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特許7545959データ収集装置、信号発生位置特定システム、データ収集方法、信号発生位置特定方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】データ収集装置、信号発生位置特定システム、データ収集方法、信号発生位置特定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08C 15/06 20060101AFI20240829BHJP
   G08C 25/00 20060101ALI20240829BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20240829BHJP
   H04L 7/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
G08C15/06 H
G08C25/00 C
G08C15/00 E
H04L7/00 990
H04L7/00 250
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021518346
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 JP2020017546
(87)【国際公開番号】W WO2020226069
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】P 2019089162
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000112691
【氏名又は名称】フジテコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】波多野 祥二
(72)【発明者】
【氏名】小林 勝
(72)【発明者】
【氏名】太田 宏一
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-153229(JP,A)
【文献】特開2017-33069(JP,A)
【文献】特許第5846015(JP,B2)
【文献】特開2003-242583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 13/00-25/04
H04L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の装置によって計時された時刻である第1の時刻を示す基準信号であって、前記外部の装置から第1の時間間隔で送信される前記基準信号を受信する基準信号受信部と、
第2の時間間隔で時刻を計時し、計時された時刻である第2の時刻を示す時刻信号を発生させる時刻信号発生部と、
前記基準信号受信部が受信した前記基準信号が示す前記第1の時刻と、前記基準信号受信部が前記基準信号を受信した時点において前記時刻信号発生部が発生させた時刻信号に基づく前記第2の時刻と、に基づいてパラメータ値を生成するパラメータ生成部と、
観測された信号の信号波形を示すアナログ信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部が受信したアナログ信号を、前記第2の時間間隔でサンプリングしサンプリングデータを生成するサンプリング部と、
前記サンプリング部によって生成されたサンプリングデータに対して、前記パラメータ生成部によって生成された前記パラメータ値に基づいて補間処理を行うデータ加工部と、
を備えるデータ収集装置。
【請求項2】
前記データ加工部は、
前記サンプリングデータに対して線形補間処理を行う
請求項1に記載のデータ収集装置。
【請求項3】
前記パラメータ生成部は、
前記第1の時刻と前記第2の時刻との偏差に基づく前記パラメータ値を生成する
請求項1又は請求項2に記載のデータ収集装置。
【請求項4】
前記サンプリング部は、前記時刻信号発生部が、前記時刻信号を発生させた場合に、前記信号受信部が受信したアナログ信号をサンプリングする
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のデータ収集装置。
【請求項5】
前記パラメータ値は、前記第2の時刻と前記第1の時刻との偏差であり、
前記データ加工部は、前記第2の時刻に、前記パラメータ値を加えた時刻におけるデータを補間処理により求める
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のデータ収集装置。
【請求項6】
前記データ加工部は、前記サンプリング部が生成するサンプリングデータのデータ量が所定のデータ量に達した場合に、前記補間処理を行う
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載のデータ収集装置。
【請求項7】
前記パラメータ生成部は、前記外部の装置から前記データ収集装置への前記基準信号の伝搬に要する伝搬時間を考慮するための補正処理を行った上で、前記パラメータ値を生成する
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載のデータ収集装置。
【請求項8】
複数のデータ収集装置と、データ解析装置と、を有する信号発生位置特定システムであって、
前記データ収集装置は、
前記データ解析装置によって計時された時刻である第1の時刻を示す基準信号であって、前記データ解析装置から第1の時間間隔で送信される前記基準信号を受信する基準信号受信部と、
第2の時間間隔で時刻を計時し、計時された時刻である第2の時刻を示す時刻信号を発生させる時刻信号発生部と、
前記基準信号受信部が受信した前記基準信号が示す前記第1の時刻と、前記基準信号受信部が前記基準信号を受信した時点において前記時刻信号発生部が発生させた時刻信号に基づく前記第2の時刻と、に基づいてパラメータ値を生成するパラメータ生成部と、
観測された信号の信号波形を示すアナログ信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部が受信したアナログ信号を、前記第2の時間間隔でサンプリングしサンプリングデータを生成するサンプリング部と、
前記サンプリング部によって生成されたサンプリングデータに対して、前記パラメータ生成部によって生成された前記パラメータ値に基づいて補間処理を行い、補間処理済みデータを生成するデータ加工部と、
前記データ加工部によって生成された前記補間処理済みデータを前記データ解析装置へ送信するデータ送信部と、
を備え、
前記データ解析装置は、
前記第1の時間間隔で前記基準信号を発生させる基準信号発生部と、
前記基準信号発生部が発生させた前記基準信号を前記データ収集装置へ送信する基準信号送信部と、
複数の前記データ収集装置から送信された前記補間処理済みデータをそれぞれ受信するデータ受信部と、
