図である。ハイブリッドシステム1は、シリーズ方式のハイブリッドシステムである。ハイブリッドシステム1は、図示しないHEV車両に搭載される。
【0012】
図1に示すように、ハイブリッドシステム1は、HEV-ECU10、PCU11、BMS(Battery Management System)12、高電圧バッテリ13、SMR14、発電モータ(MG1)15、及び駆動モータ(MG2)16を備える。また、ハイブリッドシステム1には、図示しないエンジンが接続される。エンジンは、例えば、ガソリンエンジンである。
【0013】
HEV-ECU10は、制御部の一例である。HEV-ECU10は、ハイブリッドシステム1全体を統括的に制御するECU(Electronic Control Unit)である。HEV-ECU10は、マイコン(マイクロコントローラユニット)を備えており、マイコンには、例えば、CPU、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリおよびDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリが内蔵されている。
【0014】
HEV-ECU10は、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルにより、PCU11及びBMS12と、双方向通信が可能に接続されている。HEV-ECU10は、PCU11に接続された各種センサから入力される検出信号以外に発電モータ15及び駆動モータ16の制御に必要な情報を、PCU11に入力する。
【0015】
また、HEV-ECU10は、BMS12に接続された各種センサから入力される検出信号以外に、高電圧バッテリ13の制御に必要な情報をBMS12に入力する。また、HEV-ECU10は、SMR14のON/OFFを制御することにより、PCU11と高電圧バッテリ13と間の接続及び遮断を制御する。SMR14の制御については、後述する。
【0016】
PCU11は、電力制御部の一例である。PCU11は、発電モータ15及び駆動モータ16の駆動を制御するためのユニットである。PCU11は、MG-ECU111、発電インバータ112、及び駆動インバータ113を備える。MG-ECU111は、PCU11を統括的に制御するECUである。MG-ECU111は、HEV-ECU10と同様に、マイコンを備えている。
【0017】
MG-ECU111には、発電モータ15及び駆動モータ16の駆動を制御するために必要な各種センサが接続されている。MG-ECU111には、当該センサの検出信号が入力される。また、MG-ECU111には、HEV-ECU10から、各種センサの検出信号以外に発電モータ15及び駆動モータ16の制御に必要な情報が入力される。
【0018】
MG-ECU111は、各種検出信号及びHEV-ECU10から入力された情報に基づいて、発電モータ15及び駆動モータ16の駆動を制御する。
【0019】
発電インバータ112は、発電モータ15からの交流電力を直流電力に変換する。また、発電インバータ112は、変換した直流電力を、駆動インバータ113に入力する。駆動インバータ113は、発電インバータ112から入力された直流電力を交流電力に変換して、駆動モータ16へ供給する。
【0020】
BMS12は、高電圧バッテリ13を制御するECUである。BMS12は、例えば、高電圧バッテリ13の電圧、電流、及び温度等を検出し、高電圧バッテリ13を過充電、過放電等から保護する制御を行う。
【0021】
BMS12は、HEV-ECU10と同様に、マイコンを備えている。BMS12には、高電圧バッテリ13を制御するために必要な各種センサが接続されている。BMS12には、当該センサの検出信号が入力される。また、BMS12には、HEV-ECU10から、各種センサの検出信号以外に高電圧バッテリ13の制御に必要な情報が入力される。
【0022】
BMS12は、各種検出信号及びHEV-ECU10から入力された情報に基づいて、高電圧バッテリ13を制御する。なお、BMS12は、高電圧バッテリ13が過充電状態になっていることや過放電状態になっていることを検知することもできる。BMS12は、高電圧バッテリ13が過充電状態になっていることや過放電状態になっていることを検知した場合、その旨を示す信号をHEV-ECU10へ入力する。
【0023】
高電圧バッテリ13は、複数の二次電池を組み合わせた組電池である。二次電池は、例えば、リチウムイオン電池である。高電圧バッテリ13は、例えば、約200~350V(ボルト)の直流電力を出力する。
【0024】
SMR14は、リレー部の一例である。SMR14は、ON/OFFにより、PCU11と高電圧バッテリ13とを接続又は遮断する。SMR14は、正極側SMR141及び負極側SMR142で構成される。高電圧バッテリ13の正極側電源端子には、正極側電源経路L1が接続される。同様に、高電圧バッテリ13の負極側電源端子には、負極側電源経路L2が接続される。
【0025】
