(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】キャンセル精算管理装置、キャンセル精算管理方法、および、キャンセル精算管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/40 20120101AFI20240829BHJP
G06Q 30/04 20120101ALI20240829BHJP
【FI】
G06Q20/40 340
G06Q30/04
(21)【出願番号】P 2022036523
(22)【出願日】2022-03-09
【審査請求日】2024-06-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松山 友香
(72)【発明者】
【氏名】小田 浩大
(72)【発明者】
【氏名】森 直樹
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-046237(JP,A)
【文献】国際公開第2004/077362(WO,A1)
【文献】特開2004-234398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えたキャンセル精算管理装置であって、
前記記憶部は、
立替払契約に係る取引対象の取引を行った信販会社の加盟店、前記立替払契約の立替日、精算日、および、立替金額を紐付けて設定した債権データを記憶する取引記憶手段と、
前記加盟店、締日、および、支払日を紐付けて設定した締支払マスタと、
を備え、
前記制御部は、
前記取引に対するキャンセルが発生した場合、前記債権データに基づいて、キャンセル日、前記加盟店、キャンセル金額、および、精算不可を初期値とする精算対象フラグを紐付けて設定したキャンセルデータを取得するキャンセル取得手段と、
前記キャンセル金額が精算可となった場合、前記キャンセルデータに設定された前記精算対象フラグを前記精算可に変更し、前記締支払マスタに基づいて、前記キャンセルデータに精算日を設定するキャンセル精算確定手段と、
前記債権データ、および、前記精算対象フラグが前記精算可と設定された前記キャンセルデータに基づいて、精算処理を実行する精算手段と、
を備えたことを特徴とするキャンセル精算管理装置。
【請求項2】
前記キャンセル精算確定手段は、
キャンセル精算確定処理画面にて前記キャンセルデータが精算対象に設定された場合、前記キャンセルデータに設定された前記精算対象フラグを前記精算可に変更し、前記締支払マスタに基づいて、前記キャンセルデータに前記精算日を設定することを特徴とする請求項1に記載のキャンセル精算管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記取引対象とは異なる取引対象および前記加盟店を紐付けて設定した、前記債権データとは異なる債権データを取得する債権取得手段、
を更に備え、
前記キャンセル精算確定手段は、
前記債権取得手段により前記キャンセルデータの相殺対象となる前記異なる債権データが取得された場合、前記キャンセルデータに設定された前記精算対象フラグを前記精算可に変更し、前記締支払マスタに基づいて、前記キャンセルデータに前記精算日を設定することを特徴とする請求項1または2に記載のキャンセル精算管理装置。
【請求項4】
前記精算手段は、
前記債権データ、および、前記精算対象フラグが前記精算可と設定された前記キャンセルデータに基づいて、前記加盟店毎且つ前記精算日毎の精算金額を設定した精算データを取得することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のキャンセル精算管理装置。
【請求項5】
前記キャンセル精算確定手段は、
前記キャンセル金額が前記精算可となった場合、前記キャンセルデータに設定された前記精算対象フラグを前記精算可に変更し、前記締支払マスタに基づいて、前記キャンセルデータに設定された前記キャンセル日に対する前記締日に紐付けられた前記支払日を前記精算日として前記キャンセルデータに設定することを特徴とする請求項1に記載のキャンセル精算管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記加盟店、前記立替日、および、前記立替金額を含む申込データが入力された場合、前記締支払マスタに基づいて、前記申込データに設定された前記立替日に対する前記締日に紐付けられた前記支払日を前記精算日として特定し、前記加盟店、前記立替日、前記精算日、および、前記立替金額を紐付けて設定した前記債権データを取得する債権取得手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のキャンセル精算管理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記精算データに基づいて、精算仕訳データを作成する仕訳作成手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項4に記載のキャンセル精算管理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
