(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】ワイヤドライバ用チャック
(51)【国際特許分類】
B23B 31/173 20060101AFI20240829BHJP
A61B 17/16 20060101ALI20240829BHJP
B23B 31/12 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B23B31/173 C
A61B17/16
B23B31/12 D
(21)【出願番号】P 2021518586
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(86)【国際出願番号】 US2019054093
(87)【国際公開番号】W WO2020072511
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-10-03
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506410062
【氏名又は名称】ストライカー・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】チルダース,ロバート・ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】マトール,アマン・ディープ
(72)【発明者】
【氏名】バガト,アンクル
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-509893(JP,A)
【文献】米国特許第02546351(US,A)
【文献】特開昭57-156106(JP,A)
【文献】特開昭59-232704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/117、31/12、
B23B 31/173、31/177
A61B 17/16、17/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト(101,101’,101’’,301,501)を締め付けるためのチャック(20,220,420)であって、
縦軸(24,224,424)を画定する軸方向に延在するジョーガイド(64,264,464)であって、前記縦軸(24,224,424)を中心として周方向に分配された複数の第1のジョー溝(65,265,465)を備えたジョーガイド(64,264,464)と、
前記ジョー溝(65,265,465)内に摺動可能に配置された複数の挟み込み式ジョー(66,66’,66’’,266,466)であって、各ジョー(66,66’,66’’,266,466)が、前記縦軸(24,224,424)に面する締付面(88,288,488)と、前記締付面(88,288,488)と実質的に反対側の駆動面(90,290,490)と、
前記締付面(88,288,488)を超えて前記縦軸(24,224,424)に向かって延びる、第1の側面(94,94’,94’’,294,494)における突起(92,92’,92’’,92’’’,292,492,492’)と、第2の側面(98,98’,98’’,298,498)におけるキャビティ(96,96’,96’’,96’’’,296,496,496’)とを備え、各ジョー(66,66’,66’’,266,466)の前記突起(92,92’,92’’,92’’’,292,492,492’)が、隣接するジョー(66,66’,66’’,266,466)の前記キャビティ(96,96’,96’’,96’’’,296,496,496’)内に少なくとも部分的に配置されたジョー(66,66’,66’’,266,466)と、
前記ジョーガイド(64,264,464)の内面及び係合スリーブ(80,280)の内面の一方に位置する傾斜した係合面(84,284,484)であって、前記係合面(84,284,484)が、実質的に前記縦軸(24,224,424)を中心とし、前記駆動面(90,290,490)と実質的に平行であり、前記係合面(84,284,484)に対する前記ジョー(66,66’,66’’,266,466)の締付方向における移動が、前記締付面(88,288,488)を前記縦軸(24,224,424)に向かって移動させる傾斜した係合面(84,284,484)と、
を備えた、チャック(20,220,420)。
【請求項2】
前記ジョー(66,66’,66’’,266,466)が、第1の直径からこれより大きい第2の直径の範囲内のシャフト(101,101’,101’’,301,501)の受入及び締付けに適応する受入開口(106,106’,106’’,306,506)を画定し、前記突起(92,92’,92’’,92’’’,292,492,492’)が、前記ジョー(66,66’,66’’,266,466)が前記第1の直径のシャフト(101’)を締め付けるために位置決めされるとき、前記キャビティ(96,96’、96’’,96’’’,296,496,496’)内に配置された、
請求項1に記載のチャック(20,220,420)。
【請求項3】
前記溝(65,265,465)及び前記ジョー(66,66’,66’’,266,466)が、前記縦軸(24,224,424)を中心として均等に分配され、各ジョー(66,66’,66’’,266,466)の前記突起(92,92’,92’’,92’’’,292,492,492’)が、前記隣接するジョー(66,66’,66’’,266,466)の前記キャビティ(96,96’,96’’,96’’’,296,496,496’)と実質的に相補的である、
請求項1に記載のチャック(20,220,420)。
【請求項4】
前記ジョー(66’’)が、前記第1の側面(94’’)及び前記第2の側面(98’’)のそれぞれに突起(92’’,92’’’)及びキャビティ(96’’,96’’’)をそれぞれ有し、各ジョー(66’’)の前記第1の側面(94’’)の前記突起(92’’,92’’’)が、隣接するジョー(66’’)の前記第2の側面(98’’)の前記キャビティ(96’’,96’’’)内に少なくとも部分的に配置され、各ジョー(66’’)の前記第2の側面(98’’)の前記突起(92’’,92’’’)が、前記隣接するジョー(66’’)の前記第1の側面(94’’)の前記キャビティ(96’’,96’’’)内に少なくとも部分的に配置された、
請求項1に記載のチャック(20)。
【請求項5】
前記ジョー(66,66’,66’’,266)及び前記突起(92,92’,92’’,92’’’,292)がそれぞれ、傾斜した遠位面(102,102’,102’’,302,104,104’,104’’,304)を有する、
請求項1に記載のチャック(20,220)。
【請求項6】
前記ジョー(66,66’,66’’,266)及び前記突起(92,92’,92’’,92’’’,292)がそれぞれ、傾斜した近位面(108,108’,108’’,108’’’,110,110’,110’’,110’’’)を有する、
請求項1に記載のチャック(20,220)。
【請求項7】
前記ジョー(66,66’,66’’,266)及び前記突起(92,92’,92’’,92’’’,292)がそれぞれ、傾斜した遠位面(102,102’,102’’,302,104,104’,104’’,304)と、傾斜した近位面(108,108’,108’’,108’’’,110,110’,110’’,110’’’)とを有する、
請求項1に記載のチャック(20,220,420)。
【請求項8】
前記突起(92,92’,92’’,92’’’,292,492,492’)が、前記締付面(88,288,488)の近くで互いに隣接するジョー(66,66’,66’’,266,466)の対向する側面(94,94’,94’’,294,494,98,98’,98’’,298,498)間の間隙内に延びている、
請求項1に記載のチャック(20,220,420)。
【請求項9】
挟むことなく前記チャック(20,220,420)によって収容可能な最小のシャフト(101’)に対する最大のシャフト(101’’)の比率が、少なくとも4:1である、
請求項1に記載のチャック(20,220,420)。
【請求項10】
前記ジョーガイド(64,264)、前記ジョー(66,66’,66’’,266)、及び前記係合スリーブ(80,280)が回転可能に内部に配置された実質的に円筒状のハウジング(36,72)と、
前記ハウジング(36,72)に枢動可能に取り付けられた締付レバー(38)であって、前記ジョーガイド(64,264)及び前記係合スリーブ(80,280)の一方を軸方向に移動させるために、前記ジョーガイド(64,264)及び前記係合スリーブ(80,280)の一方に接続された締付レバー(38)と、