前記データ受信部が受信した複数の前記補間処理済みデータを解析することにより、前記信号の発生位置を特定するデータ解析部と、
を備える信号発生位置特定システム。
【請求項9】
前記データ解析部は、
複数の前記補間処理済みデータから前記信号波形をそれぞれ復元し、復元された信号波形の偏差に基づいて前記発生位置を特定する
請求項8に記載の信号発生位置特定システム。
【請求項10】
外部の装置によって計時された時刻である第1の時刻を示す基準信号であって、前記外部の装置から第1の時間間隔で送信される前記基準信号を受信する基準信号受信ステップと、
第2の時間間隔で時刻を計時し、計時された時刻である第2の時刻を示す時刻信号を発生させる時刻信号発生ステップと、
前記基準信号受信ステップによって受信された前記基準信号が示す前記第1の時刻と、前記基準信号受信ステップによって前記基準信号が受信された時点において前記時刻信号発生ステップによって発生した時刻信号に基づく前記第2の時刻と、に基づいてパラメータ値を生成するパラメータ生成ステップと、
観測された信号の信号波形を示すアナログ信号を受信する信号受信ステップと、
前記信号受信ステップによって受信されたアナログ信号を、前記第2の時間間隔でサンプリングしサンプリングデータを生成するサンプリングステップと、
前記サンプリングステップによって生成されたサンプリングデータに対して、前記パラメータ生成ステップによって生成された前記パラメータ値に基づいて補間処理を行うデータ加工ステップと、
を有するデータ収集方法。
【請求項11】
複数のデータ収集装置と、データ解析装置と、を有する信号発生位置特定システムによる信号発生位置特定方法であって、
前記データ解析装置によって計時された時刻である第1の時刻を示す基準信号であって、第1の時間間隔で前記基準信号を発生させる基準信号発生ステップと、
前記基準信号発生ステップによって発生した前記基準信号を前記データ収集装置へ送信する基準信号送信ステップと、
前記データ解析装置から前記基準信号を受信する基準信号受信ステップと、
第2の時間間隔で時刻を計時し、計時された時刻である第2の時刻を示す時刻信号を発生させる時刻信号発生ステップと、
前記基準信号受信ステップによって受信された前記基準信号が示す前記第1の時刻と、前記基準信号受信ステップによって前記基準信号が受信された時点において前記時刻信号発生ステップによって発生した時刻信号に基づく前記第2の時刻と、に基づいてパラメータ値を生成するパラメータ生成ステップと、
観測された信号の信号波形を示すアナログ信号を受信する信号受信ステップと、
前記信号受信ステップによって受信されたアナログ信号を、前記第2の時間間隔でサンプリングしサンプリングデータを生成するサンプリングステップと、
前記サンプリングステップによって生成されたサンプリングデータに対して、前記パラメータ生成ステップによって生成された前記パラメータ値に基づいて補間処理を行い、補間処理済みデータを生成するデータ加工ステップと、
前記データ加工ステップによって生成された前記補間処理済みデータを前記データ解析装置へ送信するデータ送信ステップと、
複数の前記データ収集装置から送信された前記補間処理済みデータをそれぞれ受信するデータ受信ステップと、
前記データ受信ステップによって受信された複数の前記補間処理済みデータを解析することにより、前記信号の発生位置を特定するデータ解析ステップと、
を有する信号発生位置特定方法。
【請求項12】
請求項1から請求項3のうちいずれか一項のデータ収集装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ収集装置、信号発生位置特定システム、データ収集方法、信号発生位置特定方法、及びプログラムに関する。
本願は、2019年5月9日に、日本に出願された特願2019-89162号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
音波等の弾性波の発生源を特定する方法の1つとして、複数の地点に設置された観測装置によってそれぞれ観測された弾性波の信号波形のずれ(偏差)を、データ解析装置を用いて解析する方法がある(例えば、特許文献1)。従来、各観測装置によって得られた弾性波の信号波形は、アナログ信号として、有線通信又は無線通信によってデータ解析装置へそれぞれ伝送される。データ解析装置は、収集した複数のアナログ信号に対してそれぞれサンプリングを行い、弾性波の信号波形のずれ(偏差)を解析し、弾性波の発生源を特定する。
【0003】
有線通信によって信号波形を示す情報を伝送する場合、特に発生源を特定する対象範囲が広大であるほど、より多くの通信線等の設置が必要になるため、設置コストがより膨大になる。したがって、このような場合には、有線通信によって情報を伝送することは現実的ではない。一方、無線によって信号波形を示す情報を伝送する場合、電波の有効活用の観点から、伝送される情報はデジタル化されたデータであることが望ましい。また、アナログ信号を伝送する場合には、伝送経路において意図せぬノイズの混入が発生する場合がある。これらのことから、各観測装置において、信号波形を示すアナログ信号に対してそれぞれサンプリングを行い、デジタル化されたデータであるサンプリングデータをデータ解析装置へそれぞれ伝送する方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特許第5846015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、独立した複数の観測装置がそれぞれサンプリングを行った場合、各観測装置に搭載された発振子の偏差によって、装置ごとのサンプリング時刻が異なる可能性がある(装置固有の時刻によるサンプリング)。このような場合、データ観測装置が、収集した各サンプリングデータをそのまま用いて信号波形を復元すると、信号波形の解析の精度が低下するという課題がある。
【0006】
本発明は、上記のような技術的背景に鑑みてなされたものであり、信号波形の解析の精度を向上させることができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、外部の装置によって計時された時刻である第1の時刻を示す基準信号であって、前記外部の装置から第1の時間間隔で送信される前記基準信号を受信する基準信号受信部と、第2の時間間隔で時刻を計時し、計時された時刻である第2の時刻を示す時刻信号を発生させる時刻信号発生部と、前記基準信号受信部が受信した前記基準信号が示す前記第1の時刻と、前記基準信号受信部が前記基準信号を受信した時点において前記時刻信号発生部が発生させた時刻信号に基づく前記第2の時刻と、に基づいてパラメータ値を生成するパラメータ生成部と、観測された信号の信号波形を示すアナログ信号を受信する信号受信部と、前記信号受信部が受信したアナログ信号を、前記第2の時間間隔でサンプリングしサンプリングデータを生成するサンプリング部と、前記サンプリング部によって生成されたサンプリングデータに対して、前記パラメータ生成部によって生成された前記パラメータ値に基づいて補間処理を行うデータ加工部と、を備えるデータ収集装置である。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記のデータ収集装置であって、前記データ加工部は、前記サンプリングデータに対して線形補間処理を行う。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記のデータ収集装置であって、前記パラメータ生成部は、前記第1の時刻と前記第2の時刻との偏差に基づく前記パラメータ値を生成する。
