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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-28
(45)【発行日】2024-09-05
(54)【発明の名称】荷物保管装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
B65G1/04 503
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022040033
(22)【出願日】2022-03-15
(62)【分割の表示】P 2020149229の分割
【原出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022075819
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-07-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.開催日:2019年11月6日~8日 展示会名、開催場所:オカムラグランドフェア2019 オカムラガーデンコートショールーム 2.開催日:2019年12月5日~6日 展示会名、開催場所:オカムラフェアin大阪2019 オカムラKIZUKI LABO 3.ウェブサイトの掲載日 :2019年12月27日 ウェブサイトのアドレス:SECURITY SHOW https://messe.nikkei.co.jp/exhibitor/info/SS/ja/13693/ 4.開催日:2020年07月29日~31日 展示会名、開催場所:第12回関西ホテル・レストラン・ショーインテックス大阪6号館A 5.ウェブサイトの掲載日:2020年06月26日 ウェブサイトのアドレス:第12回関西ホテル・レストラン・ショー https://jmacv.herokuapp.com/khr2020/webguidenavi/product/search https://jmacv.herokuapp.com/khr2020/webguidenavi/product/details?product_id=6248 https://jmacv.herokuapp.com/khr2020/webguidenavi/exhibitor/details?exhibitor_id=129731 6.発送日:2020年06月24日 発送物:第12回関西ホテル・レストラン・ショー案内状 7.納品日:2020年07月20日 納品場所:H.I.S.ホテルホールディングス株式会社 変なホテル奈良 8.発行日:2020年07月10日 刊行物:季刊情報誌「観光施設」銀河 通刊332号 P2-3 9.ウェブサイトの掲載日:2019年10月25日 ウェブサイトのアドレス:ニュースリリース https://www.okamura.co.jp/company/topics/product/2019/baggage_keeper.html 10.ウェブサイトの掲載日:2020年07月21日 ウェブサイトのアドレス:製品情報 https://www.okamura.co.jp/ https://www.okamura.co.jp/product/?c1=security&c1-2=&c2=off
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】上野 敬介
(72)【発明者】
【氏名】樟 和典
(72)【発明者】
【氏名】小野 友資
(72)【発明者】
【氏名】山下 淳平
(72)【発明者】
【氏名】北出 英明
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0128444(US,A1)
【文献】特開平11-313757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00- 1/20
A47G 29/12-29/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって搬入出が行われる荷物が配置される搬入出部と、
前記荷物が保管される保管部と、
前記搬入出部と前記保管部との間で前記荷物を移動させる移動装置と、
前記搬入出部に載置された前記荷物の重量を測定可能な重量測定部と、
前記重量測定部の測定結果に基づいて前記搬入出部に載置された前記荷物の重量移動を検出する重量移動検出部と
を備え
前記搬入出部は、前記ユーザが前方から前記荷物を出し入れ可能な開口と、前記開口を開閉する扉体とを備え、
前記重量移動検出部は、前記搬入出部へ前記荷物が搬入された後に前記扉体の閉鎖動作開始から前記扉体が閉鎖されるまでの期間である扉体閉鎖動作期間にて、前記荷物の重量移動を検出する
ことを特徴とする荷物保管装置。
【請求項2】
ユーザによって搬入出が行われる荷物が配置される搬入出部と、
前記荷物が保管される保管部と、
前記搬入出部と前記保管部との間で前記荷物を移動させる移動装置と、
前記搬入出部に載置された前記荷物の重量を測定可能な重量測定部と、
前記重量測定部の測定結果に基づいて前記搬入出部に載置された前記荷物の重量移動を検出する重量移動検出部と
を備え
前記搬入出部は、前記ユーザが前方から前記荷物を出し入れ可能な開口と、前記開口を開閉する扉体とを備え、
前記重量移動検出部は、前記搬入出部へ前記荷物が搬入された後に前記扉体の閉鎖動作開始から前記扉体が閉鎖されるまでの期間である扉体閉鎖動作期間と、前記扉体が閉鎖されてから前記移動装置によって前記荷物が移動されるまでの期間である待機期間とで、前記荷物の重量移動を検出する
ことを特徴とする荷物保管装置。
【請求項3】
前記重量移動検出部は、前記荷物の重量移動を検出した場合に、前記扉体を開状態とすることを特徴とする請求項1または2に記載の荷物保管装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物保管装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、入庫口の荷受台に対して重量測定装置が配設された自動倉庫が開示されている。特許文献1に開示された自動倉庫では、重量測定装置が在庫管理コンピュータと接続されており、重量測定装置で測定された物品の重量情報が在庫管理コンピュータに伝達される。このような自動倉庫では、在庫管理コンピュータにおいて、入力された重量情報に基づいて物品の保管位置を決定する制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-47696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、駅、空港、店舗及び宿泊施設等に設置されるロッカーとしては、荷物を保管する保管部ごとに施錠可能な開閉扉が設けられ、ユーザがいずれかの開閉扉を開閉することで、荷物の保管部への出し入れを行わせるものが広く用いられている。このようなロッカーでは、ユーザが空いている保管部を見つける作業が必要となることから、共通の搬入出部から搬入された荷物を移動装置で保管部まで搬送する荷物保管装置が考えられている。