月末に、前記精算対象フラグが前記精算不可と設定された前記キャンセルデータが存在する場合、当該キャンセルデータに基づいて、借方の勘定科目を未収金とするキャンセル仕訳データを作成する仕訳作成手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のキャンセル精算管理装置。
【請求項9】
前記仕訳作成手段は、
更に、前記月末の翌月初に、前記キャンセル仕訳データに対する逆仕訳データを作成することを特徴とする請求項8に記載のキャンセル精算管理装置。
【請求項10】
記憶部と制御部とを備えたキャンセル精算管理装置に実行させるためのキャンセル精算管理方法であって、
前記記憶部は、
立替払契約に係る取引対象の取引を行った信販会社の加盟店、前記立替払契約の立替日、精算日、および、立替金額を紐付けて設定した債権データを記憶する取引記憶手段と、
前記加盟店、締日、および、支払日を紐付けて設定した締支払マスタと、
を備え、
前記制御部で実行させる、
前記取引に対するキャンセルが発生した場合、前記債権データに基づいて、キャンセル日、前記加盟店、キャンセル金額、および、精算不可を初期値とする精算対象フラグを紐付けて設定したキャンセルデータを取得するキャンセル取得ステップと、
前記キャンセル金額が精算可となった場合、前記キャンセルデータに設定された前記精算対象フラグを前記精算可に変更し、前記締支払マスタに基づいて、前記キャンセルデータに精算日を設定するキャンセル精算確定ステップと、
前記債権データ、および、前記精算対象フラグが前記精算可と設定された前記キャンセルデータに基づいて、精算処理を実行する精算ステップと、
を含むことを特徴とするキャンセル精算管理方法。
【請求項11】
記憶部と制御部とを備えたキャンセル精算管理装置に実行させるためのキャンセル精算管理プログラムであって、
前記記憶部は、
立替払契約に係る取引対象の取引を行った信販会社の加盟店、前記立替払契約の立替日、精算日、および、立替金額を紐付けて設定した債権データを記憶する取引記憶手段と、
前記加盟店、締日、および、支払日を紐付けて設定した締支払マスタと、
を備え、
前記制御部において、
前記取引に対するキャンセルが発生した場合、前記債権データに基づいて、キャンセル日、前記加盟店、キャンセル金額、および、精算不可を初期値とする精算対象フラグを紐付けて設定したキャンセルデータを取得するキャンセル取得ステップと、
前記キャンセル金額が精算可となった場合、前記キャンセルデータに設定された前記精算対象フラグを前記精算可に変更し、前記締支払マスタに基づいて、前記キャンセルデータに精算日を設定するキャンセル精算確定ステップと、
前記債権データ、および、前記精算対象フラグが前記精算可と設定された前記キャンセルデータに基づいて、精算処理を実行する精算ステップと、
を実行させるためのキャンセル精算管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャンセル精算管理装置、キャンセル精算管理方法、および、キャンセル精算管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、割賦販売された商品の顧客から信販会社への支払後に、キャンセルが発生した場合、顧客から信販会社への既払金を返却先が決まるまで保留金額として既払金精算を保留し、立替金については通常通り信販会社と加盟店との間で精算する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、申込キャンセル時の精算業務において、キャンセル処理後に立替金の精算時期をコントロールすることができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、申込キャンセル時の精算業務において、加盟店毎の精算タイミングに合わせて、精算対象をコントロールできるキャンセル精算管理装置、キャンセル精算管理方法、および、キャンセル精算管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るキャンセル精算管理装置は、記憶部と制御部とを備えたキャンセル精算管理装置であって、前記記憶部は、立替払契約に係る取引対象の取引を行った信販会社の加盟店、前記立替払契約の立替日、精算日、および、立替金額を紐付けて設定した債権データを記憶する取引記憶手段と、前記加盟店、締日、および、支払日を紐付けて設定した締支払マスタと、を備え、前記制御部は、前記取引に対するキャンセルが発生した場合、前記債権データに基づいて、キャンセル日、前記加盟店、キャンセル金額、および、精算不可を初期値とする精算対象フラグを紐付けて設定したキャンセルデータを取得するキャンセル取得手段と、前記キャンセル金額が精算可となった場合、前記キャンセルデータに設定された前記精算対象フラグを前記精算可に変更し、前記締支払マスタに基づいて、前記キャンセルデータに精算日を設定するキャンセル精算確定手段と、前記債権データ、および、前記精算対象フラグが前記精算可と設定された前記キャンセルデータに基づいて、精算処理を実行する精算手