(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】拡張現実人形
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04815 20220101AFI20240829BHJP
A63H 3/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
G06F3/04815
A63H3/00 Z
(21)【出願番号】P 2021532526
(86)(22)【出願日】2019-08-19
(86)【国際出願番号】 GB2019000120
(87)【国際公開番号】W WO2020035650
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-08-16
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521068002
【氏名又は名称】ショーン ヒルターマン
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】ショーン ヒルターマン
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0054837(US,A1)
【文献】特開2006-302034(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0045742(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0164862(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0225553(US,A1)
【文献】国際公開第2018/112112(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/000048(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
3/048- 3/04895
A63H 1/00 -37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シームレスな、生きているような手法で、重なり合った異なる可視化を用いて、対象物の視覚的表現を増強するためのシステムであって、前記対象物は、玩具または大人の人形であり、
前記システムは、
前記対象物の画像およびビデオを取得するように構成されたカメラと、
前記対象物の各可動部分の各関節に埋め込まれ、各可動部分の角度を取得するように構成され、各関節から骨格データをスマートフォンに送信するマイクロコントローラにワイヤで接続されている、ロータリエンコーダと、
位置情報を前記スマートフォンに送信する、位置追跡用の慣性計測装置と、
前記骨格データおよび位置データを使用して前記対象物全体の姿勢を計算するように構成された位置処理手段と、
前記対象物と同じ空間の中に、コンピュータで生成されたオーバーレイ画像を生成するように構成された画像処理手段と、
前記オーバーレイ画像を表示するための表示手段と
を備え、
前記位置処理手段、前記画像処理手段、前記表示手段、および前記カメラはすべて、ユーザが装着するスマートフォンベースの仮想現実ヘッドセットの一部であり、
前記システムは、
前記スマートフォンにインストールされた、スマートデバイスアプリケーションであるアプリと、
前記対象物の位置および姿勢を計算し、コンピュータで生成された前記オーバーレイ
画像を前記ユーザに対して重ね合わせる手段と
を備え、
前記対象物が前記ユーザによって制御されている間、コンピュータで生成された前記オーバーレイ画像は、前記ユーザが前記対象物に触れる感覚を感じることができるように、前記対象物と密接して位置合わせされている、システム。
【請求項2】
シームレスな、生きているような手法で、重なり合った異なる可視化を用いて、人間または無生物対象物の視覚的表現を増強するための方法であることを特徴とする、請求項1に記載のシステムを備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シームレスな、生きているような手法で、異なる可視化を用いて、人間または無生物対象物の視覚的表現および知覚を入れ替えて、増強または変更するためのシステムおよび方法に関する。より詳細には、本発明は、画像およびビデオの取得、処理、および表示、ならびに仮想現実の表現を使用する。
【背景技術】