【0005】
このような共通の搬入出部を有する荷物保管装置において、特許文献1に開示されたように荷物の重量を搬入出部で測定して制御データとして用いることも考えられる。しかしながら、重量測定部で取得された重量に関する情報は、荷物保管装置を利用するユーザに対しては提供されない。それらの情報を有効に活用することが求められている。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、荷物保管装置を利用するユーザに、預け入れる荷物の重量に関する情報を提供可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0008】
第1の発明は、荷物保管装置であって、ユーザによって搬入出が行われる荷物が配置される搬入出部と、上記荷物が保管される保管部と、上記搬入出部と上記保管部との間で上記荷物を移動させる移動装置と、上記搬入出部に載置された上記荷物の重量を測定可能な重量測定部と、上記重量測定部の測定結果に基づいて上記搬入出部に載置された上記荷物の重量移動を検出する重量移動検出部とを備えるという構成を採用する。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記搬入出部が、上記ユーザが前方から上記荷物を出し入れ可能な開口と、上記開口を開閉する扉体とを備え、上記重量移動検出部が、上記搬入出部へ上記荷物が搬入された後に上記扉体が閉鎖されてから上記移動装置によって上記荷物が移動されるまでの期間である待機期間にて、上記荷物の重量移動を検出するという構成を採用する。
【0010】
第3の発明は、上記第1の発明において、上記搬入出部が、上記ユーザが前方から上記荷物を出し入れ可能な開口と、上記開口を開閉する扉体とを備え、上記重量移動検出部が、上記搬入出部へ上記荷物が搬入された後に上記扉体の閉鎖動作開始から上記扉体が閉鎖されるまでの期間である扉体閉鎖動作期間にて、上記荷物の重量移動を検出するという構成を採用する。
【0011】
第4の発明は、上記第1の発明において、上記搬入出部が、上記ユーザが前方から上記荷物を出し入れ可能な開口と、上記開口を開閉する扉体とを備え、上記重量移動検出部が、上記搬入出部へ上記荷物が搬入された後に上記扉体の閉鎖動作開始から上記扉体が閉鎖されるまでの期間である扉体閉鎖動作期間と、上記扉体が閉鎖されてから上記移動装置によって上記荷物が移動されるまでの期間である待機期間とで、上記荷物の重量移動を検出するという構成を採用する。
【0012】
第5の発明は、上記第2~第4いずれかの発明において、上記重量移動検出部が、上記荷物の重量移動を検出した場合に、上記扉体を開状態とするという構成を採用する。
【0013】
第6の発明は、上記第1~第5いずれかの発明において、上記重量測定部にて測定された上記荷物の重量に基づく情報を表示する表示部を備え、上記重量移動検出部にて、上記荷物の重量移動が検出された場合に、上記表示部にて異常を示す情報が表示されるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、重量移動検出部によって、搬入出部に載置された荷物の重量移動が検出される。このため、例えば、小動物等が誤って搬入出部に載置された場合であっても、検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態における荷物保管装置の斜め前方から見たが概略構成図である。
図2】本発明の第1実施形態における荷物保管装置の斜め後方から見たが概略構成図である。
図3】本発明の第1実施形態における荷物保管装置の天井壁部を省略した平面図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5図3のB-B断面図である。
図6】本発明の第1実施形態における荷物保管装置が備える保管箱の斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態における荷物保管装置の搬入出部に大型保管箱が設置された状態を模式的に示す断面図である。
図8】本発明の第1実施形態における荷物保管装置の搬入出部に小型保管箱が設置された状態を模式的に示す断面図である。
図9】本発明の第1実施形態における荷物保管装置の電気的な接続を示すブロック図である。
図10】本発明の第1実施形態における荷物保管装置の制御部の処理を示すフローチャートである。
図11】本発明の第1実施形態における荷物保管装置の変形例における制御部の処理を示すフローチャートである。
図12】本発明の第2実施形態における荷物保管装置の搬入出部を模式的に示す図である。
図13】本発明の第3実施形態における荷物保管装置の制御部の処理を示すフローチャートである。
図14】本発明の付記2に係る荷物保管装置に係る動作を説明するための概念図である。
図15】本発明の付記3に係る荷物保管装置に係る動作を説明するための概念図である。
図16】本発明の付記4に係る荷物保管装置に係る動作を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る荷物保管装置の一実施形態について説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1及び図2は、本実施形態の荷物保管装置1の概略構成を示す斜視図である。図1は、本実施形態の荷物保管装置1を前方から見た斜視図である。図2は、本実施形態の荷物保管装置1を後方から見た斜視図である。本実施形態の荷物保管装置1は、駅、空港、店舗及び宿泊施設等に設置され、ユーザの荷物Nを一時的に保管する装置である。本実施形態の荷物保管装置1は、図1及び図2に示すように、基台2と、保管棚3と、保管箱4(搭載部)と、移動装置5と、外殻体6と、搬入出部7とを備えている。
【0018】
本実施形態において、荷物保管装置1は、平面視が略長方形状とされている。以下の説明においては、平面視における荷物保管装置1の長軸に沿った方向(長手方向)を幅方向と称し、平面視における荷物保管装置1の短軸に沿った方向(短手方向)を奥行方向と称する。また、図1及び図2に示すように、荷物保管装置1を利用しようとするユーザから見て幅方向における右手側を右側と称し、荷物保管装置1を利用しようとするユーザから見て幅方向における左手側を左側と称する。また、荷物保管装置1から見て奥行方向におけるユーザ側を前側と称し、荷物保管装置1から見て奥行方向におけるユーザと反対側を後側と称する。
