(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】ガラスリボンからガラスシートを分離して搬送する方法
(51)【国際特許分類】
C03B 33/02 20060101AFI20240829BHJP
C03B 17/06 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C03B33/02
C03B17/06
(21)【出願番号】P 2021577335
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(86)【国際出願番号】 US2020036902
(87)【国際公開番号】W WO2020263564
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-04-10
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】チェン チェン-チ
(72)【発明者】
【氏名】フォーネル ニルス ポール
(72)【発明者】
【氏名】シャオ シュン-シン
(72)【発明者】
【氏名】リー チア ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リー ユ-ティン
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/110348(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/208788(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B33/02-33/04
C03B17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスリボンからガラスシートを分離して搬送する方法であって、
搬送方向にドロー経路上で前記ガラスリボンをドローイングする段階と、
切り込みデバイスを用いて前記ガラスリボンを切り込み、それによって該ガラスリボンの幅の少なくとも一部分にわたって切り込み線を生成する段階と、
第1のロボット操作装置のエンドエフェクタをガラスリボンに近接して配置する段階であって、前記第1のロボット操作装置のエンドエフェクタが、該第1のロボット操作装置のロボットアームに手首ジョイントで結合されている、段階と、
前記ガラスリボンに近接して第2のロボット操作装置のエンドエフェクタを位置決めする段階であって、該第2のロボット操作装置のエンドエフェクタが、該第2のロボット操作装置のロボットアームに手首ジョイントで結合されている、段階と、
前記第1のロボット操作装置の手首ジョイントを用いて、前記ガラスリボンの平面に実質的に平行になるように、前記ドロー経路に対する前記第1のロボット操作装置のエンドエフェクタの係合平面を調整する段階と、
前記第2のロボット操作装置の手首ジョイントを用いて、前記ガラスリボンの平面に実質的に平行になるように、前記ドロー経路に対する前記第2のロボット操作装置のエンドエフェクタの係合平面を、前記第1のロボット操作装置から独立して、調整する段階と、 前記搬送方向に前記切り込み線の下流の第1の位置で前記ガラスリボンの第1の縁部を第1のロボット操作デバイス
の前記エンドエフェクタと係合させる段階と
前記搬送方向に前記切り込み線の下流の第2の位置で前記ガラスリボンの第2の縁部を第2のロボット操作デバイス
の前記エンドエフェクタと係合させる段階と
前記切り込み線を中心として前記ガラスリボンを曲げて前記ガラスシートを該ガラスリボンから分離するために前記第1のロボット操作デバイス及び前記第2のロボット操作デバイスを同期的に移動する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ガラスシートを該ガラスシート上の前記第1のロボット操作デバイスの係合位置と該ガラスシート上の前記第2のロボット操作デバイスの係合位置の間で第3のロボット操作デバイスと係合させる段階と、
前記第1のロボット操作デバイス及び前記第2のロボット操作デバイスから前記ガラスシートを解除する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記搬送方向に対して横断方向に前記第1のロボット操作デバイス及び前記第2のロボット操作デバイスを用いて前記ガラスリボンの前記幅にわたって引張を印加する段階を更に含むことを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ガラスリボンは、第2の主面に対向する第1の主面を含み、前記第1のロボット操作デバイス及び前記第2のロボット操作デバイスは、該第2の主面だけに接触することを特徴とする請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のロボット操作デバイスは、第1の複数の吸引デバイスを含む第1の複数の把持デバイスを含み、前記第2のロボット操作デバイスは、第2の複数の吸引デバイスを含む第2の複数の把持デバイスを含むことを特徴とする請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のロボット操作デバイス及び前記第2のロボット操作デバイスの各々は、レールに装着することができ、該第1のロボット操作デバイス及び該第2のロボット操作デバイスの位置決めは、該レールに沿って調節可能であり、
方法が、前記ガラスシートを前記ドロー経路から搬送するために前記第1のロボット操作デバイス及び前記第2のロボット操作デバイスを前記レールに沿って移動する段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ガラスシートを製造する方法であって、
融合ガラス製造アセンブリを用いてガラスリボンを形成する段階と、
搬送方向にドロー経路上で前記ガラスリボンをドローイングする段階と、
切り込みデバイスを用いて前記ガラスリボンを切り込み、それによって該ガラスリボンの幅の少なくとも一部分にわたって切り込み線を生成する段階と、
第1のロボット操作装置のエンドエフェクタをガラスリボンに近接して配置する段階であって、前記第1のロボット操作装置のエンドエフェクタが、該第1のロボット操作装置のロボットアームに手首ジョイントで結合されている、段階と、
前記ガラスリボンに近接して第2のロボット操作装置のエンドエフェクタを位置決めする段階であって、該第2のロボット操作装置のエンドエフェクタが、該第2のロボット操作装置のロボットアームに手首ジョイントで結合されている、段階と、
前記第1のロボット操作装置の手首ジョイントを用いて、前記ガラスリボンの平面に実質的に平行になるように、前記ドロー経路に対する前記第1のロボット操作装置のエンドエフェクタの係合平面を調整する段階と、
前記第2のロボット操作装置の手首ジョイントを用いて、前記ガラスリボンの平面に実質的に平行になるように、前記ドロー経路に対する前記第2のロボット操作装置のエンドエフェクタの係合平面を、前記第1のロボット操作装置から独立して、調整する段階と、
前記搬送方向に前記切り込み線の下流の第1の位置で前記ガラスリボンの第1の縁部を第1のロボット操作デバイス
の前記エンドエフェクタと係合させる段階と、
前記搬送方向に前記切り込み線の下流の第2の位置で前記ガラスリボンの第2の縁部を第2のロボット操作デバイス
の前記エンドエフェクタと係合させる段階と、
前記切り込み線を中心として前記ガラスリボンを曲げて前記ガラスシートを該ガラスリボンから分離するために、前記第1のロボット操作デバイス及び前記第2のロボット操作デバイスを同期的に移動する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記ガラスシート上の前記第1のロボット操作デバイスの係合位置と該ガラスシート上の前記第2のロボット操作デバイスの係合位置との間で該ガラスシートを第3のロボット操作デバイスと係合させる段階と、
前記第1のロボット操作デバイス及び前記第2のロボット操作デバイスから前記ガラスシートを解除する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記搬送方向に対して横断方向に前記第1のロボット操作デバイス及び前記第2のロボット操作デバイスを用いて前記ガラスリボンの前記幅にわたって引張を印加する段階を更に含むことを特徴とする請求項
7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のロボット操作デバイスは、第1の複数の吸引デバイスを含み、該第1の複数の吸引デバイスは、吸引デバイスの2又は3以上の群を含み、該第1の複数の吸引デバイスのうちの吸引デバイスの該2又は3以上の群を通る真空圧力の流れは、独立に制御可能であることを特徴とする請求項
7から請求項
9のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この出願は、2019年6月26日出願の米国仮特許出願第62/866,931号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は、以下に完全に説明されているかのようにその全体に依存し、かつ全体的に引用によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
