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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】加熱可能なフロントガラス
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20240829BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20240829BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20240829BHJP
   C03C 17/36 20060101ALI20240829BHJP
   G02B 1/115 20150101ALI20240829BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20240829BHJP
【FI】
B32B15/08 Z
B32B7/025
B32B9/00 A
C03C17/36
G02B1/115
G02B1/14
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021557618
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-30
(86)【国際出願番号】 US2020024957
(87)【国際公開番号】W WO2020198471
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-01-10
(31)【優先権主張番号】62/825,326
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/976,645
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518301590
【氏名又は名称】ビトロ フラット グラス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マ、チーシュン
(72)【発明者】
【氏名】ポルシン、アダム、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー、アンドリュー
【審査官】川井 美佳
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-504583(JP,A)
【文献】特表2009-502703(JP,A)
【文献】米国特許第09599752(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2007/0020465(US,A1)
【文献】特表2015-506331(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0004383(US,A1)
【文献】特表2010-536707(JP,A)
【文献】米国特許第08025957(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2018/0297322(US,A1)
【文献】特開平10-217378(JP,A)
【文献】米国特許第06045896(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C03C 15/00-23/00
G02B 1/115
G02B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材
前記基材の少なくとも一部分の上第1の誘電層
前記第1の誘電層の少なくとも一部分の上第1の金属層であって、前記第1の金属層は、少なくとも90Å且つ最大140Åの厚さを有する、第1の金属層と
前記第1の金属層の少なくとも一部分の上の、チタンを含む第1のプライマー層
前記第1のプライマー層の少なくとも一部分の上第2の誘電層であって、前記第2の誘電層は、スズ酸亜鉛膜を含む、第2の誘電層と
前記第2の誘電層の少なくとも一部分の上第2の金属層であって、前記第2の金属層は、少なくとも110Å且つ最大140Åの厚さを有する、第2の金属層と
前記第2の金属層の少なくとも一部分の上の、チタンを含む第2のプライマー層
前記第2のプライマー層の少なくとも一部分の上第3の誘電層であって、前記第3の誘電層は、スズ酸亜鉛膜を含む、第3の誘電層と
前記第3の誘電層の少なくとも一部分の上第3の金属層であって、前記第3の金属層は、少なくとも90Å且つ最大150Åの厚さを有する、第3の金属層と
前記第3の金属層の少なくとも一部分の上の、チタンを含む第3のプライマー層と;
前記第3のプライマー層の少なくとも一部分の上第4の誘電層であって、前記第4の誘電層は、スズ酸亜鉛膜を含む、第4の誘電層と
を含むコーティング物品であって、
前記第1の金属層の厚さは、前記第2の金属層の厚さよりも薄く、 前記コーティング物品は、3つの金属層からなり、
前記3つの金属層の合計厚さが、少なくとも38ナノメートル且つ43ナノメートル以下である、コーティング物品。
【請求項2】
前記金属層の少なくとも1つが、銀、銅、金、アルミニウム、その混合物又はその合金のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコーティング物品。
【請求項3】
最外側保護コーティングをさらに含む、請求項1又は2に記載のコーティング物品。
【請求項4】
少なくとも70%の可視光透過率を有する、請求項1からまでのいずれか一項に記載のコーティング物品。
【請求項5】
基材
前記基材の少なくとも一部分の上第1の誘電層
前記第1の誘電層の少なくとも一部分の上第1の金属層であって、前記第1の金属層は、少なくとも90Å且つ最大140Åの厚さを有する、第1の金属層と
前記第1の金属層の少なくとも一部分の上の、チタンを含む第1のプライマー層
前記第1のプライマー層の少なくとも一部分の上第2の誘電層であって、前記第2の誘電層は、スズ酸亜鉛膜を含む、第2の誘電層と
前記第2の誘電層の少なくとも一部分の上第2の金属層であって、前記第2の金属層は、少なくとも110Å且つ最大140Åの厚さを有する、第2の金属層と
前記第2の金属層の少なくとも一部分の上の、チタンを含む第2のプライマー層
前記第2のプライマー層の少なくとも一部分の上第3の誘電層であって、前記第3の誘電層は、スズ酸亜鉛膜を含む、第3の誘電層と
前記第3の誘電層の少なくとも一部分の上第3の金属層であって、前記第3の金属層は、少なくとも90Å且つ最大150Åの厚さを有する、第3の金属層と
前記第3の金属層の少なくとも一部分の上の、チタンを含む第3のプライマー層と;
前記第3のプライマー層の少なくとも一部分の上第4の誘電層であって、前記第4の誘電層は、スズ酸亜鉛膜を含む、第4の誘電層と
を含むコーティング物品であって、
前記第1の金属層の厚さは、前記第2の金属層の厚さよりも薄く、
前記コーティング物品は、3つの金属層からなり、
前記3つの金属層の合計厚さが、少なくとも38ナノメートル且つ43ナノメートル以下であり、
前記コーティング物品は、0.85Ω/□以下のシート抵抗を有する、コーティング物品。
【請求項6】
前記シート抵抗が0.7Ω/□以下である、請求項に記載のコーティング物品。
【請求項7】
前記金属層の少なくとも1つが、銀、銅、金、アルミニウム、その混合物又はその合金のうちの少なくとも1つを含む、請求項又はに記載のコーティング物品。
【請求項8】
最外側保護コーティングをさらに含む、請求項からまでのいずれか一項に記載のコーティング物品。
【請求項9】
第1の表面及び第2の表面を含む第1の基材
前記第1の基材の少なくとも一部分の上、第3の表面及び第4の表面を含む第2の基材であって、
前記第2の表面が、前記第3の表面に面して配置され、
前記第2及び第3の表面が中間層によって分離された、第2の基材
前記第2又は前記第3の表面のいずれかの上に配置された機能性コーティング
を含むコーティング物品であって、前記機能性コーティングが、
前記表面の少なくとも一部分の上第1の誘電層
前記第1の誘電層の少なくとも一部分の上第1の金属層であって、前記第1の金属層は、少なくとも90Å且つ最大140Åの厚さを有する、第1の金属層と
前記第1の金属層の少なくとも一部分の上の、チタンを含む第1のプライマー層
前記第1のプライマー層の少なくとも一部分の上第2の誘電層であって、前記第2の誘電層は、スズ酸亜鉛膜を含む、第2の誘電層と
前記第2の誘電層の少なくとも一部分の上第2の金属層であって、前記第2の金属層は、少なくとも110Å且つ最大140Åの厚さを有する、第2の金属層と
前記第2の金属層の少なくとも一部分の上の、チタンを含む第2のプライマー層
前記第2のプライマー層の少なくとも一部分の上第3の誘電層であって、前記第3の誘電層は、スズ酸亜鉛膜を含む、第3の誘電層と
前記第3の誘電層の少なくとも一部分の上第3の金属層であって、前記第3の金属層は、少なくとも90Å且つ最大150Åの厚さを有する、第3の金属層と
前記第3の金属層の少なくとも一部分の上の、チタンを含む第3のプライマー層と;
前記第3のプライマー層の少なくとも一部分の上第4の誘電層であって、前記第4の誘電層は、スズ酸亜鉛膜を含む、第4の誘電層と
を含み、
前記コーティング物品は、3つの金属層からなり、
前記3つの金属層の合計厚さが、少なくとも38ナノメートル且つ43ナノメートル以下であり、
前記コーティング物品が、少なくとも70%の可視光透過率を有する、コーティング物品。
【請求項10】
20%以下の可視光反射率を有する、請求項に記載のコーティング物品。
【請求項11】
前記金属層の少なくとも1つが、銀、銅、金、アルミニウム、その混合物又はその合金のうちの少なくとも1つを含む、請求項9又は10に記載のコーティング物品。
【請求項12】
最外側保護コーティングをさらに含む、請求項から11までのいずれか一項に記載のコーティング物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、その開示が参照により援用される2020年2月14日に出願された米国仮出願第62/976,645号及び2019年3月28日に出願された米国仮出願第62/825,326号への優先権を有し、これを主張する。
【0002】
本発明は、一般に、車両の透明材、例えば、車両のフロントガラス及び特定の一実施例では、加熱可能な車両フロントガラスに関する。
【背景技術】
【0003】
技術的考察
積層された車両フロントガラス上で導体を通して電流が流れると、フロントガラスの温度が上昇する。これは、フロントガラスの防曇、並びに融氷及び/又は融雪のために、より寒冷な気候で特に有用である。ワイヤ加熱フロントガラスにおいて、電気伝導性のファインワイヤが、フロントガラスプライ間に設置される。ワイヤは、従来の14ボルト車両用交流発電機などの電源に接続される。ワイヤは、1平方デシメートル当たり5~7ワット(W/dm)の電力密度を有するフロントガラスを提供するのに十分低い抵抗を有する。
【0004】
ワイヤ加熱フロントガラスの問題は、車両の搭乗者にワイヤが見えることがあることであり、これは審美的に望ましくなく、フロントガラスを通した視認性を阻害し得る。ワイヤの視認性を低減するためにワイヤの直径が低減される場合、所望の電力密度を維持するためにはワイヤの数を増加させなくてはならず、これにより、フロントガラスによる全日射エネルギー透過(TSET:total solar energy transmitted)が不都合に減少する。フロントガラスの高さが増加すると、所望の電力密度を維持するためにはワイヤはより長くなくてはならない。より長いワイヤもまた、審美性及び/又は透過率の点で望ましくない。
【0005】
一部の加熱フロントガラスは、ワイヤではなく透明導電性コーティングを使用する。しかしながらこれらのコーティングは、それ自体欠点を有する。例えば、従来の加熱フロントガラスコーティングは、典型的には、2オームパースクエア(Ω/□)以上のシート抵抗を有する。従来の14v(80アンペア、1,120ワット)交流発電機は、従来の加熱フロントガラスコーティングを除氷に十分な温度に電力供給するのに十分な電圧を提供しない。したがって、これらのコーティングを有する車両について、車両は、利用可能な電圧を増加させるように作り変えられなくてはならない。例えば、交流発電機は、42v交流発電機と交換されてもよく、又はDC-DC変換器を追加して、14v交流発電機からの電圧を上げてもよい。しかしながらこれらの解決法は、車両電気系のコスト及び複雑さを増加させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第4,466,562号
【文献】米国特許第4,671,155号
【文献】米国特許第4,746,347号
【文献】米国特許第4,792,536号
【文献】米国特許第5,030,593号
【文献】米国特許第5,030,594号
【文献】米国特許第5,240,886号
【文献】米国特許第5,385,872号
【文献】米国特許第5,393,593号
【文献】米国特許第4,287,107号
【文献】米国特許第3,762,988号
【文献】米国特許第5,796,055号
【文献】米国特許第4,379,040号
【文献】米国特許第4,861,669号
【文献】米国特許第4,898,789号
【文献】米国特許第4,898,790号
【文献】米国特許第4,900,633号
【文献】米国特許第4,920,006号
【文献】米国特許第4,938,857号
【文献】米国特許第5,328,768号
【文献】米国特許第5,492,750号
【文献】米国特許出願第10/007,382号
【文献】米国特許出願第10/133,805号
【文献】米国特許出願第10/397,001号
【文献】米国特許出願第10/422,094号
【文献】米国特許出願第10/422,095号
【文献】米国特許出願第10/422,096号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、従来の加熱可能な透明材に関連する問題の少なくとも一部を低減又は排除する透明材を提供することが望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、コーティングスタックに金属銀層を追加することによってコーティング透明材のシート抵抗を低下させることを対象とする。具体的には、コーティングスタック内の銀の総量は、30nm~60nm;35~47nm;35~43nm、又は40~47nmである。銀厚が増加するにつれて、シート抵抗は低下する。しかしながら、コーティングの銀層の総厚さが厚すぎる場合、透過率は70%未満に低下し、これは許容されない。さらに、総銀厚さが厚すぎる場合、ガラスの色が赤色に見え、これは望ましくない。したがって、本発明は、14v交流発電機による除氷を可能にするシート抵抗を提供するのに十分な厚さの総銀を有し、70%超、好ましくは70.5%超、より好ましくは71%超の光透過率を有するコーティングスタックを対象とする。
【0009】
本発明は、基材を含むコーティング物品に関する。コーティング物品は、基材の上に配置された少なくとも1つの誘電層、及び少なくとも1つの金属層でコーティングされる。少なくとも1つの金属層は、少なくとも30nm且つ60nm以下;少なくとも35nm且つ47nm以下;少なくとも35nm且つ43nm以下、又は少なくとも40且つ47nm以下の合計厚さを有する。
【0010】
本発明は、コーティング物品に関する。コーティング物品は、基材を含む。第1の誘電層が、基材の少なくとも一部分の上に配置される。第1の金属層が、第1の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の誘電層が、第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の金属層が、第2の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第3の誘電層が、第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。第3の金属層が、第3の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第4の誘電層が、第3のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。金属層の合計厚さは、少なくとも30nm且つ60nm以下である。本発明は、場合により、第4の誘電層の上に配置された第4の金属層、及び第4の金属層の少なくとも一部分の上に配置された第5の誘電層をさらに含み得る。
【0011】
別の実施例では、本発明は、コーティング物品に関する。コーティング物品は、基材を含む。第1の誘電層が、基材の少なくとも一部分の上に配置される。第1の金属層が、第1の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第1のプライマー層が、第1の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の誘電層が、第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の金属層が、第2の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第2のプライマー層が、第2の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第3の誘電層が、第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。第3の金属層が、第3の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第3のプライマー層が、第3の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第4の誘電層が、第3のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。金属層の合計厚さは、少なくとも30nm且つ60nm以下である。本発明は、場合により、第4の誘電層の上に配置された第4の金属層、第4の金属層の上に配置された第4のプライマー層、及び第4のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置された第5の誘電層をさらに含み得る。
【0012】
別の実施例では、本発明は、コーティング物品に関する。コーティング物品は、基材を含む。第1の誘電層が、基材の少なくとも一部分の上に配置される。第1の金属層が、第1の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の誘電層が、第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の金属層が、第2の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第3の誘電層が、第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。第3の金属層が、第3の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第4の誘電層が、第3のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。物品は、0.850オームパースクエア以下のシート抵抗を有する。本発明は、場合により、第4の誘電層の上に配置された第4の金属層、及び第4の金属層の少なくとも一部分の上に配置された第5の誘電層をさらに含み得る。