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るキャンセル精算管理装置において、前記キャンセル精算確定手段は、キャンセル精算確定処理画面にて前記キャンセルデータが精算対象に設定された場合、前記キャンセルデータに設定された前記精算対象フラグを前記精算可に変更し、前記締支払マスタに基づいて、前記キャンセルデータに前記精算日を設定することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るキャンセル精算管理装置において、前記制御部は、前記取引対象とは異なる取引対象および前記加盟店を紐付けて設定した、前記債権データとは異なる債権データを取得する債権取得手段、を更に備え、前記キャンセル精算確定手段は、前記債権取得手段により前記キャンセルデータの相殺対象となる前記異なる債権データが取得された場合、前記キャンセルデータに設定された前記精算対象フラグを前記精算可に変更し、前記締支払マスタに基づいて、前記キャンセルデータに前記精算日を設定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るキャンセル精算管理装置において、前記精算手段は、前記債権データ、および、前記精算対象フラグが前記精算可と設定された前記キャンセルデータに基づいて、前記加盟店毎且つ前記精算日毎の精算金額を設定した精算データを取得することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るキャンセル精算管理装置において、前記キャンセル精算確定手段は、前記キャンセル金額が前記精算可となった場合、前記キャンセルデータに設定された前記精算対象フラグを前記精算可に変更し、前記締支払マスタに基づいて、前記キャンセルデータに設定された前記キャンセル日に対する前記締日に紐付けられた前記支払日を前記精算日として前記キャンセルデータに設定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るキャンセル精算管理装置において、前記制御部は、前記加盟店、前記立替日、および、前記立替金額を含む申込データが入力された場合、前記締支払マスタに基づいて、前記申込データに設定された前記立替日に対する前記締日に紐付けられた前記支払日を前記精算日として特定し、前記加盟店、前記立替日、前記精算日、および、前記立替金額を紐付けて設定した前記債権データを取得する債権取得手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るキャンセル精算管理装置において、前記制御部は、前記精算データに基づいて、精算仕訳データを作成する仕訳作成手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るキャンセル精算管理装置において、前記制御部は、月末に、前記精算対象フラグが前記精算不可と設定された前記キャンセルデータが存在する場合、当該キャンセルデータに基づいて、借方の勘定科目を未収金とするキャンセル仕訳データを作成する仕訳作成手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るキャンセル精算管理装置において、前記仕訳作成手段は、更に、前記月末の翌月初に、前記キャンセル仕訳データに対する逆仕訳データを作成することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るキャンセル精算管理方法は、記憶部と制御部とを備えたキャンセル精算管理装置に実行させるためのキャンセル精算管理方法であって、前記記憶部は、立替払契約に係る取引対象の取引を行った信販会社の加盟店、前記立替払契約の立替日、精算日、および、立替金額を紐付けて設定した債権データを記憶する取引記憶手段と、前記加盟店、締日、および、支払日を紐付けて設定した締支払マスタと、を備え、前記制御部で実行させる、前記取引に対するキャンセルが発生した場合、前記債権データに基づいて、キャンセル日、前記加盟店、キャンセル金額、および、精算不可を初期値とする精算対象フラグを紐付けて設定したキャンセルデータを取得するキャンセル取得ステップと、前記キャンセル金額が精算可となった場合、前記キャンセルデータに設定された前記精算対象フラグを前記精算可に変更し、前記締支払マスタに基づいて、前記キャンセルデータに精算日を設定するキャンセル精算確定ステップと、前記債権データ、および、前記精算対象フラグが前記精算可と設定された前記キャンセルデータに基づいて、精算処理を実行する精算ステップと、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るキャンセル精算管理プログラムは、記憶部と制御部とを備えたキャンセル精算管理装置に実行させるためのキャンセル精算管理プログラムであって、前記記憶部は、立替払契約に係る取引対象の取引を行った信販会社の加盟店、前記立替払契約の立替日、精算日、および、立替金額を紐付けて設定した債権データを記憶する取引記憶手段と、前記加盟店、締日、および、支払日を紐付けて設定した締支払マスタと、を備え、前記制御部において、前記取引に対するキャンセルが発生した