を更に備えた、請求項1に記載のチャック(20,220)。
【請求項11】
前記傾斜した係合面(284)が、前記係合スリーブ(280)上に配置され、前記ジョーガイド(264)が、前記係合スリーブ(280)に対して実質的に固定され、前記チャック(220)が、前記ジョー(266)と軸方向係合する軸方向に移動可能な作動ヘッド(276)を更に備え、前記作動ヘッド(276)の係合方向における軸方向移動が、前記ジョー(266)の前記駆動面(290)を前記傾斜した係合面(284)に対して押圧し、前記ジョー(266)を前記係合スリーブ(280)に対して軸方向に移動させる、
請求項1に記載のチャック(220)。
【請求項12】
前記傾斜した係合面(484)が、前記ジョーガイド(464)上に配置され、前記ジョー(466)が、駆動スリーブ(470)に配置されたネジ山と螺合する状態で配置されたネジ山面を有する、
請求項1に記載のチャック(470)。
【請求項13】
ワイヤドライバ(20,22)用チャック(20)であって、
縦軸(24)を画定する軸方向に延在するジョーガイド(64)であって、前記縦軸(24)を中心として周方向に分配された複数の第1のジョー溝(65)を備えたジョーガイド(64)と、
前記ジョー溝(65)内に摺動可能に配置された複数の挟み込み式ジョー(66,66’,66’’)であって、各ジョー(66,66’,66’’)が、前記縦軸(24)に面する締付面(88)と、前記締付面(88)と実質的に反対側の駆動面(90)と、第1の側面(94,94’,94’’)における突起(92,92’,92’’,92’’’)と、第2の側面(98,98’,98’’)におけるキャビティ(96,96’,96’’,96’’’)とを備え、各ジョー(66,66’,66’’)の前記突起(92,92’,92’’,92’’’)が、隣接するジョー(66,66’,66’’)の前記キャビティ(96,96’,96’’,96’’’)内に少なくとも部分的に配置されたジョー(66,66’,66’’)と、
傾斜した係合面(84)を内面に有する係合スリーブ(80)であって、前記係合面(84)が、実質的に前記縦軸(24)を中心とし、前記駆動面(90)と実質的に平行であり、前記係合スリーブ(80)に対する前記ジョーガイド(64)の締付方向における移動が、前記締付面(88)を前記縦軸(24)に向かって移動させる係合スリーブ(80)と、
を備えた、チャック(20)。
【請求項14】
前記ジョーガイド(64)、前記ジョー(66,66’,66’’)、及び前記係合スリーブ(80)が回転可能に内部に配置された実質的に円筒状のハウジング(36,72)と、
前記ハウジング(36,72)に枢動可能に取り付けられた締付レバー(38)であって、前記ジョーガイド(64)及び前記係合スリーブ(80)の一方を軸方向に移動させるために、前記ジョーガイド(64)及び前記係合スリーブ(80)の一方に接続された締付レバー(38)と、
を更に備えた、
請求項13に記載のチャック(20)。
【請求項15】
前記ジョー(66,66’,66’’)が、第1の直径(101’)からこれより大きい第2の直径(101’’)の範囲内のシャフト(101,101’,101’’)の受入及び締付けに適応する受入開口(106,106’,106’’)を画定し、前記突起(92,92’,92’’,92’’’)が、前記ジョー(66,66’,66’’)が前記第1の直径のシャフト(101’)を締め付けるために位置決めされるとき、前記キャビティ(96,96’,96’’,96’’’)内に配置される、
請求項13に記載のチャック(20)。
【請求項16】
前記溝(65)及び前記ジョー(66,66’,66’’)が、前記縦軸(24)を中心として均等に分配され、各ジョー(66,66’,66’’)の前記突起(92,92’,92’’,92’’’)が、前記隣接するジョー(66,66’,66’’)の前記キャビティ(96,96’,96’’,96’’’)と実質的に相補的である、
請求項13に記載のチャック(20)。
【請求項17】
前記ジョー(66,66’,66’’)が、前記第1の側面(94,94’,94’’)及び前記第2の側面(98,98’,98’’)のそれぞれに突起(92,92’,92’’,92’’’)及びキャビティ(96,96’,96’’,96’’’)をそれぞれ有し、各ジョー(66,66’,66’’)の前記第1の側面(94,94’,94’’)の前記突起(92,92’,92’’,92’’’)が、隣接するジョー(66,66’,66’’)の前記第2の側面(98,98’,98’’)の前記キャビティ(96,96’,96’’,96’’’)内に少なくとも部分的に配置され、各ジョー(66,66’,66’’)の前記第2の側面(98,98’,98’’)の前記突起(92,92’,92’’,92’’’)が、前記隣接するジョー(66,66’,66’’)の前記第1の側面(94,94’,94’’)の前記キャビティ(96,96’,96’’,96’’’)内に少なくとも部分的に配置される、
請求項13に記載のチャック(20)。
【請求項18】
前記ジョー(66,66’,66’’)及び前記突起(92,92’,92’’,92’’’)がそれぞれ、傾斜した遠位面(102,102’,102’’,104,104’,104’’)を有する、
請求項13に記載のチャック(20)。
【請求項19】
前記ジョー(66,66’,66’’)及び前記突起(92,92’,92’’,92’’’)がそれぞれ、傾斜した近位面(108,108’,108’’,108’’’,110,110’,110’’,110’’’)を有する、
請求項13に記載のチャック(20)。
【請求項20】
前記ジョー(66,66’,66’’)及び前記突起(92,92’,92’’,92’’’)がそれぞれ、傾斜した遠位面(102,102’,102’’,104,104’,104’’)と、傾斜した近位面(108,108’,108’’,108’’’,110,110’,110’’,110’’’)とを有する、
請求項13に記載のチャック(20)。
【請求項21】
前記突起(92,92’,92’’,92’’’)が、前記締付面(88)の近くで互いに隣接するジョー(66,66’,66’’)の対向する側面(94,94’,94’’,98,98’,98’’)間の間隙を横切って延びている、
請求項13に記載のチャック(20)。
【請求項22】
前記突起(92,92’,92’’,92’’’)が、前記締付面(88)を超えて前記縦軸(24)に向かって延びている、
請求項13に記載のチャック(20)。
【請求項23】
挟むことなく前記チャック(20)によって収容可能な最小のシャフト(101’)に対する最大のシャフト(101’’)の比率が、少なくとも4:1である、
請求項13に記載のチャック(20)。
【請求項24】
前記ジョーガイド(64)が、前記駆動シャフト(62)の遠位端に位置している、
請求項13に記載のチャック(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本特許出願は、2019年6月18日に出願された米国仮特許出願第62/862,854号、及び2018年10月3日に出願された米国仮特許出願第62/740,579号の優先権及び利得の全てを主張するものであり、これらは、参照することによって、それらの全体がここに含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
シャフト、例えば、ワイヤ、ピン、ドリルビットなどを3本ジョー式チャック内に挿入して締め付け、シャフトが回転軸に対して心出しされ且つしっかりとチャック内に把持されるようにすることは、特にチャックを使用して、シャフトを選択的に締め付け、取外し、再び締め付ける場合、困難になる可能性がある。チャックの直径範囲の下限にあるシャフトは、意図されることなく、芯ずれして又は回転軸から傾斜して挿入されて締め付けられることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
先行技術は、外科手術中の使用が必要とされるように、シャフトをジョーチャックに迅速且つ容易に挿入して締め付ける必要性に対処していなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
例示的なチャックは、ジョーガイドと、複数の挟み込み式ジョーと、傾斜した係合面とを備えている。ジョーガイドは、縦軸を画定し、縦軸を中心として周方向に分配されたジョー溝を備えている。ジョーは、ジョー溝内に摺動可能に配置されている。各ジョーは、縦軸に面する締付面と、締付面と実質的に反対側の駆動面と、第1の側面における突起と、第2の側面におけるキャビティとを有している。各ジョーの突起は、隣接するジョーのキャビティ内に少なくとも部分的に配置されるようになっている。係合面は、ジョーガイドの内面及び係合スリーブの内面の一方に位置し、実質的に縦軸を中心とし、駆動面と実質的に平行である。係合面に対するジョーの締付方向における移動が、締付面を縦軸に向かって移動させるようになっている。
