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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】粉末除去装置および錠剤印刷装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/06 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A61J3/06 Q
A61J3/06 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021552302
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2020037055
(87)【国際公開番号】W WO2021075259
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2019189940
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000228110
【氏名又は名称】クオリカプス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】松山 智一
(72)【発明者】
【氏名】大西 薫
(72)【発明者】
【氏名】小西 善久
(72)【発明者】
【氏名】藤田 健二
(72)【発明者】
【氏名】柳生 元啓
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-038908(JP,A)
【文献】特開2018-057789(JP,A)
【文献】登録実用新案第3190599(JP,U)
【文献】実開昭55-056293(JP,U)
【文献】国際公開第2018/100980(WO,A1)
【文献】特開平11-290806(JP,A)
【文献】特開平06-320126(JP,A)
【文献】特開平09-075876(JP,A)
【文献】特開2007-135982(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003579(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤を搬送する搬送装置と、前記搬送装置により搬送される錠剤に付着した粉末を回収する粉末回収装置とを備え、
前記搬送装置は、搬送中の錠剤を個別に保持する保持部を有しており、
前記粉末回収装置は、錠剤に対して前記保持部に保持された状態を維持しつつ気体を噴射する噴射部と、錠剤への気体の噴射により飛散した粉末を吸引する吸引部とを備え、
前記吸引部は、前記保持部と対向するように配置された吸引口を有するカバー部材を備え、
前記噴射部は、前記カバー部材の内部に配置されて前記吸引口の中央から気体を噴射する噴射ノズルを備え、
前記噴射部からの気体の噴射量よりも前記吸引部による気体の回収量が大きくなるように構成され
前記搬送装置により搬送される錠剤を検知する検知部を更に備え、
前記噴射部は、前記検知部による錠剤の検知に基づいて、錠剤が通過するタイミングで気体を間欠的に噴射し、
前記吸引部は、前記噴射部が作動していない間も前記吸引口の周辺の空気を吸引するように、前記錠剤の搬送中は常時作動する粉末除去装置。
【請求項2】
前記搬送装置は、錠剤の側面を挟持する複数の搬送ベルトを備え、
前記保持部は、前記搬送ベルト間に形成されて、錠剤を表裏面が露出した状態で保持する請求項に記載の粉末除去装置。
【請求項3】
前記噴射部は、イオン化された気体を噴射する請求項1または2に記載の粉末除去装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれかに記載の粉末除去装置を備える錠剤印刷装置であって、
前記搬送装置により搬送される錠剤に対して、前記粉末回収装置の搬送方向下流側で印刷を行う印刷部を備える錠剤印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末除去装置および錠剤印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤に文字やマーク等を印刷する装置として、インクジェット方式の錠剤印刷装置が知られている。