【0019】
基台2は、保管棚3、移動装置5及び搬入出部7を下方から支持する平板状の台部であり、床面Xに対して設置されている。また、基台2は、保管箱4も間接的に支持する。なお、本実施形態において外殻体6は、床面Xに対して立設されているが、基台2で支持されるようにしても良い。平面視において、幅方向を長手方向とし、奥行方向を短手方向とする矩形状とされている。
【0020】
保管棚3は、奥行方向にて移動装置5を間に挟むようにして2台設置されている。これらの保管棚3は、棒材が格子状に接続された構造を有しており、棒材によって囲まれた空間に、各々が保管箱4を載置可能とされた保管部3aを有している。つまり、各々の保管部3aには、保管箱4を出し入れ可能とされている。保管箱4に荷物Nが収納されている場合には、保管箱4が保管部3aに保管されることで、荷物Nが保管部3aに保管される。
【0021】
図3は、本実施形態の荷物保管装置1の後述する天井壁部6eを省略した平面図である。図3に示すように、各々の保管棚3は、幅方向に直線状に配列された複数の保管部3aを有している。本実施形態においては、各々の保管部3aの幅方向の寸法は一致されている。
【0022】
図4は、図3のA-A断面図である。図4に示すように、上下方向には、3つの保管部3aが配列されている。本実施形態では、上下に配列された3つの保管部3aのうち、中間位置及び最も上方に位置する保管部3aの高さ寸法が同一とされ、最も下方に位置する保管部3aの高さ寸法が他の2つの保管部3aよりも小さくされている。なお、以下の説明において、最も下方に位置する保管部3aを小型保管部3cと称し、その他の保管部3aを大型保管部3bと称する。
【0023】
また、図3に示すように、移動装置5の前側に配置された保管棚3には、1つの保管部3aの幅寸法分の保管部3aが設けられていない部位が設けられている。この保管部3aが設けられていない部位は、搬入出部7にて搬入出される荷物Nを搬入出部7と移動装置5との間で受け渡すための受渡通路3dとされている。
【0024】
図5は、図3のB-B断面図である。この図に示すように、移動装置5の前側に配置された保管棚3にて、受渡通路3dは、幅方向の中央部に設けられている。本実施形態においては、この受渡通路3dは、上下方向にて保管棚3を貫通するように設けられている。つまり、受渡通路3dの上下には保管部3aが設けられていない。しかしながら、受渡通路3dの上方に保管部3aを設けることも可能である。
【0025】
図3及び図4に示すように、受渡通路3dの下部には、搬入出部7が配置されている。このような搬入出部7は、図3に示すように、平面視における保管部3aの配列方向にて、保管部3aと保管部3aとの間に配置されている。つまり、本実施形態において、荷物保管装置1は、水平に配列された複数の保管部3aを備えている。さらに平面視にて保管部3aの配列方向(すなわち幅方向)にて、搬入出部7は保管部3aに隣接して配置されている。
【0026】
保管箱4は、各々の保管部3aに対して収容されており、搬入出部7にて荷物Nが出し入れされる箱体である。図6(a)は、大型保管部3bに収容される保管箱4である大型保管箱4aの斜視図である。図6(b)は、小型保管部3cに収容される保管箱4である小型保管箱4bの斜視図である。
【0027】
図6(a)及び図6(b)に示すように、保管箱4は、箱本体部4cと、2つの脚部4dとを備えている。なお、図6(a)及び図6(b)においては、箱本体部4cは仮想線で示している。箱本体部4cは、前壁4c1が上方に向けて移動可能とされた箱体であり、内部に荷物Nを収納可能とされている。前壁4c1の上端には、前方に向けて突出する前壁突起部4c2が設けられている。前壁突起部4c2は、搬入出部7の後述する扉体7bに設けられた挿入部7b1に挿入される部位である。前壁突起部4c2が挿入部7b1に挿入された状態で扉体7bが上昇されることによって、前壁4c1が持ち上げられ、箱本体部4cが前方に向けて開放される。
【0028】
図6(a)と図6(b)とを比較して分かるように、大型保管箱4aの箱本体部4cの高さ寸法は、小型保管箱4bの箱本体部4cの高さ寸法よりも高い。大型保管箱4aは、保管棚3の大型保管部3bに出し入れ可能に収容可能な寸法とされている。また、小型保管箱4bは、保管棚3の小型保管部3cに出し入れ可能に収容可能な寸法とされている。
【0029】
脚部4dは、箱本体部4cの幅方向における両端部にて箱本体部4cの底部に固定されている。各々の脚部4dは、奥行方向に沿って直線状に延伸して設けられている。また、各々の脚部4dは、他方の脚部4dに向けて水平方向に突出する移動規制突部4d1を備えている。これらの移動規制突部4d1は、搬入出部7の後述する載置台7dに設けられたストッパ7d1に対して前方から当接される部位である。これらの移動規制突部4d1が載置台7dに設けられたストッパ7d1に前方から当接されることで、搬入出部7における保管箱4の後方への移動が規制される。
【0030】
これらの脚部4dは、箱本体部4cを下方から支持することによって、箱本体部4cを載置面に対して僅かに持ち上げた状態で支持する。移動装置5は、後述する移載装置を脚部4dによって形成された箱本体部4cの下側の隙間に差し込み、箱本体部4cを載置台7dに設けられたストッパ7d1を乗り越えられる程度に持ち上げた状態で保管箱4を奥行方向に移動させる。
【0031】
移動装置5は、奥行方向に離間して配置された保管棚3同士の間に設けられた移動通路Tに配置されている。例えば、移動装置5は、移動通路Tに沿って走行可能な台車5aと、台車5aに立設された一対のマスト5bと、マスト5bに沿って昇降される昇降台5cとを備えている。また、移動装置5は、昇降台5cには保管箱4を受渡先と昇降台5cとの間で移載する不図示の移載装置を備えている。なお、移動装置5の構成は、特に限定されない。例えば、移載装置を幅方向に移動させるリニアガイドと、このリニアガイドを上下方向に移動可能なリニアガイドとを備える構成を採用することも可能である。
【0032】
このような移動装置5は、台車5aによって幅方向に移動し、昇降台5cを昇降させることによって、移載装置を任意の保管部3aあるいは搬入出部7に対峙させ、移載装置によって保管箱4を保管部3aあるいは搬入出部7と昇降台5cとの間で移動させる。また、移動装置5は、台車5aによって幅方向に移動し、昇降台5cを昇降させることによって、昇降台5cに移載された保管箱4を保管部3aあるいは搬入出部7に対峙させ、移載装置によって保管部3aあるいは搬入出部7に受け渡す。