【0005】
ワイヤドライバ用チャックは、軸方向に延在するジョーガイドと、複数の挟み込み式ジョーと、係合スリーブとを備えている。軸方向に延在するジョーガイドは、縦軸を画定し、縦軸を中心として周方向に分配された複数の第1のジョー溝を備えている。複数の挟み込み式ジョーは、ジョー溝内に摺動可能に配置されている。各ジョーは、縦軸に面する締付面と、締付面と実質的に反対側の駆動面と、第1の側面における突起と、第2の側面におけるキャビティとを有している。各ジョーの突起は、隣接するジョーのキャビティ内に少なくとも部分的に配置されるようになっている。係合スリーブは、その内面に傾斜した係合面を有している。係合面は、実質的に縦軸を中心とし、駆動面と実質的に平行である。係合面に対するジョーの締付方向における移動が、締付面を縦軸に向かって移動させるようになっている。
【0006】
このようなチャックは、以下に述べる追加的な特徴を備えていてもよい。このような特徴は、個別に又は互いに組合わせて含まれてもよく、このような組み合わせは、相互排他性のみによって制限される。
【0007】
ジョーは、第1の直径からこれより大きい第2の直径の範囲内のシャフトの受入及び締付けに適応する受入開口を画定してもよく、突起は、ジョーが第1の直径のシャフトを締め付ける位置にあるとき、キャビティ内に配置されるようになっていてもよい。
【0008】
溝及びジョーは、縦軸を中心として均等に分配されてもよく、各ジョーの突起は、隣接するジョーのキャビティと実質的に相補的であってもよい。
【0009】
ジョーは、第1の側面及び第2の側面に突起及びキャビティを夫々有してもよく、各ジョーの第1の側面の突起は、隣接するジョーの第2の側面のキャビティ内に少なくとも部分的に配置されるようになっていてもよい。各ジョーの第2の側面の突起は、隣接するジョーの第1の側面のキャビティ内に少なくとも部分的に配置されるようになっていてもよい。
【0010】
ジョー及び突起はそれぞれ、締付面においてより短い傾斜した遠位面を有していてもよい。
【0011】
ジョー及び突起はそれぞれ、締付面においてより短い傾斜した近位面を有していてもよい。
【0012】
ジョー及び突起はそれぞれ、締付面においてより短い傾斜した遠位面と、締付面においてより短い傾斜した近位面とを有していてもよい。
【0013】
突起は、締付面の近くで互いに隣接するジョーの対向する側面間の間隙内に延びていてもよい。
【0014】
突起は、締付面を超えて縦軸に向かって延びていてもよい。
【0015】
チャックは、実質的に円筒状のハウジングと、締付レバーとを更に備えていてもよい。ジョーガイド、ジョー、及び係合スリーブが、実質的に円筒状のハウジング内に回転可能に配置されていてもよい。締付レバーは、ハウジングに枢動可能に取り付けられていてもよく、ジョーガイド及び係合スリーブの一方を軸方向に移動させるために、ジョーガイド及び係合スリーブの一方に接続されていてもよい。
【0016】
チャックは、挟むことなく、チャックによって収容可能な最小のシャフトに対する最大のシャフトの比率として、実質的に4:1に等しい比率を有していてもよい。
【0017】
チャックは、実質的に円筒状のハウジングと、締付レバーとを更に備えていてもよい。ジョーガイド、ジョー、及び係合スリーブが、実質的に円筒状のハウジング内に回転可能に配置されていてもよい。締付レバーは、ハウジングに枢動可能に取り付けられていてもよく、係合スリーブを軸方向に移動させるために、ジョーガイド及び係合スリーブの一方に接続されていてもよい。
【0018】
傾斜した係合面は、係合スリーブ上に配置されていてもよい。ジョーガイドは、係合面に対して実質的に固定されていてもよい。チャックは、ジョーと軸方向に係合する、軸方向に移動可能なアクチュエータヘッドを更に備えていてもよい。アクチュエータヘッドの係合方向における軸方向移動が、ジョーの駆動面を傾斜した係合面に対して押圧し、ジョーを係合スリーブに対して軸方向に移動させるようになっていてもよい。
【0019】
傾斜した係合面は、ジョーガイド上に配置されていてもよい。ジョーは、スリーブに配置されたネジ山と螺合するように配置されたネジ山面を有していてもよい。
【0020】
ジョーガイドは、駆動シャフトの遠位端に位置していてもよい。
【0021】
ワイヤドライバ用チャックは、実質的に円筒状のハウジングと、軸方向に延在する駆動シャフトと、複数のジョーと、係合スリーブと、アクチュエータスリーブと、第1の位置決め軸受と、第2の位置決め軸受と、締付アクチュエータとを備えている。実質的に円筒状のハウジングは、縦軸を画定している。軸方向に延在する駆動シャフトは、縦軸を中心として選択的に回転するために、ハウジング内に縦軸を中心として回転可能に配置されている。駆動シャフトは、その遠位端にジョーガイドを備えている。ジョーガイドは、縦軸を中心として周方向に分配された複数の第1のジョー溝を備えている。複数のジョーは、ジョー溝内に摺動可能に配置されている。各ジョーは、縦軸に面する締付面、及び締付面と実質的に反対側の駆動面を有している。係合スリーブは、縦軸を中心として選択的に回転するために、ハウジング内に縦軸を中心として回転可能に配置されている。係合スリーブは、その内面に傾斜した係合面を有している。係合面は、実質的に縦軸を中心とし、駆動面と実質的に平行である。係合面は、駆動面に対して軸方向に整列して駆動面の半径外方に拡がるように少なくとも部分的に配置され、駆動面と選択的に係合している。アクチュエータスリーブは、係合面の近位側において、摺動可能且つ回転しないように縦軸に配置され、第1の軸方向及び第2の軸方向のそれぞれにおいて係合スリーブと選択的に軸方向に係合している。第1の位置決め軸受は、アクチュエータスリーブの近位側において、駆動シャフトとハウジングとの間に配置されたアキシャル-ラジアル負荷軸受である。第2の位置決め軸受は、アクチュエータスリーブの遠位側において、係合スリーブとハウジングとの間に配置された実質的にラジアル負荷軸受である。締付アクチュエータは、係合スリーブを軸方向に移動させるために、締付リンクによってアクチュエータスリーブに接続されている。ジョーガイドに対する係合スリーブの締付方向の移動が、締付面を縦軸に向かって移動させるようになっている。
【0022】
先行する段落に記載のチャックは、以下に述べる追加的な特徴を備えていてもよい。このような特徴は、個別に又は互いに組合わせて含まれてもよく、このような組み合わせは、相互排他性のみによって制限される。
【0023】
チャックは、駆動シャフトに配置されて固定された軸受支持スリーブを更に備えていてもよく、第1の位置決め軸受の内輪は、駆動シャフトに固定されていてもよい。
【0024】
軸受支持スリーブは、その内径側のネジ山と、ネジ山の近位端における内径側の第1の肩部とを備えていてもよい。駆動シャフトは、駆動シャフトの尾部のネジ山と、ネジ山の近位端における駆動シャフトの外径側の第2の肩部とを備えていてもよい。軸受支持スリーブのネジ山は、尾部のネジ山に螺合し、第1及び第2の肩部は、互いに係合していてもよい。
【0025】
締付アクチュエータは、ハウジングに枢動自在に取り付けられた締付レバーを備えていてもよい。締付リンクは、アクチュエータスリーブに係合されたレバーのヨーク部分を備えていてもよい。ジョーガイドに対する係合スリーブの締付方向における移動が、締付面を縦軸に向かって移動させるようになっていてもよい。
【0026】
第1のスラスト軸受が、アクチュエータスリーブの遠位端と係合スリーブとの間に配置されていてもよい。第2のスラスト軸受が、アクチュエータスリーブの近位端と係合スリーブとの間に配置されていてもよい。
【0027】
本明細書において、説明される構造の少なくとも1つの実施形態を描写する際に、相対的な方位及び方向(例えば、上方、下方、底、後方、前部、後部、背後、外部、内部、内向き、外向き、横、左側、右側、近位側、遠位側)が規定されるが、これらの規定は、制限のためではなく、読者の便宜のためである。本明細書において、「近位側(proximally)」は、ワイヤ101又はドリルビットが用いられる手術部位からハンドピース22を保持する外科医に向かう方向を意味することを理解されたい。「遠位側(distally)」は、外科医からワイヤ101又はドリルビットが用いられる手術部位に向かう方向を意味することを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】例示的なハンドピースに連結された例示的なチャックの右側を前上方から見た斜視図である。
【
図2】
図1のチャック及びハンドピースの右側を後上方から見た斜視図である。
【
図5A】
図4のチャックを矢印5の方向に沿って切断した断面図である。
【
図5B】第1のシャフトを有する
