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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】手術器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/70 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A61B17/70
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021559392
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 IB2020053338
(87)【国際公開番号】W WO2020208536
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-11-12
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】102019000005358
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512073792
【氏名又は名称】メダクタ・インターナショナル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】シッカルディ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】フィシュテル,マインラード
(72)【発明者】
【氏名】リヴァ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ランポン,マルコ
【合議体】
【審判長】井上 哲男
【審判官】佐々木 正章
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-13106(JP,A)
【文献】特開2017-127551(JP,A)
【文献】特開2013-144115(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0245705(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多軸外科用ねじ(100)を備える手術器具(1)であって、前記多軸外科用ねじ(100)は、
内部中空チューリップ(101)であって、当該チューリップ(101)の内部にアクセスするための第1の開放端部(103)と、前記第1の開放端部(103)の反対側の第2の端部(104)と、前記第1の開放端部(103)と前記第2の端部(104)との間に展開する側壁(102)とを有し、当該チューリップ(101)は、平行で且つ相互に離間している2つの細長いロッド(110)と、2本の脆弱線(118)とを含み、前記2本の脆弱線(118)の各々は、前記2つの細長いロッド(110)のうちの対応する細長いロッド(110)と前記側壁(102)との間に延び、当該細長いロッド(110)自体と前記チューリップ(101)との間の分離領域を規定し、各細長いロッド(110)は、前記側壁(102)から突出して、当該チューリップ(101)の前記第2の端部(104)と反対の方向に当該チューリップ(101)の前記第1の開放端部(103)から離れるように延び、前記2つの細長いロッド(110)は、当該チューリップ(101)の内部にアクセスするための前記第1の開放端部(103)と連通するチャネル(111)を規定する、内部中空チューリップ(101)と、
ねじ先端を規定する第1の端部(107)と、前記第1の端部(107)の反対側の第2の端部(108)とを有するねじ付きシャフト(106)であって、前記チューリップ(101)自体に対して前記シャフト(106)を方向付けるために前記第2の端部(108)が前記チューリップ(101)の前記第2の端部(104)に挿入されたボールジョイント(109)を有する、ねじ付きシャフト(106)と、を備え、
前記手術器具(1)は、前記多軸外科用ねじ(100)に対して取り付けおよび取り外し可能である固定ユニット(2)をさらに備え、
前記固定ユニット(2)は、内部空洞(4)を有し且つ前記固定ユニット(2)が前記多軸外科用ねじ(100)に取り付けられた場合に前記2つの細長いロッド(110)の周りに取り付けられるように適合された管状本体(3)を備え、前記管状本体(3)は、前記内部空洞(4)に突出する2つの相互に向かい合う突起(5)を有し、
前記2つの相互に向かい合う突起(5)は、前記2つの細長いロッド(110)間に規定されたチャネル(111)に面し且つ前記2つの細長いロッド(110)間に配置されて、前記固定ユニット(2)が前記多軸外科用ねじ(100)に取り付けられた場合に前記2つの細長いロッド(110)の相互の接近を防ぐように構成され