【0013】
別の実施例では、本発明は、コーティング物品に関する。コーティング物品は、基材を含む。第1の誘電層が、基材の少なくとも一部分の上に配置される。第1の金属層が、第1の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第1のプライマー層が、第1の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の誘電層が、第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の金属層が、第2の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第2のプライマー層が、第2の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第3の誘電層が、第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。第3の金属層が、第3の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第3のプライマー層が、第3の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第4の誘電層が、第3のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。物品は、0.850オームパースクエア以下のシート抵抗を有する。本発明は、場合により、第4の誘電層の上に配置された第4の金属層、第4の金属層の上に配置された第4のプライマー層、及び第4のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置された第5の誘電層をさらに含み得る。
【0014】
別の実施例では、本発明は、コーティング物品に関する。コーティング物品は、第1の表面及び第2の表面を有する第1の基材を含む。第3の表面及び第4の表面を含む第2の基材が、第1の基材の少なくとも一部分の上に配置される。コーティングは、第2の表面又は第3の表面のいずれかの上に配置される。コーティングは、第2の表面又は第3の表面の少なくとも一部分の上に配置された第1の誘電層を有する。第1の金属層が、第1の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の誘電層が、第1の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の金属層が、第2の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第3の誘電層が、第2の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第3の金属層が、第3の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。コーティング基材は、10%以下の可視光反射率を有する。本発明は、場合により、第4の誘電層の上に配置された第4の金属層、及び第4の金属層の少なくとも一部分の上に配置された第5の誘電層をさらに含み得る。
【0015】
別の実施例では、本発明は、コーティング物品に関する。コーティング物品は、第1の表面及び第2の表面を有する第1の基材を含む。第3の表面及び第4の表面を含む第2の基材が、第1の基材の少なくとも一部分の上に配置される。コーティングは、第2の表面又は第3の表面のいずれかの上に配置される。コーティングは、第2の表面又は第3の表面の少なくとも一部分の上に配置された第1の誘電層を有する。第1の金属層が、第1の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第1のプライマー層が、第1の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の誘電層が、第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の金属層が、第2の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第2のプライマー層が、第2の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第3の誘電層が、第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。第3の金属層が、第3の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第3のプライマー層が、第3の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第4の誘電層が、第3のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。コーティング基材は、10%以下の可視光反射率を有する。本発明は、場合により、第4の誘電層の上に配置された第4の金属層、第4の金属層の上に配置された第4のプライマー層、及び第4のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置された第5の誘電層をさらに含み得る。
【0016】
別の実施例では、本発明は、コーティング物品に関する。コーティング物品は、基材を含む。第1の誘電層が、基材の少なくとも一部分の上に配置される。第1の金属層が、第1の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の誘電層が、第1の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の金属層が、第2の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。金属層の合計厚さは、少なくとも38ナノメートル且つ60ナノメートル以下である。
【0017】
別の実施例では、本発明は、コーティング物品に関する。コーティング物品は、基材を含む。第1の誘電層が、基材の少なくとも一部分の上に配置される。第1の金属層が、第1の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第1のプライマー層が、第1の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の誘電層が、第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の金属層が、第2の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第2のプライマー層が、第2の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。金属層の合計厚さは、少なくとも30nm且つ60nm以下である。
【0018】
本発明を、全体を通して同様の参照番号が同様の部品を示す以下の図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1a図1aは、本発明による非限定的なコーティングの横断面図(縮尺なし)である。
図1b図1bは、本発明による非限定的なコーティングの横断面図(縮尺なし)である。
図2a図2aは、本発明による非限定的なコーティングの横断面図(縮尺なし)である。
図2b図2bは、本発明による非限定的なコーティングの横断面図(縮尺なし)である。
図3a図3aは、本発明による非限定的なコーティングの横断面図(縮尺なし)である。
図3b図3bは、本発明による非限定的なコーティングの横断面図(縮尺なし)である。
図4a図4aは、本発明による非限定的なコーティングの横断面図(縮尺なし)である。
図4b図4bは、本発明による非限定的なコーティングの横断面図(縮尺なし)である。
図5a図5aは、本発明による非限定的な第1の誘電層実施例の横断面図(縮尺なし)である。
図5b図5bは、本発明による非限定的な第1の誘電層実施例の横断面図(縮尺なし)である。
図6a図6aは、本発明による非限定的な第2の誘電層の横断面図(縮尺なし)である。
図6b図6bは、本発明による非限定的な第2の誘電層の横断面図(縮尺なし)である。
図6c図6cは、本発明による非限定的な第2の誘電層の横断面図(縮尺なし)である。
図6d図6dは、本発明による非限定的な第2の誘電層の横断面図(縮尺なし)である。
図7a図7aは、本発明による非限定的な第3の誘電層の横断面図(縮尺なし)である。
図7b図7bは、本発明による非限定的な第3の誘電層の横断面図(縮尺なし)である。
図7c図7cは、本発明による非限定的な第3の誘電層の横断面図(縮尺なし)である。
図7d図7dは、本発明による非限定的な第3の誘電層の横断面図(縮尺なし)である。
図8a図8aは、本発明による非限定的な第4の誘電層実施例の横断面図(縮尺なし)である。
図8b図8bは、本発明による非限定的な第4の誘電層実施例の横断面図(縮尺なし)である。
図8c図8cは、本発明による非限定的な第4の誘電層実施例の横断面図(縮尺なし)である。
図8d図8dは、本発明による非限定的な第4の誘電層実施例の横断面図(縮尺なし)である。
図9a図9aは、本発明による非限定的な第5の誘電層実施例の横断面図(縮尺なし)である。
図9b図9bは、本発明による非限定的な第5の誘電層実施例の横断面図(縮尺なし)である。
図10図10は、本発明の特徴を組み込むフロントガラスの概略図(縮尺なし)である。
図11図11は、図11の線II-IIに沿って取ったフロントガラスの拡大図(縮尺なし)である。
図12図12は、本発明の特徴を組み込む別のフロントガラスの概略図(縮尺なし)である。
図13図13は、表面での膜成長の初期核形成を示す図である。
図14A図14Aは、ヘッドアップディスプレイを使用した場合に生じるゴースト現象効果を示すフロントガラスを示す図である。
図14B図14Bは、ヘッドアップディスプレイを使用した場合に生じるゴースト現象効果を示すフロントガラスを示す図である。
図15図15は、ヘッドアップディスプレイにおけるゴースト現象を低減するように配置されたコーティングを有するフロントガラスを示す図である。
図16図16は、ヘッドアップディスプレイに有用な本発明によるコーティングの実例を示す図である。
図17図17は、本発明による非限定的なコーティングの横断面図(縮尺なし)である。
図18図18は、ヘッドアップディスプレイに有用な本発明によるコーティングの実例を示す図である。
図19図19は、ヘッドアップディスプレイに有用な本発明によるコーティングの実例を示す図である。
図20図20は、ヘッドアップディスプレイに有用な本発明によるコーティングの実例を示す図である。
図21図21は、ヘッドアップディスプレイに有用な本発明によるコーティングの実例を示す図である。
図22図22は、ヘッドアップディスプレイに有用な本発明によるコーティングの実例を示す図である。
図23図23は、ヘッドアップディスプレイに有用な本発明によるコーティングの実例を示す図である。
図24図24は、特定の色及び透過率品質を有する本発明によるコーティングの実例を示す図である。
図25図25は、図24からの例示的なコーティングの色票である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書で使用される場合、空間又は方向を示す用語、例えば、「左」、「右」、「内側」、「外側」、「上」、「下」などは、それが図面に示される通りに本発明に関する。しかしながら、本発明は種々の代替の向きを想定することができ、したがって、そのような用語は限定とはみなされないことが理解される。さらに、本明細書で使用される場合、本明細書及び特許請求の範囲で使用される寸法、物理特性、処理パラメーター、成分の量、反応条件などを示すすべての数は、すべての場合において用語「約」で修飾されていると理解される。したがって、逆のことが示されない限り、以下の明細書及び特許請求の範囲で示される数値は、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変動し得る。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定しようとすることなく、各数値は、少なくとも報告された有効桁の数に照らし、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。さらに、本明細書で開示されるすべての範囲は、範囲の開始値及び終了値、並びに範囲に包含される任意且つすべての部分範囲を包含することが理解される。例えば、「1~10」の述べられた範囲は、最小値1と最大値10との間(1と10を含む)任意且つすべての部分範囲、つまり、最小値1以上で開始し、最大値10以下で終了するすべての部分範囲、例えば、1~3.3、4.7~7.5、5.5~10などを含むとみなされるべきである。さらに、本明細書で使用される場合、「上に形成された」、「上に堆積された」又は「上に設けられた」という用語は、表面に形成、堆積又は設けられていることを意味するが、必ずしも表面と接触しているとは限らない。例えば、基材の「上に形成された」コーティング層は、形成されたコーティング層と基材との間に位置する同じ又は異なる組成物の1又は複数の他のコーティング層又は膜の存在を除外しない。本明細書で使用される場合、「ポリマー」又は「高分子」という用語は、オリゴマー、ホモポリマー、コポリマー及びターポリマー、例えば、2種以上のモノマー又はポリマーから形成されたポリマーを含む。「可視領域」又は「可視光」という用語は、380nm~800nmの範囲の波長を有する電磁放射線を指す。「赤外領域」又は「赤外線」という用語は、800nm超~100,000nmの範囲の波長を有する電磁放射線を指す。「紫外領域」又は「紫外線」という用語は、300nm~380nm未満の範囲の波長を有する電磁エネルギーを意味する。さらに、これらに限定されないが本明細書で言及される発行済特許及び特許出願などのすべての文献は、それらの全体が「参照により援用される」とみなされる。本明細書で使用される場合、「膜」という用語は、所望の又は選択されたコーティング組成物のコーティング領域を指す。「層」は1つ又は複数の「膜」を含み得、「コーティング」又は「コーティングスタック」は1つ又は複数の「層」を含み得る。ケイ素は慣用的には金属とみなされないことがあるが、「金属」及び「金属酸化物」という用語は、それぞれケイ素及びシリカ、並びに伝統的に認識される金属及び金属酸化物を含む。反対のことが示されない限り、厚さ値は幾何学的厚さ値である。
【0021】
本発明の議論は、特定の特徴を「特に」又は「好ましくは」特定の限定内(例えば、「好ましくは」、「より好ましくは」又は「最も好ましくは」特定の限定内)であるとして記載することがある。本発明は、これらの特定の又は好ましい限定に限定されず、本開示の全範囲を包含することが理解される。
【0022】
本発明の特徴を組み込む非限定的な加熱可能な透明材100(例えば、自動車フロントガラス)が、図10及び11に示される。透明材10は、任意の所望の可視光、赤外線又は紫外線透過及び反射を有し得る。例えば、透明材100は、任意の所望量、例えば0%超~100%、例えば70%超の可視光透過を有し得る。米国においてフロントガラス及びフロントサイドライト領域について、可視光透過は、典型的には70%以上である。後部座席サイドライト及びリアウインドウなどのプライバシー領域について、可視光透過は、フロントガラスについてのものよりも低く、例えば70%未満であり得る。
【0023】
図11に見られる通り、透明材100は、車両外部に面する第1の主表面、すなわち外側主表面14(No.1表面)及び反対側の第2の又は内側主表面16(No.2表面)を有する第1のプライ又は第1の基材12を含む。透明材100はまた、外側(第1の)主表面112(No.4表面)及び内側(第2の)主表面114(No.3表面)を有する第2のプライ又は第2の基材110を含む。プライ表面のこの付番は、自動車分野における慣例をふまえている。第1及び第2のプライ12、110は、従来の中間層108によるなどの任意の好適な方法で一緒に結合され得る。必須ではないが、任意の所望の方法での積層の間及び/又は後に、積層された透明材10の周囲に従来の端部シーラントを適用することができる。装飾バンド、例えば、不透明、半透明又は着色シェードバンド102(図11に示される)、例えばセラミックバンドを、プライ12、110の少なくとも一方の表面に、例えば、第1のプライ12の内側主表面16の周囲に設けることができる。電気伝導性コーティング10は、プライ12、110の少なくとも一部分の上に、例えば、No.2表面16又はNo.3表面114の上に形成される。バスバーアセンブリ120(図10)は、導電性コーティング10と電気接触している。バスバーアセンブリ120はまた、電力源122(図10)に接続されており、以下でより詳細に議論される。本発明の非限定的な一実施例では、電源122は、例えばおよそ14ボルトを供給するように構成された、従来の車両用交流発電機であり得る。したがって、本発明の非限定的な一実施例の実施において、DC-DC電力変換器は存在しない。非限定的な一実施例では、電源38は42ボルトDC交流発電機であり得、又はDC-DC変換器が追加されて、14ボルト交流発電機からの電圧が十分なレベル、例えば42ボルトDCに上げられ得る。
【0024】
本発明の広範な実施では、透明材100のプライ12、110は、同じ又は異なる材料のものであり得る。プライ12、110は、任意の所望の特性を有する任意の所望の材料を含み得る。例えば、プライ12、110の1つ又は複数は、可視光に対して透明又は半透明であり得る。「透明」とは、0%超~100%の可視光透過率を有することを意味する。或いは、プライ12、110の1つ又は複数は、半透明であり得る。「半透明」とは、見ている人の反対側にある対象物がはっきりとは見えないように、電磁エネルギー(例えば、可視光)を拡散させるだけではなく、このエネルギーを通過させることを可能にすることを意味する。好適な材料の例としては、これらに限定されないが、プラスチック基材(例えば、ポリアクリレートなどのアクリルポリマー;ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレートなどのポリアルキルメタクリレート;ポリウレタン;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethyleneterephthalate)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキルテレフタレート;ポリシロキサン含有ポリマー;又はこれらを調整するための任意のモノマーのコポリマー、又はその任意の混合物);セラミック基材;ガラス基材;又は上記のうち任意のものの混合物若しくは組合せが挙げられる。例えば、プライ12、110の1つ又は複数は、従来のソーダ石灰珪酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス又は加鉛ガラスを含み得る。ガラスは透明ガラスであってもよい。「クリアガラス」とは、非ティンテッドガラス又は非着色ガラスを意味する。或いは、ガラスは、ティンテッド又はそうでなければ着色ガラスであってもよい。ガラスは、アニールガラス又は熱処理ガラスであってもよい。本明細書で使用される場合、「熱処理」という用語は、強化又は少なくとも部分的に強化されたことを意味する。ガラスは、従来のフロートガラスなどの任意の種類のものであってもよく、任意の光学特性、例えば、任意の値の可視透過、紫外透過、赤外透過及び/又は全太陽エネルギー透過を有する任意の組成物であってもよい。「フロートガラス」とは、溶融ガラスが溶融金属浴上に堆積され、制御冷却されて、フロートガラスリボンが形成される従来のフロート法によって形成されたガラスを意味する。次いでリボンは、所望の場合、切断及び/又は成形及び/又は熱処理される。フロートガラス法の例は、米国特許第4,466,562号及び同第4,671,155号に開示されている。第1及び第2のプライ12、110は各々、例えば、クリアフロートガラスであってもよく、又はティンテッド若しくは着色ガラスであってもよく、又は1つのプライ12、110がクリアガラスであり、他方のプライ12、110が着色ガラスであってもよい。本発明に限定されないが、第1のプライ12及び/又は第2のプライ110に好適なガラスの例は、米国特許第4,746,347号;同第4,792,536号;同第5,030,593号;同第5,030,594号;同第5,240,886号;同第5,385,872号;及び同第5,393,593号に記載されている。第1及び第2のプライ12、18は、任意の所望の寸法、例えば、長さ、幅、形状又は厚さであってもよい。1つの例示的な自動車透明材において、第1及び第2のプライは、各々、1mm~10mm厚、例えば、1mm~5mm厚、又は1.5mm~2.5mm、又は1.8mm~2.3mmであり得る。非限定的な一実施例では、第1のプライ12及び/又は第2のプライ110は、550nmの基準波長において90%超、例えば91%超の可視光透過率を有し得る。第1のプライ12及び/又は第2のプライ110のためのガラス組成物は、0wt%超~0.2wt%の範囲の総鉄含有量及び/又は0.3~0.6の範囲のレドックス比を有し得る。