図5Aのチャックの断面図である。
【
図5C】第2のシャフトを有する
図5Aのチャックの断面図である。
【
図7A】
図1-6のチャックの例示的な第1のチャックジョーの左側面である。
【
図8A】例示的な小径シャフトに対する締付前位置にある
図7A-7Cの3つのチャックジョーの左側を後上方から見た斜視図である。
【
図8B】例示的な小径シャフトに対する締付前位置にある
図8Aの3つのチャックジョーの右側を前上方から見た斜視図である。
【
図8C】例示的な小径シャフトに対する締付前位置にある
図8Aのチャックジョーの正面図である。
【
図8D】例示的な大径シャフトに対する締付位置にある
図8Aのチャックジョーの正面図である。
【
図9A】
図1-6のチャックの例示的な第2のチャックジョーの左側面である。
【
図10A】例示的な小径シャフトに対する締付前位置にある
図9Aの3つのチャックジョーの左側を後上方から見た斜視図である。
【
図10B】例示的な小径シャフトに対する締付前位置にある
図10Aの3つのチャックジョーの右側を前上方から見た斜視図である。
【
図10C】例示的な小径シャフトに対する締付前位置にある
図10Aのチャックジョーの正面図である。
【
図10D】例示的な大径シャフトに対する締付位置にある
図10Aのチャックジョーの正面図である。
【
図11A】
図1-6のチャックの例示的な第3のチャックジョーの左側面である。
【
図12A】例示的な小径シャフトに対する締付前位置にある
図11Aの3つのチャックジョーの左側を後上方から見た斜視図である。
【
図12B】例示的な小径シャフトに対する締付前位置にある
図12Aの3つのチャックジョーの右側を前上方から見た斜視図である。
【
図12C】例示的な小径シャフトに対する締付前位置にある
図12Aのチャックジョーの正面図である。
【
図12D】例示的な大径シャフトに対する締付位置にある
図12Aのチャックジョーの正面図である。
【
図13A】
図14,15のチャックの例示的な第2のチャックジョーの右側面図である。
【
図14】
図15の矢印14の方向に沿って切断した代替的な第1のチャック構成の断面図である。
【
図15】
図14のチャックを矢印15の方向に沿って切断した断面図である。
【
図16】
図17の矢印16の方向に沿って切断した代替的な第2のチャック構成の断面図である。
【
図17】
図16のチャックを矢印17の方向に沿って切断した断面図である。
【
図18A】
図16,17のジョーの主に右側を前底方から見た斜視図である。
【
図19A】小径ワイヤが配置された開放状態にある
図16のチャックのスプリットナット及びジョーの右側を前上方から見た斜視図である。
【
図19B】小径ワイヤが配置された締付状態にある
図19Aのスプリットナット及びジョーの面19Bに沿った正面断面図である。
【
図19C】大径ワイヤが配置された締付状態にある
図19Aのチャックのスプリットナット及びジョーの面19Bに沿った正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1,2は、例示的なハンドピース22に連結された例示的なチャック20を示している。ハンドピース22及びチャック20は、協働してワイヤドライバを構成している。チャック20は、チャック20の特定部分及びハンドピース22の回転軸と一致する縦軸24を備えている。
【0030】
ハンドピース22は、モータ26、制御装置28、第1のアクチュエータボタン30、第2のアクチュエータボタン32、及び電源34を備えている。ハンドピース22は、市販のハンドピース、例えば、Stryker(R) RemB(R) UDriverである。電源34は、バッテリ及び電源コードを備える例示的な型式の電源によって概略的に表されている。電源は、特定されているが、それを限定することを意図するものではない。更に追加的な代替的動力源の例として、空気圧動力及び油圧動力が挙げられる。
【0031】
図3-6に最もよく示される例示的なチャック20は、実質的に縦軸24に沿って配向されている。縦軸24は、チャック20の回転軸としても機能する。チャック20は、回転可能な部品が配置されたチャックハウジング36を備えている。ハウジング36は、実質的に円筒状の形状を有し、縦軸24を中心とし、これによって、縦軸24を画定している。
【0032】
チャック20は、例示的な締付アクチュエータ、例えば、締付レバー38と、関連するレバー取付開口44とを更に備えている。締付レバー38は、枢軸、すなわち、レバー38のレバー枢動開口42を貫通するピン40によって、ハウジング36に枢動可能に接続されている。レバー取付開口44は、ハウジング36の取付トラニオン46に設けられている。ピン40をレバー38及びトラニオン46内に保持するために、ネジ48を用いることができる。把持部分50は、枢動開口42によって、レバー38のヨーク部分52から分離されている。
【0033】
ヨーク部分52は、ハウジング36内に実質的に配置され、トラニオン46と整列するハウジング36の開口54を貫通している。ヨーク部分52は、アクチュエータスリーブ58のアクチュエータスロット56内に枢動可能に配置され、これによって、アクチュエータスリーブ58に接続されている。アクチュエータスリーブ58は、縦軸24に沿って移動可能となるようにハウジング36内に摺動可能に配置されている。スリーブ58に対するヨーク部分52の係合によって、ピン40を中心とするレバー38の枢動が縦軸24に沿ったスリーブ58の軸方向移動を生じさせる。スリーブ58を解除位置に付勢し、これによって、レバー38をハンドピース22の把持ハンドル60から離れる解除位置に付勢するために、解除バネ59、例えば、圧縮コイルバネが、ハウジング36内においてハウジング36とスリーブ58との間に配置されている。
【0034】
レバー38、更に具体的には、把持部分50とアクチュエータスリーブ58との間の締付リンクは、ヨーク部分52と、トラニオン46と、アクチュエータスロット56とを備えていてもよい。代替的に、電動モータの形態にあるアクチュエータと、レバーに代わるスイッチと、駆動モータとアクチュエータスリーブ58との間に配置される歯車駆動体の形態にある締付リンクとを備える構成も考えられる。
【0035】
駆動シャフト62が、縦軸24を中心として選択的に回転するために、ハウジング36内において縦軸24を中心として回転可能に配置されている。駆動シャフト62は、一体的に回転するジョーガイド64を備えていてもよい。ジョーガイド64は、軸方向に延在している。すなわち、ジョーガイド64は、縦軸24に沿って軸方向に延在し、これによって、縦軸24を画定している。ジョーガイド64は、駆動シャフト62の遠位端に位置していてもよい。ジョーガイド64は、複数、例えば、3つのジョー溝65を備えている。複数のジョー66がそれぞれ、ジョー溝65内に摺動可能に配置されている。これらの溝65は、縦軸24を中心として、周方向に均等に分配されている。例えば、3つの溝65が、互いに120°離間して配置されている。駆動シャフト62は、ハンドピース22のモータ26によって駆動される(図示されない)回転駆動要素と連結するための係合端68を備えていてもよい。第1の位置決め軸受67、例えば、ローラ軸受67が、ハウジング36に対する駆動シャフト62の回転を容易にするために、駆動シャフト62とハウジング36との間に配置されていてもよい。軸受67は、軸受67によって占有される空間を示すために中実断面を有する環状リングとして概略的に示されている。しかし、軸受67は、ローラ(例えば、ボールローラ、円筒ローラ、テーパローラ、ニードルローラ)、内輪、外輪、及びローラケージを備えていてもよい。軸受67は、アキシャル-ラジアル負荷軸受、すなわち、スラスト負荷、具体的には、アキシャル負荷及びラジアル負荷の両方を受けることが可能な軸受であってもよい。
【0036】
第1の位置決め軸受67は、シャフト62に固定された軸受支持スリーブ69に取り付けられていてもよい。軸受支持スリーブ69は、内径側に第1のネジ山71を有している。この内径側の第1のネジ山71は、外径側に第2のネジ山73を有する駆動シャフト62と螺合していてもよい。スリーブ69及びシャフト62の相対的な位置決めは、スリーブ69の内径側の第1の肩部75と駆動シャフト62の外径側の第2の肩部77との係合によって達成される。肩部75,77は、互いに平行であり、それぞれ、45°の角度で傾斜している。このような構成によって、スリーブ69が設置されたとき、ネジ山71,73と肩部75,77との間において、スリーブ69に引張力が加えられるとともに、駆動シャフト62に圧縮力が加えられる。
【0037】
駆動シャフト62の遠位端は、この遠位端に配置されたノーズキャップ70を有し、従って、ノーズキャップ70と一緒に回転する。ノーズキャップ70は、ノーズキャップ70とジョーガイド64との間に配置された板バネの保持を助長する。ノーズキャップ70は、駆動シャフト62の遠位端に螺合によって固定されたノーズハウジング72によって部分的に取り囲まれている。
