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特許7545973半導体素子の特性値推定方法、および半導体素子の特性値推定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】半導体素子の特性値推定方法、および半導体素子の特性値推定システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021532543
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(86)【国際出願番号】 IB2020056150
(87)【国際公開番号】W WO2021009590
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2019130206
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】桃 純平
(72)【発明者】
【氏名】岡野 達也
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-212919(JP,A)
【文献】特開2012-004181(JP,A)
【文献】特開2007-242809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部と、データベースと、処理部と、を有し、
前記入力部には、第1の工程リスト、第2の工程リスト及び半導体素子の特性値が入力され、
前記データベースは、工程リスト群及び半導体素子の特性値群を格納する機能を有し、
前記処理部は、
前記第1の工程リスト及び前記工程リスト群の中から選ばれる、2つの工程リストの比較を行う機能と、
前記半導体素子の特性値及び前記半導体素子の特性値群の中から選ばれる、2つ以上の半導体素子の特性値を用いて検定を行う機能と、
工程に対するパラメータと、前記半導体素子の特性値及び前記半導体素子の特性値群の中から選ばれる、2つ以上の半導体素子の特性値との回帰分析を行う機能と、
前記第2の工程リストから、半導体素子の特性値を推定する機能と、を有する、半導体素子の特性値推定システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記比較として、diffのアルゴリズムを用い、
前記検定のうち、
2つの半導体素子の特性値を用いる検定として、t検定を用い、
3つ以上の半導体素子の特性値を用いる検定として、ノンパラメトリック検定を用いる、半導体素子の特性値推定システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記データベースは、第1の記憶部と、第2の記憶部と、を有し、
前記第1の記憶部は、前記工程リスト群を格納する機能を有し、
前記第2の記憶部は、前記半導体素子の特性値群を格納する機能を有する、半導体素子の特性値推定システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記処理部は、
前記比較を行う機能を有する第1の処理部と、
前記検定を行う機能を有する第2の処理部と、
前記回帰分析を行う機能を有する第3の処理部と、
前記第2の工程リストから、半導体素子の特性値を推定する機能を有する第4の処理部と、を有する、半導体素子の特性値推定システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記処理部により推定される、前記半導体素子の特性値は、しきい値電圧、サブスレッショルドスイング値、オン電流及び電界効果移動度の一つ以上である、半導体素子の特性値推定システム。
【請求項6】
第1のロットに含まれる第1の工程リストと、前記第1の工程リストに従って作製された、第1の半導体素子の特性値と、を入力する第1のステップと、
前記第1の工程リストに対して、類似度が一定以上である第2の工程リストを、工程リスト群から収集する第2のステップと、
前記第1の半導体素子の特性値と、前記第2の工程リストに従って作製された、第2の半導体素子の特性値とで、検定を行う第3のステップと、
前記第1のロットに含まれる第1の複数の工程リストに従って作製された、第1の複数の半導体素子間での、前記第1の複数の半導体素子の特性値の分散分析及び前記第1の複数の工程リストの比較を行い、前記第1の複数の工程リストで異なる工程が、前記第1の複数の半導体素子の特性値に影響を与えるかどうかを記録する第4のステップと、
前記第1の複数の工程リストのそれぞれに対して、類似度が一定以上である第3の工程リストを、前記工程リスト群から収集する第5のステップと、
前記第1の複数の半導体素子の特性値に影響を与える工程に対するパラメータと、前記第3の工程リストに従って作製された、第3の半導体素子の特性値との回帰分析を行う第6のステップと、
第2のロットに含まれる第2の複数の工程リストから、前記第2の複数の工程リストに従って作製される第2の複数の半導体素子の特性値を、前記第2の複数の半導体素子を作製する前に推定する第7のステップと、を有する、半導体素子の特性値推定方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記第3のステップでは、前記検定を行い、前記第1の半導体素子の特性値と、前記第2の半導体素子の特性値と、に有意な差がある場合、情報が出力される、半導体素子の特性値推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体素子の特性値を推定する方法に関する。また、本発明の一態様は、半導体素子の特性値を推定するシステムに関する。
【0002】
なお、本明細書などにおいて、半導体素子は、半導体特性を利用することで機能しうる素子を指す。一例としては、トランジスタ、ダイオード、発光素子、または受光素子などの半導体素子である。また別の一例の半導体素子は、容量、抵抗、インダクタなどの、導電膜、または絶縁膜などによって生成される受動素子である。また別の一例の半導体素子は、半導体素子、または受動素子を有する回路を備える半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
近年、人工知能(AI:Artificial Intelligence)を用いた分野、ロボットの分野、またはパワーICなどの高い電力を扱うエネルギー分野では、演算量の増大、または消費電力の増大などの課題を解決するための新しい半導体素子の開発が進められている。市場が求める集積回路または集積回路に用いられる半導体素子は、複雑になる一方で、新たな機能を有する集積回路の早期立ち上げが求められている。ただし、半導体素子の開発におけるプロセス設計、デバイス設計、または回路設計では、熟練した技術者の知識、ノウハウ、または経験などが必要である。
【0004】
近年では、半導体デバイスに関して、製造プロセスを最適化するための方法、デバイス特性を推定する方法などが提案されている。特許文献1では、半導体デバイスの断面形状のパターンのSEM像から画像特徴量を算出し、当該画像特徴量と、デバイス特性との対応関係から、被評価パターンのデバイス特性を推定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-129059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体素子の製造プロセスでは、半導体素子が完成するまでの工程数が多く、工程の種類または処理条件も多岐にわたる。そのため、半導体素子の電気特性から算出される特性値(単に、半導体素子の特性値という場合がある。)の、工程依存性などを検証することは困難である。さらに、新規に試作した半導体素子の工程および特性値と、過去に試作した半導体素子の工程および特性値との比較を行うには膨大な労力を必要とする。
【0007】