前記2つの細長いロッド(110)が、前記2つの細長いロッド(110)のそれぞれの自由端部の端(110a)にそれぞれの貫通孔(120)を有し、前記固定ユニット(2)が、前記管状本体(3)に接続された一対の固定ピン(7)を備え、前記一対の固定ピン(7)は、前記固定ユニット(2)が前記多軸外科用ねじ(100)に取り付けられた場合に、それらが前記貫通孔(120)に挿入されて前記2つの細長いロッド(110)に対して前記管状本体の軸方向の滑りを防止する固定位置と、それらが前記貫通孔(120)から分離される解除位置との間で切り替えることができ、
前記固定ユニット(2)が、前記管状本体(3)に接続された一対のアーム(8)を備え、各アーム(8)が第1の端部(8a)および第2の端部(8b)を有し、前記第1の端部(8a)に、対応する固定ピン(7)が形成されており、前記第2の端部(8b)が前記管状本体(3)から半径方向外側に配置され且つ前記固定ユニット(2)の把持部分を規定し、前記一対のアーム(8)は、前記管状本体(3)のそれぞれの支点(F)の周りで回転動作可能であり、前記把持部分を近づけるまたは遠ざけることによって前記一対の固定ピン(7)を動かして前記一対の固定ピン(7)を前記固定位置と前記解除位置との間で切り替える、手術器具(1)。
【請求項2】
各細長いロッド(110)は、断面において実質的に「C」字形の展開を有し、前記2つの細長いロッド(110)は、相互に向かい合うそれぞれの凹状内面(112)および前記それぞれの凹状内面(112)と反対側のそれぞれの凸状外面(113)を持ち、前記それぞれの凸状外面(113)は、円形断面を持つ同一の円柱の側壁に沿って位置しており、前記管状本体(3)は、前記2つの相互に向かい合う突起(5)の間に配置された2つの相互に対向する溝(6)を有し、前記2つの相互に対向する溝(6)は、前記2つの細長いロッド(110)を少なくとも部分的に収容して、前記2つの細長いロッド(110)の周りの前記管状本体(3)の回転を防ぐように形作られている、請求項1に記載の手術器具(1)。
【請求項3】
前記2つの細長いロッド(110)が、前記2つの細長いロッド(110)のそれぞれの自由端部の端(110a)にそれぞれの貫通孔(120)を有し、前記固定ユニット(2)が、前記管状本体(3)に接続された一対の固定ピン(7)を備え、前記一対の固定ピン(7)は、前記固定ユニット(2)が前記多軸外科用ねじ(100)に取り付けられた場合に、それらが前記貫通孔(120)に挿入されて前記2つの細長いロッド(110)に対して前記管状本体の軸方向の滑りを防止する固定位置と、それらが前記貫通孔(120)から分離される解除位置との間で切り替えることができ、
前記一対の固定ピン(7)が、それらが前記固定位置に配置される場合に、前記2つの相互に対向する溝(6)内に突き出る、請求項2に記載の手術器具(1)。
【請求項4】
前記固定ユニット(2)が、前記管状本体(3)に接続され且つ前記固定ユニット(2)を手術機器に結合するように構成された結合部分(10)を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の手術器具(1)。
【請求項5】
前記結合部分(10)が、前記固定ユニット(2)が前記多軸外科用ねじ(100)に取り付けられた場合に、前記管状本体(3)の、前記チューリップ(101)側の部分とは反対側の部分に設けられている、請求項に記載の手術器具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多軸外科用ねじを埋め込むための手術器具に関する。
【背景技術】
【0002】
脊椎手術はしばしば、2つ以上の椎骨を単一の骨塊に融合するのを促進するために、脊椎路の一部の安定化を必要とすることが知られている。
【0003】
このタイプの手術は、椎間板要素の変性疾患、脊柱側弯症、脊柱管狭窄症などの脊柱の多くの病的状態を矯正するために頻繁に使用される。
【0004】
これらの矯正的介入は、主に、特に骨移植片などの移植片(インプラント)の使用を必要とする。脊柱の安定化により、椎間領域に骨組織を生成できる。このようにして、脊柱の一部が単一の骨体に融合される。
【0005】
脊柱の安定化は過去に詳細に研究されており、この解剖学的部分の特徴である多くの疾患を矯正してその構成を安定させ、さまざまなレベルで椎骨融合を容易にするためのさまざまな方法および装置が開発されてきた。
【0006】
これらの既知のシステムの1つは、手術を必要とする脊椎の管に沿って長手方向に配置されるバーを含む。このバーは、脊柱の特定の健康な管に典型的な正しい解剖学的形状を表すように形作られている。
【0007】