本明細書は、一般的に、ガラスリボンからガラスシートを形成する方法に関連し、より具体的には、ガラスリボンからガラスシートを分離する及び/又は搬送する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスリボンは、フュージョン・ドロー工程のような工程又はフロート・アンド・スロット・ドローを含む他の工程によって形成することができる。フュージョン・ドロー工程は、他の方法で製造されたガラスリボンと比較して優れた平坦性及び平滑性を有する面を有するガラスリボンをもたらすことができる。フュージョン・ドロー工程によって形成されたガラスリボンから分割された個々のガラスシートは、フラットパネルディスプレイ、タッチセンサ、光起電デバイス、及び他の電子用途を含む様々なデバイスに使用することができる。
【0004】
ドローイング工程中のようなガラスリボンから個別のガラスシートを分離するための様々な技術を使用することができる。これらの技術は、一般的に、ガラスリボンが切り込み線を生成するために切り込まれる間にガラスリボンの一部分を拘束する段階を含む。その後、個別のガラスシートは、切り込み線を中心として曲げモーメントを印加することによってガラスリボンから分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際特許出願公開番号WO 2017/223032
【文献】米国特許出願公開番号2008/0276785
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのような技術は、ガラスリボン、例えば、移動するガラスリボンから個別のガラスシートを分離するのに有効であるが、ガラスリボンから個別のガラスシートを分離する代替方法に対する必要性が存在する。従って、より高速及び/又はより効率的なシート分離方法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の開示の追加の特徴及び利点は、以下の詳細説明に列挙されており、部分的にはその説明から当業者に明らかであることになり、又は以下の詳細説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む本明細書に説明する実施形態を実施することによって認識されるであろう。
【0008】
第1の態様により、ガラスリボンからガラスシートを分離して搬送する方法は、ガラスリボンを搬送方向にドロー経路をドローイングする段階と、切り込みデバイスを用いてガラスリボンを切り込み、それによってガラスリボンの幅の少なくとも一部分にわたって切り込み線を生成する段階と、搬送方向に切り込み線の下流の第1の位置でガラスリボンの第1の縁部を第1のロボット操作デバイスと係合させる段階と、搬送方向に切り込み線の下流の第2の位置でガラスリボンの第2の縁部を第2のロボット操作デバイスと係合させる段階と、第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスを同期的に移動して切り込み線を中心としてガラスリボンを曲げ、ガラスリボンからガラスシートを分離する段階とを含むことができる。一部の実施形態では、第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスは、主従関係で作動する場合がある。本明細書で使用する時に、同期的は、同時に起こり、存在し、又は生じる移動を指す。同期的な作動は、主従関係を意味しないが、それを排除するものではない。
【0009】
第1の態様による第2の態様では、本方法は、ガラスシート上の第1のロボット操作デバイスの係合位置とガラスシート上の第2のロボット操作デバイスの係合位置の間でガラスシートを第3のロボット操作デバイスと係合させる段階と、第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスからガラスシートを解除する段階とを更に含むことができる。
【0010】
いずれかの先行態様による第3の態様では、本方法は、ドロー経路に対する第1のロボット操作デバイスの係合平面をガラスリボンの平面と実質的に平行であるように調節する段階と、第1のロボット操作デバイスとは独立にドロー経路に対する第2のロボット操作デバイスの係合平面をガラスリボンの平面と実質的に平行であるように調節する段階とを更に含むことができる。
【0011】
いずれかの先行態様による第4の態様では、本方法は、搬送方向に対して横断方向に第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスを用いてガラスリボンの幅にわたって引張を印加する段階を更に含むことができる。
【0012】
いずれかの先行態様による第5の態様では、ガラスリボンは、第2の主面に対向する第1の主面を含むことができ、第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスは、第2の主面だけに接触する。
【0013】
いずれかの先行態様による第6の態様では、第1のロボット操作デバイスは、第1の複数の吸引デバイスを含む第1の複数の把持デバイスを含むことができ、第2のロボット操作デバイスは、第2の複数の吸引デバイスを含む第2の複数の把持デバイスを含むことができる。
【0014】
いずれかの先行態様による第7の態様では、第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスの各々は、レールに装着することができ、第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスの位置決めは、レールに沿って調節可能とすることができる。本方法は、第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスをレールに沿って移動してガラスシートをドロー経路から搬送する段階を更に含むことができる。
【0015】
第8の態様では、ガラスリボンからガラスシートを分離して搬送する方法は、第2の主面に対向する第1の主面を定めるガラスリボンを搬送方向にドロー経路をドローイングする段階と、切り込みデバイスを用いてガラスリボンを切り込み、それによってガラスリボンの第1の主面の少なくとも一部分にわたって切り込み線を生成する段階と、搬送方向に切り込み線の下流の第1の位置でガラスリボンの第2の主面の第1の縁部を第1のロボット操作デバイスと係合させる段階と、搬送方向に切り込み線の下流の第2の位置でガラスリボンの第2の主面の第2の縁部を第2のロボット操作デバイスと係合させる段階と、第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスを同期的に移動してガラスリボンを切り込み線を中心として曲げ、ガラスシートをガラスリボンから分離する段階とを含むことができる。
【0016】
第8の態様による第9の態様では、本方法は、ガラスシート上の第1のロボット操作デバイスの係合位置とガラスシート上の第2のロボット操作デバイスの係合位置の間でガラスシートの第2の主面を第3のロボット操作デバイスと係合させる段階と、第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスからガラスシートを解除する段階とを更に含むことができる。
【0017】
第8又は第9の態様による第10の態様では、本方法は、ドロー経路に対する第1のロボット操作デバイスの係合平面をガラスリボンの平面と実質的に平行であるように調節する段階と、第1のロボット操作デバイスとは独立にドロー経路に対する第2のロボット操作デバイスの係合平面をガラスリボンの平面と実質的に平行であるように調節する段階とを更に含むことができる。
【0018】
第8から第10の態様のいずれかによる第11の態様では、本方法は、第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスを用いて搬送方向に対して横断方向にガラスリボンの幅にわたって引張を印加する段階を更に含むことができる。
【0019】
第8から第11の態様のいずれかによる第12の態様では、第1のロボット操作デバイスは、第1の複数の吸引デバイスを含むことができ、第2のロボット操作デバイスは、第2の複数の吸引デバイスを含むことができる。
【0020】
第12の態様による第13の態様では、第1の複数の吸引デバイスは、吸引デバイスの2又は3以上の群を含むことができ、第1の複数の吸引デバイスのうちの吸引デバイスの2又は3以上の群を通る真空圧力の流れは、独立に制御可能とすることができ、第2の複数の吸引デバイスは、吸引デバイスの2又は3以上の群を含むことができ、第2の複数の吸引デバイスのうちの吸引デバイスの2又は3以上の群を通る真空圧力の流れは、独立に制御可能とすることができる。
【0021】
第14の態様では、ガラスシーティングを製造する方法は、溶融ガラス製造アセンブリを用いてガラスリボンを形成する段階と、ガラスリボンを搬送方向にドロー経路をドローイングする段階と、切り込みデバイスを用いてガラスリボンを切り込み、それによってガラスリボンの幅の少なくとも一部分にわたって切り込み線を生成する段階と、搬送方向に切り込み線の下流の第1の位置でガラスリボンの第1の縁部を第1のロボット操作デバイスと係合させる段階と、搬送方向に切り込み線の下流の第2の位置でガラスリボンの第2の縁部を第2のロボット操作デバイスと係合させる段階と、第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスを同期的に移動して切り込み線を中心としてガラスリボンを曲げ、ガラスリボンからガラスシートを分離する段階とを含むことができる。