【0038】
板バネ74は、ジョー溝65内のジョー66の保持を助長するために用いることができる。板バネ74は、ジョー66の各々に係合するために、複数、具体的には、ジョー66の数と等しい数のバネフィンガー76を備えている。フィンガー76はそれぞれ、円形基部78から延在している。
【0039】
係合スリーブ80は、係合スリーブ80の内面に傾斜した係合面84を有するヘッド部分82を備えている。傾斜した係合面84は、ジョー66と軸方向に少なくとも部分的に整列してその半径外方に延びる状態で配置され、
図5Bに最もよく示されるように、係合位置においてジョー66を少なくとも部分的に取り囲むようになっている。係合面84は、駆動面90に選択的に係合してもよい。係合スリーブ80は、尾部86を備えている。尾部86は、近位方向においてヘッド部分82から離れるように軸方向に延在し、縦軸24を中心としてヘッド部分82を保持するのを助長する。第2の位置決め軸受、例えば、ローラ軸受79が、係合スリーブ80とハウジング36との間に配置されていてもよい。更に具体的には、軸受79の(図示されない)内輪がヘッド部分82に係合していてもよい。軸受79の(図示されない)外輪は、前述したようにハウジング36に固定されたノーズハウジング72に係合していてもよい。(図示されない)ローラ及びローラケージが、軸受79の内外輪間に配置されていてもよい。軸受79は、実質的にラジアル負荷のみを受けるように構成されていてもよい。
【0040】
アクチュエータスリーブ58は、尾部86に沿って軸方向に移動すると共に尾部86に対して相対的に回転するために、尾部86に摺動可能に配置されていてもよい。スリーブ58の近位方向における尾部86に沿った軸方向移動は、尾部86の近位端に取外し可能に配置された第1の保持リング81によって制限される。スリーブ58の遠位方向における尾部86に沿った軸方向移動は、係合スリーブ80のヘッド部分82によって制限されていてもよい。
【0041】
特に、アクチュエータスリーブ58が尾部86の最近位位置又は最遠位位置のいずれかに付勢されたとき、アクチュエータスリーブ58に対する係合スリーブ80の相対的な回転に対する摩擦抵抗を低減させるために、第1及び第2のスラスト軸受83,85、例えば、ローラ軸受83,85がアクチュエータスリーブ58の両端に配置されていてもよい。
【0042】
アクチュエータスリーブ58が第1の軸方向、例えば、遠位方向に移動したとき、アクチュエータスリーブ58は、係合スリーブ58のヘッド部分82と軸方向において選択的に係合してもよい。このような係合として、アクチュエータスリーブ58とヘッド部分82との中間の第1のスラストプレート87及びスラスト軸受83に対して生じる間接的係合が挙げられる。同様に、アクチュエータスリーブ58が第2の方向、例えば、近位方向に移動したとき、アクチュエータスリーブ58は、保持リング81を介して間接的に尾部86の近位端と軸方向において選択的に係合してもよい。このような係合として、アクチュエータスリーブ58と保持リング81との中間の第2のスラストプレート91及びスラスト軸受85に対して生じる係合が挙げられる。
【0043】
ローラ及びローラケージを備える第1のスラスト軸受83は、ヘッド部分82とアクチュエータスリーブ58との間に配置されていてもよい。第1のスラストプレート87は、スラスト軸受83とヘッド部分82との間に配置されていてもよい。スラストプレート87及びヘッド部分82のそれぞれは、軸受の内外輪を画定することができる。総称的にシム積層体と呼ばれる複数のシムワッシャー89が、第1のスラストプレート87とヘッド部分82との間に配置されていてもよい。図示されない他のスラストプレートが、ヘッド部分82と軸受83との間に配置されていてもよい。更に代替的に、軸受87は、ヘッド部分82又はスラストプレート87内に内外輪を形成する必要性をなくすために、一体的な軸受内外輪を備えていてもよい。
【0044】
第2のスラスト軸受85は、アクチュエータスリーブ58と第1の保持リング81との間で尾部86の周りに配置されていてもよい。係合スリーブ70の尾部86は、第2のスラスト軸受85と第1の保持リング81との間で第2のスラストプレート91を支持することができる。第2のスラストプレート91は、第2のスラスト軸受85及び保持リング81と軸方向において係合するような直径を有するように形成されている。ここでも、第1のスラスト軸受87に関して説明した代替的構造が用いられてもよい。第3のスラストプレート97が、第2のスラスト軸受85と第2のスラストプレート91との間に配置されていてもよい。バネワッシャー99が、スラストプレート91,97間に配置されていてもよい。駆動シャフト62は、駆動シャフト62の近位端124で終端する近位部分122を有していてもよい。入力シャフトガイド126が、近位部分122の周りに摺動可能に配置されていてもよい。入力シャフトガイド126及び近位部分122は、相補的な特徴を備えている。具体的には、ガイド126を貫通する軸方向通路は、近位部分122の断面輪郭と相補的な断面輪郭を有している。このような輪郭は、入力シャフトガイド126が入力シャフトガイド126と駆動シャフト62との間の相対的な回転を妨げつつ、近位部分122に沿って軸方向に移動することを可能にする特徴をもたらす。このような輪郭として、実質的に一定の軸方向に延在する非円形断面、例えば、互いに対向する平面部、スプライン、及び同様の形態を有する断面が挙げられる。第2の保持リング128、例えば、スナップリング128が、近位端124の近くの近位部分122の周溝内に配置されていてもよい。駆動バネ130、例えば、圧縮コイルバネ130が、軸受支持スリーブ69と入力シャフトガイド126との間で近位部分122の周りに配置されていてもよい。駆動バネ130は、軸受支持スリーブ69及び入力シャフトガイド126のそれぞれと係合し、入力シャフトガイド126を第2の保持リング128に対して押圧することができる。入力シャフトガイド126は、駆動シャフト62をハンドピース22の(図示されない)入力シャフトに駆動可能に接続するために用いることができる。入力シャフトは、チャック20がハンドピース22に取り付けられたとき、モータ26と駆動シャフト62との間に配置され、これらを駆動可能に接続することができる。
【0045】
ジョー66はそれぞれ、縦軸24に面する締付面88と、締付面88と実質的に反対側の駆動面90とを有している。ジョー66は、第1の側面94における突起92と、第2の側面98におけるキャビティ96とを更に有している。ジョーは、駆動面を横切るバネスロット95を有している。バネスロット95は、板バネ74のフィンガー76の1つを受入れるためのものである。
【0046】
ジョー66の側面94,98は、360°をジョーの数で除した値に実質的に等しい角度αだけ互いに離間していてもよい。この例では、3つのジョー66が設けられているので、角度αは、実質的に120°と等しくすることができる。ジョーの数がより多いチャックは、それに比例して、より小さい値の角度αを有することができる。互いに隣接するジョー66の向き合う側面94,98は、実質的に互いに平行、すなわち、互いに0°の角度であってもよい。互いに向き合う側面94,98間に配置されたシャフト101は、互いに隣接する2つのジョー66間に挟まれることができる。しかし、
図8C,8Dに示されるように、突起92が、互いに向き合う側面94,98間の角度βに対して、突起92の対向面100と対向する側面94,98との間に角度βをもたらすことができる。角度βが大きくなると、対向面100と側面98との間に配置されるシャフト101、例えば、ワイヤ、ピン、工具ビットが縦軸24の方に押されることになる。何故なら、対向面100及び側面98は、挟まれるというよりもむしろ互いに近接するからである。
【0047】
図8C,8Dの例は、突起92が存在しない場合の0°から突起92が設けられた場合の30°へと角度βが増加したことを示している。各ジョ―66の突起92は、チャック20の少なくとも1つの位置において隣接するジョー66のキャビティ96内に少なくとも部分的に配置されている。このような位置は、
図8Cに示されている。従って、このようなジョー66は、挟み込み式である。各ジョー66の突起92は、隣接するジョー66のキャビティ96と実質的に相補的であってもよい。
【0048】
係合スリーブ80の傾斜した係合面84は、実質的に縦軸24を中心とし、駆動面90と実質的に平行である。係合面84は、周方向に分布した複数の係合セグメントから構成されている。傾斜した係合面84に対するジョー66の締付方向における移動によって、締付面88が縦軸24に向かって移動する。係合面84及びジョー66の締付方向は、ジョー66に向かう係合面84の移動と一致する。例えば、
