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特許7545990車線上の自動車の位置決めを制御するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】車線上の自動車の位置決めを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240829BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240829BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20240829BHJP
   B60W 30/12 20200101ALI20240829BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G06T7/00 650A
G06T7/60 200J
B60W30/12
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021557161
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2020057885
(87)【国際公開番号】W WO2020193438
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】1903280
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カンダ, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】クンツ, ジェローム
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0151725(US,A1)
【文献】特開2017-016360(JP,A)
【文献】特開平10-029554(JP,A)
【文献】特開2006-004223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G06T 7/00
G06T 7/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表標示線(16)によって横方向に画定される複数の車線(11、12、13)を含む道路(1)上で走行する自動車の車両(10)の位置決めを制御するための方法であって、
前記車両に取り付けられた少なくとも1つのカメラ(20)からの信号を受信するステップと、
前記地表標示線を検出するように前記カメラによって生成される前記信号を分析するステップと、
地表標示線のタイプの所定の分類に従って、前記車両の現在の車線を横方向に画定する検出された地表標示線のタイプを識別するステップと、
前記車両の前記現在の車線を画定する前記地表標示線のタイプの識別に基づいて前記車両の前記現在の車線の特徴を判断するステップと、
前記現在の車線が、前記車両の走行方向に面する観察者にとって少なくとも最左の車線(13)および最右の車線(11)である特徴を有する場合、前記車両の前記車線の中心軸に対して前記道路の遠位縁(14、15)の方向に前記車両を移行させるように前記車両のその現在の車線での位置決めを制御するステップと、
前記車両と、前記道路の前記遠位縁側に位置する検出された前記地表標示線との間のオフセット距離(D)を維持するステップと、を含み、
前記オフセット距離(D)は、前記車両の速度に基づいて設定可能であることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記現在の車線が中央車線(12)である特徴を有する場合、前記車両の前記車線の前記中心軸に対して前記車両を中心に来させるように前記車両のその車線における位置決めを制御するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オフセット距離(D)は、低速度で、好ましくは、約20m/s以下の前記車両の速度に対して短縮されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記オフセット距離(D)は、前記車両の前記現在の車線の幅(L)と前記車両の幅(l)との間の差異によって定められる安全距離の何分の1かに等しいことを特徴とする、請求項からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記車両の前記現在の車線の前記幅は、前記車両の前記現在の車線を横方向に画定する検出された前記地表標示線の相対位置に基づいて決定されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記地表標示線のタイプの前記所定の分類は、前記地表標示線を形成する線分の連続性または不連続性、前記線分の長さ、および前記線分間の間隔、に関する情報を含むことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
地表標示線によって横方向に画定される複数の車線を含む道路上で走行する自動車の位置決めを制御するためのデバイスであって、
前記車両に取り付けられた少なくとも1つのカメラに結合されるように設計される入力インターフェースと、請求項1からのいずれか一項に記載の方法のステップを実行するように設計される少なくとも1つの処理ユニットと、を含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項8】