正極側電源経路L1には、正極側SMR141が設けられる。負極側電源経路L2には、負極側SMR142が設けられる。SMR14は、HEV-ECU10の制御に従ってON/OFFされ、PCU11と高電圧バッテリ13と間の接続及び遮断を切り替える。
【0026】
発電モータ15は、例えば、永久磁石同期モータからなる。発電モータ15の回転軸は、エンジンのクランクシャフトとギヤ(図示せず)を介して機械的に連結されている。例えば、エンジンのクランクシャフトにエンジン出力ギヤが相対回転不能に支持され、発電モータ15の回転軸にモータギヤが相対回転不能に支持されて、エンジン出力ギヤとモータギヤとが噛合している。
【0027】
駆動モータ16は、走行用モータの一例である。駆動モータ16は、例えば、発電モータ15よりも大型の永久磁石同期モータからなる。駆動モータ16の回転軸は、HEV車両の駆動系(図示しない)に連結されている。駆動系には、デファレンシャルギヤが含まれており、駆動モータ16の動力は、デファレンシャルギヤに伝達され、デファレンシャルギヤから左右の前輪または後輪からなる駆動輪(図示しない)に分配されて伝達される。これにより、左右の駆動輪が回転し、HEV車両が前進または後進する。
【0028】
以下、HEV車両の動作について簡単に説明する。エンジンの始動時には、高電圧バッテリ13から出力される直流電力が発電インバータ112により交流電力に変換され、交流電力が発電モータ15に供給される。これにより、発電モータ15が力行運転されて、エンジンが発電モータ15によりモータリング(クランキング)される。
【0029】
モータリングによりエンジンのクランクシャフトの回転数が始動に必要な回転数まで上昇した状態で、エンジンの点火プラグがスパークされると、エンジンが始動する。HEV車両の走行時には、駆動モータ16が力行運転されて、駆動モータ16が動力を発生する。
【0030】
駆動モータ16に要求される出力が高電圧バッテリ13の出力より小さいときには、HEV車両がEV走行する。すなわち、エンジンが停止されて、発電モータ15による発電が行われず、高電圧バッテリ13から駆動モータ16に電力が供給されて、その電力で駆動モータ16が駆動される。
【0031】
一方、駆動モータ16に要求される出力が高電圧バッテリ13の出力を上回るときには、HEV車両がHV走行する。すなわち、エンジンが稼動状態にされて、発電モータ15が発電運転(回生運転)されることにより、エンジンの動力が発電モータ15で交流電力に変換される。
【0032】
そして、発電モータ15からの交流電力は、発電インバータ112に出力される。発電インバータ112は、発電モータ15からの交流電力を直流電力に変換する。次いで、発電インバータ112は、変換した直流電力を駆動インバータ113に入力する。駆動インバータ113は、入力された直流電力を交流電力に変換し、駆動モータ16に供給する。これにより、駆動モータ16が駆動される。
【0033】
また、高電圧バッテリ13の残容量が所定以下に低下すると、駆動モータ16の駆動/停止にかかわらず、エンジンが稼動している状態で、発電モータ15が発電運転される。このとき、発電インバータ112は、発電モータ15からの交流電力を直流電力に変換する。変換した直流電力が高電圧バッテリ13に供給されることにより、高電圧バッテリ13が充電される。
【0034】
HEVの減速時には、駆動モータ16が回生運転されて、駆動輪から駆動モータ16に伝達される動力が交流電力に変換される。このとき、駆動モータ16が走行駆動系の抵抗となり、その抵抗がHEV車両を制動する制動力(回生制動力)として作用する。
【0035】
このとき、PCU11では、駆動モータ16から駆動インバータ113に供給される交流電力が、発電インバータ112に入力され、直流電力に変換される。変換された直流電力が高電圧バッテリ13に供給されることにより、高電圧バッテリ13が充電される。
【0036】
<SMR制御>
次いで、ハイブリッドシステム1のHEV-ECU10が実行するSMR制御について説明する。
図2は、SMR制御の一例を示すフローチャートである。
【0037】
SMR制御は、SMR14のON/OFFを制御し、PCU11と高電圧バッテリ13とを接続又は遮断する処理である。HEV-ECU10は、ハイブリッドシステム1のシステム起動要求があった場合、及びシステム停止要求があった場合、SMR制御を実行する。
【0038】
まず、HEV-ECU10は、ユーザからシステム起動要求があるか否かを確認する(ステップS1)。具体的には、HEV-ECU10は、ユーザからシステムを起動する旨の操作入力の有無を確認する。システム起動要求がない場合(ステップS1:No)、ステップS1の処理を繰り返す。一方、システム起動要求がある場合(ステップS1:Yes)、HEV-ECU10は、SMR14をONにし、PCU11と高電圧バッテリ13とを接続状態にする(ステップS2)。
【0039】
次いで、HEV-ECU10は、システム停止要求があるか否かを確認する(ステップS3)。具体的には、HEV-ECU10は、ユーザからシステムを停止する旨の操作入力の有無を確認する。なお、HEV-ECU10は、例えば加速度センサ等のセンシング結果から、HEV車両に閾値を超える衝撃がかかったことを検出した場合等に、システム停止要求があると判断してもよい。