【0022】
第14の態様による第15の態様では、本方法は、ガラスシート上の第1のロボット操作デバイスの係合位置とガラスシート上の第2のロボット操作デバイスの係合位置の間でガラスシートを第3のロボット操作デバイスと係合させる段階と、第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスからガラスシートを解除する段階とを更に含むことができる。
【0023】
第14の態様又は第15の態様による第16の態様では、本方法は、ドロー経路に対する第1のロボット操作デバイスの係合平面をガラスリボンの平面と実質的に平行であるように調節する段階と、第1のロボット操作デバイスとは独立にドロー経路に対する第2のロボット操作デバイスの係合平面をガラスリボンの平面と実質的に平行であるように調節する段階とを更に含むことができる。
【0024】
第14の態様から第16の態様のいずれかによる第17の態様では、本方法は、搬送方向に対して横断方向に第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスを用いてガラスリボンの幅にわたって引張を印加する段階を更に含むことができる。
【0025】
第14の態様から第17の態様のいずれかによる第18の態様では、ガラスリボンは、第2の主面に対向する第1の主面を含むことができ、第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスは、第2の主面だけに接触することができる。
【0026】
第14の態様から第18の態様のいずれかによる第19の態様では、第1のロボット操作デバイスは、第1の複数の吸引デバイスを含むことができ、第1の複数の吸引デバイスは、吸引デバイスの2又は3以上の群を含むことができ、第1の複数の吸引デバイスのうちの吸引デバイスの2又は3以上の群を通る真空圧力の流れは、独立に制御可能とすることができる。
【0027】
第14の態様から第19の態様のいずれかによる第20の態様では、第2のロボット操作デバイスは、第2の複数の吸引デバイスを含むことができ、第2の複数の吸引デバイスは、吸引デバイスの2又は3以上の群を含むことができ、第2の複数の吸引デバイスのうちの吸引デバイスの2又は3以上の群を通る真空圧力の流れは、独立に制御可能とすることができる。
【0028】
以上の一般説明と以下の詳細説明の両方は、様々な実施形態を説明し、かつ主張する主題の性質及び特徴を理解するための概要又はフレームワークを提供することを意図している。添付図面は、様々な実施形態の更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれてその一部を構成するものである。図面は、本明細書に説明する様々な実施形態を例示し、主張する主題の原理及び作動を本説明と共に解説するものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本明細書に示して説明する1又は2以上の実施形態によるガラス製造装置を概略的に示す図である。
【
図2A】本明細書に示して説明する1又は2以上の実施形態によるガラスリボンのドロー経路上でガラスリボンと係合するガラス分離装置の断面を概略的に示す図である。
【
図2B】本明細書に示して説明する1又は2以上の実施形態によりガラス分離装置がガラスリボン上に切り込み線を生成する時の
図2Aのガラス分離装置の断面を概略的に示す図である。
【
図2C】本明細書に示して説明する1又は2以上の実施形態によりガラス分離装置がガラスリボンからガラスシートを分離する時の
図2Aのガラス分離装置の断面を概略的に示す図である。
【
図2D】本明細書に示して説明する1又は2以上の実施形態により描かれた座標軸のY-Z平面に沿ったガラス分離装置の断面とレールに沿ったガラスシートの搬送とを概略的に示す図である。
【
図3】本明細書に示して説明する1又は2以上の実施形態によるガラスリボンからガラスシートを分離する方法を描く流れ図である。
【
図4A】本明細書に示して説明する1又は2以上の実施形態による下流の製造装置へのガラスシートのハンドオフを概略的に示す図である。
【
図4B】本明細書に示して説明する1又は2以上の実施形態による描かれた座標軸の-Z方向での
図4Aのハンドオフの図を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここでガラスシートをガラスリボンから、例えば、その例を添付の図面に示す形成容器から連続的にドローイングされたガラスリボンから分離する様々な方法を詳細に以下に参照する。可能な時はいつでも同じ参照番号を図面全体を通して同じ又は類似の部品を参照するのに以下で使用する。
【0031】
図1は、ガラスリボンを生成するためのガラス製造装置を概略的に示しており、溶融ガラスは、ドロー経路に沿ってガラスリボンの中にドローイングされる。ガラスリボンがガラス製造装置に存在する時に、ガラス分離装置は、ガラスシートを切り込んでそれをガラスリボンの端部から分離する。ガラス分離装置は、第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスを含む。第1のロボット操作デバイスは、搬送方向に切り込み線の下流の位置でガラスリボンの第1の縁部と係合し、第2のロボット操作デバイスは、搬送方向に切り込み線の下流の位置でガラスリボンの第2の縁部と係合する。第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスは、同期的に移動してガラスリボンを切り込み線を中心として曲げ、ガラスシートをガラスリボンから分離する。ガラスシートを分離するためにガラスリボンと係合する2つのロボットを1つのロボットの代わりに使用することは、より小さい及び/又はより高速のロボットの使用を可能にする。これに加えて、二重ロボット操作デバイスは、第1及び第2のロボット操作デバイスのロボット運動の多くがガラスリボンの側部に対するものであると考えられるので、単一ロボットがガラスリボンの面に接近して係合することによって引き起こされる場合がある空気擾乱を低減する追加の利益を有する。二重ロボット操作デバイスを使用してガラスリボンからガラスシートを分離する方法は、添付図面を具体的に参照して本明細書で更に詳細に以下に説明する。
【0032】
本明細書に使用される時の方向性の用語、例えば、上向き、下向き、右側、左側、前部、後部、上部、下部、上方、下方は、描かれた図に対する参照のみに使用され、別段の指定がない限り絶対的な向きを示唆することを意図していない。
【0033】
別段の明示がない限り、本明細書に説明するいずれの方法もその段階が特定の順序で実行されることを必要とするように又はいずれかの装置の特定の方向性を必要とするように解釈されることを意図していない。従って、方法請求項がその段階に従うべき順序を実際に説明していない場合、又は装置請求項が個々の構成要素に対する順序又は向きを実際に説明していない場合、又は段階が特定の順序に限定されることが請求項又は明細書に具体的に説明されていない場合、又は装置構成要素に対する特定の順序又は向きが説明されていない場合に、順序又は向きが推測されることは決して意図していない。これは、段階の配置、作動フロー、構成要素の順序、又は構成要素の向きに関する論理的な問題、文法的な構成又は句読点から得られる平易な意味、及び本明細書に説明している実施形態の数又は種類を含む解釈のためのあらゆる可能な非明示的な根拠に対して維持される。
【0034】
本明細書に使用される時の単数形「a」、「an」、及び「the」は、状況が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の参照語を含む。すなわち、例えば、「a」構成要素への参照は、状況が明らかにそうでないことを示さない限り、2又は3以上のそのような構成要素を有する態様を含む。
【0035】
ここで
図1を参照すると、ガラスリボン204を形成するためのガラス製造装置200の実施形態が概略的に描かれている。ガラス製造装置200は、溶融容器210、細粒化容器215、混合容器220、送出容器225、形成装置241、及びガラス分離装置100を含む。ガラスバッチ材料は、矢印212に示すように溶融容器210に導入される。バッチ材料は、溶融されて以下では溶融ガラス226である溶融材料を形成する。細粒化容器215は、溶融容器210から溶融ガラス226を受け入れ、溶融ガラス226に同伴されたガス(すなわち、気泡)を除去する。細分化容器215は、接続チューブ222によって混合容器220と流体連通している。混合容器220は、次に、接続チューブ227によって送出容器225と流体連通している。
【0036】
送出容器225は、下降管230を通して溶融ガラス226を形成装置241に供給する。形成装置241は、入口232と、形成容器235と、プル・ロール装置240とを含む。
図1に描かれた実施形態では、形成容器235は、融合形成容器として描かれて説明されている。しかし、ダウン・ドロー方法によってガラスリボンを形成するための形成容器の他の実施形態は、限定されないがスロット・ドロー形成容器を含んで企図され、かつ可能である。
【0037】