【0010】
また、本発明の一態様は、複数のデータ収集装置と、データ解析装置と、を有する信号発生位置特定システムであって、前記データ収集装置は、前記データ解析装置によって計時された時刻である第1の時刻を示す基準信号であって、前記データ解析装置から第1の時間間隔で送信される前記基準信号を受信する基準信号受信部と、第2の時間間隔で時刻を計時し、計時された時刻である第2の時刻を示す時刻信号を発生させる時刻信号発生部と、前記基準信号受信部が受信した前記基準信号が示す前記第1の時刻と、前記基準信号受信部が前記基準信号を受信した時点において前記時刻信号発生部が発生させた時刻信号に基づく前記第2の時刻と、に基づいてパラメータ値を生成するパラメータ生成部と、観測された信号の信号波形を示すアナログ信号を受信する信号受信部と、前記信号受信部が受信したアナログ信号を、前記第2の時間間隔でサンプリングしサンプリングデータを生成するサンプリング部と、前記サンプリング部によって生成されたサンプリングデータに対して、前記パラメータ生成部によって生成された前記パラメータ値に基づいて補間処理を行い、補間処理済みデータを生成するデータ加工部と、前記データ加工部によって生成された前記補間処理済みデータを前記データ解析装置へ送信するデータ送信部と、を備え、前記データ解析装置は、前記第1の時間間隔で前記基準信号を発生させる基準信号発生部と、前記基準信号発生部が発生させた前記基準信号を前記データ収集装置へ送信する基準信号送信部と、複数の前記データ収集装置から送信された前記補間処理済みデータをそれぞれ受信するデータ受信部と、前記データ受信部が受信した複数の前記補間処理済みデータを解析することにより、前記信号の発生位置を特定するデータ解析部と、を備える信号発生位置特定システムである。
【0011】
また、本発明の一態様は、信号発生位置特定システムであって、前記データ解析部は、複数の前記補間処理済みデータから前記信号波形をそれぞれ復元し、復元された信号波形の偏差に基づいて前記発生位置を特定する。
【0012】
また、本発明の一態様は、外部の装置によって計時された時刻である第1の時刻を示す基準信号であって、前記外部の装置から第1の時間間隔で送信される前記基準信号を受信する基準信号受信ステップと、第2の時間間隔で時刻を計時し、計時された時刻である第2の時刻を示す時刻信号を発生させる時刻信号発生ステップと、前記基準信号受信ステップによって受信された前記基準信号が示す前記第1の時刻と、前記基準信号受信ステップによって前記基準信号が受信された時点において前記時刻信号発生ステップによって発生した時刻信号に基づく前記第2の時刻と、に基づいてパラメータ値を生成するパラメータ生成ステップと、観測された信号の信号波形を示すアナログ信号を受信する信号受信ステップと、前記信号受信ステップによって受信されたアナログ信号を、前記第2の時間間隔でサンプリングしサンプリングデータを生成するサンプリングステップと、前記サンプリングステップによって生成されたサンプリングデータに対して、前記パラメータ生成ステップによって生成された前記パラメータ値に基づいて補間処理を行うデータ加工ステップと、を有するデータ収集方法である。
【0013】
また、本発明の一態様は、複数のデータ収集装置と、データ解析装置と、を有する信号発生位置特定システムによる信号発生位置特定方法であって、前記データ解析装置によって計時された時刻である第1の時刻を示す基準信号であって、第1の時間間隔で前記基準信号を発生させる基準信号発生ステップと、前記基準信号発生ステップによって発生した前記基準信号を前記データ収集装置へ送信する基準信号送信ステップと、記データ解析装置から前記基準信号を受信する基準信号受信ステップと、第2の時間間隔で時刻を計時し、計時された時刻である第2の時刻を示す時刻信号を発生させる時刻信号発生ステップと、前記基準信号受信ステップによって受信された前記基準信号が示す前記第1の時刻と、前記基準信号受信ステップによって前記基準信号が受信された時点において前記時刻信号発生ステップによって発生した時刻信号に基づく前記第2の時刻と、に基づいてパラメータ値を生成するパラメータ生成ステップと、観測された信号の信号波形を示すアナログ信号を受信する信号受信ステップと、前記信号受信ステップによって受信されたアナログ信号を、前記第2の時間間隔でサンプリングしサンプリングデータを生成するサンプリングステップと、前記サンプリングステップによって生成されたサンプリングデータに対して、前記パラメータ生成ステップによって生成された前記パラメータ値に基づいて補間処理を行い、補間処理済みデータを生成するデータ加工ステップと、前記データ加工ステップによって生成された前記補間処理済みデータを前記データ解析装置へ送信するデータ送信ステップと、複数の前記データ収集装置から送信された前記補間処理済みデータをそれぞれ受信するデータ受信ステップと、前記データ受信ステップによって受信された複数の前記補間処理済みデータを解析することにより、前記信号の発生位置を特定するデータ解析ステップと、を有する信号発生位置特定方法である。
【0014】
また、本発明の一態様は、上記のデータ収集装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、信号波形の解析の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る信号発生位置特定システム1の全体構成を示すブロック図である。
図2A】基準信号の周期と時刻信号の周期との偏差による信号波形の偏差を表す模式図である。
図2B】基準信号の周期と時刻信号の周期との偏差による信号波形の偏差を表す模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係るデータ収集装置10による線形補間処理を表す模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係るデータ収集装置10の機能構成を示すブロック図である。
図5】本発明の一実施形態に係るデータ解析装置20の機能構成を示すブロック図である。