【0025】
非限定的な一実施例では、一方又は両方のプライ12、110は、550ナノメートル(nm)の基準波長において高い可視光透過率を有し得る。「高い可視光透過率」とは、2mm~25mmシート厚さのガラスについて5.5mm等価厚さで、85%以上、例えば87%以上、例えば90%以上、例えば91%以上、例えば92%以上の550nmにおける可視光透過率を意味する。本発明の実施に特に有用なガラスは、米国特許第5,030,593号及び同第5,030,594号に開示されている。
【0026】
中間層108は、任意の所望の材料のものであってもよく、1つ又は複数の層又はプライを含んでもよい。中間層108は、高分子又はプラスチック材料、例えば、ポリビニルブチラール、可塑化塩化ポリビニル又はポリエチレンテレフタレートを含む多層熱可塑性材料などであり得る。好適な中間層材料は、限定とはみなされないが、例えば、米国特許第4,287,107号及び同第3,762,988号に開示されている。中間層108は、第1及び第2のプライ12、1101を一緒に固定し、エネルギー吸収を提供し、ノイズを低減し、積層構造の強度を増加させる。中間層108はまた、例えば米国特許第5,796,055号に記載の通りの吸音又は消音材料であってもよい。中間層108は、その上に設けられた若しくはその中に組み込まれた日射調整コーティングを有してもよく、又は太陽エネルギー透過を低減する着色材料を含んでもよい。
【0027】
コーティング10は、ガラスプライ12、110の1つの主表面の少なくとも一部分の上、例えば、外側ガラスプライ12の内側表面16(図11)又は内側ガラスプライ110の外側表面112に堆積された電気伝導性コーティングである。導電性コーティング10は、ガラスプライ12、110の1つの少なくとも一部分の上に順次適用された誘電層間に配置された3又は4つの金属膜を含み得る。導電性コーティング10は、熱及び/若しくは放射線反射コーティングであってもよく、同じ又は異なる組成物及び/又は機能性の1つ又は複数のコーティング層又は膜を有してもよい。本明細書で使用される場合、「膜」という用語は、所望の又は選択されたコーティング組成物のコーティング領域を指す。「層」は1つ又は複数の「膜」を含み得、「コーティング」又は「コーティングスタック」は1つ又は複数の「層」を含み得る。導電性コーティング30は、3又は4つの金属層を含む多層コーティングであってもよい。
【0028】
好適な導電性コーティングの非限定例としては、典型的には、可視光に対して透明である誘電又は反射防止材料、例えば、金属酸化物又は金属合金の酸化物を含む1つ又は複数の反射防止コーティング膜が挙げられる。導電性コーティング10はまた、反射金属、例えば、金、銅若しくは銀などの貴金属、又はその組合せ若しくは合金を含む3又は4つの金属層を含んでもよく、金属反射層の上及び/又は場合により下に位置する、当技術分野で公知の通りのチタン又はチタンアルミニウム合金などのプライマー層又はバリア膜をさらに含んでもよい。導電性コーティング10は、3若しくは4つの金属層を有してもよく;又は少なくとも3つの金属層を有してもよく;又は4つ以下の金属層を有してもよい。例えば、導電性コーティング10は、4つの金属層からなり;又は、3つの金属層からなり得る。非限定的な一実施例では、金属層の1つ又は複数は、銀を含み得る。
【0029】
導電性コーティング10は、任意の従来の方法、例えばこれらに限定されないが、従来の化学蒸着(CVD:chemical vapor deposition)及び/又は物理蒸着(PVD:physical vapor deposition)法によって堆積できる。CVD法の例としては、噴霧熱分解が挙げられる。PVD法の例としては、電子ビーム蒸着及び真空スパッタリング(例えば、マグネトロンスパッター蒸着(MSVD:magnetron sputter vapor deposition))が挙げられる。他のコーティング方法、例えばこれに限定されないが、ゾルゲル堆積もまた使用できる。非限定的な一実施例では、導電性コーティング10は、MSVDによって堆積され得る。MSVDコーティングデバイス及び方法の例は、当業者に十分理解され、例えば、米国特許第4,379,040号;同第4,861,669号;同第4,898,789号;同第4,898,790号;同第4,900,633号;同第4,920,006号;同第4,938,857号;同第5,328,768号;及び同第5,492,750号に記載されている。
【0030】
本発明に好適な非限定的なコーティングが、図1a及び1bに示される。このコーティングは、2つの誘電層間に配置された1つの金属層及び1つのプライマー層を含む。これは、基材の主表面(例えば、第1のプライ12のNo.2表面16又は第2のプライ110のNo.3表面114)の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置された基層又は第1の誘電層20を含む。第1の金属層28が、第1の誘電層20の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置される。第1のプライマー層30が、第1の金属層28の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置されてもよい。第2の誘電層32が、第1のプライマー層30の上に又はこれと直接接触して配置される。保護層84が、第2の誘電層32の上に又はこれと直接接触して配置されてもよい。任意選択の応力層82が、第2の誘電層32と保護層84との間に配置されてもよい。
【0031】
本発明に好適な別の非限定的なコーティングが、図2a及び2bに示される。このコーティングは、誘電層間に配置された2つの金属層及び2つのプライマー層を含む。これは、基材の主表面(例えば、第1のプライ12のNo.2表面16又は第2のプライ110のNo.3表面114)の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置された基層又は第1の誘電層20を含む。第1の金属層28が、第1の誘電層20の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置される。第1のプライマー層30が、第1の金属層28の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置されてもよい。第2の誘電層32が、第1のプライマー層30の上に又はこれと直接接触して配置される。第2の金属層42が、第2の誘電層32の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置される。第2のプライマー層44が、第2の金属層42の上に又はこれと直接接触して配置されてもよい。第3の誘電層46が、第2のプライマー層44の上に又はこれと直接接触して配置される。保護層84が、第3の誘電層46の上に又はこれと直接接触して配置されてもよい。任意選択の応力層82が、第3の誘電層46と保護層84との間に配置されてもよい。
【0032】
本発明に好適な非限定的な例示のコーティングが、図3a及び図3bに示される。この例示のコーティングは、誘電層間に配置された3つの金属層を含む。これは、基材の主表面(例えば、第1のプライ12のNo.2表面16又は第2のプライ110のNo.3表面114)の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置された基層又は第1の誘電層20を含む。第1の金属層28が、第1の誘電層20の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置される。任意選択の第1のプライマー層30が、第1の金属層28の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置されてもよい。第2の誘電層32が、第1のプライマー層44又は第1の金属層28の上に又はこれと直接接触して配置される。第2の金属層42が、第2の誘電層32の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置される。任意選択の第2のプライマー層44が、第2の金属層42の上に又はこれと直接接触して配置されてもよい。第3の誘電層46が、第2のプライマー層44又は第2の金属層42の上に又はこれと直接接触して配置される。第3の金属層56が、第3の誘電層46の上に配置される。任意選択の第3のプライマー層58が、第3の金属層56の上に又はこれと直接接触して配置されてもよい。第4の誘電層60が、第3のプライマー層又は第3の金属層の上に又はこれと直接接触して配置される。保護層84が、第4の誘電層60の上に又はこれと直接接触して配置されてもよい。任意選択の応力層82が、第4の誘電層60と保護層84との間に配置されてもよい。
【0033】
第1の誘電層20は、反射防止材料及び/又は誘電材料、例えばこれらに限定されないが、金属酸化物、金属合金の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物の1つ又は複数の膜を含み得る。第1の誘電層20は、可視光に対して透明であり得る。第1の誘電層20に好適な金属酸化物の例としては、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、ガリウム、バナジウムの酸化物及びその混合物が挙げられる。これらの金属酸化物は、少量の他の材料、例えば、酸化ビスマス中のマンガン、酸化インジウム中のスズなどを有し得る。或いは、金属合金又は金属混合物の酸化物、例えば、亜鉛及びスズを含有する酸化物(例えば、スズ酸亜鉛);インジウム-スズ合金の酸化物;窒化ケイ素;窒化アルミニウムケイ素;又は窒化アルミニウムを使用できる。さらに、ドープ金属酸化物、例えば、アンチモン若しくはインジウムドープ酸化スズ、又はニッケル若しくはホウ素ドープ酸化ケイ素を使用できる。非限定的な一実施例では、第1の膜22は、亜鉛/スズ合金酸化物であり得る。亜鉛/スズ合金酸化物は、亜鉛及びスズを亜鉛10wt%~90wt%及びスズ90wt%~10wt%の割合で含み得る亜鉛及びスズのカソードからのマグネトロンスパッタリング真空蒸着から得ることができる。第1の膜42中に存在し得る1つの好適な金属合金酸化物は、スズ酸亜鉛である。「スズ酸亜鉛」とは、ZnSn1-x2-x(式1)(式中、「x」は0超~1未満の範囲で変動する)の組成物を意味する。例えば、「x」は、0超であり得、0超~1未満の任意の分率又は小数であり得る。例えば、x=2/3の場合、式1は、Zn2/3Sn1/34/3であり、これはより一般的にはZnSnOと記載される。スズ酸亜鉛含有膜は、膜中に大量の式1の形態の1つ又は複数を有する。
【0034】
第2の膜24は、酸化亜鉛などの亜鉛含有膜であり得る。酸化亜鉛膜は、カソードのスパッタリング特性を改善するための他の材料を含む亜鉛カソードから堆積できる。例えば、亜鉛カソードは、スパッタリングを改善するための少量(例えば、10wt%未満、例えば0超~5wt%)のスズを含み得る。この場合、得られた酸化亜鉛膜は、少パーセンテージの酸化スズ、例えば、0~10wt%未満の酸化スズ、例えば0~5wt%の酸化スズを含むと考えられる。95パーセントの亜鉛及び5パーセントのスズを有する亜鉛/スズカソードからスパッタリングされた酸化物層は、本明細書においてZn0.95S0.51.05と記述され、酸化亜鉛膜と呼ばれる。酸化亜鉛膜と呼ばれる。カソード中の少量のスズ(例えば、10wt%未満)は、主に酸化亜鉛を含有する第2の膜44中の少量の酸化スズを形成すると考えられる。非限定的な一実施例では、第1の膜42はスズ酸亜鉛であり、第2の膜44は酸化亜鉛(Zn0.95Sn0.51.05)である。例示的な非限定的実施例では、第2の膜24は、アルミニウム亜鉛酸化物、ガリウム亜鉛酸化物、インジウム亜鉛酸化物、インジウムスズ酸化物又はバナジウム亜鉛酸化物のうちの少なくとも1つからなる膜である。アルミニウム亜鉛酸化物、ガリウム亜鉛酸化物、インジウム亜鉛酸化物、インジウムスズ酸化物又はバナジウム亜鉛酸化物膜は、カソードのスパッタリング特性を改善するための他の材料を含む亜鉛カソードから堆積される。例えば、アルミニウム亜鉛酸化物、ガリウム亜鉛酸化物、インジウム亜鉛酸化物、インジウムスズ酸化物又はバナジウム亜鉛酸化物膜は、スパッタリングを改善するための追加の少量(例えば、10wt%未満、例えば0超~5wt%)のスズを含み得る。カソード中の少量のスズ(例えば、10wt%未満)は、第2の膜24中の少量の酸化スズを形成すると考えられる。非限定的な一実施例では、第1の膜22はスズ酸亜鉛を含み、第2の膜24は、アルミニウム亜鉛酸化物、ガリウム亜鉛酸化物、インジウム亜鉛酸化物、インジウムスズ酸化物又はバナジウム亜鉛酸化物を含む。非限定的な一実施例では、第1の誘電層又は第2の誘電層は、窒化ケイ素膜を含む。図5bなどの一部の実施例では、第1の誘電層20は、第1の膜22及び第2の膜24のみを有する。
【0035】
第1の誘電層20は、1,000Å以下、例えば800Å以下、例えば、200Å~800Å、300Å~600Å、例えば400Å~550Å、例えば410Å~500Å、又は例えば420Å~470Å、例えば422Å~463Åの総厚さを有し得る。
【0036】
図5aに示される通り、第1のシード膜26が、第1の誘電層20の第2の膜の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置されてもよい。第1のシード膜26は、第1の金属層28に隣接若しくは直接接触していてもよく、且つ第1の誘電層20と第1の金属層28との間であってもよい。第1のシード膜26は、アルミニウム、アルミニウム銀、アルミニウム亜鉛、亜鉛、亜鉛スズ、ゲルマニウム、ニッケル、マグネシウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、インジウム亜鉛、バナジウム亜鉛、ガリウム亜鉛、インジウムスズ、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、アルミニウムドープ銀、銀、銀亜鉛、チタンアルミニウム、その混合物、その合金、その酸化物、その亜酸化物、その窒化物及びその亜窒化物のうちの少なくとも1つで構成される膜である。一実施例では、第1のシード膜26は、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、亜鉛、銀亜鉛、その金属、その合金、その酸化物又はその亜酸化物を含む。別の実施例では、第1のシード膜26は、ガリウム亜鉛、インジウム亜鉛、インジウムスズ、その金属、その合金、その酸化物、その窒化物、その亜窒化物又はその亜酸化物を含む。
【0037】
シード層の非限定例の組成物は、表1に見出すことができる。ある特定の実施例では、シード層の一部分は、残部がアルゴンである1%~70%Oの雰囲気を形成する特定の流速を有するO雰囲気中で形成される。流速は雰囲気中のOの量の近似値であるが、当業者であれば、コーティングチャンバーが外部環境から密閉されていないため、さらなるOがコーティングチャンバーに入り込むことがあることを認識するであろう。一実施例では、シード層は、バナジウム亜鉛(VZn1-x)酸化物を含む。別の実施例では、シード層は、酸化銀を含む。別の実施例では、シード層は、アルミニウム銀(AlAg1-x)を含む。非限定的な一実施例では、第1の誘電層の第2の膜44は、シード層である。一部の実施例では、第1の誘電層40は、第1の膜42、第2の膜44及びシード層を含む。シード層は、0.5nm~10nm、好ましくは0.75nm~8nm、より好ましくは0.9nm~6nmの範囲の総厚さを有し得る。
【表1】
【0038】
第1の金属層28は、第1の誘電層20の上に堆積され得る。第1の金属層28は、反射金属、例えばこれらに限定されないが、金属金、銅、銀、アルミニウム又はその混合物、合金若しくは組合せを含み得る。一実施例では、第1の金属層28は、金属銀層を含む。第1の金属層28は、50Å~200Å、好ましくは75Å~150Å、より好ましくは80Å~120Å、最も好ましくは90Å~110Åの範囲の厚さを有し得る。
【0039】
任意選択の第1のプライマー層30は、第1の金属層28の上に堆積され得る。第1のプライマー層30は、堆積工程の間、犠牲となって、スパッタリング工程又は後続の加熱工程の間の第1の金属層28の分解又は酸化を防ぎ得る酸素捕捉材料、例えばチタンであり得る。酸素捕捉材料は、第1の金属層28の材料の前に酸化するように選択できる。プライマー層に好適な材料の非限定例としては、チタン、コバルト、銅、ケイ素、亜鉛、アルミニウム、バナジウム、タングステン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、マンガン、クロム、スズ、ニッケル、ゲルマニウム、マグネシウム、モリブデン、銀、炭化ケイ素、アルミニウムドープ銀、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、タングステンタンタル、チタンニオブ、ジルコニウムニオブ、タングステンニオブ、アルミニウムニオブ、アルミニウムチタン、タングステンチタン、タンタルチタン、亜鉛チタン、アルミニウム銀、亜鉛スズ、インジウム亜鉛、銀亜鉛、その混合物、その組合せ及びその合金が挙げられる。プライマー層材料はまた、上に列挙される通りの、プライマー層として使用され得る材料の任意のものの金属、酸化物、亜酸化物、窒化物及び/又は亜窒化物の形態をとってもよい。プライマー層の少なくとも一部分は、酸化物又は窒化物であり得る。ある特定の実施例では、プライマー層の一部分は、窒化物である。
【0040】
特定の材料組成物について、材料の1つの下限は「0超」であり得る。下限が「0超」である場合、これは、材料の重量パーセント(wt%)がゼロには等しくなく、0超~上限のwt%の任意のwt%であり得ることを意味する。一部の材料組成物について、組成物は、層が加熱される前及び後で変化し得る。これは大気中の物質と反応する材料に起因し、これは本物質間に分布するwt%を変化させる。したがって、ある特定の材料組成物は、この変化を説明する加熱前(「BH:before heating」)及び加熱後(「AH:after heating」)の重量パーセンテージ測定値を有し得る。プライマー層の非限定例の組成物は、表2に見出すことができる。一部の材料は、その測定値がより重要であることに起因して、加熱前の測定値のみを有することもあり、又は加熱後の測定値のみを有することもある。