インクジェット方式により錠剤に印刷する場合には、素錠等の錠剤から発生する粉末がインクジェットヘッドのノズルに付着する等して印刷不良を生じるおそれがあることから、錠剤への印刷前に錠剤表面の粉末を除去する装置が従来から検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された粉末圧縮成型品の粉取り装置は、ケース内に回転自在に収容された処理ロータに錠剤を投入すると、処理ロータ内に2方向から圧縮空気が噴出されて、錠剤表面から除去された粉がエア排出部から排出されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】登録実用新案第3193943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の粉取り装置は、処理ロータ内における2方向からのエア噴射によって粉除去の効率化が図られているが、処理ロータ内に投入された複数の錠剤の全体にエアを噴射する構成のため、錠剤間で粉除去の状況にばらつきが生じ易いだけでなく、印刷装置への搬送中に錠剤同士が衝突する等して新たな粉末が発生し、錠剤に付着するおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、錠剤に付着した粉末を確実に除去することができる粉末除去装置の提供を目的とし、更に、この粉末除去装置を備える錠剤印刷装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、錠剤を搬送する搬送装置と、前記搬送装置により搬送される錠剤に付着した粉末を回収する粉末回収装置とを備え、前記搬送装置は、搬送中の錠剤を個別に保持する保持部を有しており、前記粉末回収装置は、錠剤に対して前記保持部に保持された状態を維持しつつ気体を噴射する噴射部と、錠剤への気体の噴射により飛散した粉末を吸引する吸引部とを備え、前記吸引部は、前記保持部と対向するように配置された吸引口を有するカバー部材を備え、前記噴射部は、前記カバー部材の内部に配置されて前記吸引口の中央から気体を噴射する噴射ノズルを備え、前記噴射部からの気体の噴射量よりも前記吸引部による気体の回収量が大きくなるように構成され、前記搬送装置により搬送される錠剤を検知する検知部を更に備え、前記噴射部は、前記検知部による錠剤の検知に基づいて、錠剤が通過するタイミングで気体を間欠的に噴射し、前記吸引部は、前記噴射部が作動していない間も前記吸引口の周辺の空気を吸引するように、前記錠剤の搬送中は常時作動する粉末除去装置により達成される。
【0010】
前記搬送装置は、錠剤の側面を挟持する複数の搬送ベルトを備えることが好ましく、前記保持部は、前記搬送ベルト間に形成されて、錠剤を表裏面が露出した状態で保持することが好ましい。
【0011】
前記噴射部は、イオン化された気体を噴射することが好ましい。
【0012】
また、本発明の前記目的は、上記の粉末除去装置を備える錠剤印刷装置であって、前記搬送装置により搬送される錠剤に対して、前記粉末回収装置の搬送方向下流側で印刷を行う印刷部を備える錠剤印刷装置により達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、錠剤に付着した粉末を確実に除去することができる粉末除去装置を提供することができ、更に、この粉末除去装置を備える錠剤印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る粉末除去装置を備える錠剤印刷装置の概略正面図である。
図2】前記錠剤印刷装置の要部平面図である。
図3】前記粉末除去装置が備える搬送装置の要部を示す側面図である。
図4】前記搬送装置の他の要部を示す断面図である。
図5】前記搬送装置の更に他の要部を示す断面図である。
図6】前記搬送装置の更に他の要部を示す平面図である。
図7】前記粉末除去装置の要部を示す概略断面図である。
図8】前記粉末除去装置の要部を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、 本発明の一実施形態に係る錠剤印刷装置の概略正面図であり、図2は、図1に示す錠剤印刷装置の要部平面図である。図1および図2に示すように、錠剤印刷装置1は、錠剤に付着した粉末を除去する粉末除去装置21と、錠剤に印刷を行う印刷部23,24とを備えている。
【0016】
粉末除去装置21は、錠剤を搬送する搬送装置10と、搬送装置10により搬送される錠剤を検知する光学式センサ等からなる検知部211と、検知部211の搬送方向下流側に配置されて錠剤に付着した粉末を回収する粉末回収装置212とを備えている。
【0017】
搬送装置10は、第1のプーリ11および第2のプーリ12と、第1のプーリ11および第2のプーリ12に巻き掛けられた無端帯状の2つの搬送ベルト13,14とを備えており、第1のプーリ11を駆動モータ(図示せず)により図1の矢示方向に回転駆動して、搬送ベルト13,14を走行させることができる。図2に示すように、搬送ベルト13,14は、直線部が互いに平行になるように配置されており、両者の間には錠剤を挟持するための隙間からなる保持部19が形成されている。搬送ベルト13,14は、本実施形態ではシリコンゴム等の軟質材料からなる平ベルトとしているが、Vベルトや歯付きベルト等であってもよい。
【0018】