従来技術では、長大な工程を含む半導体素子の製造プロセスは、過去に試作した半導体素子の製造プロセスと比較することが困難である。また、新規に試作した半導体素子についても、どの工程に特徴があるのか確認することが困難である。
【0008】
そこで、本発明の一態様は、試作する予定の半導体素子の特性値を推定する方法を提供することを課題の一とする。また、本発明の一態様は、試作する予定の半導体素子の特性値を推定するシステムを提供することを課題の一とする。また、本発明の一態様は、今回試作した半導体素子の工程および特性値と、過去に試作した半導体素子の工程および特性値との比較を自動的に行うシステムを提供することを課題の一とする。
【0009】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、入力部と、データベースと、処理部と、を有する半導体素子の特性値推定システムである。入力部には、第1の工程リスト、第2の工程リスト、および半導体素子の特性値が入力される。データベースは、工程リスト群、および半導体素子の特性値群を格納する機能を有する。処理部は、第1の工程リスト、および工程リスト群の中から選ばれる、2つの工程リストの比較を行う機能と、半導体素子の特性値、および半導体素子の特性値群の中から選ばれる、2つ以上の半導体素子の特性値を用いて検定を行う機能と、工程に対するパラメータと、半導体素子の特性値、および半導体素子の特性値群の中から選ばれる、2つ以上の半導体素子の特性値との回帰分析を行う機能と、第2の工程リストから、半導体素子の特性値を推定する機能と、を有する。
【0011】
上記半導体素子の特性値推定システムにおいて、比較として、diffのアルゴリズムを用いることが好ましい。また、検定のうち、2つの半導体素子の特性値を用いる検定として、t検定を用い、3つ以上の半導体素子の特性値を用いる検定として、ノンパラメトリック検定を用いる、ことが好ましい。
【0012】
また、上記半導体素子の特性値推定システムにおいて、データベースは、第1の記憶部と、第2の記憶部と、を有することが好ましい。また、第1の記憶部は、工程リスト群を格納する機能を有することが好ましい。また、第2の記憶部は、半導体素子の特性値群を格納する機能を有することが好ましい。
【0013】
また、上記半導体素子の特性値推定システムにおいて、処理部は、比較を行う機能を有する第1の処理部と、検定を行う機能を有する第2の処理部と、回帰分析を行う機能を有する第3の処理部と、第2の工程リストから、半導体素子の特性値を推定する機能を有する第4の処理部と、を有することが好ましい。
【0014】
また、上記半導体素子の特性値推定システムにおいて、処理部により推定される、半導体素子の特性値は、しきい値電圧、サブスレッショルドスイング値、オン電流、電界効果移動度の一つ以上であることが好ましい。
【0015】
本発明の他の一態様は、第1のロットに含まれる第1の工程リストと、第1の工程リストに従って作製された、第1の半導体素子の特性値と、を入力する第1のステップと、第1の工程リストに対して、類似度が一定以上である第2の工程リストを、工程リスト群から収集する第2のステップと、第1の半導体素子の特性値と、第2の工程リストに従って作製された、第2の半導体素子の特性値とで、検定を行う第3のステップと、第1のロットに含まれる第1の複数の工程リストに従って作製された、第1の複数の半導体素子間での、第1の複数の半導体素子の特性値の分散分析、および、第1の複数の工程リストの比較を行い、第1の複数の工程リストで異なる工程が、第1の複数の半導体素子の特性値に影響を与えるかどうかを記録する第4のステップと、第1の複数の工程リストのそれぞれに対して、類似度が一定以上である第3の工程リストを、工程リスト群から収集する第5のステップと、第1の複数の半導体素子の特性値に影響を与える工程に対するパラメータと、第3の工程リストに従って作製された、第3の半導体素子の特性値との回帰分析を行う第6のステップと、第2のロットに含まれる第2の複数の工程リストから、第2の複数の工程リストに従って作製される第2の複数の半導体素子の特性値を、第2の複数の半導体素子を作製する前に推定する第7のステップと、を有する、半導体素子の特性値推定方法である。
【0016】
上記半導体素子の特性値推定方法において、第3のステップでは、検定を行い、第1の半導体素子の特性値と、第2の半導体素子の特性値と、に有意な差がある場合、情報が出力されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様により、試作する予定の半導体素子の特性値を推定する方法を提供することができる。また、本発明の一態様により、試作する予定の半導体素子の特性値を推定するシステムを提供することができる。また、本発明の一態様により、今回試作した半導体素子の工程および特性値と、過去に試作した半導体素子の工程および特性値との比較を自動的に行うシステムを提供することができる。
【0018】
なお、本発明の一態様の効果は、上記列挙した効果に限定されない。上記列挙した効果は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、他の効果は、以下の記載で述べる、本項目で言及していない効果である。本項目で言及していない効果は、当業者であれば、明細書、図面などの記載から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる。なお、本発明の一態様は、上記列挙した効果、及び/又は他の効果のうち、少なくとも一つの効果を有するものである。したがって本発明の一態様は、場合によっては、上記列挙した効果を有さない場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1は、半導体素子の特性値を推定する方法の一例を示すフロー図である。
図2Aは、ロットの構成例を示す図である。図2Bは、特性値を説明する図である。
図3は、半導体素子の特性値を推定する方法の一例を説明する図である。
図4は、半導体素子の特性値を推定する方法の一例を説明する図である。
図5は、半導体素子の特性値を推定する方法の一例を説明する図である。
図6は、半導体素子の特性値を推定する方法の一例を説明する図である。
図7は、半導体素子の特性値を推定する方法の一例を説明する図である。
図8は、半導体素子の特性値を推定する方法の一例を説明する図である。
図9は、システムの構成例を示す図である。
図10は、システムの構成例を示す図である。
図11は、システムの構成例を示す図である。
図12は、システムの構成例を示す図である。
図13は、コンピュータ装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0021】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0022】
また、図面において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0023】
また、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0024】
(実施の形態)
本実施の形態では、図1乃至図13を用いて、本発明の一態様である、半導体素子の特性値を推定する方法(半導体素子の特性値推定方法)、および半導体素子の特性値を推定するシステム(半導体素子の特性値推定システム)について説明する。
【0025】
<フロー>
本項では、半導体素子の特性値を推定する方法の一例を、図1図2A、および図2Bを用いて説明する。
【0026】
図1は、半導体素子の特性値を推定する方法の一例を示すフロー図である。図1に示すように、半導体素子の特性値を推定する方法は、ステップS001乃至ステップS006を有する。なお、ステップS001の前まで、およびステップS006の前まで、のそれぞれに、利用者が行う作業がある。後述するが、ステップS001の前までに利用者が行う作業は、実施されなくてもよい場合がある。なお、本明細書に記載の利用者には、本発明の一態様の利用者、本発明の一態様の実施者、ロットの企画者、ロットの実施者などが含まれる。
【0027】
まず、ステップS001の前までに利用者が行う作業について説明する。
【0028】
利用者は、第1のロット11を企画する。なお、第1のロット11は、図1に示すステップS001の前に企画されるロットである。
【0029】
[第1のロット11]
ここで、第1のロット11の構成について、図2Aを用いて説明する。
【0030】
ロットとは、同種の製品を生産する際の、製品の最小単位のことを指す。または、製品を試作する際の、製品の試作数と見做せる。例えば、半導体素子を有する製品を作製する場合、1ロットを実施することで、一または複数の半導体素子を有する製品を作製することができる。
【0031】
ロットには、一または複数の基板が用意される。さらに、基板のそれぞれには、半導体素子を有する製品を作製するための工程リストが用意される。また、工程リストには、複数の工程が、半導体素子を有する製品の作製工程順に設定され、各工程に対して処理条件が指定される。
【0032】
なお、半導体素子を有する製品を生産する場合、単一ロット内において、各基板に用意される工程リストは同一である。一方、半導体素子、または半導体素子を有する製品を試作する場合、単一ロット内において、各基板に用意される工程リストでは、工程の一部を異ならせる場合がある。本実施の形態では、半導体素子を試作する場合が想定されている。また、基板上には、当該基板に用意される工程リストに従って、複数の半導体素子が作製されるものとする。よって、以降では、単一基板上に作製された、複数の半導体素子を、半導体素子群、または単に、半導体素子と表記する場合がある。
【0033】
また、ロットを企画するとは、当該ロット内の基板それぞれに対して、工程リストを作成することを指す。
【0034】
図2Aは、第1のロット11の構成例を示す図である。図2Aに示すように、第1のロット11には、基板21_1乃至基板21_n(nは自然数である。)が用意される。以降では、基板21_1乃至基板21_nをまとめて、基板21と表記する場合がある。
【0035】
なお、基板には、それぞれIDが割り振られている。ここで、基板に割り振られたIDを、基板IDと表記する。
【0036】
また、図2Aに示すように、基板21_1乃至基板21_nには、それぞれ、工程リスト31_1乃至工程リスト31_nが用意される。以降では、工程リスト31_1乃至工程リスト31_nをまとめて、工程リスト31と表記する場合がある。
【0037】
なお、工程リストは、基板IDと関連付けられている。つまり、工程リストの読み込み、書き出しなどは、基板IDを元に行われる場合がある。
【0038】
また、工程リスト31のそれぞれには、複数の工程が、半導体素子の作製工程順に設定される。半導体素子を作製する際の工程として、例えば、成膜、洗浄、レジスト塗布、露光、現像、加工、加熱処理、検査、基板移載などがある。なお、工程リスト31_1乃至工程リスト31_nのそれぞれの工程数は、同じでもよいし、異なってもよい。
【0039】
なお、工程にはそれぞれ、基板IDとは異なる、IDが割り振られていてもよい。ここで、工程に割り振られたIDを、工程IDと表記する。
【0040】
また、工程リスト31に設定される工程のそれぞれに対して、処理条件が指定される。例えば、成膜工程の処理条件として、装置、ならびに、温度、圧力、電力、および流量などの設定値、などがある。なお、成膜工程の処理条件は、当該成膜工程によって成膜される膜の、膜厚、膜質などに影響する。よって、半導体素子の特性値に影響を与える場合がある。もちろん、成膜以外の工程の処理条件、工程の有無、工程順序などによっても、半導体素子の特性値に影響を与える場合がある。
【0041】
上記処理条件は、あらかじめ用意されたパラメータセット(主要パラメータ、または、単にパラメータともいう。)の中から選択するものとする。なお、当該パラメータは、後から追加することもできる。
【0042】
例えば、工程に対する処理条件を、あらかじめ用意された複数のパラメータの中から選択して、指定する。つまり、工程に対してパラメータを指定する。
【0043】
なお、上記パラメータにはそれぞれ、基板ID、および工程IDとは異なる、IDが割り振られていてもよい。ここで、パラメータに割り振られたIDを、パラメータIDと表記する。
【0044】
また、第1のロット11を企画する際、利用者は、第1のロット11内に用意されたn個の基板(基板21_1乃至基板21_n)の中から、一つの基板を指定する。以降では、指定された基板を参照基板21Rと表記する。なお、利用者は、当該一つの基板を指定しなくてもよい。
【0045】
以上が、第1のロット11の構成についての説明である。
【0046】
次に、利用者は、第1のロット11を実施する。つまり、第1のロット11に用意される工程リストに従って、半導体素子を作製する。
【0047】
次に、利用者は、作製した半導体素子それぞれの電気特性を測定する。例えば、半導体素子の電気特性は、半導体素子の温度特性または閾値電圧などを評価するId-Vg特性を用いることができる。
【0048】
次に、測定した電気特性から、特性値を算出する。特性値には、しきい値電圧(Vth)、サブスレッショルドスイング値(S値)、オン電流(Ion)、電界効果移動度(μFE)などがある。以降では、半導体素子の電気特性の測定結果から算出された特性値を、半導体素子の特性値、または、単に、特性値と呼ぶ場合がある。
【0049】
基板21_1乃至基板21_n上に作製された半導体素子に対して、それぞれ特性値61_1乃至特性値61_nが算出される。なお、特性値61_1乃至特性値61_nのそれぞれには、上述した特性値(Vth、S値、Ion、μFEなどのいずれか一または複数)が含まれる。例えば、図2Bに示すように、基板21_1上に作製された半導体素子の特性値61_1には、特性値61_1(1)乃至特性値61_1(q)(qは自然数である。)が含まれる。さらに、特性値61_1(1)乃至特性値61_1(q)のそれぞれには、基板21_1上に作製された半導体素子の数と等しい数、またはそれより少ない数の特性値が含まれる。なお、特性値61_2乃至特性値61_n、以降で説明する特性値60_1乃至特性値60_mなどについても同様である。以降では、基板21上に作製された半導体素子の特性値(特性値61_1乃至特性値61_n)をまとめて、特性値61と表記する場合がある。
【0050】
なお、特性値は、基板IDと関連付けられている。つまり、特性値の読み込み、書き出しなどは、基板IDを元に行われる場合がある。
【0051】
以上が、ステップS001の前までに利用者が行う作業である。第1のロット11が実施され、特性値61が算出された後、利用者は、工程リスト31、および半導体素子の特性値61を入力する。入力が完了した後、ステップS001へ進む。
【0052】
<<ステップS001>>
ステップS001では、参照基板21Rに用意された工程リスト31Rと、過去に実施されたロットに含まれる基板に用意された工程リストのそれぞれと、の比較を行う。なお、工程リストの比較では、工程リストに設定された工程および処理条件(パラメータ)が比較の対象となる。以降では、過去に実施されたロットに含まれる基板をまとめて、基板群20(基板20_1乃至基板20_m(mは自然数である。))と表記する。また、基板群20のそれぞれに用意された工程リストをまとめて、工程リスト群30(工程リスト30_1乃至工程リスト30_m)と表記する。また、基板群20のそれぞれに含まれる半導体素子の特性値をまとめて、半導体素子の特性値群60、または、単に、特性値群60(特性値60_1乃至特性値60_m)を表記する。つまり、ステップS001は、工程リスト31Rと、工程リスト群30と、の比較を行う工程である。
【0053】
まず、各工程の一致/不一致を確認する。なお、工程にIDが割り振られている場合、工程IDの追加、削除、または変更を確認すればよい。または、工程をすべてテキストに書き出して文字列の差分を調べても良い。なお、検査、基板移載など、半導体素子の形状、構成などに直接関与しない工程は、上記比較の対象からあらかじめ除外しておいてもよい。これにより、上記比較に要する時間を短縮することができる。
【0054】
工程が一致した場合、当該工程の処理条件(パラメータ)の一致/不一致を確認する。なお、パラメータにIDが割り振られている場合、パラメータIDの追加、削除、または変更を確認すればよい。または、パラメータをすべてテキストに書き出して文字列の差分を調べても良い。
【0055】
工程の一致/不一致、および、工程の処理条件(パラメータ)の一致/不一致の確認には、例えば、diffのアルゴリズムを用いればよい。
【0056】
工程リスト31Rと、工程リスト群30との比較を行うことで、工程リスト31Rとの類似度が一定以上である工程リストを、工程リスト群30の中から収集することができる。つまり、ステップS001は、工程リスト31Rに対して、類似度が一定以上の工程リストを工程リスト群30の中から収集する工程である。なお、類似度が一定以上である工程リストが一定数以上収集された場合、類似度が同じである工程リスト(工程リスト31Rと一致する工程リスト)、または類似度がより高い工程リストを、一定数以上収集された工程リストの中から抽出してもよい。ここで、ステップS001で収集された工程リストを工程リスト35と表記する。工程リスト35は、工程リスト31Rに対して、類似度が一定以上の工程リストでもある。つまり、ステップS001は、工程リスト35を取得する工程であると言い換えることができる。
【0057】
なお、参照基板21Rが指定されていない場合、工程リスト31の全てに対して、工程リスト群30との比較を行い、工程リスト31のそれぞれに対して、類似度が一定以上である工程リストを、工程リスト群30の中から収集するとよい。このとき、工程リスト31のそれぞれに対して、類似度が一定以上である工程リストを、工程リスト35とみなすことができる。
【0058】
類似度が一定以上である工程リスト、または、類似度が同じである、もしくは類似度がより高い工程リストが、工程リスト群30の中から一つ以上収集された場合、ステップS002へ進む。
【0059】
<<ステップS002>>
ステップS002では、参照基板21R上に作製された半導体素子の特性値と、工程リスト35と基板IDで関連付けられた基板上に作製された半導体素子の特性値と、で、検定を行う。なお、工程リストと、当該工程リストと基板IDで関連付けられた基板上に作製された半導体素子の特性値と、は、基板IDで関連付けられている。以降では、参照基板21R上に作製された半導体素子の特性値を、特性値61Rと表記する。また、収集された工程リストを有する基板上に作製された半導体素子の特性値を、単に、収集された特性値と表記する場合がある。また、工程リスト35と基板IDで関連付けられた基板上に作製された半導体素子の特性値を、特性値65と表記する。つまり、特性値65は、ステップS001で収集された特性値ということができる。
【0060】
上記検定は、特性値61Rと、工程リスト35のうち、類似度が同じ、または類似度が最も高い工程リストに従って作製された半導体素子の特性値と、で行う。なお、上記検定は、これに限られず、特性値61Rと、ステップ001で収集された複数の特性値と、で行ってもよい。また、上記検定は、特性値毎に行われる。
【0061】
上記検定には、t検定などを用いるとよい。
【0062】
上記検定の結果、特性値61Rと、特性値65とで、有意な差がないと判定された場合、ステップS003に進む。なお、特性値61Rと、特性値65とで、有意な差があると判定された場合、第1のロット11が正しく実施されていない恐れがある。よって、有意な差があると判定された場合、第1のロット11が正しく実行されたかを確認するよう、利用者に通知する。利用者に通知した後、終了する。
【0063】
<<ステップS003>>
ステップS003では、特性値61の分散分析を行い、第1のロット11内で変更した工程が、特性値に影響を与えるかを判断し、影響の有無を記録する。はじめに、第1のロット11に含まれる基板21間で、特性値61の分散分析(Analysis of varianceや、ANOVAともいう。)、および工程リスト31の比較を行う。なお、分散分析は、特性値毎に行われる。
【0064】
上記分散分析には、Type2ANOVA、Type3ANOVA、ノンパラメトリック検定(クラスカル・ウォリス検定、またはフリードマン検定)などを用いる。
【0065】
なお、上記分散分析を行う前に、統計解析を行ってもよい。統計解析を行うことで、分散分析に用いる手法を適切に選択することができる。統計解析として、例えば、外れ値検知、分布の正規性の検定、分散の等質性の検定などを行う。当該統計解析によって、特性値61に、外れ値がない、分布の正規性がある、分散の等質性があると判定される場合、上記分散分析として、パラメトリック検定を選択するとよい。また、パラメトリック検定として、Type2ANOVAを用いるとよい。これにより、分散分析の精度を向上させることができる。
【0066】
また、上記統計解析によって、特性値61に、外れ値がある、分布の正規性が無い、または、分散の等質性が無いと判定される場合、上記分散分析として、ノンパラメトリック検定を選択するとよい。これにより、分散分析の精度を向上させることができる。なお、基板21間で、特性値61に対応がない場合、ノンパラメトリック検定として、クラスカル・ウォリス検定を用いる。
【0067】
外れ値検知には、Local Outlier Factorなどを用いる。また、分布の正規性の検定には、シャピロ・ウィルク検定、コルモゴロフ・スミルノフ検定などを用いる。特に、シャピロ・ウィルク検定を用いる。また、分散の等質性の検定には、ルビーン検定、バートレット検定、ハートレイ検定などを用いる。特に、ルビーン検定を用いる。
【0068】
上記分散分析を行うことで、第1のロット11に含まれる基板21(基板21_1乃至基板21_n)間で、特性値61(特性値61_1乃至特性値61_n)に含まれる特性値に有意な差があるかどうかを判定することができる。
【0069】
また、第1のロット11に含まれる基板21(基板21_1乃至基板21_n)間で、工程リスト31(工程リスト31_1乃至工程リスト31_n)の比較を行うことで、基板21間で異なる工程を抽出することができる。
【0070】
なお、工程リストの比較では、<<ステップS001>>で説明したように、工程リストに設定された工程および処理条件(パラメータ)が比較の対象となる。まず、各工程の一致/不一致を確認する。工程が一致した場合、当該工程の処理条件(パラメータ)の一致/不一致を確認する。工程の一致/不一致、および、工程の処理条件(パラメータ)の一致/不一致の確認には、例えば、diffのアルゴリズムを用いればよい。
【0071】
上記分散分析によって、第1のロット11に含まれる基板21(基板21_1乃至基板21_n)間で、特性値61(特性値61_1乃至特性値61_n)の一つ以上の特性値に有意な差があると判定された場合、基板21間で異なる工程は、当該特性値に有意な影響を与えると記録する。以降では、特性値に有意な影響を与えると記録された工程を、単に、影響ありの工程と呼ぶ場合がある。他方、基板21間で、特性値61に有意な差がないと判定された場合、基板21間で異なる工程は、特性値に有意な影響を与えないと記録する。
【0072】
なお、第1のロット11に含まれる基板21(基板21_1乃至基板21_n)間で、特性値61(特性値61_1乃至特性値61_n)のうち、有意な差があると判定される特性値と、有意な差がないと判定される特性値とが、含まれる場合がある。よって、基板21間で異なる工程の特性値への影響の有無は、特性値毎に記録されてもよい。
【0073】
上記記録が完了した後、ステップS004へ進む。
【0074】
<<ステップS004>>