【0033】
外殻体6は、保管棚3や移動装置5を囲む壁部であり、図1及び図2に示すように、前壁部6aと、後壁部6bと、右側壁部6cと、左側壁部6dと、天井壁部6eとを備えている。前壁部6aは、保管棚3の前方に立設された壁部である。この前壁部6aの外壁面6a1は、搬入出部7を介して荷物Nの出し入れを行うユーザが対峙する面となっており、本実施形態においては模様や文字等が描かれた意匠面とされている。
【0034】
また、前壁部6aの幅方向の中央部の下部には、搬入出部7の開口7a1が設けられている。この開口7a1が設けられた前壁部6aの一部分は、搬入出部7の外壁部7aとして機能する部位となっている。つまり、本実施形態においては、搬入出部7の外壁部7aが外殻体6の前壁部6aと一体化されている。
【0035】
後壁部6bは、保管棚3の後方に立設された壁部である。右側壁部6cは、保管棚3の右側に立設された壁部である。左側壁部6dは、保管棚3の左側に立設された壁部である。天井壁部6eは、保管棚3の上方に水平に配置された壁部であり、前壁部6a、後壁部6b、右側壁部6c、及び左側壁部6dによって下方から支持されている。なお、例えば荷物保管装置1に隣接して建屋の壁部が配置されているような場合には、後壁部6b、右側壁部6c、左側壁部6d及び天井壁部6eのいずれかあるいは全てを備えない構成とすることも可能である。
【0036】
搬入出部7は、本実施形態の荷物保管装置1を利用するユーザが荷物Nの出し入れを行う箇所であり、ユーザによって搬入出が行われる荷物が配置される。図7は、搬入出部7に大型保管箱4aが設置された状態を模式的に示す断面図である。なお、図7(a)は、扉体7bが閉じられた状態を示す図であり、図7(b)は、扉体7bが上昇された状態を示す図である。図8は、搬入出部7に小型保管箱4bが設置された状態を模式的に示す断面図である。なお、図8(a)は、扉体7bが閉じられた状態を示す図であり、図8(b)は、扉体7bが上昇された状態を示す図である。図7及び図8に示すように、搬入出部7は、外壁部7aと、扉体7bと、扉駆動部7cと、載置台7dと、重量測定部7eと、ユーザインタフェース部7fとを備えている。
【0037】
外壁部7aは、上述のように前壁部6aと一体的に設けられた壁部であり、載置台7dと外部とを隔離する壁部である。この外壁部7aには、奥行方向に貫通する開口7a1が設けられている。開口7a1は、荷物Nを通過させるための開口であり、大型保管箱4aの前壁4c1が開放された場合の開口面積と略同一の開口面積とされている。
【0038】
扉体7bは、開口7a1を開閉するための扉であり、扉駆動部7cによって昇降可能とされている。この扉体7bは、図7(a)及び図8(a)に示すように下降されることで開口7a1を閉鎖し、図7(b)及び図8(b)に示すように上昇されることで開口7a1を開放する。
【0039】
なお、扉体7bには、大型保管箱4aの前壁突起部4c2の高さに合わせた位置と、小型保管箱4bの前壁突起部4c2の高さに合わせた位置とに、溝部を有する挿入部7b1を有している。図7(a)及び図7(b)に示すように、大型保管箱4aの前壁突起部4c2は大型保管箱4aが載置台7dに載置されることで上方の挿入部7b1に挿入される。このような状態で、扉体7bを昇降することによって、図7(a)及び図7(b)に示すように、扉体7bに合わせて大型保管箱4aの前壁4c1が昇降される。また、図8(a)及び図8(b)に示すように、小型保管箱4bの前壁突起部4c2は小型保管箱4bが載置台7dに載置されることで下方の挿入部7b1に挿入される。このような状態で、扉体7bを昇降することによって、図8(a)及び図8(b)に示すように、扉体7bに合わせて小型保管箱4bの前壁4c1が昇降される。
【0040】
扉駆動部7cは、外殻体6の内部に配置されて扉体7bと接続されている。図9は、本実施形態の荷物保管装置1の電気的な接続を示すブロック図である。図9に示すように、扉駆動部7cは、本実施形態の荷物保管装置1の全体を制御する制御部8と接続されている。このような扉駆動部7cは、制御部8の制御の下に、扉体7bを昇降する。
【0041】
載置台7dは、外殻体6の内側にて、保管棚3の受渡通路3dの下部に配置されている。この載置台7dは、保管箱4が載置される台である。この載置台7dは、図7及び図8に示すように、保管箱4の載置面から上方に突出する2つのストッパ7d1を備えている。ストッパ7d1は、載置台7dの規定に載置された保管箱4の脚部4dに設けられた移動規制突部4d1に対して後方から当接あるいは近接する位置に設けられている。これらのストッパ7d1は、保管箱4に開口7a1から荷物Nが搬入された場合に、保管箱4が荷物Nの慣性力によって後方に変位することを防止する。
【0042】
重量測定部7eは、載置台7dの下方に配置された重量センサであり、載置台7dに載置された保管箱4に収納された荷物Nの重量を測定する。このような重量測定部7eは、例えば保管箱4を含んで荷物Nの重量の測定を行う。重量測定部7eは、制御部8と接続されており、荷物Nの重量情報を含む信号を制御部8に向けて出力する。制御部8は、重量測定部7eから入力される信号が示す値から、保管箱4の重量を差し引いた値を荷物Nの重量として算出する。つまり、制御部8は、大型保管箱4aの重量と小型保管箱4bの重量を予め記憶しており、載置台7dに載置された保管箱4が大型保管箱4aである場合には、重量測定部7eから入力される信号が示す値から、大型保管箱4aの重量を差し引いた値を荷物Nの重量として算出する。また、制御部8は、載置台7dに載置された保管箱4が小型保管箱4bである場合には、重量測定部7eから入力される信号が示す値から、小型保管箱4bの重量を差し引いた値を荷物Nの重量として算出する。
【0043】
ユーザインタフェース部7fは、図1に示すように外壁部7aに設けられており、外側面に露出されている。このユーザインタフェース部7fは、ユーザが情報入力したりユーザに対して情報を表示したりするタッチパネル7f1(表示部)、荷物Nに関する情報を印刷した荷物保管票を作成する印刷部、保管費用の清算を行う清算部等を備えている。
【0044】
タッチパネル7f1は、ユーザに対して提供する各種情報を表示する。本実施形態においてタッチパネル7f1は、制御部8の制御の下に、重量測定部7eで測定された荷物Nの重量に基づく情報を表示する。なお、荷物Nの重量に基づく情報は、実際に重量測定部7eにて重量が測定された荷物Nに関する重量情報である。この荷物Nの重量に基づく情報は、単に荷物Nの重量の値のみを意味するものではなく、荷物Nの重量に基づいて判定された情報を含む意味である。具体的には、荷物Nの重量に基づいて判定された荷物保管装置1への預け入れの可否判定情報、荷物Nの重量に基づいて判定された航空機への預け入れの可否判定情報等が、荷物Nの重量に基づく情報となる。また、タッチパネル7f1に表示される荷物Nの重量に基づく情報は、「荷物Nの重量の値」、「荷物Nの重量に基づいて判定された荷物保管装置1への預け入れの可否判定情報」、「荷物Nの重量に基づいて判定された航空機への預け入れの可否判定情報」等の全てである必要はない。これらのいずれかがタッチパネル7f1に表示されれば良い。