図3は、図1の第1のプーリ11を矢示A方向に見た側面図である。搬送ベルト13,14は、第1のプーリ11の回転軸11aに沿って配置されており、それぞれの間に形成された保持部19には、隙間調整部材15が介在されている。隙間調整部材15は、不図示のブラケットに自由回転可能に支持された一対のギャップアップローラからなり、回転軸11aと略同じ高さに配置されて、保持部19の隙間Gを押し広げる。第1のプーリ11の軸方向両側には、フランジ状のベルト係合部11b,11bがそれぞれ形成されており、各搬送ベルト13,14の外側側面は、ベルト係合部11b,11bに保持される。
【0019】
図4は、図1に示す第2のプーリ12の要部を矢示B方向に見た断面図である。第2のプーリ12は、第1のプーリ11と同様の構成を備えており、軸方向両側に、搬送ベルト13,14の外側側面をそれぞれ保持するフランジ状のベルト係合部12b,12bが設けられている。また、第2のプーリ12は、搬送ベルト13,14がそれぞれ巻き掛けられる2つの支持部12c,12cを有しており、これら支持部12c,12cの間には、搬送ベルト13,14間に挟持した錠剤Fを収容するための空間部12dが形成されている。搬送ベルト13,14が錠剤Fと接触する側面は、本実施形態では平坦状に形成しているが、凹凸を有する形状であってもよい。
【0020】
図1に示すように、搬送装置10は、第1のプーリ11と第2のプーリ12との間に配置されて、搬送ベルト13,14を案内するように上下に配置された2つのガイド装置110,120を更に備えている。図5は、図1のガイド装置110を矢示A方向に見た断面図である。図5に示すように、ガイド装置110は、2つの搬送ベルト13,14にそれぞれ対応して設けられたブロック状の2つのガイド部材111を備えている。2つのガイド部材111は、互いに隙間をあけて配置されており、それぞれの対向面の上部に切欠状の溝部111aが形成されている。
【0021】
ガイド装置110は、各ガイド部材111と摺動可能に配置された第1の摺動ベルト112および第2の摺動ベルト113を更に備えている。第1の摺動ベルト112および第2の摺動ベルト113は、無端帯状に形成されており、溝部111aの底面および側面に沿ってそれぞれ摺動するように、搬送方向両側において複数のプーリ112a,113aに巻回されている。第1の摺動ベルト112および第2の摺動ベルト113は、搬送ベルト13,14の下面および外側面にそれぞれ当接し、搬送ベルト13,14の搬送方向と同じ方向に走行するように駆動される。ガイド装置120の構成についても、ガイド装置110と同様であり、2つのガイド部材121と、各ガイド部材121と摺動可能に配置された第1の摺動ベルト122および第2の摺動ベルト123とを備えている。
【0022】
図1に示すように、搬送装置10には、供給装置30から錠剤が供給される。供給装置30は、錠剤が投入されるホッパー31と、ホッパー31から供給される錠剤を定量供給する直進フィーダ等からなる定量供給ユニット32と、定量供給ユニット32から供給された錠剤を一列に整列させるボウルフィーダやターンテーブル等からなる整列ユニット33と、整列ユニット33で整列された錠剤を上方からコンベアベルト34aの吸着孔を介して真空吸着して搬送装置10に搬送する吸着コンベア34とを備えている。
【0023】
図6に要部平面図で示すように、吸着コンベア34により上方から保持されて搬送される錠剤Fは、一対のセンタリングガイド34b,34cにより、コンベアベルト34aの下面に沿って移動して位置調整が行われ、搬送ベルト13,14の隙間Gに上方から案内される。この隙間Gは、隙間調整部材15(図1参照)により、搬送方向Tに向けて徐々に狭まるため、吸着コンベア34に吸着された錠剤Fは、搬送に伴い搬送ベルト13,14間に挟持されて搬送装置10に順次引き渡され、保持部19に個別に保持されて搬送される。保持部19に保持された錠剤Fは、外観検査装置61により形状不良の有無、印刷面の検査、割線の向きの検出等が行われる。
【0024】
図1および図2に示すように、検知部211および粉末回収装置212は、第1のガイド装置110によって案内される搬送ベルト13,14に沿って、外観検査装置61の搬送方向下流側に順次配置されている。図7に示すように、検知部211は、2つの搬送ベルト(図7では一方の搬送ベルト14のみを示す)間に形成された保持部19の直上に配置され、錠剤Fの通過を検知する。
【0025】
粉末回収装置212は、噴射部213および吸引部214を備えている。噴射部213は、保持部19の直上に配置された噴射ノズル213aと、噴射ノズル213aを圧縮気体供給源(図示せず)に接続する供給管213bとを備えており、噴射ノズル213aの電磁弁の開閉を制御することにより、噴射ノズル213aから錠剤Fの一方面に向けて圧縮空気等の圧縮気体を噴射することができる。噴射ノズル213aからの圧縮気体の噴射圧力は、錠剤Fが保持部19に保持された状態を維持しつつ、錠剤Fに付着した粉末を飛散させることができる程度に、錠剤の大きさや形状、搬送ベルト13,14間の挟持力などを考慮して、適宜設定することが好ましい。噴射部213から噴射する気体は、イオナイザ等の除電装置によりイオン化された気体を使用することも可能であり、錠剤を除電して粉末の飛散を促すことで、後述する吸引部214による粉末の回収をより確実に行うことができる。