【表2-1】

【表2-2】
【0041】
第1のプライマー層28としてチタンが使用される場合、チタンは、下にある銀層の酸化前に、二酸化チタンに優先的に酸化すると考えられる。一実施例では、第1のプライマー層28は、5Å~50Å、例えば10Å~35Å、例えば15Å~35Å、例えば10Å~20Å、例えば10Å~30Å、例えば20Å~30Å、例えば30Å~40Åの範囲の厚さを有する。
【0042】
第2の誘電層32は、第1の金属層28又は(存在する場合)第1のプライマー層30の上に堆積され得る。図6a~dの非限定的な例示の実施例では、第2の誘電層32は、第1の金属層28又は第1のプライマー層30の上に堆積された第1の膜34を含む。第1の膜34は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、アルミニウム、ガリウム、バナジウム及びその混合物からなる群から選択される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物を含み得る。一実施例では、第1の膜34は、酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第1の膜34は、アルミニウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第1の膜34は、インジウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第1の膜34は、ガリウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第1の膜34は、インジウムスズ酸化物を含む。別の実施例では、第1の膜34は、バナジウム亜鉛酸化物を含む。
【0043】
第2の膜36は、第1の膜34の上に堆積され得る。第2の膜36は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、アルミニウム、ガリウム、バナジウム及びその混合物からなる群から選択される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物を含む。一実施例では、第2の膜36は、スズ酸亜鉛を含む。図6bのものなどの一部の実施例では、第1の膜34及び第2の膜36は、第2の誘電層32の唯一の膜である。
【0044】
任意選択の第3の膜38は、第2の膜36の上に堆積されて多膜の第2の誘電層32を形成し得る。第3の膜38は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、アルミニウム、ガリウム、バナジウム及びその混合物からなる群から選択される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物を含む。一実施例では、第3の膜38は、酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第3の膜38は、インジウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第3の膜38は、ガリウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第3の膜38は、インジウムスズ酸化物を含む。別の実施例では、第3の膜38は、バナジウム亜鉛酸化物を含む。非限定的な一実施例では、第1の誘電層20又は第2の誘電層32は、窒化ケイ素膜を含む。図6a及び6cに示されるものなどの一部の実施例では、第2の誘電層32は、第1の膜34、第2の膜36及び第3の膜38を含む。図6aなどの一部の実施例では、第2の誘電層32は、第1の膜34、第2の膜36及び第3の膜38のみを有する。
【0045】
第2の誘電層32は、1,500Å以下、例えば1,200Å以下、例えば、400Å~1,200Å、500Å~1,100Å、例えば600Å~1,000Å、例えば700Å~900Å、又は例えば775Å~850Åの範囲の厚さを有し得る。
【0046】
第2のシード膜40は、第2の金属層42に隣接若しくは直接接触していてもよく、且つ第2の誘電層32と第1の金属層42との間であってもよい。第2のシード膜40は、アルミニウム、アルミニウム銀、アルミニウム亜鉛、亜鉛、亜鉛スズ、ゲルマニウム、ニッケル、マグネシウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、インジウム亜鉛、バナジウム亜鉛、ガリウム亜鉛、インジウムスズ、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、アルミニウムドープ銀、銀、銀亜鉛、チタンアルミニウム、その混合物、その合金、その酸化物、その亜酸化物、その窒化物、及びその亜窒化物のうちの少なくとも1つを含む膜である。一実施例では、第2のシード膜40は、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、亜鉛、銀亜鉛、その金属、その合金、その酸化物又はその亜酸化物を含む。シード膜の組成物は、既に提示した表1に見出すことができる。
【0047】
一実施例では、第2のシード膜40は、VxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のシード膜40は、AlZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のシード膜40は、GaZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のシード膜40は、InZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のシード膜40は、SnIn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のシード膜40は、酸素/アルゴンガス環境中で堆積されたAgを含む。別の実施例では、第2のシード膜40は、AlAg1-xを含む。図6c及び6dなどの一部の実施例では、第2の誘電層32は、第1の膜34、第2の膜36及び第2のシード膜40を含む。図6dなどの一部の実施例では、第2の誘電層32は、第1の膜34、第2の膜36及び第2のシード膜40のみを有する。図6cなどの一部の実施例では、第2の誘電層32は、第1の膜34、第2の膜36、第3の膜38及び第2のシード膜40を含む。
【0048】
第2の金属層42は、第2の誘電層32の上に堆積され得る。第2の金属層42は、第1の金属層28に関して上記の任意の1つ又は複数の反射材料を含み得る。非限定的な一実施例では、第2の金属層42は、銀及び/又は銅を含む。第2の金属層42は、75Å~175Å、好ましくは100Å~150Å、より好ましくは110Å~130Å、最も好ましくは119Å~129Åの範囲の厚さを有し得る。別の非現実的な実施例では、この第2の金属層42は、第1及び/又は第3の金属層よりも厚いことがある。
【0049】
第2のプライマー層44は、第2の金属層42の上に堆積され得る。第2のプライマー層44は、第1のプライマー層30に関して上記且つ表2で既に記載の通りの材料の任意のものであり得る。プライマー層に好適な材料の例としては、チタン、ケイ素、コバルト、亜鉛、アルミニウム、バナジウム、タングステン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、マンガン、クロム、スズ、ニッケル、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、マグネシウム、モリブデン、銀、炭化ケイ素、アルミニウムドープ銀、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、タングステンタンタル、チタンニオブ、ジルコニウムニオブ、タングステンニオブ、アルミニウムニオブ、アルミニウムチタン、タングステンチタン、タンタルチタン、亜鉛チタン、アルミニウム銀、亜鉛スズ、インジウム亜鉛、銀亜鉛、その混合物及びその合金が挙げられ、ここで、プライマーは、金属として堆積され、続いて酸化され得る。プライマー層の少なくとも一部分は、窒化物又は酸化物である。銀亜鉛、亜鉛、銀亜鉛酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物、インジウム亜鉛酸化物、ガリウム亜鉛酸化物又はバナジウム亜鉛酸化物が第1のプライマー層30として使用される場合、これは、下にある銀層の酸化の前に、優先的に酸化すると考えられる。
【0050】
一実施例では、第2のプライマー層44は、亜鉛を含む。別の実施例では、第2のプライマー層44は、AgZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層44は、AgZn1-xを含む。別の実施例では、第2のプライマー層44は、AlZn1-x酸化物である。別の実施例では、第2のプライマー層44は、InZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層44は、GaZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層44は、VZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層44は、AlTi1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層44は、AlNb1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層44は、AlNb1-x窒化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層44は、WNb1-x窒化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層44は、WTi1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層44は、TiTa1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層44は、TiNb1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層44は、TiNb1-x窒化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層44は、NbZr1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層44は、Ta1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層44は、WNb1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層44は、ZnTi1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層は、チタンを含む。第2のプライマー層44は、約5Å~50Å、例えば10Å~35Å、例えば15Å~35Å、例えば10Å~20Å、例えば10Å~30Å、例えば20Å~30Å、例えば30Å~40Åの範囲の厚さを有し得る。
【0051】
第3の誘電層46は、第2の金属層42又は(存在する場合)第2のプライマー層44の上に堆積され得る。第3の誘電層46はまた、第1及び第2の誘電層20、32に関して上で議論した1つ又は複数の材料を含み得る。非限定的な一実施例では、第3の誘電層46は、第1の膜48を含み得る。第1の膜48は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、アルミニウム、ガリウム、バナジウム及びその混合物からなる群から選択される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物を含む。一実施例では、第1の膜48は、酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第1の膜48は、アルミニウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第1の膜48は、インジウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第1の膜48は、ガリウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第1の膜48は、インジウムスズ酸化物を含む。別の実施例では、第1の膜48は、バナジウム亜鉛酸化物を含む。
【0052】
第3の誘電層46は、第1の膜48の上に堆積された第2の膜50を含み得る。一実施例では、第2の膜50は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、アルミニウム、ガリウム、バナジウム及びその混合物からなる群から選択される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物を含む。一実施例では、第2の膜50は、スズ酸亜鉛を含む。図7bのものなどの一部の実施例では、第1の膜48及び第2の膜50は、第3の誘電層46の唯一の膜である。
【0053】
第3の誘電層46は、任意選択の第3の膜52を含み得る。第3の膜52は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、アルミニウム、ガリウム、バナジウム及びその混合物からなる群から選択される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物を含む。一実施例では、第3の膜52は、酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第3の膜52は、アルミニウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第3の膜52は、インジウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第3の膜52は、ガリウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第3の膜52は、インジウムスズ酸化物を含む。別の実施例では、第3の膜52は、バナジウム亜鉛酸化物を含む。図7a及び7cに示されるものなどの一部の実施例では、第3の誘電層46は、第1の膜48、第2の膜50及び第3の膜52を含む。図7aなどの一部の実施例では、第3の誘電層46は、第1の膜48、第2の膜50及び第3の膜52のみを有する。
【0054】
本発明の非限定的な一態様では、第2の誘電層32及び第3の誘電層46は、互いに15%以内、例えば10%以内、例えば互いに5%以内の厚さを有する。第3の誘電層46は、1,500Å以下、例えば1,200Å以下、例えば300Å~1,200Å、400Å~1,100Å、例えば500Å~1,000Å、例えば600Å~900Å、例えば700Å~825Å、又は例えば730~760Åの範囲の厚さを有し得る。
【0055】
第3のシード膜54は、第3の金属層56に隣接及び/又は直接接触していてもよく、且つ第3の誘電層46と第3の金属層56との間であってもよい。第3のシード膜54は、アルミニウム、アルミニウム銀、アルミニウム亜鉛、亜鉛、亜鉛スズ、ゲルマニウム、ニッケル、マグネシウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、インジウム亜鉛、バナジウム亜鉛、ガリウム亜鉛、インジウムスズ、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、アルミニウムドープ銀、銀、銀亜鉛、チタンアルミニウム、その混合物、その合金、その酸化物、その亜酸化物、その窒化物、及びその亜窒化物のうちの少なくとも1つで構成される膜である。シード膜の組成物は、既に提示した表1に見出すことができる。一実施例では、第3のシード膜54は、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、亜鉛、銀亜鉛、その金属、その合金、その酸化物又はその亜酸化物を含む。別の実施例では、第3のシード膜54は、ガリウム亜鉛、インジウム亜鉛、インジウムスズ、その金属、その合金、その酸化物、その窒化物、その亜窒化物又はその亜酸化物である。
【0056】
別の実施例では、第3のシード膜54は、VxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第3のシード膜54は、AlZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第3のシード膜54は、GaZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第3のシード膜54は、InZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第3のシード膜54は、SnIn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第3のシード膜54は、酸素/アルゴンガス環境中で堆積されたAgを含む。別の実施例では、第3のシード膜54は、AlAg1-xを含む。図7c及び7dなどの一部の実施例では、第3の誘電層46は、第1の膜48、第2の膜50及び第3のシード膜54を有する。一部の実施例では、第2の誘電層46は、第1の膜48、第2の膜50、第3の膜52及び第3のシード膜54を有する。第3のシード膜54は、0.5nm~10nm、好ましくは0.75nm~8nm、より好ましくは0.9nm~6nmの範囲の総厚さを有し得る。コーティング10は、第3の誘電層46の上に堆積された第3の金属層56をさらに含み得る。第3の金属層56は、第1及び第2の金属層に関して上で議論した材料の任意のものであり得る。別の非限定的な実施例では、第3の金属層56は、アルミニウムドープ銀を含む。非限定的な一実施例では、第3の金属層56は、銀及び/又は銅を含む。第3の金属層56は、75Å~175Å、好ましくは100Å~150Å、より好ましくは110Å~130Å、最も好ましくは118Å~127Åの範囲の厚さを有し得る。本発明の非限定的な一態様では、第1の金属層28は、第3の金属層56よりも薄い。本発明の別の非限定的な態様では、第2の金属層42は、第3の金属層56よりも薄い。
【0057】
非限定的な一実施例では、コーティング物品は、第1、第2及び第3の金属層28、42、56のみを含む。コーティング物品に追加の金属層は存在しない。金属層は、銀のみ、又は銀及び銅のみ、又は80wt%超の銀若しくは銀及び銅を含み得る。
【0058】