図6】本発明の一実施形態に係るデータ収集装置10のサンプリング部103の動作を示すフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係るデータ収集装置10の加工パラメータ生成部106の動作を示すフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態に係るデータ収集装置10のデータ加工部108の動作を示すフローチャートである。
図9】本発明の一実施形態に係るデータ収集装置10のデータ送信部110の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
[信号発生位置特定システムの全体構成]
以下、信号発生位置特定システム1の全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る信号発生位置特定システム1の全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、信号発生位置特定システム1は、複数のデータ収集装置10と、データ解析装置20と、を含んで構成される。
【0019】
信号発生位置特定システム1は、少なくとも2つの観測地点においてそれぞれ観測された音波等の弾性波を解析することによって、当該弾性波の発生位置を特定するためのシステムである。信号発生位置特定システム1は、例えば、水道やガス等の配管に沿って複数個所に設置された音センサから音波を取得することによって、漏水やガス漏れ等の発生位置を特定する場合等に用いることができる。なお、発生位置を効率よく特定するためには、このような音センサ等のセンサは、配管に沿って、例えば網状かつ固定的に配置されるのが望ましい。
【0020】
データ収集装置10は、例えば漏水探知機等の情報処理装置である。複数のデータ収集装置10は、例えば、複数個所に設置されたセンサ(図示せず)の近傍にそれぞれ設置される。データ収集装置10は、近傍のセンサから入力信号を取得する。入力信号は、近傍のセンサによって測定された弾性波の信号波形を示すアナログ信号である。なお、図1では、データ収集装置10を2つのみ図示しているが、3つ以上であってもよい。なお、データ収集装置10自体がセンサを備える構成であってもよい。
【0021】
また、データ収集装置10は、所定の時間間隔で現在時刻を計時し、時刻信号を発生させる。時刻信号とは、データ収集装置10によって計時された現在時刻を示す信号である。データ収集装置10は、取得したアナログ信号に対して、上記時刻信号を発生させたタイミングでサンプリングを行うことによにより、デジタル化されたサンプリングデータを生成する。
【0022】
また、データ収集装置10は、データ解析装置20から所定の時間間隔で出力される基準信号を受信する。基準信号は、データ解析装置20によって計時された現在時刻を示す信号である。データ収集装置10は、受信した基準信号が示す時刻と、当該基準信号を受信した時点において発生させた時刻信号が示す時刻との偏差、に基づいてパラメータ値を生成する。
【0023】
データ収集装置10は、生成したサンプリングデータに対して、上記パラメータ値に基づいて、補間処理(例えば、線形補間処理等)を行う。これにより、データ収集装置10は、補間処理がなされたサンプリングデータ(以下、「補間処理済みデータ」という。)を生成する。データ収集装置10は、生成した補間処理済みデータをデータ解析装置20へ送信する。
【0024】
データ収集装置10とデータ解析装置20とは、例えば429MHz(メガヘルツ)帯や920MHz帯等の特定小電力無線、又は近距離無線通信等の無線通信を介して互いに通信を行う。
【0025】
データ解析装置20は、例えばマイクロコンピュータ、産業用コンピュータ、パーソナルコンピュータ、又はタブレット型端末等の情報処理装置である。データ解析装置20は、所定の時間間隔で上述した基準信号を発生させる。データ解析装置20は、発生させた基準信号をデータ収集装置10へ送信する。
【0026】
また、データ解析装置20は、各データ収集装置10からそれぞれ送信された補間処理済みデータを受信する。データ解析装置20は、受信した各補間処理済みデータに基づいて信号波形をそれぞれ復元する。データ解析装置20は、復元した複数の信号波形の偏差に基づいて解析を行い、弾性波の発生位置を特定する。なお、特定結果を示す情報は、外部の装置にデータ出力されてもよいし、データ解析装置20が備える例えば液晶ディスプレイ等の表示部(図示せず)に出力されてもよい。
【0027】
以下、データ収集装置10が行う補間処理について、図面を参照しながら説明する。
図2A及び図2Bは、基準信号の周期と時刻信号の周期との偏差による信号波形の偏差を表す模式図である。図2Aにおいて、実践の縦線は、データ解析装置20から出力される基準信号の周期を表すものとする。また、破線の縦線は、ある1つの従来のデータ収集装置(以下、「データ収集装置A」という。)が発生させる時刻信号の周期を表すものとする。また、一点鎖線の縦線は、もう1つの従来のデータ収集装置(以下、「データ収集装置B」という。)が発生させる時刻信号の周期を表すものとする。
【0028】
図2Aに示す例においては、データ収集装置Aの時刻信号の周期は基準信号の周期よりも短く、データ収集装置Bの時刻信号の周期は基準信号の周期よりも長い。すなわち、データ収集装置Aが備えるクロックはデータ解析装置20が備えるクロックよりも早く、データ収集装置Bが備えるクロックはデータ解析装置20が備えるクロックよりも遅い。このように、基準信号に基づく時刻、データ収集装置Aの時刻信号に基づく時刻、及びデータ収集装置Bの時刻信号に基づく時刻の間には偏差が存在する。このような偏差が補正されることなくデータ解析装置20によってサンプリングデータから復元された場合における信号波形の一例を図2Bに示す。
【0029】
図2Bに示すように、データ収集装置Aの時刻信号及びデータ収集装置Bの時刻信号に応じてサンプリングされたサンプリングデータがデータ解析装置20のクロックに基づいて(すなわち、基準信号の周期に基づいて)信号波形に復元された場合、図2Aに示す実際の入力信号の波形とは異なる波形に復元される。図2Bにおいて、破線の信号波形は、データ収集装置Aから取得したサンプリングデータに基づいて復元された信号波形を表す。一方、一点鎖線の信号波形は、データ収集装置Bから取得したサンプリングデータに基づいて復元された信号波形を表す。
【0030】
例えば、音波である場合には、データ収集装置Aから取得したサンプリングデータに基づいて復元された音は、実際に音の発生箇所において発生した音よりも低い音になる。また、データ収集装置Aから取得したサンプリングデータに基づいて復元された音は、実際に音の発生箇所において発生した音よりも高い音になる。このように、例え同じ音を観測したとしても、復元された音にはずれ(偏差)が生じる。
【0031】
これに対し、本実施形態に係るデータ収集装置10は、復元される信号波形の偏差を無くすように補間処理を行う。