【0026】
吸引部214は、円筒状のカバー部材214aと、カバー部材214aの上端に設けられた接続部214bとを備えており、カバー部材214aの下端には、保持部19に対向する吸引口214cが形成されている。接続部214bは、真空ポンプを有する集塵装置等の吸引装置(図示せず)に接続され、カバー部材214aの下方の空気を吸引口214cから吸引することができる。接続部214bの側壁には、供給管213bが屈曲して水平に延びる部分が貫通しており、供給管213bに接続された噴射ノズル213aがカバー部材214aの内部に支持されている。
【0027】
図8は、噴射部213および吸引部214の底面図である。図7および図8に示すように、噴射ノズル213aは、吸引口214cの中央から鉛直下方に向けて圧縮気体を噴射するように配置されており、噴射ノズル213aの周囲全体から吸引部214の内部に空気が吸引される。粉末回収装置212は、保持部19の下方に配置することも可能であり、噴射部213が上方に気体を噴射して、吸引部214が下方に吸引するように構成してもよい。
【0028】
図1および図2に示すように、印刷部23は、第2のプーリ12よりも搬送方向上流側において、粉末回収装置212の搬送方向下流側の直後に配置されている。印刷部23は、インクジェット印刷装置からなり、搬送中の錠剤Fの一方面に文字やマーク等を印刷する。印刷後の錠剤Fは、印字検査装置62により印字検査が行われる。粉末回収装置212および印刷部23の作動は、外観検査装置61および検知部211から受信した情報に基づいて、制御装置100により制御される。検知部211が錠剤Fを検知する代わりに、外観検査装置61が錠剤Fを検知することにより、外観検査装置61を検知部として機能させることもできる。
【0029】
粉末除去装置21は、上記の検知部211および粉末回収装置212とは別に、検知部221および粉末回収装置222を備えている。検知部221および粉末回収装置222は、それぞれ上記の検知部211および粉末回収装置212と同様の構成を備えており、第2のガイド装置120によって案内される搬送ベルト13,14に沿って、外観検査装置63の搬送方向下流側に順次配置されている。搬送装置10により搬送される錠剤Fは、第2のプーリ12の通過により上下が反転されるため、粉末回収装置222の噴射部から錠剤Fの他方面に圧縮気体が噴射される。
【0030】
印刷部24は、上記の印刷部23と同様にインクジェット印刷装置からなり、第1のプーリ11よりも搬送方向上流側において、粉末回収装置222の搬送方向下流側の直後に配置されている。印刷部24により他方面に印刷された錠剤Fは、印字検査装置64により印字検査が行われる。粉末回収装置222および印刷部24の作動についても、それぞれ外観検査装置63および検知部221から受信した情報に基づいて、制御装置100により制御される。
【0031】
搬送装置10の搬送方向下流側には、排出装置50が配置されている。排出装置50は、搬送装置10から引き渡された錠剤を搬送する排出コンベア51と、排出コンベア51により搬送される錠剤の良品を選別する選別装置52と、錠剤の良品がダンパ53を介して案内される良品コンベア54と、良品コンベア54により搬送される錠剤の良品が排出される排出シュート55とを備えている。排出コンベア51の上方には、錠剤の側面を検査するための側面検査装置8が設けられている。
【0032】
選別装置52は、印字検査装置62,64および側面検査装置8の検出に基づいて、搬送される錠剤が良品か否かを選別し、良品と選別した錠剤を、エア噴射により良品コンベア54に供給する。ダンパ53は、選別装置52から供給された錠剤を系外ボックス56に供給するように、切り替え可能である。排出装置50は、選別装置52を通過した錠剤の不良品を不良品ボックス58に排出する不良品排出シュート57を更に備えている。排出装置50の作動は、制御装置100により制御される。
【0033】
上記の構成を備える錠剤印刷装置1は、錠剤Fを供給装置30のホッパー31に予め投入しておくことで、供給装置30から粉末除去装置21に錠剤Fが供給される。保持部19に保持されて搬送装置10により搬送される錠剤Fは、外観検査装置61により撮像された後、検知部211により検知される。これらの情報は、制御装置100(図2参照)に送信される。
【0034】
制御装置100は、図7に示すように、検知部211による錠剤Fの検知位置から噴射ノズル213aの噴射位置までの距離Lと、錠剤Fの搬送速度に基づき、噴射ノズル213aの直下に錠剤Fが到達したタイミングで圧縮気体を噴射するように、噴射ノズル213aの作動を制御する。噴射ノズル213aの作動時間は、圧縮気体が錠剤Fの一方面全体に吹き付けられるように設定することが好ましく、例えば、錠剤Fの搬送方向前端が噴射ノズル213aの直下を通過してから、錠剤Fの搬送方向後端が噴射ノズル213aの直下を通過するまで、圧縮気体を連続的に噴射することが好ましい。