【0045】
制御部8は、本実施形態の荷物保管装置1の全体の制御を行う。制御部8は、図9に示すように、移動装置5と、搬入出部7とに接続されている。例えば、制御部8は、ユーザインタフェース部7fのタッチパネルにユーザから入力された荷物Nの情報に基づいて、大型保管箱4aあるいは小型保管箱4bを選択し、移動装置5に選択した保管箱4を搬入出部7に移動させる。また、制御部8は、空の保管箱4が搬入出部7に載置されると、扉駆動部7cに扉体7bを上昇させ、開口7a1を開放させる。
【0046】
また、制御部8は、保管箱4に荷物Nが搬入されると、重量測定部7eから入力された信号に基づいて荷物Nの重量を算出する。本実施形態においては、大きさ(すなわち重量)が異なる2種類の保管箱4(大型保管箱4a及び小型保管箱4b)を用いている。このため、制御部8は、予め大型保管箱4aの重量と小型保管箱4bの重量とを記憶しており、重量測定部7eから入力された測定結果から保管箱4の重量を差し引いて荷物Nの重量を算出する。具体的には、重量測定部7eに大型保管箱4aが載置されている場合には、制御部8は、重量測定部7eから入力された測定結果から大型保管箱4aの重量を差し引いて荷物Nの重量を算出する。また、制御部8は、重量測定部7eに小型保管箱4bが載置されている場合には、重量測定部7eから入力された測定結果から小型保管箱4bの重量を差し引いて荷物Nの重量を算出する。このように、本実施形態において制御部8は、重量測定部の測定結果から保管箱4の重量を差し引いて荷物Nの重量を算出する演算処理部として機能する。
【0047】
さらに、本実施形態においては、制御部8は、算出した荷物Nの重量に基づいて、荷物Nの重量が保管部3aで保管可能な上限重量を超えているか否かの判定を行う。制御部8は、保管部3aで保管可能な上限重量を予め記憶しており、上限重量と算出した荷物Nの重量に基づいて、荷物Nの重量が保管部3aで保管可能な上限重量を超えているか否かの判定を行う。なお、制御部8は、荷物Nの重量が保管部3aで保管可能な上限重量を超えている場合には、タッチパネル7f1に荷物Nの重量が保管部3aで保管可能な上限重量を超えていることを示す警告を表示させる。
【0048】
本実施形態においては、保管部3aで保管可能な上限重量は、航空機に搭載可能な荷物の重量の上限と一致されている。このため、荷物Nの重量が保管部3aで保管可能な上限重量を超えている場合には、タッチパネル7f1には、例えば荷物Nの重量が航空機に搭載可能な重量ではない注意も含まれていることが好ましい。
【0049】
また、制御部8は、ユーザインタフェース部7fのタッチパネルにユーザから入力された搬出指示に基づいて、ユーザの荷物Nが保管されている保管箱4を選択し、移動装置5に選択した保管箱4を搬入出部7に移動させる。また、制御部8は、空の保管箱4が搬入出部7に載置されると、扉駆動部7cに扉体7bを上昇させ、開口7a1を開放させる。
【0050】
以上のような本実施形態の荷物保管装置1において、荷物Nをユーザが預ける場合には、例えばユーザがユーザインタフェース部7fを操作することによって、荷物Nの大きさを選択する。荷物Nの大きさが選択されると、制御部8は、選択された荷物Nが収納可能な保管箱4の空き状態を判定し、空いている保管箱4を移動装置5に搬入出部7の載置台7dまで移動させる。
【0051】
保管箱4が載置台7dまで移動されると制御部8は、扉駆動部7cに扉体7bを上昇させる。このとき、保管箱4が大型保管箱4aである場合には、制御部8は、扉体7bを最も上昇させて開口7a1を全開放させる。一方で、保管箱4が小型保管箱4bである場合には、制御部8は、扉体7bを半分程度上昇させて開口7a1を半開放させる。このようにして、扉体7bが上昇されると、扉体7bと共に保管箱4の前壁4c1が上昇され、保管箱4が前方に向けて開放される。
【0052】
保管箱4が前方に向けて開放された状態で、ユーザは荷物Nを保管箱4の内部に入れる。その後、制御部8は、荷物Nが保管箱4に収納されたことをユーザのユーザインタフェース部7fの操作等によって検知すると、扉駆動部7cに扉体7bを下降させ、扉体7b及び前壁4c1を閉じさせる。
【0053】
その後、制御部8は、図10に示すフローチャートに沿った処理を行う。まず、制御部8は、重量測定部7eに基づいて重量測定を行う(ステップS1)。ここでは、重量測定部7eに重量を測定させ、荷物Nと保管箱4とを合わせた重量を取得する。
【0054】
続いて、制御部8は、荷物Nの重量を算出する(ステップS2)。ここでは、制御部8は、重量測定部7eから入力された重量から、予め記憶した保管箱4の重量を差し引くことによって、荷物Nの重量を算出する。なお、制御部8は、算出に用いる保管箱4の種類については、先に搬入出部7に移動させた保管箱4の種類に準じる。
【0055】
続いて、制御部8は、荷物Nの重量が予め記憶した上限重量(保管部3aで保管可能な重量の上限)を超えているか否かの判定を行う(ステップS3)。ここで、荷物Nの重量が上限重量を超えていない場合には、制御部8は、荷物Nの重量の値をタッチパネル7f1に表示させ(ステップS4)、移動装置5に保管箱4を、この保管箱4が予め収容されていた保管部3aに戻させる(ステップS5)。このとき、制御部8は、必要に応じて荷物保管票を印刷部に出力させる。
【0056】
一方、ステップS3にて、荷物Nの重量が上限重量を超えていると判定した場合には、制御部8は、タッチパネル7f1に荷物Nの重量が上限重量を超えている旨の警告を表示させる。その後、制御部8は、扉体7bを上昇させ、保管箱4の内部の荷物Nを外部に取り出し可能とする。
【0057】
また、本実施形態の荷物保管装置1において、荷物Nをユーザが取り出す場合には、例えば荷物保管票に印刷された情報をユーザインタフェース部7fに入力する。制御部8は、入力された情報に基づいて、取り出し対象の荷物Nを特定し、特定した荷物Nが収納された保管箱4を移動装置5に搬入出部7の載置台7dまで移動させる。
【0058】
保管箱4が載置台7dまで移動されると制御部8は、扉駆動部7cに扉体7bを上昇させる。このとき、保管箱4が大型保管箱4aである場合には、制御部8は、扉体7bを最も上昇させて開口7a1を全開放させる。一方で、保管箱4が小型保管箱4bである場合には、制御部8は、扉体7bを半分程度上昇させて開口7a1を半開放させる。このようにして、扉体7bが上昇されると、扉体7bと共に保管箱4の前壁4c1が上昇され、保管箱4が前方に向けて開放される。