図1に示すように、下降管230からの溶融ガラス226は、形成容器235に至る入口232に流入する。形成容器235は、溶融ガラス226を受け入れる開口部236を含む。溶融ガラス226は、形成容器235の谷間237に流入し、形成容器235の2つの側部238a、238bをオーバーフローしてそこを流れ落ちた後、形成容器235の谷底部239で互いに融合する。谷底部239は、2つの側部238a及び238bの交点によって定められ、ガラスリボン204を形成するためにプル・ロール装置240によって下方にドローイングされる前に溶融ガラス226の2つのストリームが合流する(例えば、融合する)場所である。ガラスリボン204は、形成容器235の谷底部239から下向きの搬送方向252(すなわち、図に描かれた座標軸の-Z方向)に延びるドロー経路250に沿ってドローイングされ、ガラス分離装置100を通過するようになっている。本明細書で説明する実施形態では、ドロー経路250は実質的に垂直であるが(すなわち、ドロー経路250は、図面に描かれた座標軸のY-Z平面に平行である)、他の実施形態では、ドロー経路は垂直から逸脱することができる。「上流」及び「下流」という用語は、特に断りがない限り又は説明から明らかでない限り、ドロー経路250に沿った相対的な位置関係を指し、「上流」は、図に描かれた座標軸の+Z方向を指し、「下流」は、図に描かれた座標軸の-Z方向を指す。例えば、ドロー経路250上で第2の要素よりも形成容器235に近く位置決めされた第1の要素は、第2の要素の上流に位置決めされる。第2の要素は、第1の要素の下流に位置決めされると考えられる。
【0038】
プル・ロール装置240は、形成容器235の谷底部239からグラスリボン204をドローイングすることを支援し、かつ同じくグラスリボン204を望ましい厚みにドローイングするために設けられる。プル・ロール装置240はまた、ガラス分離装置100の上方のガラスリボン204内の垂直及び水平リボン引張を維持するために設けられる場合がある。実施形態では、プル・ロール装置は、これにより引用によってその全体が本明細書に組み込まれる2018年6月20日出願の「Multi-elevation Drive Apparatus for a Glass Manufacturing Apparatus with Tension Control in Bottom of Draw」という名称の国際特許出願公開番号WO 2017/223032に説明されているようなものである場合がある。
【0039】
ガラスリボン204は、出口位置10(
図2A参照)で形成装置241を出て、ドロー経路250に沿ってガラス分離装置100の中に向けられる。ガラスリボン204は、ガラスリボン204のB面(又は平面)に対向するA面(又は平面)を定める。すなわち、A面は、ガラスリボン204の第1の主面であり、B面は、A面に対向するガラスリボン204の第2の主面である。A面とB面は、ほぼ互いに平行である。実施形態では、ガラスリボン204のA面は、ガラスリボンの形成中に又はガラスリボン204からのガラスシートの分離中に加工機器からの機械的接触を受けない品質領域を含むガラスリボンの主面を指す(ガラスリボンの縁部分は、ロールを引っ張るなどして接触することがあるが、これらの縁部領域は、その後、除去される)。ガラスリボン204がガラス分離装置100を通過する際に、ガラス分離装置100は、切り込みデバイス112でガラスリボン204を切り込み(
図2Aに図示)、その後、ガラスリボン204を曲げ、ガラスリボン204からガラスシート205を分離することができる(
図2C参照)。
【0040】
従来のガラス分離装置では、ガラスリボン204を曲げてガラスシート205をガラスリボン204から分離するためにガラスリボン204と係合する工程は、ガラスリボン204内に望ましくない摂動(例えば、機械的振動及び/又はガラスリボンの位置の変動)を引き起こし、これがガラスリボン204を伝播して形成装置241内のガラス形成工程を混乱させる可能性がある。例えば、ガラスリボン204の位置での機械的振動及び変動は、ガラスリボン204の主面の1つに接近して係合する単一ロボットの運動から生じる空気擾乱によって引き起こされる場合がある。すなわち、単一ロボットがグラスリボン204の主面に接近すると、ロボットとグラスリボン204の間の高速空気は、グラスリボン204の面に向けて変位され、ドロー経路250からのグラスリボン204の運動及び変位、並びに関連の機械的振動を潜在的に引き起こし、これは、グラスリボン204を通して上流方向に伝播する可能性がある。本明細書に説明する実施形態は、ガラスリボン204と係合して切り込み線208を中心としてそれを曲げるための二重ロボット操作デバイス140を使用し、それによってこれらの機械的振動及びガラスリボンの位置の変動を緩和又は更に排除することができる。
【0041】
本明細書に説明する実施形態では、二重ロボット操作デバイス140は、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144を含むことができる。第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144は、図に描かれている座標軸の±Y方向にドロー経路250の横方向に対向する側に配置されているが、互いに実質的に同一である場合がある。ロボット操作デバイス142,144がドロー経路250の横方向に対向する側からガラスリボン204と係合すると、ガラスリボン204の主面に対する空気擾乱によるガラスリボン204内の摂動が緩和される。単一ロボット操作デバイスと比較して二重ロボット操作デバイス140を使用することは、ガラスシート205の重量を2つの別々のデバイスによって支持することができるので、より小さいロボットを使用してより大きいシートサイズの加工を可能にすることができる。これに加えて、二重ロボット操作デバイス140を使用することは、別の操作デバイスがガラスシート205の反対側に接触するような回転なしに、分離されたガラスシート205のハンドオフを可能にすることができる。代わりにかつ
図4A及び4Bを参照して以下でより詳細に説明するように、ハンドオフ中に、第3のロボット操作デバイス300が、二重ロボット操作デバイスとガラスシート205の同じ側でガラスシート205と係合することができる。これは、ガラスシート205の反対側の面(すなわち、ガラスシートのA面)の面品質を維持するのを助けることができる。これに加えて、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイスは、調節可能な腕先ツール(例えば、エンドエフェクタ160a、160b)を含むことができる。これら及び追加の特徴は、以下でより詳細に説明する。
【0042】
更に
図1を参照すると、コントローラ101が、ガラス分離装置100と通信的に結合される場合がある。本明細書でより詳細に説明するように、コントローラ101は、ガラスリボン204からガラスシート205を引く、切り込む、曲げる、及び分離するためにガラス分離装置100の様々な構成要素の移動及び作動を制御することができる。例えば、コントローラ101は、プロセッサと、プロセッサによって実行された時にガラス分離装置100にガラスシート205を切り込ませる及び/又はそれをガラスリボン204から分離させるコンピュータ可読かつ実行可能命令のような論理部を格納するメモリとを含むことができる。コントローラ101はまた、ガラスリボン204を形成装置241から搬送方向252にドロー経路250に沿ってドローイングするようにガラスリボン204に印加される引き込み力及び/又は速度を制御するためにプル・ロール装置240と通信的に結合することができる。
【0043】
ここで
図1及び2A-2Cを参照すると、
図1は、ガラス分離装置100の前面概略図を示し、
図2A-2Dは、ガラス分離装置100の垂直断面を示している。ガラス分離装置100は、切り込みデバイス112と段鼻部116とを含む移動切り込み装置110を含むことができる。ガラス分離装置100は、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144を含む二重ロボット操作デバイス140を更に含むことができる。本明細書でより詳細に説明するように、移動切り込み装置110は、ガラスリボン204をそれがガラス分離装置100を通って移動する際に切り込んで切り込み線208(例えば、
図2B-2Cに示されている切り込み線208)を生成することを容易にすることができ、二重ロボット操作デバイス140は、切り込み線208でガラスリボン204からガラスシート205を分離するためにガラスリボン204の少なくとも一部分に曲げモーメントを印加することを容易にすることができる。
【0044】
切り込みデバイス112は、ドロー経路250に沿って位置決めされる場合があり、ガラスリボン204が搬送方向252にドロー経路250上に描かれる時に搬送方向252に垂直なガラスリボン204の幅Wの少なくとも一部分を横切る切り込み線208を生成するようにガラスリボン204を切り込むように構成することができる。切り込みデバイス112は、ガラスリボン204がドロー経路250上に描かれる時にガラスリボン204が切り込みデバイス112と段鼻部116との間を通過するように段鼻部116とは反対側のドロー経路250上に位置決めすることができる。従って、図示の実施形態では、切り込みデバイス112は、ガラスリボン204のA面でガラスリボン204に接触することができる。段鼻部116は、ガラスリボン204のB面上でガラスリボン204に接触することができる。
【0045】
図2A-2Cに示す実施形態では、切り込みデバイス112は、切り込みホイール又は切り込みポイントのような機械的な切り込みデバイスを含むことができる。これに代えて、切り込みデバイス112は、レーザ切り込みデバイスとすることができる。切り込みデバイス112は、線形アクチュエータ又は空気圧アクチュエータなどのようなアクチュエータ(図示せず)に結合することができ、このアクチュエータは、ガラスリボン204の幅W(
図1に示すように)を横切って切り込みデバイス112を±Y方向に横断するように作動可能である。切り込みデバイス112はまた、線形アクチュエータ又は空気圧アクチュエータなどのようなアクチュエータ(図示せず)に結合される場合があり、このアクチュエータは、切り込みデバイス112が±Y方向に横断される際に切り込みデバイス112を±Z方向に位置決めすることを容易にする。すなわち、切り込みデバイス112は、切り込みデバイス112、具体的には切り込むホイール又は切り込むポイントが段鼻部116に直接対向するように位置決めすることができる。従って、切り込みデバイス112は、ガラスリボン204が段鼻部116上に支持されている間に搬送方向252にドロー経路250上にドローイングされたガラスリボン204を切り込むのに利用することができ、それによって段鼻部116とは反対側のガラスリボン204に切り込み線208を導入することができる。本明細書に説明する方法と併せて使用するのに適する切り込みデバイスは、2007年5月9日出願の「Constant Force scoring device and Method for Using the Same」という名称の米国特許出願公開番号2008/0276785に開示されており、その全体が引用によって本明細書に組み込まれている。しかし、他の切り込みデバイスが企図され、かつ可能である。
【0046】
切り込みデバイス112の様々なアクチュエータは、コントローラ101が、ガラスリボン204を横切る切り込み線208を形成するために様々なアクチュエータで切り込みデバイス112を移動及び/又は作動させる論理部を実行するように、上述のようにコントローラ101と通信的に結合することができる。
【0047】
更に
図2A-2Cを参照するとかつ上述のように、段鼻部116は、ドロー経路250の切り込みデバイス112とは反対側に位置決めすることができる。段鼻部116は、切り込み中にガラスリボン204の全幅を支持するためにガラスリボン204の全幅にわたって延びることができる。すなわち、段鼻部116は、ガラスリボン204が切り込みデバイス112と段鼻部116の間で衝突されるように、ガラスリボン204のB面でガラスリボン204に接触することができる。一部の実施形態では、段鼻部116は、段鼻部116がガラスリボン204の面に接触した時にガラスリボン204の面を損傷しない1又は複数の材料から形成することができる。一部の実施形態では、段鼻部116は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は熱可塑性エラストマーのようなポリマー材料から形成することができる。しかし、他の材料が企図され、かつ可能である。
【0048】
実施形態では、段鼻部116は、コントローラ101と通信的に結合されて段鼻部116を±X方向に移動して段鼻部116をガラスリボン204との接触に位置決めし、かつ接触から外すように作動可能である線形アクチュエータ又は空気圧アクチュエータなどのようなアクチュエータ(図示せず)に結合することができる。段鼻部116はまた、コントローラ101と通信的に結合された線形アクチュエータ又は空気圧アクチュエータなどのようなアクチュエータ(図示せず)に結合される場合があり、このアクチュエータは、切り込み中に段鼻部116を±Z方向に位置決めして段鼻部116を切り込みデバイス112の真向かいに位置決めすることを容易にする。切り込みが完了した状態で、コントローラ101は、上述の様々なアクチュエータを使用して段鼻部116をガラスリボン204との接触から移動し、移動切り込み装置ホームポジション12まで戻して新しい切り込み線208がガラスリボン204に生成されるように切り込みを再び開始することができる。
【0049】
一部の実施形態では、段鼻部116は、ガラスリボン204を段鼻部116に保持するために段鼻部116を通してガラスリボン204に真空圧力を供給するように構成することができる。例えば、段鼻部116は、真空圧力ソース(例えば、真空ポンプ)に配管される場合がある。コントローラ101は、段鼻部116を通して真空圧力をドローイングするために真空圧力ソースと通信的に結合することができる。
【0050】
作動では、ガラスリボン204が出口位置10でドロー経路250上の形成装置241を出ると、コントローラ101は、移動切り込み装置ホームポジション12で切り込みデバイス112及び段鼻部116の両方をガラスリボン204と接触するように移動するための論理部を実行することができる。その後、コントローラ101は、上述の様々なアクチュエータを用いて切り込みデバイス112及び段鼻部116をガラスリボン204と共に移動して(ガラスリボン204の幅を横切ると共に-Z方向の両方)切り込みゾーン14でガラスリボン204の幅の少なくとも一部分を横切る切り込み線208が形成されるようにすることができる。切り込みデバイス112によって切り込みが完了すると、二重ロボット操作デバイス140は、切り込み線208の下流でガラスリボン204と係合する又は係合される。切り込みの完了時に、二重ロボット操作デバイス140は、段鼻部116を中心としてガラスリボン204を曲げ、ガラスシート205をガラスリボン204から分離することができる。
【0051】
二重ロボット操作デバイス140は、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144を含むことができる。第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144は、ガラス搬送方向252に移動切り込み装置110の下流で形成装置241の出口の近くに位置決めされてガラスリボン204の自由端207を受け入れることができる。図示の実施形態では、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144は、横方向(すなわち、図に描かれた座標軸の±Y方向)にドロー経路250を横切って切り込みデバイス112と反対側に位置決めすることができる。しかし、他の実施形態では、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144は、ドロー経路250と切り込みデバイス112の同じ側に位置決めすることができる。
【0052】
本明細書に註記したように、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144は、互いに実質的に同一とすることができる。従って、第1のロボット操作デバイス142又は第2のロボット操作デバイス144の一方に関する説明は、特に断りのない限り、第1のロボット操作デバイス142又は第2のロボット操作デバイス144の他方に適用することができる。一部の実施形態では、第1のロボット操作デバイス142は、マスターロボット操作デバイスである場合があり、第2のロボット操作デバイス144は、スレーブロボット操作デバイスである場合があり、スレーブロボット操作デバイスの移動は、マスターロボット操作デバイスの移動及びそれとの通信に依存する。例えば、マスターロボット操作デバイスとスレーブロボット操作デバイスの間の通信は、コントローラ101を通して容易にされる場合がある。従って、本明細書でより詳細に説明するように、コントローラ101は、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144の各々を主従関係で又は互いに独立して作動させることができる。
【0053】
第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144は、それぞれ多軸関節(例えば、3軸関節、4軸関節、5軸関節、6軸関節、又はそれよりも多く)に対して構成されたロボットアーム146a、146bを含むことができる。例えば、ロボット操作デバイスは、FANUC America Corporationが製造するFanuc R1000シリーズのような多軸ロボットを含むことができる。ロボットアーム146a、146bの運動を容易にするために、ロボットアーム146a、146bは、複数のジョイント(例えば、ジョイント156a、157b、158c及びジョイント156b、157b、158bそれぞれ)に結合された複数のリンク(例えば、リンク153a、154a及びリンク153b、154bそれぞれ)を含むことができる。第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144の各々の望ましい構成に到達するように複数のリンクを互いに相対的に回転及び位置決めするために様々な駆動機構(例えば、油圧アクチュエータ、電気機械アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、及びその組合せ)が使用される場合がある。すなわち、コントローラ101は、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144の各々と通信してロボットアーム146a、146bの姿勢を制御して第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144を様々なガラス分離及び搬送運動を通して移動することができる。