【0002】
仮想現実(VR)および拡張現実(AR)は、ユーザがほぼ別世界に視覚的に没入する可能性を提供する。しかしながら、それらは、視覚的な刺激のみ提供するという制限がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者は、仮想的な視覚的世界と物理的な触覚環境を密接に接続する発明をここに提示する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、シームレスな、生きているような手法で、重なり合った異なる可視化を用いて可視化された対象物の視覚的表現を増強するためのシステムであって、
前記対象物の各可動部分の場所および動きに関する情報を提供するように配列された手段と、
前記対象物の画像およびビデオを取得するように配列された画像取得手段と、
前記可動部分および前記対象物の3次元の距離および位置を計算するように配列された処理手段と、
前記対象物と同じ空間の中にオーバーレイ画像を生成するように配列された画像処理手段と、
前記オーバーレイ画像を表示するための表示手段と
を備えるシステムが提供される。
【0005】
前記対象物の各前記可動部分の前記場所および前記動きに関する前記情報を提供するように配列された前記手段は、前記対象物の各前記可動部分に異なる外観または輪郭を伴うマーカであってもよく、
前記対象物の前記画像および前記ビデオを取得するように配列された前記画像取得手段はマーカを伴ってもよい。
【0006】
前記対象物はボディースーツにより覆われてもよい。
【0007】
本システムのさらなる実施形態では、前記対象物の各前記可動部分の前記場所および前記動きに関する前記情報を提供するように配列された前記手段は、前記対象物の各前記可動部分の内側に埋め込まれた慣性計測装置であってもよく、
前記画像取得手段は、前記対象物および前記対象物の前記可動部分の前記画像および前記ビデオを取得するように配列されてもよい。
【0008】
本システムのさらなる実施形態では、前記対象物の各前記可動部分の前記場所および前記動きに関する前記情報を提供するように配列された前記手段は、前記対象物の各前記可動部分の内側に埋め込まれた、各前記可動部分の角度を取得するように配列されたロータリエンコーダであってもよく、
前記画像取得手段は、前記対象物および前記対象物の前記可動部分の前記画像および前記ビデオを取得するように配列されてもよい。
【0009】
本システムのさらなる実施形態では、前記対象物の各前記可動部分の前記場所および前記動きに関する前記情報を提供するように配列された前記手段は、クロマキー技法であってもよく、
前記画像取得手段は、前記対象物および前記対象物の前記可動部分の前記画像および前記ビデオを取得するように配列されてもよく、
前記画像を後処理して、事前に規定された視覚的特徴と特定の色を取り替える。
【0010】
本システムのさらなる実施形態では、前記処理、前記画像取得、および前記表示は、スマートフォンに基づく仮想現実ヘッドセットを用いて遂行されてもよい。
【0011】
前記対象物は玩具であってもよい。
【0012】
前記対象物は大人の人形であってもよい。
【0013】
前記ボディースーツは、人間に適した着用可能なように配列されてもよい。
【0014】
本発明のさらなる実施形態は、シームレスな、生きているような手法で、重なり合った異なる可視化を用いて、人間または無生物対象物の視覚的表現を増強するための方法を提供する。
【0015】
本発明は、以下で添付図面を参照して実施例によってのみ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】視覚的マーカを使用する本発明の実施形態に従ったシステムのデータフロー図を示す。
【
図2】慣性計測装置(IMU)を使用する本発明の実施形態に従ったシステムのデータフロー図を示す。
【
図3】ロータリエンコーダを使用する本発明の実施形態に従ったシステムのデータフロー図を示す。
【
図4】本発明のクロマキースーツの使用を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を達成するための実施形態および方法を提示する。
【0018】
1.子供の玩具
本発明は、仮想現実(VR)または拡張現実(AR)環境において、同様の割合または効果の3次元コンピュータ生成モデルと重ね合わせる目的で、改造または追加された人形のような玩具を提示する。オーバーレイモデルは、ユーザがオーバーレイモデルに触れる感覚を感じることができるように、物理的な玩具と非常に密接に配置される。本質的には、オーバーレイモデルまたは効果は、仮想現実/拡張現実環境において、物理的な玩具が現実世界で行うことと同じ空間を占める。物理的な世界に炎やねばつくものが実際に存在しなくても、仮想現実/拡張現実で炎やねばつくものが見えるような、コンピュータ生成効果を玩具に取り付けることが可能である。この使用例は、銃弾をシミュレートするために銃の先端から放出された仮想的な火を有する標準的な「戦車や兵士」の玩具である。
【0019】
本発明の第1の態様は、光学マーカによって達成される。
図1を参照すると、玩具、例えば人形の各可動部分に、異なる外観または色を有する様々なマーカが取り付けられている。VRヘッドセットは、玩具(10)上の光学マーカを取得するためのカメラを内蔵したスマートフォンの仮想現実ヘッドセットであってもよい。スマートフォン(11)には、スマートデバイスアプリケーション(アプリ)がインストールされている。スマートフォンアプリは、コンピュータが生成したオーバーレイを表示し、カメラフィードで取得した画像を使用して、コンピュータが生成したオーバーレイを玩具(12)と同じ空間の中に配置するための計算を行う。玩具の各可動部分は、異なるマーカを有する。スマートフォンのカメラが、例えば玩具ブルドーザーのローダを示すマーカを検出すると、スマートフォンアプリは、物理的な玩具のローダの位置に、降ってくる土や埃のコンピュータが生成したオーバーレイを配置し、玩具ブルドーザーのローダが土で溢れているように見えるようにする。この配置を実現するために、マーカの角度およびカメラからの距離で計算が行われる。玩具の位置および姿勢を計算し、ユーザ(13)に対して玩具の3次元表現を重ね合わせる。
【0020】
これは、カメラフィードで検出したすべてのマーカを使用して、コンピュータが生成したオーバーレイの各対応する移動可能な部分を位置決めするために行われる。ユーザからの距離および角度を測定する。例えば、玩具のブルドーザーのローダがカメラから2mかつ角度30度の位置にある場合、コンピュータが生成したオーバーレイは、仮想現実/拡張現実空間において、ユーザから2mかつ角度30度の位置に配置される。このアプリは、コンピュータが生成したオーバーレイも表示し、計算も行う。
【0021】
本発明の第2の態様は、慣性計測装置(IMU)によって達成される。
【0022】
図2を参照すると、玩具(20)の各可動部分の内側に、慣性計測装置(IMU)が埋め込まれている。
【0023】
各慣性計測装置は、各可動部分の現在の角度および位置を記録することになる。この情報は、無線で、例えばワイファイまたはブルートゥース(登録商標)を介してアプリ(21)に送信される。このアプリは、コンピュータが生成したオーバーレイの角度および位置を、玩具およびその可動部分(22)に対応するように設定することになる。
【0024】
慣性計測装置を介して人形の位置および姿勢を計算し、ユーザ(23)に対して人形の3次元表現を重ね合わせる。例えば、玩具がユーザから前方2mにある場合、コンピュータが生成したオーバーレイは、仮想現実/拡張現実空間においてユーザの前方2mの位置に表示されることになる。また、慣性計測装置には、玩具に埋め込まれた携帯用電源が必要となり、充電用のアクセスポイントを有することになる。
【0025】
本発明の第3の態様は、エンコーダによって達成される。
【0026】
ロータリエンコーダは、玩具の各可動部分の角度を記憶させるために使用される。玩具のショベルカーのアームの場合、ロータリエンコーダがショベルカーのアームの各接合部に埋め込まれ、各接合部の角度をマイクロコントローラ(30)上に記憶させることになる。ロータリエンコーダはマイクロコントローラにワイヤで接続されており、可動接合部からのデータをコンピュータやスマートフォン(31)に送信することになる。また、この玩具には、位置追跡用の単一の慣性計測装置と、充電用のアクセスポイントを備えた携帯用電源が埋め込まれている。慣性計測装置は、位置情報をコンピュータまたはスマートフォンに送信することになり、アプリは、骨格データおよび位置データを使用して玩具全体(32)の姿勢を計算することになり、ユーザ(33)に玩具用のコンピュータが生成したオーバーレイを仮想現実/拡張現実空間内に表示する。
【0027】
本システムは、必要ならば、または慣性計測装置を接続する必要がある場合、多数のエンコーダおよびコンピュータボードに自由にアクセス可能である。
【0028】
マイクロコントローラ/アルドゥイーノボードが採用されてもよい。
【0029】
本発明の第4の態様は、後処理と名付けられる。
【0030】
この方法は、アニメのような玩具を製造することに有利である。玩具は、対象のアニメに物理的に非常に類似することが必要になる。玩具の各可動部分は異なる色である。2つの部分、例えば玩具のショベルカーのローダとアームが直接接続されている場合、それらの間(この場合、接合部)にストライプの追加色がある。この追加色は、直接接続されているどの部分間でも同じ色である。アプリは、いつ2つの異なる色が互いに隣り合うかを検出するためにスマートフォンのカメラフィードを使用する。2つの異なる色が互いに隣り合う場合、並びにどちらも「追加色」ではない場合、それらの間に黒い輪郭が描かれる。背景および輪郭を含まないすべての色は、対応するアニメーションの色に置き換えられる。
【0031】
このシステムには2つの目的がある。
1:玩具に炎のようなコンピュータ生成効果を追加して、より現実的に見えるようにすることである。例えば、玩具の兵士がプラスチックで成形された銃口炎を持つ代わりに、コンピュータで生成された銃口炎を持つことができる。
2:コンピュータグラフィックスで表現するように意図された対象物のような玩具を製造することである。例えば、プラスチック製の玩具の兵士は、まばたきおよび呼吸する本物のように見えるコンピュータ生成兵士になり得る。別の例では、テレビのアニメキャラクターに類似するように意図された玩具は、コンピュータグラフィックスと重なり合うと、番組のアニメ風様式にはるかによく適合できる。
【0032】
2.大人の人形
本発明のさらなる実施形態は、例えば、セックスドールと大人の相互作用を増強するためのものであってもよい。
【0033】
仮想現実(VR)または拡張現実(AR)環境において、ヒューマノイド3次元コンピュータ生成モデルと重ね合わせる目的で、セックスドールを改造または追加する。オーバーレイモデルは、ユーザがオーバーレイモデルに触れる感覚を感じることができるように、物理的な人形と非常に密接に配置される。本質的には、オーバーレイ人形は、仮想現実/拡張現実環境において、物理的な玩具が現実世界で行うことと同じ空間を占めることになる。
【0034】
本発明の第5の態様は、光学マーカによって達成される。これは、本発明の第1の態様と類似する。
【0035】
再び
図1を参照すると、各身体部位を表すために、異なる外観または色を有する様々なマーカが人形に取り付けられる。仮想現実ヘッドセットは、玩具(10)上の光学マーカを取得するためのカメラを内蔵したスマートフォンに基づく仮想現実ヘッドセットであってもよい。また、他のタイプの仮想現実ヘッドセットを使用してもよい。スマートフォン(11)には、スマートデバイスアプリケーション(アプリ)がインストールされている。スマートフォンアプリは、オーバーレイモデルを表示し、カメラフィードを利用して、オーバーレイモデルを人形(12)と同じ空間の中に配置するための計算を行う。人形の各肢は、異なるマーカを有することになる。スマートフォンのカメラが右腕を示すマーカを検出すると、スマートフォンアプリは、オーバーレイモデルの右腕を人形の右腕の位置に配置することになる。この位置決めを達成するために、マーカの角度およびカメラからの距離で計算が行われる。これは、カメラフィードで検出したすべてのマーカによってなされ、オーバーレイモデルの各対応する肢を位置決めする。玩具の位置および姿勢を計算し、ユーザ(13)に対して人形の3次元表現を重ね合わせる。
【0036】
例えば、人形の右腕がカメラから2mかつ角度30度にある場合、オーバーレイモデルの右腕は、仮想現実/拡張現実空間において、ユーザから2mかつ角度30度に配置される。
【0037】
本発明の第6の態様は、慣性計測装置(IMU)によって達成される。
【0038】
図2を参照すると、人形(20)の各肢または可動部分の内側に、慣性測定装置(IMU)が埋め込まれている。
【0039】
各慣性計測装置は、例えばワイファイまたはブルートゥース(登録商標)を介してアプリ(21)に肢または可動部分の現在の角度や位置を記録することになる。
【0040】
人体モデルの視覚的特徴は、前もって取得されており、ソフトウェアのライブラリ、すなわちアプリの中にある。
【0041】
アプリは、コンピュータが生成したオーバーレイの角度および位置を、玩具およびその可動部分(22)に対応するように設定することになる。
【0042】
アプリは、オーバーレイモデルの肢の角度および位置が、人形と同じになるように設定することになる。慣性計測装置を介して人形の位置および姿勢を計算し、ユーザ(23)に対して人形の3次元表現を重ね合わせる。例えば、人形がユーザから前方2mにある場合、オーバーレイモデルは 仮想現実/拡張現実空間において、ユーザの前方2mに表示されることになる。また、慣性計測装置は、人形に埋め込まれた携帯用電源を備え、充電用のアクセスポイントを有することになる。慣性計測装置、電源、ワイファイまたはワイヤレスシステムの様々な設定を使用してもよい。
【0043】
本発明の第7の態様は、第3の態様と類似したエンコーダによって達成される。
【0044】
ヒューマノイドの骨格は、骨には細い金属の棒、関節にはロータリエンコーダから製造される。肩関節の場合(腕の動きを上下だけでなく左右にも動かせることが可能である)、関節の水平方向および垂直方向の両方の回転を決定するために、2つのロータリエンコーダを密接に近接して接続することが可能である。膝のような単一方向の関節の場合、関節には1つのロータリエンコーダのみ必要である。ロータリエンコーダおよび金属棒のシステム全体は、人形の骨格の大きさである。骨格の周りに人形のシリコンを成形し、人形の内側に骨格を埋め込む。ロータリエンコーダは、骨格からのデータをコンピュータやスマートフォンに送信するコンピュータボードにワイヤによって接続される。また、人形の中には、位置を追跡するための慣性計測装置と、充電用のアクセスポイントを備えた携帯用電源も埋め込まれている。慣性計測装置は、コンピュータやスマートフォンに位置情報を送信することになり、アプリが骨格データおよび位置データを使用して人形全体の姿勢を計算することになり、ユーザにその結果のオーバーレイモデルを仮想現実/拡張現実空間内に表示する。
【0045】
本発明の第8の態様は、後処理と名付けられた第4の態様と類似する。
【0046】
この方法は、人形を簡単な色および輪郭でアニメのように見せることに最も有効である。人形は、対象のオーバーレイモデルと物理的に極めて類似することが必要になる。人形の各肢は、異なる色である。異なる色の部分は、以下の通りである:左前腕、左上腕、左手、右前腕、右上腕、右手。左上肢、左下肢、左足、右上肢、右下肢、右足、頭、首、左胸、右胸、腹部領域、胸部領域、骨盤領域および各指およびつま先の各指節骨は、すべて別々の色を有することになる。2つの部分、例えば右前腕および右上腕が直接接続される場合、それらの間(この場合、肘に)にストライプの追加色がある。この追加色は、どの部分間でも同じである。アプリは、いつ2つの異なる色が互いに隣り合うか検出するようスマートフォンのカメラフィードを使用する。2つの異なる色が互いに隣り合い、かつどちらも「追加色」ではない場合、黒い輪郭がそれらの間に描かれる。これにより、アニメーションの周りにアニメ風の黒い輪郭が生成されることになる。背景および輪郭を含まないすべての色を、アニメの肌色に置き換えることになる。
【0047】
人形のシリコンを、固体に鋳造する前に染色してもよく、または鋳造後に人形に着色してもよい。
【0048】
本発明の第9の態様は、クロマキー技法によって達成される。
【0049】
この方法は、人形を簡単な色および輪郭でアニメのように見せることに最も有利である。人形は、一色の「クロマキー」色で着色され、ユーザのスマートフォンは、カメラフィードに後処理を適用することになり、その色をアニメの肌色に置き換える。人形は、仮想現実ヘッドセットに取り付けられた照明で明るく照らされる必要がある。これにより、「クロマキー」色に、均一に照明が照らされ、人形の端部近くは外れることになる。この端部近くが薄暗いことにより、ユーザが人形の形を認識できるように、または例えば人形の腕がその胴体の前方を通ると、わずかな輪郭が生成されることになる。
【0050】
図4は、「クロマキー」スーツ(40)を着用する人の類似例である。指の周りの影は、着用者の手が正面にあることを示す。通常、クロマキースーツの着用者は、すべての影を除去するために、周りのすべてを均一に照らしたいと考えるが、これを解決するためには、このような場合でも、ユーザがなお人形の形を識別できるように、(仮想現実ヘッドセット上に取り付けた)照明を人形の前方に配置し、それらの影を生成する必要がある。
【0051】
これらの方法においては、人形の顔の位置を決定する方法でもある。これは、慣性計測装置または視覚的マーカを用いて行うことが可能である。これにより、まばたきのような動き特徴を伴う顔を人形に重ね合わせることが可能となる。
【0052】
3.ボディースーツ
本発明のさらなる実施形態は、ボディースーツを提案する。この製品の主な使用者は2人である:「着用者」および「視聴者」である。
【0053】
シリコン製のボディースーツは、仮想現実(VR)または拡張現実(AR)環境において、ヒューマノイド3次元コンピュータ生成モデルと重なり合うことを目的に、改造または追加される。着用者は、視聴者がスマートフォンの仮想現実ヘッドセットを使用してオーバーレイモデルを視聴する間、スーツを着用することになる。オーバーレイモデルは、スーツの着用者と非常に密接に配置されるため、オーバーレイモデルを着用者が制御する間、スマートフォンの仮想現実ヘッドセットを使用する視聴者は、オーバーレイモデルに触れる感覚を感じることができる。本質的に、オーバーレイモデルは、仮想現実/拡張現実環境において、着用者が現実世界で行うことと同じ空間を占めることになる。
【0054】
方法1:(光学マーカ方法)-体の各部位を表すために、異なる外観または色を用いる様々なマーカをボディースーツに取り付ける。スーツ上の光学マーカを見るためのカメラを有するので、仮想現実ヘッドセットは、スマートフォンの仮想現実ヘッドセットである必要がある。スマートフォンにアプリをインストールする必要がある。スマートフォンアプリは、オーバーレイモデルを表示し、カメラフィードを使用して、スーツと同じ空間にオーバーレイモデルを配置するための計算を行うことになる。スーツの各肢には、異なるマーカを有することになる。スマートフォンのカメラが右腕を示すマーカを検出すると、スマートフォンアプリは、オーバーレイモデルの右腕をスーツの右腕の位置に配置することになる。この位置決めを達成するために、マーカの角度およびカメラからの距離で計算が行われる。これは、オーバーレイモデルの各対応する肢の位置決めのために、カメラフィードで検出したすべてのマーカで行われる。例えば、スーツの右腕がカメラから2mかつ角度30度にある場合、仮想現実/拡張現実空間の中で、オーバーレイモデルの右腕は視聴者から2mかつ角度30度に配置される。
【0055】
アプリは、オーバーレイモデルも表示する。様々な外観を伴う異なる種類のマーカを採用してもよい。また、アプリは計算も行う。
【0056】
方法2:(後処理)- この方法は、着用者を簡単な色および輪郭でアニメのように見せることに最も有利である。スーツの着用者は、対象のオーバーレイモデルに物理的に極めて類似する必要がある。スーツの各肢は異なる色である。異なる色の部分は、以下の通りである:左前腕、左上腕、左手、右前腕、右上腕、右手。左上肢、左下肢、左足、右上肢、右下肢、右足、頭、首、左胸、右胸、腹部領域、胸部領域、骨盤領域および各指とつま先の各指節骨は、すべて別々の色を有することになる。2つの部分、例えば右前腕と右上腕が直接接続されている場合、それらの間(この場合、肘に)にストライプの追加色がある。この追加色は、どの部分間でも同じである。アプリは、いつ2つの異なる色が互いに隣り合うか検出するスマートフォンのカメラフィードを使用する。2つの異なる色が互いに隣り合い、どちらも「追加色」ではない場合、それらの間に黒い輪郭が描かれる。これにより、アニメの周りにアニメ風の黒い輪郭が生成されることになる。背景および輪郭を含まないすべての色は、アニメの肌色に置き換えられる。
【0057】
ボディースーツのシリコンは、それを固体に鋳造する前に染色されてもよく、または鋳造後のボディースーツに着色してもよい。
【0058】
方法3:(クロマキー方法)- この方法は、着用者を簡単な色および輪郭でアニメのように見せることに最も有利である。スーツは、一色の「クロマキー」色で着色され、視聴者のスマートフォンは、カメラフィードに後処理を適用して、その色をアニメのような肌色に置き換えることになる。スーツの着用者は、視聴者の仮想現実ヘッドセットに取り付けられた照明で明るく照らされる必要がある。これにより、「クロマキー」色に、均一な照明が照らされ、スーツの端部近くは外れることになる。この端部近くが薄暗いことにより、視聴者が着用者の形を識別できるように、または例えば着用者の腕がその胴体の前方を通ると、わずかな輪郭が生成されることになる。
【0059】
図4は、「クロマキー」スーツ(40)の着用者の類似例である。指の周りの影は、手が着用者の前にあることを示している。通常、クロマキースーツのユーザは、すべての影を除去するために、周りのすべてを均一に照らしたいと考えるが、これを解決するためには、このような場合でも視聴者が着用者の形を識別できるように、(仮想現実ヘッドセット上に取り付けた)照明を着用者の前方に配置し、それらの影を生成する必要がある。
【0060】
これらの方法において、人形の顔の位置を決定する方法であってもよい。これにより、最も簡単に視覚的マーカを用いて行うことが可能になる。これにより、まばたきのような動き特徴を伴う顔を人形に重ね合わせることが可能となる。あるいは「フェーシャルモーションキャプチャ」の既存の解決策を使用できる可能性がある。