場合、前記債権データに基づいて、キャンセル日、前記加盟店、キャンセル金額、および、精算不可を初期値とする精算対象フラグを紐付けて設定したキャンセルデータを取得するキャンセル取得ステップと、前記キャンセル金額が精算可となった場合、前記キャンセルデータに設定された前記精算対象フラグを前記精算可に変更し、前記締支払マスタに基づいて、前記キャンセルデータに精算日を設定するキャンセル精算確定ステップと、前記債権データ、および、前記精算対象フラグが前記精算可と設定された前記キャンセルデータに基づいて、精算処理を実行する精算ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、本来未収金とする必要のない金額に対し、未収金管理が不要となるため効率的に精算業務・会計業務を行うことができるという効果を奏する。また、本発明によれば、立替精算の発生タイミングに合わせて、キャンセル分の精算処理を行うことが可能となり、加盟店の資金の流れをスムーズにすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、三者間契約を取る割賦業務において、加盟店との精算処理はできるだけシンプルで汎用性が高いものである方が信販会社および加盟店にとって有益であるが、キャンセル精算時の未収金に着目することで、仕訳を意識したより柔軟な精算業務に対応することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、クレジット事業で発生するキャンセル精算業務において、加盟店毎の精算(締支払)タイミングに柔軟に対応可能とし、より様々な役務を提供する事業者への対応も可能とすることができるという効果を奏する。また、キャンセル発生タイミングよっては精算タイミング固定が故に未収管理が発生していたが、本発明によれば、省略可能となり会計業務の効率化をすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、加盟店毎に申込キャンセル時の精算日のコントロールをすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、信販会社において、財務会計上、本来未収金とする必要のない金額に対して未収金管理が不要となるため、効率的に精算業務・会計業務を行えるという効果を奏する。また、本発明によれば、信販会社において、加盟店毎の立替金の精算タイミング(締支払タイミング)に合わせキャンセル分の精算タイミングを柔軟にコントロールできるという効果を奏する。また、本発明によれば、加盟店において、キャンセル分の精算が発生した場合、立替精算の発生タイミングに合わせて精算処理を行うことで資金の流れをスムーズにすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、キャンセル分の精算タイミングが調整できることで資金繰りが楽になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態における申込キャンセル時の精算業務の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態におけるキャンセル精算管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態におけるキャンセル精算管理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本実施形態におけるキャンセル精算管理処理の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態におけるキャンセル精算管理処理の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態におけるキャンセル精算管理処理の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態におけるキャンセル精算管理処理の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態におけるキャンセル精算管理処理の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態におけるキャンセル精算管理処理の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態におけるキャンセル精算確定画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態におけるキャンセル精算確定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0020】
[1.概要]
まず、
図1を参照して、本発明の概要を説明する。
図1は、本実施形態における申込キャンセル時の精算業務の一例を示す図である。
【0021】
図1に示すように、従来、割賦販売契約における申込キャンセル時の精算業務においては、同月内の取引内容(立替・キャンセル)を考慮せず加盟店毎の精算タイミング(締支払タイミング)に合わせた精算処理が行われていた。