【0040】
システム停止要求がない場合(ステップS3:No)、ステップS3の処理を繰り返す。一方、システム停止要求がある場合(ステップS3:Yes)、HEV-ECU10は、高電圧バッテリ13が過充電状態になっているか否かを確認する(ステップS4)。具体的には、HEV-ECU10は、BMS12が高電圧バッテリ13の過充電状態を検知しているか否かを確認する。
【0041】
過充電状態になっている場合(ステップS4:Yes)、HEV-ECU10は、SMR14をOFFにし、PCU11と高電圧バッテリ13とを遮断し、本処理を終了する(ステップS8)。
【0042】
一方、過充電状態になっていない場合(ステップS4:No)、HEV-ECU10は、高電圧バッテリ13の容量が閾値を超えているか否かを確認する(ステップS5)。容量が閾値を超えていない場合(ステップS5:No)、後述のステップS7の処理へ移行する。
【0043】
一方、容量が閾値を超えている場合(ステップS5:Yes)、HEV-ECU10は、0トルク制御を実行する(ステップS6)。ここで、0トルク制御とは、高電圧バッテリ13の出力等を制御して駆動モータ16に流れる三相電流の大きさを調整し、駆動モータ16に発生するトルクの絶対値が0Nmになるように制御する処理である。
【0044】
なお、本実施形態では、ステップS6で、駆動モータ16に発生するトルクの絶対値が0Nmになるように制御を行うが、これに限らず、駆動モータ16に発生するトルクの絶対値が予め定めた閾値(例えば、5Nm等)未満になるように制御してもよい。
【0045】
次いで、HEV-ECU10は、HEV車両が停車したか否かを確認する(ステップS7)。具体的には、HEV-ECU10は、HEV車両の車速を確認し、車速が0km/hになった場合にHEV車両が停止したと判断する。なお、本実施形態では、ステップS7で、HEV車両が停止したか否かを確認しているが、これに限らず、HEV車両の車速が閾値(例えば、5km/h等)未満になったことを確認してもよい。
【0046】
HEV車両が停車していない場合(ステップS7:No)、ステップS5の処理に移行する。一方、HEV車両が停車した場合(ステップS7:Yes)、ステップS8の処理に移行し、本処理を終了する。
【0047】
<作用効果>
以上のように、本実施形態に係るハイブリッドシステム1によれば、システム停止要求を検知した場合でも、HEVの車速が閾値未満に下がるまで、PCU11と高電圧バッテリ13との接続を維持することができる。このため、本実施形態に係るハイブリッドシステム1では、駆動モータ16の駆動中にPCU11と高電圧バッテリ13との接続を遮断することにより生じる逆起電圧の発生を抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態に係るハイブリッドシステム1によれば、PCU11と高電圧バッテリ13との接続を維持することにより、逆起電圧によって生じる循環電流を高電圧バッテリ13側で吸収することができる。したがって、循環電流がPCU11内部のコンデンサに与える負荷を軽減できる。これにより、本実施形態に係るハイブリッドシステム1では、コンデンサを小型化して耐圧性能を下げたとしても、耐圧不足によるコンデンサの故障頻度は少なくなる。つまり、コンデンサを小型化することにより、PCUの部品コストを低減させることができる。
【0049】
また、本実施形態に係るハイブリッドシステム1によれば、システム停止要求を検知した場合に、HEVの車速が閾値未満に下がるまで、PCU11と高電圧バッテリ13との接続を維持する制御と合わせて、駆動モータ16のトルクの絶対値が閾値未満になるように、高電圧バッテリ13の出力等を制御することができる。これにより、本実施形態に係るハイブリッドシステム1では、システムを停止したことによって生じる減速度を抑制することができる。したがって、減速度が生じることによってユーザが覚える違和感を低減することができる。
【0050】
また、本実施形態に係るハイブリッドシステム1によれば、高電圧バッテリ13が過充電状態になっている場合には、PCU11と高電圧バッテリ13とを直ちに遮断することができる。高電圧バッテリ13が過充電状態になっている場合に、PCU11と高電圧バッテリ13との接続を維持すると、高電圧バッテリ13に予期せぬ負荷がかかる可能性がある。したがって、すぐにPCU11と高電圧バッテリ13とを遮断することで、このような事態を防止することができる。
【0051】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1:ハイブリッドシステム
10:HEV-ECU
11:PCU
111:MG-ECU
112:発電インバータ
113:駆動インバータ
12:BMS
13:高電圧バッテリ
14:SMR
141:正極側SMR
142:負極側SMR
15:発電モータ
16:駆動モータ