【0059】
保管箱4が前方に向けて開放された状態で、ユーザは荷物Nを保管箱4の内部から取り出す。その後、制御部8は、荷物Nが保管箱4から取り出されたことをユーザのユーザインタフェース部7fの操作等によって検知すると、扉駆動部7cに扉体7bを下降させ、扉体7b及び前壁4c1を閉じさせる。そして、制御部8は、移動装置5に保管箱4を、この保管箱4が予め収容されていた保管部3aに戻させる。
【0060】
以上のような本実施形態の荷物保管装置1は、ユーザによって搬入出が行われる荷物Nが配置される搬入出部7と、荷物Nが保管される保管部3aと、搬入出部7と保管部3aとの間で荷物Nを移動させる移動装置5と、搬入出部7に載置された荷物Nの重量を測定可能な重量測定部7eと、重量測定部7eにて測定された荷物Nの重量に基づく情報を表示するタッチパネル7f1とを備えている。
【0061】
このような本実施形態の荷物保管装置1によれば、重量測定部7eで荷物Nの重量が測定され、重量測定部7eで測定された荷物Nの重量に基づく情報がタッチパネル7f1に表示される。このため、荷物保管装置1を利用するユーザは、タッチパネル7f1における表示に基づいて、自らの荷物Nの重量に関する情報を取得することが可能となる。したがって、本実施形態の荷物保管装置1よれば、荷物保管装置1を利用するユーザに、預け入れる荷物Nの重量に関する情報を提供することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態の荷物保管装置1においては、荷物Nの重量が保管部3aで保管可能な上限重量を超えている場合に、タッチパネル7f1に警告を表示させる。このような本実施形態の荷物保管装置1によれば、預け入れようとする荷物Nが保管可能な上限重量を超えていることがタッチパネル7f1で表示されるため、ユーザは自らの荷物Nの重量が荷物保管装置1に預けるには重すぎることを把握することが可能となる。
【0063】
また、本実施形態の荷物保管装置1においては、上限重量が、航空機に預け入れ可能な荷物Nの重量の上限と一致されているという構成を採用する。このような本実施形態の荷物保管装置1によれば、ユーザが本発明の荷物保管装置1に荷物Nを預けられるように荷物Nの重量を調整することによって、重量調整後の荷物Nを確実に航空機に搭載することが可能となる。
【0064】
なお、保管部3aで保管可能な上限重量は、必ずしも航空機に預け入れ可能な荷物Nの重量の上限と一致させる必要はない。例えば、保管部3aで保管可能な上限重量が航空機に預け入れ可能な荷物Nの重量の上限よりも大きい場合には、図11に示すように、ステップS3で荷物Nの重量が保管部3aで保管可能な上限重量を超えていないと判断された後に、荷物Nの重量が予め記憶した航空機に預け入れ可能な重量を超えているか否かの判定を行っても良い(ステップS7)。例えば、ステップS7で、荷物Nの重量が予め記憶した航空機に預け入れ可能な重量を超えていないと判断された場合には、ステップS4に移行する。一方で、ステップS7で荷物Nの重量が予め記憶した航空機に預け入れ可能な重量を超えていると判断された場合には、タッチパネル7f1に荷物の重量を表示させると共に、荷物Nの重量が予め記憶した航空機に預け入れ可能な重量を超えていることを示す注意を表示させ(ステップS8)、その後ステップS5に移行する。
【0065】
このように、荷物Nの重量が航空機に預け入れ可能な荷物Nの重量の上限を超えている場合に、タッチパネル7f1に注意を表示させることで、ユーザは自らの荷物Nの重量が航空機に預けるためには重すぎることを把握することが可能となる。
【0066】
また、本実施形態の荷物保管装置1においては、荷物Nが搭載可能とされると共に、保管部3aで保管可能かつ移動装置5によって搬入出部7と保管部3aとの間で移動可能とされた保管箱4と、重量測定部7eの測定結果から保管箱4の重量を差し引いて荷物Nの重量を算出する制御部8とを備えている。このような本実施形態の荷物保管装置1によれば、重量測定部7eにて保管箱4ごと重量を測定した場合であっても、制御部8によって、荷物Nのみの重量が算出される。このため、荷物Nのみの重量を取得することが可能となる。
【0067】
また、本実施形態の荷物保管装置1においては、重量が異なる保管箱4を複数備え、制御部8は、保管箱4の種類に応じて重量測定部7eの測定結果から保管箱4の重量を差し引いて荷物Nの重量を算出する。このような本実施形態の荷物保管装置1によれば、重量の異なる複数種類の保管箱4を用いる場合であっても、荷物Nのみの重量を取得することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態の荷物保管装置1においては、搬入出部7が、ユーザが前方から荷物Nを出し入れ可能な開口7a1を有し、重量測定部7eが、開口7a1の後方に配置されている。このような本実施形態の荷物保管装置1によれば、開口7a1を通じて搬入された荷物Nを移動させることなく、荷物Nの重量を測定することが可能となる。このため、短時間で、荷物Nの重量を測定することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態の荷物保管装置1においては、重量測定部7eが、開口7a1の下方に配置されており、上方に載置された荷物Nの重量を測定する。このような本実施形態の荷物保管装置1によれば、重量測定部7eが開口7a1の下方に配置されているため、重量測定部7eを床面X等に直接載置した状態で設置することができ、重量測定部7eを容易に設置することが可能となる。また、開口7a1の上方の空間が重量測定部7eで埋まることを防ぎ、開口7a1の上方の空間を有効利用することができる。
【0070】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0071】
図12は、本実施形態の荷物保管装置が備える搬入出部7の概略構成を示す模式図である。図12(a)は搬入出部7の正面図であり、図12(b)は断面図である。なお、図12(a)においては、外殻体6の前壁部6a、搬入出部7の扉体7b及び保管箱4の前壁4c1を省略して図示している。これらの図に示すように、本実施形態の搬入出部7は、上記第1実施形態における載置台7dと重量測定部7eとを備えておらず、開口7a1の下端が床面Xと同じ高さに配置されている。
【0072】