図3は、本発明の一実施形態に係るデータ収集装置10による線形補間処理を表す模式図である。図3において、実践の縦線は、データ解析装置20から出力される基準信号の周期を表すものとする。また、破線の縦線は、ある1つのデータ収集装置10が発生させる時刻信号の周期を表すものとする。図3に示す例においては、データ収集装置10の時刻信号の周期は基準信号の周期よりも短い。また、図3に示す信号波形は、時刻信号の周期に対応するサンプリングデータによって復元された波形である。
【0032】
データ収集装置10は、基準信号に基づく時刻と、自己のデータ収集装置10が発生する時刻信号に基づく時刻と、の偏差により、データ解析装置20が備えるクロックと、自己のデータ収集装置10が備えるクロックと、の偏差を検出する。図3に示すように、データ収集装置10は、検出したクロックの偏差に基づいて、基準信号の周期に対応するサンプリングデータの値を、例えば線形補間処理等の補間処理によって生成する。
【0033】
そして、データ収集装置10は、補間処理済みデータをデータ解析装置20へ送信する。これにより、データ解析装置20は、基準信号の周期に統一されたサンプリングデータを各データ収集装置10から取得することができる。これにより、データ解析装置20は、クロックの偏差が補正されたサンプリングデータに基づいて信号波形のずれ(偏差)を解析することができるため、より正確に弾性波の発生位置を特定することができる。
【0034】
[データ収集装置の構成]
以下、データ収集装置10の機能構成について更に詳しく説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係るデータ収集装置10の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、データ収集装置10は、時刻信号発生部101と、信号受信部102と、サンプリング部103と、入力バッファ104と、基準信号受信部105と、加工パラメータ生成部106と、加工パラメータ記憶部107と、データ加工部108と、出力バッファ109と、データ送信部110と、を含んで構成される。
【0035】
時刻信号発生部101は、時刻(第2の時刻)を計時する。時刻信号発生部101は、例えばセラミック発信子や水晶振動子等の発振子(図示せず)を備え、所定の時間間隔(第2の時間間隔)で、計時された時刻を示す時刻信号を生成し、生成された時刻信号をサンプリング部103及び加工パラメータ生成部106へ出力する。なお、上記所定の時間間隔とは、例えば1μs(マイクロ秒)である。
【0036】
なお、時刻信号発生部101によって計時される時刻とは、例えば、所定の時点からの経過時間を示す時刻である。なお、所定の時点とは、例えば、データ解析装置20から出力される、サンプリングの開始をデータ収集装置10に対して指示するための命令を、時刻信号発生部101が取得した時点である。但し、時刻信号発生部101によって計時される時刻は、このような所定の時点からの経過時間を示す時刻に限られるものではなく、例えば現在時刻等であっても構わない。
【0037】
信号受信部102は、発生した弾性波を検知する外部の装置(例えば、音センサ等のセンサ)と通信接続するための通信インターフェースである。信号受信部102は、無線又は有線の通信路を介して、外部の装置と通信接続する。信号受信部102は、外部の装置
から常時出力される、弾性波の信号波形を示すアナログ信号を受信する。信号受信部102は、常時受信するアナログ信号をサンプリング部103へ常時出力する。
【0038】
サンプリング部103は、信号受信部102から常時出力されるアナログ信号を取得する。また、サンプリング部103は、時刻信号発生部101から所定の時間間隔(第2の時間間隔)で出力される時刻信号を取得する。サンプリング部103は、時刻信号を取得する時点ごとに(すなわち、所定の時間間隔で)、アナログ信号に対してサンプリングを行うことにより、サンプリングデータを生成する。サンプリング部103は、生成したサンプリングデータを入力バッファ104に格納する。なお、サンプリングデータとは、例えば、所定の時間間隔ごとの時刻と、信号波形のレベルが量子化された値と、が対応付けられたデータである。
【0039】
入力バッファ104は、サンプリング部103によって生成されたサンプリングデータを記憶する。なお、入力バッファ104に記憶されたサンプリングデータは、例えば、データ加工部108によって読み取りが行われた時点で削除されてもよい。入力バッファ104は、例えば、RAM(Random Access read/write Memory;読み書き可能なメモリ)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、及びHDD(Hard Disk Drive)等の記憶媒体、又はこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
【0040】
基準信号受信部105は、データ解析装置20と通信接続するための通信インターフェースである。基準信号受信部105は、例えば特定小電力無線又は近距離無線通信等による無線の通信路を介してデータ解析装置20と通信接続する。基準信号受信部105は、データ解析装置20から所定の時間間隔(第1の時間間隔)で送信される基準信号を受信する。ここでいう基準信号とは、データ解析装置20によって所定の時間間隔(第1の時間間隔)で計時された時刻(第1の時刻)を示す信号である。なお、上記所定の時間間隔とは、例えば1s(秒)である。基準信号受信部105は、受信した基準信号を加工パラメータ生成部106へ出力する。
【0041】
なお、データ解析装置20によって計時される時刻とは、例えば、所定の時点からの経過時間を示す時刻である。なお、所定の時点とは、例えば、データ解析装置20が、サンプリングの開始をデータ収集装置10に対して指示するための命令を、データ収集装置10へ送信した時点である。但し、時刻信号発生部101によって計時される時刻は、このような所定の時点からの経過時間を示す時刻に限られるものではなく、例えば現在時刻等であっても構わない。
【0042】
加工パラメータ生成部106(パラメータ生成部)は、基準信号受信部105から出力される基準信号を所定の時間間隔(例えば1s)で取得する。また、加工パラメータ生成部106は、時刻信号発生部101から出力される時刻信号を所定の時間間隔(例えば1μs)で取得する。加工パラメータ生成部106は、取得した基準信号が示す時刻(第1の時刻)と、基準信号を取得した時点において取得した時刻信号が示す時刻(第2の時刻)と、に基づいてパラメータ値を生成する。加工パラメータ生成部106は、生成したパラメータ値を加工パラメータ記憶部107に格納する。
【0043】
なお、ここでいうパラメータ値とは、例えば、加工パラメータ生成部106が取得した基準信号が示す時刻と、基準信号を取得した時点において取得した時刻信号が示す時刻と、の偏差を示す値(単位:ppm(Parts Per Million))である。なお、加工パラメータ生成部106が、基準信号を取得した時点で、時刻信号発生部101に対して時刻信号を出力するように要求することによって、時刻信号を取得する構成であってもよい。なお、加工パラメータ生成部106は、データ解析装置20からデータ収集装置10への基準信号の伝搬に要する伝搬時間等を考慮するための補正処理を行った上で、パラメータ値を生成するようにしてもよい。
【0044】
加工パラメータ記憶部107は、加工パラメータ生成部106によって生成されたパラメータ値を記憶する。なお、加工パラメータ記憶部107に記憶されたパラメータ値は、例えば、データ加工部108によって読み取りが行われた時点で削除されてもよい。加工パラメータ記憶部107は、例えば、RAM、フラッシュメモリ、EEPROM、及びHDD等の記憶媒体、又はこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
【0045】
データ加工部108は、入力バッファ104に記憶されたサンプリングデータを取得する。データ加工部108は、例えば、入力バッファ104に記憶されたサンプリングデータのデータ量が所定のデータ量に達した時点で、サンプリングデータを取得する。なお、データ加工部108が、所定の時間間隔でサンプリングデータを取得する構成であってもよい。
【0046】
また、データ加工部108は、加工パラメータ記憶部107に記憶されたパラメータ値を取得する。データ加工部108は、例えば、入力バッファ104に記憶されたサンプリングデータを取得した時点で、パラメータ値を取得する。データ加工部108は、取得したサンプリングデータに対して、取得したパラメータ値に基づいて補間処理を行うことにより、補間処理済みデータを生成する。データ加工部108は、生成した補間処理済みデータを出力バッファ109に格納する。
【0047】
なお、補間処理済みデータとは、例えば、基準信号に基づく時刻と、補間処理によって算出された信号波形のレベルを示す値と、が対応付けられたデータである。なお、データ加工部108は、例えば、時刻信号に基づく時刻と信号波形のレベルを示す値とが対応付けられたサンプリングデータと、パラメータ値が示すとの偏差から、基準信号に基づく時刻に対応する信号波形のレベルを示す値を、例えば線形補間による補間処理によって算出する。なお、ここで用いられる補間処理は、線形補間による補間処理に限られるものではなく、例えば、多項式補間による補間処理、又は標本化定理による補間処理等が用いられてもよい。
【0048】
出力バッファ109は、データ加工部108によって生成された補間処理済みデータを記憶する。なお、出力バッファ109に記憶された補間処理済みデータは、例えば、データ送信部110によって読み取りが行われた時点で削除されてもよい。出力バッファ109は、例えば、RAM、フラッシュメモリ、EEPROM、及びHDD等の記憶媒体、又はこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
【0049】
データ送信部110は、データ解析装置20と通信接続するための通信インターフェースである。データ送信部110は、例えば特定小電力無線又は近距離無線通信等による無線の通信路を介してデータ解析装置20と通信接続する。データ送信部110は、出力バッファ109に記憶された補間処理済みデータを取得する。データ送信部110は、例えば、出力バッファ109に記憶された補間処理済みデータのデータ量が所定のデータ量に達した時点で、補間処理済みデータを取得する。なお、データ送信部110が、所定の時間間隔で補間処理済みデータを取得する構成であってもよい。データ送信部110は、取得した補間処理済みデータをデータ解析装置20へ送信する。
【0050】
なお、データ送信部110が、データ解析装置20へデータを送信する時点(送信枠)が予め定められている構成であっても構わない。例えば、所定の時間間隔(例えば1s)で、データ収集装置10がデータを送信できるタイミングが存在するような構成でも構わない。この場合、データ収集装置10は、例えば、出力バッファ109に記憶された補間処理済みデータのデータ量が所定のデータ量に達し、かつ、データを送信できる時点であるときに、補間処理済みデータを取得して送信すればよい。
【0051】
[データ解析装置の構成]
以下、データ解析装置20の機能構成について更に詳しく説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係るデータ解析装置20の機能構成を示すブロック図である。図5に示すように、データ解析装置20は、基準信号発生部201と、基準信号送信部202と、データ受信部203と、データ記憶部204と、データ解析部205と、を含んで構成される。
【0052】
基準信号発生部201は、時刻(第1の時刻)を計時する。基準信号発生部201は、例えばセラミック発信子や水晶振動子等の発振子(図示せず)を備え、所定の時間間隔(第1の時間間隔)で、計時された時刻を示す基準信号を生成し、生成された基準信号を基準信号送信部202へ出力する。なお、上記所定の時間間隔とは、例えば1sである。
【0053】
なお、基準信号発生部201によって計時される時刻とは、例えば、所定の時点からの経過時間を示す時刻である。なお、所定の時点とは、例えば、データ解析装置20が、サンプリングの開始をデータ収集装置10に対して指示するための命令を、当該データ収集装置10へ出力した時点である。但し基準信号発生部201によって計時される時刻は、このような所定の時点からの経過時間を示す時刻に限られるものではなく、例えば現在時刻等であっても構わない。
【0054】
基準信号送信部202は、複数のデータ収集装置10とそれぞれ通信接続するための通信インターフェースである。基準信号送信部202は、例えば特定小電力無線又は近距離無線通信等による無線の通信路を介して各データ収集装置10とそれぞれ通信接続する。基準信号送信部202は、基準信号発生部201によって所定の時間間隔で生成される基準信号を取得する。基準信号送信部202は、取得した基準信号を上記所定の時間間隔で各データ収集装置10へそれぞれ送信する。
【0055】
データ受信部203は、複数のデータ収集装置10とそれぞれ通信接続するための通信インターフェースである。データ受信部203は、例えば特定小電力無線又は近距離無線通信等による無線の通信路を介して各データ収集装置10とそれぞれ通信接続する。データ受信部203は、各データ収集装置10からそれぞれ送信された補間処理済みデータを受信する。データ受信部203は、受信したそれぞれの補間処理済みデータをデータ記憶部204に格納する。
【0056】
データ記憶部204は、データ受信部203から出力された補間処理済みデータを記憶する。なお、データ記憶部204に記憶された補間処理済みデータは、例えば、データ解析部205によって読み取りが行われた時点で削除されてもよい。データ記憶部204は、例えば、RAM、フラッシュメモリ、EEPROM、及びHDD等の記憶媒体、又はこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
【0057】