第3のプライマー層58は、第3の金属層56の上に堆積され得る。第3のプライマー層58は、第1又は第2のプライマー層30、44に関して上記且つ表2で既に記載の通りのプライマー材料の任意のものであり得る。プライマー層に好適な材料の例としては、チタン、ケイ素、コバルト、亜鉛、アルミニウム、バナジウム、タングステン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、マンガン、クロム、スズ、ニッケル、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、マグネシウム、モリブデン、銀、炭化ケイ素、アルミニウムドープ銀、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、タングステンタンタル、チタンニオブ、ジルコニウムニオブ、タングステンニオブ、アルミニウムニオブ、アルミニウムチタン、タングステンチタン、タンタルチタン、亜鉛チタン、アルミニウム銀、亜鉛スズ、インジウム亜鉛、銀亜鉛、その混合物及びその合金が挙げられ、ここで、プライマーは、金属として堆積され、続いて酸化され得る。プライマー層の少なくとも一部分は、窒化物又は酸化物である。銀亜鉛、亜鉛、銀亜鉛酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物、インジウム亜鉛酸化物、ガリウム亜鉛酸化物又はバナジウム亜鉛酸化物が第1のプライマー層30として使用される場合、これは、下にある銀層の酸化の前に、優先的に酸化すると考えられる。
【0059】
一実施例では、第3のプライマー層58は、亜鉛を含む。別の実施例では、第3のプライマー層58は、AgZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第3のプライマー層58は、AgZn1-xを含む。別の実施例では、第3のプライマー層58は、AlZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第3のプライマー層58は、InZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第3のプライマー層58は、GaZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第3のプライマー層58は、VZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第3のプライマー層58は、AlTi1-x酸化物を含む。別の実施例では、第3のプライマー層58は、AlNb1-x酸化物を含む。別の実施例では、第3のプライマー層58は、AlNb1-x窒化物を含む。別の実施例では、第3のプライマー層58は、WNb1-x窒化物を含む。別の実施例では、第3のプライマー層58は、WTi1-x酸化物を含む。別の実施例では、第3のプライマー層58は、TiTa1-x酸化物を含む。別の実施例では、第3のプライマー層58は、TiNb1-x酸化物を含む。別の実施例では、第3のプライマー層58は、TiNb1-x窒化物を含む。別の実施例では、第3のプライマー層58は、NbZr1-x酸化物を含む。別の実施例では、第3のプライマー層58は、Ta1-x酸化物を含む。別の実施例では、第3のプライマー層58は、WNb1-x酸化物を含む。別の実施例では、第3のプライマー層58は、ZnTi1-x酸化物を含む。
【0060】
非限定的な一実施例では、第3のプライマー層58は、5Å~50Å、例えば10Å~35Å、例えば15Å~35Å、例えば10Å~20Å、例えば10Å~30Å、例えば20Å~30Å、例えば30Å~40Åの範囲の厚さを有する。
【0061】
第4の誘電層60は、第3の金属層56の上(例えば第3のプライマー層58の上)に堆積され得る。第4の誘電層60は、第1、第2又は第3の誘電層20、32、46に関して上で議論したものなどの1つ又は複数の金属酸化物又は金属合金酸化物含有層で構成され得る。或いは、第4の誘電層は、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素を含み得る。非限定的な一実施例では、第4の誘電層60は、第3の金属層56又は(存在する場合)第3のプライマー層58の上に堆積された第1の膜62、第1の膜62の上に堆積された第2の膜64、及び第2の膜64の上に堆積された任意選択の第3の膜66を含む。第1の膜62は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、ガリウム、バナジウム及びその混合物からなる群から選択される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物を含む。一実施例では、第1の膜62は、酸化亜鉛又はスズ酸亜鉛を含む。第1の膜62は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、ガリウム、バナジウム及びその混合物からなる群から選択される1つ又は複数の金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又は混合物で構成され得る。一実施例では、第1の膜62は、酸化亜鉛又はスズ酸亜鉛を含む。別の実施例では、第1の膜62は、アルミニウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第1の膜62は、インジウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第1の膜62は、ガリウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第1の膜62は、インジウムスズ酸化物を含む。別の実施例では、第1の膜62は、バナジウム亜鉛酸化物を含む。
【0062】
第4の誘電層60は、第1の膜62の上に堆積された第2の膜64を含み得る。一実施例では、第2の膜64は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、ガリウム、バナジウム及びその混合物からなる群から選択される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物を含む。一実施例では、第2の膜64は、スズ酸亜鉛、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素を含む。図8bのものなどの一部の実施例では、第1の膜62及び第2の膜64は、第4の誘電層60の唯一の膜である。第4の誘電層60は、第2の膜64の上に堆積された任意選択の第3の膜66を含み得る。第3の膜は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、ガリウム、バナジウム及びその混合物からなる群から選択される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物を含む。一実施例では、第3の膜66は、酸化亜鉛、酸窒化ケイ素又は窒化ケイ素を含む。別の実施例では、第3の膜66は、酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第3の膜66は、アルミニウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第3の膜66は、インジウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第3の膜66は、ガリウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第3の膜66は、インジウムスズ酸化物を含む。別の実施例では、第3の膜66は、バナジウム亜鉛酸化物を含む。図8a及び8cに示されるものなどの一部の実施例では、第4の誘電層60は、第1の膜62、第2の膜64及び第3の膜66を含む。図8aなどの一部の実施例では、第4の誘電層60は、第1の膜62、第2の膜64及び第3の膜66のみを有する。
【0063】
非限定的な一実施例では、第4の誘電層60の第1及び第3の膜62、66は各々、約50Å~200Å、例えば75Å~150Åの範囲、例えば100Åの厚さを有し得る。第2の膜78は、250Å~900Å、例えば275Å~800Å、例えば300Å~775Å、例えば350Å~710Åの範囲の厚さを有し得る。
【0064】
第4の誘電層60が最上又は最外側誘電層である実施例では、第4の誘電層は、1,000Å以下、例えば600Å以下、例えば、200Å~600Å、250Å~550Å、例えば300Å~500Å、例えば325Å~475Å、又は例えば360Å~390Åの範囲の厚さを有し得る。第4の誘電層60が最上誘電層である実施例では、第1の誘電層20及び第4の誘電層60の両方は、第2の誘電層32及び第3の誘電層46よりも薄いことがある。
【0065】
第4のシード膜68は、第4の金属層70に隣接又は直接接触していてもよく、且つ第4の誘電層60と第4の金属層70との間であってもよい。第4のシード膜68は、アルミニウム、アルミニウム銀、アルミニウム亜鉛、亜鉛、亜鉛スズ、ゲルマニウム、ニッケル、マグネシウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、インジウム亜鉛、バナジウム亜鉛、ガリウム亜鉛、インジウムスズ、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、アルミニウムドープ銀、銀、銀亜鉛、チタンアルミニウム、その混合物、その合金、その酸化物、その亜酸化物、その窒化物、及びその亜窒化物のうちの少なくとも1つで構成される膜である。一実施例では、第4のシード膜68は、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、亜鉛、銀亜鉛、その金属、その合金、その酸化物又はその亜酸化物を含む。別の実施例では、第4のシード膜68は、ガリウム亜鉛、インジウム亜鉛、インジウムスズ、その金属、その合金、その酸化物、その窒化物、その亜窒化物又はその亜酸化物を含む。シード膜の組成物は、既に提示した表1に見出すことができる。別の実施例では、第4のシード膜68は、VZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第4のシード膜68は、AlZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第4のシード膜68は、GaZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第4のシード膜68は、InZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第4のシード膜68は、SnIn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第4のシード膜68は、酸素/アルゴンガス環境中で堆積されたAgを含む。別の実施例では、第4のシード膜68は、AlAg1-xを含む。図8c及び8dなどの一部の実施例では、第4の誘電層60は、第1の膜62、第2の膜64及び第4のシード膜68を含む。図8dなどの一部の実施例では、第4の誘電層60は、第1の膜62、第2の膜64及び第4のシード膜68のみを有する。図8cなどの一部の実施例では、第4の誘電層60は、第1の膜62、第2の膜64、第3の膜66及び第4のシード膜68を含む。第4のシード膜は、0.5nm~10nm、好ましくは0.75nm~8nm、より好ましくは0.9nm~6nmの範囲の総厚さを有し得る。
【0066】
本発明に好適な別の非限定的な例示のコーティング10が、図4a及び4bに示される。コーティング10は、第4の誘電層60の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置された第4の金属層70をさらに含み得る。第4の金属層70は、第1、第2又は第3の金属層に関して上で議論した材料の任意のものであり得る。別の非限定的な実施例では、第4の金属層70は、アルミニウムドープ銀を含む。非限定的な一実施例では、第3の金属層70は、銀及び/又は銅を含む。第4の金属層70は、50Å~175Å、好ましくは75Å~150Å、より好ましくは80Å~120Å、最も好ましくは90Å~110Åの範囲の厚さを有し得る。本発明の非限定的な一態様では、第1の金属層28及び第4の金属層70は、互いに20%以内、例えば15%以内、例えば互いに5%~10%以内の厚さを有する。
【0067】
非限定的な一実施例では、コーティング物品は、第1、第2、第3及び第4の金属層28、42、56、70のみを含む。コーティング物品に追加の金属層は存在しない。金属層は、銀のみ、又は銀及び銅のみ、又は80wt%超の銀若しくは銀及び銅を含み得る。各金属層は厚さを有する。すべての金属層厚さの和は、少なくとも30nm且つ最大60nm、例えば少なくとも35且つ最大47nmである。非限定的な一実施例では、金属層の合計厚さは、50ナノメートル以下、例えば47nm以下、例えば43ナノメートル以下である。別の非限定的な実施例では、金属層の合計厚さは、少なくとも30nm、少なくとも32nm、少なくとも34nm、少なくとも35nm、少なくとも38nm、又は少なくとも40nmである。
【0068】
第4のプライマー層72は、第4の金属層70の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置され得る。第4のプライマー層72は、第1、第2又は第3のプライマー層30、44、58に関して、及び既に提示された表2に上記のプライマー材料の任意のものであり得る。プライマー層に好適な材料の例としては、チタン、コバルト、ケイ素、亜鉛、アルミニウム、バナジウム、タングステン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、マンガン、クロム、スズ、ニッケル、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、マグネシウム、モリブデン、銀、炭化ケイ素、アルミニウムドープ銀、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、タングステンタンタル、チタンニオブ、ジルコニウムニオブ、タングステンニオブ、アルミニウムニオブ、アルミニウムチタン、タングステンチタン、タンタルチタン、亜鉛チタン、アルミニウム銀、亜鉛スズ、インジウム亜鉛、銀亜鉛、その混合物及びその合金が挙げられ、ここで、プライマーは、金属として堆積され、続いて酸化され得る。プライマー層の少なくとも一部分は、窒化物又は酸化物である。銀亜鉛、亜鉛、銀亜鉛酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物、インジウム亜鉛酸化物、ガリウム亜鉛酸化物又はバナジウム亜鉛酸化物が第1のプライマー層30として使用される場合、これは、下にある銀層の酸化の前に、優先的に酸化すると考えられる。
【0069】
一実施例では、第4のプライマー層72は、亜鉛を含む。別の実施例では、第4のプライマー層72は、AgZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第4のプライマー層72は、AgZn1-xを含む。別の実施例では、第4のプライマー層72は、AlZn1-x酸化物である。別の実施例では、第4のプライマー層72は、InZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第4のプライマー層72は、GaZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第4のプライマー層72は、VZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第4のプライマー層72は、AlTi1-x酸化物を含む。別の実施例では、第4のプライマー層72は、AlNb1-x酸化物を含む。別の実施例では、第4のプライマー層72は、AlNb1-x窒化物を含む。別の実施例では、第4のプライマー層72は、WNb1-x窒化物を含む。別の実施例では、第4のプライマー層72は、WTi1-x酸化物を含む。別の実施例では、第4のプライマー層72は、TiTa1-x酸化物を含む。別の実施例では、第4のプライマー層72は、TiNb1-x酸化物を含む。別の実施例では、第4のプライマー層72は、TiNb1-x窒化物を含む。別の実施例では、第4のプライマー層72は、NbZr1-x酸化物を含む。別の実施例では、第4のプライマー層72は、Ta1-x酸化物を含む。別の実施例では、第4のプライマー層72は、WNb1-x酸化物を含む。別の実施例では、第4のプライマー層72は、ZnTi1-x酸化物を含む。第4のプライマー層72は、5Å~50Å、例えば10Å~35Å、例えば15Å~35Å、例えば10Å~20Å、例えば10Å~30Å、例えば20Å~30Å、例えば30Å~40Åの範囲の厚さを有し得る。
【0070】
第5の誘電層74は、第4の金属層70又は(存在する場合)第4のプライマー層72の上に又はこれと直接接触して堆積され得る。第5の誘電層74は、第1、第2、第3又は第4の誘電層20、32、46、60に関して上で議論したものなどの1つ又は複数の金属酸化物又は金属合金酸化物含有層で構成され得る。非限定的な一実施例では、第5の誘電層74は、第4の金属層70又は第4のプライマー層72の上に又はこれと直接接触して堆積された第1の膜76を含む。第1の膜76は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、アルミニウム、ガリウム、バナジウム及びその混合物からなる群から選択される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物を含む。一実施例では、第1の膜76は、酸化亜鉛又はスズ酸亜鉛を含む。別の実施例では、第1の膜76は、アルミニウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第1の膜76は、インジウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第1の膜76は、ガリウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第1の膜76は、インジウムスズ酸化物を含む。別の実施例では、第1の膜76は、バナジウム亜鉛酸化物を含む。
【0071】
第5の誘電層74は、第1の膜76の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置された第2の膜78を含み得る。一実施例では、第2の膜78は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、アルミニウム、ガリウム、バナジウム及びその混合物からなる群から選択される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物を含む。一実施例では、第2の膜76は、スズ酸亜鉛、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素を含む。図9bなどの一部の実施例では、第1の膜76及び第2の膜78は、第5の誘電層74の唯一の膜である。
【0072】
第5の誘電層86は、第2の膜76の上に堆積された任意選択の第3の膜80を含み得る。第3の膜80は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、アルミニウム、ガリウム、バナジウム及びその混合物からなる群から選択される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物を含む。一実施例では、第3の膜80は、酸化亜鉛、酸窒化ケイ素又は窒化ケイ素を含む。別の実施例では、第3の膜80は、窒化ケイ素を含む。別の実施例では、第3の膜80は、酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第3の膜80は、アルミニウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第3の膜80は、インジウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第3の膜80は、ガリウム亜鉛酸化物を含む。別の実施例では、第3の膜80は、インジウムスズ酸化物を含む。別の実施例では、第3の膜80は、バナジウム亜鉛酸化物を含む。図9aなどの一部の実施例では、第5の誘電層74は、第1の膜76、第2の膜78及び第3の膜80を含む。