さらに、本実施形態において保管箱4の上部には係止具4eが設けられており、搬入出部7は、係止具4eが係止されることによって保管箱4及び荷物Nの重量を測定する吊下式重量測定部50を備えている。この吊下式重量測定部50は、係止具4eを係止する一対のアーム51と、アーム51に上方から接続されたセンサ部52とを備えている。このような吊下式重量測定部50は、外壁部7aの内側で開口7a1の上方に配置されており、一対のアーム51の間に奥行方向にて保管箱4の係止具4eが差し込み可能とされている。
【0073】
このような本実施形態の荷物保管装置においては、開口7a1の下端が開口7a1の前方の床面Xと同じ高さとされている。このような本実施形態の荷物保管装置によれば、開口7a1の下端を超える場合に、荷物Nを持ち上げる必要がなくなる。このため、例えばキャスタを備える荷物Nである場合には、床面上に載置された荷物Nを持ち上げることなく搬入出部7に対して出し入れすることが可能となる。
【0074】
また、本実施形態の荷物保管装置においては、吊下式重量測定部50が、開口の上方に配置されており、吊下げられた荷物Nの重量を測定する。このような本実施形態の荷物保管装置によれば、吊下式重量測定部50が開口7a1の上方に配置されているため、開口7a1の下方に重量測定部7eを設置する必要がない。このため、開口7a1を床面Xに近づけて配置することができ、荷物Nを容易に開口7a1に対して出し入れすることが可能となる。
【0075】
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0076】
図13は、本実施形態の荷物保管装置が行う荷物Nの保管位置の調整工程を説明するためのフローチャートである。この荷物Nの保管位置の調整は、保管する荷物Nの保管位置を重量情報に基づいて調整するものである。
【0077】
制御部8は、まず、保管位置の調整を開始する条件(開始条件)が整ったか否かの判定を行う(ステップS10)。保管位置の調整は、夜間等の移動装置5の稼働率が低い時間に行うことが好ましい。このため、例えば、移動装置5の稼働率が低い時間であることは開始条件の1つとして考えられる。このような稼働率が低い時間は、例えば制御部8が1日の間で移動装置5の稼働がない時間帯を蓄積し、この蓄積データに基づいて設定される。
【0078】
なお、移動装置5の稼働率を考慮せずに、一定時間ごとに保管位置の調整を行うことも可能である。このような場合には、開始条件は、一定時間が経過したこととなる。また、例えば、他の荷物Nに対して相対的に重い荷物Nを受け入れた場合には、荷物保管装置の重量バランスを整えることが好ましい場合がある。このため、所定の閾値よりも重い荷物Nを受け入れたことを開始条件とすることも考えられる。
【0079】
制御部8は、ステップS1にて開始条件が整うまでは待機する。一方、制御部8は、ステップS1にて開始条件が整うと、保管位置の調整を行う(ステップS11)。例えば、非常時には、保管部3aに保管された荷物Nを人力によって取り出すことが想定されるため、例えば、相対的に重量が大きな荷物Nを不図示の非常取出口(点検口)等の近くに配置することが好ましい。このため、開始条件が整った場合には、重い荷物Nほど不図示の非常取出口(点検口)に近くなるように保管位置の調整を行う。なお、保管位置をどのように調整するかは、上記の例に限られるものではない。例えば、地震の際の揺れを防止するために、重い荷物Nが相対的に下方に位置されるように保管位置の調整を行うようにしても良い。
【0080】
なお、保管位置の調整を行う場合には、例えば、搬入出部7を一時的な荷物N(保管箱4)の退避位置として用いることができる。ただし、保管位置の調整のための退避位置を搬入出部7と別に設置するようにしても良い。
【0081】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0082】
例えば、上記実施形態においては、荷物Nを保管箱4に収納した状態で移動装置5によって搬送する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、パレット等に荷物Nを搭載して搬送する構成や、荷物Nを直接的に搬送する構成を採用することも可能である。
【0083】
上述した実施形態に係る荷物保管装置の一部または全部は、以下のように付記することができる。
[付記1]
ユーザによって搬入出が行われる荷物が配置される搬入出部と、
前記荷物が保管される保管部と、
前記搬入出部と前記保管部との間で前記荷物を移動させる移動装置と、
前記搬入出部に載置された前記荷物の重量を測定可能な重量測定部と、
前記重量測定部の測定結果に基づいて前記搬入出部に載置された前記荷物の重量移動を検出する重量移動検出部と
を備えることを特徴とする荷物保管装置。
【0084】
このような付記1に係る荷物保管装置によれば、重量移動検出部によって、搬入出部に載置された荷物の重量移動が検出される。このため、例えば、小動物等が誤って搬入出部に載置された場合であっても、検出することが可能となる。
【0085】
このような重量移動検出部としては、上記実施形態における制御部8を用いることが可能である。具体的には、制御部8は、予め定められた一定期間にて連続的あるいは離散的に荷物Nの重量を測定する。ここで、荷物Nが移動すると、荷物Nの加速度によって例えば重量測定部7eによる測定値が変動する。したがって、制御部8は、予め定められた一定期間にて荷物Nの重量の測定値に変動があるか否かを判定する。このような判定を行うことによって、保管箱4の内部の動きを検知することが可能となる。
【0086】
このような付記1に係る荷物保管装置によれば、新たなセンサ等を設置することなく、重量測定部の測定結果に基づいて保管箱4の内部の動きがあるか否かの判定することが可能となる。また、付記1に係る荷物保管装置によれば、小動物等の保管が禁止されている場合にユーザが小動物等を保管しようとしたとしても、その荷物Nが保管できないものであることを検知することが可能となる。
【0087】
なお、このような保管箱4の内部の動きがあるか否かの判定は、測定値の変動を大きさあるいは変動の頻度を予め定めた基準値と比較する方法、あるいは時間と測定値とからなる波形の人工知能分析による方法などを用いる事が出来る。
【0088】
例えば、これらの方法のいずれかあるいは複数の方法を選択あるいは切り替えることによって、例えば、近くを電車等の車両が通過することによって生じる振動による重量変動を排除して、小動物等の動きのみを検知することも可能となる。
【0089】
[付記2]
前記搬入出部は、前記ユーザが前方から前記荷物を出し入れ可能な開口と、前記開口を開閉する扉体とを備え、
前記重量移動検出部は、前記搬入出部へ前記荷物が搬入された後に前記扉体が閉鎖されてから前記移動装置によって前記荷物が移動されるまでの期間である待機期間にて、前記荷物の重量移動を検出する