データ解析部205は、データ記憶部204に記憶された、複数のデータ収集装置10から送信された補間処理済みデータをそれぞれ取得する。なお、データ解析部205が補間処理済みデータを取得するタイミングは任意である。当該タイミングは、例えば、弾性波の発生位置の特定を行う作業者が特定を行いたいタイミングでよい。
【0058】
データ解析部205は、取得した複数の補間処理済みデータを解析することにより、弾性波(信号)の発生位置を特定する。なお、例えば、データ解析部205は、取得した複数の補間処理済みデータから信号波形をそれぞれ復元する。そして、データ解析部205は、復元された複数の信号波形のずれ(偏差)に基づいて弾性波の発生位置を特定する。
【0059】
[サンプリング部の動作]
以下、サンプリング部103の動作の一例について説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係るデータ収集装置10のサンプリング部103の動作を示すフローチャートである。本フローチャートが示す動作は、例えば、データ収集装置10が、データ解析装置20から出力される、サンプリングの開始をデータ収集装置10に対して指示するための命令を取得した時点で開始される。あるいは、本フローチャートが示す動作は、例えば、信号受信部102から常時出力されるアナログ信号の取得を開始した時点で開始される。
【0060】
サンプリング部103は、時刻信号発生部101から所定の時間間隔で出力される時刻信号の取得を待ち受ける(ステップS101)。サンプリング部103は、時刻信号を取得した場合(ステップS101・Yes)、時刻信号を取得した時点における、アナログ信号に基づく信号波形のレベルを計測する(ステップS102)。サンプリング部103は、取得した時刻信号が示す時刻と信号波形のレベルを示す値とが対応付けられたサンプリングデータを生成し、生成されたサンプリングデータを、入力バッファ104に格納する(ステップS103)。
【0061】
サンプリング部103は、上記のサンプリングの処理を継続する場合(ステップS104・No)、引き続き時刻信号の取得を待ち受ける(ステップS101)。また、サンプリング部103が、上記のサンプリングの処理を終了する場合(ステップS104・Yes)、図6のフローチャートが示すサンプリング部103の動作が終了する。なお、サンプリングの処理を終了する場合とは、例えば、データ収集装置10が、データ解析装置20から出力される、サンプリングの終了をデータ収集装置10に対して指示するための命令を取得した場合である。あるいは、サンプリングの処理を終了する場合とは、例えば、信号受信部102からアナログ信号が出力されなくなった場合等である。
【0062】
[加工パラメータ生成部の動作]
以下、加工パラメータ生成部106の動作の一例について説明する。
図7は、本発明の一実施形態に係るデータ収集装置10の加工パラメータ生成部106の動作を示すフローチャートである。本フローチャートが示す動作は、例えば、データ収集装置10が、データ解析装置20から出力される、サンプリングの開始をデータ収集装置10に対して指示するための命令を取得した時点で開始される。
【0063】
加工パラメータ生成部106は、基準信号受信部105から所定の時間間隔で出力される基準信号の取得を待ち受ける(ステップS201)。加工パラメータ生成部106は、基準信号を取得した場合(ステップS201・Yes)、取得した基準信号が示す時刻と、基準信号を取得した時点において取得した時刻信号が示す時刻と、に基づいてパラメータ値を生成する(ステップS202)。加工パラメータ生成部106は、生成されたパラメータ値を加工パラメータ記憶部107に格納する(ステップS203)。
【0064】
加工パラメータ生成部106は、上記のパラメータ値の生成の処理を継続する場合(ステップS204・No)、引き続き基準信号の取得を待ち受ける(ステップS101)。また、加工パラメータ生成部106が、上記のパラメータ値の生成の処理を終了する場合(ステップS204・Yes)、図7のフローチャートが示す加工パラメータ生成部106の動作が終了する。なお、パラメータ値の生成の処理を終了する場合とは、例えば、データ収集装置10が、データ解析装置20から出力される、サンプリングの終了をデータ収集装置10に対して指示するための命令を取得した場合である。
【0065】
[データ加工部の動作]
以下、データ加工部108の動作の一例について説明する。
図8は、本発明の一実施形態に係るデータ収集装置10のデータ加工部108の動作を示すフローチャートである。本フローチャートが示す動作は、例えば、データ収集装置10が、データ解析装置20から出力される、サンプリングの開始をデータ収集装置10に対して指示するための命令を取得した時点で開始される。
【0066】
データ加工部108は、入力バッファ104に記憶されたサンプリングデータのデータ量を確認する(ステップS301)。入力バッファ104に記憶されたサンプリングデータのデータ量が所定のデータ量に達していない場合(ステップS302・No)、データ加工部108は、サンプリングデータのデータ量の確認を継続する(ステップS301)。
【0067】
入力バッファ104に記憶されたサンプリングデータのデータ量が所定のデータ量に達した場合(ステップS302・Yes)、データ加工部108は、入力バッファ104に記憶されたサンプリングデータを取得する。また、この場合、データ加工部108は、加工パラメータ記憶部107に記憶されたパラメータ値を取得する(ステップS303)。
【0068】
データ加工部108は、取得したサンプリングデータに対して、取得したパラメータ値に基づいて補間処理を実行する(ステップS304)。データ加工部108は、補間処理によって生成された補間処理済みデータを出力バッファ109に格納する(ステップS305)。
【0069】
データ加工部108は、上記の補間処理の実行を継続する場合(ステップS306・No)、入力バッファ104に記憶されたサンプリングデータのデータ量の確認を継続する(ステップS301)。また、データ加工部108が、上記の補間処理の実行を終了する場合(ステップS306・Yes)、図8のフローチャートが示すデータ加工部108の動作が終了する。なお、補間処理の実行を終了する場合とは、例えば、データ収集装置10が、データ解析装置20から出力される、サンプリングの終了をデータ収集装置10に対して指示するための命令を取得した場合である。
【0070】
[データ送信部の動作]
以下、データ送信部110の動作の一例について説明する。
図9は、本発明の一実施形態に係るデータ収集装置10のデータ送信部110の動作を示すフローチャートである。本フローチャートが示す動作は、例えば、データ収集装置10が、データ解析装置20から出力される、サンプリングの開始をデータ収集装置10に対して指示するための命令を取得した時点で開始される。
【0071】