【0054】
第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144は、それぞれロボットアーム146a,146bの第1の端部147a,147bがそれに結合されるベース150a,150bを含むことができる。ベース150a,150bは、描かれた座標軸のZ軸に平行な軸を中心としたロボットアーム146a,146bの回転移動を支持することができる。一部の実施形態ではかつ
図1-2Dに示すように、ベース150a、150bは、レール152に装着することができ、ロボット操作デバイス142、144は、描かれた座標軸の±Y方向にレール152の長さの少なくとも一部分に沿って移動するように構成することができる。例えば、アクチュエータ(例えば、電動ホイール、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータ、又は電気機械アクチュエータなど)は、コントローラ101によって制御され、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144をレール152に沿って望ましい位置まで移動することができる。一部の実施形態では、第1のロボット操作デバイス142及び/又は第2のロボット操作デバイス144は、コントローラ101によってレール152に沿って独立して位置決めすることができる。他の実施形態では、第1のロボット操作デバイス142及び/又は第2のロボット操作デバイス144のベース150a、150bは、床、プラットフォーム、又は他の面に固定的に装着される場合がある(例えば、
図4A参照)。
【0055】
第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144の各々のロボットアーム146a,146bの第2の端部148a,148bには、ジョイント156a,156b(ロボットアーム146a,146bの手首ジョイント156a,156bとも呼ばれる)がある。手首ジョイント156a,156bは、ロボットアーム146a,146bの手首ジョイント156a,156bに結合されたエンドエフェクタ160a,160bの位置決めをそれぞれ達成するためにコントローラ101によって制御することができる。例えば、手首ジョイント156a、156bは、ガラスリボン204の平面に対するエンドエフェクタ160a、160bの位置を調節するために描かれた座標軸のY軸に平行な軸に沿った回転軸を定めることができる。以下で説明するように、ガラスリボン204の平面に対して実質的に平行になるようにエンドエフェクタ160a、160bの位置を調節することは、エンドエフェクタ160a、160bによるガラスリボン204との係合を助けることができる。
【0056】
エンドエフェクタ160a,160bは、ガラスリボン204の一部分を係合及び支持することができるいずれかのデバイスとすることができる。例えば、エンドエフェクタ160a,160bは、ベースフレーム161a,161bと、ベースフレーム161a,161bに結合された複数の把持デバイス162a,162bとを含むことができる。ベースフレーム161a,161bは、手首ジョイント156a,156bに結合されて複数の把持デバイス162a,162bをそれぞれ支持することができる。エンドエフェクタ160a,160aは、ガラスリボンの両方の縁部に同時に係合するように位置決めされたエンドエフェクタではなく、ガラスリボンの1つの縁部と係合するような大きさとすることができる。ガラスリボンの両方の縁部に同時に係合するように位置決めされたエンドエフェクタは、多くの場合に重く、その結果、慣性モーメントが増大し、ロボットアームの作業が困難になり、多くの場合にロボットの移動が遅くなることがある。ガラスリボンの単一縁部だけと係合するように設計され、別々のロボットアーム146a、146bに接続したエンドエフェクタ160a、160bを提供することにより、エンドエフェクタ160a、160bを軽量化することができ、次に、第1及び第2のロボット操作デバイス142、144のより迅速かつ効率的な移動を可能にする。これに加えて、別々のエンドエフェクタ160a、160bはまた、エンドエフェクタ160a、160bがガラスリボン204の中央面に接近するのではなく、端部からガラスリボン204に接近することができるので、ガラスリボン204の自由端207が揺れる原因になる場合がある空気擾乱を低減することができる。
【0057】
複数の把持デバイス162a,162bは、エンドエフェクタ160a,160bがそれら自身をガラスリボン204に固定することができるように配置することができる。複数の把持デバイス162a,162bは、吸引カップ又は他の吸引デバイス又はクランプなどを含むことができるがこれらに限定されない。本明細書では複数の把持デバイスを参照するが、一部の実施形態では、エンドエフェクタ160a、160bは、それぞれ単一把持デバイスを含むことができる。図示の実施形態では、複数の把持デバイス162a、162bは、単一縦列構成でベースフレーム161a、161bに沿って位置合わせすることができる(例えば、描かれた座標軸の垂直軸Zに沿って位置合わせする)。しかし、他の実施形態では、複数の把持デバイス162a、162bは、単一縦列ではない他の構成に配置することができる。例えば、把持デバイスの複数の横列(例えば、2平行横列、3平行横列など)がある場合がある。複数の把持デバイス162a、162bは、それぞれ係合平面163を定めることができる。係合平面163は、それに沿って複数の把持デバイス162a、162bがガラスリボン204に接触するように構成された平面である。例えば、複数の把持デバイス162a、162bの係合平面163は、ガラスリボン204と係合するためにガラスリボン204の平面と実質的に平行になるように配置することができる。
【0058】
複数の把持デバイス162a、162bが吸引デバイス(例えば、吸引カップ)を含む実施形態では、吸引デバイスの各々は、コントローラ101と通信的に結合された1又は2以上の真空圧力ソースに配管される場合がある。コントローラ101は、1又は2以上の真空圧力ソースと通信して複数の吸引デバイスを通して真空(すなわち、負)の圧力を印加し、それによって複数の吸引デバイスをガラスリボン204に対して密封することができる。一部の実施形態では、コントローラ101は、吸引デバイス又はその群の各々を通る真空圧力の流れを独立に制御することができる。従って、真空圧力は、吸引デバイスの全て又は一部分を通して選択的に送出することができる。一部の実施形態では、1又は2以上の真空圧力ソースは、複数の吸引デバイスを通して正圧(例えば、空気の流れ)を提供してガラスリボン204又はそれに結合されたガラスシート205を解除することを容易にするように構成することができる。実施形態では、複数の把持デバイス162a、162bは、A側又はB側と係合する一方で反対側は接触しないままとすることができる。
【0059】
複数の把持デバイス162a、162bがクランプを含む実施形態では、クランプは、コントローラ101がクランプをガラスリボン204の縁部の周りで開閉させることができるようにコントローラ101と通信的に結合されたアクチュエータを含むことができる。これは、複数の把持デバイス162a、162bのガラスリボン204のA側及びB側との同時係合を可能にすることができる。
【0060】
実施形態では、複数の把持デバイス162a、162bは、1又は2以上(例えば、2、3、4など)の群に配置することができ、各群は、ガラスリボン204を把持するために独立して作動可能である。群の各々は、1又は2以上の把持デバイスを含むことができる。各群は、同じ数の把持デバイス又は異なる数の把持デバイスを含むことができる。1又は2以上の群は、ガラスリボン204に把持力を印加するように独立して制御することができる。例えば、望ましいガラスシート205サイズが、エンドエフェクタ160a,160bの垂直高さ(例えば、描かれた座標軸のZ方向での)よりも小さい場合に、ガラスリボン204と接触すると考えられる把持デバイスのみを作動させることができる。
【0061】
様々な実施形態では、エンドエフェクタ160a、160bは、手首ジョイント156a、156bに対する複数の把持デバイス162a、162bの位置を調節し、それによって横方向(すなわち、図に描かれた座標軸の±Y方向)にガラスリボン204にわたって引張Tを印加するようにそれぞれ構成された引張アクチュエータ170a、170bを含むことができる。例えば、引張アクチュエータ170a、170bは、空気圧シリンダ、サーボモータ、又は他のアクチュエータを含むことができる。実施形態では、引張調節アクチュエータ170a、170bは、ベースフレーム161a、161bと手首ジョイント156a、156bの間でベースフレーム161a、161bに結合することができる。一部の実施形態では、引張調節アクチュエータ170a、170bは、ベースフレーム161a、161bの一部分を形成することができる。引張アクチュエータ170a、170bは、コントローラ101が複数の把持デバイス162a、162bの横方向位置(例えば、描かれた座標軸の±Y方向の)を引張アクチュエータ170a、170bを用いてガラスリボン204と係合した時に制御するようにコントローラ101と通信的に結合することができる。一部の実施形態では、把持デバイスの各群は、ガラスリボン204と係合した時に各群が横方向に独立に調節することができるように専用引張調節アクチュエータに結合することができる。一部の実施形態では、専用引張アクチュエータの代わりに、引張は、複数の把持デバイス162a、162bの位置を調節するためにロボットアーム146a、146bの姿勢を調節することによって与えることができる。例えば、ロボットアーム146a,146bは、エンドエフェクタ160a,160bを横方向に引っ張ってガラスリボン204に引張を印加することができる。
【0062】
再び
図1を参照すると、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144は、ガラスリボン204からガラスシート205を分離するために及び/又はそうでなければ分離されたガラスシート205を搬送するために曲げ作動を行っている間に第2のロボット操作デバイス144が第1のロボット操作デバイス142と同じ空間的関係を維持するように協調運動を行うようにコントローラ101によって作動させることができる。実施形態では、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144の間の予め決められた位置関係は、直接測定、固定具の較正、及び/又は視覚較正(例えば、1又は2以上の光センサを用いた)によって決定することができる。すなわち、予め決められた位置関係は、コントローラ101が第1のロボット操作デバイス142に対する第2のロボット操作デバイス144の運動を同期させるように定めることができる。例えば、第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスの間に予め決められた位置関係が定められる場合に、第2のロボット操作デバイスは、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144の協調した移動を通してその位置関係を維持することができる。従って、曲げ作動及び/又は搬送作動中に、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144の間の空間的関係は、コントローラ101によって一定に保つことができる。すなわち、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144のそのような協調されたかつ通信された(例えば、コントローラ101を通して)移動中に、第1のロボット操作デバイス142は、マスターロボット操作デバイスとすることができ、第2のロボット操作デバイス144は、スレーブロボット操作デバイスとすることができる。
【0063】
ガラスリボン204がドロー経路250に沿ってドローイングされる時に、ガラスリボン204の自由端207は、ドロー経路250の平面外に移動することがある(例えば、自由端207は、捩れる又は揺れる場合がある)。そのような状況下で、第1のロボット操作デバイス142及び/又は第2のロボット操作デバイス144のエンドエフェクタ160a、160bの係合平面163は、ガラスリボン204のそれぞれの縁部(例えば、第1の縁部211及び第2の縁部213)と係合するようにドロー経路250に対して独立に調節することができる。係合163時に、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144のエンドエフェクタ160a、160bは、ドロー経路250と平行な向きに移動することができる。一部の実施形態では、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144のエンドエフェクタ160a、160bの位置を手動で調節するために、オペレータには、コントローラ101と通信的に結合された制御器が提供される場合がある。他の実施形態では、シートの向きを示す信号(例えば、ガラスリボン204の自由端207の捩れ又は他の平面外移動)を出力するために、1又は2以上のセンサ(例えば、カメラ、超音波センサ、又は赤外線放射センサなど)が配置される場合がある。そのようなセンサの出力に基づいて、コントローラ101は、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144のエンドエフェクタ160a、160bの係合平面163を自動的に調節することができる。
【0064】
ガラスリボン204と係合された状態で、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144の引張アクチュエータ170a,170bは、搬送方向252に対して横断方向にガラスリボン204に引張Tを与えるように作動することができる。すなわち、第1のロボット操作デバイス142の引張アクチュエータ170aは、搬送方向252に対して横断方向の第1の方向に引張力を印加することができ、第2のロボット操作デバイス144の引張アクチュエータ170bは、第1の方向と反対の第2の方向に引張力を印加することができる。引張Tは、曲げている間の切り込み線208でのガラスシート205のスナップオフを促すことができる。
【0065】
図3は、ガラスリボン204からガラスシート205を分離する方法400を描いた流れ図を例示している。流れ図は、ある一定の順序に従った段階を描いているが、そのような段階は、いずれの順序でも及び/又は互いに同時に実行される場合がある。これに加えて、本明細書に提供する方法は、本発明の開示の範囲から逸脱することなくより多い又は少ない数の段階を含む場合がある。
【0066】
段階401では、方法400は、グラスリボン204を形成する段階及び/又は搬送方向252にドロー経路250に沿ってグラスリボン204をドローイングする段階を含むことができる。
図2Aに示すように、ガラスリボン204が出口位置10で形成装置241(
図1に示されている)を出る時に、ガラスリボンは、ガラス分離装置100の中に向けられる。
【0067】
再び
図3を参照すると、段階402では、切り込み線208は、ガラスリボン204の幅の少なくとも一部分にわたって生成することができる。例えば及び
図2A及び2Bを参照すると、ガラスリボン204が予め決められた長さに達した状態で(例えば、ガラスリボン204の自由端207が谷底部239に対する望ましいシート長さに達した場合のような)、コントローラ101は、横方向(すなわち、描かれた座標軸の±Y方向)にガラスリボン204の少なくとも一部分にわたって切り込み線208を生成するように移動切り込み装置110を作動させることができる。すなわち、コントローラ101は、ガラスリボン204が切り込みデバイス112と段鼻部116の間に衝突するように、切り込みデバイス112を移動して第1の側(例えば、ガラスリボン204のA側)に接触させ、段鼻部116を移動して切り込みデバイス112と反対のガラスリボン204のガラスリボン204の第2の側(例えば、ガラスリボン204のB側)に接触させることができる。次に、切り込みデバイス112は、搬送方向252に対して横断方向にガラスリボン204の少なくとも一部分にわたって横断し、それによってガラスリボン204に切り込み線208を形成することができる。
図2Bは、移動切り込み装置ホームポジション12から切り込みゾーン14を経て切り込みが完了する切り込み完了線16までの移動切り込み装置110の運動を示している。
【0068】
再び
図3を参照すると、段階403では、グラスリボン204が切り込まれる前に、それと同時に、又はその後に、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144は、移動切り込み装置110の下流でグラスリボン204のB側に取り付けることができる。すなわち、第1のロボット操作デバイス142は、搬送方向252に切り込み線28の下流の位置でガラスリボン204の第1の縁部211と係合し、第2のロボット操作デバイス144は、搬送方向に切り込み線208の下流の位置でガラスリボンの第2の縁部213と係合することができる。第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144のエンドエフェクタ160a、160bは、上述のように、それぞれのロボットアーム146a、146bを用いて定められた位置の中に操縦することができる。
【0069】
ガラスリボン204の自由端207が捩れる又は他にドロー経路250から平面外に位置決めされる場合に、本方法は、第1のロボット操作デバイス142のエンドエフェクタ160a、第2のロボット操作デバイス144のエンドエフェクタ160b、又はその両方の係合平面163を調節してガラスリボン204の縁部211,213の平面と実質的に整合させてガラスリボン204と係合させる段階を含むことができる。係合時に、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144のエンドエフェクタ160a、160bは、ガラスリボン204をドロー経路250と再位置合わせするように移動することができる。これに加えて、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144の引張アクチュエータ170a、170bは、搬送方向252に対して横断方向にガラスリボン204にわたって引張Tを与えるように作動させることができる。
【0070】
段階404ではかつ
図2Cに示すように、切り込み作動の完了時に、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144は、切り込み線208を中心としてガラスリボン204に曲げモーメントを印加し、それによってガラスリボン204からガラスシート205を分離するようにそれらのそれぞれのロボットアーム146a、146bを用いて操縦することができる。第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144は、次に、分離されたガラスシート205をその後の加工のために搬送することができる。例えば、
図2Dに示すように、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144は、レール152に沿って移動してガラスシート205を望ましい場所まで搬送することができる。第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144は、搬送全体を通してガラスシート205内の横断方向引張Tを維持することができる。一部の実施形態では、目的地に到達した状態で、コントローラ101は、第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスにガラスシート205を解除させることができる。
【0071】
図4A及び
図4Bは、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144から第3のロボット操作デバイス300へのハンドオフ作動を示している。第3のロボット操作デバイス300は、多軸関節(例えば、3軸関節、4軸関節、5軸関節、6軸関節、又はそれよりも多く)に対して構成された第3のロボットアーム302を含むという点で第1及び第2のロボット操作デバイスと同様とすることができる。第3のエンドエフェクタ304は、第3のロボットアーム302に取り付けることができ、かつガラスシート205の第1の縁部211及び第2の縁部213に近い位置でガラスシート205と同時に係合するように構成することができる。実施形態では、ガラスシート205と係合された時に、第3エンドエフェクタ304は、エンドエフェクタ160a及びエンドエフェクタ160bの内側(すなわち、ガラスシート205の中心線により近い)位置でガラスシート205と係合することができる。一部の実施形態では、第3のロボット操作デバイス300は、第1のロボット操作デバイス142又は第2のロボット操作デバイス144のいずれか一方又は両方に対してスレーブロボット操作デバイスであり、かつ例えばコントローラ101を通してそれと通信することができる。すなわち、第3のロボット操作デバイスの移動は、第1のロボット操作デバイス142、第2のロボット操作デバイス144、及び/又は第3のロボット操作デバイス300からのフィードバックを通して第1のロボット操作デバイス142及び/又は第2のロボット操作デバイスの移動と協調するようにコントローラ101によって制御することができる。
【0072】
第3エンドエフェクタ304は、第3エンドエフェクタフレーム305を含むことができる。第1の把持部分306は、第3のエンドエフェクタフレーム305の第1の端部310に取り付けることができ、第2の把持部分308は、第3のエンドエフェクタフレーム305の第2の端部312に取り付けることができる。第1及び第2の把持部分分306、308の各々は、1又は2以上の把持デバイス(例えば、吸引カップ又は他の吸引デバイス又はクランプなど)を含むことができる。第1の把持部分306は、第1のロボット操作デバイス142の複数の把持デバイス162aの係合位置の近くでガラスシート205と係合することができ、第2の把持部分308は、ガラスシート205の品質領域の外側でかつ第2のロボット操作デバイス144の複数の把持デバイス162bの近くでガラスシート205と係合することができる。本明細書に使用される時に、ガラスシートの品質領域は、ガラスシートの内部又は中心部分を指す。別の言い方をすると、第3のエンドエフェクタ304は、第1のロボット操作デバイス142の係合位置と第2のロボット操作デバイス144の係合位置の間でガラスシート205と係合することができる。
図4Bに示すように、第1のロボット操作デバイス142、第2のロボット操作デバイス144、及び第3のロボット操作デバイス300は、全て同じ側(例えば、B側)でガラスリボン204と係合することができ、すなわち、反対側(例えば、A側)の面品質及び反対側の品質領域を保存することができる。一部の実施形態では、第3のロボット操作デバイス300は、代わりに、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144からガラスリボン204の反対側に係合することができる。第3のロボット操作デバイス300へのガラスシート205のハンドオフ中に引張調節アクチュエータ170a、170bを用いて引張を維持することは、ガラスシート205に接近する第3のロボット操作デバイス300によって他に引き起こされる場合があるガラスシートの不要なシート揺れ又は撓みを防止することができる。別の言い方をすれば、第3のロボット操作デバイス300によって引き起こされるガラスシートに対する空気擾乱の影響は、ガラスシート205に印加される引張Tに起因して緩和することができる。
【0073】
一部の実施形態では、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144は、代わりに、ガラスシート205をオーバーヘッドコンベヤ、スタック、又は追加の加工ステーションまで移送することができる。第1及び第2のロボット操作デバイス142、144がガラスシート205を解除した状態で、第1及び第2のロボット操作デバイス142、144は、別のガラスシート205をガラスリボン204から分離するためにドロー経路250まで戻ることができる。
【0074】
一部の実施形態では、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144は、コンベヤ(例えば、垂直コンベヤ又は水平コンベヤなど)、スタック、又は加工ステーションからガラスシートを取り出すのに使用される場合がある。例えば、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144は、コンベヤに取り付けられたガラスシートと係合し、かつガラスシートをコンベヤから取り外すために同期して移動することができる。コンベヤから取り出された状態で、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144は、保管又は搬送などのためにガラスシートを積み重ねることができ(例えば、垂直又は水平に)、又は第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイスは、ガラスシートを別のロボット操作デバイス(例えば、ロボット操作デバイス300)にハンドオフすることができる。更に別の実施形態では、第1のロボット操作デバイス142及び第2のロボット操作デバイス144は、ガラスシートのスタック内のガラスシートと係合し、かつガラスシートをコンベヤ、別のロボット操作デバイスなどに搬送するために同期して移動することができる。
【0075】
本明細書に説明する装置及び方法は、フュージョン・ドロー工程又は類似のダウン・ドロー工程で生成されたガラスリボンのようなガラスリボンからガラスシートを分離するのに使用することができる。本明細書に説明する装置及び方法は、切り込み線を中心としてガラスリボンを曲げて切り込み線を中心としてガラスシートをガラスリボンから分離するために同期して移動することができる第1のロボット操作デバイス及び第2のロボット操作デバイスを含む二重ロボット操作デバイスを使用することをここで理解しなければならない。単一ロボット操作デバイスではなく、二重ロボット操作デバイスを使用することは、いくつかの利益を提供する。例えば、ガラスシートの重量を2つのロボット操作装置間で分散させることができ、これは、より大きいガラスシートの生成又はより迅速なその操作及び/又は搬送を可能にすることができる。更に、ロボット操作装置は、単一ロボット操作デバイスに対しては必要であると考えられるガラスリボンの中心面に接近するのではなく、ガラスリボンの縁部からガラスリボンに接近することができるので、そのような接近によって引き起こされる空気擾乱を最小にすることができ、係合中のガラスリボン内の揺れが少なくなり、これは、ガラスリボンとの係合を改善することができる。更に、二重ロボット操作装置は、ガラスリボンの一方の側のみと係合することができるように回転なしのハンドオフを提供し、すなわち、反対側の面品質を完全に保持することができる。
【0076】
主張する主題の精神及び範囲から逸脱することなく本明細書に説明する実施形態に対して様々な修正及び変形を行うことができることは当業者に明らかであろう。すなわち、本明細書が本明細書に説明する様々な実施形態の修正及び変形をそのような修正及び変形が添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲に入ることを条件として網羅することを意図している。
【符号の説明】
【0077】
140 二重ロボット操作デバイス
200 ガラス製造装置
204 ガラスリボン
207 ガラスリボンの自由端
250 ドロー経路