【0073】
第5の誘電層74は、1,000Å以下、例えば800Å以下、例えば、200Å~700Å、275Å~600Å、例えば300Å~500Å、例えば325Å~475Å、又は例えば350Å~460Åの範囲の厚さを有し得る。
【0074】
物品が第5の誘電層74を含む実施例では、第4の誘電層60は、1,400Å以下、例えば1,200Å以下、例えば、400Å~1,200Å、500Å~1,000Å、例えば600Å~800Å、例えば675Å~725Å、又は例えば690Å~710Åの範囲の厚さを有し得る。第5の誘電層74が最上誘電層である実施例では、第1の誘電層20及び第5の誘電層74の両方は、第2の誘電層32、第3の誘電層46及び第4の誘電層60よりも薄いことがある。
【0075】
コーティング10は、最外側保護層84を含み得、これは、例えば、図1a~4bに示される非限定的な実施例では、最上側誘電層の上に堆積されて、加工の間、金属層などの下にある層を機械的及び化学的攻撃から保護するのを補助する。非限定的な一実施例では、保護層84は、第2の誘電層32、第3の誘電層46、第4の誘電層60又は第5の誘電層74の上に堆積され得る。別の非限定的な実施例では、保護層84は、金属層32、56若しくは70;又はプライマー層44、58若しくは72の上に、及び場合によりこれと直接接触して配置され得る。保護層84は、加熱又は湾曲の間などに周囲酸素がコーティング10の下にある層に移動することを防ぐ又は減らすための酸素バリアコーティング層であり得る。保護層84は、任意の所望の材料又は材料の混合物のものであり得る。例示的な一実施例では、保護層84は、1つ又は複数の金属酸化物又は窒化物材料、例えばこれらに限定されないが、アルミニウム、ケイ素又はその混合物の酸化物及び/又は窒化物を有する層を含み得る。例えば、保護コーティング84は、0wt%~100wt%の範囲のアルミナ及び/又は100wt%~0wt%の範囲のシリカ、例えば5wt%~95wt%のアルミナ45及び95wt%~5wt%のシリカ、例えば10wt%~90wt%のアルミナ及び90wt%~10wt%のシリカ、例えば15wt%~90wt%のアルミナ及び85wt%~10wt%のシリカ、例えば50wt%~75wt%のアルミナ及び50wt%~25wt%のシリカ、例えば50wt%~70wt%のアルミナ及び50wt%~30wt%のシリカ、例えば35wt%~100wt%のアルミナ及び65wt%~0wt%のシリカ、例えば70wt%~90wt%のアルミナ及び30wt%~10wt%のシリカ、例えば、75wt%~85wt%のアルミナ及び25wt%~15wt%のシリカ、例えば88wt%のアルミナ及び12wt%のシリカ、例えば65wt%~75wt%のアルミナ及び35wt%~25wt%のシリカ、例えば70wt%のアルミナ及び30wt%のシリカ、例えば60wt%~75wt%未満のアルミナ及び25wt%超~40wt%のシリカを含む単一コーティング層であり得る。他の材料、例えば、アルミニウム、クロム、ハフニウム、イットリウム、ニッケル、ホウ素、リン、チタン、ジルコニウム及び/又はその酸化物もまた、例えば保護層84の屈折率を調節するために存在し得る。非限定的な一実施例では、保護層84の屈折率は、1~3の範囲、例えば1~2、例えば1.4~2、例えば1.4~1.8であり得る。
【0076】
非限定的な一実施例では、保護層84は、組合せシリカ及びアルミナコーティングである。保護コーティング84は、2つのカソード(例えば、1つはケイ素及び1つはアルミニウム)から、又はケイ素及びアルミニウムの両方を含有する単一カソードからスパッタリングされ得る。このケイ素/アルミニウム酸化物保護層84は、SiAl1-x(1.5+x)/2(式中、xは、0超~1未満で変動し得る)と記述することができる。
【0077】
別の非限定的な実施例では、保護層80、92は、チタン及びアルミナの組合せを含む。
【0078】
非限定的な一実施例では、保護層84は、窒化ケイ素(Si)、酸窒化ケイ素(SiON)、窒化ケイ素アルミニウム(SiAlN)、酸窒化ケイ素アルミニウム(SiAlON)、その混合物及び/又はその合金で構成され得、これは金属機能性層28、42、56又は70の耐久性を増加させ得る。保護層84は、ケイ素のスパッタリングを改善するための優れた電気伝導性を有する他の材料に堆積された窒化ケイ素で形成され得る。例えば、堆積の間に、ケイ素カソードは、スパッタリングを改善するための少量(例えば、最大20wt%、最大15wt%、最大10wt%又は最大5wt%)のアルミニウムを含み得る。この場合、得られた窒化ケイ素保護層は、少パーセンテージのアルミニウム、例えば最大15wt%のアルミニウム、例えば最大10wt%のアルミニウム、例えば最大5wt%のアルミニウムを含むと考えられる。最大10wt%アルミニウム(カソードの導電性を高めるために添加)を有するケイ素カソードから堆積されたコーティング層は、少量のアルミニウムが存在し得るが、本明細書においては「窒化ケイ素」層と呼ばれる。カソード中の少量のアルミニウム(例えば、15wt%以下、例えば10wt%以下、例えば5wt%以下)は、主に窒化ケイ素の保護層84中で窒化アルミニウムを形成すると考えられる。保護層84は窒素雰囲気中で形成され得るが、しかしながら、保護層84の堆積の間、酸素などの他のガスが雰囲気中に存在してもよいことが理解される。
【0079】
保護層は、任意の所望の厚さのものであり得る。保護層84は、10Å~800Å、例えば100Å~800Å、例えば100Å~600Å、例えば350Å~550Åの範囲の厚さを有し得る。非限定的な一実施例では、保護コーティング84は、50Å~50,000Å、例えば50Å~10,000Å、例えば100Å~1,000Å、例えば100Å~500Å、例えば100Å~400Å、例えば350Å~400Åの範囲、例えば380Åの厚さを有するケイ素/アルミニウム酸化物コーティング(SiAl1-x(1.5+x)/2)である。保護層84は、コーティング物品の最外側層である。さらに、保護層84は、非均一厚さのものであり得る。「非均一厚さ」とは、保護層84の厚さが、所与の単位面積で変動し得ることを意味し、例えば、保護層84は、高い及び低い点又は領域を有し得る。
【0080】
別の非限定的な実施例では、保護コーティング84は、第1の膜及び第1の膜の上に形成された第2の膜を含む多層コーティングであり得る。第1の膜は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ又はその混合物を含み得る。特定の非限定的な一実施例では、第1の膜は、アルミナ又はアルミナ及びシリカを含む混合物若しくは合金を含み得る。例えば、第1の膜は、5wt%超のアルミナ、例えば10wt%超のアルミナ、例えば15wt%超のアルミナ、例えば30wt%超のアルミナ、例えば40wt%超のアルミナ、例えば50wt%~70wt%のアルミナ、例えば、60wt%~100wt%の範囲のアルミナ及び40wt%~0wt%の範囲のシリカ、例えば、60wt%のアルミナ及び40wt%のシリカを有するシリカ/アルミナ混合物を含み得る。別の実例では、第1の層は、スズ酸亜鉛を含み得る。別の実例では、第1の膜は、ジルコニアを含み得る。非限定的な一実施例では、第1の膜は、0Å超~1ミクロン、例えば100Å~250Å、例えば101A~250Å、例えば150Å~200Åの範囲、例えば160Åの厚さを有し得る。
【0081】
保護層84の第2の膜は、例えば、金属酸化物又は金属窒化物を含み得る。第2の膜は、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化スズ、その混合物又はその合金であり得る。例えば、第2の膜は、チタニア及びアルミナの混合物、チタニア及びシリカの混合物、又はジルコニアを含み得る。第2の膜の実例は、40~60wt%のアルミナ及び60~40wt%のチタニア;45~55wt%のアルミナ及び55~45wt%のチタニア;48~52wt%のアルミナ及び52~48wt%のチタニア;49~51wt%のアルミナ及び51~49wt%のチタニア;又は50wt%のアルミナ及び50wt%のチタニアを有するチタニア/アルミナ混合物を含み得る。第2の膜の実例は、酸化チタンアルミニウム(TiAlO)を含み得る。第2の膜の別の実例は、40wt%超のシリカ、例えば50wt%超のシリカ、例えば60wt%超のシリカ、例えば、70wt%超のシリカ、例えば80wt%超のシリカ、例えば、80wt%~90wt%の範囲のシリカ及び10wt%~20wt%の範囲のアルミナ、例えば85wt%のシリカ及び15wt%のアルミナを有するシリカ/アルミナ混合物である。非限定的な一実施例では、第2の膜は、0Å超~2ミクロン、例えば50Å~5,000Å、例えば50Å~2,000Å、例えば100Å~1,000Å、例えば200Å~500Å、例えば220Å~350Åの範囲、例えば220Åの厚さを有し得る。好適な保護層の非限定例は、例えば、米国特許出願第10/007,382号;同第10/133,805号;同第10/397,001号;同第10/422,094号;同第10/422,095号;及び同第10/422,096号に記載されている。
【0082】
非限定的な実例では、保護層84は、第2の膜の上に形成された追加の第3の膜を含み得る。この第3の膜は、第1の膜又は第2の膜を形成するのに使用された材料の任意のものであり得る。第3の膜は、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ又はその混合物を含み得る。例えば、第3の膜は、シリカ及びアルミナの混合物を含み得る。別の実例では、第3の膜は、ジルコニアを含む。上誘電層と保護層84との間、且つ上誘電層の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して、応力層82が存在し得る。応力層82は、コーティングのシート抵抗を低減するために保護層84の下に追加される。応力層82は、0.5~30nm、好ましくは1~25nm、より好ましくは1~20nm、又は最も好ましくは1~18nmの厚さを有し得る。ある特定の実施例では、応力層82は、ケイ素、コバルト、チタン、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、酸素及び/又はチタンを含み得る。一実施例では、応力層82は、ケイ素コバルトを含む。一実施例では、応力層82は、TiNb1-x亜酸化物又は酸化物(式中、xは、1~100wt%の範囲内である(BH及びAH))を含む。別の実施例では、応力層82は、NbZr1-x亜酸化物又は酸化物(式中、xは、1~12wt%AH、好ましくは1~11wt%AH、より好ましくは1~11wt%AH、最も好ましくは1~10wt%AHの範囲内である)を含む。別の実施例では、応力層82は、TiTa1-x亜酸化物又は酸化物(式中、xは、1~100wt%AH、好ましくは1~20wt%AH又は30~100wt%AH、より好ましくは1~10wt%AH、又は500wt%AH、最も好ましくは1~4wt%AH又は60~100wt%AHの範囲内である)を含む。別の実施例では、応力層82は、SiCo1-x亜酸化物又は酸化物(式中、xは、10~90wt%AH、好ましくは15~90wt%AH、より好ましくは18~90wt%AH、最も好ましくは20~90wt%AHの範囲内である)を含む。
【0083】
図10及び11に示される非限定的な実施例では、バスバーアセンブリ120は、外側プライ12の内側表面16に形成され、バスバーによってバスバー距離D分離された第1の又は下部バスバー104及び第2の又は上部バスバー106を含む。バスバー104、106は、コーティング10と電気接触している。バスバーアセンブリ120はまた、第1のバスバー104に接続された第1の導電性リード又はストリップ116、及び第2のバスバー106に接続された第2の導電性リード又はストリップ118を含む。リード116、118の各々は、電源122に接続される。バスバー104、106及び/又は導電性ストリップ116、118は、導電性金属箔若しくはストリップ(例えばこれらに限定されないが、銅箔若しくはスズ引き銅箔)で形成されてもよく、又は導電性コーティング(例えば、セラミックコーティング)によって形成されてもよく、又はその組合せである。本発明の非限定的な一実施例では、バスバー104及び106は、少なくとも部分的に又は完全に装飾バンド102に配置され得る(図11に示される通り)。
【0084】
電源122は、任意の従来の電源であってもよい。しかしながら、非限定的な一実施例では、電源122は、13ボルト~15ボルトの範囲、例えばおよそ14ボルトで供給するように構成された従来の車両用交流発電機である。
【0085】
本発明の特徴を組み込むさらなる透明材130が、図12に示される。透明材130の構成は、透明材100の構成と同様であるが、コーティング10は、1つ又は複数の「切抜き」領域、例えば、切抜き132及び134を含む。切抜き132及び134は、コーティング10を、第1の主部分136、第2の主部分138及び中心部分140に分ける。この非限定実施例のバスバーアセンブリ142は、クアッドフィードアセンブリであり、すなわち、それぞれ4つのバスバー152、154、156及び158に接続された4つのコネクタ144、146、148及び150を有する。バスバー152及び154は、主に第1の主部分136に電力を供給し、バスバー156及び158は、主に第2の主領域138に電力を供給する。
【0086】
本発明の非限定的な一実施例では、コーティング30は、コーティングが従来の車両用交流発電機、例えば80アンペア及び14ボルトを生じる従来の交流発電機と電気接触している場合、60cm~75cm(24インチ~30インチ)の範囲のバスバー対バスバー距離D(図10を参照)において1平方デシメートル当たり2~10ワット(W/dm)、例えば4~8W/dm、例えば5~6W/dmの電力密度をもたらすように構成又は寸法取りされる。そのような電力密度は、基材12の外側表面14と接触した氷を融解するのに十分であると考えられる。米国においてビジョンパネル(例えばフロントガラス)について、透明材はまた、70%以上、例えば71%以上の可視光透過率を有するべきである。当業者であれば認識する通り、十分な導電性及びまた十分な透過率を有するコーティングを提供するためにはいくつかの異なる競合要素をバランスする必要がある。例えば、バスバー間の距離Dが増加する(すなわち、透明材が上部から底部に向かって幅広くなる)につれて、バスバー対バスバー抵抗は増加する。バスバー対バスバー抵抗が増加するにつれて、電力密度は減少する。電力密度を維持するためには、バスバー対バスバー距離が増加するにつれて、コーティングの抵抗率を減少させなくてはならない。抵抗率を減少させる1つの方法は、銀層の1つ若しくは複数の厚さを増加させることによる及び/又は銀層の数を増加させることによる。本発明の非限定的な一実施では、銀層の厚さ及び/又は数は、0.6~1.5オームパースクエア(Ω/□)、例えば0.6~1.0オームパースクエア(Ω/□)、例えば0.6~0.9オームパースクエア(Ω/□)のコーティングの全抵抗率をもたらすように構成される。本発明の非限定的な一実施では、銀層の厚さ及び/又は数は、0.850オームパースクエア(Ω/□)以下、例えば0.800オームパースクエア(Ω/□)以下、例えば0.695オームパースクエア(Ω/□)以下のコーティングの全抵抗率をもたらすように構成される。しかしながら、当業者であれば認識する通り、銀層の数又は厚さが増加するにつれて、可視光透過率は減少する。フロントガラスなどの車両の前方視野について、銀層の厚さ及び/又は数は、視野の可視光透過率が約70%未満に下降する点まで増加されるべきではない。
【0087】
本発明の非限定的な一実施では、コーティングは、25%以下、例えば、20%以下、例えば10%以下、例えば8%以下の可視光反射率を提供する。
【0088】
本発明の非限定的な一実施では、コーティング30は、0~-10の範囲、例えば、-1~-8、好ましくは-1.2~-7.0、より好ましくは-1.5~-6.8、最も好ましくは-1.7~-6.5の範囲の8度角における外反射a(Rg8a)を提供する。
【0089】
本発明の非限定的な一実施では、コーティング30は、2~-8の範囲、例えば、2.5~-8.0、好ましくは2.0~-7.5、より好ましくは1.8~-7.3、最も好ましくは1.5~-7.0の範囲の8度角における外反射b(Rg8b)を提供する。
【0090】
本発明の一実施例は、誘電層間に挟まれた3つの金属層のみを有する車両の透明材である。各金属層は厚さを有する。3つすべての金属層の合計厚さは、30nm~60nm;好ましくは32nm~47nm;より好ましくは34nm~45nm;最も好ましくは35nm~43nmである。この車両の透明材は、表3に従うコーティングを有し得る。
【表3-1】

【表3-2】

【表3-3】
【0091】
本発明の一実施例は、誘電層間に挟まれた4つの金属層のみを有する車両の透明材である。各金属層は厚さを有する。4つすべての金属層の合計厚さは、30nm~60nm;好ましくは35nm~50nm;より好ましくは39nm~48nm;最も好ましくは40nm~47nmである。この車両の透明材は、表4に示される通りのコーティングを有し得る。
【表4-1】

【表4-2】

【表4-3】

【表4-4】
【0092】
図13は、表面での膜成長の初期核形成の図を示す。核の形成は、体積及び表面ギブス自由エネルギーを含む、系のギブス自由エネルギーの変化につながる。2D層を成長させるためには、成長表面は、二次元成長のための高い表面エネルギー(すなわち、高い表面張力)を有する必要があり、ギブス自由エネルギーの変化は、より密度の高い膜を作るのに十分大きい必要がある。したがって、その上に銀が成長する材料(すなわちシード膜)及びその下に銀が被覆される材料(すなわち、プライマー層)は、密度、二次元銀成長に都合がよく、且つ銀の凝集を回避するために高いギブス自由エネルギーを有する必要がある。銀と比較して高い凝集エネルギー及び高いギブスエネルギーを有するいくつかの元素が、以下の表5に示される。これらの元素は、シード膜又はプライマー層のいずれかとして使用された場合、銀の凝集を低減する可能性を有する材料の一部である。
【表5】
【0093】
本発明の目的は、コーティング物品のシート抵抗を低減する一方、少なくとも70%の光透過率をなお維持することである。これを行うために、既に言及した特性をもたらすと考えられる様々な材料を、プライマー層、金属層、シード膜及び応力層について当技術分野で公知の標準的な材料の代替物として試験した。
【0094】
別の実施例では、本発明は、フロントガラスのヘッドアップディスプレイ(HUD:heads-up display)に有用なコーティングである。図10、11、12、14A、14B及び15に示される通り、フロントガラスは、第1のプライ及び第2のプライを含む。第1のプライは、フロントガラスの外部又は外側プライである。第2のプライは、フロントガラスの内部プライである。2つのプライ間には中間層がある。中間層は、当産業で使用される任意の標準的な中間層であってもよい。そのような中間層の一例は、ポリビニルブチラール(PVB:polyvinyl butyral)中間層である。好ましくは、中間層は、中間層の片側がもう一方の側よりも厚いくさび形状を有する。第1のプライは、No.1表面及びNo.2表面を有する。No.1表面は、取り付けられた場合車両の外部に面する表面である。No.2表面は、第2のプライに面する。第2のプライは、No.3表面及びNo.4表面を有する。No.3表面は第1のプライに面し、No.4表面は、フロントガラスが車両に取り付けられた場合、車両の内部に面する。コーティングは、No.2表面又はNo.3表面、好ましくはNo.2表面に配置され得る。フロントガラスのHUDに有用なコーティングの非限定例が、図16~23に提供される。