したがって、この方法では、必要に応じて、バーは脊柱に沿って配置されてさまざまな椎骨と係合する。このタイプの手術では、脊柱の中央領域の両側に配置される2つの平行バーが通常使用されることに留意されたい。したがって、これらの手術中、一対のバーは、例えば、骨構造、典型的には椎弓根に適切に固定されたねじを含む様々な手段によって脊柱に固定される。
【0008】
バーの傾き、したがって固定ねじの位置は、課す矯正の種類によって異なり、明らかに椎骨ごとに異なる。手術を成功させるには、矯正バーとそれを固定するねじの両方を正しく固定することが不可欠であることは明らかである。
【0009】
上記要素を正しく配置するために、患者のニーズに応じて、多軸ねじが使用され、多軸ねじは、したがって、横軸に沿って動作することができ、ねじ自体の展開軸と一致しない。
【0010】
多軸ねじおよびバー埋め込み手術の侵襲性を低減するために、外科技術は現在、組織の外傷を大幅に低減することができる低侵襲技術に向けられており、例えば、病院で過ごす時間の短縮、術後の痛みの軽減、リハビリテーションの短縮といった利益を患者にもたらし、例えば、病院で過ごす時間の短縮、リハビリテーションのためのコストおよびリソースの削減といった利益を病院施設にもたらす。
【0011】
したがって、近年、外科医が患者の体の小さな切開を通してさえ多軸ねじを所望の位置に固定することを可能にする器具が開発されており、これらの器具を通してバーを所望の位置に埋め込む可能性がもたらされる。
【0012】
特に、ねじ付きシャフトに関連付けられた、チューリップ(tulip)を備えた多軸ねじを含む手術器具が開発されていおり、チューリップは、チューリップ自体の内部にアクセスするためのガイドチャネルを規定する、間隔を置いて配置された2つの細長いロッドを有する。
【0013】
2つのロッドは、有利なことに、インプラント器具(ねじを骨にねじ込むことを可能にするために、例えば、ねじの頭に逆斜角の先端を持つ「ドライバー」)を収容するための2つのそれぞれの空洞と実用的且つ正確な態様で結合するように構成される。
【0014】
したがって、手術の終わりに、インプラント器具が取り外され、チューリップロッドは、例えば摘出によって、患者の体から取り外すことができ、患者の体内にチューリップと埋め込まれたねじ付きシャフトのみを残す。
【0015】
しかしながら、出願人は、ねじが患者の体内に挿入されると、細長いロッドは、チューリップに対するロッドの接続部分を利用することによってロッドの自由端を互いに近づける周囲の組織によって加えられる圧迫圧力の結果として互いに接近する傾向があることに気付いた。このような状況では、創傷の部分的な閉塞に加えて、組織の一部が2つのロッドの間に挟まれたり、器具間の結合によって挟まれたりして、怪我や裂傷を引き起こす可能性がある。
【0016】
したがって、出願人は、器具の使用中にロッドが互いに接近しないこと、およびインプラント器具と外科用多軸ねじとの間の接続が機能し、同時に、使用前および使用中の器具の完全性を可能にすることを確実にする必要性を明らかにした。例えばロッドの接近によって引き起こされる偶発的な分解は、介入時間の望ましくない延長につながる可能性がある。
【発明の概要】
【0017】
これに関連して、本発明の根底にある技術的課題は、上記の従来技術の欠点を克服する手術器具を提案することである。
【0018】
特に、本発明の目的は、外科用多軸ねじの埋め込み前、埋め込み中、および埋め込み後の外科的ステップの効率を改善することを可能にし、したがって患者の健康を保護することを可能にする手術器具を提供することである。
【0019】
技術的課題および指定された目的は、添付の特許請求の範囲の請求項の1つまたは複数に開示された技術的特徴を含む手術器具によって実質的に達成される。
【0020】
特に、本発明は、多軸外科用ねじを含む手術器具を提供する。
【0021】
多軸外科用ねじは、内部中空チューリップを備え、内部中空チューリップは、チューリップの内部にアクセスするための第1の開放端部、第1の端部の反対側の第2の端部、および第1の端部と第2の端部との間に展開する側壁を有する。
【0022】
チューリップは、平行且つ相互に間隔を置いて配置された2つの細長いロッドを含み、各細長いロッドは、側壁から突出し、チューリップの第2の端部と反対の方向にチューリップの第1の端部から離れて延びる。
【0023】
2つのロッドは、チューリップの内部にアクセスするための第1の端部と連通するチャネルを規定する。
【0024】
外科用多軸ねじは、ねじ付きシャフトをさらに備え、ねじ付きシャフトは、ねじ先端を規定する第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部とを有し、第2の端部は、チューリップ自体に対してシャフトを方向付けるためにチューリップの第2の端部に関連付けられたボールジョイントを有する。
【0025】
有利なことに、手術器具は、多軸外科用ねじに可逆的に取り付けることができる固定ユニットを含む。