少なくとも1つのカメラ、および請求項に記載のデバイスを含むことを特徴とする、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線における自動車の位置決めを制御するための方法およびデバイスに関する。本発明は、自動運転自動車の自律レベルを管理するためのシステムの実装においてとりわけ有利に適用され、これに関して、車両の位置決めをこの環境において確実に制御できることが必須である。
【背景技術】
【0002】
車両をこの車線で位置決めする問題は今日では、運転者がハンドルまたはペダルを作動させることなく、自律運転、すなわち、自動運転が行われる間の段階を可能にする車両の第1の水準の自律の中核である。特に、高速道路および/または高速車線(中央分離帯によって分離される車道)上で、自律または半自律モードで、車両のこの車線における横方向位置決めを制御するための現在の方策は、実質的に車線中央に車両を位置決めすることにある。実際の運転状況では、この方策は、運転者の観点から若干の懸念をもたらす場合がある。具体的には、複数の車線を含む道路上で、走行方向の上流から下流に移動する自律運転段階での車両が、例えば、車両を追い越す場合に、下流を向く観察者にとって最左の車線に位置決めされる時、自律運転段階の車両はさらにまた、特に、追い越される車両がその車線で縫うように進む場合、自律車両のユーザにとって追い越される車両に近過ぎるように見える場合がある。同じように、自律運転段階の車両が同観察者に対して最右の車線上に位置決めされ、かつ別の車両に追い越される時、自律車両のユーザはまた、この他の車両に近過ぎると感じる場合がある。
【0003】
米国特許第8473144号の文献には、周囲の車両を識別することに基づく車両のこの車線上の横方向位置決めを制御するためのシステムが開示されている。より正確には、システムは、車両に近い物体を識別し、それぞれの識別された物体に対して、とりわけ、車両および物体の各速度および移動方向に基づいて車両および物体が横方向に隣接する時間間隔を推定し、上記の時間間隔で車両と識別される物体との間で維持される横方向の安全距離を考慮に入れることによって、車両の軌道を調節するように設計される。しかしながら、この解決策によって、車両が横方向の安全距離を維持するために縫うように進み続けることになる。とりわけ、道路が混雑している道路部分上では、車両は多数の軌道調節がなされる場合があることで、車両の急な方向転換が引き起こされ、これも運転者にとって懸念材料であり得る。また、このシステムは、全体的に、車両近くを移動する物体の検出に基づく。さらに、車両の位置は別として、例えば、車両の加速または減速などの車両の速度およびいくつかの他のパラメータを測定することが必要である。したがって、このシステムは実装するのが比較的複雑である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、実際の運転状況での、とりわけ、自律車両の横方向に隣接して位置している可能性がある他の車両が存在する時のユーザの安全および安心感に関する必要性により良く適しており、かつ実装するのが容易である、自律車両のこの車線における位置決めを制御するための方法を提案することを目的とする。
【0005】
この目的に向けて、本発明は、地表標示線によって横方向に画定される複数の車線を含む道路上で走行する自動車の位置決めを制御するための方法であって、以下の、
車両に取り付けられた少なくとも1つのカメラからの信号を受信するステップと、
上記の地表標示線を検出するようにカメラによって生成される上記の信号を分析するステップと、
地表標示線のタイプの所定の分類に従って、車両の現在の車線を横方向に画定する検出された地表標示線のタイプを識別するステップと、
画定する地表標示線のタイプの識別に基づいて車両の現在の車線の特徴を判断するステップと、
車線が、車両の走行方向に面する観察者にとって少なくとも最左の車線および最右の車線である特徴を有する場合、車両の車線の中心軸に対して道路の遠位縁の方向に車両を移行させるように車両のその現在の車線での位置決めを制御するステップと、を含むことを特徴とする方法に関する。
【0006】
このアプローチにより、車線における適切な位置決めを採用することによって、および、同じ軌道を車両がたどり続けることによって、たとえ車両の周囲に物体が存在しても、とりわけ、他の車両がすぐ近くを移動していても、車両のこの車線における横方向位置決めを制御することが可能である。さらに、本発明の方法は、大抵の車両に既に存在しかつ該方法を実施するための信号の使用が単にアルゴリズム的であるカメラの使用のみを必要とし、これは実装の容易さおよび費用に関してとりわけ有利である。
【0007】
有利には、現在の車線が中央車線である特徴を有する場合、方法は、車両の車線の中心軸に対して車両を中心に来させるように車両のこの車線における位置決めを制御するステップを含む。
【0008】
有利には、方法は、車両と、道路の遠位縁側に位置する検出された地表標示線との間の予め定められたオフセット距離を維持するステップを含む。
【0009】
好ましくは、上記のオフセット距離は、車両の速度に基づいて設定可能であってよい。
【0010】
有利には、上記のオフセット距離は、低速度で、好ましくは、およそ20m/s以下の車両の速度に対して短縮される。
【0011】
好ましくは、上記のオフセット距離は、車両の現在の車線の幅と車両の幅との間の差異によって定められる安全距離の何分の1かに等しい。
【0012】
有利には、車両の現在の車線の幅は、車両の車線を横方向に画定する検出された地表標示線の相対位置に基づいて決定される。
【0013】
有利には、地表標示線のタイプの所定の分類は、地表標示線を形成する線分の連続性または不連続性、線分の長さ、および線分間の間隔、に関する情報を含む。
【0014】
本発明はまた、地表標示線によって横方向に画定される複数の車線を含む道路上で走行する自動車の位置決めを制御するためのデバイスであって、該車両に取り付けられた少なくとも1つのカメラに結合されるように設計される入力インターフェースと、上述されるような方法のステップを実行するように設計される少なくとも1つの処理ユニットと、を含むことを特徴とするデバイスに関する。
【0015】
本発明はまた、少なくとも1つのカメラ、および上述されるようなデバイスを含むことを特徴とする自動車に関する。
【0016】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、表示の目的でいずれの限定もなく以下に挙げられるこれらの説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】さまざまなシナリオに対して、車両のこの車線の位置決めのための制御方法の1つの例示の実装形態を概略的に示す図である。
図2】車線を横方向に画定する可能性がある地表標示線のさまざまなタイプの1つの例を概略的に示す図である。
図3】本発明による制御デバイスを概略的に示す図である。
図4】車両の速度に基づいて車線における車両のオフセットの1つの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、この例では3つの車線を含む道路1の一部を示す。この3つの車線はそれぞれ、右側車線11と呼ばれる最も右に位置する車線、中央車線12、および左側車線13と呼ばれる最も左に位置する車線である。右側車線11は、走行方向における下流に面する観察者に対して中央車線12の右側バンク上に位置しており、左側車線13は、同じ観察者に対して中央車線12の左側バンクに位置しており、これらの車線上で、上流から下流に移動している車両10が走行している可能性がある。図1の例による3つの車線を有する道路1は、2つの対向する遠位縁によって横方向に画定される。該遠位縁はそれぞれ、右側車線11の右側バンク上に位置する路肩14によって形成される遠位縁、および左側車線13の左側バンク上に位置する中央分離帯15によって形成される遠位縁である。また、道路1の車線11、12、および13のそれぞれは、地表標示線16によって左および右に横方向に画定される。
【0019】
出発点として、それぞれの車線を画定する地表標示線のタイプに応じて、車両がある正確な車線を判断することが可能であることに注目する。この情報に基づいて、以下により詳細に説明されるように、車両をこの車線で多かれ少なかれ移行させるための適切なオフセットは、具体的には、車両の周囲に存在する物体に関わらず、ユーザに対して自律モードの容認性を促進できる車両の位置決めを保証するように提供されることになる。
【0020】
したがって、本発明は、車線のそれぞれの両側に横方向に配置される地表標示線を検出することで、これらの検出された地表標示線を識別することによって、車両がある正確な車線を判断できるようにする。この目的に向けて、車両10は、例えば、車両の前の方に位置しているカメラ20を備える。この場合、該カメラは、車両の前に位置するシーンを観察することができるように、車両の屋根との接合部において、フロントガラスの上部に配置されることが好ましい。有利には、例えば、Mobileye(登録商標)システムなど、ある特定の車両に取り付けられる障害物検出システムによって使用され、かつ車両の横方向制御に使用されるような、関連する画像処理機能を有する、車両のフロントガラスに設置される正面カメラを使用することが可能である。
【0021】
図2は、車線を横方向に画定する可能性がある地表標示線のさまざまなタイプの分類を示す。地表標示線のさまざまな既知のタイプを区別するための具体的な特徴は、とりわけ、これらの車線を形成する線分の連続性または不連続性、線分の長さ、およびこれら線分の間の間隔に関する。よって、道路の2つの走行方向を画定する中央分離帯側に位置する最左の車線について、この車線を隣接する中央分離帯から横方向に画定する地表標示線は例えば、図2における車線T1など、それぞれが、3mの長さ、およびこれらの間で10mの規則的な間隔を有する不連続の線分から成る線、または、連続した線分の線のどちらかであってよい。中央車線について、この車線を両側で画定する地表標示線は、例えば、図2に示される線T1、T’1、またはT3などの不連続の線から成り得る。最後に、路肩側に位置する最右の車線について、この車線を路肩から横方向に画定する地表標示線は、例えば、図2に示される線T2、T’3、またはT4などの不連続の線から成り得る。換言すれば、この分類によって、地表標示線のさまざまなタイプの具体的な特徴に基づいて、左側車線、中央車線、または右側車線の中から車線を判断することができる。
【0022】
よって、車両の前部に搭載されているカメラによって生成される信号に基づいて、カメラと関連付けられかつそれ自体が既知である画像処理アルゴリズムを使用して、車両の左および右に位置する地表標示線のタイプを識別し、地表標示線のタイプの分類に基づいて、車両がある車線が、左側車線、中央車線、または右側車線の中から判断される。
【0023】
加えて、車両の両側の、カメラによって検出された地表標示線の位置に基づいて、車両がある車線の幅Lが判断される。そのように判断される車線幅に基づいて、以下に詳細に説明されるように、車両をこの車線において位置決めするために使用されることになる安全距離が算出される。この安全距離は好ましくは、カメラによって生成される信号から判断される車線幅Lと、車両1の幅との間の差異であるように定められ、これはシステムによって既知の情報である。この安全距離情報のみならず、カメラによって生成される信号から先のステップで判断されるような車両の車線に関する情報はさらにまた、車両のこの車線における位置決めを制御するために使用されることになる。
【0024】
図3は、本発明の1つの実施形態による方法を実施するように設計される手段を含むデバイスを示す。デバイス1は、カメラ20から画像信号を受信し、かつ地表標示線のタイプを認識しかつ識別するために画像処理動作を実行するように設計される第1の処理ユニット30を含む。この画像処理によって、上に説明されるように、車両がある車線、また、この車線の幅を、ひいては安全距離を推定することが可能である。第1の処理ユニット30はまた、車両の速度を測定するように設計されるセンサ40によって提供される信号を受信する。第1の処理ユニット30は例えば、車両に取り付けられる、一般的にADAS(先進運転支援システムの頭字語)と呼ばれる、搭載される運転支援システムにおいて使用されるコンピュータであってよい。
【0025】
一般的に言えば、画像信号を使用すること、および車両が道路の最左の車線または最右の車線にある地表標示線のタイプを識別することから明らかになる場合、第1の処理ユニット30は、車線の中心軸に対して道路の遠位縁の方向に車両を移行させるように、車線における車両の位置決めを制御するように設計される。この場合、車両のこの車線における位置決めは、車両と、道路の遠位縁側に位置する地表標示線との間のオフセット距離を実質的に一定のままにすることによって車両をこの車線において中心から外すように制御され、このオフセット距離は好ましくは、先に算出される安全距離の何分の1かに等しい。
【0026】
他方では、車両がある車線が中央車線であると判断される場合、第1の処理ユニット30は、車線における車両が中心に来るように車両の位置決めを制御するように設計される。
【0027】
車両の位置決めを制御するために、第1の処理ユニット30は、例えば、車両の電動式ステアリングを担うコンピュータである第2の処理ユニット50と協働する。このコンピュータは、上に説明されるシナリオに応じて、第1の処理ユニット30から制御指令を受信して、車両をこの車線において移行させるまたは中央に来るように車両のステアリングに作用する。
【0028】
よって、図1の例によると、車両10が右側車線11上で走行している場合、車両の位置決めは、路肩14によってここで形成される道路の遠位縁の方向に車線11において車両を中心から外すように、および、車両を、路肩14側に位置する地表標示線16に対するオフセット距離Dで保つように制御され、このオフセット距離Dは例えば、安全距離の1/3に等しくなるように選定される。この場合、車両10と、右側車線11を隣接する中央車線12に対して画定する対向する地表標示線16との間の距離は、安全距離の2/3で保たれる。
【0029】
同じように、車両10が左側車線13上で走行している場合、車両の位置決めは、中央分離帯15によってここで形成される道路の遠位縁の方向に車線11において車両を中心から外すように、および、車両を、中央分離帯15側に位置する地表標示線16に対して、例えば、安全距離の1/3に等しくなるように選定されるオフセット距離Dで保つように制御される。よって、車両10と、左側車線13を隣接する中央車線12に対して画定する対向する地表標示線16との間の距離は、安全距離の2/3で保たれる。
【0030】
最後に、車両が中央車線12上で走行している場合、位置決めは、車線の中央に車両があるように、および、中央車線12を両側で画定する地表標示線16のそれぞれに対して安全距離の半分に対応するオフセット距離Dで車両を保つように制御される。
【0031】
この方策によって、すぐそばを移動している他の車両とは無関係に、車両のこの車線における位置決めを調節することができ、それによって、過剰に軌道を変動させることのない柔軟な運転が可能になる。また、車両の車線に関わらず、車両の位置決めを制御することによってもたらされるオフセット距離によって、車両に近い隣接する側方領域に位置する、追い越すまたは追い越される別の車両に対して十分許容できる安全マージンを残すことが可能である。オフセット距離によってもたらされるこのマージンによって、ユーザに対して自律モードで車両を運転する容認性を促進することが可能であるのと同時に、安全性を保証することが可能である。
【0032】
特定の実施形態によると、車両が、左側車線、すなわち、中央分離帯に隣接する車線、または、右側車線、すなわち、路肩に隣接する車線に位置する時、車両の速度に基づいて設定可能である、車両のこの車線におけるオフセット距離が提供され得る。とりわけ、低速度で、典型的には、およそ20m/s未満の車両速度に対して、道路の縁部側に位置する地表標示線の方向へと車両をさらに移行させるように、換言すれば、この線に対して維持されるオフセット距離を短縮するようにできる。この方策によって、例えば、自転車に乗る人が通れるより広い間隙を残すことが可能になる。
【0033】
図4は、車両の速度に基づいて、車両のこの車線における位置決めを制御する1つの例を示す。この例では、車両は、2.128mに等しい幅を有し、かつ左側車線で走行しており、上記の車線は3.50mの幅を有する。したがって、1.372mに等しい安全距離がある。この例によると、20m/s未満の車両速度について、左側車線を横方向に画定する地表標示線に対する車両のオフセット距離は、安全距離の1/4に、すなわち、0.34mに設定され、さらにまた、実質的に20m/s~40m/sの速度について、このオフセット距離は、安全距離の1/3、すなわち、0.46mに増大し、最後に、40m/s以上の速度について、このオフセット距離は、安全距離の半分、すなわち、この例では0.69mに設定される。
図1
図2
図3
図4