図5A-5Cにおいて、ジョーガイド64は、ハウジング36に対して横方向において静止しており、スリーブ80が、締付けによってハウジング36に対して左方向に移動する。
【0049】
ジョー66及び突起92は、チャック20及びハンドピース22の遠位端からシャフト101を受入れるために、傾斜した遠位入面102,104を夫々有していてもよい。傾斜した遠位面102,104は、設置状態において、縦軸24に向かって近位方向に傾斜することができる。このような傾斜した遠位面102,104は、傾斜した遠位面102,104と係合するシャフト101の端部をこれらの面102,104に沿って更に軸方向及び半径方向に摺動させ、ジョー66間の受入開口106内に導くものである。ジョー66が一緒に移動すると、シャフト101は、ジョー66の締付面88間の開口106内の締付位置に移動する。ジョー66は、突起92が隣接するジョー66のキャビティ96内に少なくとも部分的に配置されるとき、小径のシャフト101’を受け入れることができる。すなわち、ジョー66は、チャック20の締付範囲の小径側の直径を有するシャフト101を受け入れることができる。
【0050】
ジョー66及び突起92は、同様に、シャフト101をハンドピース22及びチャック20の近位端から受け入れるために、傾斜した近位入面108,110を夫々有していてもよい。傾斜した近位面108,110は、設置状態において、縦軸24に向かって遠位方向に傾斜することができる。このような傾斜した近位面108,110は、傾斜した近位面108,110と係合するシャフト101の端部をこれらの面108,110に沿って更に軸方向及び半径方向に摺動させ、ジョー66間の受入開口106内に導くことを助長することができる。ジョー66が一緒に移動すると、シャフト101は、ジョー66の締付面88間の開口106内の締付位置に移動する。
【0051】
ジョー66は、締付面88の反対側にフランジ部分112も備えている。フランジ部分112は、駆動面90を部分的に含んでいてもよい。各ジョー66のフランジ部分112は、溝65の壁内に摺動可能に配置されたジョー66の側壁114を超えて横方向に延在することができる。ジョーガイド64に対するフランジ部分112の下側の係合によって、ジョー66が溝65内を超えて移動するのを防ぎ、締付面88が縦軸24を超えて移動するのを防ぐことができる。
【0052】
ジョー66は、突起92及びキャビティ96の代替的構成を有していてもよい。代替的な例示的構成を有するジョー66’が、
図9A-9C及び10A-10Dに示されている。突起92’は、外縁において第1の側面94’から
締付面88を超えて延び、対向面100’を画定することができる。対向面100’と第2の側面98’との間の角度β’は、60°とすることができる。突起92’は、相補的なキャビティ96’によって少なくとも部分的に受入れられることができる。ジョー66’及び突起92’はそれぞれ、傾斜した遠位入面102’,104’を有していてもよい。同様に、ジョー66’及び突起92’はそれぞれ、傾斜した近位入面108’,110’を有していてもよい。複数のジョー66’は、協働して受入開口106’を画定することができる。
【0053】
図11A-11C及び12A-12Dに示されるジョー66’’の他の代替的構成は、第1の側面94’’における第1の突起92’’及び第1のキャビティ96’’と、第2の側面98’’における第2の突起92’’’及び第2のキャビティ96’’’とを有していてもよい。対向面100’’、100’’’間の角度β’’は、120°とすることができる。ジョー66’’及び突起92’’はそれぞれ、傾斜した遠位入面102’’、104’’を有していてもよい。突起92’’’は、傾斜した遠位入面104’’’を有していてもよい。同様に、ジョー66’’及び突起92’’’はそれぞれ、傾斜した近位入面108’’,110’’を有していてもよい。突起92’’’は、傾斜した近位入面110’’’を有していてもよい。複数のジョー66’は、協働して受入開口106’’を画定することができる。
【0054】
チャック20は、以下の手順に従って用いることができる。チャック20は、周知の方法によってハンドピース22に設置され、駆動シャフト62を、モータ26に駆動可能に接続することができる。
図5Aに示されるチャック20は、離脱位置、すなわち、解除位置にある。
図5Bに示されるチャック20は、係合状態又は締付状態にあり、小径シャフト101’を受入れている。
図5Cに示されるチャック20はまた、係合状態又は締付状態にあり、大径シャフト101’’、すなわち、チャック20の締付範囲の大径側の直径を有するシャフト101を受入れている。例示的な締付範囲は、0.5mmから3.5mmであり、最大直径と最小直径との比率を、7:1とすることができる。0.5mmから2.0mmの代替的な締付範囲の例は、最大直径と最小直径との比率を、4:1とすることができる。
図5Bにおけるシャフト101’の締付け及び
図5Cにおけるシャフト101’’の締付けは、把持部分50への力Fの印可によって、把持部分50を把持ハンドル60に向けて付勢する。
【0055】
シャフト101,101’,101’’は、シャフトを
図2に示されるハウジング36の後部118における後部入口開口116、及び
図1に示されるノーズキャップ70の前部入口開口120の1つを通すことによって、チャック20内に挿入することができる。前部入口開口120を通過すると、シャフト101は、ジョー66,66’,66’’の1つの遠位入面102,102’、102’’、又は突起92の遠位入面104,104’,104’’,104’’’に係合することができる。後部入口開口116を通過すると、シャフト101は、ジョー66,66’,66’’の1つの近位入面108、又は突起92の1つの近位入面110,110’,110’’,110’’’に係合することができる。後部からのシャフト101,101’,101’’の挿入を受入れるために、駆動シャフト62は、縦軸24と同軸の駆動シャフト通路121を備えていてもよい。通路121の直径は、チャック20によって受け入れられるシャフト101,101’,101’’の最大許容直径の限界として機能することができる。
【0056】
シャフト101,101’,101’’の端部は、遠位端の入面102,102’,102’’及び104,104’,104’’,104’’’、又は近位端の入面108及び110,110’,110’’,110’’によって、縦軸24に向かって導かれる。レバー38は、オペレータ、すなわち、外科医の指が把持部分50を掴むことによって、把持ハンドル60に向けて押し付けることができる。レバー38が枢軸40を中心として枢動する。ヨーク部分52が遠位方向に傾動され、アクチュエータスロット56内におけるヨーク部分52とアクチュエータスリーブ58との係合によって、アクチュエータスリーブ58も遠位方向に移動する。第2の位置決め軸受79が、遠位側において軸方向に拘束されている。環状の反力プレート132が、解除バネ59と係合するために、第2の位置決め軸受79の近位側に配置されていてもよい。解除バネ59は、第1のスラストプレートと反力プレート132との間で圧縮することができる。解除バネ59は、スリーブ58の遠位方向の移動を抑制する。アクチュエータスリーブ58はまた、第1のスラスト軸受83、スラストプレート87、及びシムワッシャー89を介して、係合スリーブ80のヘッド部分82に軸方向に係合、すなわち、軸方向に接続されている。従って、レバー38は、係合スリーブ80に接続することができる。レバー38を押し付けることによって、係合スリーブ80の傾斜した係合面84をジョー66の駆動面90に係合させ、ジョー66,66’,66’’及び締付面88を縦軸24に向かって係合させることができる。
【0057】
ジョー66,66’,66’’の移動について更に詳細に説明すると、スリーブ58の遠位方向への軸方向移動が、ヘッド部分82、係合スリーブ80の全体、及び第1のスラスト軸受の遠位方向への軸方向移動を生じさせる。縦軸24に沿ったヘッド部分82の遠位側への軸方向移動によって、係合スリーブ80の傾斜面84がジョー66,66’,66’’の駆動面90に対して作用する。ジョー66,66’,66’’に対してヘッド部分82の力が加えられると、ジョー66,66’,66’’は、ジョー溝65によって、半径方向移動、すなわち、縦軸24に向かう方向の移動、及び縦軸24から離れる方向の移動に制限される。従って、スリーブ80の軸方向移動によって、駆動面90に対する傾斜面84の摺動、及び縦軸24に向かうジョー66,66’,66’’の半径方向移動が生じる。このような移動は、シャフト101,101’,101’’に対する締付面88の係合によって制限される。締付面88が互いに近接すると、ジョー66の側面98,98’,98’’及び/又は突起92,92’,92’’,92’’’の対向面100,100’,100’’,100’’’は、シャフト101を縦軸24に向かって移動させる。