【0095】
HUDについて、コーティングは、三重金属コーティング又は四重金属コーティングであり得る。コーティングが三重金属コーティングである実施例では、コーティングは、基材の少なくとも一部分の上に配置された第1の誘電層を有する。第1の金属層が、第1の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。場合により、プライマーが、第1の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の誘電層が、第1の金属層又は任意選択の第1のプライマーの少なくとも一部分の上に配置される。第2の金属層が、第2の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。任意選択の第2のプライマーが、第2の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第3の誘電層が、第2の金属層又は任意選択の第2のプライマーの少なくとも一部分の上に配置される。第3の金属層が、第3の誘電層の上に配置される。任意選択の第3のプライマー層が、第3の金属層の上に配置される。第4の誘電層が、第3の金属層又は任意選択の第3のプライマー層の上に配置される。オーバーコートが、第4の誘電層の上に配置される。各層の厚さが、以下の表6に示される。プライマー層がアルミニウム及び亜鉛を含む事例では、三重金属コーティングの金属層の総厚さは、10nm~65nm、好ましくは15nm~55nm、より好ましくは20nm~45nm、最も好ましくは25nm~36nmの範囲である。三重金属コーティングの非限定例が、図16~21及び23に提供される。
【表6-1】

【表6-2】
【0096】
HUDのコーティングが四重金属コーティングを含む実施例では、コーティングは、第4の誘電層の上に追加の層を有する。つまり、第4の金属層が、誘電層の上に配置される。任意選択の第4のプライマー層が、第4の金属層の上に配置される。第5の誘電層が、第4の金属層又は任意選択の第4のプライマー層の上に配置される。任意選択のオーバーコートが、第5の誘電層の上に配置される。各層の厚さが、以下の表7に示される。プライマー層がアルミニウム及び亜鉛を含む事例では、四重金属コーティング34の金属層の総厚さは、10nm~65nm、好ましくは20nm~60nm、より好ましくは40nm~55nm、最も好ましくは35nm~45nmの範囲である。
【0097】
4つの金属層を有するコーティングの非限定例が、図22に提供される。
【表7-1】

【表7-2】
【0098】
HUDのコーティングの一部の非限定実施例では、コーティングは、光吸収剤をさらに含む。光吸収剤は、色付きガラス、PVB、吸収層又はその組合せからなる群から選択される。上記の実施例では、追加の吸収層は、吸収層が第4の誘電層又は第5の誘電層と任意選択のオーバーコートとの間に配置される、又はコーティングの最外側層となるように、第4の誘電層又は第5の誘電層の上に配置され得る。そのような実施例の非限定例が、図20及び21に提供される。吸収層は、Ge、GeO、NbN、NbN、SiAl、SiAl、SiCo、SiCo、SiCoCu、SiCoCu、SiCr、SiCr、SiNi、SiNiO、SiO、SnN、SnO、SnO、TiN、TiNb、TiNb、TiNb、TiO、WO、WO、Zn:Co、ZnO:Fe、ZnO:Mn、ZnO:Ni、ZnO:V、ZnO:Cr、ZnSn、ZnSn又はその任意の組合せからなる群から選択される。非限定的な実施例では、光吸収化合物は、酸化ケイ素コバルトを含み得る。吸収層は、1nm~40nm、好ましくは5nm~30nm、より好ましくは10nm~25nm、最も好ましくは15nm~20nmの厚さを有し得る。或いは、吸収層は、未臨界金属膜を含み得る。未臨界金属層の金属は、銀、金、その合金、その混合物又はその組合せを含み得る。非限定的な実施例では、未臨界膜は、銀を含む。未臨界金属膜は、0.5nm~20nm、好ましくは1nm~10nm、又はより好ましくは1.5nm~3.5nmの厚さを有し得る。「未臨界厚さ」という用語は、コーティング材料がコーティング材料の分離された非連結領域を形成する臨界厚さ未満の厚さを意味する。「点在する」という用語は、コーティング材料が連続層ではなく、材料が点在する領域又は島を形成するように堆積されることを意味する。追加の誘電層が、未臨界金属膜の少なくとも一部分の上に形成され得る。未臨界金属膜の少なくとも一部分の上に形成された追加の誘電層は、25nm~33nm、好ましくは26nm~32nm、より好ましくは27nm~31nm、最も好ましくは28nm~30nmの範囲の総厚さを含み、第1、第2、第3、第4及び第5の誘電層に関して上で議論した材料の任意のものを含み得る。
【0099】
HUDのコーティングの非限定的な一実施では、コーティングは、25%以下、例えば、20%以下、例えば10%以下、例えば8%以下の可視光反射率を提供する。本発明の非限定的な一実施では、コーティングは、1~-2の範囲、例えば、1~-1、好ましくは-0.5~0.5、より好ましくは-0.5~0の範囲、最も好ましくは0の8度角(°)における外(ext)反射a(Rg8a)を提供する。非限定的な一実施では、コーティングは、1~-2の範囲、例えば、1~-1、好ましくは-0.5~0.5、より好ましくは-0.5~0の範囲、又は最も好ましくは0の8°における外反射b(Rg8b)を提供する。
【0100】
別の実施例では、本発明は、少なくとも42、好ましくは少なくとも45、より好ましくは少なくとも46、最も好ましくは少なくとも50のRgLを有するコーティング基材を対象とする。別の実施例では、RgL値は、少なくとも35且つ55以下である。別の実施例では、RgLは、少なくとも42である。別の実施例では、RgLは、52以下である。この実施例では、2つの金属層が存在する。実施例は、基材、及び基材の上のコーティングを有する。コーティングは、基材の少なくとも一部分の上に配置された第1の誘電層を有する。第1の金属層が、第1の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。場合により、プライマーが、第1の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の誘電層が、第1の金属層又は任意選択の第1のプライマーの少なくとも一部分の上に配置される。第2の金属層が、第2の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。任意選択の第2のプライマーが、第2の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第3の誘電層が、第2の金属層又は任意選択の第2のプライマーの少なくとも一部分の上に配置される。オーバーコートが、第4の誘電層の上に配置される。各層の厚さが、以下の表8に示され、結果は、図21に見出すことができる。
【表8-1】

【表8-2】
【0101】
本発明はまた、コーティング物品のこれらの様々な実施例を作る方法を含む。これは、基材を用意すること;基材の上にコーティングを適用することを含み、コーティングは、基材の少なくとも一部分の上に適用された第1の誘電層、第1の誘電層の少なくとも一部分の上に適用された任意選択の第1のシード膜、第1の誘電層又は任意選択の第1のシード膜の少なくとも一部分の上に適用された第1の金属層、第1の金属層の少なくとも一部分の上に適用された第1のプライマー層、及び第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に適用された第2の誘電層を含む。上記方法で用意されたコーティングはまた、場合により、第2の誘電層の少なくとも一部分の上に適用された第2のシード膜、第2の誘電層若しくは第2のシード膜の少なくとも一部分の上に適用された第2の金属層、第2の金属層の少なくとも一部分の上に適用された第2のプライマー層、第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に適用された第3の誘電層、第3の誘電層の少なくとも一部分の上に適用された第3のシード膜、第3の誘電層若しくは第3のシード膜の少なくとも一部分の上に適用された第3の金属層、第3の金属層の少なくとも一部分の上に適用された第3のプライマー層、第3のプライマー層の少なくとも一部分の上に適用された第4の誘電層、第4の誘電層の少なくとも一部分の上に適用された第4のシード膜、第4の誘電層又は第4のシード膜の少なくとも一部分の上に適用された第4の金属層、第4の金属層の少なくとも一部分の上に適用された第4のプライマー層、及び/又は第4のプライマー層の少なくとも一部分の上に適用された第5の誘電層を含み得る。上記方法のコーティングはまた、場合により、最上誘電層の少なくとも一部分の上に保護層、並びに/又は最上誘電層の少なくとも一部分の上且つ最上誘電層と保護層との間に適用された応力層を含む。
【0102】
本発明はまた、コーティング物品のこれらの様々な実施例を作る方法を含む。これは、基材を用意すること;基材の上にコーティングを適用すること;コーティングを含む基材を加熱すること;及びコーティングを含む基材を所望の形状に湾曲することを含み、コーティングは、基材の少なくとも一部分の上に適用された第1の誘電層、第1の誘電層の少なくとも一部分の上に適用された任意選択の第1のシード膜、第1の誘電層又は任意選択の第1のシード膜の少なくとも一部分の上に適用された第1の金属層、第1の金属層の少なくとも一部分の上に適用された第1のプライマー層、及び第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に適用された第2の誘電層を含む。上記方法で用意されたコーティングはまた、場合により、第2の誘電層の少なくとも一部分の上に適用された第2のシード膜、第2の誘電層若しくは第2のシード膜の少なくとも一部分の上に適用された第2の金属層、第2の金属層の少なくとも一部分の上に適用された第2のプライマー層、第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に適用された第3の誘電層、第3の誘電層の少なくとも一部分の上に適用された第3のシード膜、第3の誘電層若しくは第3のシード膜の少なくとも一部分の上に適用された第3の金属層、第3の金属層の少なくとも一部分の上に適用された第3のプライマー層、第3のプライマー層の少なくとも一部分の上に適用された第4の誘電層、第4の誘電層の少なくとも一部分の上に適用された第4のシード膜、第4の誘電層若しくは第4のシード膜の少なくとも一部分の上に適用された第4の金属層、第4の金属層の少なくとも一部分の上に適用された第4のプライマー層、及び/又は第4のプライマー層の少なくとも一部分の上に適用された第5の誘電層を含み得る。上記方法のコーティングはまた、場合により、最上誘電層の少なくとも一部分の上に保護層、並びに/又は最上誘電層の少なくとも一部分の上且つ最上誘電層と保護層との間に適用された応力層を含み得る。
【0103】
本発明は、以下の番号付きの項目でさらに記載される。
【0104】
項目1. 基材;基材の少なくとも一部分の上に第1の誘電層;第1の誘電層の少なくとも一部分の上に第1の金属層;第1の金属層の少なくとも一部分の上に第1のプライマー層;第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に第2の誘電層;第2の誘電層の少なくとも一部分の上に第2の金属層;第2の金属層の少なくとも一部分の上に第2のプライマー層;第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に第3の誘電層;第3の誘電層の少なくとも一部分の上に第3の金属層;第3の金属層の少なくとも一部分の上に第3のプライマー層;及び第3のプライマー層の少なくとも一部分の上に第4の誘電層を含むコーティング物品であって、金属層の合計厚さが、少なくとも30ナノメートル且つ60ナノメートル以下である、コーティング物品。
【0105】
項目2. 第1の金属層が、銀、銅、金、アルミニウム、その混合物及びその合金からなる群から選択され、第2の金属層が、銀、銅、金、アルミニウム、その混合物及びその合金からなる群から選択され、並びに/又は第3の金属層が、銀、銅、金、アルミニウム、その混合物及びその合金からなる群から選択される、項目1によるコーティング物品。
【0106】
項目3. 第1の金属層が銀を含み、第2の金属層が銀を含み、第3の金属層が銀を含む、項目1によるコーティング物品。
【0107】
項目4. 第1の金属層が少なくとも90Å且つ最大140Åの厚さを有し、第2の金属層が少なくとも110Å且つ最大140Åの厚さを有し、及び/又は第3の金属層が少なくとも90Å且つ最大150Åの厚さを有する、先行する項目のいずれかによるコーティング物品。
【0108】
項目5. 第1の金属層が第1の金属層厚さを有し、第3の金属層が第3の金属層厚さを有し、第1の金属層厚さが第3の金属層厚さよりも少なくとも10%厚い又は薄い、先行する項目のいずれかによるコーティング物品。
【0109】
項目6. 第1の金属層が第1の金属層厚さを有し、第2の金属層が第2の金属層厚さを有し、第1の金属層厚さが第2の金属層厚さよりも薄い、先行する項目のいずれかによるコーティング物品。
【0110】
項目7. 第3の金属層が第3の金属層厚さを有し、第2の金属層が第2の金属層厚さを有し、第3の金属層厚さが第2の金属層厚さよりも薄い、先行する項目のいずれかによるコーティング物品。
【0111】
項目8. 第4の誘電層の少なくとも一部分の上に第4の金属層;第4の金属層の少なくとも一部分の上に第4のプライマー層;及び第4のプライマー層の少なくとも一部分の上に第5の誘電層をさらに含む、先行する項目のいずれかによるコーティング物品。
【0112】
項目9. 第1の金属層が、銀、銅、金、パラジウム、アルミニウム、その混合物若しくはその合金からなる群から選択され、第2の金属層が、銀、銅、金、パラジウム、アルミニウム、その混合物若しくはその合金からなる群から選択され、第3の金属層が、銀、銅、金、パラジウム、アルミニウム、その混合物若しくはその合金からなる群から選択され、及び/又は第4の金属層が、銀、銅、金、パラジウム、アルミニウム、その混合物若しくはその合金からなる群から選択される、項目8によるコーティング物品。
【0113】
項目10. 第1の金属層が銀を含み、第2の金属層が銀を含み、第3の金属層が銀を含み、第4の金属層が銀を含む、項目8又は9によるコーティング物品。
【0114】
項目11. 第1の金属層が少なくとも90Å且つ最大100Åの厚さを有し、第2の金属層が少なくとも110Å且つ最大130Åの厚さを有し、第3の金属層が少なくとも110Å且つ最大130Åの厚さを有し、第4の金属層が少なくとも90Å且つ最大110Åの厚さを有する、項目8~10のいずれかによるコーティング物品。
【0115】
項目12. 第1の金属層が第1の金属層厚さを有し、第4の金属層が第4の金属層厚さを有し、第1の金属層厚さが第4の金属層厚さよりも10%厚い又は薄い、項目8~11のいずれかによるコーティング物品。
【0116】
項目13. 第2の金属層が第2の金属層厚さを有し、第3の金属層が第3の金属層厚さを有し、第2の金属層厚さが第3の金属層厚さよりも10%厚い又は薄い、項目8~12のいずれかによるコーティング物品。
【0117】
項目14. 第1の金属層が第1の金属層厚さを有し、第2の金属層が第2の金属層厚さを有し、第1の金属層厚さが第2の金属層厚さよりも薄い、項目8~13のいずれかによるコーティング物品。
【0118】
項目15. 第4の金属層が第4の金属層厚さを有し、第3の金属層が第3の金属層厚さを有し、第4の金属層厚さが第3の金属層厚さよりも薄い、項目8~14のいずれかによるコーティング物品。
【0119】
項目16. すべての金属層の合計厚さが、47nm以下及び/又は少なくとも35nmである、先行する項目のいずれかによるコーティング物品。
【0120】
項目17. すべての金属層の合計厚さが43ナノメートル以下及び/又は少なくとも35ナノメートルである、項目16によるコーティング物品。
【0121】
項目18. 金属層の少なくとも1つが、銀、銅、金、パラジウム、アルミニウム、その混合物又はその合金のうちの少なくとも1つを含む、項目1によるコーティング物品。
【0122】
項目19. 第1の誘電層が、スズ酸亜鉛膜、及びスズ酸亜鉛膜の少なくとも一部分の上に酸化亜鉛膜を含む、先行する項目のいずれかによるコーティング物品。
【0123】
項目20. 第2の誘電層及び/又は第3の誘電層が、第1の酸化亜鉛膜、第1の酸化亜鉛膜の少なくとも一部分の上に任意選択のスズ酸亜鉛膜、及びスズ酸亜鉛膜の少なくとも一部分の上に第2の膜を含み、第2の膜が、酸化亜鉛、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素又はその組合せを含む、先行する項目のいずれかによるコーティング物品。
【0124】
項目21. 第4の誘電層が、酸化亜鉛膜、及び酸化亜鉛膜の少なくとも一部分の上にスズ酸亜鉛層膜を含む、先行する項目のいずれかによるコーティング物品。
【0125】
項目22. 少なくとも1つの誘電層が、窒化ケイ素膜を含む、先行する項目のいずれかによるコーティング物品。
【0126】
項目23. 保護層を含む最外側保護コーティングをさらに含み、保護層が、Si、SiAlN、SiAlON、SiAlO、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、その合金又はその混合物のうちの少なくとも1つを含む、先行する項目のいずれかによるコーティング物品。
【0127】
項目24. 最外側保護層が、Si、SiAlO、SiAlN、SiAlON又はその混合物を含む、項目23によるコーティング物品。
【0128】
項目25. 最外側保護層が、チタニアを含む、項目23によるコーティング物品。
【0129】
項目26. 第1のプライマー層、第2のプライマー層及び/又は第3のプライマー層のうちの少なくとも1つが、チタン、コバルト、ケイ素、亜鉛、アルミニウム、バナジウム、タングステン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、マンガン、クロム、スズ、ニッケル、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、マグネシウム、モリブデン、銀、炭化ケイ素、アルミニウムドープ銀、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、タングステンタンタル、チタンニオブ、ジルコニウムニオブ、タングステンニオブ、アルミニウムニオブ、アルミニウムチタン、タングステンチタン、タンタルチタン、亜鉛チタン、アルミニウム銀、亜鉛スズ、インジウム亜鉛、銀亜鉛、その混合物及びその合金から選択され、プライマーが、金属として堆積され、続いて酸化され得る、先行する項目のいずれかによるコーティング物品。
【0130】
項目27. 第1のプライマー層、第2のプライマー層及び/又は第3のプライマー層のうちの少なくとも1つが、チタン又はニッケル-クロム合金を含み、プライマーが、金属として堆積され、続いて酸化される、項目26によるコーティング物品。
【0131】