ステップS004では、第1のロット11に含まれる基板21(基板21_1乃至基板21_n)に用意された工程リスト31(工程リスト31_1乃至工程リスト31_n)の全てに対して、工程リスト群30との比較を行い、工程リスト31のそれぞれに対して、影響ありの工程のみが異なる工程リストを、工程リスト群30の中から収集する。ここで、ステップS004で収集された工程リストを工程リスト37と表記する。工程リスト37は、工程リスト31のそれぞれに対して、影響ありの工程のみが異なる工程リストでもある。つまり、ステップS004は、工程リスト37を取得する工程であると言い換えることができる。
【0075】
なお、工程リストの比較では、<<ステップS001>>で説明したように、工程リストに設定された工程および処理条件(パラメータ)が比較の対象となる。まず、各工程の一致/不一致を確認する。工程が一致した場合、当該工程の処理条件(パラメータ)の一致/不一致を確認する。工程の一致/不一致、および、工程の処理条件(パラメータ)の一致/不一致の確認には、例えば、diffのアルゴリズムを用いればよい。
【0076】
工程リスト31のそれぞれに対して、影響ありの工程のみが異なる工程リストが、工程リスト群30の中から一つ以上収集された場合、ステップS005へ進む。以降では、工程リスト37と基板IDで関連付けられた基板上に作製された半導体素子の特性値を、特性値67と表記する。つまり、特性値67は、ステップS004で収集された特性値ということができる。
【0077】
<<ステップS005>>
ステップS005では、影響ありの工程に対するパラメータと、特性値67と、を元に機械学習を行う。当該機械学習として、例えば、回帰分析を用いることが好ましい。このとき、ステップS005は、影響ありの工程に対するパラメータと、特性値67との回帰分析を行う工程といえる。回帰分析を用いることで、影響ありの工程に対するパラメータと、特性値67と、の相関関係を分析することができる。よって、半導体素子の特性値を推定することができる。
【0078】
ステップS005では、具体的には、影響ありの工程に対するパラメータを説明変数とし、特性値67を目的変数として、回帰分析を行う。例えば、影響ありの工程に対するパラメータ、および特性値67を、最小二乗法による線形回帰を行う。
【0079】
なお、上記回帰分析を行う前に、特性値67の分散分析を行い、影響ありの工程に対するパラメータの差異が、特性値に対して有意であることを確認してもよい。有意であることを確認することで、上記回帰分析の結果を元に推定された半導体素子の特性値の確度は高いと判断することができる。
【0080】
上記分散分析には、Type2ANOVA、Type3ANOVA、ノンパラメトリック検定(クラスカル・ウォリス検定、またはフリードマン検定)などを用いる。
【0081】
なお、上記分散分析を行う前に、統計解析を行ってもよい。統計解析を行うことで、分散分析に用いる手法を適切に選択することができる。統計解析として、例えば、外れ値検知、分布の正規性の検定、分散の等質性の検定などを行う。当該統計解析によって、特性値67に、外れ値がない、分布の正規性がある、分散の等質性があると判定される場合、上記分散分析として、パラメトリック検定を選択するとよい。また、パラメトリック検定として、Type2ANOVAを用いるとよい。これにより、分散分析の精度を向上させることができる。
【0082】
また、上記統計解析によって、特性値67に、外れ値がある、分布の正規性が無い、または、分散の等質性が無いと判定される場合、上記分散分析として、ノンパラメトリック検定を選択するとよい。これにより、分散分析の精度を向上させることができる。なお、工程リスト37と基板IDで関連付けられた基板間で、特性値67に対応がない場合、ノンパラメトリック検定として、クラスカル・ウォリス検定を用いる。
【0083】
外れ値検知には、Local Outlier Factorなどを用いる。また、分布の正規性の検定には、シャピロ・ウィルク検定、コルモゴロフ・スミルノフ検定などを用いる。特に、シャピロ・ウィルク検定を用いる。また、分散の等質性の検定には、ルビーン検定、バートレット検定、ハートレイ検定などを用いる。特に、ルビーン検定を用いる。
【0084】
上記分散分析を行うことで、影響ありの工程に対するパラメータの差異が、特性値に対して有意であるならば、当該パラメータと当該特性値の回帰分析を行えばよい。当該回帰分析を行うことで、当該パラメータから、半導体素子の特性値を推定することができる。
【0085】
回帰分析には、線形回帰、リッジ回帰、Lasso回帰、エラスティックネット、k近傍法、回帰木、ランダムフォレスト、サポートベクター回帰、ニューラルネットワークなどを用いればよい。
【0086】
なお、上記では回帰分析を行う前に分散分析を行う方法を例示したが、分散分析の代わりに回帰分析で相関係数を算出し、半導体素子の推定値を採用する判断基準としても良い。相関係数はピアソンの積率相関係数、スピアマンの順位相関係数、ケンドールの順位相関係数などを用いればよい。
【0087】
以上より、影響ありの工程と当該工程に対するパラメータから、半導体素子の特性値を推定することができる。
【0088】
なお、ステップS005が完了した後、工程リスト31、および特性値61はそれぞれ、工程リスト群30、および特性値群60に格納される。なお、当該格納は、ステップS006が完了した後に行われてもよい。
【0089】
以上が、ステップS005の説明である。
【0090】
次に、ステップS006の前までに利用者が行う作業として、当該利用者は、第2のロット12を企画する。なお、第2のロット12は、ステップS005が実施された後に企画される場合に限られない。当該利用者は、第2のロット12を、ステップS001が開始される前に企画しておいてもよいし、ステップS001乃至ステップS005が実施されている間に企画してもよい。
【0091】
第2のロット12が企画された後、ステップS006へ進む。
【0092】
<<ステップS006>>
ステップS006では、ステップS005で行った回帰分析の結果を元に、工程リスト32から、特性値62を推定する。そして、推定された特性値62を出力する。つまり、ステップS006は、特性値62を推定し、推定された特性値62を出力する工程である。ここで、工程リスト32は、第2のロット12に用意された工程リストである。また、特性値62は、工程リスト32に従って作製される予定の半導体素子の特性値である。
【0093】
なお、出力するのは、推定された特性値62に限られない。例えば、第2のロット12に含まれる基板22に用意される工程リスト32間で、影響のない工程のみが異なる場合、基板22間で、特性値62の差が小さくなる恐れがあるという情報を、利用者に通知してもよい。また、第2のロット12内で指定された参照基板22Rに用意された工程リスト32Rにおいて、どの工程が特性値62に影響を与えるかに関する情報を、利用者に通知してもよい。
【0094】
推定された特性値62を出力した後、または、利用者に上記情報を通知した後、終了する。
【0095】
ステップS001乃至ステップS006を実施することで、半導体素子を作製しなくても、または半導体素子の電気特性を測定しなくても、当該半導体素子の特性値を推定することができる。よって、半導体素子を試作する回数を低減でき、開発費用の低減、開発期間の短縮などを図ることができる。
【0096】
また、本項で説明した半導体素子の特性値を推定する方法を用いることで、特性値、工程リスト、工程に対するパラメータなどのデータが適切に関連付けて蓄積される。よって、データが蓄積されていくことで、特性値の推定能力が向上していき、精度の良い特性値の推定を行うことができる。また、第2のロット12を企画することで、工程リスト32と工程リスト群30とが自動的に比較されるため、利用者はデータを俯瞰して解析することができる。
【0097】
以上が、半導体素子の特性値を推定する方法の一例についての説明である。
【0098】
<フローの一例>
本項では、先の<フロー>で説明したステップS001乃至ステップS006の一例について、図3乃至図8を用いて説明する。
【0099】
図3は、ステップS001の一例を説明する図である。
【0100】
ステップS001では、上述したように、工程リスト31Rと、工程リスト群30と、の比較を行う。例えば、図3では、工程リスト30_1乃至工程リスト30_mのうち、工程リスト30_2が、工程リスト31Rとの類似度が一定以上の工程リストであるとする。このとき、工程リスト30_2が収集される。なお、図3に示す工程リスト30_2は、先の<フロー>で説明した工程リスト35に相当する。その後、ステップS002へ進む。
【0101】
図4は、ステップS002の一例を説明する図である。
【0102】
ステップS002では、上述したように、特性値61Rと、特性値65とで、検定を行う。
【0103】
基板IDが割り振られている場合、例えば、図4では、ステップS001で収集された工程リスト30_2に関連付けられている基板IDを元に、特性値群60の中から特性値60_2が抽出される。なお、図4に示す特性値60_2は、先の<フロー>で説明した特性値65に相当する。そして、特性値61R(特性値61R(1)乃至特性値61R(p))と、特性値60_2(特性値60_2(1)乃至特性値60_2(p))とで検定を行う。当該検定によって、特性値61Rと、特性値60_2とに有意な差がないと判定された場合、ステップS003へ進む。
【0104】
図5は、ステップS003の一例を説明する図である。
【0105】
ステップS003では、上述したように、基板21間で、特性値61の分散分析、および工程リスト31の比較を行う。例えば、図5では、基板21間での、工程リスト31(工程リスト31_1乃至工程リスト31_n)の比較により、基板21間で異なる工程が、工程Aであると判定される。なお、図5では、基板21間で異なる工程が、工程Aである例を示しているが、基板21間で異なる工程は、2つ以上の工程であってもよい。
【0106】
また、例えば、図5では、基板21間での、特性値61(特性値61_1乃至特性値61_n)の分散分析により、特性値61に含まれる特性値に有意な差があると判定される。このとき、工程Aが、影響ありの工程であると記録された後、ステップS004へ進む。
【0107】
図6は、ステップS004の一例を説明する図である。
【0108】
ステップS004では、上述したように、工程リスト31の全てに対して、工程リスト群30との比較を行い、工程リスト31のそれぞれに対して、影響ありの工程のみが異なる工程リストを、工程リスト群30の中から収集する。例えば、図6では、当該比較により、工程リスト31_1と、工程Aのみが異なる工程リストとして、工程リスト30_1などが収集される。ここで、工程リスト30_1などは、先の<フロー>で説明した工程リスト37に相当する。なお、工程リスト31_2乃至工程リスト31_nのそれぞれに対しても同様に、工程Aのみが異なる工程リストが収集されるとする。その後、ステップS005へ進む。
【0109】
図7は、ステップS005の一例を説明する図である。
【0110】
ステップS005では、上述したように、影響ありの工程に対するパラメータと、特性値67との回帰分析を行う。図7では、特性値67は、ステップS004で収集された工程リスト30_1などと基板IDで関連付けられた基板上に作製された半導体素子の特性値である。つまり、特性値67は、特性値60_1などである。また、例えば、図7では、分散分析により、工程リスト31_1において、工程Aに対するパラメータの差異が、特性値に対して有意であることが確認されている。このとき、工程Aに対するパラメータと、特性値61_1、特性値60_1などの特性値の回帰分析が行われる。その後、ステップS006へ進む。
【0111】
図8は、ステップS006の一例を説明する図である。
【0112】
上述したように、ステップS006では、ステップS005で行われた回帰分析の結果を元に、工程リスト32から特性値62を推定する。例えば、図8では、ステップS005で行われた回帰分析の結果を元に、工程リスト32(工程リスト32_1乃至工程リスト32_n)から、特性値62(特性値62_1乃至特性値62_n)を推定する。そして、推定された特性値62を出力した後、終了する。
【0113】
以上が、ステップS001乃至ステップS006の一例についての説明である。
【0114】
<システムの構成例>
本項では、本発明の一態様である、半導体素子の特性値を推定するシステムの構成例を、図9を用いて説明する。
【0115】
図9は、半導体素子の特性値を推定することができるシステム100の構成例を示す図である。システム100は、入力部(図9では図示せず。)と、データベース110と、処理部120と、を有する。なお、データベース110と、処理部120とは、ネットワークを介して接続されている。なお、当該ネットワークには、ローカルエリアネットワーク(LAN)や、インターネットが含まれる。また、当該ネットワークは、有線、および無線のいずれか一方、または両方による通信を用いることができる。
【0116】
入力部には、工程リスト31、工程リスト32、および特性値61が入力される。
【0117】
データベース110には、基板群20に用意される工程リスト群30、および基板群20が有する特性値群60が格納されている。
【0118】
処理部120は、処理部120A、および処理部120Bを有する。
【0119】
処理部120Aには、入力部を介して、工程リスト31および特性値61が入力される。また、処理部120Aには、データベース110に格納されている、工程リスト群30および特性値群60が入力される。
【0120】
処理部120Aは、上述したステップS001乃至ステップS005を処理する機能を有する。つまり、処理部120Aは、2つの工程リストの比較を行う機能と、2つ以上の半導体素子の特性値を用いて検定を行う機能と、工程に対するパラメータと、2つ以上の半導体素子の特性値との回帰分析を行う機能と、を有する。なお、当該検定には、分散分析が含まれる。また、処理部120Aは、統計解析を行う機能を有してもよい。
【0121】
上記2つの工程リストは、入力部を介して入力された工程リスト31、およびデータベース110に格納されている工程リスト群30の中から選ばれる。また、上記2つ以上の半導体素子の特性値は、入力部を介して入力された半導体素子の特性値61、およびデータベース110に格納されている半導体素子の特性値群60の中から選ばれる。なお、検定に用いられる2つ以上の半導体素子の特性値と、回帰分析に用いられる2つ以上の半導体素子の特性値とは、同一でない場合がある。
【0122】
また、処理部120Aは、out1を出力する機能を有してもよい。ここで、out1は、第1のロットが正しく実行されたかを確認することを利用者に通知するための情報である。当該情報が出力されることで、利用者は、第1のロットと過去のロットとを比較しなくても、第1のロットが正しく実行されていない恐れがあることを知ることができる。
【0123】
処理部120Bには、入力部を介して、工程リスト32が入力される。また、処理部120Bには、処理部120Aで行われた回帰分析の結果が入力される。
【0124】
処理部120Bは、上述したステップS006を処理する機能を有する。つまり、処理部120Bは、入力部を介して入力された工程リスト32から、特性値62を推定する機能を有する。
【0125】
また、処理部120Bは、out2を出力する機能を有する。ここで、out2は、推定された特性値62、または<<ステップS006>>で説明した情報である。
【0126】
上記構成により、半導体素子の特性値を推定することができるシステム100を提供することができる。また、システム100を利用することで、特性値、工程リスト、工程に対するパラメータなどのデータが適切に関連付けて蓄積される。よって、データが蓄積されていくことで、特性値の推定能力が向上していき、精度の良い特性値の推定を行うことができる。また、第2のロット12を企画することで、工程リスト32と工程リスト群30とが自動的に比較されるため、利用者はデータを俯瞰して解析することができる。
【0127】
<システムの構成例の詳細>
本項では、本発明の一態様であるシステム100の構成例の詳細を、図10を用いて説明する。以下において、特段の記載がない限り、本項で説明するシステムの構成要素、当該構成要素が有する機能などは、システム100の構成要素、当該構成要素が有する機能などの記載を参酌することができる。
【0128】
図10は、半導体素子の特性値を推定することができるシステム100Aを示す図である。なお、システム100Aは、図9に示すシステム100の構成の詳細である。システム100Aは、システム100と同様に、入力部(図10では図示せず。)と、データベース110と、処理部120と、を有する。なお、データベース110は、記憶部111、および記憶部112を有する。また、処理部120は、処理部121乃至処理部124を有する。
【0129】
<<記憶部111>>
記憶部111には、工程リスト群30が格納される。また、記憶部111には、あらかじめ用意されたパラメータセットが格納される。なお、記憶部111には、<<ステップS003>>で説明した、基板21間で異なる工程、および特性値61への影響の有無が記録されてもよい。
【0130】
<<記憶部112>>
記憶部112には、特性値群60が格納される。
【0131】
<<処理部121>>
処理部121には、工程リスト31、および工程リスト群30が入力される。
【0132】
処理部121は、工程リストの比較を行う機能を有する。工程リストの比較は、上述したように、diffのアルゴリズムを用いるとよい。そこで、diffのアルゴリズムは、処理部121が有する記憶部(図10では図示せず。)に記憶されるとよい。または、diffのアルゴリズムが記憶部111などに記憶される場合、diffのアルゴリズムが、記憶部111などから処理部121に供給されるとよい。
【0133】
例えば、処理部121は、<<ステップS001>>で説明した、工程リスト31Rと、工程リスト群30と、を比較することができる。処理部121は、工程リスト31Rとの類似度が一定以上である工程リストを、工程リスト群30から収集する。そして、処理部121は、収集された工程リスト、または収集された工程リストに関連付けられた基板IDを、処理部122へ出力する。処理部122へ出力される工程リストは、<<ステップS001>>で説明した工程リスト35に相当する。
【0134】
また、例えば、処理部121は、<<ステップS003>>で説明した、第1のロット11に含まれる基板21間で、工程リスト31の比較を行うことができる。処理部121は、基板21間で異なる工程を抽出する。そして、処理部121は、基板21間で異なる工程、または当該工程の工程IDを、処理部122へ出力する。
【0135】
また、例えば、処理部121は、<<ステップS004>>で説明した、工程リスト31と、工程リスト群30と、の比較を行うことができる。処理部121は、工程リスト31のそれぞれに対して、影響ありの工程のみが異なる工程リストを、工程リスト群30から収集する。そして、処理部121は、収集された工程リスト、または収集された工程リストに関連付けられた基板IDを、処理部123へ出力する。処理部123へ出力される工程リストは、<<ステップS004>>で説明した工程リスト37に相当する。
【0136】
<<処理部122>>
処理部122には、特性値61が入力される。また、処理部121から出力された、工程リスト、または当該工程リストに関連付けられた基板IDが入力される。また、処理部121から出力された、基板21間で異なる工程、または当該工程の工程IDが入力される。
【0137】
処理部122は、上記工程リストまたは上記基板IDに対応する特性値を、特性値群60から収集する機能を有する。なお、処理部122に、特性値群60が入力され、上記工程リストまたは上記基板IDに対応する特性値を、特性値群60から抽出してもよい。
【0138】
また、処理部122は、特性値の検定を行う機能を有する。なお、当該検定には、分散分析が含まれる。また、処理部122は、out1を出力する機能を有する。なお、処理部122は、統計解析を行う機能を有してもよい。なお、分散分析、統計解析などのアルゴリズムは、処理部122が有する記憶部(図10では図示せず。)に記憶されるとよい。または、分散分析、統計解析などのアルゴリズムが記憶部112などに記憶される場合、分散分析、統計解析などのアルゴリズムが、記憶部112などから処理部122に供給されるとよい。
【0139】
例えば、処理部122は、<<ステップS002>>で説明した、特性値61Rと、ステップS001で収集された特性値とで、検定を行うことができる。当該検定の結果、有意な差があると判定された場合、処理部122は、out1を出力する。なお、ステップS001で収集された特性値は、<<ステップS002>>で説明した特性値65に相当する。また、out1は、<<ステップS002>>で説明した、利用者に通知する情報である。
【0140】
また、上記検定の結果、有意な差がないと判定された場合、処理部122は、<<ステップS003>>で説明した、分散分析を行うことができる。このとき、基板21間で異なる工程の特性値への影響の有無を、記憶部111に出力する機能を有する。なお、処理部122は、<<ステップS003>>で説明した、統計解析を行ってもよい。
【0141】
<<処理部123>>
処理部123には、特性値61が入力される。また、処理部121から出力された、工程リスト、または当該工程リストに関連付けられた基板IDが入力される。
【0142】
処理部123は、上記工程リストまたは上記基板IDに対応する特性値を、特性値群60から収集する機能を有する。なお、処理部123に、特性値群60が入力され、上記工程リストまたは上記基板IDに対応する特性値を、特性値群60から抽出してもよい。
【0143】
処理部123は、<<ステップS005>>で説明した、影響ありの工程に対するパラメータと、特性値との回帰分析を行う機能を有する。また、処理部123は、当該回帰分析の結果を、処理部124へ出力する機能を有する。また、処理部123は、工程リスト31を、記憶部111に出力する機能を有する。また、処理部123は、特性値61を、記憶部112に出力する機能を有する。なお、回帰分析のアルゴリズムは、処理部123が有する記憶部(図10では図示せず。)に記憶されるとよい。または、回帰分析のアルゴリズムが記憶部112などに記憶される場合、回帰分析のアルゴリズムが、記憶部112などから処理部123に供給されるとよい。
【0144】
なお、処理部123は、特性値の検定を行う機能を有してもよい。当該検定には、分散分析が含まれる。また、処理部123は、統計解析を行う機能を有してもよい。処理部123が、特性値の検定を行う機能、および統計解析を行う機能を有さない場合、<<ステップS005>>で説明した分散分析、および統計解析は、処理部122で行われるとよい。なお、図10では、処理部122と処理部123との間での、データ、命令などの入出力に相当する矢印は、図示していない。
【0145】
<<処理部124>>
処理部124には、工程リスト32が入力される。また、処理部123から出力された、回帰分析の結果が入力される。
【0146】
処理部124は、上記回帰分析の結果を用いて、工程リスト32から特性値を推定する機能を有する。また、処理部124は、out2を出力する機能を有する。なお、工程リスト32から推定される特性値は、<<ステップS006>>で説明した、特性値62に相当する。また、out2は、推定した特性値や、<<ステップS006>>で説明した、利用者に通知する情報などである。
【0147】
なお、工程リスト32が処理部124に入力されるまでは、処理部123で行われた回帰分析の結果は、処理部123または処理部124が有する一時記憶領域に保持した状態にするとよい。または、処理部123で行われた回帰分析の結果は、記憶部111などに格納しておき、工程リスト32が処理部124に入力されるタイミングで、処理部124に入力されてもよい。
【0148】
本構成により、半導体素子の特性値を推定することができるシステムを提供することができる。
【0149】
<システムの変形例>
なお、半導体素子の特性値を推定するシステムの構成例は、図10に示すシステム100Aの構成に限られない。以下では、図11、および図12を用いて、半導体素子の特性値を推定するシステムの変形例について説明する。
【0150】
<<システムの変形例1>>
図11は、システム100Bの構成例を示す図である。なお、図11に示すシステム100Bにおいて、<システムの構成例>および<システムの構成例の詳細>に示したシステムを構成する要素と同機能を有する要素には、同符号を付記する。
【0151】
図11に示すシステム100Bは、図10に示すシステム100Aの変形例である。システム100Bは、システム100Aとは、記憶部113を有することが異なる。
【0152】
記憶部113には、処理部123で行われた回帰分析の結果が格納される。これにより、工程リスト32が入力されるまで、システム100Bを待機状態にすることができる。
【0153】
<<システムの変形例2>>
図12は、システム100Cの構成例を示す。なお、図12に示すシステム100Cにおいて、<システムの構成例>および<システムの構成例の詳細>に示したシステムを構成する要素と同機能を有する要素には、同符号を付記する。
【0154】
図12に示すシステム100Cは、図10に示すシステム100Aの変形例である。システム100Cは、システム100Aとは、上述したステップS001乃至ステップS006を実施する前に、工程リスト31が記憶部111に格納され、特性値61が記憶部112に格納されることが異なる。
【0155】
上記構成にすることで、実施したロットの工程リストおよび特性値が、逐次データベースに格納されることで、第2のロット12を企画する前に、第1のロット11の企画および実施をしなくても、システム100Cを利用することができる。つまり、上述した、ステップS001の前までに利用者が行う作業は、実施されなくてもよい。
【0156】
例えば、参照基板となる基板が有する工程リストを、工程リスト群30の中から選択する。次に、処理部121を介して、選択した工程リストに対して、類似度が一定以上の工程リストを、工程リスト群30から収集する。収集された工程リストを、第1のロット11に用意される工程リストとし、選択された工程リストを、工程リスト31Rとして、システム100Cを利用するとよい。これにより、第1のロット11を企画および実施をしなくても、システム100Cを利用することができる。
【0157】
<コンピュータ装置>
本項では、本発明の一態様である、半導体素子の特性値を推定するシステムを有するコンピュータ装置を、図13を用いて説明する。
【0158】
図13は、半導体素子の特性値を推定するシステムを有するコンピュータ装置を説明する図である。コンピュータ装置1000は、ネットワークを介してデータベース1011、リモートコンピュータ1012、およびリモートコンピュータ1013と接続される。コンピュータ装置1000は、演算装置1001、メモリ1002、入出力インターフェース1003、通信デバイス1004、およびストレージ1005を有する。コンピュータ装置1000は、入出力インターフェース1003を介して、表示装置1006a、およびキーボード1006bと電気的に接続される。また、コンピュータ装置1000は、通信デバイス1004を介してネットワークインターフェース1007と電気的に接続され、ネットワークインターフェース1007はネットワーク(Network)を介してデータベース1011、リモートコンピュータ1012、およびリモートコンピュータ1013と電気的に接続される。
【0159】
ここで、上記ネットワークには、ローカルエリアネットワーク(LAN)や、インターネットが含まれる。また、上記ネットワークは、有線、および無線のいずれか一方、または両方による通信を用いることができる。また、上記ネットワークにおいて無線通信を用いる場合、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの近距離通信手段の他に、第3世代移動通信システム(3G)に準拠した通信手段、LTE(3.9Gと呼ぶ場合もある)に準拠した通信手段、第4世代移動通信システム(4G)に準拠した通信手段、または第5世代移動通信システム(5G)に準拠した通信手段などの様々な通信手段を用いることができる。
【0160】
本発明の一態様である半導体素子の特性値を推定するシステムにおいて、データベース110は、データベース1011に相当する。なお、データベース110は、ストレージ1005であってもよい。また、工程リスト31、および特性値61は、はじめにストレージ1005に格納され、上述したステップS005が完了した後、データベース1011に格納されてもよい。
【0161】
また、処理部120は、演算装置1001に相当する。なお、処理部120は、リモートコンピュータ1012、またはリモートコンピュータ1013が有する演算装置であってもよい。また、処理部120が有する処理部121乃至処理部123は、リモートコンピュータ1012、またはリモートコンピュータ1013が有する演算装置であり、処理部120が有する処理部124は、演算装置1001であってもよい。
【0162】
また、表示装置1006aに、上述したout1、およびout2が、表示される。なお、表示装置1006aに、上述した、工程リストの比較の結果、検定の結果、分散分析の結果、統計解析の結果などが、例えば、表、数式、グラフなどに変換されて、表示されてもよい。
【0163】
以上より、本発明の一態様は、試作する予定の半導体素子の特性値を推定する方法を提供することができる。また、本発明の一態様は、試作する予定の半導体素子の特性値を推定するシステムを提供することができる。また、本発明の一態様は、今回試作した半導体素子の工程および特性値と、過去に試作した半導体素子の工程および特性値との比較を自動的に行うシステムを提供することができる。
【0164】
本実施の形態は、その一部を適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0165】
:11:第1のロット、12:第2のロット、20:基板群、20_m:基板、20_1:基板、21:基板、21_n:基板、21_1:基板、21R:参照基板、22:基板、22R:参照基板、30:工程リスト群、30_m:工程リスト、30_1:工程リスト、30_2:工程リスト、31:工程リスト、31_n:工程リスト、31_1:工程リスト、31_2:工程リスト、31R:工程リスト、32:工程リスト、32_n:工程リスト、32_1:工程リスト、32R:工程リスト、35:工程リスト、37:工程リスト、60:特性値群、60_m:特性値、60_1:特性値、60_2:特性値、61:特性値、61_n:特性値、61_1:特性値、61_2:特性値、61R:特性値、62:特性値、62_n:特性値、62_1:特性値、65:特性値、67:特性値、100:システム、100A:システム、100B:システム、100C:システム、110:データベース、111:記憶部、112:記憶部、113:記憶部、120:処理部、120A:処理部、120B:処理部、121:処理部、122:処理部、123:処理部、124:処理部、1000:コンピュータ装置、1001:演算装置、1002:メモリ、1003:入出力インターフェース、1004:通信デバイス、1005:ストレージ、1006a:表示装置、1006b:キーボード、1007:ネットワークインターフェース、1011:データベース、1012:リモートコンピュータ、1013:リモートコンピュータ
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13