ことを特徴とする前記付記1記載の荷物保管装置。
【0090】
このような付記2に係る荷物保管装置によれば、荷物が搬入された後に扉体が閉鎖されてから移動装置によって荷物が移動されるまでの期間に荷物の重量移動が検出される。このため、扉体が既に閉鎖されて扉体の移動が停止している状態の測定値、荷物の重量移動を判定することができる。したがって、測定値に扉体の移動によるノイズが含まれることを防止し、より高精度にて荷物の重量移動を検知することが可能となる。
【0091】
図14は、付記2に係る荷物保管装置に係る動作を説明するための概念図である。この図に示すように、付記2に係る荷物保管装置においては、扉体閉鎖動作期間の後に、待機期間が設けられている。扉体閉鎖動作期間は、荷物Nが搬入出部7に搬入された後、開放状態の扉体7bの閉鎖動作を開始したときから扉体7bが開口7a1の全域を閉鎖するまでの期間であり、扉体7bが移動されている期間である。
【0092】
待機期間は、扉体閉鎖動作期間の後に、移動装置5によって荷物Nの搬送が開始されるまでの期間である。この待機期間は、必要に応じて移動装置5の準備期間が含まれていると共に、荷物Nの重量変動を検知する期間が含まれている。図14に示す例では、待機期間の全期間にて、荷物Nの重量変動を検知する。このような付記2に係る荷物保管装置では、待機期間が、荷物Nの重量変動を検知するために十分な長さに定められている。
【0093】
[付記3]
前記搬入出部は、前記ユーザが前方から前記荷物を出し入れ可能な開口と、前記開口を開閉する扉体とを備え、
前記重量移動検出部は、前記搬入出部へ前記荷物が搬入された後に前記扉体の閉鎖動作開始から前記扉体が閉鎖されるまでの期間である扉体閉鎖動作期間にて、前記荷物の重量移動を検出する
ことを特徴とする前記付記1記載の荷物保管装置。
【0094】
このような付記3に係る荷物保管装置によれば、荷物が搬入された後に扉体が閉鎖に向けて移動されている期間に荷物の重量移動が検出される。このため、扉体が完全に閉鎖するまでに荷物の重量移動を判定することができ、扉体が閉鎖された後に荷物の重量移動を判定する処理を行う必要がなく、早期に荷物の重量移動を検出することができる。
【0095】
図15は、付記3に係る荷物保管装置に係る動作を説明するための概念図である。この図に示すように、付記3に係る荷物保管装置においては、扉体閉鎖動作期間に、荷物の重量移動の検知を行う。このため、待機期間に荷物の重量移動の判定を行う必要がなく、待機期間を短くあるいは無くすことが可能となる。
【0096】
例えば、このような付記3に係る荷物保管装置では、予め保管箱4に静止物しかない状態での扉体7bの動作による重量測定への影響を測定しておき、その結果に基づいて扉体7bの動作による重量測定への影響を測定結果からキャンセルすることで、保管箱4の内部に動く物体(小動物等)の有無を正確に検知することが可能である。
【0097】
なお、必ずしも扉体閉鎖動作期間の全期間において荷物Nの重量測定を行う必要はない。例えば、停止している扉体7bの移動を開始して扉体7bを一定速度まで加速する期間(初期期間)は比較的振動が大きいことから、この期間を外した扉体閉鎖動作期間内において、荷物Nの重量測定を行うようにしても良い。
【0098】
[付記4]
前記搬入出部は、前記ユーザが前方から前記荷物を出し入れ可能な開口と、前記開口を開閉する扉体とを備え、
前記重量移動検出部は、前記搬入出部へ前記荷物が搬入された後に前記扉体の閉鎖動作開始から前記扉体が閉鎖されるまでの期間である扉体閉鎖動作期間と、前記扉体が閉鎖されてから前記移動装置によって前記荷物が移動されるまでの期間である待機期間とで、前記荷物の重量移動を検出する
ことを特徴とする前記付記1記載の荷物保管装置。
【0099】
このような付記4に係る荷物保管装置によれば、荷物が搬入された後に扉体が閉鎖されてから移動装置によって荷物が移動されるまでの期間と、荷物が搬入された後に扉体が閉鎖に向けて移動されている期間とに荷物の重量移動が検出される。このため、扉体7bの移動状態が異なる2つの期間の測定結果に基づいて、荷物Nの重量移動を検知することができる。したがって、荷物Nの重量移動の原因の特定をより正確に行うことが可能となる。
【0100】
図16は、付記4に係る荷物保管装置に係る動作を説明するための概念図である。この図に示すように、付記4に係る荷物保管装置においては、扉体閉鎖動作期間及び待機期間に、荷物の重量移動の検知を行う。このため、例えば、扉体閉鎖動作期間と待機期間とで、測定結果に基づいて荷物Nの重量移動を検知する方法を変更することで、それぞれの期間に最適な検知を行うことができ、より正確に荷物Nの重量移動の検知を行うことが可能となる。
【0101】
なお、付記3に係る荷物保管装置と同様に、必ずしも扉体閉鎖動作期間の全期間において荷物Nの重量測定を行う必要はない。例えば、停止している扉体7bの移動を開始して扉体7bを一定速度まで加速する期間(初期期間)は比較的振動が大きいことから、この期間を外した扉体閉鎖動作期間内において、荷物Nの重量測定を行うようにしても良い。
【0102】
[付記5]
前記重量移動検出部は、前記荷物の重量移動を検出した場合に、前記扉体を開状態とすることを特徴とする前記付記2~4いずれかに記載の荷物保管装置。
【0103】
このような付記5に係る荷物保管装置によれば、閉鎖状態あるいは閉鎖途中の扉体は開状態に移行され、開状態の扉体は開状態が維持される。このため、保管することができない荷物が保管されることを防止すると共に、保管できない荷物をユーザが容易に回収することが可能となる。
【0104】
[付記6]
前記重量測定部にて測定された前記荷物の重量に基づく情報を表示する表示部を備え、 前記重量移動検出部にて、前記荷物の重量移動が検出された場合に、前記表示部にて異常を示す情報が表示される
ことを特徴とする前記付記1~5いずれかに記載の荷物保管装置。
【0105】
このような付記6に係る荷物保管装置によれば、表示部に荷物の重量移動による異常を示す情報が表示されるため、ユーザに対して素早く情報を伝達することが可能となる。
【0106】
このような付記にて示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0107】
1……荷物保管装置、3……保管棚、3a……保管部、4……保管箱、4a……大型保管箱、4b……小型保管箱、5……移動装置、7……搬入出部、7a……外壁部、7a1……開口、7b……扉体、7d1……ストッパ、7e……重量測定部、7f1……タッチパネル(表示部)、8……制御部(演算処理部、重量移動検出部)、50……吊下式重量測定部、N……荷物、X……床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16