【0026】
固定ユニットは、内部空洞を有し且つ手術器具の使用構成中に2つの細長いロッドの周りに取り付けられるように適合された管状本体を含む。
【0027】
管状本体は、内部空洞に突出し且つロッド間に規定されたチャネルに面するように構成された2つの相互に向かい合う突起を有する。これらの突起は、手術器具の使用構成中に2つの細長いロッドの相互の取り外しおよび接近を防ぐために、2つの細長いロッドの間に配置されるように構成されている。
【0028】
したがって、固定ユニットのおかげで、多軸外科用ねじの2つの細長いロッドを、手術ステップ中に適切な相互距離に保つことが可能であり、それにより、組織の挟み込みを回避して、手術器具および埋め込み器具を挿入するための通路チャネルを規定する。
【0029】
さらに、2つの細長いロッドを所定の位置に保持することにより、これらのロッドの偶発的な破損を防ぐことが可能である。
【0030】
手術が完了したら、固定ユニットを多軸外科用ねじから簡単に取り外して、2つの細長いロッドの取り外しを進めることができる。
【0031】
参照により本明細書に組み込まれる従属請求項は、本発明の異なる実施形態に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面に示されるように、手術器具の好ましいが排他的ではない実施形態の以下の例示的、したがって非限定的な説明からより明らかになるであろう。
図1】本発明の手術器具の概略斜視図である。
図2図1の手術器具の概略斜視図である。
図3】ロック位置にある図1の手術器具の固定ユニットの概略斜視図である。
図3A】ロック位置にある図1の手術器具の固定ユニットの概略底面図である。
図4】ロック解除位置にある図1の手術器具の固定ユニットの概略斜視図である。
図4A】ロック解除位置にある図1の手術器具の固定ユニットの概略底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
添付の図に関して、手術器具は参照番号1で示されている。
【0034】
器具1は、多軸外科用ねじ100(以下、ねじ100)を備え、ねじ100は、内部中空チューリップ101を備え、「カップ」形状の側壁102によって規定される。
【0035】
換言すれば、側壁102は、実質的に円錐台形状を有し、チューリップ101の内部にアクセスするための第1の開放端部103から、当該第1の端部とは反対側の第2の端部104まで延びる。第2の端部104はまた開いており、第1の端部103のアクセス部分よりも小さい。この構成では、側壁102は、好ましくは先細になっており、第2の端部104に向かって収束している。
【0036】
チューリップ101はさらに、チューリップ101自体の内部に矯正バー(本発明の一部ではないため、図には示されていない)を収容するために側壁を貫通して切り取られた2つの貫通穴105を備える。
【0037】
特に、2つの開口部105は、バーが側壁102の長手方向の展開に垂直な方向に沿ってチューリップ101を貫通できるように、両側に配置されている。
【0038】
これらの開口部105は、第1のアクセス端部103で側壁102を中断するために、第1の端部103まで展開される。
【0039】
ねじ1はさらに、骨組織に挿入するように設計された、ねじの先端を規定する第1の端部107を備えたねじ付きシャフト106を備える。チューリップ101の第2の端部104に挿入されたボールヘッドまたはボールジョイント109を備えた第2の端部108は、第1の端部107の反対側に展開する。ボールジョイント109は、シャフト106、およびその長手方向の展開軸が、チューリップ101と位置合わせされることを可能にする。
【0040】
有利には、チューリップ101は、平行であり且つ相互に離間している2つの細長いロッド110をさらに備える。これらの細長いロッド110は、側壁102から突出し、チューリップ101の第1の端部103から、チューリップ101自体の第2の端部104と反対の方向に延びる。
【0041】
有利には、2つのロッド110は、チューリップ101の内部にアクセスするための第1の端部103と連通するチャネル111を互いに規定する。
【0042】
好ましくは、各ロッド110は、凸状外面113とは反対に凹状内面112が規定された断面において「C」字型の展開を有する。
【0043】
内面112は互いに向き合い、前述のチャネル111を規定する。外面113は、円形断面を有する同じ円筒形の展開面に沿って位置している。
【0044】
したがって、2つの細長いロッド110は、中心展開軸Xの周りに平行に展開しており、中心展開軸Xは、図1では、ねじ100のシャフト106の展開方向と位置合わせされている。
【0045】
さらに、各ロッド110は、チューリップ101の第1の端部103から、X軸に平行に、チューリップ101から遠位のロッド110自体の末端端部115まで延びる2つの長手方向の縁部114を有する。