データ送信部110は、出力バッファ109に記憶された補間処理済みデータのデータ量を確認する(ステップS401)。出力バッファ109に記憶された補間処理済みデータのデータ量が所定のデータ量に達していない場合(ステップS402・No)、データ送信部110は、補間処理済みデータのデータ量の確認を継続する(ステップS401)。
【0072】
出力バッファ109に記憶された補間処理済みデータのデータ量が所定のデータ量に達した場合(ステップS402・Yes)、データ送信部110は、出力バッファ109に記憶された補間処理済みデータを取得する(ステップS403)。データ送信部110は、取得した補間処理済みデータをデータ解析装置20へ送信する(ステップS405)。
【0073】
データ送信部110は、上記の補間処理済みデータの送信処理の実行を継続する場合(ステップS405・No)、出力バッファ109に記憶された補間処理済みデータのデータ量の確認を継続する(ステップS401)。また、データ送信部110が、上記の補間処理済みデータの送信処理の実行を終了する場合(ステップS405・Yes)、図9のフローチャートが示すデータ送信部110の動作が終了する。なお、補間処理済みデータの送信処理の実行を終了する場合とは、例えば、データ収集装置10が、データ解析装置20から出力される、サンプリングの終了をデータ収集装置10に対して指示するための命令を取得した場合である。
【0074】
以上説明したように、本発明の一実施形態に係るデータ収集装置10は、外部の装置(データ解析装置20)によって計時された時刻である第1の時刻を示す基準信号であって、前記外部の装置から所定の第1の時間間隔で送信される前記基準信号を受信する基準信号受信部105と、所定の第2の時間間隔で時刻を計時し、計時された時刻である第2の時刻を示す時刻信号を発生させる時刻信号発生部101と、前記基準信号受信部105が受信した前記基準信号が示す前記第1の時刻と、前記基準信号受信部105が前記基準信号を受信した時点において前記時刻信号発生部101が発生させた時刻信号に基づく前記第2の時刻と、に基づいてパラメータ値を生成するパラメータ生成部(加工パラメータ生成部106)と、観測された信号の信号波形を示すアナログ信号を受信する信号受信部102と、前記信号受信部102が受信したアナログ信号を、前記第2の時間間隔でサンプリングしサンプリングデータを生成するサンプリング部103と、前記サンプリング部103によって生成されたサンプリングデータに対して、前記パラメータ生成部(加工パラメータ生成部106)によって生成された前記パラメータ値に基づいて補間処理を行うデータ加工部108と、を備える。
【0075】
上記の構成を備えることにより、本発明の一実施形態に係るデータ収集装置10は、自装置が生成する時刻信号に対応するサンプリングデータから、パラメータ値を用いて補間処理を行うことにより、外部の装置(データ解析装置20)から取得する基準信号の周期に対応するサンプリングデータ(補正処理済みデータ)の値を生成することができる。これにより、データ収集装置10は、外部の装置(データ解析装置20)に、当該外部の装置が生成する基準信号の周期に統一された補正処理済みデータを送信することができる。これにより、データ収集装置10は、外部の装置(データ解析装置20)において複数のデータ収集装置10から得られた各補正処理済みデータから復元される信号波形の間の偏差をなくすことができる。これにより、データ収集装置10は、信号波形の解析の精度を向上させることができる。
【0076】
また、以上説明したように、本発明の一実施形態に係る信号発生位置特定システム1は、上記の構成を備える複数のデータ収集装置10と、データ解析装置20を有する。データ解析装置20は、前記第1の時間間隔で前記基準信号を発生させる基準信号発生部201と、前記基準信号発生部201が発生させた前記基準信号を前記データ収集装置10へ送信する基準信号送信部202と、複数の前記データ収集装置10から送信された前記補間処理済みデータをそれぞれ受信するデータ受信部203と、前記データ受信部203が受信した複数の前記補間処理済みデータを解析することにより、前記信号の発生位置を特定するデータ解析部205と、を備える。
【0077】
上記の構成を備えることにより、本発明の一実施形態に係る信号発生位置特定システム1は、複数のデータ収集装置10において生成される各補正処理済みデータから復元される信号波形の間の偏差をなくすことができる。これにより、信号発生位置特定システム1は、データ解析装置20において行われる信号波形の解析の精度を向上させることができる。
【0078】
なお、上述した実施形態におけるデータ収集装置10及びデータ解析装置20の一部又は全部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、データ収集装置10及びデータ解析装置20に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵される、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、及びハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0079】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信回線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0080】
また、上述した実施形態におけるデータ収集装置10及びデータ解析装置20の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。データ収集装置10及びデータ解析装置20の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0081】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明してきたが、上記実施形態は本発明の例示に過ぎず、本発明が上記実施形態に限定されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の技術思想及び要旨を逸脱しない範囲で構成要素の追加、省略、置換、及びその他の変更を行ってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 信号発生位置特定システム
10 データ収集装置
20 データ解析装置
101 時刻信号発生部
102 信号受信部
103 サンプリング部
104 入力バッファ
105 基準信号受信部
106 加工パラメータ生成部
107 加工パラメータ記憶部
108 データ加工部
109 出力バッファ
110 データ送信部
201 基準信号発生部
202 基準信号送信部
203 データ受信部
204 データ記憶部
205 データ解析部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9