【0022】
そのため、従来は、キャンセル金額が立替金額よりも多かった場合、マイナス金額の精算となり、信販会社にとって、様々な締体系の加盟店と契約がある場合、加盟店毎の精算タイミング(締支払タイミング)に柔軟に対応することが困難であるため、財務会計上発生する必要のない未収金が発生しており、加盟店にとって、頻繁に未収金管理が発生するため、精算業務・会計業務が煩雑化し、未収金額の振込が別途必要になるような複雑な資金管理を必要となるケースが発生していた。
【0023】
そこで、本実施形態においては、申込キャンセル時の精算業務において、キャンセル処理後に精算対象をコントロールできる仕組みを提供している。
【0024】
[2.構成]
本実施形態に係るキャンセル精算管理装置100の構成の一例について、
図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態におけるキャンセル精算管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、キャンセル精算管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、キャンセル精算管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0026】
キャンセル精算管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。キャンセル精算管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0027】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、キャンセル精算管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、キャンセル精算管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0028】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0029】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、締支払マスタ106aと取引データベース106bとを備えている。
【0030】
締支払マスタ106aは、信販会社の加盟店、締日、および、支払日を紐付けて設定したマスタである。ここで、締支払マスタ106aは、加盟店名、締支払日、締日、支払日、および、休日判断区分が紐付けて設定されていてもよい。
【0031】
取引データベース106bは、信販会社の取引データを記憶する。ここで、取引データベース106bは、立替払契約に係る取引対象の取引を行った信販会社の加盟店、立替払契約の立替日、精算日、および、立替金額を紐付けて設定した債権データを記憶していてもよい。また、取引データは、精算データ、キャンセルデータ、未収金データ、および/または、仕訳データ等を含んでいてもよい。ここで、取引対象は、商品、および/または、役務であってもよい。
【0032】
制御部102は、キャンセル精算管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、債権取得部102aとキャンセル取得部102bとキャンセル精算確定部102cと精算部102dと仕訳作成部102eとを備えている。
【0033】
債権取得部102aは、債権データを取得する。ここで、債権取得部102aは、立替払契約に係る債権データを取得してもよい。また、債権取得部102aは、取引対象とは異なる取引対象および加盟店を紐付けて設定した、債権データとは異なる債権データを取得してもよい。また、債権取得部102aは、加盟店、立替日、および、立替金額を含む申込データが入力された場合、締支払マスタ106aに基づいて、申込データに設定された立替日に対する締日に紐付けられた支払日を精算日として特定し、加盟店、立替日、精算日、および、立替金額を紐付けて設定した債権データを取得してもよい。また、債権取得部102aは、債権データを取引データベース106bに登録してもよい。
【0034】
キャンセル取得部102bは、立替払契約に係る取引対象の取引のキャンセルデータを取得する。ここで、キャンセル取得部102bは、立替払契約に係る取引対象の取引に対するキャンセルが発生した場合、債権データに基づいて、キャンセル日、加盟店、キャンセル金額、および、精算不可を初期値とする精算対象フラグを紐付けて設定したキャンセルデータを取得してもよい。また、キャンセル取得部102bは、キャンセルデータを取引データベース106bに登録してもよい。
【0035】