【0046】
この状況では、ロッド110の長手方向の縁部114は、前述のチャネル11にアクセスするための開放領域116を規定するために向かい合っており且つ相互に離間している。
【0047】
したがって、2つの開放領域116が、2つのロッド110の間に形成され、2つのロッド110は、外面113が位置する円筒形の展開面に沿って展開する。言い換えれば、X軸は、理想的な円柱の中心展開軸を規定し、その側壁に沿って外面113が位置する。
【0048】
好ましくは、ねじ切り117が、チューリップ101の近くのロッド110の凹状内面112にさらに提供される。
【0049】
より詳細には、ねじ切り117は、側壁102の円筒形の内面102aに沿ってさらに延びる。好ましくは、円筒形の内面102aおよび凹状内面112は、隣接しており且つシームレスである。
【0050】
好ましくは、チューリップ101は、2本の脆弱線118を有し、各々が、細長いロッド110と側壁102との間に延びる。これらの脆弱線118は、ロッド110自体とチューリップ101との間の分離領域、すなわち、チューリップ101に対する各ロッド110の偏位の結果として、ロッド110を外科用ねじの残りの部分から分離することが可能である領域を規定する。
【0051】
この目的のために、2本の脆弱線118は、ロッド110の長手方向の展開に対して横方向に延在し且つロッド110のそれぞれの外面113に切り込まれた溝からなる。
【0052】
したがって、これらの溝は、ロッド110が曲げられた場合にロッド110をチューリップ101から分離可能にすることができるように、ロッド110の厚さの減少を規定する。
【0053】
外科用ねじ1が配置されて骨組織に正しく係合されると、患者の体の外側に突き出ているロッド110は、それらを取り外すためにオペレータによって曲げられる。
【0054】
上記の脆弱線118は、ロッド110のチューリップ101からの分離を容易にすることができるが、同時に、それらは、ロッド110とチューリップ101との間の接続を弱め、その結果、ロッド110は、周囲の軟組織によって押されるので、互いに近づき得る。
【0055】
しかしながら、本発明による器具1は、有利なことに、ねじ100に組み込むことができる固定ユニット2を備える。
【0056】
固定ユニット2は、内部空洞4を有し且つ器具1の使用構成中に細長いロッド110の周りに取り付けられるように適合された管状本体3を備える。
【0057】
特に、管状本体3は、2つの相互に向かい合う突起5を有し、これらは、好ましくは半径方向に、内部空洞4内に突出する。
【0058】
2つの突起5は、2つのロッド110の間に規定されたチャネル111に面し、ロッド110自体の間に相互に配置されて、器具1の使用構成中の相互の分離および接近を防止するように構成される。
【0059】
言い換えれば、固定ユニット2の存在により、ねじ100が患者の体内に挿入される外科的ステップ中にロッド110が不注意に接近するのを防ぐことが可能である。
【0060】
2つの突起5は2つのロッド110の間に配置され、起こり得る押圧の後でもこれらのロッドを定位置に保つ。
【0061】
固定ユニット2は、ねじ100への取り付けおよび取り外しが容易であり、必要な場合にのみ使用することができる。
【0062】
上記から明らかなように、固定ユニット2は、脆弱線118が存在する場合に特に有利であり、管状本体3の突起5は、脆弱線118の周りの周囲の軟組織によって加えられたレバー(lever)の結果としてロッド110が接近することを防止する。
【0063】
好ましくは、管状本体3は、相互に向かい合っており且つ2つの突起5の間に配置されている2つの溝6を有する。これらの溝6は、ロッド110の周りの管状本体3の回転を防ぐために、ロッド110を少なくとも部分的に収容するように設計されている。
【0064】
言い換えれば、内部空洞4は、それぞれの突起5の間に交互になっている2つの溝6を規定し、その結果、各ロッド110の長手方向の縁部114は、対応する溝6の半径方向空間に閉じ込められ、X軸の周りの管状本体3(およびより一般的には固定ユニット2)の回転を防止する。
【0065】
好ましくは、図に示される実施形態では、溝6は、蟻継ぎ形状(dovetail-shaped geometry)を有し、これは、有利なことに、ロッド110の接近と管状本体3の回転との両方を同時に防止する。
【0066】
図2を参照すると、2つのロッド110は、好ましくは、それらの自由端部の端115にそれぞれの貫通孔120を有する。さらに、固定ユニット2は、好ましくは、使用構成中に固定位置(図3-3Aに示される)と解除位置(図4-4Aに示される)との間で切り替えることができる、前記管状本体3に接続された一対の固定ピン7(図3Aおよび4Aに明確に見える)を備える。固定位置では、一対の固定ピン7は貫通孔120に挿入され、したがって、ロッド110に対する管状本体3の軸方向の滑りを防止し、解除位置では、一対の固定ピン7は貫通孔120から分離される。