項目28. 第1のプライマー層、第2のプライマー層及び/又は第3のプライマー層が、チタン、コバルト、ケイ素、亜鉛、アルミニウム、バナジウム、タングステン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、マンガン、クロム、スズ、ニッケル、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、マグネシウム、モリブデン、銀、炭化ケイ素、アルミニウムドープ銀、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、タングステンタンタル、チタンニオブ、ジルコニウムニオブ、タングステンニオブ、アルミニウムニオブ、アルミニウムチタン、タングステンチタン、タンタルチタン、亜鉛チタン、アルミニウム銀、亜鉛スズ、インジウム亜鉛、銀亜鉛、その混合物及びその合金から選択される金属を含む金属酸化物であり、プライマーが、金属として堆積され、続いて酸化され得る、項目26によるコーティング物品。
【0132】
項目29. 第1のプライマー層、第2のプライマー層及び/又は第3のプライマー層のうちの少なくとも1つが、チタン、チタン-アルミニウム合金、ニッケル又はニッケル-クロム合金を含む金属を含む金属酸化物である、項目28による物品。
【0133】
項目30. 少なくとも70%の可視光透過率を有する、先行する項目のいずれかによるコーティング物品。
【0134】
項目31. 基材;基材の少なくとも一部分の上に第1の誘電層;第1の誘電層の少なくとも一部分の上に第1の金属層;第1の金属層の少なくとも一部分の上に第1のプライマー層;第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に第2の誘電層;第2の誘電層の少なくとも一部分の上に第2の金属層;第2の金属層の少なくとも一部分の上に第2のプライマー層;第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に第3の誘電層;第3の誘電層の少なくとも一部分の上に第3の金属層;第3の金属層の少なくとも一部分の上に第3のプライマー層;及び第3のプライマー層の少なくとも一部分の上に第4の誘電層を含むコーティング物品であって;0.85Ω/□以下のシート抵抗を有する、コーティング物品。
【0135】
項目32. シート抵抗が0.8Ω/□以下である、項目31によるコーティング物品。
【0136】
項目33.シート抵抗が0.7Ω/□以下である、項目31又は32によるコーティング 物品。
【0137】
項目34. 少なくとも70%の可視光透過率を有する、項目31~33のいずれかによるコーティング物品。
【0138】
項目35. 金属層の少なくとも1つが、銀、銅、金、パラジウム、アルミニウム、その混合物又はその合金のうちの少なくとも1つを含む、項目31~34のいずれかによるコーティング物品。
【0139】
項目36. 誘電層の少なくとも1つが、スズ酸亜鉛膜、酸化亜鉛膜、窒化ケイ素膜又はその混合物のうちの少なくとも1つを含む、項目31~35のいずれかによるコーティング物品。
【0140】
項目37.プライマー層の少なくとも1つが、チタン、コバルト、ケイ素、亜鉛、アルミニウム、バナジウム、タングステン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、マンガン、クロム、スズ、ニッケル、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、マグネシウム、モリブデン、銀、炭化ケイ素、アルミニウムドープ銀、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、タングステンタンタル、チタンニオブ、ジルコニウムニオブ、タングステンニオブ、アルミニウムニオブ、アルミニウムチタン、タングステンチタン、タンタルチタン、亜鉛チタン、アルミニウム銀、亜鉛スズ、インジウム亜鉛、銀亜鉛、その混合物及びその合金から選択され、プライマーが、金属として堆積され、続いて酸化される、項目31~36のいずれかによるコーティング物品。
【0141】
項目38. 第1のプライマー層が、チタン、アルミニウム、ニッケル又はクロムを含み、プライマーが、金属として堆積され、続いて酸化される、先行する項目のいずれかによるコーティング物品。
【0142】
項目39. 第2のプライマー層が、チタン、アルミニウム、ニッケル又はクロムを含み、プライマーが、金属として堆積され、続いて酸化される、先行する項目のいずれかによる物品。
【0143】
項目40. 第3のプライマー層が、チタン、アルミニウム、ニッケル又はクロムを含み、プライマーが、金属として堆積され、続いて酸化される、先行する項目のいずれかによる物品。
【0144】
項目41. 基材;基材の少なくとも一部分の上に第1の誘電層;第1の誘電層の少なくとも一部分の上に第1の金属層;第1の金属層の少なくとも一部分の上に第1のプライマー層;第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に第2の誘電層;第2の誘電層の少なくとも一部分の上に第2の金属層;及び第2の金属層の少なくとも一部分の上に第2のプライマー層を含むコーティング物品であって、金属層の合計厚さが、少なくとも30ナノメートル且つ60ナノメートル以下である、コーティング物品。
【0145】
項目42. 第1の金属層が、銀、銅、金、アルミニウム、その混合物又はその合金からなる群から選択され、第2の金属層が、銀、銅、金、アルミニウム、その混合物又はその合金からなる群から選択される、項目41によるコーティング物品。
【0146】
項目43. 第1の金属層が銀を含み、第2の金属層が銀を含む、項目41又は42によるコーティング物品。
【0147】
項目44. 第1の金属層が、少なくとも90nm且つ最大140nmの厚さを有し、第2の金属層が、少なくとも110nm且つ最大140nmの厚さを有する、項目41~43のいずれかによるコーティング物品。
【0148】
項目45. 第1の金属層が第1の金属層厚さを有し、第2の金属層が第2の金属層厚さを有し、第1の金属層厚さが、第1の金属層厚さよりも10%厚い又は薄い、項目41~44のいずれかによるコーティング物品。
【0149】
項目46. 第1の金属層が第1の金属層厚さを有し、第2の金属層が第2の金属層厚さを有し、第1の金属層厚さが第2の金属層厚さよりも薄い、項目41~45のいずれかによるコーティング物品。
【0150】
項目47. 第3の誘電層の少なくとも一部分の上に配置された第3の金属層、第3の金属層の少なくとも一部分の上に第3のプライマー層、及び第3のプライマー層の少なくとも一部分の上に第4の誘電層をさらに含む、項目41~46のいずれかによるコーティング物品。
【0151】
項目48. 第1の金属層が、銀、銅、金、パラジウム、アルミニウム、その混合物又はその合金からなる群から選択され、第2の金属層が、銀、銅、金、パラジウム、アルミニウム、その混合物又はその合金からなる群から選択され、第3の金属層が、銀、銅、金、パラジウム、アルミニウム、その混合物又はその合金からなる群から選択される、項目47によるコーティング物品。
【0152】
項目49. 第1の金属層が銀を含み、第2の金属層が銀を含み、第3の金属層が銀を含む、項目47又は48によるコーティング物品。
【0153】
項目50. 第1の金属層が少なくとも110Å且つ最大140Åの厚さを有し、第2の金属層が少なくとも130Å且つ最大140Åの厚さを有し、第3の金属層が少なくとも110Å且つ最大150Åの厚さを有する、項目47~49のいずれかによるコーティング物品。
【0154】
項目51. 第1の金属層が第1の金属層厚さを有し、第3の金属層が第3の金属層厚さを有し、第1の金属層厚さが第3の金属層厚さよりも10%厚い又は薄い、項目47~50のいずれかによるコーティング物品。
【0155】
項目52. 第1の金属層が第1の金属層厚さを有し、第2の金属層が第2の金属層厚さを有し、第1の金属層厚さが第2の金属層厚さよりも薄い、項目47~51のいずれかによるコーティング物品。
【0156】
項目53. 第3の金属層が第3の金属層厚さを有し、第2の金属層が第2の金属層厚さを有し、第3の金属層厚さが第2の金属層厚さよりも薄い、項目47~52のいずれかによるコーティング物品。
【0157】
項目54. 第4の誘電層の少なくとも一部分の上に第4の金属層;第4の金属層の少なくとも一部分の上に第4のプライマー層;及び第4のプライマー層の少なくとも一部分の上に第5の誘電層をさらに含む、項目47~53のいずれかによるコーティング物品。
【0158】
項目55. 第1の金属層が、銀、銅、金、パラジウム、アルミニウム、その混合物若しくはその合金からなる群から選択され、第2の金属層が、銀、銅、金、パラジウム、アルミニウム、その混合物若しくはその合金からなる群から選択され、第3の金属層が、銀、銅、金、アルミニウム、その混合物若しくはその合金からなる群から選択され、第4の金属層が、銀、銅、金、パラジウム、アルミニウム、その混合物若しくはその合金からなる群から選択される、項目54によるコーティング物品。
【0159】
項目56. 第1の金属層が銀を含み、第2の金属層が銀を含み、第3の金属層が銀を含み、第4の金属層が銀を含む、項目54又は55によるコーティング物品。
【0160】
項目57. 第1の金属層が少なくとも90Å且つ最大100Åの厚さを有し、第2の金属層が少なくとも110Å且つ最大130Åの厚さを有し、第3の金属層が少なくとも110Å且つ最大130Åの厚さを有し、第4の金属層が少なくとも90Å且つ最大110Åの厚さを有する、項目54~56のいずれかによるコーティング物品。
【0161】
項目58. 第1の金属層が第1の金属層厚さを有し、第4の金属層が第4の金属層厚さを有し、第1の金属層厚さが第4の金属層厚さよりも10%厚い又は薄い、項目54~57のいずれかによるコーティング物品。
【0162】
項目59. 第4の金属層が第4の金属層厚さを有し、第3の金属層が第3の金属層厚さを有し、第4の金属層厚さが第3の金属層厚さよりも薄い、項目54~58のいずれかによるコーティング物品。
【0163】
項目60. 少なくとも70%の可視光透過率を有する、項目41~59のいずれかによるコーティング物品。
【0164】
項目61. 金属層の少なくとも1つが、銀、銅、金、パラジウム、アルミニウム、その混合物又はその合金のうちの少なくとも1つを含む、項目41によるコーティング物品。
【0165】
項目62. 誘電層の少なくとも1つが、スズ酸亜鉛層、酸化亜鉛層、窒化ケイ素層又はその混合物のうちの少なくとも1つを含む、項目41~61のいずれかによるコーティング物品。
【0166】
項目63. 保護層を含む最外側保護コーティングをさらに含み、保護層が、Si、SiAlN、SiAlON、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、その合金又はその混合物のうちの少なくとも1つを含む、項目41~62のいずれかによるコーティング物品。
【0167】
項目64. 少なくとも1つのプライマー層が、チタン、コバルト、ケイ素、亜鉛、アルミニウム、バナジウム、タングステン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、マンガン、クロム、スズ、ニッケル、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、マグネシウム、モリブデン、銀、炭化ケイ素、アルミニウムドープ銀、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、タングステンタンタル、チタンニオブ、ジルコニウムニオブ、タングステンニオブ、アルミニウムニオブ、アルミニウムチタン、タングステンチタン、タンタルチタン、亜鉛チタン、アルミニウム銀、亜鉛スズ、インジウム亜鉛、銀亜鉛、その混合物及びその合金から選択され、プライマーが、金属として堆積され、続いて酸化される、項目41~63のいずれかによるコーティング物品。
【0168】
項目65. 第1の表面及び第2の表面を含む第1の基材;第1の基材の少なくとも一部分の上に、第3の表面及び第4の表面を含む第2の基材であって、第2の表面が第3の表面に面して配置され、第2及び第3の表面が中間層によって分離された、第2の基材;並びに第2又は第3の表面のいずれかの上に配置された機能性コーティングを含むコーティング物品であって、機能性コーティングが、表面の少なくとも一部分の上に第1の誘電層;第1の誘電層の少なくとも一部分の上に第1の金属層;第1の金属層の少なくとも一部分の上に第1のプライマー層;第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に第2の誘電層;第2の誘電層の少なくとも一部分の上に第2の金属層;第2の金属層の少なくとも一部分の上に第2のプライマー層;第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に第3の誘電層;第3の誘電層の少なくとも一部分の上に第3の金属層;第3の金属層の少なくとも一部分の上に第3のプライマー層;及び第3のプライマー層の少なくとも一部分の上に第4の誘電層を含み、コーティング基材が、10%以下の可視光反射率を有する、コーティング物品。
【0169】
項目66. 第4の誘電層の少なくとも一部分の上に第4の金属層;第4の金属層の少なくとも一部分の上に第4のプライマー層;及び第4のプライマー層の少なくとも一部分の上に第5の誘電層をさらに含む、項目65によるコーティング物品。
【0170】
項目67. コーティング基材が、8%以下の可視光反射率を有する、項目65又は66によるコーティング物品。
【0171】
項目68. 少なくとも70%の可視光透過率を有する、項目65~67のいずれかによるコーティング物品。
【0172】
項目69. 金属層の少なくとも1つが、銀、銅、金、アルミニウム、その混合物又はその合金のうちの少なくとも1つを含む、項目65~68のいずれかによるコーティング物品。
【0173】
項目70. 誘電層の少なくとも1つが、スズ酸亜鉛層、酸化亜鉛層、窒化ケイ素層又はその混合物のうちの少なくとも1つを含む、項目65~69のいずれかによるコーティング物品。
【0174】
項目71. 保護層を含む最外側保護コーティングをさらに含み、保護層が、Si、SiAlN、SiAlON、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、その合金又はその混合物のうちの少なくとも1つを含む、項目65~70のいずれかによるコーティング物品。
【0175】
項目72. プライマー層の少なくとも1つが、チタン、コバルト、ケイ素、亜鉛、アルミニウム、バナジウム、タングステン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、マンガン、クロム、スズ、ニッケル、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、マグネシウム、モリブデン、銀、炭化ケイ素、アルミニウムドープ銀、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、タングステンタンタル、チタンニオブ、ジルコニウムニオブ、タングステンニオブ、アルミニウムニオブ、アルミニウムチタン、タングステンチタン、タンタルチタン、亜鉛チタン、アルミニウム銀、亜鉛スズ、インジウム亜鉛、銀亜鉛、その混合物及びその合金から選択され、プライマーが、金属として堆積され、続いて酸化される、項目65~71のいずれかによるコーティング物品。
【0176】
以下の実例は、本発明の種々の実施例を例示する。しかしながら、本発明は、これらの特定の実施例に限定されないことが理解される。
【実施例
【0177】
「実例1」
既に言及した通り、コーティングのシート抵抗は、個々の層に新しい材料を使用することによって低減できる。シート抵抗はまた、新しい層をすべて一緒に追加することにより低減されることが予期される。表9において、Ti78Nb22をTiプライマー層の代わりにスタックに統合した。酸素堆積によるAgもまた、銀金属層下にシード膜として含まれた。基材は、クリアガラス基材である。ZTは、スズ酸亜鉛としても公知の亜鉛スズを表す。Zn90は、酸素の存在下、10wt%のスズ及び90wt%の亜鉛を含むカソード(すなわち、ZnO90/10)から堆積されたスズドープ酸化亜鉛である。Agは銀を意味する。PPOは、上で議論される保護層又はコーティングである。これらの層を統合する前に、各層は、最低のシート抵抗を有するように最適化した。以下の表において、異なる組合せにおける最良のサンプルが列挙される。
【表9】
【0178】
既に議論した応力層として保護層下にTi78Nb22を挿入した追加のコーティングスタックもまた、試験した。合計3つの層を、ベースラインから最終コーティングスタックで変化させた。そのシート抵抗の値は表10に見ることができる。
【表10】
【0179】
表11は、Tiプライマー層又はTi78Nb22プライマー層をTi3Nb97Nx又はチタンニオブ窒化物と置き換える。
【表11】
【0180】
表12は、誘電層の一部として銀層の上及び下にアルミニウム亜鉛プライマー及びアルミニウム亜鉛酸化物を有するコーティングスタックの実験を示す。シート抵抗は、単一銀スタックについて3.75から3.21Ω/□に低下する。
【表12】
【0181】
表13は、銀層の上及び下にアルミニウム亜鉛プライマー及びアルミニウム亜鉛酸化物を有するコーティングスタックの実験を示す。シート抵抗は、AgとZn90Sn10Oとの間にAZプライマー及びAg酸素堆積シード膜を有する三重銀スタックについて1から0.73Ω/□に低下する。
【表13】
【0182】
保護層の下の応力層の追加の結果、コーティングスタックのシート抵抗はさらに低下し得る。様々な追加の材料を、応力層としての使用について試験した。これらの材料の一部を表14に示し、応力層としてのこれらの材料の含有によるシート抵抗の低下を示す。
【表14】
【0183】
実験を、金属層を囲む誘電層の膜をVZnO(酸化バナジウム亜鉛)と置き換えて行った。金属層直下の誘電層の上膜を置き換え、金属層直上の誘電層の底膜を置き換えた。これらは、Tiプライマー層及び亜鉛金属プライマー層の両方と対であった。これらの実験を結果は、以下の表15に示される。
【表15】
【0184】
「実例2」
表16及び17は、本発明の例示的なコーティングを示す。報告される厚さは、オングストローム(Å)単位の幾何学厚さである。基材は、2.1mmの厚さを有するクリアガラス基材である。ZSは、酸素の存在下、52wt%の亜鉛及び48wt%のスズを有するカソードから堆積されたスズ酸亜鉛を意味する。TZOは、酸素の存在下、10wt%のスズ及び90wt%の亜鉛を含むカソード(すなわち、ZnO90/10)から堆積されたスズドープ酸化亜鉛を意味する。Agは銀を意味する。TiOは、金属として堆積され、加工の間に酸化されるチタンプライマー層を意味する。
【表16】

【表17】
【0185】
表18~22は、表5及び6のサンプルについてのスペクトル特性を示す。
【表18】

【表19】

【表20】

【表21】

【表22】
【0186】
当業者であれば、前述の記載に開示される概念から逸脱することなく、本発明に修正がなされ得ることを容易に認識するであろう。したがって、本明細書に詳細に記載される特定の実施例は、例示に過ぎず、本発明の範囲を限定せず、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の全幅及び任意且つすべてのその等価物において示される。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図6d
図7a
図7b
図7c
図7d
図8a
図8b
図8c
図8d
図9a
図9b
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25