【0058】
相補的な突起及びキャビティを特徴とするジョーは、ジョーを用いる他のどのような型式のチャック内に組み込まれてもよい。ワイヤドライバ用チャックの1つの代替的構成が、国際公開第US2017/062754号パンフレットに示されている。この代替的チャックは、(ここに示されない)軸方向移動に適するジョーガイドに接続されたれレバーを有していてもよい。チャック内に配置されたジョーガイド及びジョーは、レバーを押し付けることによって、軸方向に移動させることができる。ジョーガイドの軸方向移動は、係合スリーブの傾斜した係合面に対してジョーの駆動面を押圧し、その結果、ジョーの締付面を縦軸に向かって移動させることができる。他の例示的な代替的構成が、
図13-19Cに示されている。
【0059】
図13A-13Cは、
図14,15に示される例示的なキーレスチャック220と共に用いられる例示的な挟み込み式ジョー266を示している。キーレスチャックは、例えば、Stryker(R) System8電動工具セットの一部として市販されている。例示的なキーレスチャック220は、チャック20のレバー38のようなレバーを用いることなく、縦軸224を中心として配置されたシャフト301を締め付けるようになっている。その代わりに締付けは、一方の手で係合スリーブ280を把持しつつ、ハンドピース22のようなハンドピースを用いて駆動シャフト262を締付方向に回転させることによって、外部の係合スリーブ280を固定して達成することができる。また、この締付けは、スリーブ280及びカラー258の両方を手で把持してこれらを締付方向において互いに対して回転させることで達成してもよい。
【0060】
軸方向に延在するジョーガイド264は、回転軸としても機能する縦軸224を中心とし、これによって、縦軸224を画定している。ジョーガイド264は、ジョーガイド264内に形成されたジョー溝265内のジョー266を摺動可能に保持している。ジョー266は、縦軸224に面する締付面288と、締付面288と実質的に反対側の駆動面290とを有している。ジョー266はそれぞれ、第1の側面294における突起292と、第2の側面298におけるキャビティ296とを有している。ジョー66,66’,66’’に対して示されたように、互いに隣接するジョー266は、それらのジョー266が半径方向において縦軸224に十分に近接したとき、一方のジョー266の突起292が他方のジョー266のキャビティ296内に配置されるようになっている。
【0061】
ジョー66及び突起92と同様に、ジョー266及び突起292はそれぞれ、チャック20及びハンドピース22の遠位端からのシャフト301の受入を容易にするために、傾斜した遠位入面302,304を有していてもよい。同様に、ジョー266及び突起292はそれぞれ、ハンドピース22及びチャック20の近位端からのシャフト301を受入れるために、それぞれ、傾斜した近位入面308,310を有していてもよい。
【0062】
このような傾斜した遠位入面302,304は、傾斜面302,304と係合するシャフト301の端部を、これらの傾斜面302,304に沿って更に軸方向及び半径方向に摺動させ、ジョー266間の受入開口306内に導くのを助長する。開口306は、突起292の対向面300及びジョー266の第2の側面298によって少なくとも部分的に画定することができる。ジョー266が一緒に移動すると、シャフト301は、ジョー266の締付面288間の開口306内の締付位置に移動する。
【0063】
シャフト301の挿入を受入れるために、ジョー駆動体274は、縦軸224と同軸のドライバ通路321を備えていてもよい。通路321の直径は、チャック220によって受け入れられるシャフト301の最大許容直径の限界として機能することができる。
【0064】
ジョー266はまた、締付面288の反対側にフランジ部分312を備えていてもよい。フランジ部分312は、駆動面290を部分的に含むことができる。各ジョー266のフランジ部分312は、溝265の壁内に摺動可能に配置されたジョー266の側壁314を超えて横方向に延在することができる。ジョーガイド264に対するフランジ部分312の下側の係合によって、ジョー266が溝265内を超えて移動するのを防ぎ、締付面288が縦軸224を超えて移動するのを防ぐことができる。
【0065】
係合スリーブ280は、傾斜した係合面284を内面に備えている。傾斜した係合面284は、ジョー266の半径外方に少なくとも部分的に配置され、
図15に最もよく示されるように、係合位置において少なくとも部分的にジョー266を包囲する。係合面284は、実質的に縦軸224を中心とし、実質的に駆動面290と平行である。軸方向に延在するジョーガイド264は、係合スリーブ280に対して実質的に固定することができる。係合スリーブ280は、追加スリーブ297に固定して連結されていてもよい。
【0066】
駆動シャフト262は、縦軸224を中心として駆動スリーブ270と一体に回転するために、駆動スリーブ270に固定することができる。駆動スリーブ270は、ジョー駆動体274のシャンク部分272に螺合していてもよい。ジョー駆動体274は、軸方向に移動可能な作動ヘッド276を備えている。作動ヘッド276は、ジョーガイド246に回転可能に配置され、ジョーガイド264内に摺動可能に固定されている。このような関係は、複数の周方向に分配されたフィンガースロット278をジョーガイド264内に設け、同数の軸方向に延在する係合フィンガー282をヘッド276に設けることによって、達成することができる。フィンガースロット278は、ジョー溝265と整列して接続され、且つジョー溝265に対して開いていてもよい。ジョー266の数と同数の複数の遠位当接面286が、フィンガー282間で周方向に介在するように、ヘッド276に配置されていてもよい。当接面286は、ジョー266の近位端において、ジョー266の近位当接面295に係合することができる。
【0067】
ジョー266の半径内方への移動は、ジョー266に対するヘッド276の軸方向移動によって行われる。更に具体的には、係合スリーブ280に対する第1の方向における駆動シャフト262の相対的な回転によって、駆動スリーブ270は、ジョー駆動体274に対して回転する。ジョー駆動体274と駆動スリーブ270との間の係合方向への螺合によって、これらの間の軸方向への相対的な移動が生じる。ジョー駆動体274の遠位当接面286は、ジョー266の近位当接面295に軸方向において係合し、近位当接面295を押圧し、ジョー266の駆動面290を係合スリーブ280の傾斜面284に対して押圧し、これによって、ジョー266を係合スリーブ280に対して係合方向に軸移動させる。傾斜面284を横切って摺動する駆動面290による縦軸224に沿ったジョー266の移動は、ジョー266の締付面288をシャフト301に対して押圧し、シャフト301を締め付けることになる。
【0068】
ジェイコブスキー付きチャック420も、相補的な突起及びキャビティを有するジョー466に組み込むことができる。ジェイコブスキー付きチャックは、例えば、Stryker(R) System8電動工具セットの一部として市販されている。
図16-19Cに示される例示的なジェイコブスキー付きチャック420は、孔内、すなわち、軸方向に延在する実質的に円筒状のジョーガイド464の溝465内に摺動可能に配置された3つの実質的に円筒状のジョー466を有している。溝465は、ジョーガイド464によって画定される縦軸424に対して角度γで傾斜していてもよい。縦軸424は、回転軸としても機能することができる。駆動スリーブ470をジョーガイド464に対して第1の相対的回転方向において縦軸424を中心として回転させると、3つのジョー466が、軸方向遠位側に移動し、同時に、角度γに起因して、縦軸424に向かって半径内方に移動し、ジョー466の締付面488によって、シャフト501を係合して締め付ける。スリーブ470をジョーガイド464に対して第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転させると、3つのジョー466は、ハンドピース22に向って軸方向近位側に移動し、縦軸424及びシャフト501から離れる半径方向に移動する。スリーブ470をジョーガイド464に対して回転させるために、図示されないチャックキーを用いることができる。
【0069】
ジョー466のそれぞれの締付面488は、縦軸424と向き合っている。駆動面490は、ジョー466の遠位端において、ジョー466の締付面488と実質的に反対側に位置している。
図18A,18Bに示されるジョー466は、第1の側面494における第1の突起492及び第1のキャビティ496と、第2の側面498における第2の突起492’及び第2のキャビティ496’とを有していてもよい。ジョー66’’に関して示されるように、互いに隣接するジョー466が半径方向において縦軸424に十分に接近したとき、一方のジョー466の突起492,492’が、他方のジョー466のキャビティ496’,496内に配置されるようになっている。ジョー466及び突起492,492’はそれぞれ、チャック420及びハンドピース22の遠位端からのシャフト501の受入を容易にするために、傾斜した遠位入面502,504,504’を有している。
【0070】
このような傾斜した遠位面502,504,504’は、傾斜面502,504,504’と係合するシャフト501の端部を、これらの傾斜面502,504,504’に沿って更に軸方向及び半径方向の両方に摺動させ、ジョー466間の受入開口506内に導くのを助長する。開口506は、突起の492,492’の対向面500,500’及び締付面488によって少なくとも部分的に画定することができる。ジョー466が一緒に移動すると、シャフト501は、対向面500,500’によって、ジョー466の締付面488間の開口506内の締付位置に移動する。
【0071】
シャフト501を近位側からジョー466を超えてジョーガイド464内に挿入させるために、ジョーガイド464は、縦軸424と同軸のガイド通路521を備えていてもよい。通路521の直径は、チャック420によって受け入れられるシャフト501の最大許容直径の限界として機能することができる。
【0072】
ジョーガイド464は、複数の溝465内に共通に配置される例示的な傾斜した係合面484を縦軸424の反対側に備えている。傾斜した係合面484は、その関連するジョー466の半径外方に少なくとも部分的に配置され、
図17に最もよく示されるように、係合位置においてジョー466を少なくとも部分的に包囲する。傾斜した係合面484は、実質的に縦軸424を中心とし、関連するジョー466の駆動面490と実質的に平行である。
【0073】
ジョーガイド464は、軸方向に延在する駆動シャフト462を備え、縦軸424を中心として駆動シャフト462と一体に回転することができる。駆動シャフト462は、ハンドピース22に選択的に係合することができる。駆動スリーブ470は、ジョー466間の螺合によって、ジョー466を駆動、すなわち、軸方向に移動させることができる。縦軸424の反対側であって、ジョー466の近位側にある各ジョー466の半径外方を向く雄ネジ山面472は、その内面、すなわち、駆動スリーブ470内の雌ネジ山474に係合することができる。スリーブ470は、ジョーの周りに配置されたスプリットナット476を備えている。スプリットナット476は、スリーブ470内に圧入されている。スリーブ470は、スリーブ470の遠位端で縦軸424を中心として円状に分配されたチャックスリーブ歯486、及びスリーブ470の遠位側においてジョーガイド464内に配置された複数、例えば、3つのピン孔478を有している。(図示されない)チャックキーが、チャックキー歯によって取り囲まれるピンを備えていてもよい。
【0074】
チャック20,220と同じように、チャック420のジョー466の半径内方に向かう移動は、シャフト501を締め付けるときに、ジョー466の駆動面490に係合された傾斜面484に対するジョー466の相対的な軸方向移動によって行うことができる。このような相対的な軸方向移動は、チャックキーを用いることによって行われる。チャックキーのピンがピン孔478の1つに配置され、キーの歯がチャックスリーブ歯486と螺合したとき、チャックキーがチャックと係合する。いったん係合されると、キーが締付方向に回転され、これによって、ジョーガイド464に対してスリーブ470を第1の方向、すなわち、締付方向に回転させる。ジョーガイド464に対するスリーブ470の回転は、スリーブを指によって把持しつつ、ハンドピース22を用いてジョーガイド464を回転させることによって、手動によって達成することができる。カラー258の回転によっては、駆動シャフト262がカラー258と一緒に回転することができる。このような手動の締付けに続いて、キーを用いて、ジョー466をシャフト501に対して締め付けることができる。スリーブ470及びナット476が第1の方向においてジョーガイド464に対して回転すると、ジョー466は、ジョー466のネジ山面472のナットネジ山474の作用によって、軸方向遠位側に移動する。ジョー466と駆動スリーブ470との間の螺合によって、ガイド464とスリーブ470との間の相対的な軸方向移動が生じる。ジョーガイド464の傾斜面484に対して作用するジョー466の駆動面490が、ジョーの締付面488を半径内方に移動させる。傾斜面484を横切って摺動する駆動面490による軸424に沿ったジョー466の移動は、ジョー466の締付面488をシャフト501に押圧し、シャフト501を締め付ける。キーを反対方向に回転させることによって、シャフト501を取り外すことができる。
図19Bは、小径シャフト501’を締め付けるジョー466を示し、
図19Cは、大径シャフト501’’を締め付けるジョー466を示している。
【0075】
以上、挟み込み式ジョーを有するジョーチャックについて説明した。
【0076】
図面において、同一の参照番号は、同一の要素を指している。更に、これらの要素のいくつか又は全ては、変更することができる。本明細書に記載される媒体、プロセス、システム、方法、経験側等に関して、このようなプロセス等のステップは、いくつかの規則的な順序に従って行われるように記載されているが、このようなプロセスは、本明細書に記載される順序以外の順序に従って行われる本明細書に記載のステップによって実行されてもよいことを理解されたい。いくつかのステップが同時に行われてもよいこと、他のステップが追加されてもよいこと、又は本明細書に記載のいくつかのステップが省略されてもよいことを更に理解されたい。換言すると、本明細書におけるプロセスの記載は、いくつかの実施形態を説明するために提示されており、特許請求の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0077】
従って、前述の説明は、例示的なものであり、限定的なものではないことが意図されていることを理解されたい。前述の説明を読めば、提示された例以外の多くの実施形態及び用途が明らかになるだろう。発明の範囲は、前述の説明に基づいて決定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲、及びこのような特許請求の範囲の権利が及ぶ等価物の全範囲に基いて決定されるべきである。本明細書に記載される技術の開発が将来的に行われ得ること及び開示されたシステム及び方法がこのような将来の実施形態に含まれ得ることが予期され、且つ意図されている。要するに、本願は、修正及び変更可能であることを理解されたい。
【0078】
本明細書に用いられる「実質的に(substantially)」という副詞は、材料、機械加工、製造、データの伝達、計算速度等の不完全さによって、形状、構造、計測値、量、時間等が正確に記載される幾何学的形状、距離、計測値、量、時間等から逸脱することができることを意味している。
【0079】
特許請求の範囲で用いられる全ての用語は、相反する指示が本明細書において明示的になされない限り、本明細書に記載される技術に見識のある者によって理解される通常の意味を有することが意図されている。特に、「a」、「the」、「said」等の単数冠詞の使用は、特許請求の範囲が相反する限定を明示的に記載しない限り、1つ又は複数の指示された要素を記載していると読み取られるべきである。
【0080】
要約書は、読者が技術的開示の特性を迅速に確かめることを可能にするために提示されている。要約書は、特許請求の範囲又は意味を解釈又は限定するために用いられるべきではないという理解のもとに提示されている。加えて、前述の「発明を実施するための形態(Detailed Description)」において、本開示を簡素化する目的で種々の特徴が種々の実施形態にグループ分けされていることが分かるだろう。本開示の方法は、請求される実施形態が各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映すると解釈されるべきではない。むしろ、特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、単一の開示される実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴に基づくものである。従って、特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」に組み込まれるが、各請求項は、別々に請求される主題として独立している。