キャンセル精算確定部102cは、キャンセルデータに設定された精算対象フラグを精算可に変更する。ここで、キャンセル精算確定部102cは、キャンセル金額が精算可となった場合、キャンセルデータに設定された精算対象フラグを精算可に変更し、締支払マスタ106aに基づいて、キャンセルデータに精算日を設定してもよい。また、キャンセル精算確定部102cは、キャンセル精算確定処理画面にてキャンセルデータが精算対象に設定された場合、キャンセルデータに設定された精算対象フラグを精算可に変更し、締支払マスタ106aに基づいて、キャンセルデータに精算日を設定してもよい。また、キャンセル精算確定部102cは、債権取得部102aによりキャンセルデータの相殺対象となる異なる債権データが取得された場合、キャンセルデータに設定された精算対象フラグを精算可に変更し、締支払マスタ106aに基づいて、キャンセルデータに精算日を設定してもよい。また、キャンセル精算確定部102cは、キャンセル金額が精算可となった場合、キャンセルデータに設定された精算対象フラグを精算可に変更し、締支払マスタ106aに基づいて、キャンセルデータに設定されたキャンセル日に対する締日に紐付けられた支払日を精算日としてキャンセルデータに設定してもよい。
【0036】
精算部102dは、取引に対する精算処理を実行する。ここで、精算部102dは、債権データ、および、精算対象フラグが精算可と設定されたキャンセルデータに基づいて、精算処理を実行してもよい。また、精算部102dは、債権データ、および、精算対象フラグが精算可と設定されたキャンセルデータに基づいて、加盟店毎且つ精算日毎の精算金額を設定した精算データを取得してもよい。また、精算部102dは、精算データを取引データベース106bに登録してもよい。
【0037】
仕訳作成部102eは、仕訳データを作成する。ここで、仕訳作成部102eは、精算データに基づいて、精算仕訳データを作成してもよい。また、仕訳作成部102eは、月末に、精算対象フラグが精算不可と設定されたキャンセルデータが存在する場合、当該キャンセルデータに基づいて、借方の勘定科目を未収金とするキャンセル仕訳データを作成してもよい。また、仕訳作成部102eは、キャンセル仕訳データ作成の翌月初に、キャンセル仕訳データに対する逆仕訳データを作成してもよい。また、仕訳作成部102eは、仕訳データを取引データベース106bに登録してもよい。
【0038】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図3から
図11を参照して説明する。
【0039】
[キャンセル精算管理処理]
ここで、
図3を参照して、本実施形態におけるキャンセル精算管理処理の一例について説明する。
図3は、本実施形態におけるキャンセル精算管理装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0040】
図3に示すように、債権取得部102aは、ユーザにより入力装置112を介して加盟店、立替日、および、立替金額を含む申込データが入力された場合、締支払マスタ106aに基づいて、申込データに設定された立替日に対する締日に紐付けられた支払日を精算日として特定し、加盟店、立替日、精算日、および、立替金額を紐付けて設定した債権データを取得し、当該債権データを取引データベース106bに登録する(ステップSA-1)。
【0041】
そして、キャンセル取得部102bは、立替払契約に係る商品の取引に対するキャンセルが発生した場合、債権データに基づいて、キャンセル日、加盟店、キャンセル金額、および、精算不可を初期値とする精算対象フラグを紐付けて設定したキャンセルデータを取得し、当該キャンセルデータを取引データベース106bに登録する(ステップSA-2)。
【0042】
そして、キャンセル精算確定部102cは、キャンセルデータに設定されたキャンセル金額が精算可となった場合、キャンセルデータに設定された精算対象フラグを精算可に変更し、締支払マスタ106aに基づいて、キャンセルデータに設定されたキャンセル日に対する締日に紐付けられた支払日を精算日としてキャンセルデータに設定する(ステップSA-3)。
【0043】
そして、精算部102dは、債権データ、および、精算対象フラグが精算可と設定されたキャンセルデータに基づいて、加盟店毎且つ精算日毎の精算金額を設定した精算データを取得し、当該精算データを取引データベース106bに登録する(ステップSA-4)。
【0044】
そして、仕訳作成部102eは、精算データに基づいて、精算仕訳データを作成し(ステップSA-5)、処理を終了する。
【0045】
ここで、
図4から
図9を参照して、従来および本実施形態におけるキャンセル精算管理の比較の一例について説明する。
図4から
図9は、本実施形態におけるキャンセル精算管理処理の一例を示す図である。
【0046】
従来手法および本実施形態における2021年3月度オペレーションにおいて、
図4に示すように、ユーザによる割賦販売契約の申込入力により債権データが登録され、精算日毎且つ振込先(加盟店)毎にデータがまとめられ、精算金額が決定される。
【0047】
そして、従来手法および本実施形態における2021年4月度オペレーションにおいて、
図5に示すように、ユーザによる割賦販売契約の申込入力により、締支払マスタ106aより精算日が確定され、債権データが登録される。そして、従来手法における2021年4月度オペレーションにおいて、
図5に示すように、キャンセルがあれば、締支払マスタ106aより精算日が確定され、キャンセル処理にてキャンセルデータが登録され、