【0035】
こうして、錠剤Fの一方面に圧縮気体が吹き付けられることにより、錠剤Fに付着していた粉末が飛散する。飛散した粉末は吸引部214に吸引されて、不図示の吸引装置に回収される。吸引装置は、錠剤Fの搬送中は常時作動していることが好ましく、噴射部213が作動していない間も、吸引口214cの周辺の空気を吸引する。
【0036】
印刷部23は、粉末が除去された錠剤Fの一方面に対して印刷を行う。印刷された錠剤Fは、印字検査装置62に撮像された後、第2のプーリ12を通過して他方面が外観検査装置63により撮像され、検知部221により検知される。これらの情報は、制御装置100に送信される。
【0037】
そして、上記の粉末回収装置212と同様に、粉末回収装置222により錠剤Fの他方面に圧縮気体が噴射され、錠剤Fに付着していた粉末が回収された後、印刷部24により錠剤Fの他方面に印刷される。この後、錠剤Fの他方面が印字検査装置64により撮像されて、排出装置50に引き渡され、錠剤Fの良品のみが回収される。
【0038】
本実施形態の錠剤印刷装置1が備える粉末除去装置21は、搬送装置10の保持部19に錠剤Fが保持された状態で噴射部213から気体を噴射することにより、錠剤Fに付着した粉末を確実に除去することができると共に、気体の噴射により飛散した粉末を吸引部214に確実に回収することができる。したがって、錠剤Fの被印刷面から粉末を確実に除去することができるので、その後の印刷部23による印刷を確実に行うことができる。吸引部214は、保持部19と対向するように配置された吸引口214cを備えるカバー部材214aを備えており、吸引口214cの中央に配置された噴射ノズル213aの周囲全体から空気を吸引するため、錠剤Fから飛散した粉末を、より確実に回収することができる。
【0039】
噴射部213は、検知部211による錠剤Fの検知に基づいて、錠剤Fが噴射部213の直下を通過するタイミングで間欠的に気体を噴射するため、錠剤Fに付着した粉末を効果的に飛散させることができる。また、間欠的な気体の噴射により圧縮気体の消費量を低減することができると共に、噴射部213からの気体の噴射量よりも吸引部214による気体の回収量を大きくして、飛散した粉末を容易に回収することができる。但し、噴射部213からの気体の噴射は、必ずしも間欠的な噴射に限定されず、噴射部213から気体が常時噴射する構成であってもよい。
【0040】
搬送装置10は、複数の搬送ベルト13,14の側面間で錠剤Fの側面を挟持するように構成されているため、噴射部213から錠剤Fに気体が噴射されても、保持部19に錠剤Fが保持された状態を容易に維持することができる。また、錠剤Fを表裏面が露出した状態で搬送することができるので、粉末回収装置212,222による錠剤Fの表裏面に付着した粉末の回収と、印刷部23,24による錠剤Fの表裏面に対する印刷を、容易に行うことができる。
【0041】
但し、搬送装置10の構成は、本実施形態のものに限定されず、錠剤の被印刷面が露出した状態で錠剤を個別に保持可能な保持部を有する構成であれば、他の構成であってもよい。例えば、図1に示す吸着コンベア34のように、コンベアベルト34aの吸着孔を介して錠剤Fを真空吸着可能な保持部を有する搬送装置を使用し、錠剤に対してコンベアベルト34aの反対側から粉末除去および印刷を行うことも可能である。あるいは、錠剤を吸着可能な保持部が軸方向に沿って複数列に設けられた搬送ドラムを搬送装置として使用することも可能であり、この場合は、保持部の各列に対応して噴射部213を複数設けて錠剤Fに対する気体の噴射を個別に行うことで、各錠剤Fに付着した粉末の除去を確実に行うことができる。
【0042】
錠剤を保持部に吸着保持する搬送装置の構成は、錠剤の表面または裏面を吸着する構成以外に、錠剤の側面を吸着する構成であってもよい。例えば、錠剤を起立させた状態で、錠剤の側面を搬送ローラやベルトコンベア等の搬送面に吸着保持し、錠剤の表裏両側から粉末除去および印刷を行うように構成することもできる。
【0043】
印刷部23,24は、本実施形態のようにインクジェット印刷装置であることが好ましいが、錠剤の被印刷面からの粉末除去により印刷精度が向上する他の印刷装置であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 錠剤印刷装置
10 搬送装置
13,14 搬送ベルト
19 保持部
21 粉末除去装置
211,221 検知部
212,222 粉末回収装置
213 噴射部
213a 噴射ノズル
214 吸引部
214a カバー部材
214c 吸引口
23,24 印刷部
F 錠剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8