【0067】
換言すれば、管状本体3を2つのロッド110に取り付けて固定ユニット2がねじ100に取り付けられている場合、一対の固定ピン7は、(一対の固定ピン7が、好ましくは、固定ユニット2が使用されていない器具1の非組立構成中に配置される)固定位置から容易且つ効果的にロッド110に取り付けられるための解除位置に切り替えられ、次に、一対の固定ピン7が解除位置から固定位置に移動されて、ロッド110を所定の位置に維持し、ねじ100の周りの管状本体3の回転を防止する。
【0068】
好ましくは、固定ユニット2は、管状本体3に接続された一対のアーム8をさらに備える。各アーム8は、対応する固定ピン7が形成された第1の端部8aと、固定ユニット2の把持部分を規定する第2の端部8bとを有する。一対のアーム8は、管状本体3の(好ましくはX軸に垂直な平行の振動軸Yに沿って配置された)それぞれの支点Fの周りを回転動作して、把持部分8bを近づけて一対の固定ピン7(図4-4A)を動かし、また、その逆も同様であり(図3-3A)、一対の固定ピン7をそれぞれ固定位置と解除位置の間で切り替える。
【0069】
言い換えれば、少なくとも2つの指で固定ユニット2を把持することにより、外科医は、好都合なことに、(図4Aの矢印で図式的に示されているように、)支点Fを利用することによって把持部分8bを押すことができ、一対の固定ピン7を取り外し、したがって管状本体3を2つのロッド110に取り付けることができる。
【0070】
一対の固定ピン7が貫通孔120と位置合わせされるように管状本体3がロッド110の展開に沿って配置される場合、次に、固定要素2が固定位置においてねじ100にしっかりと固定されるように、一対の固定ピン7をそれぞれの貫通孔120に挿入することができる。
【0071】
言い換えれば、単純なレバー機構のおかげで、2つのロッド110が接近するのを防ぐように、固定要素2をねじ100で固定することが可能である。
【0072】
さらに、本発明の可能な実施形態によれば、好ましくは、支点Fは、ねじりばね(図示せず)と関連付けることができる。
【0073】
添付の図の実施形態に示されるように、好ましくは、一対の固定ピン7は、それらが固定位置に配置されるときに、溝6内に解放される。
【0074】
さらにより好ましくは、一対の固定ピン7は、ロッド110の外面113に対してロッド110と接触する逆形状の部分を有する(図3A)。
【0075】
好ましくは、固定ユニット2は、管状本体3に接続され且つ固定ユニット2を手術機器に結合するように構成された結合部分10を備え、手術機器は、本発明の一部ではないため、添付の図には示されていない。
【0076】
言い換えれば、結合部分10は、器具1と手術機器との間の直接接続インタフェースを規定し、したがって、任意の矯正操作(例えば、圧縮および伸延)を容易にし、チャネル111を自由に保つ。
【0077】
特に、結合部分10は、チューリップ101の反対側に配置されるように適合された管状本体3の内部空洞4の展開を規定する。
【0078】
実際、好ましくは、前記結合部分10は、器具1を使用するための構成中に、チューリップ101から遠位の位置において管状本体3に配置される。
【0079】
さらに、結合部分10は、好ましくは、手術機器との結合を実用的で安定且つ普遍的にするためのバヨネットタイプの接続システムを特徴とする。
【0080】
結合部分10のおかげで、チャネル111に適合する手術機器の安全且つ案内された結合を達成することが可能である。固定ユニット2がねじ100に取り付けられると、結合部分10は、X軸に対して同軸に配置され、したがって、手術機器のセンタリングを単純化する。
【0081】
最後に、固定ユニット2は、好ましくは使い捨てタイプであり、滅菌されて供給され、プラスチックおよび金属材料の両方で作ることができる。
【0082】
したがって、本発明は、従来技術を参照して説明した欠点を克服し、チューリップ101の2つの細長いロッド110間の接続を可能にして且つ他の専用機器の機敏な使用を同時に可能にして手術を完了する特別な付属品(固定ユニット2)を備えた手術器具1をユーザに提供して、提案された目的を達成する。
【0083】
この機構は、器具1と機器との間の幾何学的適合性により、ロッド110のばらばらの動き(disjointed movement)(特にそれらの接近)を回避し、それらの偶発的な破損を防止することによって機能する。
【0084】
器具1は、外科的処置中にチャネル111に障害物がないように保ちながら、ロッド110の接近または破損による損傷および組織の裂傷を防止することにより、単純化された滑らかな外科的処置を可能にする。
図1
図2
図3
図3A
図4
図4A