図6に示すように、精算日毎且つ振込先(加盟店)毎にデータがまとめられ、精算金額が決定され、
図7に示すように、未収金が登録され、未収金分が一時計上される。一方、本実施形態における2021年4月度オペレーションにおいて、
図5に示すように、キャンセルがあれば、締支払マスタ106aより精算日が確定され、キャンセル処理にてキャンセルデータが登録され、
図6に示すように、精算日毎且つ振込先(加盟店)毎にデータがまとめられ、精算金額が決定され、
図7に示すように、未収金として一時計上する必要がなくなるため、自動で仕訳作成され、月末に、キャンセル精算確定処理にて確定フラグが0:未確定のものを未収金とし、自動で仕訳作成され、
図8に示すように、翌月初に、未収計上されたものの相殺がされる。ここで、本実施形態におけるキャンセルデータにおいては、相殺可能な立替金が存在しない場合、精算対象とせず、確定フラグを0:未確定のまま保持される。
【0048】
そして、従来手法および本実施形態における2021年5月度オペレーションにおいて、
図8に示すように、ユーザによる割賦販売契約の申込入力により、締支払マスタ106aより精算日が確定され、債権データが登録される。そして、従来手法における2021年5月度オペレーションにおいて、
図9に示すように、精算日毎且つ振込先(加盟店)毎にデータがまとめられ、精算金額が決定され、振込または2021/5/20の精算金額が手動で調整され、未収金額が回収され、未収金分として計上されたものが相殺され、精算金額に対し仕訳作成される。一方、本実施形態における2021年5月度オペレーションにおいて、
図8に示すように、確定フラグ:0が設定されたキャンセルデータで今回精算対象となるものの確定フラグが1:確定に更新され、且つ、精算日が2021/4/20から2021/05/20へ変更され、
図9に示すように、精算日毎且つ振込先(加盟店)毎にデータがまとめられ、精算金額が決定され、精算金額に対して自動で仕訳作成される。
【0049】
ここで、
図10および
図11を参照して、本実施形態におけるキャンセル精算確定画面の一例について説明する。
図10および
図11は、本実施形態におけるキャンセル精算確定画面の一例を示す図である。
【0050】
本実施形態におけるキャンセル精算確定画面は、
図10に示すメイン画面を備えており、「対象」をチェックした状態で、「F10:登録」が押下された場合、キャンセルデータに設定された精算確定フラグが「1」に更新される。また、本実施形態におけるキャンセル精算確定画面は、
図11に示すサブ画面を備えており、精算日の変更を可能としている。
【0051】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0054】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0055】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0056】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0057】
また、キャンセル精算管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0058】
例えば、キャンセル精算管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じてキャンセル精算管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0059】
また、このコンピュータプログラムは、キャンセル精算管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0060】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0061】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0062】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0063】
また、キャンセル精算管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、キャンセル精算管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0064】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、割賦事業またはクレジット事業を扱う金融業界において有用である。
【符号の説明】
【0066】
100 キャンセル精算管理装置
102 制御部
102a 債権取得部
102b キャンセル取得部
102c キャンセル精算確定部
102d 精算部
102e 仕訳作成部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 締支払マスタ
106b 取引データベース
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク